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adckh_1257 2020年09月18日(金) 14:42:20履歴
テラスティア大陸の北部に位置するダグニア地方の中でもさらに北側、魔動機文明の遺跡を基盤とするバルナッド共和国で私は生まれた。生まれたと言っても私はルーンフォークなので、アフマディという人間の商家が所有するジェネレーターによって「製造」されたわけだが。
アフマディ家には、嫡子が生まれ物心つく頃になるとそれに合わせてルーンフォークを1体製造しその子の傍付きとする慣習があり、私は当時の嫡子カリダの傍付きとして造られた。私がカリダと出会ったのは、私が製造から半年、カリダが7歳のときである。カリダは大変聡い子であったが、反面父であり家長たるラシードは魔動機文明の遺跡を開拓して家を大きくすることに執着するばかりで我が子に構う様子はなく、カリダはよく寂しそうな顔をしていた。
カリダがこんなことを言ったのは、彼が10歳になろうという時のこと。
「お前は、街に出たことがあるか?」
カリダは家の敷地から出たことがなく、街の人々がどのように暮らしているかを知らなかった。
「父が評議員であることを望まない人々が門の前に押しかけてくるのを見て、驚いた。皆が糊のかかったシャツを着ているのではなく、皆が満足のできる暮らしをしているわけではない。この堅牢な城壁の内から出たこともない僕は、知らなかった。…今まで僕は民草のことを人と思っていなかったのかもしれない。」
このことがきっかけか、カリダはいつしか私のことを名前で呼ぶようになった。
アフマディ家には、嫡子が生まれ物心つく頃になるとそれに合わせてルーンフォークを1体製造しその子の傍付きとする慣習があり、私は当時の嫡子カリダの傍付きとして造られた。私がカリダと出会ったのは、私が製造から半年、カリダが7歳のときである。カリダは大変聡い子であったが、反面父であり家長たるラシードは魔動機文明の遺跡を開拓して家を大きくすることに執着するばかりで我が子に構う様子はなく、カリダはよく寂しそうな顔をしていた。
カリダがこんなことを言ったのは、彼が10歳になろうという時のこと。
「お前は、街に出たことがあるか?」
カリダは家の敷地から出たことがなく、街の人々がどのように暮らしているかを知らなかった。
「父が評議員であることを望まない人々が門の前に押しかけてくるのを見て、驚いた。皆が糊のかかったシャツを着ているのではなく、皆が満足のできる暮らしをしているわけではない。この堅牢な城壁の内から出たこともない僕は、知らなかった。…今まで僕は民草のことを人と思っていなかったのかもしれない。」
このことがきっかけか、カリダはいつしか私のことを名前で呼ぶようになった。
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