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怒れる雄火竜

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
怒れる雄火竜 sage忘れ擬人化(翠水竜、フルフル亜種、雄火竜)・否エロ515〜519

怒れる雄火竜


「ここにクエストで来るのも久しぶりだなぁ…」
最近手入れをしていないせいで伸びてきた髪をなびかせながら、ジュリオは丘の上に立っていた。
ハンター達から「森丘」と呼ばれているこの場所は標高がそれなりにある上に良い風が吹いているため、
空を飛ぶモンスターが暮らすのに適している。
故に、リオレウスやリオレイアなどの危険度の高いモンスターも出現するが、イャンクックやドスランポスといった
駆け出しのハンターが相手をするようなモンスターも多いため、初心者ハンターが訪れることも多い。
「将来の二人の愛の巣はこんなところに作りたいもんやな〜♪」
「その口から小汚い空気を吐いている暇があったらさっさとキャンプを張れ馬鹿が」
「うっさいわ感情表現と胸が貧しいキザ女」
「ふ、二人とも着いて早々喧嘩しないで下さい…」
今回もエメラとルヴィが同行していた。
もちろん半強制的である。
クエストの内容は単純なもので、リオレウス1頭の討伐。
しかし、以前に挑んだハンターがコテンパンにやられてしまい、現在も意識が戻らないという。
そのハンター達はそこそこに腕の立つ者達だった。つまり、いくらジュリオが凄腕のハンターだからとはいえ、油断はならないということだ。
とはいえ、前に挑んだハンター達はつがいの退治を依頼されていたらしく、リオレイアの方は既に退治しているとのこと。
少しは条件が楽になっている。

ベースキャンプの設置が終わると、3人は少しの休憩の後、支給品を持って出発した。
森丘は見晴らしが良く、地形もさほど複雑でない場所のため、迷うことはなかった。
…しかし、問題のリオレウスがなかなか見つからない。
無論、すぐに見つかるわけはないのだがリオレウスほどの大型飛竜だ。
本当にこの近辺で目撃されたのなら、獲物を探すために飛んでいるのを一度は見かけてもおかしくないはずだ。
「おかしいなあ…」
「もしかして既にここを去ったのではないか? 野生の飛竜なら新たなつがいを求めて別の場所へ飛び立つことも考えられるはずだが…」
「いえ、まだ探してない場所があります。…巣に乗り込みましょう」
基本的に、ハンターは飛竜の卵を取ってくる、などといったクエストを受注した時などでない限り、好んで飛竜の巣に入ったりはしない。
飛竜の巣は狭い上、住んでいる飛竜が毎日寝ている場所なのだ。構造は相手が完全に把握しきっているだろう。
そのため、戦いになれば逃げるのは難しい。
かといって、どこを探しても飛竜の足跡一つ見つからないこの現状では、飛竜の巣を探すほかない。
この場合、待つという方法をとるハンターが多いがそれはまだ狩りに慣れていない者の話。
狩りに慣れきっている者は獲物が見つからない場合、その巣を探す。探すといっても、もちろん正面から勝負を挑むわけではない。
そんなことをしたら飛竜のディナーにされるだけだ。
飛竜が居るかどうかを確認し、居たならすぐに逃げ、巣から出てくるまで粘り強く待つ。
もし居なければ、巣にある珍しい骨でも貰っておく。
これが上級ハンターの基本だ。
…残念ながら、今回のジュリオ達の場合、そのどれにも当てはまらなかったのだが。

中に飛竜が居た時のため、音をたてずにゆっくりと岩場の飛竜の巣に忍び込む。
…奥から微かに物音がする。
「…どうやら何かいるみたいですね…。…くれぐれも、音を立てないでくださいよ…」
「もち!」
「お前に気にかけられるほど未熟ではない…」
二人の言葉をその耳でしっかり確認してから、ジュリオは岩の壁に沿って奥へと進んだ。
ふと、足元が柔らかくなってきていることに気づく。
…どうやらここは岩に囲まれているだけの簡素な巣のようだ。殆どが土になっており、地面にはいくらか草が生えている。
岩の壁がなくなってくる角の近くまで着いたとき、ジュリオは巣の中から聞こえる音に違和感を覚えた。
…明らかに大型生物が立てる音ではない。ハンターとしての年季が長いわけではないが、いくつもの大型モンスターと対峙してきたジュリオには、
ある程度なら聞こえてくる音やその気配だけでどれほどの大きさの生物が立てているものなのかを判断できた。
この音は…何かが、穴を掘っている音?
何か…この音の主の大きさからして、穴を掘ったりするような生物……そしてこの気配………
「……人間?」
それは間違いなく、人間の気配だった。少し普通の人間とは違う感じがしたが…確かに普段からよく感じている、人間の気配だ。
そっと角から中をのぞいてみると、やはりそこには人間の姿があった。
赤茶色の髪をしており、隣には巨大な土の山がある。どうやら何かを埋めているらしい。
「なんか怪しいなぁ…」
「…でも、人間なら大丈夫でしょう。何だか色々と気になりますし、話しを聞いてみましょう」
「……………?」
この時から、エメラは何か奇妙な感じを覚えていた。
自分も角からその人間を見たが、人間にしては不思議な気配を出している。
そう、まるで…
「あの…そこの方?」
「……人間、か?」
「何や、おかしなコト言うなアンタ…。アンタかて人間やないか?」

まるで、モンスターのような……

「……!! 二人とも、そいつから離れろ!!」
「え…」
次の瞬間、ジュリオの真横を火球が通り過ぎた。
髪の毛が少し焦がされ、辺りに焦げ臭いにおいが漂う。
「な……!?」
「外したか…」
その火球は、紛れもなくジュリオらが声をかけた男の口から吐き出されていた。
まだ少し、男の口から火の粉が漏れている。
「これは一体……」
「ダーリン、気ィつけーや! …コイツ、ウチらのお仲間や!」
「え? お仲間って…」
「元モンスターということだ」
エメラが走り寄って来て言った。
その手には弓が握られている。…見れば、男も理由こそ不明ながら完全にこちらに敵意を向けている。
「何の恨みがあんのかわからんけど…よーするに、敵ってコトやな?」
「珍しく物分りがいいな。…その通りだ。…武器を抜いておけ」
エメラ達の「同類」であるその男はジュリオを睨むと、その口を開いた。
「……我が最愛の妻だけでは飽き足らず、私の命も奪いに来たか?」
「…どういうことですか?」
「とぼけるな…。…大方、元つがいだったリオレウスを殺せ…とでも依頼されたのだろう?」
「…その通り…ですね。……あなたの口ぶり…もしや……?」
「……ああそうだ、喜べ。私がお前の『獲物』だよ……」
男…いや、リオレウスがさらに強くジュリオを睨む。
それが「ジュリオ」に向けられているものなのかは定かではないが、瞳の奥に確かな憎しみを感じ取ることが出来た。
…同時に、深い悲しみも。

「…さあ、お望み通り殺しあおうじゃあないか、汚らわしい狩人と…それに手を貸すモンスターよ…」
「ダーリンは汚らわしくなんかないで! アンタの方が万倍…むぐ!?」
喋りだしたルヴィの口をエメラがその手で遮った。
「…黙っておけ」
「何やいきなり人の…」
「……名も知らぬ空の覇者よ。…そこに埋められているのは……お前が伴侶としたものだな?」
「……………」
リオレウスが黙り込む。
が、すぐに再び口を開いた。
「そうだ…。…愚かな人間が…馬鹿げた理由で殺した……私の最愛のもの……」
「何言っとるんや、理由なら…」
「危険だから、か? …我々がいつ人間を襲った? …一度も襲っていないさ。ただこの自然の中で暮らしていただけ…。…だが、人間にとってはそれが『危険』だというらしいな……。…笑わせる」
「…だから、人間が憎いのですか?」
「憎い…? …もはや憎いでは済まんよ…。……今すぐにでも、貴様の五体を引き裂いてやりたい気分だ……」
「なら何故ここで暴れださない? さっきの攻撃の威力から察するに、まだ人間になったばかりなのだろう?」
人間になってから月日が過ぎているエメラなどはモンスターとしての力が衰えていくが、相手はそうではないらしい。
通常のリオレウスが吐くものに近い火球を吐き出していた。
すなわち、まだモンスターから人間になったばかりということが容易に想像できるのだ。
…そして、先ほどは攻撃をしてきたが今ここで戦いに発展させない理由はジュリオにも何となくわかった。
「…あなたの伴侶の墓に…傷をつけたくないのですね?」
「………………」
「…しかし、腑に落ちんな。そんなにも人間を殺したがっているのにどうして人の形を取る? モンスターの方が力もあるし、人間を殺すのには適しているだろう?」
「…墓を…作るためだ……」
「それだけのために…?」
「それだけ…? 貴様らにとって『それだけ』でもな……私にとっては生涯を通して守り抜かねばならぬ、大切なものだったさ!!」
リオレウスの叫びは洞窟中に轟き、その体から火の粉が舞い散る。
激しく怒るその姿は、もはや何も見据えていなかった。いや、見据えるものが既に無くなっていたのかもしれない。
「…私を狩りにきた愚かな人間よ、よく聞け…。…私は明日、人里に下りる…。…この意味がわかるな?」
「……関係の無い人間まで殺すつもりですか?」
「人間などどれも同じだ。己の欲望を満たすためだけに生きている。…もし貴様らが人間をかばいたいのなら…人里へと降りる道に立ち塞がるがいい。…そしたらその時に、殺してやるさ……」
微かにその瞳を光らせたリオレウスは、笑っているようにも…そして、何故か泣いているようにも見えた。
2010年08月15日(日) 09:42:40 Modified by gubaguba




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