レーヴェス探訪記ーA Tale of Rehvesー　攻略

　ルーンフォークが持つ家族の概念は、他の人族のそれとは大きく異なる。
少なくとも、私のものは。

　私には、父がいた。
父といってもルーンフォークは生殖によって子を成すわけではなく、ジェネレーターを用い人の手よって「造られる」ものであるから、その「父」はむろん血の繋がった生みの親などではない。
私の仕えた者がその男親を父と呼んだので私もそれに倣ったのみである。

「死んでもカリダだけは守らねばならない。」
耳にタコができるという表現を、遠い地方の言葉で書かれたものを翻訳した書物で読んだことがあるが、まさにそれだ。
父は呪文のようにこの言葉を繰り返した。
わかっている。
それこそが私の使命、それだけが私の生きる意味。
私は人ではなく、人に仕えるもの。

　幸いなことに、カリダは聡い子であった。
私や彼の父の言うことをよく聞き、商いや帝王学について習っている間などは私が本を読んでいられるほどに手のかからない子であったが、なぜかその表情を曇らせることも多かった。
体調が優れなかったのだろうか。
そんなことを思いながら、私は今日も勉学に励むカリダの傍らで書物を読み漁る。

　この時の私はまだ、本当の家族を、本当の生きる意味を、知らない。