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 雨はまだ降り止まないようだ。
 東屋の周りは鬱蒼とした林に囲まれて、洋館の角の窓と屋根が見えるだけだった。フェリジットとシュライグはベンチに腰掛けて時間を持て余していた。
「フェリジット、少し聞きたいことがある」
 シュライグは静かに口を開いた。この真剣な口調は恐らく事件のことだろうとフェリジットは思う。
「ええ、屋敷からこの東屋を通過して別館に向かう。空を飛ぶかキットの道具を使わなきゃ無理な話よね。だから全員にアリバイがある」
「そっちじゃない。俺の隠し子を名乗るご令嬢のことだ」
「でも母親の方の未亡人とは関わりがあったのよね。シュライグが誠実なことを知っているし、あの子のことはしょうがないんじゃないの? 事故みたいなものね」
「あの時、俺の潔白を信じてくれたのはルガルとエレクシア、そしてアルバスだけだった。俺はそんな軽い男に見えるのか」
「鉄獣戦線のスポンサーは夫をドラグマとの戦いで失った未亡人が多いじゃない。シュライグはご婦人方に人気なんだし」
シュライグの顔に憂いが帯びる。普段から表情を出さない彼にしては珍しい。
「そもそも俺は童貞だ。ルガルは知っている」
「へっ……」

 ポタリ。
 東屋の屋根から一滴の雨だれが落ちる。
 ポタリ、ポタリ、ポタリ。

「えっ、嘘でしょ」
「過酷な人生でそんな暇はなかったよ」
「私は女性関係隠すのうまいんだなって思っていたんだけど、違うの?」
 シュライグの表情はあまり変わらないように見えた。フェリジットからするとかなり落ち込んでいるように見える。シュライグはそれなりにコンプレックスを持っているようだった。
「じゃあさ。抜いてあげようか?」
 フェリジットはシュライグのふとももに手を置いた。僅かにシュライグの心音が早くなったことを獣人の耳は聞き取る。
「待て、エレクシアは20分後にここに来るぞ。こんなことをしてはダメだ」
「お屋敷の中でトリックの解説をするんでしょ。そんなに時間は掛からないから」
 シュライグは少し脱いだ。美しいラインの鼠径部が露わになる。下着を脱ぐと中からムワッとした肉棒が露出した。シュライグは恥ずかしさを隠さなかった。
 フェリジットの細い指がシュライグの興奮に絡みつく。少し触れるか触れないかぐらいに。フェリジットは息を吹きかける。
 その瞬間、暴発した。白い液体がフェリジットの顔にかかる。フェリジットは指で掬い、少し舐めた。
 シュライグの顔は羞恥に染まる。目を閉じ、唇を噛む。頬は少し紅くなっていた。彼は普段の鉄仮面からは想像できないものだ。
(へえ、シュライグってこんな顔をするんだ)
フェリジットは自分の支配欲と優越感に背筋がゾクゾクするのを感じた。彼女の尻尾は揺れ動く。まるで獲物を狙う猫のようだった
「すまない。フェリジットの顔を掛けるつもりはなかった...…」
 弱々しい彼の言葉もフェリジットは初めて聞いた。戦いの場では常に誰よりも先頭で弱音を吐きそうになる仲間たちを鼓舞している。しかしここにいるのは翼を怪我した小鳥のように見える。
「でも、シュライグのここはこんなに大きくしていると痛いんじゃない?」
 フェリジットの指がシュライグのものを撫でる。一度だけでは満足できないかのように硬くなっていた。
「……別に痛くはない。痛い訳ないだろう」
「ふーん、じゃあ、やめちゃおっかな〜」
「いや、続けては欲しい……フェリジットがいいなら……」
 フェリジットは自分が悪い顔をしていることに気がついていた。獲物を弄ぶ猫のような嗜虐心。
「頼む。フェリジット……」
 シュライグの目は潤んでいた。フェリジットの指がシュライグに絡む。

 窓の鍵が開く音が聞こえた。獣人の耳はいい。キットが洋館の窓を開けるまで、二人はベンチに腰掛けて何事もなかったように座っていた。
「リズ姉! そっちにロープを渡すから柱に結んで!」
 どこから持ってきたのか弩を構えていた。多分洋館の中にあったのだろう。エレクシアたちの推理を聞いていない二人には分からないことだった。
 雨の勢いは弱まり、もう止みそうであった。




 野営地での食事はいつもより豪華なものになっていた。事件の解決のお礼にと多めに物資を供給してくれたのだ。
「……以上が事件の顛末です。きっと、みんないい人たちだったんでしょう。でもすれ違ってしまった」
 エクレシアは普段よりもご飯を食べた。そして一連の奇妙な出来事について語った。
「そして、あの家の伝承の全文を地下で見つけました。やっぱり教導好みのものに書き換えられていました」
 翼の騎士は姫を凶賊から逃がすために一人砦に残った。そして翼の騎士は片翼を失ったが姫のところに戻ることができた。二人は結ばれて子を成した。これが当家の始まりである。
「なるほどな。あのお嬢ちゃんに翼が生えていたのは先祖返りってことか。すまねえ、シュライグ。責任取れなんて言っちまって」
ナーベルは恥ずかしそうに頭をかいた。
「にしてもよぉ、エクレシアは教導国家の聖女さまだったんだろう。なんでそんな……ああ、いやなんでもない」
 フラクトールは余計なことを言いかけたが、エクレシアは気にしていないようだった。
「私もフルルドリス姉さまに会わなければこんな考え方をしなかったと思います。姉さまのお陰ですね」
エクレシアはポツリと漏らすように言葉を続ける。
「お姉さま、大丈夫かな……ちゃんとお別れを言ってないのに……あっ、湿っぽいことを言っちゃいましたね。ごめんなさい」
「フルルドリスはきっと無事だ。彼女は聡明で思慮深く美しい人だ」
シュライグの言葉にエクレシアは肯いた。

(へぇー、聡明で思慮深く美しい女性ねぇ……)
 シュライグの言葉をフェリジットは反芻する。なんとなく気に食わない。シュライグはあんな女性が好みなのだろうか。機会があれば相手は誰でもいいのか。生娘のような感情が自分の中にあるとは思ってもみなかったのだ。
 フェリジットは静かにテントから出る。キットとエレクシアは静かに寝息を立てていた。
 シュライグは焚き火の番をしていた。
「フェリジット、まだスプリガンズのところまで遠い。ゆっくり休んでいてくれ」
こちらの姿も見ようとしない。フェリジットはシュライグのことを睨んだ。なんで自分ばかり相手のことを考えなければならないのか。不公平だ。
「眠れないなら酒があるぞ」
シュライグは後ろ手に高そうな酒を見せた。
 焚き火の火がパチリと跳ねた。
「フェリジットは、こう、男女の経験はあるのか?」
フェリジットが酔いが回るのを感じながら、チビチビとすする。飲みやすいがこの酒は度数が高かった。
「えっ、まあ、あるけど」
「そうか」
シュライグは酒を飲んだ。
「ほら、明日も生きていけるか分からないやつらって集まるでしょ。刺激が欲しいなーってなるのよ。気持ちよくなるのに手っ取り早いでしょ」
「そうか」
 シュライグは酒を飲んだ。
「それで別になにかが起こるって訳でもないし、なにかが変わることもないわ。ただただ気だるい夕暮れがもっと気だるくなっただけ。そんな日の夜に死んだやつもいるしね」
フェリジットは自分がわざと明るく語っていることに気がついていた。言葉にするとやっぱり地獄の日々であったのだから。
「そうか」
 シュライグは酒を飲んだ。
「盗んだ魚の腸を結んで作ってたのよね。今思うとゾッとするわ」
「そうか」
 シュライグは酒を飲もうとしてフェリジットは流石に止めた。
「飲みすぎ。交代までまだ時間があるんだから」
「すまん。俺から聞き始めたことだが、飲まずにはいられなかった」
 シュライグは吐きそうだった。酒のせいなのか、フェリジットの話のせいなのか、分からない。
「じゃあ、私の過去を忘れさせてよ」
 フェリジットはシュライグの肩を掴み、ゆっくり押し倒す。シュライグは抵抗しなかった。酒を飲みすぎたせいなのかもしれない。

 焚き火の火の粉が宙を舞った。

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