日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




DF-16は2011年に台湾の国家安全保障局の蔡得勝局長がその存在を認めた中国の新型戦術弾道ミサイル[1][2]。その外観は、2012年になって中国のインターネット上で紹介されることになった[1]。

【性能】
DF-16は、既存のDF-11DF-15短距離弾道ミサイル(short-range ballistic missile:SRBM)の後継になると見られているが、その射程は300kmから500km延伸された800〜1,000km以上になる推測されており、SRBMというよりも準中距離弾道ミサイル(medium-range ballistic missile:MRBM)に区分され得る射程を備えている[1]。

DF-16は、台湾軍が装備するPAC-2/PAC-3や天弓III型など弾道弾迎撃能力を有する地対空ミサイルに対抗して終末段階で軌道の変更を行うことで迎撃を困難にする機能が付与されていると推測されている[1][2]。

DF-16は、固体燃料推進の二段式ロケットであり、二段目の直径は一段目より小さいものになっている。ペイロードの増大や射程延伸のためロケットのサイズは、従来の短距離弾道ミサイルであるDF-11やDF-15よりも大型化している。サイズの大型化は、将来の性能向上を可能とする設計余地を与えることにもなる[1]。

弾頭はMIRV(Multiple Independently Targeted Re-entry Vehicles)化されていると推測される[4]。DF-11/15と同じく、核弾頭、高性能榴弾、クラスター弾頭、ピンポイント攻撃を可能とする精密誘導弾頭、強固に防御された地下バンカー攻撃用の地中貫通型など各種タイプの弾頭が用意されると推測される[1]。DF-16の命中精度は不明だが、誘導システムは慣性航法システムと全地球測位システム(GPS)の併用との情報がある[2]。

DF-16は、TEL(Transporter Erector Launcher vehicle:起立発射機輸送車)と呼ばれる自走式発射機から発射される。DF-16を搭載するTELはミサイルの大型化に伴い、DF-15の8×8式よりもサイズの大きい10×10式に変更されている[1]。このTELは近年実用化されたもので、DF-16以外にもDF-21C/D用のTELとしても運用されている[1]。DF-21C/Dの場合は、ロケットランチャーは発射筒を兼ねており、ランチャー自体を垂直に立ち上げてミサイルを打ち出すが、DF-16はこの構造は採用していない。DF-16のTELの荷台には円筒形のミサイル格納筒が装備されており、ロケットは輸送時ここに収納される。発射時には、格納筒の天井を開けてロケットを起立・発射させる[1]。

【今後の展開】
DF-16は、2009年から2011年にかけて発射試験が実施されており、2013〜14年には運用段階に入るものと推測されている[4]。

射程800〜1000km台のDF-16は、既存のDF-11/15 SRBM(射程300〜600km台)とDF-21 MRBM(射程1,700〜2000km以上)のギャップを埋めることが目されていると見られている[3]。

【参考資料】
[1]AVIATION WEEK-Ares A Defense Technology Blog「China's DF-16 Medium-range Ballistic Missile」(Sean Meade/2012年9月14日)
[2]自由電子報「官媒釋訊息:中國東風16導彈正式服役」(羅添斌/2011年8月21日)
[3]TAIPEI TIMES電子版「Online photos point to PRC deployment of DF-16 missiles」(J. Michael Cole/2012年4月12日)
[4]Missile Threat「DF-16」

中国第二砲兵

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