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作者:真珠狩りの男
前回:クシャトリラの捕虜、キトカロス


しばらくすると情動の波が去り、キトカロスは理性を取り戻す。
そんな彼女の胸に去来するのは激しい自己嫌悪の念と後悔であった。

キトカロス:「私は……なんてことを」

壁に手を付き項垂れるキトカロス。
快楽の衝動は去ったが、身体の奥底には自分でもどうにもできない疼きが今もなお燻っていた。

キトカロス:(私はもう元の私には戻れない……だったらいっそここで命を絶ってしまえば……)

キトカロスは入室時にこっそりとベッドの下に短剣を忍ばせていた。それを手に取り鞘から引き抜くと、刃を胸元に当てた。

キトカロス:「ごめんなさい、ペルレイノの民達、そしてティアラメンツの皆……」

胸の中に去来するのはペルレイノでの輝かしい日々。泣き虫のメイルゥ、物静かなハゥフニス、しっかり者のシェイレーン。皆大事な友達であり家族。そして一人と一匹の……
一滴の涙が零れ落ち、真珠に変じてコトンと音を立てる。

キトカロス:(ああ……なんであの人のことを思い出すのかしら……)

思い返せば覚悟が鈍る。そうなってしまう前に……
一思いに胸を貫こうとしたその時だった。


ヴィサス=スタフロスト:「命を粗末にするな」

突如として現れたヴィサス=スタフロストの手がキトカロスの短剣を止めたのだ。

キトカロス:「ヴィサス=スタフロスト様!?なんでここに!?」

ヴィサス=スタフロスト:「転移は不便だ。だが……」


ヴィサス=スタフロスト:「お前を見つけられた」


キトカロス:「ヴィサス=スタフロスト様……!」

ライトハート:「オイオイ!オレ様を忘れてくれちゃ困るぜ!」

キトカロスの目に希望の光が灯る。無言で差し出されたヴィサス=スタフロストの手を取り立ち上がった。

キトカロス:「シェイレーンが何処かに捕まってるんです……お願いです!助けてあげてください!!」

ライトハート:「ねーちゃんも酷い有り様じゃねぇか。なのに他人の心配か?」

ヴィサス=スタフロスト:「承知した」

ライトハート:「オイ!オレ様を無視するんじゃねえ!」

部屋を出る直前、ヴィサス=スタフロストはライトハートにこう命令した。

ヴィサス=スタフロスト:「お前はここを守れ」

ライトハート:「ケッ!人使いの荒いヤツだぜ!せいぜい暴れてくるんだな」

−−−

ヴィサス=スタフロストは瞬く間にクシャトリラを殲滅し、シェイレーンを抱き抱えてキトカロスの元へと戻ってきた。

キトカロス:「シェイレーン!」

シェイレーン:「キト…カロス…さま……」

キトカロス:「シェイレーン!」

キトカロスはシェイレーンにギュッと抱きついた。そして怪我がないかを慌てて確認する。
幸いにもシェイレーンの傷口は綺麗に治療されていた。だがそれ以上に激しい凌辱を受けた跡がいくつもあり、キトカロスは思わず涙ぐんだ。

キトカロス:「ごめんなさい……シェイレーン……ぐすっ……うぅ……私が弱いばかりに……」

シェイレーン:「そんなことはありません!……キトカロス様はちっとも悪くありません……悪いのは私の方で……」

キトカロス:「いいえ、悪いのは私の方なのよ」

ライトハート:「あああああ!辛気臭えなオイ!素直に互いの無事を喜べよ!悪い奴らはオレ様達がやっつけたんだからな!」

ライトハートは痺れを切らしそう叫んだ。

キトカロス:「……ふぅ……確かにその通りですね。ありがとうございます。シェイレーンを助けていただいて」

シェイレーン:「あ……ありがとうございます」

ヴィサス=スタフロストは無言で頷いた。

ライトハート:「ヘヘッ!分かればいーってことよ!で、オレ様への感謝は?」

ヴィサス=スタフロスト:「戻るぞ」

ライトハート:「無視してんじゃねえ!」

ヴィサス=スタフロストはキトカロスとシェイレーンを抱き抱えると、ライトハートのサポートを受けながらペルレイノへと転移した。
ペルレイノへとたどり着いたキトカロス達が目にしたのは復興作業に励む人々の姿だった。
ペルレイノに攻め込んだクシャトリラはヴィサス=スタフロストによって既に撃退されていたのだ。

帰還したキトカロス達の元へ二人の人魚が駆けつける。

メイルゥ:「キトカロス様ぁ!シェイレーンちゃぁん!」

ハゥフニス:「よかった……本当によかった……」

メイルゥがキトカロスとシェイレーンに抱きつき大泣きする。その傍らでハゥフニスが静かに安堵の涙をこぼすのだった。


−−−


キトカロス:「貴方にはなんとお礼を申し上げていいのかわかりません。本当にありがとうございました。ヴィサス=スタフロスト様」

ヴィサス=スタフロストを自身の部屋に招き入れたキトカロスは感謝の意を言葉にした。
部屋はキトカロスとヴィサス=スタフロストの二人きり。ライトハートは外でメイルゥ達のオモチャにされている。
キトカロスはヴィサス=スタフロストに近寄り、その手に触れた。
じんわりと心の中に暖かいものが広がっていくような感覚を覚えた。
キトカロスは顔を赤らめながら目を潤ませて上目遣いに彼を見つめる。

キトカロス:「ヴィサス=スタフロスト様……私は……」

キトカロスは己の恋心を自覚した。

キトカロス:「あ、あのっ……わたくし……」

キトカロスは緊張しながら自分の想いを伝えようとする。

しかし……

ヴィサス=スタフロスト:「俺には使命がある」

ヴィサス=スタフロストの言葉にキトカロスはハッとした顔を浮かべる。そして頬を染めたまま恥ずかしそうに微笑んだ。

キトカロス:「はい。存じております。お邪魔して申し訳ありません……。でも、この気持ちだけは伝えたかったのです」

キトカロス:「どうか私達のことを忘れないでくださいね?またいつか会える日を願っていますから……」

ヴィサス=スタフロスト:「ああ」

ヴィサス=スタフロストはキトカロスに背を向けたまま短く返事をした。

キトカロス:「ヴィサス=スタフロスト様。またお会いできる日まで……さようなら……」

キトカロスは寂しげに笑みをこぼす。

やがて彼の姿が見えなくなるまでその光を眺め続けたのだった。

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