あにまん掲示板の各種スレッドに掲載されているR-18小説を保管するためのwikiです。

「マスター様、デザートをお召し上がりになりませんか」

 夕食を終えてのんびりとしているところに神巫ちゃんがなにやら後ろ手に隠しながら話しかけてくる

「いいね、なにが用意してあるの?」

「それは……じゃん!このポッキーってお菓子です!」

 ポッキー、棒状のビスケットにチョコレートをかけたお菓子でこれは普通のチョコレート味だ

「今日はポッキーの日らしいのでお安くなってたので買ってみました。わたし、このお菓子食べたこと無いんですよね」

 神巫ちゃんは話ながら箱を開けて内袋のうちの一つをこちらに渡してくる。僕はそれを開けて一本取り出して口に運ぶ。神巫ちゃんも同じタイミングでポッキーを口に咥えた

「むっ……これは美味しいですね!マスター様!」

 初めて食べるポッキーに目を輝かせながら野菜をかじるウサギのように小刻みにポッキーを食べる神巫ちゃんと楽しく談笑しながらポッキーを食べ進めた



「そういえば一つ気になることがあるんですけど」

 神巫ちゃんはポッキーをかじりながら問いかけてくる

「ん、どうかしたの?」

 次のポッキーを手にとりながら返事をする

「ポッキーゲームってなんですか?」

 パキッと手にしたポッキーが折れる。驚きのあまり手に力が入ってしまった

「あー、神巫ちゃん。その言葉をどこで?」

 思わず目をそらしながら続ける

「お買い物をしてるときにどこからか聞こえてきたんですよね。このお菓子でなにをして遊ぶんでしょう?」

 神巫ちゃんはきょとんとした目で首をかしげながら問いかけてくる。隠すようなことでもないので説明した

「二人でお菓子の両端からかじっていって先に離した方が負け……なるほどです」

 神巫ちゃんはうんうんうなりながら納得したようだった。なんだかこっちが恥ずかしくなってきた

「じゃあやってみましょうか!」

「……本気で言ってる?」

「ゲームってことは楽しいことですよね?ならマスター様とやってみたいです!」

 純粋な目でこちらを見据えてくる。ああ、これは理解してない顔だ。これ以上説明するのもなんだか気恥ずかしいのでやってみることにする。すぐに気づいてくれるだろう



「ふふふ……マスター様といえど負けませんからね」

 自信満々といった顔でポッキーを咥える神巫ちゃん。しかたなくその反対側を口に咥えた。サクサクと食べ進めてくる神巫ちゃん、こちらはあえて食べずにこちらを見つめる神巫ちゃんを見つめ返すだけにした。勢いでまさかのことがあったら困るからね

 半分くらい食べ進めたあたりだろうか。神巫ちゃんがポッキーをかじるのがピタッと止まった。みるみるうちに顔が赤くなっていく、やっと気づいてくれたみたいだ。後はこちらが口を離して終わらせるだけ、そう思ったが

 サクッ サクッ

 神巫ちゃんは食べ進めるのを再開してきた。今度は一口、一口。ゆっくりと

 そしてあと一口、唇と唇が触れ合いそうで触れない距離。神巫ちゃんはこちらをじっと見つめてくる。その目はなにかを期待するかのようでいて少し蕩けて熱をおびているようでいて少しの不安も混ざっているように見えた。そして神巫ちゃんはゆっくりと瞼を閉じる。

 僕は神巫ちゃんの肩を軽く掴むと最後の一口を食べ進めた



 時間にすると一瞬、けれど永遠に感じたゲームの終わりは引き分けで通りすぎていった。神巫ちゃんがゆっくり目を開く。名残惜しいけど神巫ちゃんの肩から手を離すと神巫ちゃんは顔を離して口元を両手で隠しながら小さな声を出す

「キス、しちゃいましたね」

「……うん」

「マスター様。他の人にこんなことしちゃだめですよ」

「神巫ちゃん以外にこんなことしないよ」

「えへへっ……嬉しいです……そろそろ寝る時間ですね、おやすみなさいマスター様。また明日」

「あ、うん……おやすみ、また明日」

 顔を赤くしながら部屋に戻る神巫ちゃんを見送るしか出来なかった。明日、どんな顔をして会おうか そう思いながら自分の唇にわずかに残る感触に想いを馳せるのであった









─────神巫の自室

『わあああああああああ!!!!宣告者様!宣告者様!宣告者様!!!一人だと恥ずかしくて死んじゃいそうです!早く出てきてください!』

 ベッドに転がり顔を手で覆いながら、しかし声は出さずに頭のなかで宣告者様にお声をかけました

『全部見てましたよ神巫。良かったではないですか』

『なに勝手に見てるんですか!?』

『いつでも見守ってると言ったでしょう?』

『それはそうですけど……うう……』

『彼も拒んだ様子はなかったので良いではないですか』

『それは……受け入れてくれたのは嬉しかったですけど……お付き合いもまだなのにキ、キ、キ、キスだなんて……』

 思い出すだけで顔が熱くなってマスター様と触れた唇の感触が蘇ってしまいます。

『うぅ〜明日、どんな顔してマスター様に会えばいいんでしょうか』

『私は人の心までは導けませんから、貴女の思った通りにやればよいのですよ』

『……わかりました、やってみます宣告者様』

『私は見守っていますよ』

『ありがとうございます……では、おやすみなさい宣告者様』

『ええ、おやすみなさい神巫』

 頭の中から宣告者様の声が消えました。そうです、明日のためにももう寝ないと……ちゃんと眠れるかなあ……そう思い、悶々としながらわたしは目を閉じました

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

小説一覧

どなたでも編集できます