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23-239

スレ番号 タイトル カップリング 作者名 備考 レス
23沼地の中のレイプ 1男ハンター×ナナ=テスカトリ 239〜248

沼地の中のレイプ 1


夜の真っ暗な街の中で、昼夜関わらず常に明るい電灯の光を灯している酒場。
今宵もいつもと変わらずに、酒場は夜の闇を消し去る光源となっていた。
そしてそれに伴うようにハンター達は酒場の電灯に劣らないほど明るく、陽気に酒を飲み、雑談をして夜を過ごしていた。
その交流の場の中心にいたのは、ついこの間 両親の仇であったアカムトルムを見事討伐し、
一躍英雄となったハンター、アカルだった。
苦戦を強いられながらも感情に乗っ取られずに性格に、そして冷静に立ち向かっていき、ついに両親の仇を討ち取ることができたのだ。
それを他のハンター仲間は大いに祝福し、何日にもわたってパーティーと称し、用意された沢山の肉を豪快に食し、飲み明かしているのだ。
ハンター達は皆クエストを受注しに来たわけではないので、全員私服だ。
パーティーが続いている間、入ってきたクエストしてくれるハンターがいないから近いうちに依頼の入荷が滞るんじゃないかと
ヒヤヒヤするよと、店主は笑いながらハンターに愚痴をこぼして酒を用意する。
英雄は恥ずかしがりながらも、この祝福を快く受け取っていた。

「おい、アカル」

中年ぐらいの男の声が、沢山のハンターに囲まれながら酒を飲んでいたアカルの耳に届く。
そちらの方向を見ると、新米時代からアカルのことを気にかけていた、あの元ベテランハンターが酒場の入り口に手を掛けてそこにいた。

「あっ、おっさんやっと来たな! 前々からパーティーの招待状贈ってたのにどうして来てくれてなかったんだ?
 家に行っても誰も出ねぇしよ」
「お前がクエストに出発した直後に風邪拗らせてな、熱が高かったから入院してたんだ。その位誰かから聞いてるだろう?」
「お…憶えてねぇ……」
「ははっ、まぁやっとの事で両親の仇が討てたんだから、気持ちが舞い上がってて記憶力が低下してたんだろう。
 みんなーッ!今はもうハンターじゃないこの老いぼれも参加させてくれないか!?」

酒場に居合わせた全員が一斉にうなずいた。
元ベテランハンターは嬉しげにアカルの隣の席へと近づいていき、ドスンと音をたてて勢いよく座った。

「アカル…もう一人の英雄はどこだ?ここに向かう道中にも、酒場の出入り口にも姿が見えなかったのだが……」
「ん…?ナナのことか?」
「そうだ。ナナの助けも借りてアカムトルムを狩猟したのだろう?ナナもここに呼んで一緒に祝ってやるべきじゃないのか?」
「今までのパーティー全部ナナ呼んでたぜ?ナナを一人寂しく置き去りにするわけねぇだろ?」
「ならば何故、今日はいないんだ?」
「それがなんかナナの奴、一緒に酒場に向かってる途中、急に砂漠の方に飛んでっちまったんだよ。
 止めようと思ったけど間に合わなくてさ……」
「ナナなりに何かやりたい事でもあったんじゃないのか?炎妃龍を上回る奴はなかなか砂漠には出現しないし、
 心配はいらんだろう」
「…でもナナ、一応怪我してるんだぜ…?もし同じ古龍のクシャルダオラとかに出会ったら、いくら炎妃龍っていっても
 只じゃあ済まないかも―」


「―おっ、安心しな…ちゃあんと元気に帰って来たみたいだよ」

翼を上下に動かす大きな音と共に、蒼い体を白い包帯を巻いている炎妃龍・ナナ=テスカトリがコンクリートの地面に舞い降りた。
その姿を酒場の窓や入り口から見ていたハンター達はさらに興奮を高め、酒場の中は熱狂の渦に包まれる。
アカルと元ベテランハンターを含む全員が酒場から夜の街へ飛び出し、ナナの元へ駆けて行った。

「もう一人の英雄のお出ましだ!!」
「ほら、ナナちゃんにも酒を分けてやれィ!!!」

ハンター達の盛り上がりはまさに近所迷惑というもので、酒場の付近に住んでいる街の住民は皆 心の中で
やめろォ! と叫ぶ。
それでも止まることを知らないハンター達の盛り上がり。大した奴らだ…。

「あれ、ナナちゃん何 口に咥えてんだ?」

大勢の中の、一人のハンターが、ナナが己の体と同色の何かを咥えているのに気が付いた。
蒼く美しい色に混じって、所々赤く染まってもいるそれを……。

「うわぁっ!!これ、炎妃龍の甲殻だァ!!」

大きく声を張り上げて叫んだハンター。
アカルはその言葉に驚きナナを囲んでいるハンター達をかき分けて進み、急いでナナの顔の真正面に行き、
彼女が咥えているそれを確認した。
するとそれは、ハンターが言った通り確実に炎妃龍の甲殻だった。
それは分厚く、かなりの大きさがあり、ナナはそれを口に咥えていたのだった。
その甲殻の内側には真っ赤な血管が引っ付いており、なんとも言い難く、エグイの一言が非常によく合っていた。

「まさかナナちゃん………共食い…………」

一人のハンターが呟いた言葉に、その場にいた人間は沈黙に陥り、酒による激しい酔いも急激に醒めていった。
それは、アカルにしても同じであり、アカルもまた、言葉を失って呆然としていた。

「このバカ共が、ナナをよく見てみろ」

元ベテランハンターは割り込みながらそう言って、ナナの後ろ脚の付け根部分を指差した。
脚の一部が大きくえぐれ、血が大量に出た痕跡がそこにはあった。


「理由は分からんが、恐らくナナは自分で自分の脚の甲殻を引き剥がしたんだろう。ナナが今咥えているのはその
 脚の甲殻だ」
「え……そんなバカな……ナナ、何でそんな自分を痛めつけるようなことを……………ん?」

アカルがナナの顔に両掌を付けながら理由を問うと、ナナは“受け取って”と言いたげに口に咥えていた
己の甲殻をアカルへと差し出した。
アカルはそれをとりあえず受け取ってみたものの、意図が分からないため、なんと言っていいのか分からない。
次にナナは身を翻して方向転換し、アカルとは別方向にいた一人のハンターの胸部に顔を近付けて、
顔をそのままに眼を動かし、アカルを見つめ始めた。

「―――っ! ナナ……お前まさか……!!」

アカルの読みは、外れてはいなかった。

ナナに顔を近付けられたハンターが首に掛け、胸へと垂れ下げていたもの。
それはゲネポスの鱗で精巧に作られたネックレスだった。
ナナはこのハンターとは何回かの面識があり、モンスターの素材から作られたこの胸のネックレスを
見るたびにナナは、密かに思い続けていたのだ。


私のからだプレゼントしたら……アカル喜んでくれるかな…………。


「ナ……ナナ……これでアクセサリーを作って、俺に着けろと………?」

ナナはアカルの問いに、大きくうなずいた。
甲殻を剥がす時の痛みは尋常ではなく、それでもナナはアカルの事を想い激痛に耐えながらそのプレゼントを作り上げた。
ナナが一人で砂漠に行ったのはアカルにそのプレゼントを作るのを止められないためでもあり、
そしてまた 公然の場で愛しい人にプレゼントをするというのは、彼女なりのストーリー脚本でもあったのだ。

「う…うわあああぁぁぁ―――――――っ!! ナナ…ナナぁ!!!」

アカルは叫び、涙をぼろぼろと流して泣いた。ナナからせっかく受け取ったプレゼントを放り投げるかのようにしてしまい、
次の瞬間 目の前にいたナナの顔を両手を使って抱きしめた。
その光景を見ていた周りのハンター達は、ナナとアカルの二人に感動の拍手を贈った。
ハンターだけではない。自宅の窓からそれを見ていた一般住民も、気付かないうちに外へと足を運び、一緒に拍手をしていたのだ。

「よぉし!!これだけじゃパーティーは終われねぇ!!ハンター以外の奴らも呼んで来い!!
 酒も食いモンもみ〜んな俺達ハンターがおごってやるぜぇ!!!」
「今宵は最高の夜になりそうだぜ!!うおおお――――ッ!!!」

前にも増して大歓声が酒場の周辺を包む。ナナとアカルを祝う祝杯は、これからが本番なのだ……。

四時間のち...............

アカルはその後も続いたハンター達の祝杯を受け止めきれず 酒にすっかり酔いつぶれてしまい、
イスに座ったままテーブルに上半身を降ろしながら寝ていた。
ナナもパーティーに参加できるように酒場にあったすべてのイスとテーブルを外へと移動させ、
朝日がわずかながら見える酒場の外でアカルは眠っていたのだ。
もうすでにパーティーは終わっており、他のハンター達は既に帰っている。
あまりに気持ちよさそうにアカルが眠っているものだから、アカルを起こさずに毛布を一枚かぶせ、
ハンター達はそれぞれの自分の家へと帰宅していったのだ。

「ん…………あれ…? 俺寝ちまってたのか…………」

アカルは顔を上げ、その細い目をこすりながら眠りから醒めた。
次にアカルは自分の周りをキョロキョロと見渡して、自分のほかに 酒場の外壁に背をもたれて寝ている
元ベテランハンターと、自分の事を横でじっと見つめているナナの姿があることに気が付いた。

「ナナ…俺どのくらい寝てたんだ……みんなはどこに………?」
『ク〜ン……』
「お目覚めかい、英雄。今は午前四時三十八分だ。パーティーはとっくに終了………
 ナナちゃんはあんたが寝てる間 丁度いい具合に温度調整した炎鎧出し続けて、あんたが風邪引かないように
 ずっと傍を離れないでいたんだぜ。そんなもんで、包帯は全部 シナシナになって取れちまった」

その声はアカルのいる地面より上から伝わってきた。そこではパーティーに参加していた一人の男のハンターが
アパートの三階から顔をのぞかせていた。

「そうなのかナナ……?お前あんだけ他の奴らに酒 飲まされて、酔ってて眠くないはずないだろうに……」
『グルルル………』
「ナナちゃん、こっくりこっくり なりながらも必死にこらえて炎鎧出してたんだよ。とことん献身的だよ…ナナちゃんは」
「…それはそうとジョン、お前やけに俺とナナのことについて詳しいな」
「ずっとここから見てたからね」
「暇人か」
「暇人です」
『きゅウ………?』

ナナは首をかしげていた。

「ところで、あそこでビール瓶 片手に持って、だら〜しなく爆睡してるあのおっさんは?」
「あぁ、カイルさんか。ほら あの人すげ〜酒癖 悪いだろ?お前が寝ちまった後、誰か知んねぇけど
 酒飲ましちまってな。いきなり説教し始めたり、ゲロそこらに撒き散らしたり……………最終的に
 睡魔に襲われて 力尽きたんだよ」
「……俺と違って毛布すら被せられてねぇけど……」
「寝てる赤ん坊を起こす、なんてことやろうとする奴はいないだろ?もし起こしちまったら、また説教の嵐が
 飛び出すんじゃないかってみんな恐れてな、誰も近づかなかったのさ」
「かわいそうなおっさん……でもまぁ、みんな楽しんでたことだし、パーティーは大成功って事でいいのかな?」
「ああ、そうだn―」
「あ〜、うるさかった。頭にまで騒音がガンガン響いて、超近所迷惑ってかんじ〜?」

割り込んで会話に入った、その若い女の声に、アカルとアパートにいるハンターは 眉間にシワを寄せた。
ふたりとも、この声の主を知っており、その声の主を非常に忌み嫌っていたからだ。
ふたりの前に現れたのは、ついこの間 この街に引越してき、そしてアカルと同じギルドに所属した若年の、少女のハンターだ。
前に住んでいた街では万引き、遊び半分でのクエスト中の味方への攻撃等、
他にも数え切れないほどの問題行為を起こしてきた事で有名だ。もちろん、この街でも………。

「何の用だ てめぇ……」

アカルは低い唸り声を出しながら、建物の曲がり角からこちらを見ている少女を睨みつけた。
彼は何度もこの少女によって様々な被害をこうむっており、
アカルは常日頃その怒りを、心のダムへとどんどん蓄積させられていたのだ。
今にもあふれ出しそうなその怒りを、アカルは必死に抑えていた。

「おぉ、怖い。何の用って、別に具体的な用事はないんだけどぉ…へぇ〜“それ”がアカムトルムを倒したっていう
“片割れ”かぁ…噂でしか聞いたことないから見るの初めてだな〜」

少女はそう言いながら、コンクリートの地面に身を横にしていたナナに向かって歩いていた。
アカルは少女の、ナナを“それ”や“片割れ”などとバカにするような発言にひどく激昂したが、アカルはそれもダムにしまっていく。

自分はもう立派なひとりのハンターなんだ。感情をコントロールできないようでは立派なハンターなどとは言えない。

アカルはそう肝に銘じ、怒りを無理やりねじ伏せたのだ。しかし、もうダムは決壊寸前だった………。

「見れば見るほど上品そうな顔してるじゃないのぉ。えーゆー様のお妃さ…まッ!」

突然、ナナに近づいた少女が片足を上げ、ナナの目に向かってその足を蹴り上げた。
横になり、無防備だったナナはその蹴りを目に直撃し、悲鳴をあげて のたうちまわる。

『ギャアンっ!ギャアアンッ!!』
「なんだあ〜、炎妃龍ってもっと強いもんだって思ってたのに……目 蹴られただけでこのざまねぇ…げんめつ〜」

どんな生き物だって目を攻撃されたらひとたまりもない。
ナナは赤く充血した目から大量の涙を流し、苦痛にうめいている。

その様子を近距離から見ていたアカルは心の中のダムをとうとう爆発させ、怒りを露に少女に向かって駆け出した。

「おどれェ――――――ッ!!!」
「ばっ、よせ アカル!!」

アパートハンターはアカルに向かって制止の声を上げるが、アカルは軽くそれを振り切る。

「死にさらせ このくされ外道…―ガッ!!?」

少女に襲い掛かったはずのアカルだが、突如何かにつまずき、コンクリートの地面に思い切り鼻をぶつけた。
なんだ とアカルは鼻血を出しながら何かに拘束された足を見ると、そこにはまるでゾンビのようにうつ伏せなりながら、
自分の足を両腕でがっちりとつかんでいる、元ベテランハンターの姿が……。

「何しやがる おっさん!HA☆NA☆SE」
「ムニャ…作者はモン姦しか書けない男なんだぜぇ…?」
「寝ぼけてんじゃねェ――――――っ!!!」

アカルは元ベテランハンターの腕を振りほどこうとするが、いくら老いても彼は豪腕ハンターだった男だ。
眠っているとはいえ、足をつかんでいる力は凄まじく強く、アカルの力ではその腕をほどくことはできなかった。

「はなせ ちくしょ――――――ッ!!」
「ナイスだカイルさん!!クリス、てめぇは早く消えたほうがいい」

アパートの窓からハンターが少女に向かって、帰るように促す。
今のアカルの眼は、少女を殺そうとすることに燃えている眼であり、アパートハンターは、
もしアカルが少女を一回 殴り始めたら、アカルは少女の息が絶えるまで殴ることを止めないであろうことを悟っていた。
そうなれば、アカルはハンター免許剥奪どころではなくなり、殺人者として将来を過ごすことになってしまう。
アパートハンターはなんとしてもそれだけは食い止めたかったのだ。

だが、少女は自分を殺そうとしているアカルの様子を見ながらも動く様子を見せなかった。

「なんで〜?アタシ別に悪いことしてないよぉ?ただ丈夫で大人しいって聞いた“サンドバッグ”
 があったから、アタシは軽く蹴っただけ〜」
「―――ッ!!! このマン毛野郎が 地獄に堕ちやがれ―――――――ッ!!!!」
「ボケナスが!!何で火に油 注ぐようなことわざわざ言うんだ!!早く消えろって言ってんだよ!!」

二人分の罵声が少女に浴びせられる。アカルは未だ元ベテランハンターの拘束から逃れられていないが、
怒りに満ちたその眼には、巨大に燃え盛る業火が見えた。

「てめぇだけは許さねぇ!!その顔にうじ虫ぶっかけて ぐっちょぐちょ に潰してやる!!!」
「ウーン……ぷっちょ………グオオオオオオ……」
「いつまでも寝ぼけてんじゃねぇよ おっさん!!!離しやがれェ!!!!」
「カイルさんがアカル押さえてる間に早く逃げろってクリス!!さもねぇと俺がてめぇをぶっ殺すぞ!!!」

そう叫んだアパートハンターは、ごつく、銀色に光っているへヴィボウガンを取り出し、アパートの窓から少女に向かって構えた。
もちろんアパートハンターには少女を殺す気などさらさらない。アパートハンターはとにかく、一刻でも早く少女を
親友であるアカルから引き離し、この事態を収拾させたかったのだ。

「あ〜あ、わかったわかった。帰ればいいんでしょ 帰れば」

少女はため息をつき、アカル達に背を向けて、街の通りへと歩いていく。

「待ちやがれアバズレがァ!!ナナ、奴を―………」

アカルはナナに少女を追いかけさせようとしたが、まだ目の痛みに苦しみ 涙を流しているナナの姿が視界に入り、途中で言葉を切った。
そしてアカルが呆然とナナの姿を見ている間に、少女の姿は街の通りの中へと消えていった。

「ナナ……………痛むのか……?」

少女がいなくなり、ナナの苦しんでいる場面を見て、気味が悪いほど一瞬で冷静になったアカル。
殺意を向ける相手がいなくなり、ナナの目の傷を気にかける気持ちが、心の中から殺意を消し去ったのだろう。
鼻時を垂れ流しながら、アカルは心配そうに話しかけた。

『クウ…クウ……』

ナナは鼻を鳴らし、痛みをこらえながら元ベテランハンターに足をつかまれ、うつ伏せのまま動けないでいるアカルへと近づいていく。
そして次の瞬間 ナナは、鼻から流れ出ているアカルの鼻血を拭き取るかのように舌を顔に這わせ、舐め取った。
顔を舐められている間、アカルは一言も 言葉を発することはなかった。
…地面に付けている手を小刻みに震わせ、首を小さく左右に振るアカル。
泣きそうになり、アカルは歯を食いしばって必死にそれらの感情を抑え込み……彼は自分を、静かに嫌悪した。

「―アカルすまねぇ……あんたの未来守るためとはいえ、黙ってあのクソ女を逃がしちまったのは、謝るべきことだろうから……」

申し訳なさそうにそう言いながら、アパートハンターは自宅のアパートの階段を使って降りてきて、アカルの元へと向かってきた。

「ジョン……いいんだ。ありがとう」

アカルはアパートハンターとナナ、ふたりに対して感謝の言葉を述べた。

「それにしても…あの野郎、先輩である俺達をバカにするだけじゃなく、俺らのアイドル ナナちゃんまで傷付けるなんて……
 今度 街中で会ったら本当にぶっ殺してやりたいぜ」
「もういいんだよジョン。ナナも許してやる気みたいだし……それよりも早くナナの目を治療してやりたいんだ」
「そうか…それならまず……」
「そう…俺の足に引っ付いてる、この酔っ払いジジイを何とかしないとな………」

「グオオオ……性欲をもてあます………ムニャムニャ……」
「ふふ、そんな寝言いってられるのも今のうちさ………」
『クウン……』

不気味な笑いを浮かべるアカルとアパートハンターに、ナナは不安げな声を出す。
そんな中、アパートハンターはアカルの足につかまっている元ベテランハンターの耳元に口を近付けて、こうささやいた。

「うわぁ〜、ラオシャンロンが五頭攻めて来たぞ〜!しかもなぜか股間のナニ勃起させてる〜!
 あぁ…カイルさんがつかまったァ!」
「――――ウギャアアアアアアアァァァァぁぁあああ!!?」

元ベテランハンターは、でかい恐怖の叫び声をあげながら、その深い眠りから目を覚ました。
大きく荒い呼吸を繰り返し、何が起こったのか理解できていないようだった。

「やったぁ! 大☆勝☆利 」

アカルとアパートハンターはふたり合わせて歓喜の声をあげる。

「アカル、ジョン……お前ら一体……?あちち……頭痛ぇ……」
「説明は後だ。今は一刻でも早くナナを獣医に…………」
「ん?ちょっと待て。 ナナ、俺に見せてみろ」

元ベテランハンターは、身体をバネのようにして起き上がり、赤く充血した目を前足でこすっているナナに気付き、
そしてナナに向かって歩み寄って、目を凝らしてナナの目を見始めた。

『グウ…』
「おっさん、古龍の治療なんて できるのか?」
「治療はできんが、ハンターやってて幾多の傷を見ている内に、自然と傷の 重い軽いは わかるようになるもんなんだ。
 フム…結構ひどく目が傷付けられているが、心配には及ばないだろう。しばらく放っておけばその内 治る。古龍だから
 自然治癒能力も高いだろうからな」

元ベテランハンターの言葉にアカルは安堵のため息を吐き出した。
側で見ていたアパートハンターも、アカルほどではないが大きなため息を出し、肩を撫で下ろした。

「で、ナナに何があったんだ?」
「あっ、おっさん寝てたから知らないんだっけ―………」

「…―そうか、クリスが…………」
「あいつだけは許せん。今すぐヤツの家に行って、大タル爆弾で家ごと吹っ飛ばしてやりたいが、
 ナナはそんなこと望んでないみたいだから……」
「でもよ、アカル………やられっぱなしなんて、ナナちゃんが不憫すぎるぜ……」
「さっきから言ってるだろジョン。俺はヤツを許すことは決してないが、ナナがそう望んでないのならば
 俺は復讐なんてことはしないよ」
「そして俺に、ラオシャンロンに強姦される夢を見せたと……」
「は、話したろ!俺の足をあんたが がっちりつかんでるもんだから、仕方なく……」
「もっと別な方法があったんじゃないか〜?ラオシャンロン、ホントに怖かったんだぞ〜?」

アカルは元ベテランハンターが発している、そのオーラにたじろぐ。
隣にいるアパートハンター・ジョン、そして古龍であるナナでさえもその気迫に圧倒された。
そのオーラは、激しい内心の怒りによって練成された、まるで雷のようなものだった。
これから答えるアカルの返答によって、その雷が落ちるか否か がわかれるであろう。

「べ、別にいいじゃん…おっさん童貞なんだから、良い夢見れたろ?」





落雷………………!





「痛って〜、おっさんの野郎…思い切り頭にげんこつしやがって……」
「いや、誰だってあんなこと言われたら怒るだろ……」

アカルとジョン そしてナナは、時間と共に段々と活気が出てきた街の大通りを、横に並びながら歩いていた。
さきほどまでわずかにしか見えなかった日の光が、空を照らし尽くし青い空を創造していた。

「そう言うお前は共犯者なのに、なんで殴られないんだよ!ひでえ差別だぜ まったくっ」
「どちらかと言うと区別だろ。カイルさんはお前に深く親しみを感じてるから、そんな事するんだぜ?」
「ホントにまったく!!アカムトルム狩ったばかりでまだ疲労溜まってるってのに、
 ナナと二人だけでクエスト行って来いなんて言いやがって……」
『グゥウウ………』
「……まぁ、お前と一緒に仕事できるのは嬉しいけどよ、ナナ………」

アカルは、隣に低く顔を近付けたナナの額に ポンポン と二回軽く手を触れる。
ナナは瞳を閉じ、嬉しそうにその体を揺らした。

「…ところでアカルよ、パーティーのときナナちゃんから受け取った甲殻どうしたんだっけ?」
「お前憶えてないのか?すぐ近くの加工業者に渡したろ」
「そういえばそうだっけ………で、何にすることにしたんだ?」

ジョンは好奇心をむき出しに、アカルに訊いてくる。
アカルは、できれば誰にも話したくはなかったのだが、親友の問いに答えないのはあまりよくない事だと判断し、話し始めた。

「ネックレスだよ。ネックレスだったら、あまり仕事の邪魔にはならないだろうし、心臓の辺りにナナがいるって
 思ったら、なんか勇気がわいてきそうな気がしてな…」
「おぉ、シャレてんじゃん」
「注文されたものはソッコーで作るのがあの加工屋の売りだからな、明日の朝には届けるって言ってだぜ」
「楽しみで、今夜は眠れそうにないか?」
「ああ…………………親父達の仇を討てたのも、こんなすばらしい毎日を送れるのも、みんなナナのお陰だ。
 ありがとな、ナナ。ネックレス届いたら、俺 一生大切にするからな」

アカルは、自分の装備を取りに行く自宅への歩みを止め、人目をはばからず ナナを強く抱きしめた。
ナナの喜びの感情は、今 最高潮に達している。
愛してやまないアカルが、自分がつくったプレゼントを受け取ってくれただけでなく、
それを一生大切にすると言ってくれたのだから。
一生大切にするというアカルの言葉は、プレゼントだけに対することではないことを、ナナは知っていたのだ。



「ふふ…………いいこと聞いちゃった〜♪」

.........そして、柱の陰に隠れ、その様子を不気味な笑いを浮かべて見据えている、あの少女の姿が………………
2010年11月20日(土) 18:27:49 Modified by lilima




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