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避1-6

スレ番号タイトルカップリング作者名備考
避1タイトルなし擬人化ドスイーオス×女ハンター観察記録の人◆ifhFvwrEHs  

タイトルなし


「カーレン、お前は何が欲しい?」
貴族として、十分な教養と礼儀作法、そして美しさを得ていた彼女はこう答えた。
「狩りに使えるような、ライトボウガンが欲しいです」
それを聞いた父は怒り狂う…ということはなく、むしろ嬉しそう笑った。
「やはりお前は私の子だね。いいとも、ガンナー装備も整えてやろう。だが、あまりいいものはやれんぞ。」
「ありがとうございます」
「ふふふ、なぁに、軽い前祝いだよ」

その次の日、父は短い書き置きを残して失踪した。

どうも、前から失踪する計画は立てていたらしい。家の者が気づかぬほど手際よく彼はいなくなった。
発つ鳥あとを濁さずの精神なのだろうか、家についての細かい指示と子供たちに渡す遺産を書き置きに残していた。
その中でカーレンに渡す物の項目をみて、次期家長である青年は眼を見開き、ひどく取り乱した。
どうも、兄は妹への贈り物が納得できなかったらしい。
一刻も父を探し出し、どういうことか問いたださなければ彼の気が済まない。
どうしてだ。嫁に行った姉や自分は十分な遺産だというのに。

「なぜカーレンの分だけ!ハンター装備と武器!」

まるでカーレンに出ていけと言っているようなものではないか!
「カーレン!安心しろ!お前はこの家にいていいんだからな!」
かわいい妹のいる部屋の前で、彼は声をかけた、が、返事はない。
まさかと、思って部屋に突入すれば、可愛らしい置手紙が一つ。

「従者と共に、行ってきます」

彼が卒倒しかけたころ、すでにカーレンは屋敷から従者と共に脱走していた。

アプトノスの引く粗末な車に乗るのは二人のハンター。
カーレンは父の置いて行ってくれたバトルスーツを装備し、ライトボウガン「アサルトコンガ」を背負っていた。
こつこつと、こっそり溜めていた軍資金とアイテムをつめた荷物袋。
「使える日がくるとは、思ってもいませんでした」
少しうっとりとして荷物袋を撫でる彼女は実に怪しい。
「一緒にギルド登録しておいてよかったね。イーノス」
イーノスと呼ばれた従者はこくりと、その毒々しい頭を縦に振った。
彼もまたハンターの装備、イーオス装備に身を包んでいたが、頭だけがフェイクであった。
いや、イーオスフェイクはあれど、ドスイーオスフェイクは存在しない。
イーノスは、頭と体の一部だけがドスイーオスという男であった。
しゃべることは可能だが、ここでこの顔が素顔だとバレれば怯えた御者により車から降ろされかねない。
だから彼はずっと無言だった。無言で、はしゃぐカーレンを見詰める。
屋敷にいるときには動くのも面倒そうな、肌を見せないドレス姿であったが、いまや胸の谷間や太腿丸出しなガンナー装備である。
その胸の隙間はなんのためにあるのかとイーノスは本気で思う。
カーレンが腕を組んだり、ライトボウガンを調節したりなどと、動くたびに谷間ができる。
あんなに柔らかそうな白いものを目の前でもにもにされては、思わず手を突っ込みたくなる。
それに、短パン、これも意味が分からない。なぜ短くする。絶対領域を見せて何になる。
このバトルガンナー装備のコートは役目を果たす気がないと思える。
コートなんて飾りですとか言いだしそうなぐらい、役目を果たしてない。
こんなので大丈夫なのかとイーノスは思う。


イーノスがここまでカーレンを気にするのはもちろんわけがある。
元は群のリーダーであったイーノス。火山という縄張りを見回り、群の安全第一に努めた。
今思えばそれなりに評価される働きのはずだが、自然界は厳しい。
群にいた一匹の雄イーオスの頭が大きくなり、あっというまにドスになった。
世代交代の時期ならともかく、群に二匹もリーダーはいらない。その若いドスイーオスと彼は戦い、負けた。
敗者の彼は群から外された。リーダー争いに負けたイーオスは、群から離れて後を付き、決して群に混ざることはない。
いわば、孤立したしんがり状態である。群れで生きてきた彼にとって、死んだ方がましと思えるほどの孤独。
精神的に弱っていた、だから、下っ端ハンターにもあっさりと負けてしまったのだ(いいわけ)
意識が遠くなったところで覚悟し、彼は小さく鳴いてその場で倒れた。

ここまでがドスイーオスだったころの記憶である。

再び目覚めたのは暗い地下室で檻の中だった。己の姿に違和感を感じ、いつものように立ち上がってみる。
ちょうどその時檻の前にいたのはカーレンの父と、自分を打ち負かしたハンターだった。
後で聞いたところによれば、そのハンターはカーレンの父の援助を受けていた、いわば雇われハンター。
何をどうしたのかは知らないが、気がつけば倒れていたのがイーオス頭の全裸男で大層驚いたらしい。
人殺しになることを恐れたそのハンターは慌てて彼に回復薬を飲ませ、アイルーに運ばせた。
そして、スポンサーであるカーレンの父に助けを求めたらしい。
もしもの時のためギルドには隠して、屋敷に彼を運びいれ治療をはじめた。
そこで頭が本物だと知り、ようやくドスイーオスが変化したという結論になったわけだ。
これにえらくカーレンの父は喜び、ハンターには口止めと捕獲報酬として結構な金額を払い、彼は飼われることとなった。
イーオスであったころとはまた違う感覚にイーノスが慣れるのに一ヶ月。
人語を覚えるのに一年。生活の常識や、知識を得たり礼儀を知るのに二年かかった。
ここまで元イーオスに手をつくすカーレンの父は素晴らしいを通り越して狂人ではと思う。

「イーノス、あまりじろじろみないで」
流石にカーレンも谷間を気にしているのだろう、手で隠されてしまった。
「失礼」
イーノスは御者にばれぬようにしつつ、流暢な喋りで謝罪した。
今思えば、カーレンの父はこの事を見越していたのかもしれない。
カーレンとイーノスが出会ったのは今から一年ほど前のことである。
そのころにはイーノスは檻から出ていて地下で大人しく過ごしていた。そこへ突然、私の娘だと紹介したのだ。
カーレンは父に似てハンターの仕事にひどく興味を持っていたし、モンスターへの好奇心もあった。
そんな彼女の前に、イーノスを置いてみよう。
「お父様、この方はくぁwせdrftgyふじこ!!!」

御覧の通り、大興奮である。

父親から事情を聞いたカーレンはひどくイーノスに興味を持った。
自ら進んでイーノスの世話を申し出たのだ。奇妙な娘だと思ったが、孤独なあのころよりはいい。
イーノスは、カーレンの父にもカーレンにも大人しく従っていた。そうすれば、孤独にはならないからだ。
「イーノス、剣の訓練をしましょう」
「イーノス、モンスターについて勉強しましょう」
…あの頃から、カーレンはハンターになる気満々だったし、父親もならせる気満々だった。
さらに父親のツテとコネとマネーの力で、カーレンとイーノスはハンターギルドに登録された。
もう、この時点で二人の失踪計画はできていたのかもしれない。

「イーノス、降りますよ」
ようやく目的地近くについたのだろう、二人は車から降りる。
「この雪山を越えれば私たちが派遣された村です。幸い、私の師匠がいますので村も歓迎してくれるでしょう」
「師匠?」
「はい、幼いころ素材収集ツアーに連れて行ってくれた方です。弓やボウガンがうまくて大変学ばせてもらいました。」
にこりと、カーレンは笑う。
「そうですか」
それで話を終わらせたイーノスだが、頭の中ではその師匠についての情報を求めている。

先ほどから言っているイーノスがカーレンを気にかける理由。
それは再び自分が手にできた群だからだと、彼自身は考えている。
たった二人だけの群、だから、イーノスは何が何でもカーレンを守るつもりだ。


***


「もう夕方ね、雪山を越えるのは明日にして今日は麓で休みましょう」
カーレンの提案にイーノスも頷く。洞窟やらあればよかったのだが、そう簡単には見つからない。
仕方なく、水辺の近くでの野宿となる。夜が冷える事は予想できたので彼らはまだ明るいうちに焚き木を拾うことにした。
「幸い、ここは狩り場ではないようですね。」
周りを見渡しながらイーノスが呟く。飛竜が降り立つには木々が多いのと、餌になるガウシカやポポが見当たらないせいだろう。
「ふむ…」
こうも寒いとカーレンの身が心配である。早めに火に当たらせた方がいい。
「カーレン、焚き木は私が集めますから火を…」
イーノスが見たのは嬉々としてアサルトコンガを枯れ木に向けるカーレンだった。
アサルトコンガには火炎弾が装填できる。それならば、木に向かって撃てばてっとり早い!
カーレンとしては、素晴らしいひらめきのつもりだったのだが…
「カーレン!待ちなさい!!!」
イーノスの悲痛な叫びも聞かず、彼女は引き金を引いた。
火炎弾が勢いよく枯れ木の小さな山に突っ込み、乾いた音を立てて木々を破壊する。
弾けた木片の一部が赤く染まっていることから、火をつけるということは成功したといえるだろう。
「いたたたたたたたた!!!」
破壊され、一部火もついた木片の雨を彼女が浴びていなければなお良かった。
そりゃあんな近くで枯れ木の山をボウガンを撃てば、破片ぐらい飛んでくるだろう。
「アツうっ!!!」
声にならない悲鳴をあげてのたうちまわるアホの子を、慌ててイーノスが抱きかかえ水辺に運んで行く。
濡れるのも構わず、膝まで浸かると急いでカーレンに水をかけた。
はたからみれば水辺ではしゃいでいる微笑ましい風景だが、本人たちは必死の形相である。
「…あー、びっくりした」
水で濡れ、体に張り付いた木片をつまみあげながらカーレンが呟く。
イーノスはカーレンに怪我がないことを確認すると、先に湖からあがった。
散乱した火のついた枝を消えない内に集め、どうにかして焚き火という形に仕上げる。
「カーレン、早くこちらへ」
「あ、うん」
寒さに震えるカーレンに、イーノスはホットドリンクと毛布を渡す。
「装備を脱いでください。気持ち悪いようでしたらインナーも」
濡れたままでは風邪か凍傷ですよと言われ、カーレンはインナー姿になり、毛布をはおって座り込む。
「うー、寒い…」
「ガウシカかポポの毛皮でも剥いできましょうか?」
ここにはいないが、少し歩けば見つかるだろうとイーノスは周りを見渡す。
「いや、一緒にいて」
インナー姿で放り出されてはたまらないと、カーレンは首を振る。
「では、水辺で魚だけでも取ってきましょう。すぐそこですからいいでしょう?」
カーレンは少し考えて、今度は首を縦に振った。
始めは片手剣で魚を突き刺して捕まえようを思ったが、なかなか難しいので大人しく釣ることにした。
滅多に釣り人が来ないせいだろうか、魚は警戒することもなく餌に食いつく。
爆発しない魚を選び、イーノスは焚き火へと向かった。まだ、カーレンの装備は乾いていないらしい。
「ホットドリンク、まだ飲みますか?」
「うん、ちょうだい」
幸い、雪山を通るとは分かっていたので、トウガラシも多めに持って来ている。
イーノスはホットドリンクをカーレンに渡して、魚を焼き始めた。
「ところで、カーレン。喋り方を変えました?」
「あ、気付いてた?」
悪戯っ子のように、貴族の娘は笑う。お嬢様しゃべりをやめたらしい。
「いつまでもあのしゃべりじゃ、ハンターらしくないかなーって。変?」
「いいえ、あなたのお好きなように」
「イーノスは?変えないの?」
「私はこの喋り方しか習っていませんから。それに面倒ですし」
つまらないわ、とカーレンは頬をふくらませる。そしてすぐにくしゃみをひとつ。

「寒いですか?」
「んー、ホットドリンク飲んだから大丈夫だと思う。」
「念のため、毛布をもう一つ…」
「それはイーノスの分でしょう?」
「私は元鳥竜です。寒さには強いですよ。」
そういってイーノスは彼女に自分の分の毛布も渡す。不満気なカーレンだが、有無を言わせぬ従者に大人しく従う。
ぱちり、ぱちりと焚き火が何度か弾けた後、彼女は思い出したように呟く。
「イーオスって…暑さには強いけど…寒さにも強いの?」
彼は何も言わず、というかごまかしの言葉が浮かばず、黙っていた。
返事をしないイーノスに、ゆっくりとカーレンがにじみ寄る。お互い焚き火を向かい合う形で座っていたのだが…
「なんで、逃げるの」
「いえ、場所を変わってほしいのかと思いまして」
「隣にいたいの」
「いけません」
イーノスは流暢な言葉で続ける。

「私には毒があります」

その言葉に、カーレンは不機嫌そうな顔になる。が、イーノスは慣れたもので、魚の焼け具合を見ている。
イーオスの毒は主に、牙、赤い鱗、そして口から出す毒液である。
人間化した際これらの毒はひどく弱まってしまったが、毒は毒。カーレンにとって有害であることには違いない。
「イーノス、寒いの」
「ホットドリンク、まだ飲みますか?」
「違うの、そばにいてほしいの」
「私は元鳥竜ですから体温はそこまで期待できませんよ。それに毒が…」
そこまでいうと、彼女は『これが目にはいらぬか!』と言わんばかりに解毒薬を突き出す。
「解毒草も漢方薬もたっぷりあるよ」
それでも来ないなら…と焚き火にまたアサルトコンガを向ける。
「自爆宣言はやめていただきたい」
イーノスの言葉に、カーレンは本気だと言わんばかりに見つめてくる。
「…地肌には触れないようにしてください」
イーノスは折れると彼女の隣に座った。
「大丈夫だっていってるでしょう?毒を受けても解毒薬があるんだから」
「万が一ということもあります」
「それに私、ハンターになるために訓練したから多少の毒物は大丈夫よ!」
そこまでしてハンターになりたかったのだろうか。イーノスには理解できない。
だいたい、彼女は、あそこに何の不満があったのだろう。危険を冒さずとも食事があり、寝床があり、仲間もいる。
まったく人間というものは奇怪な生き物である。
「今、こいつ馬鹿なんじゃないかとか思ってる?」
「いいえ、単純に面白い方だと」
そこでカーレンは黙って焼けた魚に手を伸ばす。
が、無言でイーノスが、一番大きくて良く焼けた魚をとり、カーレンに渡す。
魚を手渡されたカーレンはなぜかさらに、不機嫌そうになって魚に食いついた。
つい最近までナイフとフォークで食事をしていた貴族の娘なのに、豪快な食べ方だった。


「そういえば、ちょうど今の季節よね」
「何がですか?」
「鳥竜の繁殖期」
カーレンが何をいいたいのかまったくもってイーノスには理解できない。
はぁ、そうですね。と言葉を濁す。たまたま持っていた知識を口に出しただけなのだろうか?
貴族の娘が口にするにははしたない、と元イーオスが言うことでもないな。などと、イーノスは他の事を考える。
「イーノス、貴方の防具がごつごつして痛いわ。外して」
ならば離れればいいのに、とイーノスは思うが大人しくイーオス装備を外していく。
そういえば、この装備もハンターから買い取ったと言っていた。
貴族なんぞに売ってないで若手のハンターに売ってやればいいのにと、狩られる側だったイーノスは考える。
「イーノスは」
カーレンは不満そうに呟いた。
「いつも何か考えているのね」
「くだらないことですよ」
そう返事をしつつ、イーノスは不思議に思っていた。どうも、今日のカーレンはおかしい。
なんというか、少しわがままだ。群にいた好奇心旺盛な仔イーオス達を思い出す。
「また、何か考えた。何を考えたの?いいなさい」
「…昔の、群の事を」
その言葉に、カーレンは何か言いたそうな顔をしたが、顔を赤くして黙ってしまった。
なんとなく察したイーノスは淡々と続けた。
「繁殖もしましたよ。仔も何匹かいました。」
カーレンが言葉を出す前に、イーノスは早口で言った。
「仔は全て殺されました。私がリーダー争いで負けた時に」
イーノスが群から外れた後、新しいリーダーは仔を全て殺した。理由などいくらでも思いつく。
自分の仔を残すためだとか、敗者の仔はいらないとか。
「…ごめんなさい」
「いえ、御気になさらず。」
おかげでイーオスを見ても彼は遠慮なく殺せるだろう。
そのイーオスは自分の仔でも群でもない、ただのイーオスなのだから。
自分が元同族を殺すところを淡々と想像しているイーノスだが、カーレンは不安気に彼を見ていた。

沈黙は長く、枯れ木の爆ぜる音しか聞こえない。


「そういえば」
イーノスがようやく口を開いた。
「カーレン、あなたの婚約者はどうしました?」
貴族の年ごろの娘となれば、婚約者が決められていてもおかしくはない。
カーレンにも、家柄に相応しい男を迎えるつもりだとカーレンの父が言っていた。
「知らないわ」
「そうですか」
それで会話が終ってしまうかと思われた。
「イーノス、あなた気にならないの?」
「そうですね…婚約者が気に入らなかったからと思いましたが?何か理由が?」
雌が雄を選ぶのは至極当然のこと。また、優秀な雄に雌がまとわりつくのも当然。鳥竜的に考えて。
カーレンが婚約者を捨てたのはカーレンが彼を認めなかったからと、彼は単純に理解していた。
「貴女が子を産むのですから、貴女が相手を選ぶのは当然のことだと思います。」
「そ、そうかしら…」
「そうですよ。子を産みたいと思える男と番いになるのがよろしいかと」
「そうね…そうよね」
「…そういえば、私は人間とイーオス、どちらの番いを選べばいいのでしょうね」
元はイーオスだが、今は人間に近い。それでもやはり、人間に最も遠い種族である。
変な意味はない素朴な疑問なのだが、それに平然としてカーレンは答える。
「イーノスが、好きな方と番いになればいいんじゃない?」
「それもそうですね」
「……いるの?」
「何がです?」
「好きな…の」
「この姿になってから私はあなたと父君ぐらいしか知りません。
ですから、好きな人がいるかと聞かれたらあなたと答えますが、いかがでしょう」
「そう……」
しばしの沈黙ののち、カーレンはみるみるうちに顔を赤くしていく。
「えーと…もう一回言ってくれる?」
「この姿になってから私はあなたと父君ぐらいしか知りません。
ですから、好きな人がいるかと聞かれたらあなたと答えますが、いかがでしょう」
まるでコピーして貼り付けたかのような言葉に、カーレンは眼を見開いてイーノスを見る。
「私の事、好き?」
「はい」
「本当に?」
「はい」
「私も好きよ」
「ありがとうございます」
そこで会話が途切れる。


「……ねぇ、その『好き』は……魚が好きとかと同じレベルの好き?」
「魚とあなたでしたらあなたが好きですよ?」
イーノスは理解できないと言いたげに首を傾げる。
「はっきり言うわ、イーノス」
貴族の娘は、イーノスの眼を見据えて、言い放った。

「それは番いとしてみてくれるということ?」

この言葉に、今度はイーノスが目を見開いた。
イーノスとしてはカーレンに対する愛情は、友情とか、仲間に対するような愛情だったと思っていた。
しかし、よく考えてみると、イーノスがカーレンに対する行動は番いのオスイーオスそのままだ。
体を気遣ったり、餌を与えたり、外敵から守ったり……
と、なると無意識のうちにイーノスはカーレンを番いとして考えていたということだろう。
いや、しかし、まだ自分に繁殖期の影響は来ていない。
そもそも人間になってから繁殖をしたいという欲望にかられたことはないような気がする。
今は?今はちょうど繁殖期だが、カーレンを抱きたいと思うか?孕ませたいと思うか?
あの快楽をもう一度味わえるのか?自分のようなものが彼女を孕ませていいのか?
今、彼女を孕ませるのはよくないのではないか?ハンターとして出てきたばかりなのに。
自分と彼女の間に子供はできるのか?自分は今、カーレンに、欲情しているのか?

「答えなさいな、イーノス」
急に無言になったイーノスをカーレンが揺さぶる。
「し、失礼しました。また考え事を……」

カーレンは初物だろうか?
始めての繁殖期を迎えた雌と交尾したことを思い出す。
その記憶に異変が起こり、その雌は裸のカーレンに変わっていた。
彼女はドスイーオスだった自分とケダモノのように交わり、そして果てるという妄想である。
記憶と意識の混乱に、イーノスは頭を抱える。
「カーレン」
とにかく、一度きちんと話し合うべきかと彼女を見たら、イーノスの下のほうに釘付けになっていた。
イーノスはその視線の先を見ると、ズボンの股間部分が異様に膨れ上がっていた。
これは困った、とイーノスは冷静に考える。とにかく席をたち、どうにか処理するしかあるまいとしたときだ。
カーレンはしっかりとイーノスを捕まえる。

何かをいいたげに、口をパクパクさせ、顔を真赤にした彼女がようやく言葉を出す。

「おとなしく……しなさい!」

何があっても動いちゃダメと命令され、イーノスはそれに従う。
「カーレン、できれば私はこれの処理をしたいのですが」
「わっ!私がします!」
正直、イーノスは人間のコレについて詳しくは知らない。人間のカーレンに任せた方がいいと判断した。
「それでは、お願いします」
あっさりそう言うと、イーノスはソレを取り出した。赤黒く、うっすらと紫色をしたソレは毒キノコを彷彿とさせる。
イーオスであったころと比べ、何とおぞましい形だろうと自分のものをまじまじと見る。
「うっ…わぁぁ……」
カーレンが恐る恐るといった具合にそれに触れた。


「こういう場合、イーオスは交尾しますが、人間もですか?」
「そ、そうよ…」
「そうですか、しかしカーレン、あなたが今孕んだらハンターとして支障がでます。あなたと交尾をするわけには……」
そこまで言われた時、イーノスのそれは暖かいものに包まれた。
始めての感覚にイーノスはぎゃおうと鳥竜のような声を上げる。カーレンはイーノスのそれを口におさめていた。
貴族の娘といえど、そういう噂はどうしても耳に入るものなのだ。
歯を当てないように、手と舌で優しく愛撫して…と頭で理解するが
カーレンは乱暴にイーノスのソレを舐めまわし、じゅうっと音を立てて吸い上げる。
イーノスはカーレンの命令に従ったままで、動きはしないが明らかに動揺していた。
今、まさに自分の精液を絞り取ろうとするカーレンの頭に触れるのすら堪え、イーノスは呻きながら射精した。
突然の苦味にカーレンはそれをげほげほと吐きだした。
地面にうっすらと黄色が混じる精液が地面にぼたぼたと落ちる。射精の感覚にイーノスはぼぅっとする頭で考える。
「カーレン…全て吐き出してください。貴女には毒かもしれません」
未だ急きこむ彼女に解毒薬を渡そうとして…ひったくられた。
カーレンは思いっきり解毒薬を飲み、乱暴にそれを捨てる。
「まだ、いけます」
何がですかと、聞き返そうとしたイーノスの膝にカーレンが座る。
「動いたら、許しません」
「カーレン、いけません、私には毒が…」
そういいかけるイーノスの前でカーレンが解毒薬をまたちらつかせた。
「動いては、だめよ?」
そういって、彼女はゆっくりとインナー越しにイーノスのソレを秘部を擦りつけはじめた。
もともと体力のあるイーオスだ。すぐにイーノスのそれは起き上がる。
インナーごしにも、カーレンの秘部がひくつきはじめたのを感じた。
「カーレン」
「動いたらダメ!」
「いえ、これは誘っていると受け取っていいのですね?」
顔を真赤にして激しく頷くカーレンを見て、イーノスは動くことにした。

雄として、雌の誘いをけるわけにはいくまい。
イーオスにとって、交尾はバックスタイルである。膝上のカーレンを横に押し倒し、押さえつける。
昔の癖でついついカーレンの首筋にかみついてしまう。
悲鳴を上げるカーレンのインナーを乱暴に引き下げ、乱暴にソレをねじ込んだ。
「やはり、初物ですか、キツイぐらいですよ」
ミチミチと肉と肉の擦れる音をさせ、イーノスは一気に引きぬく。
そして今度はもっと奥へと言わんばかりに刺し貫いた。
「ああああああっ!」
叫びと同時にカーレンのそこはイーノスのそれをさらに締め付けた。


何度も何度も、絡みつく内壁から己の性器を引きずり出し、そしてすぐに突き立てるということを繰り返す。
カーレンの悲鳴など、少しも聞こえなかった。
「痛い!痛いわイーノス!」
泣き叫ぶカーレンにようやく気付いたイーノスはそれを引き抜いた。
足からはうっすらと血が伝っており、カーレンはうつ伏せで泣きじゃくっている。
「そんなに、痛かったですか?」
処女というものをよく知らないイーオスは恐る恐るカーレンに問う。彼女は小さく頷くだけだった。
さきほど、つい興奮して噛みついたところからは血がにじみ出ている。
「イーノス…」
「はい」
「もっと……やさしくしてちょうだい」
「わかりました。とにかく、血を止めましょう」
そう言ってイーノスは出血のひどい彼女の秘所を舐め始めた。
紫色の舌が、すべての穴を舐めてなぞり、充血した花芯を特にねぶる。
「ずいぶんと、ひくついてますね」
男を受け入れる穴を慣れさせようと舌を入れてやる。カーレンは声にならない悲鳴を上げた。
「駄目っ!そんな汚いところを…!やぁん!」
唾液とそれ以外の液で濡れた秘所をみて、イーノスは我慢できなくなる。
「カーレン、入れていいですか?入れますね」
返事も聞かずに、再びイーノスはカーレンを犯し始める。
「カーレン、とても気持ちがいいですよ。とても締め付けてきます」
本人としては褒めているつもりなのだが、ただの言葉攻めである。
「こんなに喜んでもらえるなんて、嬉しいですよ。中にたっぷり出しますね。
あぁ、早いでしょうが御安心を。すぐにまた犯しますから。」
腰の動きを早め、イーノスはまさしくケダモノのように吠えて射精した。カーレンの足を今度は白がつたう。

「…カーレン。念のために解毒薬を飲んでください」

力ずくでカーレンを抱きかかえ、口に解毒薬を流しこむ。
とろんとした顔のカーレンが、解毒薬をどうにか飲み込むと、イーノスに口づけを要求した。
とはいえ、互いの顔の構造上、うまくキスはできない。
イーノスはカーレンの口に舌を突っ込み。口を犯すように舌を絡ませる。
ぴちゃぴちゃと舐めあっているうちに、またイーノスのそれは鎌首をもたげつつあった。
こうなればもう我慢はできない。今度は向き合う形でイーノスはカーレンに挿入する。
カーレンは足をイーノスに絡ませ、嬌声をあげる。確認のつもりで、イーノスはカーレンに囁いた。
「また、中に出します。よろしいですね」
「えぇ、出して、全部私の中に…」
許可が出たので、イーノスは確実にカーレンを妊娠させるべく奥目指してそれを突きいれた。
興奮のあまりがりがりと、カーレンがイーノスの背中を引っ掻く。
「向きあうかたちは、初めてですが、これはなかなかいいですね。」
普段見たことないカーレンの表情、揺れる乳房が目の前にある。
「興奮が止まりません」
カーレンに覆いかぶさるようにして、イーノスはカーレンの顔をなめる。
彼女の全てを己の体液で染めつくすかのように、また、中に子種を注ぎ込んだ。


白い肌に汗の雫が浮き上がる。
何度もカーレンのその肌にかみつきたくなるが、イーノスは我慢する。
ぐちゅぐちゅと接合部から白と赤が混ざったような泡がわずかにあふれる。
「み、みないでぇ…」
今、まさに突かれているカーレンは己の顔を隠す。
こんなに淫らな顔をしているところを、イーノスに見られたくはなかった。
嗚咽のような、すすり泣くような、カーレンの声にイーノスは腰を動かすのをやめる。
「…イーノス?」
「嫌ならやめますが」
そう呟くとカーレンの秘所から引き抜いた。イーノスという男は愚直で優しく、そして鈍感であった。
カーレンが嫌がってると感じ、行為を中止しようとしているのだ。
「ち、違うのよ、イーノス…その恥ずかしくて…」

カーレンがイーノスに惹かれたのは、この優しくて真っ直ぐで、そしてどこか抜けているところだった。
気がつけば貴族の男よりもイーノスと狩りについて話している方が楽しくて。
イーノスとならハンターになれると思ってここまできたのだ。

「だから…嫌じゃ、ないのよ」
「本当ですか?」
「うん…」
「じゃあ、私はどうすればいいですか?」
イーノスはカーレンの望みを聞く、その言葉にカーレンは真赤になって言うのだ。
「わ、私の中に、イーノスのそ、そ、それを入れて。思いっきり動かして…中に、出していいから」
待ちきれないといわんばかりに、カーレンは恐る恐る己の秘所に触れて、そこを広げて見せる。
イーノスのせいでカーレンの疼きはおさまりそうにないのだ。
「わかりました」
イーノスがカーレンの両腕を掴むと、秘所から手を離させ、性器を中へと押し進める。
両腕を押さえられている格好となったカーレンはもはや顔を隠せない。
頬を赤らめ、荒い息でイーノスの名を呼び続ける。
イーノスの紫色の舌が、またカーレンの頬をべろりと舐めた。
何度目かのピストンの後、カーレンは小さな悲鳴をあげて達した。

元鳥竜イーオスの体力はまだ尽きない。
まだだ、まだ出したりないといわんばかりの行為が続く。


―――…
頭がくらくらするのは、毒のせいかしらとカーレンは考える。もう何度目だろうか。
イーノスはしっかりとカーレンの細い腰を掴み、まだピストンを続けていた。
鳥竜の雄たけびのあと、カーレンの中で精液がはじけ、イーノスが腰を震わせる。
「くっ、ふぅ…」
堅さを少し失ったイチモツを引き抜く。
「まるで別れを惜しむように絡みついてきてますよ」
わざわざそんなことを言わなくてもと、同時にその通りだと思うカーレンがいる。
「カーレン、大丈夫ですか?」
ぐったりとしているカーレンをイーノスは軽々とかかえ、向かい合う形で膝の上に座らせる。
彼女の股から収まりきれなかった精液がドロリとイーノスの膝に流れるが、彼はそんなことは気にしない。
そんなことより、カーレンの事が気になるのだから。
「カーレン」
彼女は返事の代わりに、彼の胸に頭をこつんとぶつける。
「イーノス、すごいのね」
子供のような感想を漏らし、イーノスの匂いをかぐ。

この匂いにも毒が含まれているにも違いない。貴族のお嬢様を堕落させる毒がきっと含まれている。
そうでなければ、ここまで私が淫らになるわけがない。

なんてカーレンは言い訳がましく考えて、一人クスリと笑う。


「まだ、できるわね?」
「はい、カーレン」

すでにイーノスの性器は立ち上がり、カーレンの下腹部でまだかまだかと待っている。
カーレンは膝立ちになり、今度は自らイーノスのために動く。
自分の秘所にイーノスの性器の先を押しあて、ゆっくりと腰を沈めていく。
「動いちゃダメよ?」
今度動くのは、私なのだから。今度は私という毒に溺れさせてやるのだから。
彼女は腰を動かし始めた。眼の前の毒々しい男をうっとりと見つめながら。


―――カーレンが、目を覚ました時、既に朝日が昇っていた。
体がだるく起き上がるのも面倒だと思える。
「カーレン、大丈夫ですか?」
「……」
昨夜、何もなかったかのように、イーノスは赤い鎧を身にまとい、また魚を焼いていた。
「体調がすぐれないようでしたら、雪山上りは明日にでも」
「……大丈夫です」
「そうですか?」
カーレンはゆっくりと体を起こす。新しい、予備のインナーを着せられていた。
「体、拭いておきました」
イーノスの言葉に、カーレンは顔を赤くする。
昨夜の精液まみれの己の姿は、夢ではなかったらしい。
「消臭玉も使いましたが、気になるようでしたら水浴びをお勧めします」
くんくん、と自分の匂いを確認するカーレンに、イーノスは追い打ちをかける。
「一応、中のモノはかき出しましたが、妊娠する可能性もあります」
「かっ!かきだしたっ!?」
「はい、昨日気絶したあなたの中に、指を突っ込んで。」
川で体を洗うついでに、と、あっさりとイーノスは言い放つ。
「もし、妊娠したら、ハンターはお預けですからね?」
「や、その……えーと……」
カーレンはまるで尿意を我慢する子供のようにもじもじしだす。
「……妊娠するぐらい、出したのよね?」
「はい、孕ま…妊娠させるつもりでしたが、やはりここは一度ハンター稼業をしてからと思いまして」
あんなにハンターになりたがっていたカーレンの事を思い出し、イーノスは掻きだすことにしたのだ。
気休め程度にと、そしてカーレンのそこをいじくりたかったのとが半々である。
「それで、一応、わ、わたしのここに、指を入れて、あの白いのを……」
「かきだして、洗い流しました。指まで締め付けるのでなかなかうまくいきませんでしたが」
その言葉に、カーレンは顔を赤くする。
「カーレン、体調がすぐれないようですね。やはり今日は雪山越えはやめましょう」
「だ、大丈夫よ!」
「いえ、いけません。そうそう、カーレン」
昨日は近づくなといったイーノスが、カーレンに近寄る。
「人間のこれ、なかなかおさまりませんね」
昨夜と同じように元気になっているソレをカーレンに見せると、イーノスは彼女を押し倒す。
「せっかくなので、おさまるまでやらせていただきます」
「イーノス!」
「今日は手加減しますし、中にも出しません。」
カーレンは一応抵抗を試みるが、それは形だけだった。
すでに彼女の秘所はイーノスを求めてひくついているのが、彼女にもわかったからだ。

結局、二人が雪山を超えるのは次の日の朝となり、
しかもカーレンはイーノスに背負われてという恰好であった。

「手加減なしだったじゃない…うそつき」

彼に向けられた彼女の小さなぼやきは、冷たい風にさらわれて飛んで行ってしまうのであった。
2011年10月26日(水) 20:39:37 Modified by kongali




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