卵を拾ったら育てましょう
スレ番号 | タイトル | カップリング | 作者名 | 備考 | レス |
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18 | 卵を拾ったら育てましょう | 男ハンター×イーオス | 竜姦 | 387〜388 |
卵を拾ったら育てましょう
毒々しい、赤い皮膚。滑らかな触感のそれは、素手で触るには些か危ないもので。
しかし彼女は素手で触れられることを好むものだから、彼は身に纏う防具の不思議な力で彼女の毒を防ぎつつ、彼女に触れる。
頬から首にかけて手を滑らせれば、彼女は心地よさそうに金の目を細め、くるると鳴いた。
可笑しなものだ。何故、竜と人がこのように仲睦まじく触れ合っているのだろうか。
夜は同じベッドの上で眠り、彼が武器の手入れをする時はその傍らで、じっとその手つきを見つめる。
まるで恋人のように、竜は人に付き添った。
今宵も二人は共に夢に落ちる。
眠り掛ける竜の首に、人はそっと唇を落とし、ごろりと竜に背を向けた。
「情が移った、なんてもんじゃねぇや」
自嘲気味に溜め息を溢して、人はぎゅっと目を瞑る。
その呟きに竜は首を上げ、「ぎゅ?」と一声鳴いた。
まるで、どうしたの?とでも言うかのようなその響きに、人は首だけ竜に向ける。
「気にすんな、なんでもねぇよ」
その一言に不満そうに、竜はぽすりと頭を枕に下ろした。それにより起きた小さな風が、人の襟足を擽る。
花の匂いを乗せた心地よい夜風が室内に吹き込み、その芳香に誘(いざな)われるようにして、竜は眠りに堕ちていった。
「…っく…」
傍らから聞こえる呻くような声に竜が目を覚ましたのは、もうすっかり音も無くなった深夜の事。
薄く開けた竜の目に映ったのは、人の顔だった。そして己の腿に感じる熱くぬめった感触に、竜は首をもたげる。
人はそれに気付かず興奮気味に、竜へ己の性器を擦り付けていた。
一体何をしているのか、竜に分かるはずもなく、竜はついつい一声「ぐるる」と鳴く。
人はその声に竜が起きたことに気付いたが、もう遅かった。
脈打ち精を解き放つ己の息子を止められる筈もなく、竜のむっちりとした深紅の腿を白く汚す。
そしてその雄の匂いに、竜は気付いた。人は己に対し欲情し、まぐわりたがっているのだと。
二人の馴れ初めは、まだ竜が卵の中で孵る時を待ち侘びていた頃。
毒湧く沼地、その毒沼の中にころりと転がっていた白い物体。それが彼女の潜む卵だった。
何しろ人は、沼地で卵を見かけたのは初めてで、尚且つ見たことのない形状ときた。
これは珍しい。そう思い、人は卵を沼地から掬う。ランポスの卵に似たそれは、一体誰の落とし物なのか。
観賞用にでも、と持ち帰った卵は窓辺に飾られ、日の光に晒された。
そして太陽の温もりに抱(いだ)かれて、赤い竜の仔は無事にこの世に生を受けることができたのだ。
まるで後光が射しているようだった、と人は言う。
さて観賞用卵は原型を崩し、竜の仔はきゃおうと高い声で鳴く。はてさてこやつをどうしたものかと人は考えた。
小さすぎる竜は、防具の素材も取れそうにない上、その姿を見る限りきっと毒持ち、食材にも出来そうにない。
人の職はハンターというものであったから、この竜の成体に嫌な目に合わされた経験がたんとある。
だからこそ竜の仔を見て「今日から僕がママだよ!」ということにはならず、この竜の使い道について考えた。
そして人は結論を出す。うまく育ててやれば、傷の少ない上質な皮や鱗が剥げるだろうと。
だが、長く共にいれば自然と情が移るというもの。
それどころか人は、何時しか竜に対して家族愛とは別の種の愛情を抱き始めてしまった。
そして今に至る。
ついに人の思いは行動へと移されてしまった。眠ったまま、気付かないでくれと人は祈ったが、そううまくはいかず。
人が自己嫌悪に染まるのに、そう時間は掛からなかった。
罪悪感にも駆られながら、人は竜の腿に吐き出した精液を、柔らかな紙で拭おうとする。
しかし拭い切る前に竜はもそもそと起き上がり、ぺたりとベッドに伏せた。
人に向けられた、むっちりと肉付きの良い赤と黄の臀部。
ゆら、と尾が揺れ、体の側面に寄り添うように曲げられ、誘うように人に向けられる金の瞳。
人の眼前に晒される、竜の生殖孔。薄黄色の鱗に覆われた皮膚の割れ目から、桃色の肉が微かに覗く。
今は暖かな季節だ。赤、黄、桃、と色とりどりの竜は、今咲き誇っている花々を彷彿とさせる。
そんな季節だからだろうか。竜の生殖孔は湿りを帯び、月明かりに照らされ、てらてらと光る。
ゴクリ、人が唾を飲み込む音が静かな室内に不自然に響いた。
「きゅるるる」
竜が首をもたげて甘く喉を鳴らし、人をじっと見つめる。
熱視線に誘われるようにして、人の性器も首をもたげた。
毒を防げると言えども、やはり生では些か不安なものだ。
毒怪鳥の皮で作られたサックを己の性器に被せて、解毒薬を一瓶ぐっと飲み干す。
そんな人を不思議そうに見つめる竜は、焦れったいとでも言うかのように尾を左右に揺らし、
「ぎゃう」
不満を込めた一声を上げた。人が準備をしながら、竜の背後に構える。
「そう急かすなよ」
人が湿り具合を確認しようと竜の生殖孔に指を這わせる。それだけでそこはヒク付き、さらなる湿りを帯びた。
竜の腰を掴み、生殖孔の位置を確認しつつゆっくりと腰を進めていく。
先端が肉壁を押し退け、進む。にちゃ、と粘り気のある音が人の聴覚を擽った。
「ぐ、ゃう」
言い表わすには難しい低めの呻き声が、竜の喉から発せられる。
竜は、生まれた頃からずっと人の元で育ったのだ。
性交経験などなく、異物を入れることさえ初めてな竜は、じわじわと遅い来る痛みに耐えているのだろう。
それのなんと健気なことか。心なしか涙を滲ませながら、竜は呻きを洩らす。
全てが収まりきる頃には、竜はぐったり頭をベッドに埋(うず)めていた。
「大丈夫か? …なんて、わかんねーか」
何やってんだ俺。そんな呟きが人の口から漏れる。
熱…くはなく、生温い肉が人の性器をねっちりと咥え込む。
脈打つように胎内はヒク付き、時折背筋がぴくりと跳ね、熱を込めた瞳が細められる。
そしてその白い喉からは、
「きゃるる…」
切なげな声が漏れた。
肉と粘液の擦れ合う生々しい音が、静かな夜の空気に響き目立つ。
通常ならば、有り得ぬ筈の異種感での性交。愛し合うが故なのか、はたまた快楽を貪るためだけの行為なのか。
人から竜に対する好意がどれ程のものなのか。竜が人に交合いを許したのは、発情以外の理由もあるのか。
これ以上ないと言うくらいお互いの息は乱れ、ピストン運動のリズムに合わせるかのようにして、竜が息に嬌声と取れる声を混ぜ込む。
「あ、っく…!」
竜の胎内の蠢きに促されて、人は吐精した。
射精後の倦怠感に駆られ、人は竜の横に倒れこむ。どすっといい音がして、人に潰された空気がベッドシーツを揺らした。
「……、?」
人が竜の名を呼ぼうとして、まだ竜に名前を付けて居なかった事に気付く。
名を付けてしまえば情が移るというものだ。
そうなれば、いつか素材として殺めてしまう時に辛いだろうからと、人は竜に名を付けなかった。
竜――イーオスの赤い鱗で作られる武具を人は気に入っていたが、今となっては武具よりも、このイーオスの方が愛おしい。
綺麗なねーちゃんが好きであったはずの人が、一匹の赤い鳥竜に思いを寄せる。
傍から見れば滑稽かも知れないが、だからといって好意を掻き消す事など出来ないのだから仕方ない。
「…ぎう、ぎゃ」
虚ろな様子のまま竜が、寝言のように鳴いた。
それはどこか人の名前に似た響きで、人は思わず目を見張る。
「……お前の名前、早く呼んでやりたいな」
人の手のひらが竜の背を撫でると、竜はゆっくりとその瞳を閉じた。
2010年09月05日(日) 15:24:35 Modified by gubaguba