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cloud 9 〜旅人〜 1

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
cloud 9 〜旅人〜 1  否エロ557〜559

cloud 9 〜旅人〜 1


 そこは暗い洞窟だった。
どこに何があるのかも判らず、灯りは小さいランタンと微かにきらめく氷の結晶のみ。
それが辛うじて闇を押しのける、正に漆黒。
 灯りに寄り添うようにして一組の男女がいた。
いや、正確には少年少女といったほうが正しいかもしれない。
お互いまだ十にも達していないように見える少年も、少女も、裸だった。
  産まれたままの姿で、お互いの顔から目を離さず見つめあっていた。
やがて少年のほうがゆっくりと、視線を下に逸らしささやかな少女の胸元に目を落とす。
そして、これまたゆっくりと少女の胸に手を当て撫でる。
緊張か、興奮か、おそらく両方であろう息遣いが洞窟の闇に消えていく。
 少女のほうは自らを少年に差し出すかのように背筋を張る。
緊張で顔を微かに強張らせながら少年に身を委ねる。瞳は微かに濡れていた。
 少年は己が知りゆる最大限の愛撫を、その少女に与えてゆく。
まだ乳房とも呼べぬような膨らみをそっと撫で、微かな「女性」を、震える手でゆっくりと、だがしっかりと、愛してゆく。
 少年の愛撫とも呼べぬような手つきに少女の中で何かが起きているのだろう。
眼は微かに開き、瞳孔が縦に開いた眼が僅かに確認できる。
少女も、微かに漏れ出る息遣いは同じくらい小さく艶を帯びはじめていた。
脇の下に少年の手が差し込まれる。少女がぴくりと震える。
まだ少女の方が身長が高いのだろう、少年は少女を見上げ、その薄く、微かに震える唇に自分の唇を重ねる。
少年は竜を優しく抱きしめる。
竜は少年を優しく抱きしめる。
少年から、骨が軋む音がする。
灯りに寄り添うようにして一組のつがいがいた。

大空を飛び回り、大地を駆け、食物連鎖の頂点に立つはずの存在「飛竜」を狩るハンター達。
ある者は富を、またある者は名声を、平和を。様々なもののために彼らは飛竜に挑む。
今や月刊誌までできるほどの巨大ビジネスはまた、多くの希望を孕む
雪山のふもとで商隊の馬車の荷物を整理するジョージ・アダーニャもその1人だ。
幻獣と呼ばれる古龍種、キリンの素材を存分に使ったファー付きの白いロングコート。
鮮やかな蒼色の、至る所に派手な装飾の施されたジャケット。
足の細さを強調するようなデザインのズボン。
それと組み合わせるようにこれまた派手な装飾のブーツ。
服の持つ実用性を全て棄て、自分を飾ることのみに特化した中身の無い服装。
それに合せるように金色の髪をレウスレイヤーという髪型にセットしている。
有名貴族の御曹司。それが今のジョージの第一印象であろう。
そう思った人の考えはは当たらずとも遠からず。といったところか。
まず彼は有名な所の出ではあるが貴族ではない。
部下に指示を与えながら自らも馬車の荷物を整理する姿からも解るように彼は商人だ。
ミナガルデ、ココット村その他諸々。
ハンターなら一度は聞いたことのある街や村の商業発展に尽力してきた行商人最大手「アダーニャ商会」の将来を担う青年だ。
今はハンター達の新たな拠点となる村「ポッケ村」の商業マネージメントのためにこの雪山に来ていた。
この装飾過剰な衣裳も、自分の財力を示す象徴としてジョージ自身がミナガルデの有名デザイナーに作らせたものだ。
「「いよっこらせっ」」
やけにジジ臭い掛け声とともに部下と数人で運んでいた建材を馬車に積み込む。
「これで全部ですか?」
キャラバンの頂点に立つものとしては腰の低すぎる態度で部下に残りの仕事を聞く。
「坊ちゃん!!」
野太い声が隣の馬車から聞こえる。ジョージはまたか、とばかりにため息を漏らし、声のしたほうを見やる。
慌てたように駆け寄る筋肉ダルマがいた
「どうしました? ヴラド」
この巨漢――ヴラドはジョージが母親の腹の中にいる前からアダーニャ商会で働いている人間だ。
田舎の遠い所の産まれらしく、訛りでジョージがゲオルクとしか発音できないらしい。
「お坊ちゃん、あんな重いもの運んではお身体に差し支えます!!
お怪我はありませんか? 指が痛みませんか? お坊ちゃんに何か……」
ジョージは再びため息を吐く。
こいつの性格はいつになったら治るのだろうと考えながら。
悪気や嫌味は全く無く、ただ産まれた頃から知ってる間柄なだけに更にたちが悪い。
「大丈夫ですよヴラド、怪我もないし指も痛みません。
自分の身体は自分が一番良く知っているのです」
「しかしですね坊ちゃん…坊ちゃんにとってこの山はとても辛いものでしょう、何せ……」
「それを言われると……辛いですねぇ」
ジョージは頭を掻きながら、どこか憂いをこめた声で言う
「でもその件は大丈夫です、何せ今回はハンターを雇っているのですから」
「あ、そうそう、その依頼していたハンター達が着ましたよ」
「そうですか、すぐ向かいます」

ジョージが雇ったハンターは全部で4人。
いずれも、若いとはいえそれなりにハンターを見てきたジョージでも「只者ではない」と感じ取れる精鋭たちだ。
「やぁれやれ、こんなに強そうな兄ちゃん呼んじまって。
こんな雪山で戦争でも始める気かいねぇ?」
ヴラドの後ろから付いてきた老婆――ポッケ村の村長はあきれたような口ぶりだ。
「戦争なんてとんでもない、あくまで護衛ですよ。
『四足』のためです」

四足

最近この雪山に姿を現し始めた謎の飛竜。
地を這いずり回るオレンジ色の重戦車。
今まで姿すら確認されていなかったどころか、あまりにも奇抜な体系から存在すら否定されている正体不明の怪物。


「あたしゃ今まで何年もこのあたりに住んではいるけど、そんなのあんたの話以外聞いたこともなかったんだけどねぇ」
「この雪山にはポポを食べにきているだけみたいですからそれ程長くはいないようです」
村長のつぶやきに答えるようにしてジョージが観測所から仕入れた知識を披露する。
「でも、『人を襲う』みたいだねぇ」
村長の言葉に幾分か緊張が混ざる。
ジョージの右手の指の付け根が、幾分か白くなっていた。
「まぁ、なんにしてもここを超えなきゃ村には着けなんだ。
後のことは若いもんにまかせるよ」
村長はひらひらと手を振り、給仕ネコ達の輪の中へ入っていく。
「明日の朝一番に出発しますから、何か用事かあれば言ってください」
あいよ、という声が飯盒のかかった焚き火のそばから聞こえてきた。


2へ
2010年07月18日(日) 20:22:22 Modified by sayuri2219




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