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作者:ベリーメロン

 艶やかな少女の声が男を眠りから目覚めさせる。ああ、いつもの時間だったかと目を開いてみれば、見知った少女の顔がこちらを覗き込んでいた。

「やっと起きた!」

 彼女はアトラの蟲惑魔。エモノをその淫らな衣装と行為で誑かし、最後には捕食してしまうという大蜘蛛の怪物だ。青髪は艶やかで美しく、黒を基調とした露出の多い衣装はいかにも男を興奮させる出で立ちをしている。
 挑発的な赤い瞳は爛々としており、滲み出る気の強さと不機嫌さを隠さない。

「起きなかったら喰ってやるつもりだったわ。今度こそアンタに勝って喰ってやるんだから」

 喰おうと思えばいつでも喰えるだろうに。なのに何故そうしてしまわないか、それは彼女の矜持の問題だ。
 もうすでに数日は経っているだろうか。この男を捕らえたアトラの蟲惑魔は、最近暇だったがゆえに戯れに一つのゲームを持ちかけたのだ。
 ざっくり言ってしまえば『先にイッたら敗けで、勝った方の言うことを聞く』というルール。
 蟲惑魔は快楽が好きだ。それも淫らなものが大好きだ。仲間内で何度もやるくらいには。
 さすがに媚毒は使わないが、快楽に慣れ親しんだ蟲惑魔にはあまりにも有利なルールだ。最初はハンデで先に弄らせるが、どうあがいても負ける道理はない。
 なのに、

「アンタにずっと負けてるなんて他の子に知れたら一生の恥だわ!しかも負けた後に好き勝手されたなんて!」

 勝てなかった。百戦錬磨のアトラの身体はハンデの時間内に生娘のように跳ね回ることになり、その後は興奮した男にさんざん弄ばれた。
 そして勝ったこの男はふざけたことを言い出し、今はアトラの縄張りに図々しくも住み着いている。そして夜毎にアトラとの勝負をするという生活を送っているのだ。
 アトラには訳がわからない。勝ったのなら本当に好きにしてしまえばいいし、ここに住み着く必要もないのだ。
 だが快楽勝負で負けたという事実、しかも情けなく何度もイカされ犯されたなんてことは彼女のプライドが許さない。なによりも男が住み着いて数日間、今に至るまでずっと負かされているなんて許容できないのだ。

「さぁ、今度こそ――は?今日は私にハンデを二十分やるですって!?ふっふざけん……」

 完全に舐められている。前に自分が与えたハンデの倍も与えられている。……だがこれ以上負けが込むのも不味いというのはアトラとて内心ではわかっている。
 ぐぎぎ……と歯軋りをしてから、アトラは渋々言葉に出した。

「…………わ、わかったわよ!でもそんなハンデ与えて後で後悔しても遅いからね!」

 そうなれば話は早い。拾った手足のついたガラクタ時計を二十分にセットし、準備を整える。さっさとイカせて屈辱の生活から解放されよう。とアトラは開き直ることにした。
 寝転ぶ男に乗り上げ、今はまだ萎えている股間に手を這わせていく。股間を男の太ももに擦り付けて意識させてやれば、ゆっくりと膨らんでいく股間。慣れた手つきでズボンを脱がし、その下のパンツもずらせば鎌首をもたげたソレが顔を出した。

「ふん、威勢はいいわりにもう固くなってきてるじゃない?これは勝負が見えたんじゃないの?」

 言いつつ手は緩めない。白く細い手が膨らみ始めたグロテスクな肉棒を撫でていく。絶妙な加減で撫でてやればすぐに

「ちょっと!?この私が撫でてるのに何で半勃ちなのよ!」

 いつものエモノならこれだけでビクビクしているのに。
 小さく舌打ちし、アトラは追い討ちをかけるために自分の衣装を軽くずらした。それだけで、ぷるんと小ぶりながらも形の良い乳房が溢れ出て揺れる。そのままペニスを弄る手は緩ませず、生乳を男の胸板に押し当てるように上半身に乗り出した。

(コイツの弱いところを見つけてやる!)

 上半身に手を這わしながら、耳や首筋を舐めてみる。男はこそばゆいだけのようだ。
 ならばと男の乳首を片手で弄り、もう片方も舐め回す。男は余裕そうだった。
 時計を見やればすでに1/3は経過している。

(くっ!こんだけやってほんのりなんて!)

 今やっている愛撫を続けるのは無駄だと判断したアトラは、男の股ぐらに頭を向けて目下の今はまだ柔らかい男のペニスに舌を這わせた。生暖かい湿った舌が当てられると、さすがの男も勃起を抑えられないのか目に見えて固くなっている。

「れろっ……やっとかたくなってきたわね!やっぱ男なんてちょろいわねっ♪」

 これならいける!と笑みを浮かべながら追い討ちをかけるように、その口でペニスを頬張っていく。アトラの小さな口では許容ギリギリだが、出せさえすればいいのだ。
 頭ごと動かして巨大なペニスを小さな口で出し入れする。溢れた唾液は先走りと混じり合って、テカテカをそれを光らせていた。

「じゅぷぷぅ……ちゅぱぁ……」

(この調子でイカせてやる!)

 と余裕をこき始めるアトラだが、その予感は脆くも崩れ去ることになる。
 口淫を初めて数分経った頃。

(なんで出ないのよ……!?)

 いつものエモノならとっくに果ててるはずだ。それなのにこの男のペニスは硬度は増しても、射精する兆しがない。
 さらに追い討ちをかけるかのように

(なんか冷たいのが当たってる?風……いや鼻息!?まさかコイツずっと私のアソコを凝視してるの!?)

 蟲惑魔は基本的に下着を付けていない。それはアトラも同様で黒いミニスカートの下には布なんてなく、無毛の性器が丸出しになっている。
 別に見られても恥ずかしくはないはずだ。なんせ見せつけるためのものだから。しかもすでに何度も見られているし触らせているのだから気にする必要なんてない。
 なのにこの時アトラは恥じらう乙女のように、急な羞恥心に襲われてしまった。
 なんせこの時、アトラの蜜壺は確実に濡れてきていたのだから。蟲惑魔が自らの奉仕行為で濡れているなんて、気付いてしまったからだ。

「み、見るんじゃないわよ!?」

 上半身を慌てて起こし、これ以上覗かれることを防ぐ。口から抜けてしまったペニスはテカテカと黒光りしているが、精液出すにはまだ足りないようだ。
 気付けば時計が示す時間はもはや数分しか残されていなかった。

(わ、私がハンデを貰った挙げ句負ける……?)

 快楽事なら負けないと自負していたのに、また負けそうになっている。しかもハンデ付きで。
 ここまで来れば残っている方法は一つしかなかった。

「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」

 意を結したのか、アトラは男の方に向き直すと、股がるような姿勢で男の股間部に腰を降ろしていく。
 いきり立ったペニスの先と、アトラのヴァギナの入り口が触れ合うと「ぬちゅ」という粘液質な音が漏れた。果たしてどちらが出した音なのか。

「勘違いしないでよ、私はこれで勝つんだから……」

 言ってから一気に押し込んだ。これまで何度も自分を犯してきたこの男のペニスを自ら受け入れてしまったことに、悔しさで震えたアトラだが勝つための行動だと無理やり割りきった。

「んんっ♡アンタのちんぽっいれただけで出そうになってるんじゃない?」

 そう言ってゆっくりと動き始める。時間はほとんどない。ここで勝ちきらないと、どうあがいても勝てないのだ。けれど速くすることができない。そうしてしまうとアトラの方がハンデ中にイってしまうと、本人が確信していた。騎乗位という有利な立場なのに。

「ほら……はやくっ……イキなさいってば!」

 口をつぐみながら挑発するアトラ。しかしもはやその顔が挑発になっていないことを本人は気付いていない。いや目を背けている。

「はやくっ……ひぅっわたしのおまんこにっ、なさけなくびゅーびゅーってせーしだしないよっ」

 速めなければきっと出ない。だが速めてしまえば自分が耐えられない。でも速めたら気持ちよくなれる。
 色んな感情を抑えながら腰を動かすが、無情にも男が達することはなかった。
 そうしている間に、すでに時間は来てしまっていた。

「うそっ!?二十分もあって――ひゃぁぁぁあああああああっっっ♡」

 ハンデの時間は終わったとばかりに、されるがままだった男が動き始めた。もどかしく動くだけだったアトラの腰を太い腕で掴むと、下から思い切り腰を一気に突き上げる。それだけで達したらしいアトラに、追い討ちをかけるがごとく何度も突き入れる。

「あひんっ♡ひゃめっまちなさっっっ!イったっ!もうイってるからぁああっ!?」

 抵抗しようにも、もどかしかった感覚を焼ききるような激しい突き上げはアトラから余裕を取り去っていた。
 イク毎に痙攣する腟内にさすがの男も我慢の限界だったのか、一際大きな波に合わせて一気に放出する。

「ひゅっっっ!?でてるぅ……せーえきやっとでたぁっ……!」

 たっぷりと出されたソレはアトラの腟内をたっぷりと満たし、余韻だけで彼女はまたイクこととなった。

「うぅ……なんで勝てないのよぉ……また何度もイカされるなんて……」

 ひとまずの快感が落ち着いて、冷静さを取り戻したアトラ。数いる蟲惑魔の中でも特に気が強いとされる彼女にしては珍しく、声色も弱気に震えて泣き出しそうになっていた。事実としてすでに蟲惑魔としての威厳はないに等しい。これが他にバレればバカにされるのは間違いないだろう。
 そんなアトラを、泣かせた張本人の男が抱き締めて囁く。それに聞いた泣きじゃくる蟲惑魔がジタバタと暴れた。

「――――っっっ!だから「好きだ」とか言うなぁ!蟲惑魔に好きとか結婚してくれとかアンタ正気なっちゅんんぅっ!?」

 被せるような唇が奪われる。男は当初から勝負に勝つ度にその言葉を投げていたのだ。これ以上は否定させる気はないとでも言うように、アトラの逃げ道を塞いでしまう。

「ちゅぱっ、ちゅるるるぅっ♡――ぷはぁっ……はぁっはぁっ……本気で、あれを言ってたの?」

 当たり前だと即答され、アトラはさすがに面食らう。変な男だと思っていたが、本気で蟲惑魔を口説いていたなんて思いもよらなかった。確かにこれまで何度も言われはしたが、方便のようなものとしか受け取ってなかったのだ。そして今度はわざわざ不利な条件を出してなお、まだ言われてしまえばもう否定ができなくなる。

「………………わかったわよ……受けるわよ……」

 か細い声で、根負けして了承をすると男が歓喜する。

「い、言っとくけどここまで負けたからってだけだからね!アンタのことなんて好……」

 好きじゃないからと言いかけて顔を赤くする。そもそもを言えばこの男に執着していた時点でアトラも何かがおかしかった。そのままゲームなどせず喰ってしまえばよかったのを、わざわざ引き伸ばしにしたのは矜持というよりも。それを自覚してさらに赤面して固まったアトラを敏い男が見逃すはずもない。

「ちょっ!?こらっ!」

 今度は押し倒す形でアトラの蜜壺にペニスを挿入していく。

「またいきなりっ!やっぱさっきのなしっンン〜〜〜ッッッッ!?」

 咄嗟に言いかけた言葉がまたもや塞がれる。さっきより短いものだったが、言葉を遮るのには十分すぎた。
 追い討ちをかけるように腰が動き始め、アトラはまたもや余裕をなくしていく。

「ほんとっ、なんでっ、こんなにきもちっひぃんっ!ちくびつまむなぁっ!みみもかむなぁっ!ヘンタイ!ドスケベ!ロリコン!」

 思い付く限りの罵倒をするが、男の興奮を煽るだけでしかない。お返しとばかり耳元にかけられた囁きに一瞬で言葉を詰まらされる。そして速まる腰の動き。

「ゆーなぁ!すきいーながらつくのらめぇっ!」

 その反応も煽るだけ。目をぎらつかせた男はさらに深くを目指して強く腰を叩き付けた。

「それだめぇっ!もうおまんこぐちゃぐちゃだからぁっ!おちんぽつよくしちゃだめえええっ!」

 蟲惑魔なのに翻弄されっぱなしという事実がアトラの脳をじんわりと焼きつかせ、余裕が何一つなくなっていく。
 そのくせに好きに動くのではなく、こっちを気持ちよくさせるつもりなのか、さっきから弱いところばかりに擦られていることにすらアトラは気付けない。これまでの日数で、ハンデとして好きに触らせた結果男には筒抜けになっていることに。
 快楽を好む蟲惑魔は快楽の感じ方も人間に近いのが最大の誤算だっただろう。Gスポットを責めるようにペニスが腟内をかき混ぜ、ピンと立った乳首を男の太い指が押し潰す。ただそれだけの動作がアトラを翻弄するのだ。

「ひあっもうっらめぇっ!おまんこぐちゅぐちゅされるとおかしくなっちゃうのぉっあんたなんて好きじゃないのにぃっ」

 そう言うわりにはペニスを手離したくないかのように、膣肉で締め付けるアトラ。二律背反した少女の矛盾は男の性欲を煽るばかりだ。

「これいじょうやられたらっそのきになっちゃうぅ!ニンゲンなんかエサなのにっ!こわくまなのにぃ!ニンゲンちんぽにまけるのやだぁっ!」

 さらに強く突き上げると快楽に惚けたアトラはもうしどろもどろで、本人さえ何を口走ってるかわかっていないのだろう。
 トドメを刺すかのように男の腰の動きが大きくなり、杭打ちされるように揺らされるアトラはその予兆を喘ぎながらも感じ取っていた。

「あひっこれっ、つよくっんひゃぁっなってりゅのぉ!ニンゲンちんぽにっまたせーえきながしこまれちゃっんひゃぁぁぁああああああっ」

 ビクンとこれまでより大きく男の身体が震えると、アトラの最奥に直接流し込むように精液が放出された。

「またまけちゃったぁ……あんたのちんぽつよすぎよぉ……こんなのほんとうに……」

 息も絶え絶えのアトラだが、男のペニスはまだ衰えてはいない。それに気が付いたアトラは、四肢を投げ出しながら言った。

「はぁ、まったくもうしかたないわね、もうすきにしなさいよ…………すきに」

 その言葉を待ってたかのように再びアトラに飛びかかる男。結局その夜もアトラの負け越しで、嬌声は朝になるまで止むことはなかった。







「――で、本当に私に惚れてるわけ?」

「…………はぁ、本当に物好きね。いいわよ、あんだけ負けたんだからアンタの願いどおりにしてあげるわ」

「…………は?私の気持ちも教えて?また言わせる気?」

「…………そんなに聞きたいの?じゃあ仕方ないわね。一回だけちゃんと言ってやるわ。アンタのことはす…………………………嫌いじゃないわよ」

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