「右」の諸君、米国が、戦前、日本、ひいては東アジアに対して犯した犯罪と戦後日本がその占領下にあることに憤れ。「左」の諸君、米帝国主義への憤りを忘れたのか、その米帝の植民地となっている現状に甘んじ続けるのか。日本独立に向けて決起を!〜作成中

安全保障記事のつづき


#5526(2012.6.9)

 1934年のベーブ・ルース等の一行の来日には、日本の戦略要地を撮影するというスパイ目的もあったんだとさ。↓
 ・・・the 1934 tour・・・<including> Babe Ruth・・・ was organized as a way to bring the two baseball-loving countries closer together during a particularly rough period.・・・
 <野球はヘタなのに、プリンストン大卒、コロンビア大ロースクール卒の12か国語を操る選手が含まれていた。彼は、後にOSS(CIAの前身)のスパイになっている。↓>
 ・・・one player stood out from the others on the U.S. roster. He was Moe Berg, a journeyman catcher from the Cleveland Indians. Born in Harlem, Berg was a graduate of Princeton University and Columbia University Law School.
 He was an odd pick for the team, Fitts writes, because he was not really all-star material. One teammate quipped that Berg could speak a dozen languages but could not hit in any of them. His inclusion seems even more suspicious in retrospect, considering his later role as a spy in the Office of Strategic Services, the World War II forerunner of the CIA. It’s also interesting to note that Berg took along his 16-mm Bell and Howell movie camera and made short films of important Japanese installations. “Many now believe that this trip was his first mission as a spy,” Fitts writes. Berg may not have been the only spy, either. According to Fitts, many of the players were shadowed on the streets of Tokyo while their bags were searched back in their hotel rooms.・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/banzai-babe...



#5528(2012.6.10)

 小笠原諸島の歴史が簡明にまとめられている。日本「帝国」が行った最初の領土拡張の対象が小笠原諸島だったんだと。↓
 ・・・the <Bonin> island was left largely to rule itself until 1875, when Japanese settlers and officials took over in what the historian Daniel Long calls the first act of territorial expansion by a budding Japanese empire.
 <英語をしゃべる欧米系の土着民が住む島がアジアの国によって獲得された、世界史上、唯一のケースだとさ。↓>
 “Chichi Jima was probably the only case where the island was claimed by an Asian power and the natives were English-speaking Westerners,”・・・
 <「土着民」達の下での小笠原諸島は、殺人と一夫多妻制という無法地帯だったって。↓>
 ・・・the island was untouched when sailors’ tales of an “uninhabited paradise” drew the 35-year-old Mr. Savory and about 20 settlers. They eked out a living selling provisions to passing Yankee whalers and British warships.
 <海賊にも何度も襲われ、カネや女達がかっさらわれた。だから、日本政府が支配を及ぼした時、「土着民」はこれを受け容れた、というわけ。↓>
 Many visiting captains remarked on the lawlessness of the island, recording tales of murder and polygamy. It also proved vulnerable to pirates, who in 1849 made off with Mr. Savory’s gold ― and his wife. Witnesses later told a passing captain that the abduction was a tall tale: they said the woman, who was much younger than Mr. Savory, eagerly joined the marauders, leading them to his hidden wealth.
 Islanders say that such raids may have led the settlers to peacefully accept the Japanese as rulers, who treated them with benign neglect. ・・・
 <戦後、米国は欧米系だけの復島を許し、ここを核貯蔵庫付きの潜水艦基地として用いたんだねえ。↓>
 After the war, the United States Navy used the island for a submarine base. The Navy allowed the Western-descended settlers to return in 1946, but Japanese former residents were barred from coming back -- possibly because of the nuclear warheads that historians say were stored on the island.
 <1968年に日本に返還され、欧米系の人々は米国籍をとる選択肢を与えられ、多くは米国に移住したとさ。↓>
 When the island was returned to Japan in 1968, the Westerners were given a choice of becoming either Japanese or American citizens. Many left for the United States. ・・・
http://www.nytimes.com/2012/06/10/world/asia/fewer...



#5532(2012.6.12)

 インターネットにつながっていないイントラネットも攻撃できる時代なのね。↓
 ・・・たとえ相手がインターネットから切断していても、無線信号を通じて敵のネットワークにウイルスを注入し、麻痺させることができる・・・
 米空軍も戦闘機のAESA<(=Active Electronically Scanned Array=アクティヴ・フェイズド・アレイレーダー)>を通じて特殊なデータを敵の防空システムに注入し、防空システム全体を麻痺させ、さらには乗っ取る技術を研究している。この技術が完成すれば、F-22、F-35、EA-18G、F/A-18E/Fなどの戦闘機に搭載できるという。
http://j.people.com.cn/94474/7842671.html



#5546(2012.6.19)

 ニール・ファーガソンが、これまで米国にただ乗りしてきた中共に対し、中東での軍事的貢献を呼び掛けている。↓
 ・・・Since the early 1970s, the Middle East has absorbed a disproportionate share of American resources. Particularly since 9/11, it has consumed the time of presidents like no other region of the world. Yet it is far from clear that this state of affairs should continue, for three good reasons.
 <北米の中東の石油への依存度は低下する一方。↓>
 First, advances in fracking technology and discoveries of bountiful natural gas reserves mean that North America’s dependence on Middle Eastern oil will diminish rapidly in the next two decades. ・・・
 <米国の軍事費は削減されて行く。↓>
 Second, a new military intervention makes very little sense at a time when the U.S. defense budget is being slashed. ・・・
 <このところの米国による中東への軍事介入は、善意に基づくものだったが、むしろ中東の人々の米国イメージは悪化している。↓>
 Finally, what is the point of humanitarian intervention in a region where no good deed goes unpunished? ・・・
 So if not us, then who? Or perhaps that should be: if not us, then Hu? That, after all, is the name of the current Chinese president.
 In terms of geopolitics, China today is the world’s supreme free rider.・・・
http://www.thedailybeast.com/newsweek/2012/06/17/n...



#5550(2012.6.21)


 野田首相、好き好き!↓
 日米韓が初の本格軍事訓練 朝鮮半島南、米空母も参加・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20120621010007...



#5552(2012.6.22)

<太田>(Mixi太田コミュより)

 <昨夜、>海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」のいじめ訴訟控訴審で3等海佐が提出した陳述書(いじめられた隊員が2004年に自殺した後に実施されたアンケート調査結果が組織的に隠ぺいされているとの内容)に関し、電話取材を受けた。

<太田>

 本日、関連記事がいくつか出ていたので、まず、ご披露しておきます。
 海上自衛隊横須賀基地所属の護衛艦「たちかぜ」に勤務していた1等海士=当時(21)=が平成16年10月に自殺したのは「先輩隊員のいじめが原因」として、遺族が国と先輩の元2等海曹(40)・・・に計約1億3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、横浜地裁であった。水野邦夫裁判長は、国と元2曹に、計約440万円の支払いを命じた。
 判決は、1等海士が自殺したのは元2曹の暴行などの日常的ないじめが原因と判断。いじめを認識していた上司らが適切な指導や処分を行わなかったとして、国の安全配慮義務違反があったことも認めた。・・・[しかし、遺族は自殺はいじめが原因ではないとされたとして東京高裁に控訴し、現在に至っている。]
 元2曹は、別の後輩隊員への暴行と恐喝の罪で17年1月に有罪判決を受け、確定し・・・懲戒免職<されている>・・・。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110126/trl11...
([]内は、記者提供資料による。)
 ・・・裁判が長期化したのは、被告の国側が「国家機密に触れる」との理由で情報の公開を一貫して拒否してきたからだという。・・・
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110126/trl11...
 ・・・自殺直後に乗組員全員に艦内での暴行や恐喝の有無やその内容を尋ねた「艦内生活実態アンケート」<について、>遺族側はいじめの実態が書かれているとみて開示を求めたが、海自は「破棄した」と回答してきた。
 1審で国側の指定代理人を務めた3等海佐(45)・・[遺族が横浜地裁に提訴して06年4月当時、海上幕僚幹部法務室<に在籍。>・・提訴直後に情報公開部門の担当者から「(公開を求められた)乗員へのアンケートは存在するが、破棄したことになっている」と聞かされ<てい>た]・・が「国はアンケート結果などを隠している」との陳述書を東京高裁に提出したことを受け同総監部内を調べたところ、監察官室のキャビネット内の個人ファイルに保管されていたのが20日見つかったという。
 ファイルは07年まで監察官付准尉として働き昨年定年退職した自衛官が作成し保管<していた>。・・・
http://mainichi.jp/select/news/20120622k0000m04009...
([]内は、記者提供資料による。)
 ・・・杉本<海自>幕僚長は19日の定例会見で「アンケートは用済み後廃棄という位置づけで実施しており、調査報告書を出した後にすみやかに廃棄された」と話していた。
http://www.asahi.com/national/update/0622/TKY20120...

 取材を受けた昨夜時点では、上記の全体像をつかんでいたわけではありませんが、次のようなことをしゃべりました。
 記者の理解水準を超えていたようですが・・。

 本件もまた、自衛隊が名実ともに軍隊ではないことの矛盾が顕在化したもの。
 この関連で理解しておかなければならないことが4点ある。

一、こういう服務規律に係る事案は、通常の軍隊であれば、(軍隊が起こした事故の場合等と同様、)軍法会議にかけられ、一般の(民事)裁判にかけられることはない。
二、このこととも関連し、各自衛隊の法務部門は極めて弱体であり、日陰の存在。
三、通常の軍隊であれば、情報公開制度が、そのままの形で適用されることはありえない。
四、内局と各幕(各自衛隊)とは構造的に対立させられる制度になっている。

 私が言いたかったことはこういうこと↓です。

 情報を隠蔽したりウソをついたりすることがいけないのは当然だが、自衛隊の練度(士気を含む)や運用や装備に関わる情報について、全球的スタンダードが那辺にあるかを承知しているところの各幕が、情報公開を避けようとする気持ちは分かる。
 事柄の性格上、その辻褄合わせに法務部門が駆り出されることになりがち。
 このような問題が起きると、内局は、各幕が無能でありいかがわしい、という印象を与えるように立ち振る舞う。



#5554(2012.6.23)

<TA>
 
≫海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」のいじめ訴訟控訴審で3等海佐が提出した陳述書(いじめられた隊員が2004年に自殺した後に実施さ れたアンケート調査結果が組織的に隠ぺいされているとの内容)に関し、電話取材を受けた。・・・本件もまた、自衛隊が名実ともに軍隊ではないことの矛盾が顕在化したもの。≪(コラム#5552。太田)

 自衛隊が軍隊であり、軍法会議が開かれていた場合、隠ぺいは行われなかったのでしょうか。
 記者が聞きたかったのはおそらく、いじめそのものやその後の隠ぺいについての原因究明や再発防止、つまり、遺族側に立っての視点からのことで、太田さんの視点とは根本的に異なるのではないかと推測します。「記者の理解水準を超えていた」(コラム#5552)というのはおそらくその通りなのでしょうが、そもそもの視点の違いから話が噛み合わなかったのではないでしょうか。

<太田>

 あなたがやられたような問い返しがなされなかったことをもって、記者の「理解水準を超えていた」と推察したわけです。

>いじめそのものやその後の隠ぺいについての原因究明や再発防止、つまり、遺族側に立っての視点

 いじめについてはどんな組織でもあるわけで、完全な再発防止などできないと思いますが、軍法会議があったなら、開示情報と非開示情報を最初からきちんと仕分けた上で迅速に判決が下されていたはずです。
 そのような体制下では、隠ぺい問題はそもそも生じませんし、迅速に結論が下されることによって、組織側も遺族側も裨益したはずです。
 他方、現状のままでは、いじめへの取り組みが迅速になされないだけでなく、隠蔽も繰り返されることでしょう。
 (帝国陸軍での私的制裁が、(軍法会議が存在していたにもかかわらず、)横行した原因については、別途論じたことがあるので、ここでは繰り返しません。)



#5564(2012.6.28)

 遅きに失したが、良かった良かった。↓
 ・・・韓国政府が26日開いた国務会議(閣議)で、日本との「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」締結を決めた・・・
 日韓が防衛協力に関する協定を結ぶのは初めてとなる。
 協定は、自衛隊と韓国軍が北朝鮮の核・ミサイルなど軍事情報を交換するため、秘密保全などを取り決めたもの。締結により、両国で北朝鮮のミサイルや潜水艦などの情報を共有できる。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120627-OYT1T...
 ・・・韓国は米国やロシア、ポーランドなど12カ国と政府間の軍事情報保護協定を、ドイツやイスラエル、パキスタンなど12カ国とは国防部間の軍事情報保護了解覚書(MOU)をそれぞれ締結している。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5566(2012.6.29)

 羨望の念をもって、朝鮮日報が日本の核能力小特集を組んでいる。↓
 日本が核武装するかどうかは国内外の状況に基づく「政治的決断」の問題であり、核兵器の製造に技術的な壁はない、というのが専門家たちの見解だ。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 国際社会で日本が「潜在的核保有国」に分類されるのは、核保有国以外で唯一、核兵器に転用可能なプルトニウムを抽出、保管しているからだ。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 日本政府が、福島第一原子力発電所の事故を機に中断していたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX燃料)加工工場の追加工事を26日に認可した。日本国内では原発事故を機に原発廃止論が拡大しているが、日本政府は世論とは反対に、核兵器に転用可能なプルトニウムの関連施設を廃止しないという意志を示したものと解釈されている。
 日本政府はこれに先立ち22日、原子力基本法に「国家安全保障」という条項を追加した。この変更をめぐり、国内外では「日本は長期的に核武装へと進む道を開いたのではないか」という疑惑や非難が噴出した。・・・
 毎日新聞は、原子力基本法への安全保障条項の新設をめぐり「原発が廃止されれば六ケ所村の再処理施設が存在する根拠がなくなるが、原子力基本法の改正により、原発の存廃に関係なく、軍事用の核物質を生産できる六ケ所村の再処理施設を存続させる根拠が整った」と分析した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 ・・・原子力業界は「『もんじゅ』や六ケ所村の再処理工場を廃止する場合、放射性物質の処理費用だけで19兆円が掛かる」として、施設の維持を既成事実化している。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 ハワイ沖で定期的に実施されるリムパック共同演習の多国籍与国部隊の副司令官を海上自衛隊の海将補が初めて務めることになった。↓
 ・・・The RIMPAC 2012 war games are the largest naval training exercise in years, with ships, planes and troops from 22 countries, including Japan. The forces will conduct anti-submarine, missile-defense, live-fire, counter-piracy and other drills over vast stretches of the Pacific through early August.
 For the first time, non-US officers will command major components of the fleet. A Japanese rear admiral, Fumiyuki Kitagawa, has been named vice commander of the Combined Task Force. That makes him second in command of a force that includes 48 ships and submarines, more than 200 warplanes and 25,000 troops.・・・
 <集団的自衛権行使の禁止との関係で、従来からの呪文が唱えられることになっているが、実質的にはこりゃ集団的自衛権行使にあたる。↓>
 Nonetheless, Pacific Command was quick to issue a clarification this week that despite Kitagawa’s appointment as second in command, Japanese forces would not directly command, or be commanded by, any other forces during the exercise.・・・
 <海上自衛隊は対潜・対機雷作戦能力において世界一だとよ。これには留保が必要であることは、太田コラムを読んできた人には分かるよね。↓>
 The Japanese have focused on anti-submarine and anti-mine operations since the Cold War, and by now no one is better at it. This leaves the Americans free to concentrate on carrier and amphibious operations.・・・
 <海上自衛隊の平均的幹部は、日本の平均的大学教授や国会議員に比べて、はるかに国際感覚が豊かだ、とも褒められてるぞ。ま、いかに両センセがひどいかってことだろうが・・。↓>
 “The average JMSDF staff officer has a much more cosmopolitan, internationalized view than, say, the average university professor or even member of the Diet.・・・
http://battleland.blogs.time.com/2012/06/28/japan-...

 消費税についてはもとよりだが、とりわけ安全保障分野での、(何度も言うように、受け身ではあるが、)野田政権の業績↑には恐るべきものがある。
 諸君よ、日本が属国から脱する時は意外に近づいているのかもねえ。



#5568(2012.6.30)

 韓国政府が、「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」への調印を延期した。
 残念なことだ。
 それにしても、英米の主要メディアが大きなニュースとして取り上げている
http://www.washingtonpost.com/world/at-last-minute...
(一例)
のに、日本の主要メディアの扱いは小さすぎるな。



#5581(2012.7.6)

<太田>(ツイッターより)

 フロリダの海水浴場で、監視員が監視員のいない海岸で溺れている人の所に行って助けたところ、勝手に持ち場を離れたとしてクビになったとさ。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-18715684

<宮里>

 6月30日のオフ会に参加できず残念でした。
 ところで、前にお伝えしたとおり、当日は沖縄に帰っておりましたが、ちょうどそのとき森本防衛相も沖縄入りし、仲井真知事に普天間基地へのオスプレイ配備に理解を求め、否定的返答を得ていました。
 地元紙(琉球新報、沖縄タイムス)は、盛大にオスプレイの危険性と、この配備を「強行」しようとしている日米両政府を糾弾していました。
 しかし、もとより普通の地元の人々は、冷静でこれを取り立てて話題にする感じはありませんでした。が、それでも自分が身近のひとにこの配備について聞いてみると、「欠陥機」と喧伝されるオスプレイが配備されることには、やはり、不安や反対の声を聞きました。これは政治的思惑や利権がらみの駆け引きとはまったく関係ない、素直な気持ちだと思います。

 地元の防衛問題に関心の深い友人に訊ねたところ、「最新技術を取り入れた、まだ技術的に成熟していないオスプレイが事故を起こしやすいのは、当然といえば当然。ジェット機でも最初は何度も事故を起し、そのつど問題点を検討し改良して、安全性を高めていった。
 そういう意味で、回転翼と固定翼を併用した画期的という大型輸送機のオスプレイが(大小を問わず)事故を起こしやすいのも当然では」と、言われました。
 そのうえで、「米軍(海兵隊)が、これを承知で普天間基地に配備しようとしているのは、軍事の観点からは、そうおかしなことではないと思うが、今回、やや「強行」に進めようと見られるのは、冷静終結後にその存在価値すら問われている海兵隊に、最先端装備を早く保持したいという組織防衛の論理が働いているからではないか。
 そしてこれに配慮するつもりで進めていた住宅地に近接する普天間基地から、海に面して近くが過疎地である辺野古への基地移設を反故にされたことに、もう我慢できないということではないか」と、言われました。

 そこで太田さんにお教えいただきたいのは次の2点です。
一、オスプレイは現時点で、本質的な技術上の問題を抱えているのか。
二、オスプレイの配備は単なる新旧機種の入れ替えというだけか、それともこれと別の目的なり、思惑があって、普天間基地に配備しようとしているのか。

 ご教示を賜れば有り難く存じます。
 また、このほかにオスプレイ配備に関連して気付いたことがあればお教え頂ければ幸いです。
                        
<太田>

一について:

 米国政府が、同機を、2007年6月に米海兵隊で就役させ、10月に戦闘配備した(米空軍でもその前後に就役させ、戦闘配備した)
http://en.wikipedia.org/wiki/V-22_Osprey
のは、「本質的な技術上の問題を抱えていない」と判断した、ということでしょう。
 それどころか、同年2月に、海兵隊司令官が、過去10年のオスプレイの事故率は、海兵隊の全航空機の平均の約半分であり、同機は、海兵隊の航空機としては、最も安全な、ないしは最も安全に近い航空機である、としたところです。
http://en.wikipedia.org/wiki/V-22_Osprey 上掲

 その後、同機の事故が3件起こっていますが、2010年4月のアフガニスタン南部での米空軍所属機の夜間着陸時の事故の原因こそ分かっていないものの、今年4月のモロッコでの米海兵隊所属機の共同訓練中の事故は機体が原因ではないことが分かっていますし、6月のフロリダ州での米空軍所属機の訓練中の事故については事故調査結果がまだ明らかになっていないことはご承知の通りです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Accidents_and_inciden...
 以上が示しているのは、同機は米本土にも配備されていること、原因が明らかになっている事故は人為的原因の可能性が示唆されていること、原因が不明ないしまだ明らかになっていない事故は米空軍特殊戦部隊所属機である
http://en.wikipedia.org/wiki/V-22_Osprey 上掲
ことです。
 海兵隊とは違って空軍特殊作戦部隊では、同機を性能限界で使用することがままあると考えられるところ、海兵隊では、(救難機として使用するような場合はともかくとして、兵員輸送機として使用する場合には)そのような使い方はしないであろう、というかする必要がないであろうし、普天間飛行場に配備された暁には、なおさら、注意深く運用するであろうと思われるところです。

二について:

 米海兵隊においては、オスプレイは、ヘリコプターのC-46の後継として計画され、導入されたものですが、その後、様々な固定翼ジェット機の後継としての位置づけも付加されつつあります。
http://en.wikipedia.org/wiki/V-22_Osprey 上掲
 そういう意味では、「オスプレイの配備は単なる新旧機種の入れ替えという」域を超えている、と言えそうですね。
 やや誇張して言えば、オスプレイには、(ご友人も示唆しておられるように受け止めましたが、)米海兵隊の存続、というか、将来がかかっている、と言っても過言ではないのかもしれません。

 なお、同機について基本的な知識を身に付けたい方は、オスプレイに関する日本語ウィキペディアをどうぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/V-22_(%E8%88%AA%E7%A9...

 それでは、その他の記事の紹介です。

 野田首相のこれまでの安全保障への取り組みを見ていると、ひょっとして集団的自衛権に関する政府解釈の変更にまで在任中に踏み込むかも、という期待感を持っちゃうなあ。↓
 ・・・<野田>首相の指示で日本の中長期ビジョンを検討してきた国家戦略会議の「フロンティア分科会」は、報告書の中で「米国など価値観を共有する国との安全保障協力を深めるため、協力相手としての日本の価値を高めることは避けられない」「集団的自衛権に関する解釈など、従来の制度や慣行の修正を通じ、安全保障協力の手段の拡充を図らなければならない」と指摘した。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 米軍撤退後、イラクの暴力的事件の頻発状況に変化はなく、むしろ状況は悪化しているようだが、もはや、本当のところは調べる手段がないのでよく分からないんだね。↓
 ・・・although there was no meltdown, there was also no drop in violence as U.S. targets disappeared.・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/07/05/b...



#5583(2012.7.7)

 マジ、集団的自衛権禁止という政府憲法解釈変更の機が熟しつつある。↓
 ・・・玄葉光一郎外相は・・・、首相の諮問機関に当たる「国家戦略会議」のフロンティア分科会が集団的自衛権導入を推進すべきだという報告書を提出したことに対する質問を受け「現時点では集団的自衛権について、いわばこれまでの(集団的自衛権行使を否定する)日本国政府の解釈を変えていないということだと思う」と語った。「現時点では」という表現を用いることで、この先変わることもあり得るという点を強調したわけだ。
 また玄葉外相は「私自身は、集団的自衛権の問題については強い問題意識を持っているということは申し上げたいと思う」と語った。玄葉外相は、野田佳彦首相と同じ松下政経塾の出身で、議員時代は野田首相と共に集団的自衛権を導入すべきだと主張していた。・・・
 一方自民党は6日、党の意志決定機関に当たる総務会を開き、憲法改正なしに集団的自衛権行使が可能になるようにする国家安全保障基本法の制定を、次期総選挙の公約として公式に決定した。集団的自衛権を導入するためには憲法改正が必要だという意見に対し、石破茂前政調会長は「憲法改正を待つ時間はない」と語った。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 例のフロリダの監視員(コラム#5581)、会社がクビを撤回したが、本人(や彼に同調して抗議辞任した監視員達)はもう二度と監視員なんかやりたくないとのこと。↓
 ・・・Several other lifeguards quit in protest. And after a nationwide outcry, the company offered all of the guards their jobs back, saying that, in fact, Lopez hadn't left his sector of the beach unprotected.
 But the lifeguards aren't going back. Let's face it, it's not as though the job was such a great gig. Lopez was paid just $8.25 an hour, a little more than Florida's minimum wage. He and his fellow guards could make close to the same money flipping burgers rather than taking responsibility for strangers' lives.・・・
 <こういう分野は民間企業にアウトソーシングすべきではない、というのがロサンゼルスタイムスの論説の趣旨。↓>
  Government agencies have a long history of mutual aid when it comes to providing public safety; they go to the rescue of people outside their boundaries when needed. They hire employees for reasonable pay and expect them to serve the public good. If municipal employees whose job involves first aid see a choking person on the other side of the city's line, they know it's not the time to call in to headquarters for permission to save a life or to calculate the potential liability.・・・
http://www.latimes.com/news/opinion/editorials/la-...



#5587(2012.7.9)

 40年前のボクの発想だな。↓
 ・・・日本の首相の諮問機関である国家戦略会議の「平和のフロンティア分科会」<で>は・・・ある出席者は「(日本の立場から見て)韓半島(朝鮮半島)は伝統的に中国との緩衝地帯の役割をしてきた。日本は悠々とはしていられない。(韓国と北朝鮮が)統一され、一致したアイデンティティーを追求すれば、それが反日へと向かわないようにすることが、日本にとって非常に重要な課題になる」と述べた。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5589(2012.7.10)

 これは、やる気だな。
 野田は、原敬以来の大宰相、と後世、評価されることになるだろうね。↓
 野田佳彦首相は9日の衆院予算委員会で、政府が行使を禁じている集団的自衛権について「政府内での議論も詰めていきたい」と述べ、憲法解釈の見直しを検討する意向を表明した。・・・
 集団的自衛権の行使容認は首相の持論で、就任前の2009年の著書では「この問題をクリアしない限り自衛隊を海外に出す話などしてはいけない」と主張。・・・
http://www.asahi.com/politics/update/0709/TKY20120...

 野田に籠絡されてしまった谷垣。
 これは谷垣がふがいないと言うより、自民党でいかに人材が払底しているかを示すものだろう。↓
 先頭切って衆院解散に追い込まなければならないはずの自民党の谷垣禎一総裁の影はあまりにも薄かった。4月の党首討論以来、約3カ月ぶりとなる野田佳彦首相との直接対決。9日の衆院予算委員会での谷垣氏は終始、丁寧な言葉遣いで首相に語りかけ、声を荒らげて詰め寄る場面もなし。9月の総裁選での再選に黄色信号が灯(とも)っている。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120709/stt1...

 オバマ政権の外交政策(含む安全保障政策)は、これまでの民主党の柔弱イメージを払しょくする狙いがあり、それに成功している、とさ。↓
 ・・・It is worth noting that Obama's foreign policy has led many of his former supporters to decry that he has turned his back on campaign promises and, in some cases, furthered such practices as drone attacks in Pakistan that many Democrats believe will create their own insidious form of blowback against US interests in the region.
 What cannot be doubted is how effective Obama's foreign policy has been emasculating long-held Republican criticisms over Democrats' weaknesses in foreign policy. Embodied by what his administration has been willing to do in Pakistan coupled to his "Pacific pivot", he has repositioned the Democratic political brand in ways that have the possibility to challenge long-held American perceptions about Democrats fundamentally. ・・・
http://www.atimes.com/atimes/China/NG10Ad01.html



#5597(2012.7.14)

 これをもって集団的自衛権行使禁止の政府憲法解釈変更を促すのは、産経サン、おかしいんでねーの?
 だって、在日米軍基地の防衛は米国の防衛だろうし、米軍基地がないフィリピン沖にさえ米イージス艦は展開したんでしょ。↓
 ・・・米政府は発射前の協議で日本側に「ミサイルを迎撃するのは米国の防衛目的に限る」との対処方針も通告してきていた。
 米イージス艦の配置は黄海=1隻▽日本海=2隻▽鹿児島県沖=1隻▽太平洋=1隻▽フィリピン沖=2隻−の計7隻。海上自衛隊はイージス艦を沖縄周辺に2隻、日本海に1隻展開させた。・・・
 黄海以外に配置された米イージス艦の任務は、日本海と太平洋の3隻がミサイルが米本土に、鹿児島沖の1隻はグアムに向かう際の迎撃に備えていた。フィリピン沖はミサイルの予測飛行ルートにあり、ブースターの2段目などが落下する恐れがあった。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120714/plc1...
 ・・・「米国防衛」に限り迎撃するとの対処方針は、日本防衛を目的にした迎撃の見送りを意味する。ミサイル発射から3カ月たち集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈変更が急務であることが浮き彫りになった。・・・
 米側は今回、予測飛行ルートに近い米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)に落下するケースを除けば、日本に落下するミサイルを迎撃しないと通告してきたに等しい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120714/plc1...

 もっとも、東京新聞はもっとひどいが・・。↓
 集団的自衛権 解釈変更は認められぬ・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial...



#5601(2012.7.16)

<midshipman>

 現政権において、集団的自衛権が認められてたとしても、その行使の範囲を限定的に解釈されてしまう可能性は十分考えられますか?

<太田>

 希望的観測だけど、野田政権が決行するとしたら、そんなことは考えられない、とあえて申し上げておきましょう。
 ところで、讀賣も明確に政府憲法解釈変更を求めましたね。↓
 ・・・野田首相が政治決断するための機は熟したとも言えよう。
 ただし、首相判断だけでの解釈変更では、首相が交代すれば再び解釈変更が可能となるなど混乱を招きかねない。
 関連法を制定し、集団的自衛権が行使可能なことを法的に担保することが、より望ましい。
 自民党は今月上旬、そうした内容の「安全保障基本法案」の概要を決定している。
 政府・民主党は、自民党などと連携し、この法案も参考にしながら、憲法解釈変更をより確実にするための立法作業にも取り組んでもらいたい。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120715-O...

 しかし、自民党の「安全保障基本法案」の次のくだりには私は猛烈に反対です。
 それが属国意識の母斑を色濃く残している・・「我が国と密接な関係にある他国」=米国・・こともさることながら、個別的自衛権行使しかしないのがエゴだとすれば、集団的自衛権にこのようなしばりをかけることもまた、エゴであり、人間主義に違背するからです。↓
 ・・・我が国が自衛権を行使する場合には、以下の事項を遵守しなければならない。
一 我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態であること。・・・
四 一号に定める「我が国と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃については、その国に対する攻撃が我が国に対する攻撃とみなしうるに足る関係性があること。・・・
http://tamtam.livedoor.biz/archives/51892991.html



#5603(2012.7.17)

 清の時に尖閣を清領とする文書があるみたい(コラム#5459)だからねえ。↓
 ・・・中国・明から1561年に琉球王朝(沖縄)へ派遣された使節、郭汝霖(かく・じょりん)が皇帝に提出した・・・上奏文に「尖閣は琉球」と明記 中国主張の根拠崩れる・・・
 上奏文が収められていたのは、郭が書いた文書を集めた『石泉山房文集』。このうち、帰国後に琉球への航海中の模様を上奏した文のなかで「行きて閏(うるう)五月初三日に至り、琉球の境に渉(わた)る。界地は赤嶼(せきしょ)(大正島)と名づけらる」と記していた。現在の中国は大正島を「赤尾嶼(せきびしょ)」と呼んでいる。
 石井・・・望・長崎純心大准教授(漢文学)・・・によると「渉る」は入る、「界地」は境界の意味で、「分析すると、赤嶼そのものが琉球人の命名した境界で、明の皇帝の使節団がそれを正式に認めていたことになる」と指摘している。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120717/plc1...



#5619(2012.7.25)

 米大使館の閉鎖に伴い、CIA要員が今、シリアに全然いないんだってさ。
 リスクを回避する諜報機関があるなんて呆れちゃうなあ。↓ 
 ・・・CIA officers largely have avoided entering Syria or traveling to the battle zones since February, when the U.S. Embassy in Damascus was shuttered for security reasons after threats by groups allied with the Assad government. Closing the embassy left the agency without a secure base from which to operate, and CIA personnel left the country・・・
 <ジャーナリストは潜入取材をしているというのに・・。↓>
 Several journalists have been spending time with rebel groups in Syria, living and traveling with them for days. But the CIA as a rule has been unwilling to let its officers do that, officials said. There would be no air support and limited rescue capability should the agents get into trouble.・・・
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-f...



#5621(2012.7.26)

<bonkers_blunder>(ツイッターより)

 以下のコラムを読んで、最後のページでオスプレイ配備反対に投票したら半数以上が配備賛成への投票でがっかりしたのですが、オスプレイは日本上空を飛行することになるのでしょうか?

 「オスプレイ」は何が本当の問題なのか?
http://diamond.jp/articles/-/22027

<太田>

 これ↑、表見的にはなかなかバランスのとれた記事ですね。
 しかし、まずもって指摘したいのは、「オスプレイは日本を守る目的のためにも配備されるのだと考えられる」というくだりは、明確に誤りだ、ということです。
 東アジアで、海兵隊が、その本来の用途のために投入されるような、本格的な地上戦は、朝鮮半島以外では起こりえないからです。
 そもそも、日本列島に対して本格的な上陸作戦を展開する能力のある国は、見通しうる将来にかけて、日本周辺には存在しません。
 (この点は、台湾本島に関しても基本的に同様です。)
 仮にかかる能力が周辺諸国のどれかに備わったとしても、核時代においては、地上部隊を渡洋させること自体がほぼ不可能である、ということは、私が何度も指摘しているところです。
 さて、長々と米海兵隊論を繰り返すわけにいかないので、はしょりにはしょって結論だけ申し上げれば、米海兵隊は、今後使われるとしたら、これまで同様、(渡洋攻撃をする必要がない)中東において、第二米陸軍的に使われるだけであると考えられるのであって、現在の輸送ヘリや上陸用舟艇同様、オスプレイが上陸作戦に使われる、ということはまず考えられません。
 (オスプレイを最も必要としているのは、米空軍のそれを始めとする特殊戦部隊です。)
 ということは、これも何度も私が指摘していることですが、米海兵隊は、少なくとも、もっと中東に近く、しかも日本列島と比較してより訓練が円滑にできる場所・・豪州や(米陸軍のように)欧州・・に移転すべきだし、より根本的には廃止されるべきなのです。
 (念のために・・朝鮮半島には韓国軍も米陸軍もいます。)
 要するに、オスプレイは、米海兵隊が、廃止を免れるために、その本来の任務である上陸作戦を引き続き実施できる、というタテマエを見かけ上維持するために米海兵隊に配備されつつある、というだけのことなのです。
 ですから、日本は、オスプレイの撤去を求めるくらいなら、米海兵隊そのものの日本列島からの撤退を求めるべきなのです。
 しかし、このようにどんどん米軍部隊を日本列島から撤退させて行けば、駐留米兵及びその家族によるトリップワイヤー機能が失われ、日米安保の東アジアにおいて果たしている抑止力(核抑止力を含む)が大幅に減殺してしまいます。
 当然、日本がその代替をしなければならなくなります。(これには必ずしも自衛隊の大増強を必要としません。)
 そのためには、日本が米国からの「独立」を果たさなければならない、ということになるわけです。
 結局、極めてバカチョン的に申し上げれば、日本は、「独立」を決意するのか、オスプレイを受け容れるのか、の二つに一つだ、ということです。



#5629(2012.7.30)

<太田>

 尖閣を日本領とする明時代の「史料」を紹介した産経記事(コラム#5603)に対して人民網が反論記事
http://j.people.com.cn/94474/7891234.html
を掲載してから数日経つが産経の再反論記事が電子版じゃ目につかないねえ。
 諸君、尖閣は昔から日本(琉球)領だったという思い込みは捨てた方がエエよ。

<pika0128>

≫尖閣は昔から日本(琉球)領だったという思い込みは捨てた方がエエよ≪(コラム#5629。太田)

 これは、仰るとおりですね。
 当該の産経記事は拝読していませんが、人民網の記事は(反論根拠の)「史料がある」というだけで、史料そのものが載っていない点が残念です。
 また、明清と中共の連続性如何について触れていませんね・・・さすが!



#5633

<lAl9bmh10>

≫≫尖閣は昔から日本(琉球)領だったという思い込みは捨てた方がエエよ≪(コラム#5629。太田)
 これは、仰るとおりですね。
 当該の産経記事は拝読していませんが、人民網の記事は(反論根拠の)「史料がある」というだけで、史料そのものが載っていない点が残念です。
 また、明清と中共の連続性如何について触れていませんね・・・さすが! ≪(コラム#5631。pika0128)

 もっと言えば石原慎太郎が佐藤内閣に尖閣の事で協力した、も出鱈目。
 青嵐会設立は73年、佐藤内閣終焉は72年。

<太田>

 石原慎太郎は、既に1968年7月に議員(72年11月まで参議院議員、同年12月から1975年まで衆議院議員、1976年12月から1995年まで再び衆議院議員)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%8E%9F%E6...
になっているし、佐藤内閣は、1964年11月9日〜1972年7月7日という長期間続いたんだから、キミが何で「出鱈目」と断定できるのかさっぱり分かんないね。
 そもそも、青嵐会の話がなんでここに出て来るのさ。
 なお、pika0128サンの「明清と中共の連続性如何について触れていませんね」については後述。

<Jvhm+EVy0>(「たった一人の反乱」より)

 2012年7月28日の「人民網日本語版」に反論記事を書いた清華大学当代国際関係研究院の劉江永副院長は、伝統的な漢文に慣れていないか、または分かっていて無理な解釈(こじつけ)をしているようです。

 確かに古代漢語(漢文)の「渉」に「入る」や「到達する」という意味はありませんが、劉氏の言うように「水の上を、○○へ向かって進む」というのも違います。
 本来「水を歩いてわたる」というのが原義で、やがて船でわたる場合にも使うようになりました。
 「渉水」といえば「水(川など)を歩いてわたる」、「渉浅」といえば「浅瀬を歩いてわたる」の意味です。
 船を使った場合、「渉○○」といえば「○○という水域をわたる」という意味になります。
 すなわち、「○○へ向かって(その手前を)進む」ではありません。
 「○○の水域(海域)の中を進む」という意味です。

 郭汝霖が皇帝に提出した上奏文「石泉山房文集」の中の「行至閏五月初三渉琉球境界地名赤嶼」の文は、劉氏のように「行至閏五月初三、渉琉球境界地、名赤嶼」と区切ってもよいし、または「行至閏五月初三、渉琉球境界、地名赤嶼」と区切っても、ほとんど意味は変わりません。
 しかし、劉氏の解釈はオカシイです。
 劉氏は、「「渉琉球境界地、名赤嶼」の部分を正しく訳すと、「水の上を琉球との境界に向かって進む--名前は『赤嶼(赤尾嶼)』」となる。」と述べていますが、ここは「渉琉球境界地=名赤嶼」または「渉琉球境界=地名赤嶼」と読むのが順当で、正確に訳せば、「琉球境界地すなわち赤嶼と名づくるところ(海域)を渉った」または「琉球境界すなわち地名を赤嶼というところ(海域)を渉った」と読むべきです。
 (漢文に過去形はありませんが、過去の時点=閏五月=が明示されている以上、過去形で読むべきです。)

 「渉」には確かに「到達する」という意味はないものの、他動詞として用いる場合は「対岸を意識した」動詞となりますので、「渉」の後に来る語は、「現在わたりつつある水域」や「それに連なる対岸の地名」となることがほとんどです。
 「渉」の後に「出発地(此岸)側の地名」が来ることはありません。
 また「渉る」主体は、地名の渦中に居るのです。

 そんなわけで、劉氏の解釈「水の上を琉球との境界に向かって進む--名前は『赤嶼(赤尾嶼)』」はこじつけです。特に「境界に向かって」は誤り。
 原漢文を素直に読めば、「琉球の境界--地名を『赤嶼』といふ--を渉りき」となります。
 現代語で表現すれば「琉球の境界すなわち地名を赤嶼というところ(海域)を渉った」となり、行為主体は既に琉球の海域を航行中であり、琉球も赤嶼も対岸(目的地)に連なる地名ということになります。赤嶼は境界域の手前にあるわけではありません。(以上)

 『人民日報』は1953年1月8日に現代の琉球問題を掲載。記事中、琉球には尖閣諸島が含まれることを明示しています。
 ポータルサイト「百度」に先日、記事の写真が掲載されました。
 これに対する多数のユーザーの賛否は削除されたようですが、なぜか記事の写真だけはまだ残っています。
http://tieba.baidu.com/p/1749039411?from=prin

<太田>

 こういった投稿、実名でやってくれてもよさそうなもんだけど、サンキュー。

 誤解がないように一言。
 固有の領土論なんてのはもってのほかだけど、昔はどこどこの国の領土だった、なんてのは、領土紛争を考えるにあたって、ほとんど関係ないことなんだからね。
 (例えば、外蒙古や、黒竜江・ウスリー江以北の地は昔清に属していたけど、so what? だよな。)
 関係するのは、現在の関係国際法と関係条約だけだ。
 このような、現在の関係条約を解釈する際・・尖閣のケースで言えば、サンフランシスコ平和条約に言う台湾の範囲を解釈する際・・、初めて関係する歴史的事実がどうであったかが問題になってくる。
 いずれにせよ、明の時代に尖閣がどこに属してたか、なんてのは「そんなの関係ない」だわさ。
 その上でだけど、台湾の学者が、(彼のWSJ掲載論考には典拠そのものは掲げられていないが、)指摘しているところの、日清戦争時点まで清の領土であった台湾に尖閣が属していた、(コラム#5459)ということが事実だとすれば、サンフランシスコ条約の解釈で日本側が不利であることは否めないね。
 それだけに、中共や台湾にとっては、彼らが1970年代以前には、尖閣について沈黙してた、って点はチョー不都合な真実だねえ。



#5635(2012.8.2)

<J9sLrqzJ0>(「たった一人の反乱」より)

≫そもそも、青嵐会の話がなんでここに出て来るのさ≪(コラム#5633。太田)

 <件の人民日報の記事に、>青嵐会と云う単位で佐藤内閣に協力した、と読み取れるよう書いてあるからです。

http://www.j.people.com.cn/94474/7891234.html
<の>第六段落<に、「>中日間に領土問題は無いと言い出したのは、当時中日国交正常化の妨害に躍起になっていた佐藤栄作内閣だ。石原慎太郎は当時すでに右翼の反中派議員組織「青嵐会」を立ち上げ、釣魚島問題をめぐり佐藤内閣に協力していた。<」とあります。>

 青嵐会の設立年度はウィキに書いてありますよ。

 またこのサイトにも石原慎太郎の名は出て来ません↓。但し、この資料も尖閣諸島が日本領土とは見ていません。
http://www.senkakujapan.nobody.jp/page032.html

 ・・・<なお、>↑を見ると

一、尖閣諸島は間違いなく清国領土であったことは明治政府すら認め国際的にも認められてた。19世紀末までは。
二、日清戦争により台湾割譲を受けた。地理的に尖閣諸島が日本領土であるのは当然との認識に変わる。
三、尖閣を利用をしていたが、日本政府は明確に地理を調べたり緯度を確定したり、所謂(先占)に当たる行為を怠ってきた。つまり国際法的に無主地である。
四、サンフランシスコ条約にも明確に尖閣諸島迄が日本領と定められてはいない。
米国も日本に対しこの問題は突き放した態度。

 つまり、歴史的に中国、地理的に台湾、法的に日本にそれぞれ権利を主張する理由がある、と。しかしいずれも決定打に欠ける。

 まぁ国際司法裁判所で判定してもらうしかないですね。



#5639(2012.8.4)

 豪州の国防相が、同国は米国に(恒久的)基地を提供することはないと言明。↓
 ・・・we don’t have United States military bases in Australia. We don’t see the need for that,”・・・Australian Defense Minister Stephen Smith・・・told Australian Broadcasting Corp.・・・
 <だけど理由がなさけないねえ。中共への気兼ねだとよ。↓>
 Australian National University’s Strategic and Defense Studies Center head Hugh White said・・・“The [Australian] government was surprised that China reacted as negatively as it has to the decision to have [US] Marines rotate deployments through Darwin, and I think they’ll be very careful not to risk further displeasure from China by doing anything that suggests they’re supporting a US military buildup in Asia,・・・There’s a concern that the more the US builds up its military posture in the Western Pacific as part of [US] President Barack Obama’s pivot to Asia, the higher the risk that the US-China relationship will become more competitive, more adversarial, more hostile, and that pushes Australia close to the point of having to make a choice between the US and China, and that’s something we badly want to avoid,”
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/201...



#5641(2012.8.5)

 部隊で実施したアンケート調査が情報公開や裁判で提出を求められる証拠の対象になる、ということが確定しそうで、困ったもんだ。↓

 「・・・訴訟で海自側は1士への暴行の存在は認めたが「立ち入りが制限されたあるいは人目に付きにくい場所、時間帯に行われていた」として当時は十分に把握できなかったと主張。一方、アンケートでは「艦橋で」「食堂」と多くの乗員が立ち入る場所で暴行が目撃されていた。・・・
 また「10月/2曹が士長に/殴るけるなど」と、1士に対するもの以外にも艦内で暴行があったことを示す記載もあった。
 1士の遺族は先輩のいじめが自殺の原因として、国などに賠償を求め提訴。05年に海自の調査について情報公開請求したが、海自は「アンケートは破棄した」と説明した。しかし、国側の指定代理人を務めた現役3等海佐が「隠蔽(いんぺい)している」と内部告発。杉本正彦海上幕僚長(当時)は今年6月、「調べたところ横須賀地方総監部の書庫のファイルから見つかった」と発表した。」
http://mainichi.jp/select/news/20120804k0000e04027...

 アフガニスタンで米海兵隊、米陸軍それぞれでいじめによって自殺者を出した者に対する軍法会議で、両事件とも1名に1か月収監の刑を下すにとどまったことを問題視する米下院議員のコラムだ。↓
http://www.nytimes.com/2012/08/04/opinion/military...
 
 これ↑は、この下院議員の方がおかしい。
 本人も書いているように、自殺した兵士は、どちらも戦場で任務中にいねむりをしたことを咎められたものであり、それは部隊全体を危険に晒す行為なのであり、ここかから先は彼と見解を異にするわけだが、そんな場合に「指導」が行き過ぎることはままありうることだ、と私は思う。
 自衛隊の場合、自殺した士長が何を咎められたのか定かではないが、自衛隊には軍法会議がないために、事件発生から何年も経過しているというのに、いまだに自殺に追い込んだ者に刑が下されておらず・・米国の上記ケースでは、どちらも極めて短時間で刑が下されている・・、しかも、事件にからんで実施されたアンケート調査の内容・・部隊の規律や士気が分かってしまう・・まで公開されるに至っている。
 部隊内のいじめに対処する態勢だけをとっても、自衛隊は有事に戦うことなどできない、と言わざるをえない。



#5643(2012.8.6)

 昨日私が書いたことを思い出しながら読んでね。↓

 「海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」の男性乗組員(当時21)が2004年に自殺した問題で、この乗組員が生前、同僚の一人に「艦内でいじめられている」と告白し、自殺の前日には「自殺する決心をした」と打ち明けていたことがわかった。
 自殺直後に海自はこうした内容をこの同僚から聞き取り、文書に残して把握していたが、遺族が国などを相手に起こした民事裁判の中で開示せず、「いじめは自殺の原因ではない」と主張し続けていた。・・・
  また、別の乗組員を暴行したことを認めた上で、「いじめではない。これぐらいやって教えなければダメだと思う。若い者は甘い」とする回答もあり、艦内で暴行が常態化していた疑いも浮かんだ。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201208040702....



#5659(2012.8.14)

 日韓中の微妙な経済関係が良く分かる記事2つ。↓

 「・・・ゴールドマン・サックス(GS)の7月27日付リポートによると、日本の株価は円・韓国ウォン相場に強く相関する。GSの分析によれば、ウォンの対円相場の下落幅以上に日本株が下方に振れるのは電気機器や鉄鋼である一方、自動車など輸送機器はほぼ同じ割合で変動する。電機産業は韓国のサムスンを筆頭に、半導体、液晶、携帯電話など一部は日本企業に追いつき追い越す具合で、製品品質の区別がつかない。残る国際競争条件の差異は価格に絞られるのだから、為替相場が決定要因になる、と日本株投資家の多数が受け止める。
 自動車産業はその点、日韓の間の実力差が電機ほど縮まっていない。それでも、日本の自動車産業株の下落幅はウォン安と同じ度合で下がる。日本株投資家の多くはまた、円・ウォンの下落は日本の対韓貿易黒字を減らすと評価して、日本株売りをもう一つ、動機付けしている。韓国当局がウォン安政策を続けるほど、日本株全体を押し下げて、日本経済のエンジンを消沈させるのだが、真の問題は日本の当局にある。
 財務省は円高と表裏の関係にあるデフレ容認路線で、野田司令部は消費増税がデフレと円高を招くことに無頓着だ。日銀は政府の無策をよいことに、円高の進行に何のアクションもとらないのだ。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120814/plc1...
 「・・・日本は不景気が続いており、人件費も高額なため、スーパーや大売り場にかぎらず、高級デパートにも多くの中国製品が並べられている。中国製品は人件費も原材料も安いため、高い競争力を持つ・・・<しかし、>中国で製造されている多くの高級品は、中国ブランドとしてではなく、日本もしくはその他の国家のブランドとして販売されている。洋服の青山はその典型的な例で、実際にはメイド・イン・チャイナであるにも関わらず、多くの日本人に喜ばれている・・・」
http://j.people.com.cn/94476/7908932.html



#5661(2012.8.15)

<TA>

 太田さんに質問です。

 フォーリン・アフェアーズ・リポート 2012 No.8
 戦略的ビジネス外交の薦め――途上国経済を支配する中国企業への対抗策をアレキサンダー・バーナード/ グリフォン・パートナーズマネージング・ディレクター
http://www.foreignaffairsj.co.jp/shop/shop-FAR1208...(ただし要旨のみ)

 ↑からの引用です。↓

 「2011年10月19日、アフガニスタン政府は、鉱物・資源省とともに活動している米軍事顧問の助言もあって、中国の国有企業(中国石油天然気集団公司=CNPC)に同国北部の石油資源の開発権を与えた。3年前にも、同じく中国の国有企業であるCMGC(中国冶金集団)が、世界有数の資源埋蔵量をもつとされるアフガンのアイナック銅山の開発権を獲得し、この時も、アメリカ政府はこの契約を黙認している。
 だが、こうした中国の資源ビジネスの勝利に米議会と政策コミュニティは大きな衝撃を受けた。もちろん、中国が新興市場で重要な戦略資源を買い漁っていることは誰もが知っている。だが、多くの人は、(タリバーン以降の)アフガン国家の建設に何の貢献もしていない中国が資源開発の恩恵を独占し、一方で、国家建設に最大の貢献をしてきたアメリカが開発面で取り残されている現実に憤慨している。
 だが、これは驚くべき展開ではない。そもそもアメリカは、新興市場国で中国と競い合っていけるような戦略などもっていないからだ。中央アジア、中東、アフリカ、さらには近隣のラテンアメリカにおいてさえ、米企業は中国国有企業との入札競争で敗れている。
 ワシントンは米企業に最低限の支援しか与えていないだけでなく、過剰な規制と報告義務を課しており、これが、米企業が新興市場で基盤を築くのを妨げる障害になっている。アメリカ政府は、形ばかりの支援をすることはあっても、民間企業のために政府の影響力を用いることにはほとんど関心がない。
 動機はそれぞれに違うが、民主党も共和党もビジネス外交を展開することに嫌悪感をもっている。リベラル派(民主党)は、「政府に対する企業の影響力が高まること」を警戒し、保守派(共和党)は、「連邦政府は市場に介入すべきではない」と考えている。・・・
 歴史的にみれば、外国における民間の商業利益を保護・促進することに、アメリカが消極的だったわけではない。・・・
 だが、20世紀後半になると、米政府の優先課題は西側諸国の間の絆を強め、ソビエトを封じ込め、世界の安定を維持していくことへとシフトしていく。・・・
 ワシントンは、ソビエト崩壊後はさらに商業外交から遠ざかっていった。指導者たちは、米企業の利益促進にワシントンの影響力はもはや必要ないと判断し、世界唯一の超大国として、そうした商業利益を超えたところに自らを位置づけるべきだと考えるようになった。
 アフガニスタンとイラクでの戦争によって、政府が民間利益への後ろ盾を提供することへのためらいはさらに大きくなっていった。事実、「(アフガンやイラクに対する)侵攻は、政府に近い米企業の利益にワシントンが配慮した結果だ」という批判を打ち消そうと、ジョージ・W・ブッシュ政権は、現地での米企業の利益を促進するイニシアティブをすべて放棄した。
 2007年にアイナック銅山の開発に関する国際入札を表明した後、アフガンのハミド・カルザイ大統領はブッシュとの会談で、米企業の責任者がアフガン政府の入札に参加していることを明かし、「私は米企業が入札プロセスでいい結果を手にできることを期待している」と外交辞令を述べた。ブッシュはこの発言に苛立ち、「米政府が望んでいるのは入札プロセスの透明性が確保されることだけで、どの企業を選ぶかはアフガン政府の自由だ」と反論した。
 「アメリカは透明性が確保されることだけを気に懸けるべきで、それ以上のことを働きかけるのは不適切だ」とする立場は、たしかに、説得力をもっている。だが、中国、インド、ロシア、ヨーロッパ各国など、アメリカのライバル企業の政府は、自国企業が有利になるようにと、アフガン政府に政治的に働きかけた。
 (企業利益を促進することに対する)ワシントンのためらいや自制は公正なものだが、そのような態度をとったのはアメリカだけだった。その結果、「政治とビジネスがその頂点において融合している途上国」において米企業は不利な立場に立たされている。・・・
 現地に行けばわかることだが、途上国政府は、アメリカの企業と投資家を三顧の礼をもって迎えたいと考えている。「アメリカのブランド」は依然として力をもっているし、これらの国では、米企業のプレゼンスはワシントンとの関係強化に向けた第一歩として歓迎されるだけでなく、米企業を誘致することは、自国のビジネスの正統性を立証するシンボルとみなされている。・・・」(49〜52、55頁)

 アメリカがイラク戦争を起こしたのは石油関連企業の利益のため、などという陰謀論(典拠略)を真に受けていた訳ではありませんが、こういったアメリカの方針は完全に意外でした(太田コラムで取り上げている?)。
 これは、商業主義的帝国主義(18〜19世紀)→人種主義的帝国主義(20世紀頭〜太平洋戦争まで)→日本型帝国主義(冷戦期)と変遷してきたアメリカの帝国主義(コラム#略)の、さらに変遷した現代版の表出と考えるべきなのでしょうか。あるいは単にソフトパワー(コラム♯429)を重視しているだけなのでしょうか。
 アメリカの対イラク・アフガニスタン商業外交と他の途上国へのそれとを同列に論じるのは不適切かもしれませんが、ご意見を聞かせて頂きたく思います。

<太田>

 日本の帝国主義は、(通常経済目的である帝国主義としては異例なことに、)対露安全保障目的で、そのこともあって人間主義的に推進されました。
 だからこそ、それが植民地経営の形をとった朝鮮半島の場合、しぶしぶ植民地化した上で、しかも予算を持ち出すという形で行われたところです。
 戦後、米国はこの日本の衣鉢を継いだ・・戦後の米国による欧州や日本への経済援助!・・のであり、この米帝国主義マークII・・私は米帝国主義に商業主義的な時代があったと言ったことはないと思います・・は、露の没落以降も惰性的に維持されています。
 ですから、イラク・アフガニスタンでの米国のふるまいは、至極当然のことである、と言うべきでしょう。



#5673(2012.8.21)

 米海軍大学の准教授が尖閣をめぐる日中軍事衝突の帰趨について、平たく言えば日本の勝利と予言。
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/08/20/t...
 そんなの当然だが、軍事衝突は起こらないと見ている理由に日本の本格的再軍備<を促すことになりかねない、>が入ってないのはオカシイねえ。



#5677(2012.8.23)

 尖閣については、台湾の方が中共よりも強硬な姿勢をとっている。
 引用しなかったが、台湾と日本は与国同士なんでそれが通るってわけ。
 (これ、竹島の件に「使える」ので覚えといてね。)↓
 ・・・ the government’s decision to dispatch coast guard vessels to escort boats carrying protestors to the Diaoyutais has caused the Chinese authorities to come under a great deal of pressure from people in China.・・・
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archive...

 台湾の顰に倣って中共がICJ付託を求めてきたら日本は受けざるを得ないんだろうが、そうはコトが運ばないだろね。↓
 ・・・台湾の馬英九総統はこのほど、日本と領有権を争う尖閣諸島(中国名・釣魚島、台湾名・釣魚台列嶼)の問題を国際司法裁判所(ICJ)に付託するよう提案した。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5679(2012.8.24)

<いしゐのぞむ>

 石泉山房文集の産經7/17記事「尖閣は琉球」<(コラム#5603)>につき<(コラム#5633で)>議論して頂き光榮です。
 史料の解説文は、八月三日から七日まで八重山日報に全文掲載して頂きました。
 紙版だけでなくインターネット版(無料)もあります。
< (http://www.yaeyama-nippo.com/2012/08/03/%E5%B0%96%... 以下)>
 「尖閣前史、無主地の一角に領有史料有り」と題してをります。ご笑覽下されば幸ひです。
 ついでながら「渉」字には、人民網の劉江永大先生の言ふやうな「向かって進むが未だ至らない」といふ字義は存在しません。



#5685(2012.8.27)

 またまた野田政権が放ったクリーンヒット。↓
 自衛隊、外国軍に技術支援 6カ国対象、ODAの枠外で・・・
http://digital.asahi.com/articles/TKY201208250590....



#5687(2012.8.28)

<べじたん>

 --台湾の学者の件--

≫台湾の学者が、(彼のWSJ掲載論考には典拠そのものは掲げられていないが、)指摘しているところの、日清戦争時点まで清の領土であった台湾に尖閣が属していた、(コラム#5459)ということが事実だとすれば、サンフランシスコ条約の解釈で日本側が不利であることは否めないね。≪(コラム#5633。太田)

 42〜69ページに「V.2. 中国の主張を裏付ける歴史的証拠」を書いています。
 "The Diaoyutai/Senkaku Islands Dispute: Its History and an Analysis of the Ownership Claims of the PRC, ROC, and Japan (1999)"
http://digitalcommons.law.umaryland.edu/mscas/vol1...
(彼のhttp://en.wikipedia.org/wiki/Han-yi_Shawに載ってた)

 5章2節の冒頭で「尖閣諸島を初めて発見し、命名し、使ったのは中国人だったという主張を裏付ける、中国、琉球、日本の歴史的記録を、多くの中国人と日本人の学者が調べてきた。尖閣諸島に関する中国の歴史的主張を立証するのに使われた歴史的証拠の多くは、実のところ、著名な日本人歴史家の井上清によってもたらされたということは注目に値する。(42ページ)」と書いています。
 43ページの「In 1372」以降に、「中国の主張を裏付ける全ての歴史的に関連する証拠」として、『使琉球録(1534年)』『重編使琉球録(1561年)』『中山伝信録(1719年)』『使琉球雑録(1683年)』『琉球国志略(1756年)』『日本一鑑(1556年)』『三国通覧図説(1786年年)』『中外一統輿図(1862年)』という日本でもよく知られた史料を挙げています。史料は読んでも分からないので読んでいませんが、中共の公式見解を書いているだけではないかと。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/056...
http://www.fis.takushoku-u.ac.jp/research/sekai/se...

 逆に、尖閣が台湾に属していなかったことを示す清代公式文献があるそうです。

 「下條教授は、「尖閣諸島が『台湾の一部でない』ことを示す中国の文献は、これまでにも見つかっているが、清代の公式の地理書である『大清一統志』にこうした記述が残されていた意味は大きい。中国の主張が、まったく根拠のないものであることは明白だ」と話している。MSN産経ニュース 2010.11.4 06:31」
http://logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/news4plus...

 ↑の詳しい話。
http://www.fis.takushoku-u.ac.jp/research/sekai/se...


≫<1885年10月の時点で、なお、日本の外相は、尖閣が清領であるとしつつ、実効支配に乗り出すのは時期尚早だと書いている。↓>≪(コラム#5459)

 「5月4日付けのアメリカ「ウォールストリートジャーナル」の・・投書の中で、邵漢儀氏は、1885年から1895年までの日本明治政府の公文書を調べた結果、明治政府が中国政府の魚釣島領有を認める公文書が40点以上もあることが分かった、1885年の日本外務省の公文書には、「近頃中国の新聞は、わが政府が台湾の近辺にある中国領有の島嶼を占拠したとの噂を報道し、わが国に対し疑問を抱くと同時に、中国政府に注意を喚起した。わが政府がもしこのとき俄かにしかも公然と国の標識を立てれば、かえって中国の猜疑を招く恐れがある」とあり、そうするには後日を待つのが良かろう、しかも官報や新聞に掲載する必要がないとの記載が見られると指摘している。
 日清戦争で中国が敗戦した後、明治政府は1895年1月14日の「内閣決議」に基づき、魚釣島を版図に入れた。このことは一度も公開されなかったため、中国は知る由もなかった。」
http://www.kmt.org.tw/japan/page.aspx?type=article...

↑に対する反論↓ですが、どうなんでしょうねえ、尖閣が清領であると書いたのは、日本の外相ではなく、清国の新聞ではないですか?

「(2) 国標設置に関する井上馨外務卿の見解
 1885(明治 18)年、沖縄県令は、尖閣諸島の実地調査にあたり、国標建立について指揮を仰ぎたいとの上申書を山県有朋内務卿に提出した。内務卿は、これらの諸島が清国に属している証拠が見当たらず、沖縄県が所轄する宮古島や八重山島に接近した無人島嶼であるので、国標の建立は差し支えないとして、「無人島久米赤島他外二島ニ国標建立ノ件」を太政官会議に提出するための上申案をまとめた。続いて同年 10 月 9 日には、井上馨外務卿と協議し、その意見を求めた。10 月 21 日の外務卿の回答は次のような内容である。
 これらの島嶼は、清国国境にも近い小島嶼である。また、清国はその島名もつけていて、清国の新聞に、我が政府が台湾付近の清国領の島嶼を占拠したなどの風説を掲載して、我が政府に猜疑を抱き、しきりに清国政府の注意を促す者もいる。ついては、「公然国標ヲ建設スル等ノ処置有之候テハ、清国ノ疑惑ヲ招キ候間、…(中略)…国標ヲ建テ開拓ニ着手スルハ、他日ノ機会ニ譲リ候方可然存候。」
 この回答を受けた内務卿は、国標建設の件を太政官会議に上申するのを見送った。
 上記の井上外務卿の見解は、尖閣諸島が清国に属することを認める趣旨であろうか。これについては、当時小国であった日本の、大国清に対する外交上の配慮(32)であり、朝鮮問題及び琉球処分という重大問題が介在する中、このような小さな問題で、今清国と事を構えるのは得策ではないという、外務省としては当然の発想であると指摘されている(33)。」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/056...
(原文は、
http://www.geocities.jp/tanaka_kunitaka/senkaku/te...
http://www.geocities.jp/tanaka_kunitaka/senkaku/te...

<太田>

 おかげさまで、どうやら、1985年の時点では尖閣諸島が(いかなる国にも所属していない)無主の地であったらしいこと、しかし、その時点で既に同諸島を清国領であるとする主張が清国内に存在していたこと、が分かりました。

 ことのついでに、
一、「<清朝は、>1885年に台湾を福建省から分離して台湾省(1885年-1895年)を新設し<、その>・・・後の清朝は、それまでの消極的な台湾統治を改めて本格的な統治を実施するようにな<った」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3...
わけですが、台湾省時代の清朝の尖閣の取り扱いはどうであったのか、
二、(日本は1895年に尖閣諸島を正式に日本領としているところ、)日本はそれ以前に同諸島の先占の要件を満たしていたのか、(いたとして、それは1894年に日清戦争が始まる前だったのか後だったのか、)
の2点を調べていただくとありがたいですね。

 なお、本筋とは関係ありませんが、「乾隆九年(1744年)刊行の『大清一統志』では、台湾は「天啓中(1621年〜1628年)日本に属す」と<記>され・・・ていた」
http://www.fis.takushoku-u.ac.jp/research/sekai/se...
というのは面白いですね。
 台湾は16世紀には倭寇の有力根拠地の一つだったし、「1608年には有馬晴信が、1616年には長崎代官 村山等安が、いずれも成功はしなかったものの台湾へ軍勢を派遣した」ことはあります
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3...
が、なんで日本領だったことになっちゃったんですかね。
 (ちなみに、台湾はオランダ植民地時代(1624〜62年)、鄭氏政権時代(1662〜83年)と推移します。(ウィキペディア上掲))



#5695(2012.9.1)

<べじたん>

≫一、「<清朝は、>1885年に台湾を福建省から分離して台湾省(1885年-1895年)を新設し<、その>・・・後の清朝は、それまでの消極 的な台湾統治を改めて本格的な統治を実施するようにな<った」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3...
わけですが、台湾省時代の清朝の尖閣の取り扱いはどうであったのか、≪(コラム#5687。太田)

 「上述のとおり、明、清代の政府は一貫して釣魚島を中国の領土としてきた。甲午戦争(日清戦争)の1年前にあたる清代光緒19年(1893年)10月、慈禧太后(西太后)は、釣魚島を郵傳部尚書の盛宣懐に与え、薬剤の採取地とする詔書を発した。詔書には「盛宣懐が献上した丸薬は効果が非常に高い。上奏によると、薬の原料は台湾沖にある釣魚台小島のものである。この霊薬は海上で産出され、効能は本土のものよりも優れている。聞くところでは、汝の家系は薬局を開き、診察を行い、貧しい人や病気の人を助けてきた。これはとりわけ称賛に値することである。よって釣魚台、黄尾嶼、赤嶼の3島を薬剤採取に供するため、財産として盛宣懐にあたえる」と書かれている。(2)」
http://j.people.com.cn/cehua/20040407/01.htm

 これ↑が本当ならば、清の領土と認識していたことになりますが、反論を用意しているようです。

 「西太后が魚釣島を下賜した勅書という、信憑性が疑問視される資料など、紙面の制約上、言及に至らなかった問題もある。」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/056...(★)

 引用元が分からなく怪しいけど、詳しそうな解説。
http://takeshima.cafe.coocan.jp/wp/?page_id=484
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-139...


≫二、(日本は1895年に尖閣諸島を正式に日本領としているところ、)日本はそれ以前に同諸島の先占の要件を満たしていたのか、(いたとして、それは1894年に日清戦争が始まる前だったのか後だったのか、)の2点を調べていただくとありがたいですね。≪(コラム#5687。太田)

 日本側は、日清戦争中の1895年1月14日の非公開の閣議決定を、「領有の意思の存在を立証する具体的な国家活動(★)」としているのではないですか。
 中共側は、国際法に適う論拠を出せないのが苦しそう(?)ですね。

 「林博士<(林金茎元駐日代表)>は、自著の『戦後の日華関係と国際法』の中では、「尖閣諸島を琉球領としていないことは、当時の中国人の意識では、当然中国領であることを前提としている。当時の清朝は、国際法で尖閣列島を律するほど近代的ではなかった」と書いている。」
http://melma.com/backnumber_100557_1758117/
 「明治28年1月14日に尖閣諸島は閣議決定によって日本領に編入された。この際の行政的手続きの不備と外国への無通告について、台湾の論客たちが指弾してきたことはよく知られている。しかし結論的にいって、これについては若干の議論の余地があるとしても、このために国際法的に見て日本の領有権が否定されるものではないし、まして中国の領有権が立証されるわけでもない。むしろ問題なのは、台湾側の立論が、「中国の領土だった」という検証なしの信念から生まれる予断に基づいて、推論を重ねていること。また「日本外交文書」第18巻の関係部分を綿密公平に読んでいないことの方である。」
http://melma.com/backnumber_100557_1758122/

「P112
4. 日本の主張への中国の反論
 前章で示した通り、尖閣諸島の紛争の発端は19世紀後半である。当時の明治政府は、先に認識された領土を唯一に正当化するという数世紀にわたる東アジア世界秩序を強く求め続けた清朝の弱体化を背景に、領土的野心を正当化するために西洋由来の国際法を使おうとした。
4. Chinese Refutation of the Japanese Claim
 As demonstrated in the previous chapter, the origins of the islands
dispute finds its roots in the late 19th century, when Meiji Japan
sought to use western-originated international law to justify its
territorial ambitions against a weakening Qing Empire that continued
to insist on the centuries-old East Asian World Order as the sole
justification for its previously recognized territorial possessions.」
http://digitalcommons.law.umaryland.edu/cgi/viewco...

<太田>

 国際法的には、日本の方がやや優勢、という感じですかね。
 どうもありがとうございました。

 対艦ミサイルの発達に伴う、空母の存在意義の消滅を論じている。
 そうなると、日本に米軍を前方展開させておく意義もまた完全に消滅しちゃうが・・。↓
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/08/31/s...

 米国がイスラエルとの共同演習を延期しただけでなく、その演習における米軍の関与度合いを大幅縮小しただと。イスラエルの対イラン攻撃の牽制だろうって。↓
 U.S. Scales-Back Military Exercise with Israel, Affecting Potential Iran Strike・・・
 <三沢にもあるけど、米軍のXバンド・レーダー基地がイスラエルにもあり、それがイスラエルの対弾道ミサイル用ミサイルシステムにリンクしているってんだから、米国がいわばイスラエルの死命を制してるんだね。↓>
 The U.S. maintains an X-band radar installation in Israel’s Negev Desert, pointed toward Iran and linked to Israel’s Arrow anti-missile system.
 The radar is extraordinarily powerful, so sensitive it can detect a softball thrown into the air from thousands of miles away. But・・・ only Americans are allowed to see what’s on the screens, a situation that likely serves to inhibit any Israeli decision to “go it alone” against Iran, because the U.S. array can detect an Iranian missile launch six to seven minutes earlier than Israel’s best radar. ・・・
http://world.time.com/2012/08/31/exclusive-u-s-sca...



#5697(2012.9.2)

<いしゐのぞむ>

 私は長崎純心大學で漢文學などを教へてをりますが、近年釣魚列島の漢文史料を研究してをります。
 貴ブログにて下のやうなご寄稿を閲覽致しました。

 「尖閣諸島の領有権が台湾に属することを丁寧に説明する、台湾の学者のコラムだ。彼の指摘が正しければ、北方領土ほどじゃないけど、国際司法裁判所に持ち出したら、日本は負ける可能性が高いね。」
http://blog.ohtan.net/archives/52131257.html
 ここで論及されてゐるのは、汪楫「使琉球雜録」の「中外の界」と、黄叔[王敬]「臺海使槎録」の「大船十艘を泊す可(べ)し」との二つを指します。
 兩者とも釣魚列島の最も基本的にして最も著名な史料です。
 臺灣の學者の素人コラムよりも、もっと基本的な研究を參照なさるべきです。

 殘念ながら汪楫が臺灣海峽の西側までを清國の最東端と認識してゐたことは私が八重山日報「尖閣前史、無主地の一角に領有史料有り」にて論じました。
http://preview.tinyurl.com/d24rk7x
http://tinyurl.com/d24rk7x
 また7/17産經新聞「尖閣は琉球」記事中でも少し紹介されてゐます。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/dip...
 汪楫の記録した内外の界は琉球の西端の箇所に相當し、琉球西端と清國東端との間の釣魚列島は無主地だと汪楫は認識してゐます。

 次に「臺海使槎録」で釣魚臺を記述してゐるのは、清國外を含む部分です。
 且つ大船十艘は泊したのでなく「泊することが可能だ」と書いてあるに過ぎません。
 「可能だ」は樣々に解釋できます。拙著「和訓淺解 尖閣釣魚列島漢文史料」
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB09937668
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023746901-0...
の中で原漢文とともに論じてありますので、ご參照ください。
 また、7/17産經新聞「尖閣は琉球」の記事に關して下のご寄稿も閲覽しました。

 「清の時に尖閣を清領とする文書があるみたい(コラム#5459)だからねえ。」
http://blog.ohtan.net/archives/52141046.html

 殘念ながら上述の通り、清國が領有したといふ文書は一つも存在しません。
 全てチャイナ側の歪曲解釋であり、領有を僞裝してゐるだけです。
 國際裁判で日本が負ける可能性はゼロです。
 拙著「和訓淺解 尖閣釣魚列島漢文史料」などを利用して基本史料の原文を閲覽なさってからご發言頂きたい。・・・

 もし宜しければ上記拙著を贈呈し<ます。>



#5703(2012.9.5)

 ガセ臭いなあ。
 米国が要求していることまで日本のせいにされてるとしか思えんなあ。↓
 韓米間の「ミサイル指針」改正交渉をめぐり、日本が韓国のミサイル能力増強に反対する立場を米国に伝えていたことが、・・・分かった。
 ソウルの外交消息筋は「韓国がミサイルの射程を現在の300キロから800キロ以上まで大幅に伸ばした場合『日本のかなりの領域が韓国のミサイルの射程内に入る』として、日本政府が(射程延長に)否定的な立場を示している」と語った。・・・
 日本は、李明博(イ・ミョンバク)大統領が先月10日に独島(日本名:竹島)を訪問して以降、韓国のミサイルの射程・弾頭重量拡大に対する反対の声を特に強めているという。韓国のミサイル能力が大幅に強化された場合、独自の対北朝鮮行動などに乗り出しかねないという論理で、日本が米国側を説得しているとされる。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 こっちは、憶測記事チックだけど、おおむねそんなところかな。↓
 ・・・韓国軍の内外からは、海兵隊の独島訓練が取り消され、海洋警察が主導し韓国軍が支援する方向に計画が変更されたことをめぐり、批判の声が上がっている。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 ・・・日本政府は韓国政府に対し、独島防衛訓練の中止を要請していたが、これが今回の上陸訓練中止に影響した可能性もある。・・・
 訓練中止の背景として、中国をけん制するため、韓米日の協力強化を目指す米国の思惑が反映しているという。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5715(2012.9.11)

 プーチンの最近の日本への微笑外交の背景を理解するために好適なコラムだ。
 要するに、極東地域が事実上中共の影響下に入ってしまうのを避けようとしてるってわけ。↓
 ・・・The Far Eastern Federal District, which Mr. Putin established in 2000, comprises just over a third of Russia's total land mass, approximately 6.2 million square kilometers, yet has a population of just under 6.3 million people, or one person per square kilometer. It is bordered primarily by Heilongjiang province in China, which has 38 million people. ・・・
http://online.wsj.com/article/SB100008723963904439...



#5719(2012.9.13)

 「偽物の独立」なんて文学的表現を使っちゃダメだよ。
 日本は、第9条の憲法解釈と日米安保によって、法的に米国の属国なんだから。
 だから、何も検察を動かしたり(マスコミを通じて)大衆動員したりしなくたって首相の首なんて簡単に挿げ替えられるんだぜ。
 ただし、この書評子の最後のセンテンスの後半は、正しい。↓
 ・・・孫崎享<は>・・・アメリカにたてつく首相はことごとく潰されてきたというのである。
 そのやり口は、たとえば芦田均や田中角栄の場合のように検察を動かしたり(昭和電工事件、ロッキード事件)、岸信介のように大衆を動員したり(六〇年安保)。いずれもマスコミを巧みに使ったところがミソだ。小沢一郎も鳩山由紀夫もアメリカに嫌われた。・・・
 ここに書いてあることが全部本当なら、日本は偽物の独立などやめてしまえばいいのではないか。アメリカの州の一つになって、そのかわり米大統領選挙の選挙権・被選挙権を得たほうがましではないのか?
http://book.asahi.com/reviews/column/2012091100001...



#5721(2012.9.14)

 豪州で、落ち目の米国よさようなら、と唱える有力な論者が出ている。↓
 ・・・As a former senior advisor to Prime Minister Bob Hawke and the principle author of Australia's 2000 Defence White Paper, Mr. White is a highly credible and eloquent commentator. ・・・
 Mr. White urges Canberra to do all it can to persuade America that maintaining primacy is all but impossible. ・・・
 Mr. White's thesis has significant support, including from former Labor Prime Minister Paul Keating, recent leader of the conservative opposition Malcolm Turnbull, and many business and social elites. ・・・
http://online.wsj.com/article/SB100008723963904447...

 その米国とパキスタンとの関係は最悪だが、パキスタンとその隣国たるインド、アフガニスタン、イランとの関係は(美人外相の活躍のおかげもあって)どんどん良くなってきている。
 これも米国凋落の表れだな。
 日本よ、豪州やパキスタンが享受している独立を早く達成しなくっちゃ。↓
 ・・・even as the country's relationship with the United States has plummeted over the past years -- battered by incidents like the unilateral U.S. raid to kill Osama bin Laden in Abottabbad, an errant American airstrike that killed 24 Pakistani soldiers last November, and U.S. accusations that Pakistan supports militant groups like the Haqqani network in Afghanistan -- its relations with its neighbors in India, Afghanistan, and Iran have steadily improved, part of a regionally focused foreign policy pushed since 2008 by the Pakistan People's Party-led civilian government and backed by Pakistan's generals.・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/09/13/p...



#5731(2012.9.19)

 当然、そうなるだろねえ。↓
 エネ戦略、閣議決定見送り 「参考文書」にとどめる・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20120919010010...



#5737(2012.9.22)

 宗主国サマが珍しくも露骨なご指示をなさったようだねえ。
 野田首相がそう仕向けた可能性あり、とボクはふんでるが・・。↓
 原発ゼロ「変更余地残せ」 閣議決定回避 米が要求・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20120922900707...

 日本にはまだ民主主義が定着してないとさ。
 ひどい事実誤認だよな。
 民主主義は戦前から既に定着してるけど、戦後の吉田ドクトリン/属国化戦略が日本の政治を脳軟化症にしとるってだけのことだ。↓
 ・・・Japan is still struggling with democracy. The Japanese people surely have absorbed democratic principles as evinced by large turnouts for elections, civilian controls over the armed forces and police, and freedom exercised by a sometimes highly
In the sphere of practical politics, however, a feudal order is still operative. ・・・
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archive...



#5741(2012.9.24)

 朴政権末期に「ミサイル指針」が米側から「押し付けられ」、そのまま維持されてきたわけだが、当時の韓国は強権政治だったし、その後も、1998年からは「親北政権」、「反米政権」が続いたもんねえ。
 そんな韓国を、米国としては、まだまだ信用できないってことさ。↓
 ・・・ミサイル指針交渉で・・・ 韓国政府は当初、射程距離は済州島から北朝鮮全域が射程圏に入る1000キロメートル、弾頭重量は1トンを米国側に要求した。しかし、米国側の反対で射程距離800キロメートル、弾頭重量500キログラムでの妥協が成立した。800キロメートルは、韓国の南海岸から北朝鮮全域を射程圏に入れることが可能だが、中国と日本の首都は射程圏から外れる。
 無人航空機をめぐっては、韓国が搭載重量を現在の500キログラム以下から2.5トンへと上積みし、無人偵察機だけでなく、ミサイルなどを搭載できる無人攻撃機の開発も認めるよう米国側に求めた。消息筋によると、米国は無人偵察機の搭載重量はある程度増やすことに同意したが、無人攻撃機については強硬に反対しているという。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 米国は今回のミサイル指針をめぐる交渉でも従来と同様、韓国に対して民間による固体燃料ロケットの開発を認めようとしていないことが、23日までに明らかになった。今回の交渉で米国はロケット技術の軍事用への移転だけでなく、軍用技術の民間移転にも反対しているようだ。・・・
 液体燃料は長持ちする上に制御もしやすいが、固体燃料に比べて瞬間的な推進力が弱いため、発射の瞬間にどうしても限界が露呈する。そのため宇宙開発を進める各国は、ロケットの一番下にある1段目に液体と固体燃料を併用するケースが多い。
 韓米ミサイル指針は固体燃料ロケットについて、総推進力100万ポンド秒(lb/sec)以上のロケットは開発できないよう制限している。これは日本のH2Aロケットが補助ロケットとして使用する小型の固体燃料ロケットのわずか10分の1レベルだ。・・・
 韓国軍は固体燃料ロケットを使った短距離ミサイル(玄武2、射程距離300キロ)をすでに保有している。しかし軍用の固体燃料ロケット技術を民間に転換できないという規定は、今回の交渉でも緩和されなかった。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 ・・・現在のミサイル指針は、33年前の1979年9月の盧載鉉(ノ・ジェヒョン)国防部(省に相当)長官(当時)の書簡がきっかけとなった。同年7月、ウィッカム在韓米軍司令官(当時)から韓国の弾道ミサイルの射程距離を180キロメートル以下、弾頭重量を500キログラム以下にするよう求める書簡が届き、盧長官がそれを受け入れる返事を送ったものだ。
 従って、ミサイル指針は協定でも条約でもない。韓国も米国もこの指針にこれ以上従わないと通告さえすれば、効力はなくなる。しかし、韓国の安全保障の基本軸である韓米軍事同盟の重要性を考慮し、互いが指針を尊重してきた。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 パンカジ・ミシュラ(Pankaj Mishra)(コラム#5646)によるこのコラム、北ベトナムが中共と基本的に同じ体制だってこと忘れてるような感じであるところがちょっと気になるけど、米国は、中東、アフガニスタンから兵力を引き上げるべきだとか、オバマ政権のアジア回帰戦略は身の程知らずだ、との彼の指摘は正しい。↓
 <1919年に一個人にすぎなかったホーチミンがウィルソン米大統領に会おうとした話を持ち出すのなら、第一次世界大戦後のパリ平和会議で日本政府が人種平等を求めた話を落としちゃダメだろが。↓>
 ・・・As early as 1919, Ho Chi Minh, dressed in a morning suit and armed with quotations from the Declaration of Independence, had tried to petition President Woodrow Wilson for an end to French rule over Indochina. Ho did not get anywhere with Wilson. Indian, Egyptian, Iranian and Turkish nationalists hoping for the liberal internationalist president to promulgate a new “morality” in global affairs were similarly disappointed. ・・・
 <第二次世界大戦後も、今度はホーチミン、トルーマン米大統領に支援を求めたんだと。こりゃむしろホーチミンがアホだったっちゅうことだろうね。既にトルーマン政権は反共に転じてたんだもんな。↓>
 Ho Chi Minh’s post-World War II appeals for assistance to another American president -- Harry S. Truman -- again went unanswered; and Ho, who had worked with American intelligence agents during the war, was ostracized as a dangerous Communist. ・・・
 ・・・the case for a strategic American retreat from the Middle East and Afghanistan has rarely been more compelling. It’s especially strong as growing energy independence reduces America’s burden for policing the region,・・・
 All will not be lost if America scales back its politically volatile presence in the Muslim world. It could one day return, as it has with its former enemy, Vietnam, to a relationship of mutually assured dignity. (Although the recent military buildup in the Pacific -- part of the Obama administration’s “pivot to Asia” -- hints at fresh overestimations of American power in that region.) ・・・
http://www.nytimes.com/2012/09/24/opinion/americas...



#5743(2012.9.25)

<otTy9iyU0>(「たった一人の反乱」より)

 チャンネル桜に太田さんが出演した過去の動画で、水島社長と元自衛隊幹部たちが中国による尖閣への脅威を主張するなか、太田さんだけが中国による尖閣への脅威なんて杞憂に過ぎないと主張しており、そのとき太田さんが説明したその主な根拠は、「中国は基本的には日本と仲良くして行きたいのだから、尖閣を掠め盗るような事をしてわざわざ日本を怒らせるわけがない」というもので、これを聞いた水島社長は「さすがにそれは…」と絶句し、他の出演者たちは失笑していました。
 その後実際に中国は日本を怒らせることを平気で仕掛けてきているわけで、今となっては少なくともあの番組を見る限り水島社長の心配が正しくて、太田さんの中国への認識は甘かったと言えそうですね。

<太田>

 口あんぐり。
 一体いつ、「尖閣を掠め盗るようなこと」を中共がやったのさ。
 中共当局に「尖閣を掠め盗る」意図などあるワケがないのは、彼らが、日本を本格的に再軍備させることにつながるような愚行を犯すはずがないからだし、仮に気ー狂ってその意図を持つに至ったとしても、それを決行するだけの軍事能力は・・相手が自衛隊だけでも・・見通しうる将来にかけて中共にはない、ってのがボクの一貫した指摘だけど、これに納得できない人は、中共当局がキチガイだと思ってるのか、軍事に無知であるか、その両方かだな。
 今、中共当局がやってるのは、中共国内向けパーフォーマンスであって、せいぜい、公私の艦船に尖閣周辺の領海侵犯を繰り返させるってことだけだ。
 そんなもんだけで、本格的に再軍備に乗り出すほど日本を怒らせるようなことはありえない、と彼らは踏んでるんだよ。
 (その程度の情報収集能力がなかったら、中国共産党による支那における権力掌握など到底不可能だっただろう。この関連で言えば、日本政府の尖閣国有化に連中が怒ったなんてことだって、およそありえないことさ。)
 大体からして、その程度のことなら、台湾だってやってるぜ。もっとも、こっちは領土紛争というより、李登輝元総統が言うように、実態は漁業権問題だけど・・。↓
http://digital.asahi.com/articles/SEB201209250001.... 
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/201...
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/201...
 (ただしだ。馬現総統も、もっとうまく立ち回らないと、せっかくの良好な日台特殊関係を損ねかねんぞ。いざという時に、米軍が日本の基地を使って台湾を助けに行くのを日本は「事前協議」で阻めるんだからね。)

 香港の活動家が尖閣に上陸したのは、(彼らが「民主」活動家でもあるから、ということとは関係なく、)中共当局にとっても好ましからざることだった。だからこそ、その後、彼らが再び同じことをやらないように手を回してるだろ。
 日本が、領海侵犯に対して海上保安官(巡視船)に武器使用権限を与えただけでも、(これに加えて防衛費の漸減を来年度予算で止めれば鬼に金棒だが、)領海侵犯はピタリと止まる、と予言しておこう。

 そうは言っても、下掲↓のような認識は、マクロ的には正しいけどね・・。

 「尖閣:「中国は100年前の帝国主義」 ドイツ紙が批判・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20120925k0000m03009...

 留保を付けておこう。
 以上は、すべて、集団指導制の「中共当局」の一体性が健在である、という前提の下での話だ。
 (「日本当局」の一体性が揺らいでいた幕末に、長州藩が攘夷を本当に決行しちゃった下関戦争
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E9%96%A2%E6...
が起こったことを思い出して欲しいね。)
 だけど、下掲の一連の記事を読んだけど、健在である、と断定していい、とボクは思うね。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1901U_Z10C12...
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2406H_U2A920...
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2400P_U2A920...
http://news.infoseek.co.jp/article/postseven_14461...

<TA>

 コラム#26、#33での「台湾機密費問題」についてですが、こういったことは、国際政治の裏舞台ではよくあることなのでしょうか。

→日本を除き、あらゆる国が諜報活動を行っており、その代価としてモノやカネや女(男?)を提供するのは当たり前のことです。(太田)

 日本は中台有事の際どういった方針を執るかという、私には安全保障上の超重大事案に思えるようなものが商品券なんぞでやり取りされるというのは、いくら何でもあんまりでしょう。日本<(台湾?(太田)>は台湾<(日本?(太田)>をその程度の存在としか思っていない、ということとしか考えられません。「親日」と言われる李登輝氏は、本音では日本を軽蔑しているのではないでしょうか。
 東日本大震災の時、台湾から多額の義援金が贈られましたが、この機密費の件を思うと、複雑な気持ちになります。

→世界では、日本人一般に対する評価は高いけれど、戦後の「属国」日本国の政府(政治家/官僚)に対する評価は低いのです。別段、台湾ないし李登輝に限ったことではありませんよ。(太田)

 それとも、この商品券の類はいわば「挨拶代わり」みたいなもので、国際政治の裏舞台では特に珍しいことでもなく、深く考える必要はないのでしょうか。

→代価いかんにかかわらず、首相クラスや次官クラスが「買われる」なんて、他国でも皆無ではないとはいえ、きわめて恥ずかしいことです。(太田)

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 いい記事だが、肝心なことが書いてないね。
 要するに、宗主国サマ(米国)は、日本に核武装能力を放棄させたくないのさ。↓
 原発同盟、維持迫った米 原発ゼロ閣議決定に「ノー」・・・
http://digital.asahi.com/articles/TKY201209240608....

 産経さんよ、こんな準社説を掲げるんだったら、一言、台湾の「尖閣攻勢」にも触れなきゃ。↓
 中国の尖閣攻勢 怯まずに対抗措置強めよ・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120925/plc1...

 狂信者・・共産主義者、ナチ、イスラム過激派・・との戦いに「宥和」は禁物だと説く。その通りだな。↓
 ・・・a war with a fanatical foe is first of all an ideological war, and in such a war, appeasement doesn't work. There are no defensive strategies. Any attempt to prove that you are right is a defeat. Any suggestion of compromise or acceptance of the legitimacy of your enemy's ideology is a sign of your weakness―which only provokes further attacks.・・・
http://online.wsj.com/article/SB100008723963904443...



#5745(2012.9.26)

 元外務官僚の宮家邦彦、
http://spysee.jp/%E5%AE%AE%E5%AE%B6%E9%82%A6%E5%BD...
前段についてはその通りなんだけど、ここで引用した後段で吉田ドクトリン墨守者である馬脚を露呈しちゃったねえ。
 尖閣問題での中共の攻勢が日本をより米国の側に押しやるってんだからな。属国以上に属国になるこたあできないんだよ宮家クン。↓
 ・・・Kunihiko Miyake, research director at the Canon Global Institute in Tokyo, says such an escalation remains unlikely in the near term, given the strength of Japan’s navy -- officially known as the Maritime Self-Defense Force -- and its alliance with the United States.・・・“China will not use force, because it would lose,” Miyake said.・・・
 “I’m sure China is making a big mistake. The harsher they are and the more assertive, the more they push us to America’s side,” Miyake said. “I personally thank them.”
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/s...

 そんなこと、米メディアに言ってもらわなくたって常識だろ。↓
 「右傾化」→「普通の国家並み」 米メディア、尖閣対立で日本側対応分析・・・
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120926/amr1209...

 君塚陸幕長は、島嶼防衛のことなど陸自はほとんど考えてこなかったというけど、日本の領域防衛のことなどほとんど考えてこなかった、更に言えば、そもそも、「防衛」(=戦争)のことなど余り考えてこなかった、というべきか。
 (より正確には、アジア大陸の大平原での戦争を漠然と想定して装備を調達し訓練を行ってきた、ということだろうね。(富士演習場や矢臼別演習場の地形を思え。))↓
 ・・・Eiji Kimizuka, Chief of Staff, Japan Ground Self-Defense Force:
“Until now, we haven’t paid much attention to island defense. Our capability for landing, amphibious tactics -- the area of expertise for the Marines -- is severely limited. I hope these drills will help us make strides.”・・・
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2012/09/25/can-...

 ロサンゼルスタイムスが、中共や台湾側の主張に沿った記事を掲載してるね。
 菅沼説には具体的根拠が示されていないが、いしゐのぞむさん等、何かご存じの方がおられたら、できれば同説への反論についても併せて、ご教示ください。↓
 ・・・The border between China and Liuqiu was an underwater trough to the east of the islands, making them clearly part of Chinese territory, wrote Japanese scholar Unryu Suganuma, in a study published in 2000. "There was no ambiguity about the Diaoyu islands being part of Chinese territory; these eight islets belonged to the Middle Kingdom, period!" Suganuma wrote.・・・
 <「尖閣」って、英国人水夫が"Pinnacle Islands”と名付けたのの邦訳なんだって。↓>
 The name Senkaku was a translation of "Pinnacle Islands," which British seamen had been using as a nickname for the islands because of their steep rock formations.・・・
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-f...

 ところで、太田コラムの批判(コラム#5743)を受けて(?)、尖閣問題で産経が台湾批判を展開したな。↓
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120926/plc1...

<TA>

 昨日、コラム#5743での「台湾機密費問題」に関する太田さんへの質問についてですが、私の質問の仕方が抽象的であったため、太田さんに上手く伝わらなかったようです。申し訳ありませんでした。改めてお聞きします。

 「そもそも、中共が台湾に攻撃を仕掛けること自体が日本に「独立」を促すことになるでしょうね。」(コラム#5195。太田)

 ↑私はこの言を、「台湾有事の際、日本は台湾に軍事介入するはずだ。」ぐらいの意味と解釈したのですが、コラム#26、#33での「台湾機密費問題」を知るに、日本(政府)に、果たしてそんな類の意思があるのか、大いに疑わしくなりました。

→集団的自衛権行使を禁じる憲法第9条の政府解釈は、(政府にたとえ軍事介入したいという意思があったとしても、)朝鮮有事だろうが台湾有事だろうが中東有事だろうが、日本が軍事介入するのは禁止だ、ということです。
 ですから、「大いに疑わしくな」ってもらっては困ります。(太田)

 「周辺事態」や「台湾有事」でググってみたのですが、政府がそういったものに関し公式に表明したものは探せませんでした(単に探し方が悪い、という可能性も大いにありますが)。一応↓

 「・・・台湾海峡をめぐる有事に備えた日米共同作戦計画は存在するのか。複数の日本政府関係者は「一切存在しない」と明言する。・・・」
http://www.asahi.com/strategy/0417a.html

 集団的自衛権の解釈の問題が絡むという理由から公式に何事かを言うことができないだけなのかも知れませんが、これでは、「親日」と言われる台湾に対しあんまりではないでしょうか。

→日本側が集団的自衛権行使を禁じられていることから、広義の「日米共同作戦計画」には、日本防衛に係るものとそれ以外のものの二種類があり、後者においては、日本政府ないし自衛隊は米軍が戦うのを後方支援するだけです。
 (自衛隊が戦うわけじゃないってことをしっかり頭に入れておいてくださいね。)
 さて、考えなければならないのは、日本は米国の属国であるということです。
 後者に関して、日本政府が宗主国米国に対してつくろうと提案する、なんてことはありえず、つくるとすれば、米国の指示があった場合だけであり、属国政府らしく、それに対してあらゆる面で消極的抵抗をしながら「協力」するわけです。
 思い起こせば、当時の防衛庁で私が共同作戦計画を担当していた30年前に、朝鮮有事の共同作戦計画をつくれとの指示こそ米国からあったけれど、台湾有事については何の指示もありませんでした。
 当時、台湾有事生起の可能性は低い、と米国は考えていたでしょうが、現在はありえない、とはさすがに考えていないはずです。
 にもかかわらず、どうして、今なお、米国が台湾有事の共同作戦計画作成を日本に指示してきた形跡がないのか。
 (他方、間違いなく、米国単独の台湾有事の作戦計画は、30年前も現在も存在するはずです。)
 上記記事の中に出てくる、米台共同作戦計画が存在せず、したがって、(同じく対中配慮から)台湾有事の米日共同作戦計画もまた米国につくる意思がない、という説は恐らく正しいのではないでしょうか。
 そんなことで大丈夫なのかと思われるかもしれませんね。
 確かに問題ではあるけれど、いざとなったら、朝鮮有事の日米共同作戦計画を若干手直しすれば、すぐ台湾有事の日米共同作戦計画が出来上がる、と米国が考えていて、その腹案を常に持っている、という可能性が大です。(太田)

 そしてその「親日」という件も、この機密費のやり取りからは、友情をカネでやり取りしているようにしか見えず、日本に対し凄まじい嫌悪感を覚えました。先の東日本大震災に対する台湾からの義援金も、その額の大きさが、逆に日本への侮蔑の大きさではないかと、嫌な妄想が膨らむのです。

→かつて支那で正統政府を担い、戦後は台湾政府を長く担い、現在もまた担っている中国国民党は、骨の髄まで腐った金権政党だったのであり、その母斑を今でも色濃く残している、ということは否定しませんが、ちょっと考え過ぎでしょう。(太田)

 台湾は、日本の友情を信じているのでしょうか。つまり、台湾有事の際日本が軍事介入をしてくれると考えている(信じている)のでしょうか。

→台湾のしかるべき人々は、日本が米国の属国であるともちろん認識しており、台湾有事の場合は日本の宗主国の米国が軍事介入してくれると信じているわけで、それで十分だ、と思っているはずです。(太田)

 日本の台湾への友情は本物なのでしょうか。すなわち、台湾有事の際、日本政府や日本国民は、軍事介入をする気があるのでしょうか。

→既に冒頭でお答えしました。
 こういった設問自体が成り立たない、ということです。(太田)

 それでは、その他の記事の紹介です。

 "signature strikes"というらしいけど、人が集まっただけで米無人機に攻撃される、パキスタンのアフガニスタン国境付近の住民はたまったもんじゃないねえ。↓
 Families are afraid to attend weddings or funerals, it says, in case US ground operators guiding drones misinterpret them as gatherings of Taliban or al-Qaida militants.・・・
 <無人機の攻撃による死者の98%が一般住民だっちゅうんだからひでえ話だよ。
 オバマよ、無人機多用戦略は見直しが必要だね。↓>
 The number of 'high-level' militants killed as a percentage of total casualties is extremely low – estimated at just 2% [of deaths]. Evidence suggests that US strikes have facilitated recruitment to violent non-state armed groups, and motivated further violent attacks … One major study shows that 74% of Pakistanis now consider the US an enemy."・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2012/sep/25/drone-...



#5749(2012.9.28)

<9yo3j8ni0>(「たった一人の反乱」より)

 <尖閣問題で>海外メディアはどちらかというと日本が悪いとみているらしい。↓
 CNNのような欧米メディアは原則中立だが、中国問題の専門家などのコメントは「領土問題に火をつけた責任は日本にある」というものが多い。
 ドイツは第二次世界大戦の戦争犯罪について真摯に謝罪してヨーロッパの一員になったのに、日本がいまだに中国や韓国から激しい抗議を受けているのは、戦後日本の謝罪が足りないからだ」という解説もあった。
 これは、慰安婦問題における韓国の主張とほぼ同じ。
 マイケル・サンデルが『これからの「正義」の話をしよう』で、日本は慰安婦問題で韓国に謝罪すべきだと書いたように、これは欧米の知識層では一般的な主張と考えた方がいい。
http://www.tachibana-akira.com/2012/09/4870

<太田>

 典拠がついてないこんな↑コラム、読むだけ時間の無駄だぜ。
 だから、そんなコラムを批判するのはもっと時間の無駄だが、キミのために出血大サービスを。(ちょっとだけよー。)

 まず、慰安婦の話は直接関係ないからここで持ち出すのはおかしい。
 次に、欧米メディアがコメントを求めない、或いは欧米メディアが参考にしない「中国問題の専門家」って、要するにインチキ専門家のことだよな。ピリオド。
 なお、「欧米メディアは原則中立」というが、ホントに筆者の橘玲とやらが「欧米メディア」にあたってるのか極めて疑わしいな。
 ボクは毎日あたってるけど、「欧米メディアは原則日本寄り」だぜ。
 記事への投稿も含めてそう断言できる。
 例外は、余りにも珍しかったのでコラム#5745でわざわざ紹介したところの、ロサンゼルスタイムスの記事くらいなもんだ。
 ああそうそう。
 たまたま、今日もう一つ発見したけど。↓
 
 “Japan never understood the force of nationalism other than their own, especially in China and the United States. Every country has fought the war one war at the wrong time, but Japanese thinking in the Pacific War was flawed in every way,” says Willmott. “I can see an armed conflict taking place (over Senkaku/Diaoyu). How would it turn out? God knows.”
http://nation.time.com/2012/09/27/history-threaten...

 こういう記事↑を読むにつけても、戦前も今も、支那(/朝鮮半島)や米国と比べて、日本は、人間主義文明というより高度な・・というか、より人間の本性に忠実な・・文明に浴していることで、何の因果か、ひどく誤解され、苦労させられている、と改めて痛感するねえ。

 関連記事を紹介しとこう。

 ニクソンは、日本を「独立」させて東アジア/西太平洋を日本にとりしきらせようとしてたからなあ(ニクソンドクトリン)。
 その期待に真っ向から背いた日本は、ホントに悪いやっちゃ。↓
 ・・・1971年・・・当時、尖閣諸島の日本返還に反対していた中華民国(台湾)は、沖縄返還協定の条文に「尖閣諸島の施政権はどこにも属さない」という一文を入れるよう米側に要求。これを受け、ロジャース国務長官やピーターソン大統領補佐官が、中華民国側の意向を反映させるようホワイトハウスに働きかけていた。
 しかし、ニクソン大統領は・・・6月・・・7日のキャンプ・デービッドでの会合で、「尖閣諸島の施政権返還は日本とすでに合意しており、今さらそんなことはできない」と強調、尖閣諸島を含めた沖縄の施政権を日本に返還する考えを明確に示した。さらに食い下がるピーターソン大統領補佐官に対し、「シャダップ(黙れ)!」と声を荒らげた。
 これに先立つ7日朝、キッシンジャー大統領補佐官は、ジョンソン駐日大使と電話協議し「領有権が日本と中華民国のどちらにあるかに関係なく、日本から引き受けた尖閣諸島を含む沖縄の施政権を日本政府に返すだけだ」と語っている。
 日米両政府は71年6月17日に沖縄返還協定に調印したが、ジョンソン大使のキッシンジャー大統領補佐官宛ての外交電文によると、ロジャース国務長官やピーターソン大統領補佐官、ケネディ繊維交渉担当特別大使らは調印直前まで中華民国寄りの助言を繰り返した。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120928/amr1209...

 ボクの声が聞こえたかのように朝鮮日報が中共批判を展開。↓
 中国は領土拡張の野心が自らの首を絞めることを知れ・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5753(2012.9.30)

<SA>

 <昨日のオフ会で話題にした>大礒正美氏のコラムについて<です。>

 「中華帝国に屈してはや40年」という表題のように中共は単に中国共産党独紙というだけではなく、旧態然とした中華帝国に堕したと言っていい状況ではないかと思われます。 <大礒氏の>コラムは以下の通りです。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/5562/c...

<太田>

 上記コラム中の「ソ連消滅の直後1992年2月、中国は領海法を制定して日本の尖閣諸島を勝手に中国領としたが、宮沢喜一首相は知らん顔をして10月に天皇訪中を実現させた。・・・  �讃�燭里い錣罎襦崔�紊押徃�澄�1978年)を自ら否定した領海法は、中国の大きな弱点であり、アキレス腱ともなりうる。日本政府はなぜそこを衝かないのだろうか。・・・」というくだりは、よい指摘だと思います。
 もっとも、自民党ってのは、一貫してそういう卑しい政党であったわけですが・・。

 しかし、「日本国民の多くは、<中国に>朝貢を重ねていることを自覚していない。・・・もう手遅れと諦めたら、沖縄もろとも日本全部が、<かつての琉球の中国と日本への両属と同じような、現在の日本の米国と中国への>「両属」を清算して中華<単独>の属国(向こうは属地と呼ぶ)になることは避けられない。」については、全く同意できませんね。

 属国(保護国)であるかどうかは、あくまでも法的な問題であり、日本は法的に、米国の属国ではあるけれど中共の属国ではないからです。

 なお、仮に華夷秩序的な意識が中共にあったとしても、朝貢に対しては、冊封された国の貢物にその数倍から数十倍の恩賜を与えなければならない
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E8%B2%A2
ところ、日本が一方的に「朝貢」(ODA供与)してきたことからすれば、それは朝貢とは言えませんし、百歩譲って日本が中共に朝貢してきたとしても、「朝貢それ自体には政治的な臣属という意味はなく、その点で冊封<(=宗主国・属国関係の樹立)>(注)とは区別される」(同上)のですから、日本が華夷秩序的に中共の属国(冊封国)になったともまた、到底言えませんよ。 

(注)冊封と言えるためには、「朝貢国」の側が、「「臣」の名義で「方物」(土地の産物)を献上<するとともに、>正朔を奉ずる(「天子」の元号と天子の制定した暦を使用すること)<必要がある。>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%8A%E5%B0%81

 大礒さん、よく存じ上げてますが、国際政治学者なんですから、こんな文学的なコラムを書いちゃいけませんや。



#5755(2012.10.1)

<太田>

 ところで、コラム#5673でそのコラムを紹介したところの、米海軍大学の准教授が、自衛隊だけじゃ尖閣を巡る中共との「戦い」に勝てないとする、以下のようなタイトルのコラムを、同じフォーリン・ポリシーに寄稿している。↓

 Japan could win a war for the Senkaku islands, but it wouldn't be easy. And certainly not without U.S. help.・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/09/28/r...

 彼の今度のコラムには首ひねっちゃうね。
 下掲の投稿者↓からも叩かれてるが、陸上自衛隊の尖閣配備を前提にしている点からしておかしい。

A:"The obvious way to ward off attack -- stationing garrisons and artillery on the tiny, resource-poor islands"
I have seen a lot of stupid ideas in my time but that might be the prize winner. This isn't a football game and nobody with the sense of a goose wants to do a goal line stand. You deny access by sea and air. Unless China can produce a few thousand troops that walk on water, you have defended those rocks.
When you talk Sea Air warfare you are talking high technology. China is a low tech shithole. Without free market consumerism, they will stay that way. Free Market consumerism would destroy the Chi-Coms, which is why it won't happen.・・・

 次のは、日本人とおぼしきハンドルネームの人による投稿だが、言ってることはその通りであり、日本側大勝利ということになるだろう。↓

B:China will lose for two main reasons: 1) Japan's Navy is the second largest in the world, has great operational experience, better subs, superior ASW, well trained and discipline, sailors. 2) Japan has a superior air force, with well maintained air craft and pilots. China on the other hand, has a Navy that lacks operational experience, poor maintenance of ships and aircraft that are out classed by what the Japanese are able to field. In the opening days of the war China will loose its fleet, and a lot of aircraft.

 先ほどのAがBの言ってることをコンファームしている。↓

A;Japan has the much superior naval quality - as long as the Japanese sailors are as brave and intrepid as their forefathers, they will defeat any major Chinese surface forces and thus control all access to the islands. Any PLA forces landed would then be cut off (but I don't think any Chinese or Japanese strategist is going to place ground forces in theater unless it is part of a campaign to completely destroy the other side's naval capability).

 Dも以上に同意。↓

D:Japan has quite a capable military and can probably focus more force on the islands than the PRC if they decide to do that. ・・・

 下のは、私がネグってきた点を指摘してる投稿だ。
 ここまではやらないとしても、尖閣周辺海域を少し広く危険地域である旨日本政府が宣言しただけで、中共の交通路は南北が遮断され、中共北部は干上がってしまうことだろう。↓

E:・・・the Japanese could simply inform all merchant vessels that they are considered hostile if they are coming or going to China.・・・

 尖閣に限らず、中共の領土拡張戦略を厳しく批判する投稿だ。↓

F:actually it is the PRC that is isolated. Japan, Korea, Taiwan, The Philiippines, Singapore, Malaysia, Vietnam, and Australia are all pretty united in making sure that the PRC doesn't pull this kind of power play against any of them. The PRC has to learn to act like an adult in the real world, and trying to intimidate its neighbors can only end in diaster for the PRC and its dictatorship.

 尖閣に関しては、海軍大増強につなげるための国内向けの中共のパーフォーマンスだとする投稿だ。↓

G:This cogent operational analysis fails to consider the real intention of the Chinese, to win popular domestic support for the onerous cost of building a world class navy in coming decades. The parallels to Tirpitz, the Second Reich and the Navy Law of 1899 in respect of Germany's nascent challenge to the Royal Navy during the Anglo-German naval rivalry are probably most instructive as to their true intentions.・・・

 ところで、同じ准教授の前回のコラムに対する投稿は、既に100数十本にも達している
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/08/20/t...
ところ、とてもじゃないが、目を通している時間がない。
 誰かざっと読んで、面白そうなのをピックアップして報告してくれない?

 そうだ、尖閣関連記事がもう一本あったな。↓

 広い意味での尖閣周辺に米空母機動部隊2、海兵遠征部隊1が集結!ってんだけど・・。↓
 ・・・Carrier groups and Marine task forces often operate alone, so the convergence of the three groups in a relatively small part of the Pacific represents an unusual concentration of firepower. ・・・
 <空母部隊1は横須賀、海兵部隊は沖縄のだから、要は地元の部隊だ。↓>
 The George Washington battle group and the Marine task force, both based in Japan・・・
 <また、空母ステニス率いる部隊は、米ワシントン州からイラン向けに中東に向かってる途中に他ならない。なーんだってなもんだね。↓>
 The Stennis is being sent from its homeport in Washington state to the Persian Gulf, four months ahead of schedule in response to the escalating crisis over Iran’s nuclear program. The Guam exercises allowed the Stennis to grab a few days of extra training with the George Washington group en route. The Senkakus are situated close to the major sea routes from Pacific to Mideast; it is unclear if the Stennis group is simply passing, by or will remain awhile.
 <それはともかく、釣魚(島)の読みが中共と台湾で違うとは知らなかったよ。北京語と広東語の違いなんだろな。↓
 The islands are called Diaoyu in China, and Tiaoyutai in Taiwan.・・・
http://nation.time.com/2012/09/30/big-u-s-fleet-ne...



#5757(2012.10.2)

<忍法帖>(「たった一人の反乱」より)

 やっぱり欧米メディアは日本の敵じゃんか!↓
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1001...

<0Ch2WMKQ0>(同上)

 ほいよ。

 【竹島問題】 海外メディア、相次ぐ韓国批判〜背後に日本政府がいる?★2
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/13472...

<太田>

 プッ! 面白いねえ。
 ボカあ、欧州のメディアはシュピーゲル誌の英語版だけしか読んでなくって、シュピーゲルは日本に批判的じゃないが、今次の(竹島と尖閣の)領土問題で欧州じゃあ日本に批判的な論調が多い可能性はあるな。
 他方、英米の主要メディアは、前にも述べたが、全般的に今次領土問題じゃ日本寄りだ。(FTで批判的な記事があるっちゅうんだけど、気が付かなかったねえ。)
 仮に欧州のメディアは日本に批判的だというのが正しいとすれば、要するに欧州のメディアの水準が低いからそういうこともありうるとしか言いようがないなあ。
 (だからこそ、ボクは欧州のメディアは基本的にフォローしてないのさ。)
 なお、下掲のWSJの記事なんか典型的な日本寄りの記事だ。↓
http://online.wsj.com/article/SB100008723963904441...
 面白いので、邦訳されていなそうなこともあり、本日の有料読者向けコラムで紹介するけどね。



#5759(2012.10.3)

 こういう愚民的説明をしちゃいけませんや、産経さん。
 中共軍が尖閣を奪取する前に米海兵隊(陸自?)を同島に展開させる? 奪取された尖閣に敵前着陸して米海兵隊(陸自?)による攻撃を敢行させる? 
 冗談でしょ。(太田コラムの読者ならなぜかは分かるよね。)↓
 ・・・オスプレイは、老朽化が進む現行のCH46ヘリと比べ速度、積載量、行動半径が2〜4倍になる画期的な輸送機だ。とりわけ行動半径が600キロに広がり、尖閣有事に普天間からノンストップで即応できるなど、中国の海洋進出や北朝鮮を牽制(けんせい)・抑止する能力が格段に強化される点は大きい。
 日本の安保環境が悪化する中で離島防衛のカギを握る輸送力、展開力、速度のどれをみても日米に必須といえ<る。>・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121003/plc1...

 こういう贔屓の引き倒しのコラムを掲載しちゃいけませんや、産経さん。
 「戦後レジームからの脱却」を志しているらしい安倍が、じゃ、なんで長ーく「戦後レジーム」そのものの自民党にいることに耐えられたんだよ。
 また、そんだけ精神的にタフ(マゾ)な人間がなんで首相の時にダウンするんだよ。
 ついでに言う。
 どうやら「戦後レジームからの脱却」を産経も望んでるらしいが、そんな産経が、長ーく「戦後レジーム」そのものの自民党命でやってきたことに慚愧の念を全く表明しないってのは一体どうしてなんだい?↓
 埼玉大学名誉教授・長谷川三千子 時代が安倍氏に追いついてきた・・・
 当時、安倍政権のかかげた「戦後レジームからの脱却」といふスローガン<は>・・・壮大な日本再生の大事業だつた
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121003/stt1...



#5761(2012.10.4)

 全然気が付かなかったなあ。↓
 NYタイムズ「中国に同情」 尖閣巡るコラムに日本反論・・・
http://www.asahi.com/international/update/1003/TKY...
 米紙「尖閣、日本の戦利品」・・・
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121003-OY...

 いしゐさん、こういう記事を見るにつけても、コラム#5745での、「<台湾島内の>薜坡蘭<が>まだ清朝の版図に入っていなかった<、従って、尖閣がもまた、清朝の版図に入っていなかった可能性がある>」の典拠、ご提示いただけませんか?
 また、コラム#5745での私の質問にもお答えいただけると幸いです。



#5763(2012.10.5)

 それだけじゃダメだ。中身の議論ももっと積極的にしなくっちゃ。↓
 尖閣、中国主張の矛盾追及 「70年代まで触れず」と政府・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20121004010019...

 讀賣のこんな議論は、典拠の具体性が欠けているので迫力がないこと夥しい。↓
 ・・・台湾についても、「東蕃」(東の未開地)と言っていた中国が領有したのは清朝の17世紀後半。領土北辺は、日本が台湾を植民地化した1895年以前には基隆嶼(台湾北端の小島)が公文書に記され、尖閣諸島は清国の領土からは除外されています。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qaworld/20121004-...

 ぜひ、1990〜95年に事実上の駐台湾米国大使を務めたNat Bellocchiによる、台湾の尖閣領有権主張に対する論駁を参考にして欲しいもんだ。↓
 ・・・ Chiang Kai-shek’s (蔣介石) Republic of China (ROC) did not start claiming the islands until 1971. Maps published by the ROC before that period did not include them in its territory, while in his diaries even Chiang himself referred to the islands as the “Senkakus.”・・・
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archive...

 竹島駐留の韓国の警官達は日本に敬意を抱き、日本人が大好きらしいよ。↓
 ・・・The police are happy to joke around, and two, at the urging of a cameraman Thursday, broke into an extended dance mimicking Psy, the South Korean pop star. Although the police spoke about their job seriously, saying they’d defend the islands to the death, some also acknowledged their neighbor as a friend more than an enemy.
“Japan has accomplished a lot,” said Jeong Eun-jae, 31. “I admire their economic achievement, their diligence. They’re nice people.”
 <日韓の指導層がイカンとこの記事は言ってるが、日本の指導層をここで引き合いに出すのは止めて欲しいね。↓>
 It’s at the two countries’ leadership levels that the rhetoric becomes less compromising.・・・
http://www.washingtonpost.com/world/s-korea-makes-...
 <新しく竹島の警官に応募した青年も熱烈な日本ファンだ。↓>
 ・・・Kwon Se-hyon, 19, is one of those who secured the posting. Mr. Kwon is a college student who grew up loving Japanese comic strips and animated cartoons and believing that Koreans have a lot to learn from Japan. Still, in April, he joined 150 police recruits competing for seven open slots on Dokdo, where 45 officers are stationed.
 “I didn’t want to miss this very special opportunity for a Korean man,” he said.
http://www.nytimes.com/2012/10/05/world/asia/south...

 ホント、韓国の指導層は、政治家だけじゃなく、知識人もダメだわ。↓
 ・・・問題は日本だ。今回の事態を口実にして、日本が平和憲法を破棄し、再軍備を公式化する方向にかじを切るのではないかと心配している・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5765(2012.10.6)

 台湾の学者が、尖閣についての中共/台湾側の主張を論駁するコラムを書いている。
 時間があるので、さわりの部分を訳すことにした。↓

 「・・・唐の時代に魏徴等によって書かれた随書
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%8B%E6%9B%B8 >
と、宋の時代に欧陽脩等によって書かれた新唐書
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%94%90%E6... 
がある。>
 この二つの書は、釣魚台列嶼(Diaoyutai Islands)が、現在の沖縄の古名である琉球の人々によって発見されたことを伝えている。
 当時は、釣魚台列嶼は、琉球と支那の間を行き来する船の目立った航海標識に過ぎなかった。
 それらは、琉球と支那のどちらも領有する意思のない、小さな諸島だったのだ。
 5世紀から15世紀にかけての約1,000年間は、人々は釣魚台列嶼の存在こそ知っていたものの、彼らはこの諸島に名前を付けることはなかった。
 オックスフォード大学のボードリアン(Bodleian)図書館のコレクションの中に15世紀に書かれた案内書があるが、その中で、東アジアにおける歴史的海路が、10を超える数、描写されている。
 この本は、釣魚台嶼をそのような名称で呼んだところの、最も初期の一次史料だ。・・・
 明と清時代の60を超える支那の文書の中で、不正確な記録である1つを除き、釣魚台列嶼を支那または琉球に属していると記録しているものは皆無だ。・・・

→この1つの文書って何なのでしょうね。
 また、それはいかなる意味で「不正確な記録」なのでしょうね?(太田)

 ・・・日本は釣魚台列嶼に対して1885年に先占宣言を行ったが、清政府は、その時もそれ以降も、それに対していかなる異議も発していない。
 清の後を襲った中華民国もまた異議を発していないし、中華人民共和国も1970年より前まで、一切苦情を申し立てていない。
 それどころか、同国は、釣魚台列嶼が日本に属していることを示すいくつもの地図さえ発行している。
 台湾の人々は、日本が、1895年1月14日に釣魚台列嶼に国章を設置した時、日清戦争はまだ終わっていなかったことを念頭に置くべきだ。
 清海軍は連敗を重ねていたけれど、清はまだ降伏はしていなかった。
 だから、釣魚台列嶼問題は、1895年4月17日に調印された下関条約とは関係がないのだ。
 ちなみに、下関条約で描かれた台湾の地図には釣魚台列嶼は含まれていない。

→「含まれていない」というのは、台湾の領域として海上に描かれた線の外に釣魚台列嶼があるということなのか、割譲されたところの台湾の領域を示す地図に釣魚台列嶼が描かれていないということなのか、描かれているのかいないのかはっきりしないけれど、釣魚台列嶼という名称は見あたらないということなのか、等を知りたいところですね。(太田)

 つまり、馬<台湾総統>は、釣魚台列嶼は日本に下関条約で割譲されたという声明を出したが、それは嘘だということだ。」
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archive...

 いずれにせよ、どうして、これだけ大問題になっている話なのに、日本の主要メディアの電子版は、台湾のメディアほどもまともな議論をしないのかねえ。



#5767(2012.10.7)

 理解不能。一番「危険な」転換モードを市街地上空でやる、という合意だったんだっけ?↓
 ・・・日米両政府が合意しているオスプレイの主な運用ルール・・・
飛行モード 必要な場合を除き、回転翼を上に向ける「垂直離着陸モード(ヘリモード)」での飛行は米軍施設・区域内に限る。回転翼を前傾させる「転換モード」での飛行時間は可能な限り短くする。・・・
http://mainichi.jp/select/news/20121007k0000m01010...



#5769(2012.10.8)

<XGpUWVN40>

 韓国ミサイル射程800キロに=北朝鮮全域カバー、米と合意
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012100700071

 日本に射ったりしないよね?ね?

<太田>

 はあ?
 確かに、朝日新聞も懸念の声を紹介してるみたいね。↓
 ・・・朝日新聞は・・・日本も西日本地域が韓国のミサイル射程距離内に入るため、警戒する見方もあると報じている。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 だけど、日本としちゃ、自国の代わりに韓国と米国が朝鮮半島において、専制的勢力に対する防波堤になってくれているところ、その防波堤がより強固になることはもろ手をあげて歓迎すべきだ。
 後述するように、われらが宗主国サマの米国は、その保護国日本に対して脅威にならないよう、韓国を善導してくださっておるので何の懸念もないのであるぞ。
 いずれにせよ、日本も、そろそろ、これまでの政策的禁忌を取っ払って、対陸上長射程打撃力の強化を図るべきだろうな。

 この際、おさらいをしておこう。
 今回の話は、1987年のミサイル技術管理レジーム・・大量破壊兵器の運搬手段であるミサイル及び関連汎用品・技術の輸出管理体制・・
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mtcr/mtcr.html
に基づく米韓ミサイル指針(韓国での呼称。英米のメディアは、agreementとaccordという二種類の言葉を用いている)(2001年に改正)の改正、という図式だということ。↓
 ・・・ the agreement・・・<between> South Korea <and>・・・the US・・・known as the Missile Technology Control Regime in 1987 to slow the spread of missile technology. Approximately 35 countries, including South Korea, are part of the pact.・・・
http://online.wsj.com/article/SB100008723963904436...
 <どう改正されたかは、以下のとおり。↓>
 ・・・Under a 2001 accord with Washington, South Korea has been barred from developing and deploying ballistic missiles with a range of more than 300km (186 miles) and a payload of more than 500kg (1,100lb) to avert a regional arms race. The restriction has made its missile capability inferior to that of the North and put key military sites out of range.・・・
 <韓国は既に、射程1000kmを超える(弾道ミサイルならぬ)巡航ミサイルを所有しているって話があるんだね。↓>
 Media reports say the South has deployed cruise missiles with a range of more than 1,000km, but officials have refused to confirm that.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2012/oct/07/south-...

 韓国は、依然、不平たらたらだ。
 (前にも言ったように、米国は、日本はほぼ全面的に信用しているが、韓国は全く信用していない。)↓
 ・・・米国は交渉過程で「韓国中部の基地から射程距離500<キロ>メートルのミサイルでも十分に北朝鮮全土を攻撃できるのに、なぜ800キロメートルが必要なのか」とし、550キロメートルの妥協案を示したこともあった。韓国政府は有事の際に韓国のどこからでも北朝鮮全土を対象に作戦展開できることが重要だとの論理で米国を説得した。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 ・・・専門家は北朝鮮の脅威だけでなく、中国、日本など周辺国による脅威に対処するためには、射程距離1000キロメートル、弾頭重量1トンが必要だと指摘してきた。しかし、韓国政府は米国の反対に配慮する一方、周辺国を刺激することを避けるため、射程距離800キロメートルで妥協した。・・・
 弾頭重量1トンについても、将来的に核弾頭やICBMなど長距離弾道ミサイルの開発に活用される可能性があるため、米国が強硬に反対したとされる。
 このため、韓国のミサイル能力は北朝鮮や周辺国に比べ依然遅れており、それが今回の指針改定の限界として指摘されている。
 中国は射程距離1万1000キロメートル、弾頭重量1.5トンのICBMを保有しており、日本はICBMに転用可能な3段固体燃料ロケットを持ち、2トン以上の弾頭を搭載可能と推定されている。ロシアもトーポリMなど射程距離1万2000キロメートル以上のICBMを実戦配備している。北朝鮮は既に射程距離3000−4000キロメートルのムスダンミサイルを実戦配備し、米アラスカまで到達可能な射程距離6700キロメートル以上のテポドン2号を開発中だ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 ・・・ 現在のミサイル指針では、固体燃料ロケットの性能は総推進力100万ポンド・秒(lb・sec)以下に制限されている。これは、日本のH2Aロケットの補助ロケットに使われる小型の固体燃料ロケットの10分の1レベルだ(H2Aロケットは今年5月に韓国のアリラン3号衛星〈重量980キロ〉を宇宙に運んだことでも知られている)。そのため韓国が開発している宇宙ロケットの1段ロケットは、全て液体燃料ロケットだ。液体燃料ロケットは固体燃料に比べて推進力の制御は容易だが、瞬間的な推進力が弱いという弱点がある。ロケット開発を進める国立研究所の研究員は「ミサイル指針の影響で、韓国では液体燃料ロケットしか使えない。これでは『片手落ち』と言わざるを得ない」と述べた。
 現在、日本は大陸間弾道ミサイル(ICBM)に転用可能な固体燃料ロケットを、米国の容認の下で自由に開発している。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5771(2012.10.9)

 これは、対領空侵犯措置についても言えることだ。
 (「自衛隊法第84条には着陸させるか領空外への退去の二つのみしか記述が無く、軍用機による侵犯行為であっても、それに対する攻撃について明確な記述は無い。ただ、正当防衛の観点からスクランブルの際に2機編成で対処中に1機が攻撃を受けた場合、もう1機が目標に対して攻撃を加えることは可能である。その一方で、侵犯機がスクランブル対処機以外の航空機や海上の護衛艦、地上の部隊等に攻撃を加えた場合、パイロットの判断でこれを撃墜する事は難しい。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%98%E7%A9%BA%E4... )↓
 ・・・ いま、懸念されているのは、尖閣諸島に武器を持った海上民兵が侵入し、不法占拠した場合だ。外国の軍隊による侵略である。防衛出動が命令され、自衛隊が自衛権を行使する事態だ。だが、これまでの解釈では、どこの国かわからず、計画的、組織的な攻撃とはいえない以上、自衛権発動の要件は満たさないとされ、防衛出動は命令されない。
 領土や主権を侵害する不法な暴力を排除できない自衛権とは一体、何だろう。主要国の軍隊は、部隊自衛といわれる「平時の自衛権」を行使して、侵害行為を撃退するが、日本は平時の自衛権を認めていない。集団的自衛権どころか、個別的自衛権ですらがんじがらめだ。・・・
 <だから、>領域警備と排除規定を自衛隊法に盛り込めばよい。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121009/plc1...

 これは、いわゆるマイナー自衛権の問題であり、日本国憲法解釈上、マイナー自衛権についての政府解釈が示されたことはない、と理解している。
http://www.maehara21.com/gijiroku/2002/march/3_28_...
 だから、この記事の言うように、単に自衛隊法(や海上保安庁法)を改正してマイナー自衛権行使規定を盛り込こむことができる、と考えられる。

 米国が韓国を全く信用していないと言ってきたが、その理由は、次の一連の記事を読むだけでも分かるよ。↓
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5773(2012.10.10)

 尖閣問題で千々に乱れる中共当局かな。↓

 「・・・日本政府は1953年の人民日報の記事を論拠として使用することを決定し、「中国はかつて釣魚島を日本領土と認めていた」と主張している。・・・
 <しかし、>人民日報のこの記事は1953年1月8日の4面資料欄に掲載された、日本語の資料から翻訳編集された無署名資料であり、論説でもなければ、ましてや社説でもなく、釣魚島の帰属に関する中国政府の立場を代表するものではない。いわゆる「中国側はかつて釣魚島が日本に属することを認めていた」との見解は成り立たないのである。(α)
 それだけではない。1953年人民日報のこの記事の政治背景と法理上の意義は、国際法上、政府の立場を代表するものと見なすことはできない。また、人民日報は決して弁舌が立ち、一句が一万句に匹敵するわけではない。人民日報は政治的操作と当時の歴史的視野による制約を受けており、ごく一部のミスを犯すことも避けがたい。しかもこうしたミスは永久的な法律的意義を持つものではない。(β)

→αが正しいのなら、βは言う必要がなかろう。ということは、βが正しく、人民日報がミスを犯したことを認めたことになる。(太田)

 ましてや後に1971年に米国が釣魚島の施政権を日本に引き渡した後、人民日報は繰り返し記事や声明を発表して立場を表明しており、これこそが法的効力を備え、最終的な要求を示しているのである・・・」

→しかし、今度は人民日報はミスなど犯さないと言っているに等しい。(太田)
http://j.people.com.cn/94474/7970381.html



#5775(2012.10.11)

 今度の人民網の反論は? いや、反論するかなあ。↓
 「60年の中国地図、尖閣は沖縄」 玄葉外相が反論・・・
http://www.asahi.com/politics/update/1010/TKY20121...
 ・・・中国民間保釣(釣魚島防衛)連合・・・<は>2004年には・・・7人が尖閣上陸を果たし、英雄扱いもされた。・・・民間保釣のスポークスマンをしていた李楠氏・・・に日本と中国の軍事力を比較して、どちらが強いと思うかと聞くと、彼は「もちろん日本の方が中国より軍事力は上だ。しかし、俺たちには決心・覚悟がある」という。・・・
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20121...

 キューバ危機が終わってから、実は、(米国がその存在を知らず)米ソ間の取引で抜け落ちていた、キューバ内のソ連の戦術核兵器をどうするかの問題が残ってたって。↓
 ・・・Long after the world thought the Cuban Missile Crisis had ended, with Soviet leader Nikita Khrushchev's withdrawal of his medium-range nuclear missiles announced on October 28 -- and two days after President John F. Kennedy announced the lifting of the quarantine around Cuba -- the secret crisis still simmered. Unknown to the Americans, the Soviets had brought some 100 tactical nuclear weapons to Cuba -- 80 nuclear-armed front cruise missiles (FKRs), 12 nuclear warheads for dual-use Luna short-range rockets, and 6 nuclear bombs for IL-28 bombers. Even with the pullout of the strategic missiles, the tacticals would stay, and Soviet documentation reveals the intention of training the Cubans to use them. ・・・
 <キューバに飛んだソ連のミコヤン副首相に対し、カストロは戦術核を残せと談判したが、ミコヤンははねつけたって。↓>
 Castro almost begged Mikoyan to leave the tactical warheads in Cuba, especially because the Americans were not aware of them and they were not part of the agreement between Kennedy and Khrushchev. ・・・
 But Mikoyan rejected Castro's pleas and cited a (nonexistent) Soviet law proscribing the transfer of nuclear weapons to third countries.・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/10/10/c...



#5777(2012.10.12)

 こりゃダメだわ。「支離滅裂」な反論にお口あんぐり。↓
 中国外務省・・・は・・・玄葉光一郎外相が1960年に中国で発行された世界地図には沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)が日本名で明記してあると指摘したことについて「支離滅裂な資料を持ち出している」と非難し<た。>・・・
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121011/chn1210...

 アワーさん、早くも呆けちゃったんかい?↓
 ジェームス・E・アワー 南西諸島に尖閣防衛の砦を築け・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121012/plc1...



#5779(2012.10.13)

 米国の有識者が2人して、在沖海兵隊をどうすべきかを提言している。
 面倒くさいこと言わず、廃止しちゃえばいいだけなのにねえ。↓
 <沖縄に5,000〜8,000人だけ残して、グアムならぬ米本土に引き揚げろって。↓>
 ・・・we would suggest leaving only 5,000 to 8,000 Marines on Okinawa and bringing the rest back to places like Camp Pendleton, California, rather than building new facilities for them on Guam. The United States would then station prepositioning ships with weapons and supplies for several thousand Marines in Japanese waters (to complement existing similar capabilities now already at ports in Guam) ・・・
 <海兵隊の固定翼航空機の運用を嘉手納米空軍基地でやらせることにし、同基地での航空霧発着を増やさないために、空軍の航空機の一部を三沢やグアムに移転しろって。
 また、有事のために、那覇空港に三本目の滑走路を日本政府につくってもらえって。↓>
 In addition, by agreement with Tokyo and the Okinawan prefectural government, the United States would seek authority to conduct some Marine Corps fixed-wing flights at the Kadena Air Base if necessary, provided the total number of takeoff and landings at that base decreases. To ensure that Kadena does not become busier on a day-to-day basis, the United States should base some Air Force planes now at Kadena elsewhere in peacetime --like Misawa in northern Japan, or even Guam. Finally, Japan could build a third runway at Naha international airport, which would aid the island's economy in peacetime and provide more capacity for U.S. and Japanese military use in crises or war.・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/10/12/s...



#5781(2012.10.14)

 日本周辺じゃ、旧ソ連をにらんで二個空母打撃軍が参加する演習、よくやってたよ。
 中共じゃ物足らないってんで、米海軍が、北東アジアより東南/西南アジアの方に関心がシフトしたっきりなのは当然だろう。↓
 米海軍第7艦隊の二つの空母打撃群が12日、インド洋北東域のアンダマン海で合同の作戦訓練を行った。
 第7艦隊によると、この海域で二つの空母打撃群が同時に訓練するのは初めて。インド洋沿岸の国々で港湾整備を進めるなど影響力を拡大する中国に対し、米軍は異例の訓練実施を通じてアジア・太平洋での存在感を改めて誇示する狙いとみられる。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20121013-OYT1T...

 陸自も米海兵隊の生き残りPR作戦に協力してるってわけだ。↓
 日米両政府は11月に沖縄県の無人島を使用し、自衛隊と在日米軍による共同の離島奪還訓練を実施する方向で調整に入った・・・。・・・
 訓練は敵に占領された島を奪い返す想定の下、航空機の支援を受けた陸上自衛隊と在沖縄海兵隊の部隊が上陸を行う内容になるとみられる。11月上旬〜中旬にかけて行う日米共同統合演習(実動演習)の一環として位置づける予定だ。
 防衛省は沖縄県の離島を含む南西諸島防衛を強化する方針を打ち出し、9月には陸自と米海兵隊が米領グアム島などで離島奪還訓練を行っている。陸自は現在、米海兵隊との連携強化を進めており、今月12日からは在沖縄米海兵隊司令部などへの若手幹部の研修派遣を始めている。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121013-OY...



#5783(2012.10.15)

 地理的意味での欧州の二巨大軍需企業の合併話がポシャッたことで、欧州の没落が決定的となったってさ。↓
 ・・・“Historians will see the collapse of the EADS-BAE deal as a huge moment, a landmark in Europe’s decline,” says Dr Louth of RUSI. Mr Grand agrees: “More than ever, the big risk ahead is that Europe simply vanishes from the security map.”
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/da7aaf10-1498-11e2-...



#5785(2012.10.16)

 なーるほど、こうやって日中間で収束を図ろうというわけか。
 当局の焦燥がうかがわれる。
 中日の釣魚島紛争の元凶は米国…
http://j.people.com.cn/94474/7977022.html

 ホントにやる気あるんかねえ。そもそも、話す相手を間違えてるぜ。↓
 自民党の安倍晋三総裁は15日、アジア歴訪中のバーンズ米国務副長官と党本部で会談し、「政権をとったら集団的自衛権の行使の解釈を改めたい。日米同盟強化にもなるし、地域の安定にも寄与する」と述べ、集団的自衛権の行使を禁じる政府の憲法解釈を見直す考えを示した。・・・
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210150381....

 どうもオカシイ。
 「日米合意の運用ルール」の解釈をめぐる議事録が意識的/無意識的に誤訳されているクサイな。↓
 オスプレイ:市街地上空で飛行訓練 ルール違反常態化か・・・
http://mainichi.jp/select/news/20121016k0000e03014...

 誰か反論を!↓
 「独島は鬱陵島の付属島しょ」 日本の公文書に記録・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5787(2012.10.17)

 国際法上、何の問題もない行為だもんねえ。↓
 中国海軍のミサイル駆逐艦など7隻が沖縄県・与那国島の南南東約49キロの接続水域を通過した。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121017/plc1...

 戦後一貫して、次に地球のどこで戦うことになるかを100%読み違えてきたのが米軍だとさ。
 いや、むしろ米国政府と言うべきだろう。↓
 ・・・In February 2011, Secretary of Defense Robert Gates told West Point cadets: "When it comes to predicting the nature and location of our next military engagements, since Vietnam, our record has been perfect. We have never once gotten it right, from the Mayaguez to Grenada, Panama, Somalia, the Balkans, Haiti, Kuwait, Iraq, and more -- we had no idea a year before any of these missions that we would be so engaged."・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/10/16/w...



#5789(2012.10.18)

<aQjLoznv0>(「たった一人の反乱」より)

https://mobile.twitter.com/hatoyamayukio/status/25...
 鳩山も、対米従属が日本の宿痾だと認識してるみたいだねー。
 自民党とは、その辺が全然違う。

<太田>

 まともな政治家や評論家と言えるためには、日本が米国の属国であることを認めることは必要条件、日本が勝手に米国の属国になってることを認めるのが十分条件だけど、鳩山にしても孫崎(下出)にしても、属国であることを政治スタンスの問題と捉えているのであり、この必要条件すらクリアしていない。

 「・・・孫崎氏は「鳩山政権が続いた場合、日本政府が原発再稼働(福島第1原発事故後に停止されていた)の行動を取ることも、消費税引き上げや沖縄への『オスプレイ』配備に同意することもなかっただろう」と指摘。・・・

→やれやれ、属国状態を自ら解消・・集団的自衛権行使の解禁が最低条件・・しない限り、日本は、重要な案件で宗主国米国の意向に反する言動はとれないの。(太田)

 孫崎氏は「どんなに強い民衆の抗議が起きようとも、米国が日本の領土から軍事基地を撤退することは永遠にない」と指摘。・・・」
http://j.people.com.cn/94474/7981135.html

→オヨヨ、これは論評にすら値しない。政府ですら属国である限りは米国に対して重要な案件で異議申し立てができないんだから、いわんや「民衆」をや。(太田)



#5791(2012.10.19)

 台湾の外相が詳細に尖閣領有権を主張する文章をフォーリン・ポリシー誌に載せた↓からには、日本の外相もただちに反論を同誌に載せなくっちゃな。
 日本の外務省のやる気と能力が問われている。
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/10/18/t...



#5793(2012.10.20)

 野田首相と言えば、改めて、日本が属国であることが露呈したっちゅうことだけど、野田首相が裏から手を回して米国政府を動かしていなかったとすれば、それこそ見損なったよ。↓
 原発ゼロ 閣議決定回避 米、外圧批判恐れ口止め・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20121020900704...

 事故率にしても重要犯罪発生率にしても、常に自衛隊等との比較で考えなければならないが、いつまで経ってもそうならないねえ。↓
 ・・・ 米政府が19日、沖縄での米兵による女性暴行事件から3日後に再発防止策を発表する措置を取った・・・
 米兵が沖縄で起こした事件をめぐっては、これまでも08年に在沖縄米軍などに対する全面外出禁止などの措置が取られてはきた。・・・
http://mainichi.jp/select/news/20121020k0000m01010...



#5797(2012.10.22)

 産経の記事ではあるが、やっぱ、野田首相はエライねえ。↓
 日本政府内では外務省に奪還訓練の実施に否定的な意見があった。対中配慮からだ・・・
 首相は防衛省側から共同統合演習について説明を受けると、奪還訓練を含め演習内容を了承した。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121021/plc1...

 ところで、朝鮮日報のこのフライング記事はなんじゃらほい?
 共同に続き、時事も廃業した方がいい?↓
 ・・・日米は来月予定していた沖縄県の無人島を使った離島奪還訓練について、中止した。時事通信は日本政府関係者の話として「首相官邸の意向だ」と報じた。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5801(2012.10.24)

 宗主国の知識人に教え諭してもらう属国民の恥ずかしさよ。
 もっとも、移民の積極的受け入れより人口減少を選ぶ、過半の属国民にはこんな説教も馬耳東風だろうが・・。↓
 ・・・もし日本が原子力発電をやめるのであれば、・・・
 当面は天然ガスに大きく依存するしかないが、日本は輸入しなければならないので、日本国内のエネルギーコストは他の先進国と比べて、2倍から4倍にもなってしまう。それは日本の産業の競争力に跳ね返る。日本はすでに最もエネルギー効率に優れた国だからこれ以上、上げることは難しい。結局、日本経済は減速することになる・・・
 世界各国に対して、核の安全を説くことができるのは、自ら原子力の運用を行っている国だけだ・・・
 世界で展開する商業用原子炉メーカー4グループに、日本の3社が入っているからだ。日本は商業用原子力エネルギー分野で世界の一大強国だ。しかし、原子力発電をやめてしまえば、その地位を失うことになる」
 「もしそうなると、これから原発が新たに建設されるのは主に、中国、インド、ペルシャ湾岸諸国、ロシアになる。しかしいずれも拡散防止を先頭に立って推進する国ではない。不拡散は、米欧日が主導してきたものだ。3極体制が崩れると、不拡散の目的を必ずしも共有しない国々がより大きな影響力を持つことになる。それは日本にとっても好ましいことではない。世界は今より大きな危険にさらされることになる・・・
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210230573....

 なんだ、結局、共同が正しく、産経が誤報(コラム#5797)だったのか。
 こんな誤報をとりつくろう記事を出すなんて、産経も見苦しい。
 そもそも、軍事的には意味のない、こんな政治的な共同訓練を、防衛省で一体誰が企画したのかが問題だな。↓
 日米合同の離島奪還訓練 「別の島」検討も断念・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121024/plc1...



#5805(2012.10.26)

 米国の指導層も必死だな。
 日本の反原発論者は耳をかっぽじってよく聞けよ。↓
 ・・・リチャード・アーミテージ元米国務副長官とハーバード大のジョセフ・ナイ教授は野田佳彦政権が打ち出した2030年代に原発稼働ゼロを目指す方針について「受け入れがたい」と強調した。・・・
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM26058_W2A021...

 タイム誌が、尖閣防衛の具体案を記事として掲げた。
 ボクがその必要性は少ない・・領域防衛の法制整備の方が先決・・と思ってることは皆さんご承知の通り。↓
http://nation.time.com/2012/10/25/a-modest-proposa...



#5809(2012.10.28)

 要するに共同のスクープ(コラム#5801)だったってことだわな。↓
 日米両政府は自衛隊と在日米軍の共同統合演習で予定していた離島奪還訓練をとりやめることにした。当初予定した沖縄県の無人島が地元の反対で使えず、代替地探しも難航したため。・・・
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210270645....

 野田内閣、緊急景気振興対策に予備費を充てる中で、海保の巡視船等を増やそうとしてるんだね。パチパチ。↓
 ・・・The cabinet of Prime Minister Yoshihiko Noda on Friday approved an accelerated plan to outfit the Coast Guard with \17 billion worth of new boats, helicopters and equipment.
 Those purchases were originally supposed to be included in a budget request for the next fiscal year, starting in March 2013. Instead, the budget for the new ships was slipped into monies disbursed at the end of this year as part of a \433.6 billion economic stimulus plan ― meaning the Coast Guard should be able to get its vessels a year early.・・・
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2012/10/27/the-...



#5811(2012.10.29)

 マジに日米共同作戦計画の策定に着手しようとしてるみたいね。
 これ、前にも(コラム#5745で)書いたように、着手すれば、さほど結果が出るのに時間はかからないだろう。↓
 中国念頭に日米協力重視 防衛ガイドライン見直し着手・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121029/plc1...

 話は逆で、これまた私がかねてから言ってきたことに照らし、沖縄が独立するように話を持って行くべきなんだよ。
 米軍にも、そして、程度の差こそあれ、自衛隊にも居て欲しくないのなら、沖縄は「怒り」を示してるだけじゃなく、独立を目指さなきゃならないし、そうしない沖縄人のどうしようもない汚さを我々本土人は糾弾しなきゃダメなんよ。↓
 ・・・日本政府や国民が沖縄の怒りを受け止めなければ独立論に火を付けかねない。普天間問題は日本の国家統一にもかかわる重要問題である。民主党を含む歴代政権にそうした意識があるのか。何とも心もとない。・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/C...



#5813(2012.10.30)

 米国のシンクタンクが横田の日米共同使用を勧める報告書を出した。
 ボクに言わせせりゃ、(共同使用すら受け入れない米国政府はどうかしてるけど、)そもそも、とっとと米軍は横田から引き払って、三沢ないし嘉手納で東アジア米軍のハブ機能を代替させるべきなのさ。↓
 Report: U.S. should allow Japan to use military air base for commercial use・・・
http://www.washingtonpost.com/world/report-us-shou...



#5815(2012.10.31)

 日本が拡大英国に続いて、アングロサクソンのインナーサークル入りする可能性がある根拠の一つだ。↓
 ・・・米国大手世論調査機関の「ピュー・リサーチ・センター」が「カーネギー国際平和財団」など他の4研究機関の協力を得て米国の中国認識について調査した。・・・
 「中国の世界パワーとしての登場を米国にとっての主要な脅威とみるか」との問いにイエスと答えたのは一般米国民で全体の52%・・・「中国を信用するか」との問いには一般米国民の68%・・・がノーと答えたという。同調査で「信用できる国」としてトップに挙げられたのはイギリスで、全体の78%、日本が第2位で62%だった。・・・
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120924/amr1209...

 その二つ目の根拠だ。↓
 <先の大戦のチャーチルの時まで、(拡大)英国の首相が米国を訪問したことはなかったし、先の大戦が終わった頃の広範な英国人は米国に怖れと不振を抱いていた。↓>
 ・・・No serving British prime minister until Winston Churchill had ever visited the United States, and the American way of life was widely suspected in Britain of being crass and alien. Alistair Cooke made it his task to rectify this.・・・
 Cooke managed to dispel the widespread fear and distrust of America that was felt in Britain after World War II.・・・
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-20121597



#5817(2012.11.1)
 …中国側は…釣魚島海域での海洋監視部隊の常態的なパトロールを実現し、釣魚島から12海里への進入を続け…た。釣魚島は無人島で何もないため、「管理」は象徴性と形式性が強い。中国側は事実上、すでに釣魚島管理のいくつかの区間の奪回を開始し、日本との「交差」を実現した。…
http://j.people.com.cn/94474/7999475.html

 日本としても、領海侵犯対処で武器使用を認める法整備を行うか、尖閣諸島に警察官を常駐させるか、といった方策を講じなきゃしょうがないね。



#5819(2012.11.2)

 中共の駐英大使がFTに尖閣問題で日本を非難する文章を寄せている。同じことを、当局は、中共の各国駐在大使にやらせている。日本の外務省の対応は見えない、遅い、不十分、の三重苦だな。↓
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/83440fd8-22c2-11e2-...



#5821(2012.11.3)

 台北タイムスは報じてないなあ。↓
 台湾、尖閣めぐり中国にも主張 日本領海への侵入に対し・・・
http://www.asahi.com/international/update/1102/TKY...

 竹島と尖閣の問題、とりわけ前者に途方に暮れている米国当局、という図式がよく分かる。↓
 ・・・ increasingly the context of Asian politics will be shaped by waves of identity politics. And as the United States deploys elements of geopolitics and grand strategy -- military forces, "enhanced credibility," diplomatic presence, "strategic partnerships" -- to deal with challenges that are essentially un-strategic, the limits of U.S. influence will be increasingly apparent. In the current Korea-Japan dispute, for example, as two erstwhile allies have traded blows and accusations for months, the United States has largely been relegated to the sidelines.・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/11/02/a...



#5825(2012.11.5)

<いしゐのぞむ>

 以前、日清戰役直前の尖閣史料にご關心をお持ちでした。それにつき、八重山日報にてまた新事實を公表しました。
 ご笑覽下されば幸ひです。
 「清國史料、また尖閣は國外、臺灣總統發見が逆證明、中臺の領有主張崩潰」
http://www.yaeyama-nippo.com/2012/11/05/%E6%B8%85%...

 葛瑪蘭(宜蘭)の南端から南は清國外なのですが、以前そこに疑問をお持ちでした。
 今囘の報道でもそこは書かれてゐません。
 調べれば分かることなので省略してゐるのですが、今度の機會に書きます。
 太田樣ご自身でお調べになっても良いと思ひます。
 とりあへず明治七年の臺灣出兵前に東南部が清國外であったことは既にご存知と思ひます。

<太田>

 存知ておりませんので、ぜひとも、ご教示願えれば幸いです。
 それでは、さっそく、上記記事から引用させていただきます。↓

 「・・・馬総統は1872年(明治5年)に清の周懋�函ΑΑΔ�紘�靴拭崛澗羶淦癲ΑΑΑ廚涼罎�蕁崢犁�滉」の�赫を��靴拭�
 該当箇所には「山後の大洋に嶼・・・あり、釣魚台と名づけらる。巨舟・・・十余艘・・・を泊・・・すべし」と記されていた。
 「山後」とは台湾島の東半分であり、文意は「台湾東側の大海に島があり、島名は釣魚台という。大船十隻余りが停泊可能である」となる。
 日本が尖閣諸島の領有を開始したのは1895年で、「全台図説」の成立はその23年前。馬総統の「発見」は、日本の領有開始前に、尖閣が台湾の領土だったことを示す証拠として、台湾外交部の公式文書中に採用された。・・・
 しかし石井准教授の調査によれば、「全台図説」のこの記述の原文は台湾東側中部の「奇来」(今の花蓮)の項目中に掲載されていた。
 清国は台湾全土を統治していたのではなく、東側中部の「奇来」は、東側北部の清国領である宜蘭県の外にあり、清国の国外でもあった。

→繰り返しますが、その根拠こそが決めてだと思いますので、ご教示のほど、どうぞよろしく。(太田)

 「全台図説」の前年、1871年出版の官製地理書「重纂福建通志・・・」の今の宜蘭県の項目にも、同じ記述が見られることが既に知られている。台湾・中国両政府はこれまで、尖閣が清国に属していた最有力の根拠として、この記述を挙げていた。
 石井准教授によると、同項目には、宜蘭県の領域は東北端が台湾東北海岸の「三貂・・・」までと明記されており、海に出ると清の国外になる。その東北170キロメートル先の海上にある「釣魚台」は当然、国外情報として記録されたことが分かる。
 1852年の官製地理書「葛瑪蘭庁志・・・)」にも釣魚台について、宜蘭県の境外、すなわち清国外に存在することを示す「蘭界外」と記されている。・・・」



#5829(2012.11.7)

 もともと、米国は、英領北米植民地時代から、恒常的な戦争状態にあったと私は指摘しているところだが、このところ、米大統領が議会の掣肘を受けずしていつでも超法規的に(攻撃的)武力行使するようになったことを憂慮の念でもって記したコラムだ。↓
 <2007年初頭、米空軍特殊戦戦用のAC-130が、ソマリア南部で対米テロリスト容疑者を空から攻撃したが、10人のソマリア人戦闘員が殺されたが、その中に当該人物はいなかったことが判明した。↓>
 ・・・<at the early January, 2007>, a U.S. Air Force Special Operations AC-130 gunship flying out of eastern Ethiopia fired at a convoy of suspected militants near the village of Ras Kamboni in southern Somalia. The targets were senior al Qaeda operatives allegedly involved in the East African U.S. embassy bombings in August 1998. However, Ethiopian troops and U.S. special operations forces that arrived after the attack confirmed that the targets were not in the convoy, although ten other suspected Somali militants were killed. As an American official later acknowledged, "Frankly, I don't think we know who we killed."
 <米議会で、議員から、いかなる権限でもってこの攻撃を行ったかを問われた、当時の米統合参謀本部議長は、その数年前に、国防長官と大統領から、世界中のアルカーイダ等のテロリスト網を追跡せよとの指示があった、と答えた。↓>
 After news broke of the U.S. military involvement in Somalia, Sen. Robert Byrd had the following exchange with Gen. Peter Pace, then the chairman of the Joint Chiefs of Staff, during a Armed Services Committee hearing:
BYRD: Under what authority were the airstrikes in Somalia executed?
PACE: Under the authority of the president of the United States, sir.
BYRD: What authority did he have? What did he base his authority on?
PACE: There was an order that was published a couple of years ago that received the proper authorities from the secretary of defense and the president to be able to track al Qaeda and other terrorist networks worldwide, sir. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/11/06/a...



#5833(2012.11.9)

 ついに、中共は、十全なる戦略核弾道弾搭載潜水艦システム保持寸前になったってさ。 要するに第二撃核戦力保持寸前ってこと。
 それは、中共が、対米核抑止力を持つに至ったことを意味する。
 これは、米国の核の傘の信頼性の低下を意味する一方で、日本への対中共用非戦略核兵器の配備の軍事的意義が大きくなった・・それを日本が保有するか少なくとも使用できればその意義は更に大きくなる・・こともまた意味する。↓
 ・・・China has had a largely symbolic ballistic missile submarine capability for decades, but it is only now set to establish a “near-continuous at-sea strategic deterren・・・
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/201...



#5835(2012.11.10)

 ペトレイアス(ペトラユース)はどうして不倫でCIA長官を辞任せざるをえなかったのか、が説明されている。↓
 <別件で彼のEメールを調べていたFBIが不倫を発見した。↓>
 ・・・The affair came to light as part of an FBI investigation into a potential security breach involving Petraeus’s e-mails・・・The investigation uncovered e-mails describing an affair between Petraeus and Paula Broadwell, a former military officer and co-author of a glowing biography of Petraeus・・・
 <昨年まで軍人だった彼は、不倫を犯罪としている米軍刑法の適用を受ける。↓>
 Petraeus, who retired from the military last year, is still subject to the Uniform Code of Military Justice, which classifies adultery as a crime.
 <もとより、そんなんでもって退役軍人が訴追されるようなことはまずありえないが・・。↓>
 Practically speaking, however, the odds are extremely low that the military would prosecute a retired officer for having an affair・・・
http://www.washingtonpost.com/world/national-secur...
 <米政府の最高レベルの秘情報にアクセスできるためには、多額の借金があっただけでもアウト。それに次ぐレベルへのアクセス権を得る際にすら、飲酒運転歴やアル中歴があったらアウト。(不倫をやるようじゃ、セックスを餌に情報を売っちゃう恐れがあるからもちろんアウト。)↓>
 ・・・Anyone applying for a Top Secret for Sensitive Compartmentalized Information (TSSCI) clearance would be denied for simply having any outstanding debt. Something as simple as a DUI or alcohol problem can endanger passing a Secret Clearance review, which is one lower than TSSCI (also referred to as a ‘need-to-know’). ・・・
http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/...

 だから↑、細野豪志なんてのは、日本が「独立」国家だったとすりゃ、不倫やった瞬間に、政治家として不適格という烙印を押されてしかるべきだったんだぜ。



#5855(2012.11.20)

 イスラエルの対ミサイル防衛システムを褒めちぎってる。↓
 <3人の死者は、全て、同システムに一時的に不具合が生じた時のもの。↓>
 ・・・As of Monday, Israel has reported three casualties, all of which occurred during a temporary malfunction in the missile-defense system.・・・
 <現在、5個システムからなる。一つ一つが半径45マイルをカバー。↓>
 Currently, five Iron Dome systems are deployed in Israel. Most are located in the south, near Gaza, and each operates with a 45-mile radius.・・・
 <迎撃ミサイルは、一本10万ドルだが、被害を受けた時のことを考えると、(人の死傷を度外視した場合ですら、)コスト的に引き合う、という計算だと。↓>
 ・・・the interceptors cost up to $100,000 each. The cost of rebuilding a neighborhood destroyed by a rocket attack―not to mention people wounded and lives lost―would be far greater than the cost of the interceptor. ・・・
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/ex...

 だからと言って、米国が東アジアや欧州で推進している対核ミサイル防衛システムも有効だ、ということにはならないというコラムだ。↓
 <まず、核弾道弾は、飛んでくるスピードが10倍速い。↓>
 ・・・this small battlefield system has been so successful against the relatively slow-moving short-range rockets doesn't mean that larger and much more expensive missile defense systems, such as the planned NATO system, will work against longer-range strategic missiles that move ten times as fast.
 <しかも、迎撃が宇宙空間(真空)で行われるし、核弾頭が積載されている。↓>
 Besides the speed of the quarry, there are two important distinctions between the systems: where the intercepts take place (in the atmosphere for Iron Dome vs. in space for the NATO system), and the nature of threat (conventional battlefield weapons vs. nuclear-tipped deterrent arms). ・・・
 <真空中で多数のデコイ(おとり)を使われると、それも本体と同じスピードで飛んでくるので、対処しきれない。↓>
 Any decoys would quickly slow down in the atmosphere and be rendered ineffective and so none are used.・・・
 <しかも、(このデコイ問題を無視したとしても、)8〜9割を迎撃できたとしても、残りだけでも当方が壊滅的被害を受けてしまう。↓>
 The possibility of stopping eight of 10 nuclear warheads, however, is less decisive in altering strategic calculations since even one nuclear explosion will inflict unacceptable devastation. ・・・
 <仮に100%迎撃できるようになったらなったで、ミサイルでない他のプラットフォーム・・例えば偽装船舶・・に核を載せて対象国の近くに待機させ、短距離飛行させて目標に命中させるようになるだろう。>
 The real danger of a strategic missile defense that works is that it may work to discourage the missiles -- without discouraging the nuclear weapons themselves. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/11/19/r...



#5859(2012.11.22)

 野田政権による原発廃止の閣議決定はずしは、宗主国サマに命じられたからではなく、民主党独自に決めたものであることがはっきりしたな。↓
 脱原発 崩れたシナリオ 仙谷氏「運動じゃない、政治だ」・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK...

 米国における将官クラスの軍人達の「天下り」を糾弾したコラムだ。↓
 ・・・ over the last three years, 70 percent of the 108 three-and-four star generals and admirals who retired "took jobs with defense contractors or consultants." ・・・
 <退職(再就職)後、1年間、国防省への働きかけを禁止しているだけ。↓>
 The Pentagon's rules only require a one-year wait before retired generals can contact former colleagues still at the Pentagon on behalf of their new employer.・・・
 <再就職が発表されると、受け入れた企業の株価が上昇する。↓>
 ・・・the Pentagon's revolving door across six administrations that investors widely expected that hiring senior defense officials would produce higher profits. ・・・
 <癒着がなきゃそんなことありえないだろとさ。↓>
 It is hard to think of other reasons for higher expected returns than conflicts of interest・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/11/21/j...



#5861(2012.11.23)

 背景事情がますますよく分かって来たね。↓
 ・・・ 政府が最終決定した新戦略は、原発ゼロを目指すのに、原発とは切っても切れない核燃料サイクルは維持−。古川自身が「原発賛成派、反対派の双方からたたかれた」と評すような矛盾した内容へと変わっていた・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20121123900714...



#5863(2012.11.24)

 なんで、「国防軍・核想定」や集団的自衛権行使が「右」なのかい、朝日サン。
 核恫喝を平気でやる中共、北朝鮮はさしずめ「極右」なんですかい?
 右に寄る自民・維新 「国防軍・核想定」・・・
 「尖閣を防衛するため日米の船が航行していて、米国の船が攻撃された時、自衛隊が米国を助けるか助けないかが、集団的自衛権を行使できるかできないかということだ。助けなかったら日米同盟は終わる」
 自民党の安倍総裁は23日、岐阜市内で講演し、集団的自衛権行使の必要性を強調した。・・・
 自民党の安倍晋三総裁は2007年の首相当時、有識者懇談会に行使について検討を指示。公海上で隣の米艦が攻撃された時や米国に向かう弾道ミサイルの迎撃で、行使を可能とすべきだとの結論を出した。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201211230753....
→ホント、危なかしくってしゃーないよ。
 ボクの言ってる、吉田ドクトリンを恒久化するための集団的自衛権の部分的解禁をやらかしそうだな。(太田)

 集団的自衛権の行使は野田佳彦首相の持論でもあるが、首相就任後は封印している。ただ、今年7月には「集団的自衛権の一部を必要最小限度の自衛権に含むというのは一つの考えだ」と国会で答弁。行使が合憲になる場合があるとの認識を示している。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201211230753....
→野田首相による民主党の安保政策の大転換とその再度の大転換は実に興味深い。(太田)

 野田佳彦首相(民主党代表)は23日、・・・「自民党の政権公約はすぐにでもできること、可能なことを盛り込んだと安倍氏は言っているが、憲法9条の改正を含め、国防軍というのはそう簡単にすぐできることなのか」と批判した。・・・
 日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長は23日のテレビ朝日番組で、国防軍について「(自衛隊の)名前を変えるのは反対」と言明。公明党の山口那津男代表も22日、「長年定着した自衛隊の名称をことさら変える必要性はない」と否定的な考えを示している。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121123/plc1...
→自民党は、自衛隊の国防軍への名称変更を、政府憲法解釈変更で行おうとしているのか、憲法改正で行おうとしているのかを明らかにすべきだ。
 前者だとすれば、集団的自衛権の部分的解禁とは論理的整合性がないぜ。(太田)

→野田政権は、具体面においては、引き続き、着々と安保政策を前進させつつある。↓
 日米、新型戦闘艦を共同研究へ 中国抑止の象徴に・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121124/plc1...



#5865(2012.11.25)

 コラム#5863で、「自民党は、自衛隊の国防軍への名称変更を、政府憲法解釈変更で行おうとしているのか、憲法改正で行おうとしているのかを明らかにすべきだ。」と書いたけど、自民党のサイトで11月21日付の「自民党選挙公約(案)」を発見・・案がとれたのを発見できず!・・ したところ、その本体中に「国防軍」という言葉は出てこない一方、「「日本国憲法改正草案」の主な内容」の中に、「自衛権を明記し、国防軍の保持を規定。」とあった
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/j_file2012...
ので、自衛隊の国防軍への名称変更は「憲法改正で行おうとしている」ってことになるね。

 なお、この「自民党選挙公約(案)」には、「政府において、わが国の安全を守る必要最小限度の自衛権行使 (集団的自衛権を含む)を明確化<する>」と記されているだけなので、政府憲法解釈変更でやろうとしている集団的自衛権の「明確化」が全面的なものなのか、それともつまみ食い(=宗主国サマご奉仕分だけ)なのかは、これだけ読んでも分からない。
 日本維新の会や主要マスコミは、この点で自民党を追及して明らかにさせるべきだ。
 どうして、みんなこんな重要な話を蔑ろにしてるんだろねえ。
 憲法改正など物理的にできやしない、というのは常識だし、そもそも日本の憲法には規範性がない、ともボクは考えているわけだが、とにかく、憲法改正して何々をやる、というのはやる気がない、やらない、に等しいとみなせばよろしい。
 他方、単に、(つまりは憲法を改正せずして、)何々をやる、と言っている箇所はやる気がある、やる、ということだから、きちんと中身を説明して欲しいし、説明してないのなら、その点を質さなきゃいかん。

 ついでだが、同じ「自民党選挙公約(案)」中の「統合運用、内部部局と各幕僚幹部 との関係の見直し、専門性に応じた自衛官と文官の適切配置(UC混合組織への改編 )、部隊運用組織の統合などを進め<る>」というくだりも重要だな。
 民主党政権がやらなかったので、自民党が次の政権の一角を担うようになったら、ぜひとも実行して欲しいね。



#5867(2012.11.26)

 野田首相が心にもない自民党批判を連発。彼の狙い通りに民主党は壊滅的敗北への道を着実に歩んでいるな。↓
 ・・・首相は25日のテレビ朝日の番組で・・・「(国防軍創設で)自衛隊を大陸間弾道弾を飛ばす組織にするのか」などと、安倍氏への批判を一段と強めた。・・・民主党の細野政調会長も25日のNHKの番組で「自民党に『普通の国』になって戦争をできるようにするという声がある」と指摘した。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/new... 前掲
 ・・・24〜25日・・・世論調査(電話)の2回目を実施した。衆院比例区の投票先は、自民が23%で、民主の13%を引き続き上回った。日本維新の会は9%で、伸び悩む民主に迫っている。 ・・・17〜18日に実施した前回1回目の調査では自民22%、民主15%で、今回少し差を広げた。維新は前回6%、維新と合併した太陽の党は1%。合わせると7%だった。維新は今回、近畿では14%だった。・・・
http://digital.asahi.com/articles/TKY201211250537....
 ・・・衆院比例選の投票先について政党名を読み上げて聞いたところ、自民党が25%で、衆院解散直後の前回調査(16〜17日、26%)に続いてトップとなった。太陽の党が合流した日本維新の会は14%で2番目だった。前回の維新の会と太陽の党を合計した13%と同水準で、両党の数字がほぼ移行した形だ。民主党は10%(前回13%)にとどまった。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/new...

 しかし、野田首相の期待に反し、依然、自民党の支持率が高すぎるねえ。

 一、世襲政党自民党。↓
 「政治資金の世襲」が法律で禁じられていないため、資金管理団体を子に引き継ぐか、親子それぞれの資金管理団体間で資金を移し替えることができる。一般人なら相続にあたる資産移転が、寄付行為として非課税になる。
 自民党も政治資金の継承は認めないとしていたが、今回の衆院選公約からは外れた。民主党が野党時代に提出した資金継承を禁じる政治資金規正法改正案もいまだに成立していない。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121126/stt1...

 二、癒着政党自民党。↓
 ・・・橋下徹大阪市長は25日、高知市での街頭演説で「『選挙で票をあげますよ』というのが業界団体と自民党の関係。民主党は公務員組合。だから天下りをなくせない」と批判し、維新の会にはしがらみがないと訴えた。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/new...

 三、ニセ・タカ派政党自民党。↓
 自民党の安倍晋三総裁は25日のテレビ朝日番組で、衆院選公約で示した憲法改正による「国防軍」保持に関し、自衛隊を国防軍に位置付ける場合は交戦規定の整備が必要になるとの認識を示した。・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20121125010017...

 これ↑は、自民党が政権を回復しても、交戦規定の整備も平和維持戦闘部隊の派遣も行わない、と宣言したに等しい。
 野田首相の大願を成就させるためにも、こんなどうしょうもない自民党じゃなく、(慎太郎や橋下が大っ嫌いでも忍び難きを忍び、)日本維新の会に投票を!

 防衛省も防衛産業も、どっちもボロボロになっちゃってるとしか思えないね。↓
 契約通りにF15戦闘機の偵察機への改修事業ができなかったとして、防衛省は受注した東芝(本社・東京)を相手取り、十二億円の違約金支払いを求める訴えを東京地裁に起こしたことが分かった。東芝はすでに、防衛省を相手取り九十三億円の代金支払いを求める訴訟を起こして<いる。>・・・
 防衛省と防衛産業との裁判は、ヘリコプターの関連経費三百五十億円の支払いを求めた富士重工業に続いて二件目になる。・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK...



#5869(2012.11.27)

<TA>

≫ボク<は>国内政局を見る<際、>・・・安全保障政策の観点から見るわけさ。というのは、日本は吉田ドクトリン墨守だが、世界はそうじゃないから、しかも、とりわけ宗主国サマがそうじゃないから・・ということは、世界、就中宗主国サマは安全保障政策を最重要視しているから・・日本の国内政局の動向だって究極的には安全保障政策で決まると考えていいってこと。≪(コラム#5843。太田)

 小泉政権時の自衛隊イラク派遣、鳩山政権時の普天間基地移設問題などが思い出されますが、「国内政局の動向」とは、この程度のことをおっしゃっておられるのでしょうか。戦後政治史において(などと言えるほどの知識はありませんが)もっとも国内政局が動いたのは先の政権交代だと考えますが、その選挙の際、安全保障政策がまともに議論され、それが対立軸となったとは全く思いません。
 「日本の国内政局の動向<が>安全保障政策で決ま<った>」先例をいくつか挙げて頂けないでしょうか。

⇒「2009年8月30日投開票の第45回衆議院議員総選挙にて、民主党は単独政党としては史上最多の308議席を獲得」したわけですが、「2009年・・・7月19日、鳩山は那覇市にて、普天間基地移設先について「県外移設に県民の気持ちが一つならば、最低でも県外の方向で、われわれも積極的に行動を起こさなければならない。」と述べ、県外移設へ前向きな姿勢を示した。」上、鳩山は<選挙公示前に刊行された>『Voice』(2009年9月号)に寄稿した論文私の政治哲学 のなかで、アメリカの経済政策や日米関係の現状を批判した・・・ところ、アメリカや台湾で「反米的」と報じられた。」ところです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A9%E5%B1%B1%E7... (「」内)
 まさに、この政権交代は、「究極的には安全保障政策で決ま」った、というのが私の認識です。
 なお、「安全保障政策がまともに議論され」ることは、鶏が先か卵が先かみたいな話だけれど、論理的には、日本が「独立」を果たすまではありえないでしょう。(太田)

≫すると、自公・立ち上がれ(太陽)・民主党(・社民/共産)の大きな政府志向に対するに維新・みんな・減税日本の小さい政府志向(市場原理主義 志向)という対立軸よりも、自(公)・立ち上がれ(太陽)・維新・減税日本の集団的自衛権行使に対するにみんな(・社民/共産)の集団的自衛権非行使という対立軸の方がより基本的な対立軸だということになる。・・・ということは、消費税だのTPPだの原発だのをめぐる対立なんてものは、どうでもいいくらい小さい対立だっちゅうことになるの。≪(同上。太田)

 要するに、かつて太田さんが願った通り、とは言わないまでも、それに近いようにことが運んでいる、ということですね?↓
 戦前の1940年における体制翼賛会の成立は、自由民主主義世界の中で日本が先駆けとなって無党派時代を切り開いた画期的出来事であったと私は理解しています。
 この体制翼賛会は、いかなる意味でも政党ではありません。綱領・宣言の類を持っていなかった・・・からです。
 こんなことが可能であったのは、当時の日本において、世界の他の自由民主主義国では考えられないことに、既に階級間対立も宗教間対立も人種間対立も地域間対立も基本的に克服され、存在しなかったからです。
 戦後の55年体制も形を変えた体制翼賛会の継続であり、自民党と社会党の対峙は、実質的には体制翼賛会内の主流派と反主流派の対峙でしかなかったのです。
 どこが違うかと言えば、戦前の体制翼賛会は独立国における体制翼賛会であったのに、戦後のそれは米国の従属国(保護国)の体制翼賛会である点です。
 つまり、私は本来日本は政党の存立基盤がない国であると見ているのです。
 しかし、戦後の日本が米国の従属国(保護国)であることからすれば、日本は米国から「独立」すべきか「独立」すべきでないのか、という対立軸をめぐって政党的存在が二つ存立し、対峙しても不思議ではないのではないでしょうか。
 私は、この対立軸をめぐって政界大再編がなされることを願っています。
 (当然のことながら、このような対立軸において、旧時代の遺物である公明党が存続する余地は皆無です。)(コラム#2230。太田)

<太田>

 イエース。
 野田首相は、あえて民主党・・自社スピンオフ組が中核・・を吉田ドクトリン墨守政党へと先祖返りさせることで、意識的にこの対立軸を創り出そうとしている(注)、と私は見ているわけです。

(注)「自民党を「タカ派」と位置づける一方、自らは「ハト派」と差別化を図る戦術のようだ。ただ、野田首相(民主党代表)の持論はもともと「自衛隊は軍隊」であり、「選挙目当ての変節だ」との指摘も出ている。・・・ だが、自衛官を父に持つ首相は民主党内では自衛隊への理解が最も深い存在だ。著書「民主の敵」でも、「実行部隊としての自衛隊をきっちりと憲法の中で位置づけなければいけない。自衛隊などといっているのは国内だけで、外国から見たら、日本軍だ」と記した。首相は元来、憲法改正、集団的自衛権の行使容認にも前向きだ。」
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/new...

 しかも、何度も指摘して来たように、野田政権は、「独立」に向けて日本の安全保障政策を着実に前進させてきた。↓
 <今年、カンボジアと東チモールの軍事技術者に災害救助と道路建設の訓練を施す、という軍事援助を、戦後初めて実施した。↓>
 ・・・Already this year, Japan crossed a little-noted threshold by providing its first military aid abroad since the end of World War II, approving a $2 million package for its military engineers to train troops in Cambodia and East Timor in disaster relief and skills like road building. Japanese warships have not only conducted joint exercises with a growing number of military forces in the Pacific and Asia, but they have also begun making regular port visits to countries long fearful of a resurgence of Japan’s military. ・・・
 <2009年に豪州と初めて共同訓練を実施したところ、今年には、インドと初めて共同訓練を実施した。↓>
 The Japanese Navy took a big step toward opening up in 2009 by holding a joint military drill with Australia -- its first such exercise with a nation besides the United States. It has since joined a number of multinational naval drills in Southeast Asia, and in June held its first joint maneuver with India. ・・・
 <現在、フィリピンの沿岸警備隊に10隻の巡視艇を供与する話が進んでおり、ベトナムに対しても考慮中。↓>
  Under the decade-old civilian aid program to build up regional coast guards, Japanese officials say they are in the final stages of what would be their biggest security-related aid package yet -- to provide the Philippine Coast Guard with 10 cutters worth about $12 million each. Ministry officials say they may offer similar ships to Vietnam.
 <防衛省は、来年、インドネシアとベトナムに対する軍事援助を2倍にする計画。北沢元防衛相は、この両国や豪州、マレーシアに日本の潜水艦を売るべきだと語った。↓>
 Japan’s Ministry of Defense said it planned to double its military aid program next year to help Indonesia and Vietnam. Vietnam could also be among the countries that Japan would allow to buy its submarines, according to a former defense minister, Toshimi Kitazawa, who named Australia and Malaysia as other possible buyers. ・・・
http://www.nytimes.com/2012/11/27/world/asia/japan...

 そんなアクロバットを野田首相が行うことを可能にしたところの環境整備を行った・・自民党を追い詰め、第三極勃興を促した・・のが、(本人にはそんな自覚は皆無に近かったと想像されますが、)鳩山元首相である、ということです。

<TA>

≫「自民党の安倍晋三総裁は25日のテレビ朝日番組で、衆院選公約で示した憲法改正による「国防軍」保持に関し、自衛隊を国防軍に位置付ける場合 は交戦規定の整備が必要になるとの認識を示した。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20121125010017...
 これ↑は、自民党が政権を回復しても、交戦規定の整備も平和維持戦闘部隊の派遣も行わない、と宣言したに等しい。≪(コラム#5867。太田)

 過去コラムでのご主張を紹介しなければ、太田さんが何を言っているのか分かり難いと思います。↓

 コラム#0083
http://blog.ohtan.net/archives/50955750.html

<太田>

 おっしゃる通りですね。
 引用していただき、ありがとうざいました。



#5877(2012.12.1)

 民主党の宗主国からの「独立」志向が、最後に(?)再確認された。↓
 パレスチナ「国家」日本賛成…外相「総合判断」・・・
 米国が決議に反対したことについて、玄葉氏は「米国とは緊密に協議をしており、日米関係には影響はないと思う」と述べた。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121130-OY...

 それにしても、イスラエルの国際的孤立は痛々しい。↓

 ・・・Israel won the support of just nine countries・・・
 France switching sides and Germany abandoning a pledge to vote against. Among EU nations, only the Czech Republic supported Israel.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2012/nov/30/israel...
 ・・・138 nations, voted for the recognition, with 41 abstaining. ・・・
http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/...
 どうして、米国がこの決議案に反対せざるをえなかったのかが説明されている。↓
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/ex...

 宗主国サマの議員先生方のご芳志にはただただ感激するのみ。↓
 米、尖閣防衛を再確認 異例の明記、上院修正案を可決・・・
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121130/amr1211...



#5881(2012.12.3)

 米国防省のDIAがスパイを一挙に増やすという。
 他方、CIAはドローンによる「戦闘」を大々的にやっている。
 つまり、米国では、諜報機関の軍隊化と軍隊の諜報機関化が同時並行的に進行しつつあるわけだ。
 この評価はともかくとして、そもそも、諜報機関を持たない日本は、どうしょーもないって感が否めないね。↓
 The Pentagon will send hundreds of additional spies overseas as part of an ambitious plan to assemble an espionage network that rivals the CIA in size・・・
 The project is aimed at transforming the Defense Intelligence Agency, which has been dominated for the past decade by the demands of two wars, into a spy service focused on emerging threats and more closely aligned with the CIA and elite military commando units.・・・
 Through its drone program, the CIA now accounts for a majority of lethal U.S. operations outside the Afghan war zone. At the same time, the Pentagon’s plan to create what it calls the Defense Clandestine Service, or DCS, reflects the military’s latest and largest foray into secret intelligence work.・・・
 <ただし、DIAは、CIAと違って、情報収集以外のことは、依然やることを禁じられている。↓>
 Unlike the CIA, the Pentagon’s spy agency is not authorized to conduct covert operations that go beyond intelligence gathering, such as drone strikes, political sabotage or arming militants.
 <ただし、当然のことながら、DIAは国防省の軍事部門に情報を与え、軍事部門にその目標を攻撃させることができるし、やってきた。↓>
 But the DIA has long played a major role in assessing and identifying targets for the U.S. military, which in recent years has assembled a constellation of drone bases stretching from Afghanistan to East Africa.
 <問題は、DIAに対する議会によるコントロールがCIAより制度的に弱いことだ。↓>
 The expansion of the agency’s clandestine role is likely to heighten concerns that it will be accompanied by an escalation in lethal strikes and other operations outside public view. Because of differences in legal authorities, the military isn’t subject to the same congressional notification requirements as the CIA, leading to potential oversight gaps.・・・
http://www.washingtonpost.com/world/national-secur...

 ノルウェーの研究所が、次第に平和になってきたが、未来は一層平和になると予言。↓
 ・・・the number of ongoing conflicts will be halved by 2050 ― with the greatest decrease coming in the Middle East.・・・ Between now and 2017, India, Ethiopia, the Philippines, Uganda and Burma will all be at greatest risk of internal conflict. By 2050 that list will narrow down to India, Nigeria, Sudan, Ethiopia and Tanzania.・・・
http://newsfeed.time.com/2012/12/01/a-future-witho...



#5883(2012.12.4)

 どんどん世界が平和になりつつあるってのはウソだというコラムだ。↓
 <ここでは引用しなかったが、人口爆発の時代にあって、一人当たり戦死者(或いは、戦死者プラス一般住民犠牲者)数が減ったからといって、戦争が減った(平和になった)ということにはならないとよ。戦争の数でいくと、20年前に頂点に達し、現在その3分の2の水準だが、ベトナム戦争の時代と数は変わらないし、やはり、引用しなかったが、最近また増えつつあるってさ。↓>
 ・・・the number of wars is down by over a third since the peak 20 years ago, but ongoing conflicts today are still more than double the totals seen in the years from the end of World War II until the mid-1950s, and are equal to the numbers of wars ongoing during the Vietnam era. It is hard to describe this as a world in which war is on the wane. ・・・
 ・・・there is another alarming trend that has been getting under way・・・
 <現在、大部分の戦争は、失敗国家ないしは失敗国家予備群で起こっていると。そう。日本の自衛隊/国防軍の存在意義があるとすれば、これらの戦争を回避し、或いは早期解決するためのものなのさ。つまり、昔の例で言えば、奴隷解放のためのものなのさ。↓>
  Most of the conflicts that fall into this category will occur in failed or failing states・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/03/t...



#5887(2012.12.6)

<豊丘時竹>(2012.12.2)http://d.hatena.ne.jp/toyotoki11/20121202

 ・・・「溝口敦の切り込み時評(日刊ゲンダイ、毎週月曜連載)」に「106)信金立てこもり事件をどう見るか(12年11月26日)」と題して、反消費税増税、反TPP、反原発を唱える政党を、大新聞テレビが取り上げないと述べている。
 これらは、太田述正氏は、集団的自衛権問題の対立より小さいとしていたが、溝口敦氏は取り上げてくれた。読者諸氏、願わくばリンク先から「溝口敦の仕事」をお読みいただきたい。なんとなればコピペしようしたが、できなかったからである。
 私は、集団的自衛権の宣言と同じくらいに反TPPは大事だと考える。集団的自衛権宣言、反TPP、続原発の立場をとる。・・・

<太田>

 集団的自衛権の話は日本政府のガバナンスを回復するかどうかの話なので、他のあらゆる事柄より大事なのです。

 また、TPPについてですが、TPP並、或いはそれ以上の大きな動きが今始まっています。
 既に存在するNAFTAと現在進行形のTPPに続き、TAFTA・・Trans-Atlantic free-trade agreement、通称経済NATO(economic NATO)構想が米・EU間でまとまりつつあるのです。
 この構想がまとまり、実行に移されれば、その結果、この三つが合体することになり、先進自由世界は単一の巨大な経済共同体を形成することになります。
http://www.washingtonpost.com/opinions/david-ignat...
 私は、安全保障面でNATOを(集団的自衛権行使を解禁した日本を含む)全先進自由世界を包含した共同体に発展的解消させることを望んできたのですが、どうやら経済面が先行しそうな感じになってきました。
 TPP参加の是非は、以上のようなことも踏まえて、ご検討願いたいと存じます。



#5889(2012.12.7)

 米国では現在でも歩兵・機甲・砲兵には女性はなれないが、砲兵はともかく、近接戦闘を少人数の戦友で行うところの、歩兵・機甲、とりわけ歩兵には、戦友的紐帯(band of brothers effect)が男女混合でも築き得るかどうか、検証がなされるまでは、女性は入れるべきだはない、とするコラムだ。↓
 ・・・Today women are excluded from three branches of the ground services: artillery, armor and infantry. I have no problem with integrating women into the artillery. I commanded an artillery brigade in the 1980s where women served as gunners. Fifteen of my battery commanders were women, and they performed spectacularly. I still hear from some of them who retired recently as colonels. Artillery is okay for women because the purpose of the guns in battle is to deliver firepower against a distant enemy, not to engage in close combat・・・
 The precious and indefinable band of brothers effect so essential to winning in close combat would be irreparably compromised within mixed-gender infantry squads.
 The military has only about 7,000 squads. This thin red line is already fragile from overuse in Iraq and Afghanistan. For the moment I have to side with my infantry comrades in arms. Let’s get the data, study the band of brothers effect to make absolutely sure women will fit in before we take the plunge・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/not-yet-tim...



#5891(2012.12.8)

 「どんどん世界が平和になりつつあるってのはウソだというコラム」(コラム#5883)に対してピンカー他1名が反論している。↓
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/07/h...



#5893(2012.12.9)

</ebbJOSZ0>(「たった一人の反乱」より)

 太田読者だけど民主党に投票したら駄目なん?

<VOHrVJK70>(同上)

 そうだよ。
 自民党に投票しないとダメだよw。

<太田>

 バッカモン!

 第一に、自民党は人口減少問題に取り組む意欲がまるでないぜ。↓
 ということは、同党には、そもそも、安全保障感覚なんてないってことさ。
 ・・・民主党は、前回の09年衆院選で「チルドレン・ファースト(子ども第一)」を掲げ、子育ての社会化を実現するための施策を打ち出した。今回のマニフェストでも「3歳未満の保育施設利用者を5年間で36万人増やす」などの子育て支援策を並べる。
 一方、自民党は、総合政策集で「子どもは社会が育てる」という民主党の主張を「誤った政策」と断言。「子どもは家庭が育てる」と訴え、柱の一つとして「育休を取りやすい環境整備などで、ゼロ歳児に親が寄り添って育てられる社会の推進」を掲げる。・・・
http://news.infoseek.co.jp/article/mainichi_201212...

 第二に、自民党に票を与えすぎたら、(維新と組む必要がなくなり、)かえって、こんな公明党↓を「タカ」派的政策に同調させることも、同調しなければ同党を切り捨てることもやんなくなるぜ。
 公明党の山口那津男代表は・・・日本維新の会の石原慎太郎代表が「核兵器に関するシミュレーションぐらいやったらいい」と発言したことについて、「広島も長崎も世界から核兵器をなくそうとがんばってきた。その広島の心を踏みにじるような政党は許すことができない」と厳しく批判した。
 また、山口氏は自民党が憲法改正の発議を定める96条の改正を主張していることについて「9条改正にストレートに結びつくのであれば慎重に考えなければならない」と記者団に語り、否定的な見解を示した。
http://www.asahi.com/politics/update/1208/TKY20121...
 ・・・集団的自衛権の行使は長い間、政府が、必要最小限の自衛権の行使を超えるものということで憲法上許されないと解釈してきた。自民党政権のもとでも、そういう解釈が実行されてきた。ですから、解釈でにわかに変えることは、国の内外に懸念を持たれる。混乱をもたらすことも心配なので、今はこれを変える必要はない。まして、憲法改正をしようということは、今の現実の政治課題ではないと思っています。これが、公明党の基本的な考え方です。・・・
http://www.asahi.com/politics/update/1208/TKY20121...

 第三に、自民党に票を与えすぎたら、同党と業界との癒着が一挙に回復しちゃうぜ。↓
 ・・・自民、公明両党が政権を奪還しても参院では過半数に届かず、「ねじれ国会」の対応など難しい政権運営となる見通し。業界団体の関心は来夏の参院選にも向かい、民・自両党を推薦してリスクを回避する動きも目立つ。
http://mainichi.jp/select/news/20121209k0000e01010...

 自民党の憲法政策についてだが、安全保障基本法なんていらない、政府憲法解釈変更だけでやれ、というのがボクの見解だが、中身については、これでイイね。
 (集団的自衛権を狭く解禁することをは考えていないようである点。)
 問題は、安倍総裁がホントにこれ↓をやる気があるのかどうかだ。
 ・・・自民党は七月の総務会で国家安全保障基本法の制定を決めました。まだ法案の概要しかありませんが、次に政務調査会が詳細な中身を定めていきます。
 法案の概要をみると、第一○条「国連憲章に定められた自衛権の行使」は、国連憲章五一条の規定を根拠に集団的自衛権の行使を認めています。第一一条「国連憲章上の安全保障措置への参加」は、国連安保理決議があれば、海外における武力行使を認める内容となっています。・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial...

 これまで言ってきたことを繰り返すが、断じて集団的自衛権を細切れにしてはならない!
 それをした途端に、永久に自衛隊の存在意義が、ほぼ消滅してしまうからだ。↓
 ・・・日米同盟は日本の安全保障政策の基盤であり、東アジアの安保環境は厳しさを増している。今後、日米の共同対処が求められる場面も想定されよう。日米同盟の効果的な運営に集団的自衛権行使が必要だとする政治的要請が強くなっている。具体的には、共同行動している米艦防護、米国に向かうミサイルの迎撃が議論となることが多い。
 これらは集団的自衛権行使の限定されたケースにとどまっているとも言える。
 しかし、自民党の憲法解釈によると、集団的自衛権の行使について憲法上の制約はない。歯止めを設けるとすれば、法律(国家安全保障基本法)によるとの考えのようだ。

→何度でも言う。安全保障基本法なんていらない!(太田)

 これでは、憲法が他国の領土における武力行使も容認していることになってしまうのではないか。北大西洋条約機構(NATO)加盟の英国は集団的自衛権の行使としてアフガニスタン戦争に参加したが、憲法上は日本も参戦が可能となる。

→これ↑と「米国に向かうミサイルの迎撃」のどこが違うのよ、毎日サン?(太田)

 現憲法が他国の領土、領海での戦争参加を認めているとは到底考えられない。集団的自衛権行使を容認するよう憲法解釈を変更するとしても憲法による歯止めは必須である。

→とんでもない!(太田)

 集団的自衛権をめぐる議論の中には、現憲法の下でも、「日本の実体的権利が侵害されている」と認定される場合には、その行使が容認される余地が生まれるとの解釈もある。その場合は「日本の防衛との緊密性、一体性」が要件となる。たとえば、いわゆる「周辺事態」において共同行動している米艦防護はこれにあたろう。この議論では、「緊密性、一体性」なしには集団的自衛権は行使できない。これは憲法上の制約である。・・・
http://mainichi.jp/opinion/news/20121209k0000m0700...

 ついでだけど、野田首相の最近の「奇異な」言動↓についてのボクの解釈は、自民党と維新に「危険な動き」をさせるために、あえて行ってるってことであることは、皆さん、ご存じのとおり。
 ・・・自民党が自衛隊を国防軍にする憲法改正草案を発表したのは今年4月で、この時は全く問題にならなかった。
 野田首相の言動は多分に自民党が「危険な動き」を強めていると有権者に印象づける選挙戦術として持ち出された側面が強い。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121209/plc1...



#5895(2012.12.10)

 時代は劇的に変わったである。
 (FTの歴史観には違和感を感じるが、ここでは書かない。)↓
 フィリピン外相によれば、フィリピンは、その平和憲法を脱ぎ捨てた(shorn of)日本が再軍備することを、中共の次第に募る軍事的自己主張(assertiveness)に対する平衡力(counterweight)として強く支持する。
 「我々はそのことを大いに歓迎する」とアルベルト・デル・ロサリオ(Albert del Rosario)はファイナンシャルタイムスのインタビューで語った。
 「我々はこの地域内のバランスをとる諸要素を探し求めており、日本は顕著なバランスをとる要素たりうる」と。・・・
 それ自体が日本の植民地であったフィリピンの、この日本再軍備に対する態度は、自己主張をする中共に対するこの地域における怖れが日本による戦時中の侵略的(aggressive)諸活動の諸記憶に勝ち始めているかもしれないことを示唆する。・・・
 7月に、日本とフィリピンは、人的技術的交流を通じた軍事的協力を強化する5か年協定に調印した。
 日本は、12隻の哨戒船をフィリピンの沿岸警備隊に提供しつつある。
 これは、<日本からの>ソフトローンとODAの組み合わせによって資金が確保される。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/250430bc-41ba-11e2-...



#5897(2012.12.11)

 人民網の記事を通じて野田内閣の功績に改めて感銘を受ける。
 それにしても、この記事、日本の再軍備、更には核武装の恐怖に怯え、間接的に中共当局を批判している、と読むこともできそう。
 …昨年12月に日本政府は武器輸出三原則の大幅な緩和を発表。…今年6月、日本の国会は原子力基本法とJAXA法改正案を可決。前者では「安全保障に資する」との条項が追加され、後者では「平和目的」の条項が削除された。…今年7月に日本政府の「国家戦略会議」は「集団的自衛権」の承認を野田内閣に提言。野田内閣は国会で積極的に議論する方針を表明した。…
http://j.people.com.cn/94474/8052419.html

 米国の国家情報会議(NIC)が、2030年までにはアジアの総合力が欧米全体を上回る、と予想。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-20671917
 この記事だけだと、日本や豪州等がアジアと欧米のどちらにカウントされているのか定かじゃないけどね。
 現時点で、既に日本を入れても欧米は世界GDPの58%で国際貿易の40%に過ぎないけどね。↓
 ・・・The West comprises 58 percent of global GDP and 40 percent of international trade when you include Japan. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/10/d...

 ワシントンポストが靖国神社に関する記事を、またもや、昔の名前で出ています的な内容でまとめて、載せてた。
 そのうち、FTのように、日本周辺諸国を含む、日本における時代の激変に、ワシントンポストも呆然と立ち尽くすことになるぜ。
 (実は、時代が激変したんじゃなく、単に、日本人等が当たり前の認識に戻っただけのことだけどね。ポイントは、日本兵が支那で行った乱交に目を奪われてはならない、ってっことに尽きる。)↓
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/i...



#5899(2012.12.12)

 例の比外相の日本再軍備希望論について、朝鮮日報はただちに事実のみを伝えてお茶を濁し、
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 人民網は一日置いてようやく腰の引けた論評を行った
http://j.people.com.cn/94474/8053740.html
 どちらも、受けた衝撃の大きさを物語っている。

 北朝鮮による今回の発射、過去5回の長距離弾道弾の発射中、最高の出来だったみたいね。↓
 North Korea launched a multistage rocket Wednesday that, according to initial reports, traveled the entire distance of a projected course, making it potentially the most successful of the country's five attempts at long-range missile technology.・・・
http://online.wsj.com/article/SB100014241278873240...

 中共当局、人民網日本語版以外では、激しく噛みついてるな。↓
 フィリピン外相の「日本再軍備歓迎」発言、中国紙が批判・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 米国防省のDIAのスパイ増計画(コラム#5881)に上院が待ったをかけた。
http://www.washingtonpost.com/world/national-secur...



#5901(2012.12.13)

 計画的に移民を入れないと偏っちゃうぞー。
 …日本は…静かに両手を広げ中国移民を歓迎している。…特にサービス業<において>…。…在住の中国人の数は昨年、67万4879人に上った。…どの国の移民よりも多く、1984年当時の10倍<だ。>…
http://j.people.com.cn/94473/8055557.html

 米国の対韓国不信と借り物技術依存が根本原因だろ。
 韓国の宇宙ロケット「羅老号」が打ち上げの失敗や延期を繰り返しているのに対し、北朝鮮が…「銀河3号」の発射に成功したため、「韓国版スプートニク・ショック」が到来したと評する声が出ている。…
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 補足だ。
 韓国のロケット技術 北朝鮮より5〜7年遅れ?・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 ・・・<まだ成功していない、しかも純国産ですらない韓国の>羅老号と<今回の北朝鮮の>銀河3号の最も大きな違いは燃料と、これを燃やす酸化剤だ。羅老号は燃料にケロシン(灯油)を、酸化剤に液体酸素を用いる。液体酸素は極低温、超高圧下で液体になるため、打ち上げの直前に注入する。液体酸素を注入した後、長い間放置すると気化し、蒸発してしまうためだ。
 羅老号打ち上げ推進団の趙光来(チョ・グァンレ)団長は「北朝鮮の銀河3号は、常温で保管できるヒドラジンを燃料に、硝酸を酸化剤に用いているため、固体燃料を使用するミサイルと同じといえ、その気にさえなればすぐにミサイルとして転用できる」と指摘した。ヒドラジンと硝酸は猛毒のため、ミサイルを宇宙ロケットとして発展させた中国以外の国が、宇宙ロケットに使用することはほとんどない。
 二つ目の違いは、ロケットの各段の構造だ。羅老号はロシア製の第1段ロケットの上に、固体燃料を用いる韓国製の第2段ロケット(キックモーター)をつなぐ構造なのに対し、銀河3号は液体燃料を用いる3段のロケットをつないでいる。建国大の李昌鎮(イ・チャンジン)教授(航空宇宙情報工学科)は「ICBMに転用された場合、宇宙で楕円(だえん)軌道を描きながら、遠く離れた地点を攻撃できる。銀河3号のように、ロケットが3回に分けて力を出す構造のものは、このような点で有利だ」と指摘した。
 大半のICBMは3段式ロケットだ。これに対し羅老号は、1段目が大気圏を離れる際に全ての力を使い切り、第2段ロケットは衛星を軌道に投入する役割だけを担う。これでは、ICBMのように宇宙で楕円軌道を描いて遠方に飛ぶことはできない。・・・
 北朝鮮はまだ十分な機能を有する人工衛星を製作する能力がないのに、先に運搬手段を手に入れたため、国際社会から疑いの目で見られることになった・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 ・・・人工衛星の機能を果たすには、最低でも500キログラムほどの重量が必要だが、北朝鮮が打ち上げたのはわずか100キログラムで、人口衛星と見なすのは難しい・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 北の「人工衛星」は制御不能?…信号の形跡なし・・・
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20121213-OYT1T...
 韓国政府と韓国軍当局は、北朝鮮が射程距離1万キロ以上の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を確保したものと判断している。射程距離に関しては1万3000キロ以上とする見方もあるが、北朝鮮から1万キロといえば米西部、1万3000キロは米本土のほぼ全域が射程圏内に入ることになる。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 (ただし、後出参照。)

 ところで、いくら産経でも、この記事はホントらしいな。↓
 ・・・水面下では日本政府は「発射近し」との情報を得ていた。一方、「ミサイルを発射台から一時撤去」とみていた韓国政府には、米政府が不信感から詳細な衛星情報を提供していなかったという。・・・
 玄葉光一郎外相は12日の記者会見で、情報を遮断された韓国とは異なり、日本政府には米側から時々刻々と発射施設の動きが伝わっていたことを示唆した。
 ミサイルの探知・迎撃にあたる自衛隊幹部も「12日の発射はあり得ると身構えていた」と振り返る。・・・
 複数の政府高官によると、米政府はいったん撤去して以降の新たな情報は日本側に伝えるだけで韓国ルートは遮断したとされる。ある高官は「分別なく韓国から情報が漏れることに業を煮やし制裁を科した」と指摘する。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121213/plc1...

 ところが、全然分かってなさそうな朝鮮日報。↓
 ミサイル:韓米日3カ国が判断ミス・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 さて、昨日のg4reL5Ws0クンの指摘にもかかわらず、有権者の潜在意識の中では安全保障上の危機意識が大きく働いてるんじゃないか。さもなきゃ、自民党がどんどん支持率を増やしている理由が説明できまい。↓
 中国公船が3日連続の領海侵入・・・
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121213/crm12...
 衆院選期間中に北朝鮮の弾道ミサイルが発射されたことで、東アジアの厳しい安全保障環境が改めて浮き彫りになり、各党の安保政策は、選挙戦終盤の焦点となってきた。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/new...
 北朝鮮ミサイル:与野党、外交路線の違い鮮明に・・・
http://mainichi.jp/select/news/20121213k0000e01011...
 衆院選:公共事業拡大へ回帰 自公、「老朽化」を強調・・・
http://mainichi.jp/select/news/20121212mog00m01001...
 これ↑だって広義の安全保障マターだ。

 尖閣だって北朝鮮ミサイルだって、日本にとってまだ現実の安全保障上の脅威じゃない(注)が、一般有権者はそうは受け止めていないはずだ。

(注)北朝鮮は、まだ。「核兵器をより小型化してミサイルに積む<技術>と、ミサイルがいったん大気圏の外に出てから再び大気圏内に突入する瞬間、高熱に耐えられる技術<の>確保」をしていない。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201... 前掲

 いずれにせよ、忘れちゃならないのは、自民党の主流派は一貫して「ハト」派だったということであり、現在でも、下掲↓の河野発言からも推察できるように、「ハト」・バネは強いということだ。だから、維新にもっと勝たせないと、「タカ」派諸政策は現実化しないだろうってこと。
 衆院選:河野元衆院議長ら、日本の右傾化を懸念・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 それにしても、丹羽 宇一郎せよ、米倉弘昌せよ、日本では、政治家だけじゃなく、財界人の劣化にも凄まじいものがあるな。↓
 経団連会長、安倍氏に謝罪 「全面的に経済政策を支持」・・・
http://www.asahi.com/politics/update/1213/TKY20121...



#5903(2012.12.14)

 オイオイ、何のために空自はAWACSを、(超高い)大4機、小10機超も持ってるのさ。大失態じゃん。
 …自衛隊のレーダーでは…中国のプロペラ機(Y―12)1機の領空侵犯…を捕捉できなかった。低空飛行のため、捕捉できなかったとの見方がある。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121213-OY...

 E-767はどこへ行った?↓
 ・・・今回、空自の地上レーダーでは中国機を捕捉できなかった。自衛隊トップの岩崎茂統合幕僚長は13日の記者会見で「今後このようなことが起こらないよう対策をしていく」と強調した。・・・
 地上レーダーの「弱点」を補うのは、空自三沢基地(青森県)配備のE2C早期警戒機。空自は那覇基地のE2Cの拠点化計画を進めているが、防衛省幹部は「計画を前倒しし拠点化を急ぐべきだ」と指摘する。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121214/plc1...

 世界はより平和になっていない、との主張に対するピンカーらの反論(コラム#5891)に対して、元コラムの筆者(コラム#5883)が再反論している。↓
 ・・・There are significantly more wars going on in the world today than there were 60 years ago -- per the Human Security Project's own listing -- and more people are getting killed in or dying directly from them. All too many of the victims are noncombatants. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/12/s...

 北朝鮮の核戦力が米国にとってまだ脅威じゃないのは、昨日言及した二つの理由(搭載可能な小さな核弾頭の開発にまだ成功していない+大気圏再突入技術をまだ確立していない)に加えて、液体燃料を使ったロケットなので固定サイトから打ち上げなければならず、攻撃して破壊することが容易+そもそも、搭載可能弾頭重量がまだ小さい、という二つの理由があげられている。(なお、日本にとっては、この4つのうち、最初のが一番重要だ。)↓
 ・・・it is unlikely that North Korea has developed a warhead small enough for delivery by its missiles, and it has not yet flight-tested a re-entry vehicle to carry such a warhead. Additionally, its liquid-fueled missiles would have to be deployed at stationary sites, making them vulnerable to pre-emptive attack. ・・・it can't carry enough payload to be of any significant threat. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/12/p...



#5905(2012.12.15)

 最初に、民主党で「選挙戦スタートの段階で「純化」の作業は終わってい」たかどうかについて一言。
 選挙について少しでも知識があれば、「純化」・・私の言う野田党化・・が終わってるワキャないことが分かるハズだ。
 民主党に関しては、一年生議員の大部分やその他の議員の多くは、風で当選しただけで、ジバンもカンバンもカネも乏しい。
 しかし、民主党そのものには、カネ(政党助成金)とジバン(労組票等)がふんだんにある。
 彼らが、民主党から出て新党に移れば、この二つを失っちまう。
 他方、ひょっとして新党には若干なりと風が吹くかもしれない。
 というわけで、野田に人間として私淑するか、あるいは野田のとってきた政策に賛同するかどうかはそっちのけで、民主党に残るか新党に移るか・・場合によっては旧党(例えば自民党に移るか!)・・という究極の選択を行った結果、ダメ元で民主党に残った議員、つまりは「不純な」議員がたくさんいるに違いないってことさ。
 こんな「不純」な議員は、当然、有権者に見透かされて、今回の選挙で落選することになり、その時点で、ようやく民主党の「純化」はほぼ達成されることだろう。

 さて、これからが本題だ。
 野田首相の外交・安保戦略のホンネの解明に引き続き、遅ればせながら、中共当局の対日政策のホンネを解明できたように思う。
 要するに、ボクが開陳した野田の外交・安保戦略のホンネなんて、このところ外国の風にあたってないために、外交・安全保障感覚が若干風化してるボクなんかより、中共当局の方がよほど前から的確に見抜いていたに相違ない。
 つまり、野田が、対米配慮もしつつ(注)脱吉田ドクトリンに向けて着々と布石を打って来たことに、中共当局は、危機意識を募らせ、だからこそ、尖閣購入に野田が動き出した時に、これを石原の動きを奇貨とした実効支配強化策だと深読みして、過剰なまでの反応をした、と考えられるんだな。

(注)例えば「ミサイル:日米が九州にXバンドレーダー配備へ 2006年の青森に続き・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 そして、それを契機として、中共当局が、尖閣で次々に攻勢に出ているのも、そして北朝鮮のミサイル発射に微温的態度をとっているのも、日本の有権者を刺激することで、「タカ」派の(ただし実際にはいまだに「ハト」派の)自民党に政権を奪取させるためだ、と考えれば、平仄が合う、と見るわけだ。
 他方、消費税を通したことで民主党敗北を予見していた野田は、中共当局のこんな意図を読み切っており、自民党が政権復帰した場合に、自分がやってきた脱吉田ドクトリン路線が後戻りするようなことがないよう、あえて吉田ドクトリン的な民主党マニフェト等を打ち出し、自民党や維新との違いを際立たせることで、この両党の尻を叩いて脱吉田ドクトリンにコミットさせ、逃げられないようにした、とボクは考える。

 この関連で、昨日の記事だが、朝鮮日報に参考になる話が載っている。(吉田ドクトリン云々ズバリじゃないけどね・・。)
 中共当局も野田も、自民党と維新をこんな風に見てるって思った方がいい。↓
 ・・・自民党<が>・・・政権獲得後、尖閣諸島(中国名:釣魚島)に公務員を常駐させたり、「竹島(独島の日本名)の日」を政府主催の行事に格上げしたりすることで、韓国や中国との関係が極度に悪化し、経済にも悪影響を与えかねない・・・。日本は今年、貿易赤字が予想されるなど、景気が悪化の一途をたどっているが、ここで中国との争いが深刻化した場合、経済に悪影響を与える可能性が高い。
 東京大の木宮正史教授は「安倍総裁はかつての首相在任中に靖国神社を参拝せず、中国や韓国を訪問するなど現実的な外交を繰り広げただけに、今度も公約通りには行動しないのではないか」との見方を示した。だが、公約を実行しなければ、極右の石原慎太郎・前東京都知事が率いる日本維新の会はもとより、自民党の右派からも攻撃を受けかねない。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 関連でもう一つ。
 タイム誌は、自民党と維新を合わせても支持率が3分の1に達していない、つまりは両党のアジェンダが有権者の広範な支持を受けていない以上、自民党が政権を回復したところで、何ほどのことができようか、と切り捨てる記事を載せている。↓
 ・・・the LDP・・・isn’t limning the popular mood, with little more than 20% support. ・・・
 The JRP’s popularity ratings barely break 10%・・・
 Sadly, the polls on Dec. 16 won’t bring much change on either front. Japan will muddle on.
http://world.time.com/2012/12/14/a-nervous-japan-s...

 これも、同趣旨の記事だな。(前の方で述べたことともからんでる。)↓
 <今の日本では、大衆と(政治)エリートとの間に断絶がある。↓>
 ・・・there is a profound disconnect between elite alarmism and public quietude.
 <ただし、石原のおかげで、自民党と大衆はちょっとは右傾化した。↓>
 Ishihara's antics have succeeded in one respect, however: pushing the LDP and public discourse to the right on foreign policy.・・・
 <また、タカ派が首相になった時に後退しちまうのを石原と橋下が懸命に止めようとするだろう。↓>
 Ishihara・・・<and> Toru Hashimoto,・・・two nationalist firebrands will work hard to keep the LDP honest and prevent the moderate backsliding that usually occurs when a hard-line candidate becomes national leader.
 <しかし、米国同様、選挙の帰趨を決めるのは外交(・安保)じゃない。安倍はせいぜい米軍との協力度を高めることに限定した集団的自衛権解釈変更でお茶を濁すだろう。↓>
 But,・・・Like in the United States, foreign policy doesn't decide Japanese elections. ・・・Abe will probably secure a reinterpretation of the constitution to stretch the envelope of what is deemed constitutional, without tabling legislation or revision, allowing for expanded security cooperation with the United States.
 <そもそも、安倍は見かけほどタカかどうか疑わしい。前回彼が首相になった時もすぐ中共訪問をして関係修復を図った。今回も似たようなことになる可能性がある。↓>
 Nor is it clear that Abe will be as hawkish as his rhetoric suggests. Last time he was premier, he quickly moved to thaw ties with China by visiting Beijing. There are hopes that he will again try to hit the reset button on bilateral ties and reach out to China's new leadership. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/14/t...

 いずれにせよ、こんな記事は完全なピンボケだな。↓
 ・・・中国機による日本の領空の侵犯は過去に例がない。このタイミングで従来より一歩踏み込んだ挑発を行った背景については、「衆院選で日本側に『政治空白』が生まれている隙をついた」(首相周辺)との見方が出ている。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121214-OY...

 ようやく、E-767のお出ましだ。
 森本防衛相、空自出身だというのに、領空侵犯されちゃってからあわてて弥縫策を講じるなんて、チトひど過ぎるんじゃないの。
 もう先が短いから、誰も辞任を要求してないが・・。↓
 政府は・・・高度な航空機の識別能力を持つ空中警戒管制機(AWACS)やE2C早期警戒機の飛行を増やして監視の“穴”を防ぐ方針だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20121214010020...
 米、尖閣領空侵犯で「懸念」 中国に直接伝達・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20121215010011...



#5909(2012.12.17)

 最後に、海外の反応を紹介しておこう。

 まず、中共当局だが、以下の記事からも推測できるように、安倍政権誕生を歓迎しており、尖閣での攻勢を、さしあたり、手控えることになるだろう。↓
 ・・・12月<初頭、>・・・中国国際問題研究所の晋林波研究員はこう発言した。 「実績と中国とのご縁を考えれば、次の日本のリーダーに小沢一郎氏、または安倍晋三氏がなれば、中日関係の改善は期待できるのではないかと考えている」。彼はその理由について「前回も安倍氏は、首相になる前はタカ派的な発言を繰り返したが、政権発足後は靖国神社参拝問題などで非常に柔軟な対応をとった」と説明した・・・
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1601D_W2A211...
 ・・・中国現代国際関係研究所日本研究所の馬俊威副所長は開票前の中国メディアの取材に対し、・・・安倍氏は・・・日本企業の中国における利益を守るため、経済面などで温和な対中政策を取る可能性がある。・・・」と語った。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121216/elc1...
 安倍政権誕生歓迎のウラには、戦後長きにわたって中共当局が自民党議員達(その2世、3世を含む)と人脈、金脈を通じて築き上げてきた緊密な関係がある。(典拠省略)

 それにひきかえ、韓国(朝鮮)には、国際情勢分析能力が(1900年前後と同様)欠如している感が否めない。
 日韓関係、懸念の声広がる 自民の竹島公約めぐり 韓国・・・
http://www.asahi.com/international/update/1216/TKY...
 ・・・メディアは、中国の習近平新指導部との摩擦<が>避けられないと見通している。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121217/kor1212...
 <後段こそ正しいが・・。↓>
先日、韓国の新聞に「極右・野田が極右に警告」という記事が東京発で出ていた。・・・
 野田首相はこれまで「領土問題では不退転の覚悟」を語り、武器輸出三原則の緩和や集団的自衛権の行使容認検討などを主張していたのに、選挙を意識し姿勢を変えているというのだ。・・・
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121124/kor1211...

 英国の専門家の見解も中共当局と同じだ。↓
 ・・・"For all his nationalist credentials, I suspect Abe will be more pragmatic," said John Swenson-Wright, senior consulting fellow for Asia at Chatham House. "If he's in this for the long game and wants to last longer as prime minister than he did the first time, he certainly has the motivation to be more pragmatic."・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2012/dec/16/japane...(前掲)

 米国だが、まず、右派のWSJから。
 これも同工異曲だな。
 ・・・If Mr. Abe follows through on these largely symbolic moves, relations with much of Asia will deteriorate. But it is more likely they are signals that he intends to stand up for Japan's interests. During his 2006-07 premiership, he followed a pragmatic path, and relations with China were cordial following a visit to Beijing. The Japanese public is uninterested in foreign adventures and deeply attached to Japan's postwar self-image as a peaceful nation. ・・・
http://online.wsj.com/article/SB100014241278873244...

 以下は、すべて左派だ。
 ロサンゼルスタイムスも上と同じだ。↓
 ・・・Many political analysts・・・believe that Abe's supporters will drag him back to the center after the election, with economic concerns trumping foreign relations.・・・
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-f... (前掲)

 ワシントンポストも同じだ。
 むしろ注目すべきは、同紙が、(本来の意味での)ホームページに、日本での選挙結果についての記事を載せなかったことだ。
 かほどさように、日本の存在感が低下してるってこと。寒いー。↓
 ・・・Pundits say that Abe, if he wants to strengthen public support, will place his controversial military goals on the back burner and focus on the economy, an area in which his policies align far more with the priorities of the public.・・・
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/o...

 NYタイムスも同じだが、邦字紙が報じていないことまで書いている。↓
 <既に安倍は密かに中共に密使を派遣しているんだとよ。↓>
 ・・・Party members said that even before the election, Mr. Abe’s camp had been quietly reaching out to Beijing to ease tensions.・・・
Party members said that even before the election, Mr. Abe’s camp had been quietly reaching out to Beijing to ease tensions.
http://www.nytimes.com/2012/12/17/world/asia/conse...

 つまり、ボクがコラム#5905で述べた見解を裏付ける見方が日本でも世界でも大勢を占めてるってことだ。(ボクのような露骨な言い方をした論者はいないけどね。)
 本日ボクが書いたことは、一見、コラム#5905で書いたことと相反するように思うかもしれないが、あくまでも、選挙結果を詳細に検討した結果の見解の弁証法的発展である、と受け止めてくれたまえ。



#5911(2012.12.18)

<ynZ+Q91E0>

 安倍ちゃんが解釈改憲しなければ偽装タカ派、ってところだろうな。

 集団的自衛権、8割が容認 衆院選当選者
http://www.asahi.com/politics/update/1217/TKY20121...

<太田>

 確かに時代は変わりつつあるが、集団的自衛権解禁の必要性を日米安保の信頼性向上のためだけととらえるかどうかで全く違うし、解禁の手段として改憲を唱えるのか政府解釈変更を唱えるのかでも全然違う。
 今後は、無限定の集団的自衛権解禁を政府解釈変更で行うことに向けてのコンセンサス作りが課題だな。
 なお、上掲の記事から引用しておこう。↓
 ・・・集団的自衛権の行使や防衛力強化に<ついてだが、>・・・自民ではこの二つのテーマについて賛成派がともに96%に上り、05年と09年の衆院選の時より増えている。
 首相当時に集団的自衛権の議論を進めた自民党の安倍晋三総裁の主張や、尖閣諸島をめぐる中国の強硬な姿勢なども影響しているようだ。
 当選者の平均像の「保守化」は、自民の保守的志向が維新、みんなの当選者によって増幅された結果と言える。
 もっとも、こうした政策が直ちに進むとは限らない。自民の連立パートナーの公明が消極的だからだ。・・・



#5913(2012.12.19)

 野田さん有難う!
 日本…は…閣議で…自衛隊…がハイチで使用していた掘削機など…14台<の>同国…<への>供与…を決めた。…自衛隊の装備<は>武器と見な<されてきたところ、>今回の措置は<緩和された>武器輸出三原則に<すら>違反<だ。>…
http://j.people.com.cn/94474/8063587.html

<iuO8woek0>

 <ynZ+Q91E0クン(コラム#5911)よ、>ただし公明党が反対しているから、解釈改憲も無理じゃね?
http://mainichi.jp/select/news/20121219ddm00501013...

<+jwq8nwy0>

 閣議決定による解釈改憲は公明党への配慮で無理だから、国家安全保障基本法案(議員立法)による解釈改憲って流れになってるんだと思う。

太田さんには法案がどんなもんか、一度目を通して欲しいね。
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/117613.ht...

 コラム#5601では反対、コラム#5893で「中身については、これでイイね。」って、どうなってんの?、ってことで。



#5915(2012.12.20)

<太田>

 昨日の宿題だ。

≫閣議決定による解釈改憲は公明党への配慮で無理だから、国家安全保障基本法案(議員立法)による解釈改憲って流れになってるんだと思う。≪(コラム#5913。+jwq8nwy0)

 その根拠は?

 さて、国家安全保障基本法案 (概要)についての取りあえずの感想を述べておこう。
 同法案(概要)にはこうある。

 第10条の自衛権の行使「一 我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態であること。」「四 一号に定める「我が国と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃については、その国に対する攻撃が我が国に対する攻撃とみなしうるに足る関係性があること。」「五 一号に定める「我が国と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃については、当該被害国から我が国の支援についての要請があること。」「六 自衛権行使は、我が国の安全を守るため必要やむを得ない限度とし、かつ当該武力攻撃との均衡を失しないこと。」

 ボクとしては、「我が国と密接な関係にある他国に対する」という限定を付することには反対せざるを得ない。
 これは、個別的自衛権概念の拡張に過ぎず、集団的自衛権の行使を認めたことにはならないからだ。(従来の個別的自衛権の政府解釈を堅持するのであれば、集団的自衛権を部分的に行使することを認めたことにはなるけどね。)
 こんなものでは、国連の関与がなかったコソボ紛争(1996〜99年)的なものはもとより、国連の関与の下のPKF(国連平和維持部隊)への自衛隊参加すらできない。

 ボクが口を酸っぱくして言ってきているように、「我が国の安全を守る」必要性など、(核抑止の必要性を捨象すれば、)見通しうる将来にかけてない以上、こんな風に個別的自衛権の概念を拡張(ないしは集団的自衛権行使を部分的に解禁)したとて、自衛隊の出番がないという現状にほとんど何の変更も生じないからだ。
 それどころか、憲法改正が事実上不可能である以上、このような法律を採択することは、日本の米国の属国的地位を恒久化させかねない。
 (台湾はそもそも他「国」じゃないし、れっきとした「他国」である韓国についても、日本同様米国によって守られているから、北朝鮮ないし中共等から本格的攻撃を受けるようなことは、日本ほどではなくても極めて考えにくい。結局、これは、米国、しかも、もっぱら北西太平洋地域以外における軍事介入のために、たまたま北西太平洋地域に所在しているところの米軍を、(核を含む)ミサイル攻撃等から自衛隊が守れるようにすることだけを目的とした法律だ、ということにならざるをえないってこと。
 もちろん、それだけでも、米国は、日本によるこの措置を歓迎はするだろうが・・。)



#5917(2012.12.21)

<RNsiKHnK0>(「たった一人の反乱」より)

≫その根拠は?≪(コラム#5915。太田)

 前半は、内閣から公明党を追い出して閣議決定するのと、参院で自民が過半数取り法案を通したのちに、公明党から連立解消するのでは、どっちが公明党の面子を立てるだろうか、と考えた場合、後者だろうという程度の話しです。

 後半はこの社説です。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial...

≫さて、国家安全保障基本法案 (概要)についての取りあえずの感想を述べておこう。≪(同上)

 太田さんが第10条に反対なのは、コラム#5601で分かっています。
 コラム#5893で第10条と第11条の要約を引用して、「中身については、これでイイね。」ということは、第10条は反対だが、第11条があるならば、法案による憲法解釈にしぶしぶ賛成する、ということでいいですか?

<太田>

 第11条は以下のとおりだ。↓

「第11条 (国際連合憲章上定められた安全保障措置等への参加)
 我が国が国際連合憲章上定められ、又は国際連合安全保障理事会で決議された等の、各種の安全保障措置等に参加する場合には、以下の事項に留意しなければならない。
一 当該安全保障措置等の目的が我が国の防衛、外交、経済その他の諸政策と合致すること。
二 予め当該安全保障措置等の実施主体との十分な調整、派遣する国及び地域の情勢についての十分な情報収集等を行い、我が国が実施する措置の目的・任務を明確にすること。」

 さて、「集団自衛事態法」(仮称)制定が10条への注釈である(各自自分で確かめてね)点からも明らかなように、第11条がらみで集団的自衛権・・私に言わせれば、拡張された個別的自衛権・・を行使することは考えられていない。
 つまり、自民党は、国連平和維持部隊(PKF)への参加は考えていないということだ。
 コラム#5893でのボクの記述は、「国家安全保障基本法案 (概要)」そのものを読まずに行った早トチリであり、ここに、訂正、撤回させてもらうよ。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 吉田ドクトリンを自民党の外では社会党が、中では「ハト」派が野合的に維持するという時代は終わったが、自民党が「ハト」派の公明党と連立政権を組むことで吉田ドクトリン廃棄を先延ばしにするという時代はまだ続きそうだ。↓
 社民・・・党本部は近所に移転へ・・・
http://www.asahi.com/politics/update/1220/TKY20121...
 「我々の時代は終わったんだな」山崎拓・元自民党副総裁・・・
http://www.asahi.com/politics/update/1220/TKY20121...
 改憲へ国民議論と明記、自公合意・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20121220010024...



#5919(2012.12.22)

<sap4apOA>

 太田さんが言うように憲法改正は無理だろうが、集団的自衛権は何とかなるかと思ったけど、「竹島の日」式典ごときを見送るのだから、任期中に集団的自衛権をいじることもないだろう。少なくとも、太田さんが望むような集団的自衛権の解釈はありえないだろう。

<太田>

 中共当局は、一応希望していた安倍政権誕生がなったんだから、漁船や、海監艦艇・航空機による尖閣領海侵犯は控えるだろうから、当分、尖閣問題は凍結されるだろうし、朴韓国新大統領は、李現大統領のようなバカじゃないから、竹島がらみのパーフォーマンスは行わないだろうから、当分、竹島問題も凍結されるだろう。
 だから、安倍次期首相が公約をトーンダウンさせたのは、領土問題に関しては正解さ。



#5921(2012.12.23)

<ZI3BuAWM>

≫太田さんが言うように憲法改正は無理だろうが≪(コラム#5919。sap4apOA)

 何で?
 参院を自民党が取れば不可能じゃなくね?

<tzfbrKDo>

 手続きに関しては衆参で個別に2/3以上の賛成は容易ではないし、自民党にもハトはいっぱいいる。
 更に改正する条文だけでも、揉めに揉めて、実質的にあたりさわりのない玉虫色になる可能性が大。
 つまりはやる意味がないものになりそう。
 太田さんが更に言いたいのは、明治以来、憲法改正はなく、規範性もなかったのにうまく現実に対応してきたから。
http://wiki.livedoor.jp/veg_tan/d/%bd%b8%c3%c4%c5%...
 帝国憲法では、天皇がメインのはずが、実際には内閣がメインだったし、現憲法では軍隊はあってはならないはずなのに自衛隊は存在している。
 そういえば、大昔には令外官というのもあった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A4%E5%A4%96%E5...

<LCSPU/2c0>

 太田さんは人間主義を推奨しているように見受けられるが、人間主義は安全保障に関しては、マイナスになるのではないでしょうか?特に相手側が人間主義者じゃない場合には。
 太田さん自らが指摘するように、戦前も、人間主義的行動をとったつもりが恨まれる結果に終わったわけでしょう。
 現在のところ、中国、ロシア、北朝鮮は言うに及ばず、韓国あたりでもちょっと人間主義は通用していないように見受けられるわけで、このあたりは安全保障を第一義に考えるべきだとする太田さんの主張は矛盾しないのでしょうか?

<太田>

 ちょっと前にも言ったんだけど、ボクは、安全保障ではなく、人間主義を第一義に考えていて、日本の自立/安全保障はその手段だと考えてるんだよ。
 人間主義でさえ、誤解されたり恨まれたりしがちなのだから、人間主義ならぬ利他主義を唱えたイエスが殺されたのは当然と言えば当然だ。
 ところが、そんなイエスを神の子として崇めるキリスト教は、後に世界一信者の多い宗教になった。
 戦前、人間主義的対外政策を追求した日本だって、キミの指摘のように、恨まれただけでなく、人種主義の米国等によって数百万人を虐殺されるというひどい目に遭った。
 にもかかわらず、人間主義は世界を覆い尽くさなければならないし、覆いつくすことになるだろう、とりわけ日本が再び人間主義的対外政策を追求すればそれが大いに促進されるだろう・・とボクは考えているんだな。
 日本が、今度もまた恨まれ、ひどい目に遭うのは必至だろうって?
 そんなことはないはずだ。
 だって、日本が戦後、人間主義的対外政策の追求を断念させられた途端、東アジアで、国共内戦、朝鮮戦争、第一次/第二次インドシナ戦争、大躍進、文化大革命等が立て続けに起こり、数千万人の人々が虐殺され、支那、ベトナム、北朝鮮ではいまだに人々が専制的支配の下で苦しんでるじゃないか。
 他方、日本は、物質的にも精神的にも、東アジアのみならず、世界の模範的な存在となって現在に至っている。
 日本は誤解されたり恨まれたりしたと書いたが、戦前でも心底では日本の人間主義的内外政策を高く評価した人々は東アジアに大勢いた(典拠省略)し、現在では、上述した戦後の歴史も踏まえ、内心日本の熱烈なファンである人々は東アジアのみならず世界で過半を占めている、とボクは信じている。
 だから、心配には及ばないさ。



#5923(2012.12.24)

 宗主国サマも大変だわねえ。
 米議会上院は…2013会計年度…国防権限法案を可決した。すでに…下院も通過していることから…大統領の署名を経て成立する。…<この>法案には、…尖閣諸島…問題と台湾への武器売却問題に関する条項が盛り込まれた。
http://j.people.com.cn/94474/8067518.html

 何度も言ってるように、1900年前後に専制の大国と自由の大国のどちらを友邦として選ぶかの判断を誤った朝鮮半島の人々が、100年以上経った現在、再びその判断を問われている。
 朝鮮日報は、ややぼかしてはいるが、自由の大国を友邦として選ぶよう、正しくも訴えている。
 それにしても、李大統領は、最後の最後までダメぶりを貫いたな。↓
 ・・・韓国政府は昨年、中国共産党関連資金数百億ウォン(100億ウォン=約7億8000万円)を横領して韓国に逃走してきた中国共産党幹部について、中国側の圧力に勝てず・・・韓国で犯した犯罪が明らかになり起訴された<というのに>、裁判を受けずに過酷な刑罰が待つ中国に送られた。・・・違法操業で摘発された中国人船員が韓国海洋警察に暴力を振るい殺人を犯しても、処罰どころかまともに抗議すらできない<、といった具合に、>弱腰外交が繰り返されている・・・
 靖国神社の門に放火し、その後ソウルの日本大使館に火炎瓶を投げ付け韓国で服役中の中国人・劉強受刑者(38)について、韓国は身柄引き渡し問題の解決を迫られている。昨年12月6日に靖国神社の門に火をつけた後、韓国に逃避した劉強受刑者は今年1月8日、再びソウルの日本大使館に火炎瓶を投げ付け、現場で逮捕された。懲役10カ月を言い渡されて服役を終えたが、このたび日本への引き渡し審理を受けるため再び収監され、現在は裁判所の決定を待っている。日本政府は刑の執行が終わった劉強受刑者を「犯罪者引き渡し条約」に基づき引き渡すよう要求しているが、中国は同受刑者を「政治犯」として認めて国外追放の形で送還するよう強く迫っている。韓国法務部(省に相当)は悩んだ揚げ句、裁判所に判断を委ね、裁判所は来年1月5日までに劉強受刑者を日本に引き渡すかどうか決定しなければならない。・・・
 韓国政府が国内の反日世論を意識してどうにもできず、裁判所に責任を押し付けた状態だが、劉強受刑者の引き渡し審理決定日は刻一刻と迫っている。現政権が責任を取らず、解決に乗り出さないとなれば、新大統領がその課題を負わざるを得ない。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#5927(2012.12.26)

<TA>

≫・・・宗主国サマ(米国)は、日本に核武装能力を放棄させたくないのさ。≪(コラム#5743。太田)

 前回のオフ会でも質問させて頂きましたが、このご発言は、「アメリカは日本が核武装することには反対だが、核武装能力は維持してくれていた方が対中外交カード的に好都合だ」といった意味なのでしょうか。↓

 「・・・中国として、北朝鮮が核を保有し(保有宣言をした場合を含む)、そのままの状態が続くことを拱手傍観するわけにもいきません。・・・日本が、北朝鮮の脅威を唱えて核保有に踏み切る際の敷居が著しく低くなってしまうからです。その中国の不安をあおりたてるように、米国政府関係者の間から、(彼らの真意に反し、)盛んに日本の核保有を「認め」、或いは「促す」発言が行われてきています。」(コラム#0115。太田)

<太田>

 前回のオフ会の時の時にどうお答えしたのか覚えていませんが、日本の核武装については、米国は賛成ではないが反対でもない、といったところではないでしょうか。
 その根拠の一つが、(日本にとってのみの潜在的脅威である)ノドンと(米国にとっても潜在的脅威たりうる)テポドンへの米政府関係者の姿勢の著しい違いです。(コラム#省略)
 つまり、核に関して、彼らが、日本を米国領より一段優先順位の低い存在と見ていることを示唆するに等しい発言行うのを躊躇しない以上は、日本が米国の核抑止力を不安に思って自ら核抑止力を保持することに彼らが反対するわけにはいかないはずだ、ということです。



#5929(2012.12.27)

<Jq.1dBA2>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 ジェラルド・L・カーティス教授の総選挙分析
http://diamond.jp/articles/-/29838

 恐ろしく真っ当な分析。鳩山以外は民主党は悪くなかった。
 個人的に気になるのは、アベノミクスの成否と民主党が憲法改正をめぐって公明党と連携する可能性。
 アベノミクスは地デジ特需のようにならなければよいけど。

<太田>

 私がカーティス教授とほぼ見解を同じくするのは以下の箇所だ。
・・・有権者の民主党批判は、行き過ぎのように思う。東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故において、菅直人首相の対応が非難されたが、ほかの誰が総理であったなら、もっとうまく対処できたというのだろうか。ハリケーン、カトリーナやサンディに対する米政府の対応に比べても、決してまずくなかった。
 安倍晋三新首相は、日米関係が悪化しており再構築しなければならないと発言しているが、現在の日米関係は決して悪くはない。・・・
 最大の公約違反は、消費増税であったが、私は菅、野田両首相がその必然性を理解し、腹を決めたことは評価している。とりわけ野田首相に対しては、財界も米国も高く評価していた。・・・
 <自民党が>参院選で単独過半数を取ることができれば、憲法改正や集団的自衛権行使の解釈変更に焦点を移すだろう。・・・
 派閥で言えば、宏池会を中心とするハト派的な考え方を持っている議員の力が自民党内で弱くなった。現在の民主党が、宏池会を代替しているからかもしれない。・・・

 他方、私が不同意なのは次の3か所だ。

 <カーチス教授は「右」=「タカ派」としているようだが、「右」=「自立」、と解すべきであり、「自立」志向が過半を占めるようになったという点では「政治」も「世論」も同じ。ただし、「世論」が「政治」ほど覚醒していないというだけのこと。なお、「自立」志向それ自体に何の問題もない。↓>
 ・・・日本の国民が右傾化しているとは思わない。しかし、日本の政治が右傾化しているのは間違いない。反対する組織勢力が弱まっているからだ。問題は、日本の世論が右傾化している政治に引っ張られるかどうか、である。・・・

 <「衰退」ならぬ「純化」を目指す野田前首相の意向に、彼らが意識的無意識的に従っていると解すべき。ただし、細野の幹事長就任は???。↓>
 ・・・岡田克也氏、前原誠司氏、細野豪志氏、玄葉光一郎氏など、民主党の中枢にいながら、党首になるのを辞退しているが、これは党が衰退しても仕方ないという姿勢に見えても仕方ない。「選挙結果に責任がある」とその理由を挙げるが、「命を賭けて党の再生に取り組みたい」と言うのが責任感というものである。リーダーと称する人たちのこうした覚悟がなければ、党の将来は暗い。・・・

 <国の「自立」を果たすまでは、「自立」派と「吉田ドクトリン」派との対立軸をはっきりさせるためにも、小選挙区制を基本とする現行の選挙制度をいじるべきではない。「自立」後については、中選挙区制・・戦前もそうだった・・に戻すのも一つの考え方。↓>
 ・・・米国も小選挙区制を採用しているが、70%の票は人種、宗教、貧富の格差を背景にした党の支持があって動かない。残りの30%が浮動票だ。しかし、日本では自民党も民主党も、選挙で同じ有権者を取りに行くから、選挙結果がスイングしやすい。・・・
 中選挙区制にも問題があるが、相対的にはまだましだ。小選挙区制を維持するなら、ドイツのように比例配分の割合を増やしていく仕組みを取り入れるべきだ。現在の小選挙区制が一番よくない。


 まずは、安倍新政権への各国の反応から。
 ボクが予想した通り、中共当局は大歓迎だ。↓
 安倍新内閣:関係改善への期待感を表明…中国外務省・・・
http://mainichi.jp/select/news/20121227k0000m03003...
 <中共当局と自民党との間の人脈、金脈(コラム#5909)が、例えばどんなものか、良く分かるであるよ。↓>
 ・・・安倍晋三訪華の内幕、京劇芸術家が密かに取り持つ・・・
 昭恵氏の「密使の旅」を伝える中国語サイトには「チャイナドレスで現れた昭恵氏の姿に、中国のトップたちが感動した」との一文も残っている。政治的野心や術策ではなく、一個人として中国文化への親しみや関心を体現する昭恵氏に、中国の人々が心を動かされた様子が伝わってくる。
 そして、3カ月後の2006年9月26日に安倍氏が首相就任。最初の公式訪問国に中国を選び、首相就任からわずか12日後の10月8日に安倍夫妻は北京国際空港に降り立った。この訪中は、冷え切った日中関係の氷を砕くものとされ、「破氷之旅」と中国側から大きな評価を得た。・・・
 昭恵氏の父は森永製菓の元社長でもある。森永製菓は2010年に中国浙江省に新工場を開設するなど、中国への積極展開を進めており、ここで生産する「ハイチュウ」は中国の小売店で扱われ、中国都市部では身近で人気の高い菓子となっている。日本企業にとっての中国市場の意味と重さは、安倍新首相にとっても他人事ではないだろう。・・・
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36811
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/2012...

 それにひきかえ、韓国での論調は、極めて安倍新政権に敵対的だ。↓
 日本の安倍晋三・新首相(写真)が26日、新藤義孝議員(54)を総務相に、稲田朋美議員(53)を行政改革相に任命した。両議員は昨年8月、「竹島(独島の日本名)は日本の領土」と主張するため韓国に入国しようとし、入国を拒否された極右派だ。・・・
 古屋圭司・国家公安委員長や下村博文・文部科学相も、韓日外交で最大の争点となっている、旧日本軍によって強制動員された従軍慰安婦の存在自体を否定している。下村氏は歴史教科書に、日本の侵略の歴史について反省する内容が一部盛り込まれていることが「自虐史観」だと主張しており、今後教科書の改悪が本格化する可能性もある。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 ・・・2010年、当時の菅直人首相が韓日強制合併(日韓併合)から100年を迎えたのを機に謝罪の談話を発表した際、これに激しく反発した小野寺五典議員を防衛相に、また今年5月に米国を訪問し、ニュージャージー州の「慰安婦の碑」撤去を要求した古屋圭司議員を国家公安委員長と拉致問題担当相に任命した。・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 <若干は「物わかりのよい」部分もあるけどね。↓>
 「・・・木村幹神戸大教授は「安倍首相が公約を守らないと批判する勢力に配慮し、新藤氏らを入閣させたのではないか。外相などには比較的中道の人物を入閣させており、韓日関係を改善する意思はあるとみるべきだ」と指摘した。また、日本のある専門家は「中国関連の公約を実行すると、中国から貿易上の報復を受ける可能性が高いため、安倍首相は韓国に関する公約で極右勢力の不満を解消する可能性がある」との見方を示した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...

 その背景には、何度も言ってるように、韓国が直面している、昔の名前で出ているところの、根本的選択がある。↓
 ・・・これまでの韓国政治は「左右」が激しく対立してきたことで有名ですが、今回は「世代」の対立が表面化しました。・・・
 動員合戦の結果、投票率は75.8%に上昇しました。しかし、50歳代に限れば89.9%。何と10人に9人が投票したのです。そして60歳以上も78.8%。まさに中高年が若者に「負けまいと」投票したのが分かります。・・・
 中高年の保守は現在の豊かさを維持するためなら、外交的なパートナーとして米国ではなく中国を選ぶかもしれません。・・・
 韓国の若者も仕事を得るためなら上海でもどこでも行こうと考えています。そもそも、GDPに対する韓国の対中輸出の比率は、日本のそれと比べたら4倍になります。もっとわかりやすく言うと、韓国から見た中国は、日本から見た中国より4倍も大きく見えている。・・・
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/2012...

 英エコノミスト誌は、結構辛辣に安倍新政権を見ている。↓
 ・・・経済団体連合会は・・・落胆している。経団連が<政権>に望むのは生産性の向上であり、そのために農業や医療の自由化などを要求しているが、これらの分野はどちらも自民党の支持基盤だ。・・・
 ・・・2007年、安倍氏は極度の心労にさらされ首相を辞任した。安部氏は腸疾患に長年悩まされている。現在はきちんと薬を服用していると述べているが、この病気はストレスの影響を受ける。・・・
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36821



#5931(2012.12.28)

 えー? 4類型に限定することに疑問を投げかけたということだとボクは思うけどねえ。
 それにしても、軍事マターについては、戦後日本の政治家は曖昧な表現でしか語らない習性が身についちゃってる感じだな。↓
 安倍首相は12月26日夜、就任後初の記者会見で、集団的自衛権の行使容認を提言した第1次安倍内閣の有識者懇談会報告書について、「あの4類型でいいのか、もう一度あの時の有識者から聞いて検討を始めたい」と表明しました。・・・」
 「あの4類型」とは、07年の第1回会合で安倍首相が表明した4点の「問題意識」で、自衛隊による(1)公海上での米艦の防護、(2)米国方面に向かう弾道ミサイルの迎撃、(3)国際的な平和活動における駆けつけ警護などの際の武器使用、(4)国連PKOに参加する他国への後方支援――をさします。
 政府解釈の変更の仕方について報告書は、「政府が適切な形で新しい(憲法)解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正を必要とするものではない」と一刀両断な判断を提示しました。さすがに、「こうした方向性については、国民の間に不安が生じかねない」として、「関係法律において、とりうる集団的自衛の範囲及び手続きを規定する」とも付言し、法律による裏付け措置をとるべきだともしています。
 第2次安倍内閣の始動にあたって、安倍首相がこの提言の扱いをやや慎重に「もう一度検討」との意向を示したのは見識です。憲法解釈は時の勢いだけで変更すべきものではないからです。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qapolitics/201212...

 三つ並んでるが、(民主党政権が採択した)真ん中(「大綱」)はいじる必要ねーぞ。↓
 防衛費、拡充の方向…「大綱」と中期防見直しへ・・・
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121228-OY...

 繰り返して恐縮だが、それにしても、野田前首相は偉大だった。↓
 ・・・衆院選結果判明直後、バラク・オバマ米大統領は声明の中で、安倍自民党の選挙大勝に祝意を表す一方、野田首相に対しては、「日米関係への貢献に感謝したい」と謝意を示した。これは、日米関係全般を概観するに、公正な評価と見るべきであろう。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121228/plc1...

 松田センセ、漢文和訳そのものがおかしいのでしょうか、この和約をどう読んでもそんな風には私には解釈できないのですが・・。
 単に、日本政府が尖閣をどのように位置付けているかを踏まえた上で、しっかり理論武装をした上で、尖閣諸島を台湾の一部と主張すべきである旨示唆しているだけのことじゃないんでしょうか。↓
 ・・・中華人民共和国成立の翌年に当たる50年5月15日に作成され、北京の中国外務省●案館(●は木へんに當、外交史料館)に収蔵されている・・・外交文書・・・「対日和約(対日講和条約)における領土部分の問題と主張に関する要綱草案」(領土草案、計10ページ)・・・の「琉球の返還問題」の項目には、戦前から日本側の文書で尖閣諸島とほぼ同義に使われてきた「尖頭諸嶼(しょしょ)」という日本名が登場。「琉球は北中南の三つに分かれ、中部は沖縄諸島、南部は宮古諸島と八重山諸島(尖頭諸嶼)」と説明し、尖閣諸島を琉球の一部として論じている。中国が尖閣諸島を呼ぶ際に古くから用いてきたとする「釣魚島」の名称は一切使われていなかった。
 続いて「琉球の境界画定問題」の項目で「尖閣諸島」という言葉を明記し、「尖閣諸島を台湾に組み込むべきかどうか検討の必要がある」と記している。
 東京大学大学院の松田康博教授(東アジア国際政治)は・・・中国政府が、尖閣は「台湾の一部」という主張をまだ展開せず、少なくとも50年の段階で琉球の一部と考えていた証拠と言え・・・『釣魚島』が台湾の一部であるという中華人民共和国の長年の主張の論理は完全に崩れた」と解説している。・・・
http://www.asahi.com/international/update/1227/JJT...

 米国でも政治家に碌なのがいなくなったと言われ始めてるが、その原因二つのうちの最初のものが、軍隊経験のない政治家ばかりになったことが挙げられている。
 日本に至っては、それどころか、自立した国で生きた経験のない政治家ばっかりなんだから、どういうことになっちゃうのかね。↓
 ・・・We have lots of leaders but a national deficit in true leadership. Two trends have brought us to this crisis.
 First, the vast majority of our current leaders have only a theoretical, intellectual, and abstract knowledge of the military and war -- not an experiential, visceral, and personal understanding. The proportion of our key decision-makers who have served in the military and have personal experience with defense is in steady decline. ・・・
 People who have not served in uniform or combat are often ill equipped to understand how conflict and armies work (or, frequently, how they don't), how war moves to capricious rhythms, and how war plans last only until first contact with the enemy. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/27/H...



#5933(2012.12.29)

 それ言うなら、なおのこと、無条件の集団的自衛権解禁をやらなくっちゃね、安倍サン。↓
 日米印豪で安保協力…安倍首相、対中改善へ布石・・・
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121228-OY...



#5935(2012.12.30)

 NYタイムスが、韓国へのドローン売却反対の論説を掲げた。
 昨日の非公開コラム(#5934)で説明したばかりの、オバマ政権のホンネの東アジア戦略・・日本の自立と中共の早期崩壊を目指している!・・を踏まえれば、同政権のかかる動きが、一層良く理解できると思うよ。
 無料読者は、同コラムが公開された時に読んでくれたまえ。↓
 ・・・the Obama administration has offered to sell South Korea advanced spy drones so it can keep a closer eye on its northern adversary. ・・・
<それは、ミサイル技術管理レジーム(注)の精神に反する。↓>
 ・・・the drones deal would weaken a 34-nation arms agreement called the Missile Technology Control Regime. That agreement was created in 1987 to discourage the export of ballistic missiles and other unmanned systems with a range of at least 300 kilometers, or 186 miles, and a payload of more than half a ton that could include nuclear, chemical or biological weapons. Under the agreement’s guidelines, there is a strong presumption that requests to buy these systems should be denied.

(注)「大量破壊兵器の運搬手段であるミサイル及び関連汎用品・技術の輸出管理体制」。米、日、韓はいずれもその締約国。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mtcr/mtcr.html

 <今年、米国は、従来より長射程のミサイルの開発を韓国に認めたことで、このレジームの精神に反することをやったばかりだ。↓>
 The agreement has already taken one blow this year, when the administration agreed to let South Korea develop longer-range ballistic missiles.・・・
 <北朝鮮は、核開発を行っているし、脅迫行為も繰り返しているが、韓国よりも軍事的には劣位にある。↓>
 North Korea, despite its nuclear weapons program and threatening behavior, is militarily inferior to the South. ・・・
http://www.nytimes.com/2012/12/30/opinion/sunday/d...



#6358(2013.7.30)

<太田>(ツイッターより)

 「集団的自衛権:日本の世論に広まる賛成論…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 ありがとう朝鮮日報。
 気が付かなかったよ。
 (自国防衛の観点からホントは欣喜雀躍して欲しいところだが、)客観的な筆致にも好感が持てる。

<太田>

 関連記事だ。↓

 「全面的に見直すの」じゃなきゃ、見直しちゃダメだよ、安倍さん。
 テープレコーダー(古いか)みたいになってきたな。↓
 集団的自衛権:「行使容認」臨時国会で表明検討・・・
 だが政府見解を全面的に見直すのか、政府見解を大筋で維持した上で、対米協力の範囲で「例外」として容認するのかなど法解釈上、不透明な部分が多い。・・・
http://mainichi.jp/select/news/20130730k0000e01014...
 ・・・世論調査:集団的自衛権「行使容認に反対」51%・・・
http://mainichi.jp/select/news/20130729k0000m01007...

 共産党が自衛隊容認に転じさえすりゃ、民主なんていらなくなるんだけどね。
 前から赤旗の記者には、何度も吹き込んでるんだけど、全然効き目がないねえ。↓
 民主支持率、共産以下に・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130730/stt1...



#6360(2013.7.31)

 長年の防衛費逓減の結果自衛隊がひどい状況に陥っており今後更にひどくなるというコラムだ。↓
 <ちょっと増える日本の2013年防衛費をベースにしても、10年間で日本の防衛費は5%減ったが、中共は270%増え、韓国は45%増え、台湾は14%増えた。↓>
 ・・・Even accounting for the 0.8 percent increase contained in Abe's 2013 budget, Japan's annual defense budget has declined by over 5 percent in the last decade. During the same period, China's defense budget increased by 270 percent (South Korea's and Taiwan's grew by 45 percent and 14 percent, respectively.)
 <米ドル換算では、2000年に防衛費は日本が中共より63%多かったが、2012年には3分の1になってしまった。↓>
 In U.S. dollar terms, Japan's defense budget was 63 percent larger than China's in 2000, but barely one-third the size of China's in 2012. In fact, since 2000, Japan's shares of world and regional military expenditures have fallen by 37 percent and 52 percent, respectively. ・・・
 <日本の防衛費中の装備費は、2002年から約20%減少し、装備の調達を減らした結果、冷戦終了時には修理費は調達費の約45%だったのに、今では150%に上昇している。↓>
 ・・・much of the burden fell on the equipment procurement budget, which has declined by roughly 20 percent since 2002. Japanese defense policymakers have coped by extending the life of military hardware, such as submarines, destroyers, and fighter jets. As a result, Japan's focus has shifted from acquisition to preservation, and maintenance costs have skyrocketed: at the end of the Cold War, maintenance spending was roughly 45 percent the size of procurement expenditures; it is now 150 percent.
 <1980年代には毎年護衛艦3隻と戦闘機18機を調達していたが、今では護衛艦1隻と戦闘機5機に過ぎない。↓>
 Because of declining procurement budgets and higher unit costs, Japan now acquires hardware at a much slower rate: one destroyer and five fighter jets per year compared to about three destroyers and 18 fighter jets per year in the 1980s.
 <今後10年間で、護衛艦の席数は30%減るだろう。↓>
 In the coming decade, Japan's fleet of destroyers stands to be reduced by 30 percent. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/07/30/t...



#6362(2013.8.1)

<やへがき やくも>

≫共産党が自衛隊容認に転じさえすりゃ、民主なんていらなくなるんだけどね。≪(コラム#6358。太田)

 共産党、期待できますかね。共産党は自衛隊の容認どころか、自衛権のなんたるかも理解できないのですから、わたしとしては期待できかねますね。
 国際法上の自衛権行使とは「国内刑法が正当防衛を違法性阻却事由とするのと対応」し、「本来、国際法上違法なものであっても、その違法性が阻却される」ものですから、通常時に違法とされる行為でなければ、これにあたらないわけです。

自衛権(じえいけん)[ 日本大百科全書(小学館) ] [ 執筆者:石本泰雄 ]
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E...

 ところが、先日の参院選で当選した小池晃氏は産経新聞のインタビューで、自身の主張である「常備軍によらない自衛権」を問はれ、「他国との争いは軍隊によらず外交交渉で解決する、というのが9条の精神だろう」と答へたのです。

【金曜討論】「憲法9条」 佐藤正久氏「国防軍を持つことを明記」、小池晃氏「国民合意で9条を完全実施」+(4/5ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130628/plc1...

 もとより、外交交渉に違法性はありませんから、こんなものは自衛権をもちだすまでもない。これなら自衛権の否定を明言する方がよほど筋が通る。
 党副委員長をつとめる人物がこれですから、共産党が自衛権についてまともに考へたことがあるとは思へません。

<太田>

 共産党は、自衛隊を事実上認めてますよ。
 
 お示しの記事の中で、小池晃は次のように言っています。
 「憲法は『陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない』としており、自衛隊は9条2項に明白に違反する戦力、つまり軍隊そのものだ。私たちは対米従属の根源である日米安保条約を廃棄するとともに、自衛隊については、当面軍縮の措置をとり、国民の合意で9条を完全実施する、すなわち自衛隊の解消を目指す・・・アジアの政治・軍事情勢が変わっていくことと『自衛隊をなくして大丈夫』という国民の合意が得られることが前提となる。・・・
 解消に取り組む過渡的な時期はあるわけで、その間に外国から急迫不正の侵害があれば、必要なあらゆる手段をとって排除することは当然だ・・・
 国家には当然、自衛権があるが、必ずしも常備軍が必要だとは考えていない。侵略などがあったときに主権を守っていくのは国家に固有の権利だ。・・・
 自衛権も常備軍によらずに行使していこうというのが9条の規定だといえる・・・
 中国や北朝鮮の現状をみればすぐに実現は難しいが、他国との争いは軍隊によらず外交交渉で解決する、というのが9条の精神だろう。・・・

 これは、日米安保の下での自衛隊は憲法違反だが、憲法違反の日米安保を廃棄すれば自衛隊は合憲である、という趣旨でしょう。
 「アジアの政治・軍事情勢が変わ」らない限り自衛隊は解消しない、ということは、そういうことです。  
 外交云々は、憲法解釈論ではなく、「憲法の精神」論に過ぎません。
 私が共産党に求めたいのは、同党が、(日米安保とは無関係に、)自衛隊は(それが軍隊であるかどうかはさておき)合憲であり、維持する、とはっきりさせ、その上で、日米安保は(それが違憲であるかどうかはさておき)廃棄する、とすべきだ、ということです。
 こんな政策はフィージビリティがないですって?
 そんなことはありません。
 米国と韓国の同盟関係や米国と台湾の事実上の同盟関係は継続するという前提で、日本の核武装も視野に入れれば、この政策には十分フィージビリティがあります。
 (私は同意いたしかねますがね・・。)
 私から見れば、仮に共産党がこのような安保政策を打ち出せば、米国からの「独立」を巡って日本国内で議論が起きざるをえないでしょうから、大変結構なことなのです。
 日本がアメリカの準州か、何番目かの州になれば、沖縄にあんなに基地を置けない・・・首都圏がこれほど外国軍によって占拠されているのは、おそらく世界で日本だけ・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK...

 日本のこんな状態を異常だと思わない人には、共産党にすら期待を寄せざるをえない私の心情をご理解いただけないでしょうね。
 (オフ会の二次会で、ハンドルネーム文十郎さんが、「首都圏・・・」の部分に言及しつつ、どうしてみんな平気な顔をしてるんだろう、と力説してましたよ。)

 「やへがき」さんの批判がぴったりなのは、むしろ、長沼事件第一審の札幌地方裁判所の1973年9月7日の判決でしょう。
 同判決は次のように判旨しています。
 自衛権の行使は、たんに平和時における外交交渉によつて外国からの侵害を未然に回避する方法のほか、危急の侵害に対し、本来国内の治安維持を目的とする警察をもつてこれを排除する方法、民衆が武器をもつて抵抗する群民蜂起の方法もあり、さらに、侵略国国民の財産没収とか、侵略国国民の国外追放といつた例もそれにあたると認められ、また・・・非軍事的な自衛抵抗には数多くの方法があることも認めることができ、また人類の歴史にはかかる侵略者に対してその国民が、またその民族が、英知をしぼつてこれに抵抗をしてきた数多くの事実を知ることができ、そして、それは、さらに将来ともその時代、その情況に応じて国民の英知と努力によつてよりいつそう数多くの種類と方法が見出されていくべきものである。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_d...

 抵抗方法として合法なものも違法なものもごっちゃまぜで、しかも、外交を最初に挙げている、というトンデモ判決です。
 なお、元外務省キャリアの浅井基文も、(本人に自覚があるのが救いではあるものの、)国際法の法理を「発展」させちゃってるところの、(こちらは違法なものだけを挙げているから、この判決よりはマシだとは言えるが、)モノスゴーイ主張をしてますよ。
 刑法で個人に認められる「正当防衛」(「緊急避難」)の権利のいわば国家版が自衛権です。・・・
−国家の自衛権と人民の自衛権:もう一つ、「国家=お上」意識が根強い私たち日本人として、特に踏まえておきたいことがあります。つまり、アメリカ独立戦争、フランス革命を経て「人民主権」(民主)の考え方が世界的に確立した今日とそれ以前の時代とでは、自衛権が意味することの中身も異なっていることです(ただし、このように考える私の意見はまだ多数説ではありません)。・・・
*「国家の自衛権」を「行使する」場合は、もっぱら「国家の戦力(軍事力)」を使用することが中身となります。しかし、
*「人民の自衛権」を「行使する」場合は、その中身は人民の意思に基づいた実に多様なものであり得るのです。戦争放棄・戦力不保持の第9条を前提にして考えれば、例えば第二次大戦時のフランス、ポーランドなどにおけるレジスタンス運動、占領・支配に対する不服従運動があります。
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/201...



#6364(2013.8.2)

 外務省が積極的なのは、対米従属度を更に増すためだけの範囲での政府解釈見直しだからね。念のため。↓
 ・・・集団的自衛権の政府解釈見直しに前向きな外務省から小松氏を起用することで、集団的自衛権の行使容認に向けた布石を打つ狙い・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130802/plc1...



#6366(2013.8.3)

<fh5E5USU>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 韓国軍「離米」に最後の抵抗
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/2013...

 核を除けば、アメリカ軍がいなくても北朝鮮は怖くないと思うのだが・・・。
 アメリカ軍を追い出そうとしたのが、左のノムヒョンであることが興味深い。

 日中関係:8月15日までに何が起きるのか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38370
 中国は、意外に動じない日本にショックを受け取るのね。

<太田>

 後の方の8月2日付の記事(コラム)の中で、三家邦彦は、「8月15日のいわゆる靖国参拝について・・・安倍総理以外の日本政府関係者の動きだが、・・・日本政府の一員として日本の国益を最優先すれば、自ずから正しい判断に到達するだろう。この点についても、一抹の不安はあるが、基本的には心配していない。」、つまり、閣僚は誰も参拝すべきではない、参拝しないだろう、と書いてるけど、「安倍内閣・・・の<対中>方針は全くブレていない・・・今のような緊張状態が続けば・・・中長期的にもっと困るのは中国側」(宮家)だというのなら、第一次安倍内閣当時程度の閣僚参拝・・確かゼロじゃなかったよね・・があってもいいんじゃないけ?

 「稲田行革相が靖国参拝検討 終戦記念日の15日・・・」
http://news.livedoor.com/topics/detail/7921783/

<やへがき やくも>

 共産党小池氏の発言について太田さんが「外交云々は、憲法解釈論ではなく、「憲法の精神」論に過ぎません」(コラム#6362)とおっしゃることの意味がよくわかりません。
 小池氏は、憲法解釈や憲法の精神についてではなく、「常備軍によらない自衛権」について訊かれたのです。自衛権は国際法上の概念ですから、その解釈は憲法と無関係になりたつはずです。
 もし、小池氏が憲法の精神をかたったのなら、「常備軍によらない自衛権」について考へがないのか、あっても言へない事情があるのかといふことでせう。常備軍=自衛隊によらない自衛権といふことなら、元外務官僚浅井氏の様に人民に武装させるつもりかもしれませんね。
 ついでですが、太田さんがお示しになった浅井氏のウェブサイトには「個人の正当防衛の権利には他者を守るという意味は含まれません」とあって、これもまた頭痛を催させますね。

<太田>

 共産党は、幹部であれヒラ党員であれ、党の基本方針に反する発言は許しません。
 同党の安全保障の基本方針は、次のとおりです。
 日本共産党は・・・2000年の第22回大会で、同党の自衛隊政策を、(1)軍事同盟である日米安保条約の解消前<(=共産党が政権をとれない間)>はできるかぎり軍縮し、(2)<(共産党が政権をとって)>日米安保条約<を>解消<した>後も国民が望めば<(「国民が望めば」は、共産党=国民であり、かつこれに続く文章を踏まえ、無視してよい(太田))>存続し、(3)国民が国際情勢などから解消しても問題ないと判断すれば自衛隊をなくす<(=共産党が解消すると決しない限り自衛隊は存続させる)>、という「段階的解消論」に転換した。
 <更に>、第22回大会では、(1)または(2)の段階<(=国際情勢などが抜本的好転しない段階)>で万が一、急迫不正の主権侵害があれば、・・・日本への主権侵害に対応するのは第一義的に警察力である海上保安庁だ<が、>・・・自衛隊も活用することを正式に決定した。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5...

 この中に、「外交」なんて一言も出てきませんよ。
 つまり、小池の「外交」云々は、どうでもいい話であるところの憲法の精神論でしかありえない、といことです。

 また、浅井は、世界中で日本の外務省だけが唱えているところの、正当防衛権/自衛権に係る珍説(コラム#5991、5993、5997)を、外務省を離れた現在でも信じ込んでいるようですねえ。
 ところで、条約局法規課長、同局条約課長、・・・国際法局長を歴任した、次期法制局長官小松一郎
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130802/plc1...
は、現在、大使とはいえ、現役の外務官僚なのですから、この珍説・・密接な関係のある国(≒米国)に関してのみ集団的自衛権を行使できる・・に文字通り拘束されています。
 彼、そもそも、「第1次安倍政権下で発足した有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」がまとめた行使容認の報告書の作成作業に関わ」った人物(産経記事上掲)ですしね。
 内閣法制局において、集団的自衛権に係る憲法解釈変更が、米国への従属関係を深めるという最悪の形でなされることになりかねない、ということです。
 北岡伸一安保法制懇座長代理は、こう言っている↓けど、せいぜい、外務省珍説の範囲での「全面容認」ではないか、と私は大変心配しています。

 「集団自衛権の全面容認、有識者会議が提言へ・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130802-OY...



#6368(2013.8.4)

<やへがき やくも>

 コラム#6366
http://blog.ohtan.net/archives/52179727.html
へのコメント<です。>

 共産党小池氏のいふ「常備軍によらない自衛権」は本気の主張ではないといふことですね。
 では、なぜ小池氏はこんな発言をするのでせうか。
 やはり支持者へのリップサービスかなにかですかね。

→本気の主張かどうか(私は彼の外交重視の考えに賛成です)、支持者へのリップサービス(支持者にリップサービスするのは政治家として当然です)かどうかと、共産党に関するやへがきさんの以下のご判断とは必ずしも結び付きませんよ。(太田)

 すると共産党は、支持者がもとめるかぎり、太田さんがのぞむ様な(コラム#6362)自衛隊合憲論の選択をしさうもありませんね。
 集団的自衛権について。安倍首相が東南アジア数箇国に説明をしてきたとのことですから、この様な活動を通じて日米同盟に拘束されない集団的自衛権行使に拡大できればいいですね。
 甘い認識でせうか。

「首相、集団的自衛権「根回し外交」 比に巡視船10隻供与」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130728/plc1...

<べじたん>

 <次期内閣法制局長官の小松一郎についてですが、>集団的自衛権とは刑法で言うところの他者への正当防衛に相当する、という彼の著書である実践国際法からの引用がなされた読売記事を、今日、チラ見しました。
http://www.shinzansha.co.jp/111026jisenkokusaihou-...
http://www.shinzansha.co.jp/111021jisenkokusai-con...

 他者とは米国(同盟国)であって、米国以外(非同盟国)は他者には含まれない、なんて注釈が本にはあるのかもしれませんが、文字通り、他者への正当防衛ならば、外務省に拘束されない人と期待できるかもしれませんがどうでしょうね。

 当該記事は、ウェブには転載しないようです。
http://search.yomiuri.co.jp/index.html?q=%E5%B0%8F...

<太田>

 「前回の懇談会での・・・報告書」って、確か、「密接な関係にある国」集団的自衛権でしょ。
 やっぱ、絶望的ですね。
 大体からして、この懇談会の座長も次期内閣法制局長官(も、そして国連次席大使経験のある北岡伸一安保法制懇座長代理)も、外務省関係者ばかりってのは、ひでえ話だよ。
 安倍晋三の、吉田ドクトリン墨守度がこれほどとはねえ。↓
 ・・・「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」座長の柳井俊二国際海洋法裁判所所長は・・・年内にも行使を容認する報告書を取りまとめる意向を示した。「(懇談会で)コンセンサスはある。(報告書は)年内にも出したい」と語った。
 柳井氏は「集団的自衛権の行使は国際法上認められるし、憲法上も許される。(2008年にまとめた前回の懇談会での)報告書にもある」とも語った。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS04002_U3A800...

 維新に気の利いた奴は一人もいないのかよ。
 野田さん、何とかしてー。



#6372(2013.8.6)

 それ見なよ、米国のための解釈変更だろ。
 (国連のための解釈変更も入ってるが、こりゃ指揮権を国連に委譲してる場合だから、そもそも「日本の」自衛権発動とは言えんわな。)↓
 ・・・第1次安倍内閣の指示を受けた安保法制懇は2008年にまとめた報告書で、集団的自衛権を行使すべき例として(1)公海上での米艦船の防護(2)米国向けの弾道ミサイルの迎撃−−を挙げた。さらに、国際平和協力活動を行っている際の(3)駆け付け警護(4)他国軍隊への後方支援−−を可能とするよう9条解釈変更を提言した。
 しかし、その後の北朝鮮による長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射実験成功、中国海軍による海洋進出など、日本を取り巻く安全保障環境はさらに厳しさを増した。こうした事情をふまえ、新しい類型を検討する。・・・
http://mainichi.jp/select/news/20130806k0000m01012...



#6378(2013.8.9)

 何で、誰も、集団的自衛権に係る政府憲法解釈の改訂が、いかなる「学説」に基づいて行われるのかを問題にしないんだろう?↓
 日本が独立した1年ほど前の<昭和>26年4月、外務省は吉田茂首相の了承を得て、日本は集団的自衛権を発動して沖縄防衛に協力するという文書を米側に提出している・・・。・・・
 日本は当時、米国統治下の沖縄に個別的自衛権を発動できず、せめて米国と集団的自衛の関係を設定して、沖縄の守りに関与したいという苦心の提案だった。
 <昭和>47年に沖縄が返還されると個別的自衛権で対処できるようになり、集団的自衛権を考える必要がなくなったことも、現行解釈の背景にはあったといえよう。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130809/plc1...



#6380(2013.8.10)

<太田>(ツイッターより)

 「首相、危機対応で「空将補」を初起用 官邸の情報分析強化…」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130809/plc1...
「初の女性県警本部長誕生へ 安倍政権、岩手で起用…」
http://www.asahi.com/politics/update/0809/TKY20130...

 こういうことがニュースにならない日本にしたいと思って、ボクは、12年半前に役所を飛び出し、選挙にも出たんだけど、実現するのは、一体いつになることやら。

 それでは、その他の記事の紹介です。

 だから、北岡君、全面解禁の際に依拠する「学説」を明らかにしてくれってんだよ。↓
 集団的自衛権行使、全面解禁提言へ 安保法制懇・北岡氏・・・
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308090420....



#6382(2013.8.11)

<べじたん>

 東京新聞に詳しく出てましたね。あとは、現役の外交官が外務省の見解ではない持論を通せるかってところでしょうか。
 それは100パー無理と、太田さんが思ってることも理解できますが。
 小松氏は一九七二年に外務省入省。条約課長や国際法局長などを歴任した。二○一一年十月に「実践国際法」(信山社)を出版。外務省の見解ではないと断った上で、集団的自衛権に関する持論を展開した。
 著書で小松氏は強盗の例えを使用。警察官を待っていれば自分が殺される状況で強盗を傷付ければ傷害罪に当たる。ただ、ほかに自分の命を守る手段がない正当防衛だったと認められれば、違法性は問われない。このケースが、敵国に攻撃された場合に反撃できる個別的自衛権に当たると解説する。
 小松氏は、殺されそうな友人を助けるために強盗を攻撃する「他者のための正当防衛」を集団的自衛権になぞらえた上で「法制度としては常識的なもの」と主張。さらに、自警団に当たる多国籍軍なども頼りにならないと指摘し、集団的自衛権の意義を強調した。だが、実際は自国に都合が良いケースばかりではない。「友人」が国際社会の理解を十分得ずに他国を攻撃した場合、集団的自衛権を行使すれば、「共犯」として批判を浴びるのは確実だ。
 小松氏の見解が、日本政府の取ってきた「集団的自衛権は国際法上保有しているが、憲法上行使できない」との解釈と必ずしも一致しないのは明らか。人事交代で解釈変更を促す安倍首相の狙いが鮮明になった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK...

<太田>

 小松が挙げている例は、「友人を助ける」場合ですよね。
 私なら、間違っても、「友人」なんて持ち出しません。
 これは、むしろ、集団的自衛権に関する外務省珍説を小松が堅持している証拠ですよ。
 (なお、小松が「外務省の見解ではないと断」っていることは、現役官僚が著書や論文を上梓する時の定型的なdisclaimerに過ぎません。
 付記すれば、小松は、駐仏大使として、外務省の一員であると同時に、政府の一員であったわでですが、仮に彼が退職して一民間人になっていた場合でも、彼の見解、すなわち外務省の見解、が政府(内閣法制局)の見解ではなかった、という一点をとっても、何らかのdisclaimerは必須だったでしょうね。)

もとより、小松が、この本で、集団自衛権に関する国際的通説に拠ることを銘記していれば話は別ですが・・。



#6384(2013.8.12)

 インドの国産原潜の原子炉運転開始、及び国産空母の進水、をニュースにしない日本の主要メディア。
 インドにおいて、日本は当然、ロシアに取って代わらなきゃならないし、日本も原潜、空母を持つべきだ。↓
 India has activated the reactor on board the INS Arihant nuclear submarine, the first to be designed and built in India.・・・
 Experts say is the first ballistic missile submarine known to have been built outside the five recognised nuclear powers.
 <インドは、既に昨年、米英仏露中に続く原潜運用国入りを再度果たしている。↓>
 Last year, India rejoined those countries - the US, UK, France, Russia and China - in being an operator of nuclear-powered submarines when it formally commissioned a Russian-built submarine into its navy.・・・
 <しかも、今回の原潜は戦略核搭載予定だ。原潜も潜水艦搭載核ミサイルも国産。↓>
 The fact that this submarine, the nuclear reactor that powers it, and the ballistic missiles that it will fire are all manufactured locally in India - though there may have been some assistance from Russia - is a significant technological achievement. ・・・
 <インドは、1991年までソ連製の原潜を運用していた。↓>
 India had previously operated a Soviet nuclear submarine until 1991.
 <ソ連時代以来、ロシアはインドと軍事協力をしており、インドの軍事装備の70%はロシア製。↓>
 India and Russia are long-time allies, and Russia supplies 70% of India's military hardware.・・・
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-india-2364831...
 インドの国産空母、きょう進水式・・・
 インドは米国、ロシア、英国、フランスに続き、世界で空母の建造能力を持つ5番目の国となる。・・・
 インドはまた、17年ごろにビクラントより大きい第2の国産空母「ビシャル」(6万5000トン)の建造に着手する計画だ。1980年代に英国から購入した空母ビラート(2万8700トン)、今年末にロシアから買収する「ビクラマーディティヤ」(4万5400トン)を含めると、インドの空母は10年後に3〜4隻に増える。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#6386(2013.8.13)

<TA>

≫何も日本も空母、特に原子力空母を持つべきだと言っているのではなく、かかるオプションを確保しておくことに意味がある、と思うのだ。≪(コラム#1057。太田)
≫日本も原潜、空母を持つべきだ。≪(コラム#6384。太田)

 太田さんの考えが変わったのでしょうか。それとも、状況が変わったのでしょうか。

 空母という兵器は、現在、すでに脆弱化しているのでは?↓

 「現時点<(2005年)>ですら、台湾海峡危機が再燃した場合、用心のため、当初は米空母機動部隊は台湾東方500マイルにまでしか接近しない、と考えられています。こんな遠距離からでは、台湾海峡上に出撃させることができる艦載機の数は1996年当時に比べて大幅に減ってしまったことになります。」(コラム#697。太田)
 「東アジアの海域はゆっくりとだが、それでも着実に米海軍、とくに空母が立ち入れない海域になりつつある。」(コラム#5674。クレピネビッチ)
 「ゴンズは、・・・空母搭載の海軍の航空機の戦闘半径が相対的に小さいこと、他方、中共の対艦ミサイルの脅威が増大していること、から、提督達は<空母(艦載機)による>台湾上空の航空作戦の危険を冒すことを逡巡するだろう、と推測する。」(コラム#5194。米フォーリン・ポリシー誌)

 (太田さんがこのような空母脆弱化論には必ずしも与しない旨を述べているコラムを読んだような記憶は有りますが、)日本があえてすでに脆弱化した空母という兵器を持つべきとする理由について、その使用目的、費用対効果、開発・建造・運用ノウハウの構築までの期間等、詳細な説明が必要であろうと考えますが、いかがでしょうか。

<太田>
      
 まず、「使用目的、費用対効果」から。
 空母は、海兵隊同様、近代的な軍隊を持つ(中共のような)国に侵攻したり、その近傍で活動するためにはあまり役に立たない存在になってしまったけれど、(部分的にはともかく、全体として)非近代的な軍隊しか持たないならず者国家に人道的介入を行う場合等には有効です。
 現地や周辺の飛行場が利用できないうちは、投入地上兵力掩護のための戦場航空阻止や近接航空支援
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E8%A1%93%E7...
を行う攻撃機や戦闘爆撃機を、全て本国や与国から空中給油機随伴で飛ばすわけにはいきませんからね。
 「開発・建造・運用ノウハウの構築」については、大変インドに失礼な言い方ながら、インドができることが日本にできないわけがありません。
 レシプロ機とジェット機の違いこそあれ、日本はかつて大空母国でしたしね。



#6388(2013.8.14)

<TA>

≫空母は、海兵隊同様、近代的な軍隊を持つ(中共のような)国に侵攻したり、その近傍で活動するためにはあまり役に立たない存在になってしまったけれど、(部分的にはともかく、全体として)非近代的な軍隊しか持たないならず者国家に人道的介入を行う場合等には有効です。≪(コラム#6386。太田)

 確かに、イラク戦争やアフガニスタン戦争での米海軍空母の運用を観れば、空母が時代遅れの兵器とは言えませんね。↓
 米国の軍事専門家諸氏の間で、空母ユニットの戦略上の効果に疑いが持ち上がっている。しかし、これに勝る通常(核兵器でない)軍事力計画は、まだ考え出されていない。ロシアの専門家たちはそう見ている。・・・
 先日、米国の専門家ヘンリー・ヘンドリクス氏が公表した論文にはこうある。「空母を世界中に展開することを基本とする戦略は、近く、そして避けがたく、古びる」。しかし、ロシアの軍事アナリストの中で、こうした懐疑論に同意している者は、ほんの一部である。著名な軍事専門家アレクサンドル・ゴリツ氏はVORのインタビューに次のように答えている。
 ―空母。それは、作戦展開の際の間違いの無い手段である。アフガニスタンで作戦を展開する際、付近に地上基地がなかったため、ほぼ全ての空軍オペレーションが、空母のデッキを基盤に行われた。イラクでもまた、空母は中心的な役割を演じた。現代、ほぼ全ての軍事衝突において、空母は極めて重要な役割を演じてきた。米国が置かれた地政学的条件に鑑みれば、私には、空母なしの米軍の現代的軍事戦略など、想像することが出来ない。・・・
 いま、空母が果たしている多面的な機能。それが、より安価な、誘導ミサイルや無人飛行機に取って代わられつつある。しかし、それでも、米国が空母を完全に撤廃することは決してないであろう。「軍事輸出」誌の編集長、アンドレイ・フロロフ氏はそう語っている。・・・
 まだ空母の時代は終わっていない、と語るかのような事実がある。ロシア、インド、中国で、自前の空母ユニットを構築する計画が進行中である。・・・
 もっとも、空母についてどのような考えを持つかは、それぞれの海洋大国にそれぞれであって、その戦略的ないし戦術的コンセプトを比較することには意味が無い。
http://japanese.ruvr.ru/2013_04_10/110371910/

 ↑「空母についてどのような考えを持つかは、それぞれの海洋大国にそれぞれ」だそうですので、「その戦略的ないし戦術的コンセプト」の評価(妥当性、合理性)は個別的に考えなければならない、と理解しました。
 そこで、中国の空母購入・建造の評価についてお聞きします。
 この局での前回の収録の時は、私と残りの全員のパネリストが対峙する感じになったと申し上げたと思いますが、必ずしもそうでなかったらしいことが分かりました。
 というのは、前回も出演された川村純彦氏が、中共の海軍力整備は、(旧ソ連のヴァリャーグ級の)空母建艦計画も含め、対米核抑止力を確保するためであることを強調されていたからです。つまり、中共が空母を持つとしても、それは兵力投入用ではない、つまりは着上陸侵攻用ではない、だから日本向けではない、ということを示唆されていたということです。
 同氏はそのほか、中共の海軍力整備は、インド洋から南シナ海にかけての中共のシーレーン防衛のためでもないことも指摘されていました。いや、そもそも、いかなる国の海軍もシーレーン防衛はできないし、そんなことは考えていない、とまでおっしゃっていました。(コラム#2589。太田)
 中共が空母保有願望を公式に明らかにしました。・・・バカだね。止めときゃいいのに。<こう考えるのは、>海軍力における米国の恐るべき能力の高さを私は知っているからです。
 中共の軍部は、それが分かっていないのでしょう。
 金食い虫の張り子の虎をつくってどうしようというのでしょうか。
 ソ連の「脅威」華やかりし頃でさえ、ソ連は本格空母の保持を追求しなかったのはなぜか、をもっと考えて欲しいものです。(コラム#2992、#3003。太田)

 太田さんが「バカだね。止めときゃいいのに」と述べるのは、「対米核抑止力を確保するため」であっても無意味、という意味でしょうか。
 また、併せて、インドおよびロシアの空母配備計画について、その目的がどういったものなのかをお教え下さい。

<太田>
 
 中共が現在保有しているのは、ロシアが現在保有しているのと同じ型のカタパルトの付いていない中途半端な空母ですが、現在本格的空母を2隻建造中とみられ、近い将来には原子力空母も建造予定とみられており、3隻そろったところで、ようやく1隻を即応体制に置けるようになります。
 しかし、致命的な問題は、中共が広い太平洋にSOSUS網を構築しておらず、また、地勢的に見通しうる将来にわたって、SOSUS網を構築することができない点です。
 つまり、中共は、米国の攻撃型原潜の位置を把握できないまま、いざとなったら、一方的に(常に中共の空母に「随伴」することになるであろう)米国の攻撃型原潜等による多数の巡航ミサイルの集中攻撃を受けることになり、対ミサイル防衛システムによる防戦空しく、殆んど瞬時に撃沈されることでしょう。

 後の方のご質問ですが、近い将来にインドは3隻のカタパルト付の空母を保有し、1隻を即応体制に置くことを目指しており、米国と同様の空母運用構想を、ただし、恐らく、米国と違って全球的にではなく、「狭い」インド洋で実現に移そうとしています。
 他方、ロシアは、カタパルトの付いていない中途半端な空母・・航空機搭載巡洋艦と称している・・を1隻保有しているだけであり、空母に罹る将来計画も明らかにしておらず、要は、米国と張り合う軍事大国であったソ連時代が忘れられず、形だけ空母的なものを保有してお茶を濁しているだけです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Aircraft_carrier
http://en.wikipedia.org/wiki/Kuznetsov-class_aircr...

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 安倍政権の集団的自衛権の依拠「学説」については、疑いの余地なくはっきりしましたね。
 「米国以外に」は、単に、公明党用の切り代でしょう。↓
 安倍晋三首相が設置した有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元外務事務次官)が年内にまとめる報告書に、集団的自衛権を共に行使する対象国を米国以外に拡大する提言を盛り込むことが・・・分かった。・・・
 座長代理の北岡伸一国際大学長が共同通信に明らかにした。「密接な関係にある国が攻撃を受け、日本に重大な被害が及ぶとき」に集団的自衛権が行使できるとの趣旨の提言を検討しているとした。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20130813010017...



#6390(2013.8.15)

 「インドができること」(コラム#6386)と書いたが撤回する。
 下掲の事故に係る報道を読む限り、これまた大変失礼だが、現状では、インドは到底、原潜や空母の運用なんてできそうもない。
 ロシアに代わって、日本が潜水艦を同国に提供し、また、海上自衛隊がインド海軍の訓練を支援してあげることが不可欠だ。↓
 <ムンバイ港で停泊中のインド海軍の潜水艦が18人の乗組員を載せたまま爆発炎上した。↓>
 ・・・An Indian navy submarine has caught fire and sunk with about 18 crew on board after an explosion at a port in Mumbai.・・・
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/14/india...
 <火災が起こり、それによって今度は搭載弾頭群が爆発したと目されている。↓>
 ・・・The explosions, believed to be caused by onboard weapons detonated by the fire, ・・・
 <この潜水艦で、3年前にも事故があり乗組員1人が死亡している。↓>
 Naval chiefs were facing awkward questions after it emerged that there was an accident on the same vessel three years ago, in which one sailor died.
 <潜水艦の上部にいた3人の乗組員は海に飛び込み、ほぼ無事だった。↓>
 Three crew members who were on watch on top of the submarine managed to jump off the hull, escaping with minor injuries.・・・
 <建造後16年経っているこの<ロシア製の在来型の>キロ級潜水艦は、5000万ポンドかけた修理と改善をロシアで行った後、今年に入ってからインドに戻ってきていたもの。↓>
 The 16-year-old, Kilo class submarine, which had undergone a £50m refit and upgrade in Russia and returned to active duty earlier this year・・・
 <本来なら58人の乗組員だが、事故当時、大部分は陸上にいた。↓>
 Most of its 58-strong crew, including the commanding officer, were on shore when the submarine exploded.・・・
 <魚雷のほか、この潜水艦は、125マイル離れた標的を攻撃する能力のある<巡航>ミサイルを搭載している。↓>
 Besides anti-ship torpedoes, the submarine was fitted with missiles capable of attacking targets on land 125 miles away.・・・
 <インドは潜水艦を14隻しか保有しておらず、その半分しか使えない状態だったが、これで更に使える1隻がオシャカになった。↓>
 <India> has only 14. And only half are operational.・・・
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/14/india...
 <火事により、2本の魚雷と数本のミサイルが発射され<(?!(太田))>、停泊していたもう一隻の潜水艦と一隻の水上艦艇に当たったが、損害は軽微だった。↓>
 ・・・the fire set off two torpedoes on board the INS Sindhurakshak, and the deadly missiles hit another submarine and a naval vessel. The damage to the second submarine was minor, the reports suggested.・・・
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/14/18-tr...



#6394(2013.8.17)

<べじたん>

≫安倍政権の集団的自衛権の依拠「学説」については、疑いの余地なくはっきり しましたね。「米国以外に」は、単に、公明党用の切り代でしょう。↓
「安倍晋三首相が設置した有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関す る懇談会」(座長・柳井俊二元外務事務次官)が年内にまとめる報告書 に、集 団的自衛権を共に行使する対象国を米国以外に拡大する提言を盛り込むこと が・・・分かった。・・・
座長代理の北岡伸一国際大学長が共同通信に明らかにした。「密接な関係に ある国が攻撃を受け、日本に重大な被害が及ぶとき」に集団的自衛権が 行使で きるとの趣旨の提言を検討しているとした。」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/20130813010017... ≪(コラム#6388。太田)

 懇談会メンバーの発言を拾ったもののようです。ところで、公明党用の切り代とは、公明党が連立離脱するということですか?
 アメリカ以外の国との関係、とりわけ東南アジア諸国、オーストラリア、韓国等を含めた国から何らかの支援を要請された時にどのように対応するかということも検討しておく必要がある。
 集団的自衛権の対象国としては、アメリカが中心であるが、集団的自衛権の適用範囲をオーストラリア、インド等に拡大して考えていく必要がある。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzenhosyou2/dai1...

<太田>

 逆です。
 「切り代」というのは、集団的自衛権行使の対象を米国だけにすることを法律に盛り込むことで、公明党を自民党との連立に繋ぎとめようとしている、という趣旨です。

 ところで、「切り代」にはあなたが受け止めたような意味があることを「発見」しました。
http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20110521/130592516...
 しかし、役人の世界では、私のような、どちらかと言えば逆の意味で用いられています。
http://voicejapan2.heteml.jp/janjan/government/091...
 ここから、べじたんさんが、少なくとも役人ないし役人OBでないことが分かりますね。
 この場合、役人に、国公立大学の教職員、更には国公立の高中小学校の教職員が含まれるのかどうか、までは分かりませんが・・。

 なお、下掲から、「切り代」が公明党対策であることがはっきりしました。
 憲法解釈で、「密接な関係のある」と狭め、更に、公明党対策として、法律で米国(+α?)と狭めて同党に恩を着せる/同党の顔を立てる、というわけです。
 なお、ネガリストへの転換勧告については、無条件にいいことです。↓
 ・・・座長の柳井氏は今月4日のNHK番組で「地球の裏側まで行って関係ない国を助けるわけではない」と述べ、遠方での事態や日本の国益に直結しない事態では行使を控えるよう提言することを示唆。政府もこうした歯止めをかけ、行使容認に慎重な公明党の理解を得たい考えだ。・・・
 法制懇メンバーはすでに、「ポジリストが自衛隊の行動を制約している元凶だ」との認識で一致。同法について「市民への加害」「捕虜虐待」など国際法で禁じられている行動以外は可能とするネガリストへの転換を提起する。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130817/plc1...

 それでは、その他の記事の紹介です。

 哀れだねえ。↓
 拿捕の北朝鮮船、機器壊し抵抗 兵器発覚で船長自殺図る・・・
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308160615....

 その背景には、末期のソ連に見放されたキューバを北朝鮮が武器無償供与で救ったという歴史がある。(キューバが提供された武器を修理のために北朝鮮に送ろうとしていたってわけ。)↓
 "Comrade Kim Il-sung, a veteran and exemplary soldier, sent us 100,000 AK rifles and accompanying ammunition without charging a penny," Castro said・・・
 Towards the end of the Cold War, Andropov told Castro that the Soviets would no longer be able to intervene if Cuba is attacked by the U.S. and that Cuba would have to defend itself.
 Castro said only very few people knew what Andropov said, and it would have been very dangerous if the remarks had been leaked to the U.S. Therefore, he had to seek "other friends" to arm one million Cuban soldiers. But North Korea stepped in, marking the start of a close relationship between the two countries.
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2013/...

 朝鮮戦争中に米軍の命令で朝鮮半島周辺海域に派遣されて掃海作業に従事し、「戦死」者まで出した日本掃海部隊員達
http://blogs.yahoo.co.jp/naomoe3/57789973.html
にも同じことをしなくっちゃ。↓
 韓国首相が元在日義勇兵と昼食会「参戦に感謝」・・・
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...



#6396(2013.8.18)

<uNOUWVDM>(同上)

 太田さんは核開発技術を維持するために原発が必要という意向ですが、旧皇族の学者竹田恒泰氏によれば、原子力技術の維持は東大と京大に実験炉があれば可能なので、原発は全て廃炉で構わないと語っています。
 この見解についてはどう思われますか?
http://www.youtube.com/watch?v=VXthEqy4M6M#t=6m13s

<xSowwojo>(同上)

 核開発技術と核の生産力は等価で結べないんじゃないの。
 核開発技術があっても、核の生産力をほぼ喪失したなら絵に描いた餅と同じじゃない。
 (=安全保障的な意義がほぼ失われるのと同義じゃない?)
 おそらく、そういった方向性の疑義が提起されると思うぞ。

<zu5vc.lY>

 金にならない実験炉に誰が金を出すのだろう?

<太田>

 いくら技術があったって、核装備を決意した時に、核爆弾用ウラン/プルトニウムの確保に係る経費や時間がやたらかかったりしたら意味がない。
 実験炉の維持だけで、上記の経費、時間等の実際的な諸問題がクリアできるのか、だね。
 なお、核装備した場合の運搬手段として、ロケットの方はともかく、SSBNへの搭載原子炉の技術も、核装備を決意した場合の経費や時間等の実際的諸問題をクリアする形で維持できなきゃダメだな。
 政府部内できちんとした具体的検討を行っておく必要があるね。



#6404(2013.8.22)
 8月15日にNHKが放映した「戦後68年 いま“ニッポンの平和”を考える」という番組<で、>・・・歴史家の半藤一利氏<は、>・・・「近現代史を学べ! きちんと日本の近現代史を学べば、日本の地形は軍事力によっては守れないことが明らかになる。日本の防衛のために軍事力を強化する必要などない」という主張<をした。>・・・
 
→これは論外。(太田)
 
 佐藤鉄太郎は、・・・大著『帝国国防史論』・・・の中で、「四囲を海に囲まれている島嶼国家の国防は、第一義的には強力な海軍力により維持することになり、強力な陸軍力と海軍力の双方によって国防を維持しなければならない海岸線も陸上国境も共に有するロシアのような大陸国家に比べると、軍事経済的に極めて有利である」という主張を古今東西の戦史を例示して説明し、日本の国防は“海主陸従”の原則によらなければならないと主張した。・・・
 
→核戦力じゃあるまいし、海軍力を主とするだけで(すなわち、朝鮮半島に陸上防衛拠点を設けずして)当時の日本防衛は不可能だった。また、当時のアジア大陸東部の日本の経済上の重要性を無視している(=日本が自由に貿易や投資ができなくなったら日本経済が立ち行かなくなる)。決定的なのは、佐藤の議論には人間主義的観点が欠如していることだ、すなわち、周辺諸国もロシアから守ってあげようとしたことは当然。(太田)
 
 現在、アメリカ海軍内部の幹部教育などでは、「佐藤鉄太郎などが唱えた海軍至上主義的国防戦略に則って強力な日本海軍が建設されていれば、アメリカ海軍は日米開戦には踏み切れなかった。もっとも、その場合には、満州や中国に大規模に展開する日本陸軍は存在しなかったであろうから、日米間に干戈を交えるほどの対立は生じなかったであろう」といった具合に、佐藤鉄太郎をはじめとする“海主陸従”構想を評価している。・・・
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38507
→ホントにそんな教育をしているのかどうか知らないが、「日米間に干戈を交えるほどの対立」が生じた理由はそんなところにはない。(「日支戦争をどう見るか」シリーズが公開された時に読んでね。)



#6408(2013.8.24)

 米国は中共を封じ込めようとしているのではなく、相殺しようとしているってさ。
 (ソ連とは違って中共はアウタルキー経済じゃないからそこが違うだけだろ。軍事的には米国は同じことをしているさ。)↓>
 ・・・The United States is not trying to contain China. Rather, the rebalance seeks to increase U.S. diplomatic, economic, and military resource commitments to Asia in order to bring them into balance with America's expanding political, economic, and security interests in the region・・・
 <アジアの指導者達も封じ込めじゃなく相殺を望んでるってんだけど、同じく当然だわよ。↓>
  Asian leaders want the United States to offset China, not contain it. China is a major market for all countries in Asia, including key U.S. allies like Japan, South Korea, and Australia. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/08/23/t...



#6414(2013.8.27)

<唯我独尊>

 シリアのアサド政権が使用した化学兵器は非人道的兵器とされており、このほか核兵器、生物兵器なども非人道的とされています。
 殺戮を目的とする兵器に人道的なものがないことは明らかです。
 これらの兵器について規制が議論されているとは噴飯物です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8F%E5%88%B6%E3...

 これらの兵器を使用すると、首相、大統領、大臣、中央の役人たちまでも、生命の危険に晒されるから規制しようとしており、通常兵器では一般の兵士と民間人だけが犠牲になるだけなので、中枢部の人たちにとっては、通常兵器の規制など必要ないと考えているのでしょう。
 これは究極のエゴだと思われるのです。

<太田>

 何をおっしゃりたいのかよく分かりません。
 警官も拳銃や小銃(通常兵器)を持っちゃいけないんですか?
 化学兵器は禁止して核兵器は禁止しようとしないところの、米国等の核保有大国の「エゴ」(注)については、ご指摘の通りですが・・。

(注)このほか、化学兵器よりも威力の大きい通常爆弾を保有しているという、米国等の軍事大国の「エゴ」もある。
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2013/08/26/is...

 1988年の英国防省の大学校への「留学」時に英陸軍の都市戦訓練場・・現在は自衛隊にもある・・を見学しましたが、訓練の最重要項目の一つが、人影を発見しても反射的に射撃せずに、一瞬でゲリラやテロリストと一般住民(や友軍)を見分けることでしたよ。
 それは当然のことだし、都市戦だろうが田舎での戦闘だろうが、一般住民に被害(コラテラルダメージ)ができるだけ及ばないように、兵器の種類や爆薬量が選ばれるべきことも当然でしょう。

 以下のやりとりもご覧ください。

<黒澤>(ツイッターより)

≫ 時には戦争をしなきゃならないってことを理解して欲しいね。≪(コラム#6412。太田)

 正直な気持ちを言うと、こういう人は日本にいて欲しくない。

<太田>

 ちゃんと、以下のようなことを考えたかい?
 国内法と違って国際法においては、法違反行為を正すための強制的執行を認めないわけ?
 (国内法違反行為を正すための強制的執行を認めない、つまりは警察を認めないっちゅうんなら、以下を読む必要はないよ。)
 認めないんなら、国際法に規範性を求めない、ということになる。
 他方、国際法においても法違反行為を正すための強制的執行を認めるのなら、この強制的執行に日本が(後出の点をさておき)直接的に関与すべきでない理由を提示しなければならない。
 その理由が提示されたとして、今度は、日本が、この強制的執行に直接的に関与している(関与することもある)米軍の日本駐留を認め、その駐留経費の相当部分を負担している、つまりは、強制的執行に間接的に関与していることを認めるのか否かを明らかにしなければならない。
 なお、国内法とか国際法とか関係ない法の一般原理だけど、正当防衛で実力を行使すること(強制的に正当防衛権を執行すること)が認められているが、キミはどんな場合でもこの権利をこんな形では発動しないのかい?
 自分の子供が殺されようとしている場合も?

 下掲の2篇のコラムも参照するといいよ。
 <アサドはついにやり過ぎた。↓>
 Not content to slowly exterminate his opposition and continue the massive depopulation of his country, Syrian President Bashar al-Assad apparently felt compelled to launch a blatant chemical weapons attack in a Damascus suburb that killed hundreds, if not thousands. ・・・
 <ユーゴスラヴィアのミロシェヴィッチやリベリアのチャールズ・テイラーやリビアのカダフィらの轍を踏んじゃった。↓>
 ・・・like former Yugoslav President Slobodan Milosevic, former Liberian President Charles Taylor, and former Libyan President Muammar al-Qaddafi -- got so used to poking the great slumbering bear that is the United States and the international community without any response that he assumed he had absolute impunity to do whatever he pleased on the ground. ・・・
 <欧米の忍耐限界を超えてしまったということだ。何もしないでいることは欧米のためにならない。国際秩序の正統性をも掘り崩してしまう。↓>
 Assad's great miscalculation is in not realizing that at some point the costs of inaction simply outweigh the cost of action for Washington and its allies. It does not serve the United States, the European Union, or anyone else well to be seen as feckless in the face of such horrors. It undermines the legitimacy of the international order and makes it more likely that other despots will employ similar tactics. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/08/26/t...
 <だけど、化学兵器の使用も、また、(厳密に言えば(太田)、)国連安保理で認められたものでない(シリアへの)軍事攻撃(・・自衛権の行使なら別(太田)・・)も、どちらも国際法違反であることに変わりはない。↓>
 ・・・The use of chemical weapons is unlawful in international law. But so is a military attack in response unless authorized by the United Nations Security Council.・・・
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2013/08/26/is...



#6420(2013.8.30)

 エッまだ属国法制が続いてたの?↓
 ・・・政府は新たに特定秘密保護法案で、厳罰の対象を広げようとしている。政府が指定した「特定秘密」を漏らした場合には、秘密保護法と同じく最長十年の懲役を科す考え<だ>・・・
 公務員による情報漏えいを禁止する法律には、国家公務員の守秘義務違反に対する懲役一年以下または五十万円以下の罰金を定めた国家公務員法、「防衛秘密」を漏えいした場合に五年以下の懲役を科す自衛隊法がある。
 加えて、日米相互防衛援助協定(MDA)に伴う秘密保護法では、米国から供与された装備品等に関する情報を漏らせば、最長で懲役十年の罰則となる。・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK...



#6432(2013.9.5)

 常任理事国制度という欠陥を内在させながらもまがりなりに機能してきた国連というシステムを、オバマは破壊しようとしている、とする、エール大ロースクールの教授二人によるコラムだ。↓
・・・In the Kellogg-Briand Pact of 1928 and in the United Nations Charter of 1945,・・・<s>tates were forbidden to enforce the law on their own and had to work through a system of collective security. ・・・
For all their wisdom, the United Nations’ founders showed incredible lack of foresight in freezing in place a system in which five nations hold permanent veto power in the Security Council. Unfortunately, that’s unlikely to change, despite almost uniform consensus that the configuration makes little sense. The question is whether we can manage to live with these shortcomings. If not, we have to think very hard about what the alternative might be ― and recognize that it could be far, far worse.
The question Congress and Mr. Obama must ask now is whether employing force to punish Mr. Assad’s use of chemical weapons is worth endangering the fragile international order that is World War II’s most significant legacy.
http://www.nytimes.com/2013/09/04/opinion/on-syria...



#6434(2013.9.6)

 韓国での世論調査は、日韓関係改善を支持しているってさ。↓
 <58%が無条件の日韓首脳会談開催を支持。↓>
 ・・・The Asan poll, taken Aug. 30-Sept. 1, shows that 58% of the South Korean public would support a summit between President Park and Prime Minister Abe (35% opposed and 7% were unsure). Moreover, the survey question assigned no preconditions-such as a fresh apology by Tokyo for colonial era wrongdoings, for example-for a summit to take place.・・・
 <6割が日本との軍事情報共有協定締結を支持。↓>
 The poll also found that 60% of the public would support the signing by Seoul of a military intelligence sharing agreement with Tokyo, a pact that was aborted by South Korea at the eleventh hour last year (32% opposed and 7% were unsure).・・・
http://blogs.wsj.com/korearealtime/2013/09/06/a-pa...



#6442(2013.9.10)

 これは正しい。↓
 
 ・・・防衛省内にも「日本に対する攻撃が始まったと考えれば、今も行使が認められている自衛権の範囲で対応できる」と疑問の声がある。海自幹部も「イージス艦には通常、防御艦艇をつける。米軍が自分で守れない状況は考えにくい」と認める。省内では「集団的自衛権が行使できないと困るような差し迫った具体的な課題はない」との見方が大勢だ。
 <最後のセンテンス以外はおおむね正しいと思うね。↓>
 安倍首相はそもそも「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げていた。日米安全保障条約に基づいて、米国は日本を一緒に守る義務があるが、日本には米国が攻撃されても守る義務がない。集団的自衛権を使えるようにして、戦勝国・米国と対等な国になりたいというのが、首相の真意だと思う。しかし、それなら日本が提供している米軍基地はどうするつもりなのか、説明が必要だ。・・・
http://mainichi.jp/opinion/news/20130910k0000m0701...

 国連が完全に破綻していることを嘆くコラムだ。↓
 The U.S. Ignores the U.N. Charter Because It’s Broken・・・
 <どうしたらよいかだが、一つの方法は、先制攻撃と人道的介入を国連が認めること。しかし、実現可能性はない。↓>
 One possible solution to the current impasse is to broaden the exceptions to bans on the unilateral use of military force, to permit both preventive self-defense and humanitarian interventions. ・・・
 <もう一つの方法は、国連常任理事国を増やすとともに、拒否権をなくすこと。↓>
 Another possible approach is reform of the Security Council. The Guardian recently argued that the permanent members of the Security Council do not fairly represent the world’s population: “The obvious solution is enlargement and the replacement of the veto system with majority voting.”・・・
 <しかし、常任理事国候補たる人口の多い国(日本も含まれている)は人権後進国ばかりだから、そうしたところで展望はない。(てやんでえ!(太田))↓>
 The most populous countries that do not currently have permanent seats are India, Indonesia, Brazil, Pakistan, Nigeria, Bangladesh, Japan, the Philippines, Vietnam, Ethiopia, and Egypt. These are not countries known for pursuing a foreign policy that promotes human rights, and most of them hardly pay attention to the human rights of their own citizens. If they sat on the Security Council and majority rule governed, countries with liberal values would be routinely outvoted.・・・
 <第三の方法は、ここ5人の大統領が30年間にやってきたように、米国が国連を無視し続けること。↓>
 Meanwhile, here at home, for 30 years five presidents of both parties have disregarded the U.N. rules on the use of force.・・・
 <これは、全世界に拡大されたモンロードクトリンみたいなもので、全世界の独裁者が強権統治をしたり隣国に手を出したりするのを米国が武力行使して窘めるというもの。↓>
  Something like the Monroe doctrine, but applied to both hemispheres. The Bush-Obama doctrine, as one might call it (though there are some variations between the presidents), extends throughout the world. It declares that dictatorships that stay in power through violence and threaten their neighbors must fear America’s might, whatever the rest of the world might say.
 <だけど、その米国が相対的に力をどんどん落としている以上、いつまでもこれを続けられるものではない。(だから、日本をいいかげん自由民主主義国として認め、自由民主主義諸国が結束して米国一国の代わりを務めなきゃならないのさ(太田)。)↓>
 This can last only as long as the United States can overwhelm other countries with its power. For a country often thought to be on the brink of decline, it’s a bold stance to take.
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/vi...



#6444(2013.9.11)

 官房長官が、尖閣に公務員を常駐させる可能性に言及したことが世界の主要マスコミで取り上げられてるのに、何で日本の主要メディアの電子版HPで取り上げてないのよ。↓
 Japan might station government workers on disputed islands in the East China Sea to defend its sovereignty, Japanese Chief Cabinet Secretary Yoshihide Suga said yesterda・・・
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/201...



#6446(2013.9.12)

 米国政府が反日親中の韓国にうんざりしてる様子が窺えるね。↓
 ・・・2012年11月に米・戦略国際問題研究所のエドワード・ルトワック(Edward N. Luttwak)上級アドバイザー・・・は・・・以下のように書いた。
 --卑日で現実逃避する韓国--
・韓国は米国には北朝鮮による全面戦争への抑止力を、中国には一時的な攻撃に対する抑止力を依存している。だがこれは、米国にとって満足できる状況ではない。韓国を守るリスクとコストを独力で負わなければならない半面、韓国への影響力は中国と折半せねばならぬからだ。
・韓国の安全保障面での責任逃れの姿勢は「日本との争いを欲する熱意」という歪んだ形で現れる。韓国沿岸での中国漁船による不法操業が拡がり、同胞(海洋警察官)が殺されようと、韓国はいつもの、まったく無害の標的に怒り続けている。「従軍慰安婦」を示す、上品ぶった韓国人少女の像がソウルの日本大使館の前に設置された。
・こうした現実逃避は国際政治に携わる実務家の力や同盟国としての影響力を損なう。さらに、実際に脅威をもたらしている国に威嚇されやすくなってしまうのだ。・・・
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/2013...



#6450(2013.9.14)

<太田>(ツイッターより)

 「…防衛予算の増加、自衛隊の権限拡大…など、安倍政権は…「中国の脅威」を…うまく利用してきた。…」
http://j.peopledaily.com.cn/94474/8400021.html
 中共がインド国境や南シナ海で強く出て東シナ海では寝転んでることもできたのにそうしなかったのは日本の「独立」を望んでいるから、が僕の結論。

<太田>

 もちろん、単純に考えれば、日本が「独立」すれば、日米が現在のように「緊密」じゃなくなるだろうって思惑が中共当局にあるってことなんだろうが、その底には、(米国と比較しての)日本に対する敬意や信頼があるんじゃないかな。
 これは、毎日、人民網を読み込んでいる私が到達した大きな仮説だ。
 とにかく、この「好意」に応えて、我々は「独立」を果たそうじゃないか。

 それでは、その他の記事の紹介です。

 「軍隊を持つことは軍事国家への入り口だ」並の愚論だな。↓
 秘密保護法案 軍事国家への入り口だ・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial...

 現在の米国の「厭戦」ムードを的確に表すセンテンスだ。↓
 ・・・After Sept. 11, 2001, we were all New Yorkers; now we are all realists.・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/book-review...



#6452(2013.9.15)

<TA>

≫中共がインド国境や南シナ海で強く出て東シナ海では寝転んでることもできたのにそうしなかったのは日本の「独立」を望んでいるから、が僕の結論。≪(コラム#6450。太田)

 中国が「日本の「独立」を望んでいる」とのご主張は分かる話なのですが、そのために中国が「東シナ海」(尖閣)で「強く出て」いるとのご主張は、よく分かりません。太田さんの過去のご発言との整合性がとれないように思えるのですが・・。↓

 「・・・現在の中共は、・・・深刻な危機下にある。・・・経済を解放してしまった中共当局は、腐敗と抑圧を糾弾する国内外からの批判の声に晒され、次第にその耐性限界に近付きつつあるように見受けられる。・・・中共当局としては、対処手段は経済成長の継続とナショナリズムの喚起しかないが、例えば尖閣で対日攻勢に出ることで短期的には国内の不満をそらすことができても、対日攻勢には軍事的にも経済的にも限界があり、そのことが不満を更に募らせてしまう、という、いわば死のスパイラルに、彼らはからめとられてしまっている。・・・中共当局は、完全に追い詰められた心境になっていると思ってよかろう。」(コラム#5939。太田)

→ナショナリズムを喚起するだけなら、過去に武力紛争を起こした「実績」があるインドやベトナム、更にはこぜりあいを起こしたことがあるフィリピンを対象にすれば、それなりの効果はある一方で、万一武力紛争やこぜりあいが再起し たとしても、(中越戦争では実質的に敗北したけれど、 爾来中共軍は急速に精強化していることを考えれば、)「負けて」恥を晒す心配もないわけですよね。
 しかも、中共当局が対日ナショナリズムの喚起を図ると過去の反日教育に染まった(染まったふりをした)アホな一部中共国民が、中共国内の日本人や日本企業や日系企業を襲ったりする一方で、圧倒的多数の中共国民がホンネでは日本大好き人間だとすると、中共国内的には弊害こそあれ、 ナショナリズム喚起の効果があんまり期待できそうもありません。
 それでも、中共当局が、あえて(武力紛争やこぜりあいが起こったら確実に中共が「負ける」アブナイ)日本をも対象にして、しかもそれを執拗 に続けているのはどうしてか、という疑問に対する私の答えだと思ってください。(太田)

 「・・・オバマは、あえて、「アジアにおける緊張を高め、紛争が起きやすい環境を創り出」す「戦略」を追求(ロス)することでもって、日中関係を悪化 させ、日本に自立を強く促すとともに、中共の(自立に向かって動き出した日本に対する)無力さを際立たせることで当局の国内的権威を失墜させ、その早期瓦解の可能性を高めようとすらしている・・・。」(コラム#5934。太田)

→要するに、客観的に見ると、というか、結果的に、米中が暗黙裡に協力し合って日本を「独立」させようとしている、という(日本人たる我々にとってはまことに情けない)状況だと考えてよいのではないでしょうか。
 一体、日本「独立」のメリットは米中のどちらにとってより大きいのか、米中のどちらが読み勝っているのか。
 それを決めるのは日本であり、日本国民です。(太田)

≫<中国には、>(米国と比較しての)日本に対する敬意や信頼があるんじゃないかな。・・・具体的なデータがないという前提の下だが、中共と韓国での日本文化の浸透ぶりは、米国を含む他の第三国の文化の浸透ぶりを圧しているんじゃないか。東南アジアでも、多かれ少なかれそんな印象を受ける。≪(コラム#6450。太田)

 留学先のデータからは、概ね、そのような傾向が見られそうですね。↓

 中国人・インド人・韓国人・日本人の海外留学先(2007年)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8022.html
 アジア人の海外留学先(2007年)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8024.html

→「そのような傾向が見られそう」とは必ずしも言えませんねえ。
 留学先(データがちょっと古い)は、留学先の言語の国際性とか高等教育機関の質とか旧宗主国であるか、が決定的であり、余り適切なデータで はないのでは?(太田)

 それでは、その他の記事の紹介です。
 
 対象は米国だけで、しかも、米国の要請がなければ発動できない?
 冗談は止めてくれー。↓

 「集団的自衛権行使「同盟国の要請が前提」 北岡座長代理・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/0914/TKY20130...

 軍事介入に、コソボの時は米上院は賛成し米下院は反対したがクリントンは介入した。リビアの時はオバマが軍事介入してから米下院が反対したがオバマはそのまま介入を続けた。(これじゃ、アサドとプーチンが慌てふためいたワケだ。)↓
 ・・・ In 1999, the House of Representatives refused to back Clinton's air war over Kosovo; Clinton went ahead anyway after winning a vote in the Senate. And even more recently, in June 2011, the House voted against authorizing Obama's intervention in Libya ― one justified mostly on humanitarian grounds ― by a lopsided 295 to 123. (The vote came after U.S. strikes on Libya were already underway, and Obama ignored it.)・・・
http://www.latimes.com/opinion/commentary/la-oe-mc...



#6454(2013.9.16)

 あらゆる意味で、この記事を書いた記者、分かっとらんね。↓
 集団的自衛権、米「歓迎」も本音は複雑 中韓との摩擦懸念・・・
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS13001_V10C13...

 イスラエルの核の状況が分かるよ。↓
 <2004年に核弾頭製造を中止。↓>
 ・・・Israel stopped production of nuclear warheads in 2004.
 <更に115〜190の弾頭を製造するだけの核物資を保有。↓>
 But the country has enough fissile material for an additional 115 to 190 warheads・・・
 <現在保有している核弾頭は80で、うち50は中距離弾道弾用、30は航空機搭載爆弾用。(潜水艦の巡航ミサイル用のは持ってないんだ!(太田))↓>
 50 of Israel's nuclear warheads were for medium-range ballistic missiles and 30 were for for bombs carried by aircraft・・・
http://www.latimes.com/world/worldnow/la-fg-wn-isr...



#6456(2013.9.17)

 なんちゅうバカなことを。
 日本の現状では、特定の脅威を前提としないところの、基盤防衛力構想か(民主党政権が策定した、凡用)即応防衛力構想しかありえないんだよ。
 中共による離島への侵攻などありえないし、仮にあったとしても米軍だけで対処できる。
 だから、日本が侵攻されるという有事シナリオに基づく、いわゆる脅威対処防衛力構想に立てば、自衛隊は陸自どころか、海空自を含めて存続させる必要がなくなってしまうんだよ。
 そうじゃないって結論が出るとすれば、防衛省がウソ付いてるってことさ。↓
 年末に予定する「防衛計画の大綱(防衛大綱)」改定に向け、政府の検討作業が大詰めを迎えようとしている。・・・
 今回は<従来のやり方>を抜本的に改め、制服組として3自衛隊共通の有事シナリオを初めて策定。そこから必要な装備体系と運用指針を導き出すことにした。
 有事シナリオは、中国による尖閣諸島(沖縄県石垣市)など南西方面の離島への侵攻と、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃の2通りある。・・・
 海・空自には、中国側の増援部隊の艦艇や航空機が展開してくるのを海・空戦力で封じ、先に投入された艦艇や上陸部隊を孤立させられると主張する声が多かった。「離島を奪還するために陸自部隊が上陸するような作戦は想定する必要がない」と言い放つ幹部もいたという。
 北朝鮮の弾道ミサイル攻撃への対応にも陸自は納得していない。・・・
 シナリオは陸自がテロリストを掃討する作戦に踏み込まず、「陸自排除」が貫かれた、というのが陸自の言い分だ。・・・
http://news.livedoor.com/article/detail/8071495/



#6460(2013.9.19)

<太田>(ツイッターより)

 「…領土紛争が存在するという前提の下で、中日両国の正常な関係を速やかに構築する。これはすでに一刻の猶予もならない。」
http://j.peopledaily.com.cn/94474/8404397.html

 よちよち。日本で、少なくとも太田コラムの読者達は、君達の考え抜いた苦衷のアブナイ対日戦略を理解して、応援しとるからね。

 「…日本の銀行が再び世界最大の対外貸付銀行になり、1990年代後半の輝きを取り戻した。…」
http://j.peopledaily.com.cn/94476/8403915.html
 「自宅のような日本の高齢者の街…」
http://j.peopledaily.com.cn/94473/8403796.html

 日本を褒めてくれて、日本に元気を与えてくれて有難う!

<太田>

 だから、全くマエストロ小澤の言う通りだと思うわ。
 それにしても、1975年だかに、サンフランシスコで指揮した直後の彼に、楽屋でスタンフォードの地元の日系のおばちゃんの紹介で会ってから、(お互い様だけど、)すげえ老けたもんだねえ。↓

 「日中関係「全然冷え込んでない」 小澤征爾さん語る・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201309180626....



#6462(2013.9.20)

<太田>(ツイッターより)

 「…「<尖閣問題に対する>中国要人の言葉は、世論を意識した国内向けだ。ただ、彼らは日本の主張や日本側の資料をよく知らないので、本当にそう思い込んでいる部分もある」対中交渉経験がある外務省幹部はこう分析した上で「いずれにしろ、彼らが強い言葉を使うのは、国内統治と国際関係への自信のなさの表れだ」と 強調する。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130919/plc1...

 中共当局を見くびり過ぎだよ。
 (「国内統治と国際関係への自信のなさ」に関しては基本的に僕も同感だが、)この外務省幹部の見解と僕の最新の見解のどっちが説得力があるか、よーく考えてくだしゃんせ。



#6466(2013.9.22)

 米国に関してだけ、米国の要請があった場合に限り、しかも、「(米国を含む?)他国の領域外であれば」集団的自衛権の行使が可能となるってワケ?
 も、気ー狂ってるとしか形容のしようがないね。↓
 ・・・政府関係者は「他国の領域に入って戦争はしないが、公海は別だ」と語り、各国の主権が及ばない公海なら集団的自衛権の適用範囲に含まれるとの見方を示した。
http://mainichi.jp/select/news/20130921k0000m01010...



#6470(2013.9.24)

<HpxoD8Mw>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 22日付けの、皆さんとディスカッション2029の毎日jpの記事
< http://mainichi.jp/select/news/20130921k0000m01010... >
読んだけど、自民最悪ジャン。
 結局究極の形での対米従属が完成するだけなんだな、自民党政権は。
 アメリカの戦略の補てんをするための経済植民地・ATM・慰安所・技術提供の役割に加えて、出兵もするのか。
 ついにアメリカのために国民の命も献上する時が来たようだ。
 やっぱり、安倍自民によって脱保護国の第一歩なんて幻想だった。
 早くやめちまえ、真性売国奴ども。

<太田>

 その切磋琢磨が宗主国の奥の院の心を揺さぶり、我らが安倍首相、名誉米国人の認定を受けたぞ。
 彼、このたび、米保守系ハドソン研究所から、米国人以外では初めて、ハーマン・カーン賞を授賞される運びとなり、ロナルド・レーガン、ヘンリー・キッシンジャ、ディック・チェイニーらこれまでの錚々たる受賞者達と肩を並べることになった。↓
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2013/09/23/abe-...

 それでは、その他の記事の紹介です。

 労働コストが鰻上りの中共から逃げ出して米国へと戻る米企業がどんどん増えている。もっとも、こりゃ、ある意味じゃウィンウィン状況だけどね。↓
American companies are increasingly “reshoring” manufacturing operations from China to the US・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/e14d6cae-249d-11e3-...

 これとも関連し、中共からたまには「良い」ニュースを。
 中共の高速鉄道は大成功を収め、これが、他のしばらく前までの高度成長発展途上諸国と違って、中共の高度成長にさしたる陰りが見えていない最大の理由の一つだってさ。↓
 ・・・China’s high-speed rail system has emerged as an unexpected success story. Economists and transportation experts cite it as one reason for China’s continued economic growth when other emerging economies are faltering. ・・・
http://www.nytimes.com/2013/09/24/business/global/...
 <2年前のあの大事故以外に目ぼしい事故が起こっておらず、モノスゴーク安全な鉄道だって評判が確立しつつある。↓>
 ・・・While the crash is still talked about in China today, statistics suggest that China’s high-speed trains have actually proved to be one of the world’s safest transportation systems so far.・・・
http://www.nytimes.com/2013/09/24/business/global/...

 メルケルのドイツは、かつての日本の顔色がなくなるほどのエコノミックアニマルなんだね。↓
 <軍事を蔑ろにして武器輸出に血道を上げている。↓>
 ・・・The Federal Republic's flourishing weapons trade -- coupled with the country's profound anti-war consensus -- remains a central paradox of her foreign policy.・・・
 <世界5大武器輸出国だが、防衛費はフランスの3分の1まで落としている。↓>
 Germany was one of the top five global suppliers of conventional weapons from 2008-2012. ・・・
 France spent three times as much on defense as Germany in 2011・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/09/23/h...



#6474(2013.9.26)

 訳が分かってないくせに、小出しにリークするなってんの。↓
 集団的自衛権、海上輸送にも…政府が解釈見直し・・・
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130926-OY...

 米国の政軍関係が危機状態にあるってさ。
 政の方が勇ましく軍の方が逃げ回ってるって感じは受けてたが・・。↓
 Washington has found itself in a crisis over the proper relationship between senior civilian and military officials.・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/09/25/t...



#6478(2013.9.28)

 目出度し目出度し、経済制裁がようやく効いてきたってことね。↓
 米イラン両大統領が電話協議 断交後、初 核問題話す・・・
http://www.asahi.com/international/update/0928/TKY...



#6480(2013.9.29)

<Gi/PeuqI0>(「たった一人の反乱」より)

 <尖閣問題>中国、電撃作戦で尖閣占領の可能性―米メディア
 Record China 9月28日(土)21時40分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130928-0000002...

 太田さんがあり得ないと断言している離島占領の可能性ですが、欧州の専門家はあり得ることだと分析してますよ。

<7PRZ08Gb0>(同上)

 コラム#5743の、「中共当局に「尖閣を掠め盗る」意図などあるワケがないのは、・・・」から「・・・と断定していい、とボクは思うね。」までを読むといいよ。

<太田>

 そりゃ、日本を本格的に再軍備させよう/「独立」させよう、と中共当局が考えているに違いない、とボクが言い出す前のコラムだろ。
 そいつじゃなくって、「尖閣を掠め盗る」軍事能力なんて中共にはないってことを説明した箇所の方がいいね。
 どのコラムかは、各自探してくれたまえ。

 ところで、Gi/PeuqI0クン、「デンマーク王立防衛大学の専門家は、中国が電撃的な軍事行動を取る可能性もあると指摘」してるっての?
 この大学、Royal Danish Defence College
http://forsvaret.dk/fak/eng/Pages/default.aspx
のことなんだろうが、長い防衛庁時代、そしてそれ以降も、この大学のセンセが何か言ってそれがマスコミで取り上げられたことなんて一度もないぜ。
 しかも、匿名の「専門家」?
 結論先にありきの、米国政府による謀略放送だと言っていんじゃないか。
 前から言ってるように、米国は、当然、日本の本格的再軍備/「独立」を希ってるからね。
 こうして、米中の対日戦略的提携は着実に進捗してるんでありまーす。

 オバマとイランの大統領の電話会談にイスラエルと湾岸諸国は衝撃を隠せないらしい。↓
 ・・・One gulf academic・・・likened the phone call to “the fall of the Berlin Wall.” An Israeli lawmaker said in a radio interview that he hoped that Mr. Obama would not be the next Neville Chamberlain, known for appeasement of the Nazis in 1938. ・・・
 <イランに誑し込まれたオバマだとさ。↓>
 They worry about Iran’s sincerity, and fear that Mr. Obama’s desire for a diplomatic deal will only buy Iran time to continue a march toward building a nuclear weapon.
 <第一、イランが核を諦めたとしても、経済制裁が解除され、米国との関係を改善したイランは、経済力及び在来軍事力、そして政治力が強化され、イスラエル/湾岸諸国への脅威が飛躍的に高まるってワケ。↓>
 But beyond that, the prospect of even a nonnuclear Iran — strengthened economically by the lifting of sanctions, and emboldened politically by renewed relations with Washington — is seen as a dire threat that could upend the dynamics in this volatile region. ・・・
http://www.nytimes.com/2013/09/29/world/middleeast...

⇒ユダヤ教やイスラム教(スンニ派)に毒されて非人間主義化したままのこういった連中には、(実は完全に世俗化している、エセ・キリスト教徒(≒ライト師的キリスト教徒)の)オバマの人間主義的対外政策はチンプンカンプンってカンジだな。
 (だけど、シーア派原理主義者に対して人間主義外交が果たして有効なのだろうかって?
 まあそう言わんと・・。)



#6482(2013.9.30)

<太田>(ツイッターより)

 米国世論の非介入主義、内向き志向への変化が一望できる二つの図が載ってるよ。
 とりわけここ数年の変化が凄まじい。
http://www.csmonitor.com/USA/Foreign-Policy/2013/0...
 自信を喪失し疲れ果ててるってこと。
 そろそろ米国を、日本が懲罰として課した世界の一人警察官役から降ろしてやろうじゃないか。



#6484(2013.10.1)

<太田>(ツイッターより)

 「【社説】対馬の仏像問題、戦略的思考で対応を…文化財の返還を実現するには、まずは私たちが国際社会の常識と慣例に従う姿を示す必要がある…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 急に高級紙らしくなった朝鮮日報。
 韓国全体の対日ムード好転を反映したものだと信じたい。

<b5w7Jols>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 そうは問屋がおろさない。↓

 韓国文化省、仏像返還発言を否定 日本への抗議準備=韓国報道
http://news.livedoor.com/article/detail/8112538/

 そもそも何をもって対日ムードが好転したとか言うてはりまんのん?
http://www.asahi.com/international/update/0712/TKY...
http://news.livedoor.com/article/detail/8043713/

<太田>

 あわて者こちゃん。
 最後に「と信じたい」が付いてるだろ。
 期待表明だよ。

 後は蛇足だが、まず、韓国文化省の件については、「文化体育観光部はこの問題について、29日も誠意のない釈明と対応に終始し「重要かつデリケートな事案だという問題意識が欠けている」との批判を呼んだ。同部は「長官が(会談で)原則を再確認した」と発表しただけで、どういういきさつで日本のメディアが「返還」報道をするに至ったのかを積極的に明らかにせず、発言内容が「我田引水」的に公開されたことについて外交的対応を取るかどうかをめぐっても右往左往した。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
という経緯を経た上でのものだろ。
 予想に反して、朝鮮日報的な前向きの反応が韓国メディアで乏しかったので、ドーンダウンしたってだけのこと。

 世論調査結果については、日本に対する片思いが募ってる中韓がストーカー化してるってところさ。(その他の諸国は、そこまで日本に対する思い入れがないってこと。)
 本物のストーカーとは違って、彼らは日本に対して実質的痛みを伴うような凶行には及ばない。
 及べば一方的に自滅するだけであることを自覚しているからだ。
 だから、思われ人たる日本は、優越感を深く蔵し、笑いを噛み殺しつつ、慈愛に満ちた眼差しを彼らに注いでおればよろしい。

 ところで、「韓国の朴槿恵大統領は・・・現時点での日本との首脳会談に否定的な考えを示した」
http://news.livedoor.com/article/detail/8115015/
ってんだけど、韓国当局は中共当局の最近の対日姿勢をマネしてるってことだな。
 韓国も、中共同様、日本とは、トップ同士以外の全ての交流を積極的に行う方針を立てた、と推察している。

 なお、中韓のシンクロはそこまで。
 韓国の場合は、中共ほど、国民の眼を逸らさなきゃならない深刻な内部矛盾を抱えているわけじゃないし、当局も日本を再軍備/「独立」させる必要性を強く感じているわけじゃないし、そもそも、中共の場合と違って安全保障的観点から日本国民の感情を悪化させすぎるわけにはいかないんだから、中共人の対日感情の好転を待つことなく、韓国人の対日感情は、その対米感情の好転にも伴い、早晩急速に改善に向かうだろう、いや、もう改善し始めているのかもしれない、とボクは読んでるんだわさ。

 お後がよろしいようで。
 あ、そうそう、韓国と中共の対日コンプレックスの根源が何となく分かるのが次の調査結果だ。↓
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 このコンプレックスの根本的解消を図るためには、例えば、韓国じゃ伝統の復活(漢字の復活等)、中共じゃ腐敗の根絶(中共の打倒等)が必要ってことだろうけど、可哀想だが容易じゃないねえ。
韓国の方についてもう少し敷衍すれば、伝統たって、李氏朝鮮時代は清に盲従しただけの何もいいことのなかった時代だし、
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
本来懐かしい日本統治時代はひたすら否定・抹消されるべき対象でしかない
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
ってんだからね。


 武器って部品の集合体なんだから、武器輸出禁止政策なんて、基本的にナンセンスなんだよな。↓
 中国軍迎撃ミサイルに日本部品・・・
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130930/chn1309...



#6486(2013.10.2)

 米国の予算空白/政府閉鎖騒動小特集だ。↓
 <米公務員80万人が自宅待機になったと見られている。↓>
 ・・・ The most common estimates say 800,000 employees would be sent home.・・・
http://www.theguardian.com/world/2013/oct/01/gover...
 <次には政府がデフォルトする可能性が。↓>
 Is the US a functioning democracy? This week legislators decided to shut down a swath of the federal government rather than allow an enacted health law go into operation at the agreed moment. They may go further; if they do not vote to raise the so-called “debt ceiling”, they risk triggering default on US government debt – a fate far worse than the shutdown or fiscal sequestration.・・・
 <国民皆保険を阻止するためにこんなことをやる米議会は気が狂っているとさ。↓>
 The idea that one should close the government -- or risk a default -- to stop universal insurance, which other high-income countries take for granted, seems mad. ・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/bca4c114-29d8-11e3-...
 <議院内閣制の国じゃこんなことは絶対起きない。↓>
 ・・・Elsewhere in the world, such shutdowns are practically impossible. The parliamentary system used by most European democracies ensures that the executive and legislature are controlled by the same party or coalition. ・・・
 <大統領制の国でも普通は起きない。米国でも、1980年にカーター政権が厳格な憲法解釈を打ち出すまでは置き得なかった。↓>
 In non-parliamentary democracies, such as Brazil, a strong executive branch has the ability to keep the lights on during a budget impasse. Such was the case in the United States as well, until a 1980 Carter administration interpretation of the 1884 Anti-Deficiency Act strictly limited the powers of federal agencies in the absence of congressional funding authorisations.・・・
 <米国が無駄と誤りを許すだけ金持ちの国だからこそこんなことが可能だってんだけど・・。↓>
 James Fallows writes in the Atlantic. "The United States can afford it only because we are - still - so rich, with so much margin for waste and error."
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-24342521
⇒米国民は自国がフツーの国だという意識改革を行った上で、憲法を改正し、行政権の権限を強化するか、議院内閣制に移行するかしないと、早晩、野垂れ死にだぜ。ま、言うだけ野暮ってやつだが・・。(太田)



#6488(2013.10.3)

<太田>(ツイッターより)

 「韓米同盟60年、5つの難題…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/201...
 軍事侵攻を受ける可能性があるのに防衛力の強化をネグって米国におんぶにだっこを続け、集団的自衛権行使ができるのにそのための軍備を持とうとせず、だから信用がないくせに核能力は持とうとしている韓国ってワケだ。

 経済制裁が効いたことは確かだが、このところのイランの宥和外交に対し、イランがシリア等で存在感を増している一方、米国は中東ですっかり評判を落としている上、武力行使が出来なくなっていることもあり、多くをイランに求めるな、と戒めるコラムだ。賛成!↓
・・・as America approaches talks with Iran over its nuclear program, it must not assume that Iran is ready to surrender. America’s reduced credibility in the Middle East, because of its waffling over Syria, is an equally important dynamic in the equation.
 America will be going to the negotiating table without the credible threat of war, facing an Iran basking in newfound domestic stability and benefiting from its pivotal role in Syria. Negotiations between the two, for the first time, cannot be based on threatening Iran into submission, but on persuading it to compromise. That demands of America an approach to match the “heroic flexibility” that Ayatollah Khamenei has called for.
 <ほんのちょっと経済制裁を緩め、その見返りに、イランの核プログラムの進捗を遅らせ、より査察を受けさせること、を目指せと。↓>
 Expect no grand bargain with Iran in the short run, but rather, the lifting of specific sanctions in exchange for concrete steps to slow down Iran’s nuclear program and open it to international scrutiny.・・・
http://www.nytimes.com/2013/10/03/opinion/america-...



#6490(2013.10.4)

 日米安全保障協議委員会(2プラス2)での合意についての記事だが、北京とNYの二人の記者の共同執筆なのが気になる。↓
 <米国は、ドローンと海軍偵察機を初めて日本から運用。(米国はどこにそんなカネあんの?(太田))↓>
 The agreement, which will position surveillance drones in Japan for the first time, underscored the two countries’ efforts to respond to growing challenges from China and North Korea at a time of budget constraints. It also included some of the clearest signals yet that the United States backs Japan’s increasing though still limited moves to strengthen its military, and its military ties in Asia, as a counterbalance to China’s own buildup. ・・・
 The drones, as well as Navy reconnaissance planes never before stationed outside the United States, are expected to patrol waters in the region, including those around the disputed island chain. ・・・
 <対サイバー攻撃防御で日米は協力することになった。また、新たなXバンドレーダーの日本設置により、北朝鮮周辺海域に展開しているイージス艦を世界の他の地域に振り向けることが可能に。(やっぱ、どこにそんなカネあんの?(太田))↓>
 The security guidelines included an agreement to work on specific cybersecurity projects. It also finalized plans to place a new X-band radar system in Kyogamisaki, near Kyoto, to better protect both countries against military threats from North Korea. The powerful new radar will also save the Pentagon money by freeing up American Aegis radar ships that now patrol the waters near North Korea for use elsewhere in the world. ・・・
http://www.nytimes.com/2013/10/04/world/asia/japan...

 最新のシリア情勢だが、アサドが内戦に軍事的に勝利しつつあるとの見方は間違ってるってさ。ソ連のと国際社会のイスラム過激派への募る恐れにより、アサドはこの戦争に政治的に勝利しつつあるだけだと。↓
 ・・・Some analysts claim Assad is winning the military war. That is wrong. The battlefield is deadlocked and will remain so as long as the rebels continue getting arms. But thanks to Lavrov and Putin and the growing international fear of the jihadists, Assad is winning the political war.
http://www.theguardian.com/world/2013/oct/03/syria...



つづき・・・安全保障記事 3

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