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mobの小説

「ふ・・・う・・・ひぃ・・あ・・んっ」
深夜の寝所に、か細く、かみ殺した嬌声が響く。
駐屯地とは名ばかりの事務所、所属しているのは上官である年若い士官の男と、彼女のたった二人。
どうせ聞かれはしないのだから思う存分声を上げてもいい、と男は以前も伝えたが、彼女は決まって必死に抑えた、されど甘ったるい声で鳴くのだ。
淡い灰色の髪と、抱きしめれば折れてしまいそうな細い体躯の少女は、軍服に隠れて日に当たらない病的に白い肌を、その名の通り薄紅(ロゼ)に染めて、快楽をむさぼっていた。

尋常ならざる手段で適性のある少女を兵器に仕立て上げ、言葉にするのもおぞましい手段で心を折り、兵器として運用する。
ロゼはその実験体、初の成功例であり、国家の最高戦力の一つであり、耐用限界を知るための、廃棄前提の試作品。
そんな少女を士官学校を出たての青年に委ねている理由はなんてことはない。
少女が芽生えた復讐心に駆られ、自分に仇なすこと恐れた、ほかの士官が彼の押し付けたのだ。
言ってしまえば士官は生贄。過酷な作戦で少女が使い物にならなくなるのが先か、士官が少女の手にかかるのが先か。
予想外だったのは士官の青年が少女に恐怖することなく寄り添ったことと、少女がそんな士官に絆されたこと。

「あぁ・・・ぁ・・ん」
爆風で叩きつけられ、内出血で紫に見える、痛々しい背中の打撲痕に、唇を這わせる。
「はぁ・・・あぁっ!」
鎖骨から腹のあたりまで一直線に伸びる斬撃の縫合痕に舌を這わせると、堪え切れなかった嬌声があふれ出す。
「あぁ・・・〜〜〜〜〜ッ!?」
脇腹を貫通した弾痕を舌で深く舐ってやると達したようで、全身を硬直させる。
何も知らない人間から見れば倒錯的極まりないこの行為が、士官とロゼの絆だった。

切っ掛けは何時だったか、大規模な作戦を終え、傷だらけのロゼが帰投した夜。
士官が彼女の部屋を訪ねた時、彼女は丁度、一人で『致して』いた最中だった。
士官も知識としては知っている。生死のかかった状況を超えると子孫を残そうと本能が刺激され『そういう』状態になることは。
前線から少し下がったあたりには絶好の稼ぎ場だと娼婦が控えていることも、前線の兵士が落とした街や捕獲した兵士の女を使って発散していることも。
兵器として最前線よりもさらに過酷な状況を転戦する彼女のことだ、そういう欲求もたまるのだろうと、『すまない』と一言詫びて退室しようとする。
それよりも早く、少女は己の体をかき抱き、涙声で士官に懇願した。

「どうかお願いします・・・見ないで、この傷だらけの、醜い体を」

気づいた時には、士官は少女を押し倒していた。

お前のどこに醜いところがあるんだ、護国のために体を張る、お前のどこに。
ロゼがどれだけその身を削って国のために戦っていたのかを、士官はその目で見ていた。
使い捨てる前提の兵器に手入れなど不要とばかりの、最低限の補給。
撤退戦や敵拠点への強襲など、損耗率の高い作戦にばかり従事させられ、同胞からは蔑みの目で見られる。
それでもなお故国への献身を続けるお前に、醜いところなどあるものか。
士官のそんな思いの籠った声を浴びせられ、顔面を紅潮させた少女は、必死に士官から目をそらし、か細い声で呟いた。

「でしたら上官殿、私の体に醜いところがないか、上官殿の手で、確かめてください」

・・・どうぞ、体の隅々まで。

「あぁ・・・上官殿、上官殿ッ」
細い体をくねらせ、潤んだ目で男を見つめ、ロゼはうわ言の様にその名前を繰り返す。
初めての逢瀬から、作戦を終えるたびに繰り返される、それは二人だけの帰投報告。
新しい傷も、古い傷跡も、すべて士官の手によって確認され、手で、唇で、舌で丹念に愛される。
如何に傷が増えようと、ロゼという少女の美しさに欠片ほどの陰りもないのだという、士官の証明。
そうして体の隅々まで数時間かけて愛されて、すっかり出来上がった体で士官と『夜戦』を行う。

「上官殿・・・はげし、ひぃっ・・・もっろ・・・もっろぉっ」
力強く抱きしめれば折れてしまいそうな矮躯を士官はガラス細工のように繊細に扱っていたが、ロゼはむしろ壊される一歩手前に乱暴に扱われることを望んだ。
『傷を残して、痕を付けて、あなたの手で、壊して』
戦場で負う傷よりも深く、愛しい男の存在を体に刻んでほしいと、そう願われれば、士官に断る術は無かった。
「ほしい! ほしいんれす、じょうかんどのの・・・そのまま・・・あ゛あ゛あ゛!」
最後の瞬間、力強く彼女の首筋に嚙みつく。
愛情(かいかん)と痛み(かいかん)を同時に与えられ、喉から絞り出すような嬌声を上げベッドに倒れこむ少女。
朦朧とする少女を、士官は今度こそ優しく抱きしめた。

『夜戦』を終え、二人で一枚の毛布にくるまるロゼと上官だったが、ロゼはこの後に待っている恒例行事、ソレだけが苦手だった。
「・・・やはり飲まねばだめ、ですよね」
眉を寄せ、苦虫を噛み潰したような顔をするロゼだったが、士官の無言の圧力に負け、持っていた黒色の丸薬を飲み下した。
娼婦も愛用し、前線の兵士たちには『アタ』らなくなるお守りとゲンを担がれるその薬は、ロゼに士官の『弾丸』が命中し、戦いに出られなくなることを防ぐためのものだ。
『夜戦』が始まってから最悪の事態を防ぐため、軍医に掛け合って秘密裏に取り寄せることにしたその薬のおかげで、今のところロゼが士官の『誤射』で戦線離脱することは防がれていた。
(代償として、薬を受け取りに行くたびに軍医からほほえましいものを見る目で見られるようになったが)
薬の効能と、それを飲むことを嫌がるロゼの姿を見て、思うところがないわけではない。むしろ男冥利に尽きるとさえ思う士官だったが、だからと言っていま彼女が戦線に出られなくなればどういうことになるかは十分理解していた。
最悪、己と彼女の愛の結晶すら、この国の悍ましい欲望の為に消費されかねない。
「戦いが終われば・・・戦いが終わっても、上官殿は、私のそばにいてくださるのですか?」
不安そうにこちらを見る少女を、何をいまさらと抱きしめ、今更手放すつもりはないとささやけば、ロゼの耳とうなじが真っ赤になるのが見て取れる。
戦いが終わるまで、己と彼女が生き残ることができるのか、終わらない戦いなら、いっそ・・・
脳裏によぎる考えを必死で振り払う。
それは、ロゼがジークの主機として『徴発』される、ほんの数日前のことだった。

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