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軍貫マン
髪コキ

それは長く美しい髪を汚してみたいという変態にとってのロマン

たがそれを現実で実現させるとなると厳しいと言わざるを得ない

髪は女の命である、その神聖な領域に穢らしい行為を受け入れる奇特なものはそうはいないだろう、それに加えてそもそも頭皮は本来性器を受け入れる場所でなく感染症や性病のリスクがつきまとう

しかし、夢にまで見るほどその欲望に取り憑かれている者が世の中にはいた

「あっ、あああ」

1人の男は髪コキを夢想しながら自身の肉棒を扱いていた

彼は独り身の服飾関係の仕事をしており、まとまった収入を得るまでの繋ぎとしていわくつきだという格安の一軒家を購入して一人暮らしをはじめていた

彼は女性の美しい髪に対して並々ならぬ関心があり、髪コキという行為に憧れを抱いていた

「か、髪コキされたい……」

彼は日夜その思いに耽り日々を過ごしていた

しかし、現実には実現させることができずただ時だけが過ぎていく

彼は決して女性から好かれないわけではない

だが、彼は少し性癖が変わっているだけでごく普通の青年である

過去に交際をした女性に対しても良心の呵責や、そういった行為に嫌悪感を示すであろうという考えから自分の性癖をひた隠しにしていた

だからこそ髪コキという行為を夢想しつつも実行に移すことはなく髪そを行う創作物をオカズに日々を過ごしていた

だが彼は知らなかった

このいわくつきの一軒家は本当に出るということを……

「おにいさん、こんばんわ」

現れたのは白無垢を着た少女の人形

所謂花嫁人形である

つまり彼女は若くして亡くなった人に人形の伴侶を添わせて供養を行うために生まれ

たのだ



「うふふ、おにいさんわたしと結婚(おわって)……」

「えっ、人形!?……やばっ、射る!!!」

「きゃああ!」

タイミングが悪すぎた

彼女が現れたと同時に男は射精してそのまま果てた そして人形は現れた瞬間、思い切り顔面にかけられた 彼女は可愛らしい悲鳴をあげながら姿を消した

「ひどい!わたしのからだよごされた!あんなひときらい!」

身体に付着した白くドロドロとしたものに顔をしかめながら人形の少女は青白い炎を滾らせ怒りに燃えていた

はじめて浴びせられた得体の知れない白濁液は彼女にとっては本能的な不快感と気持ち悪さしかなかった

「でも、わたしはこれをしってるような……うぐっ、ううん、そんなのしらない」

人形の少女は自身の記憶を辿るがすぐにそれをやめた

今はそんなことよりも自身に汚物をぶっかけた男を罰することが先決だと

翌日

男は昨日に遭遇した少女の人形を幻覚だと決めつけていた

いわくつきの物件に住むこの男にとって幽霊などといった概念は信じない

そんなことを気にするよりも引っ越しのための資金を少しでも貯めて次の家を決めなければならない

「寝る前に1回抜くか」

「おにいさん……」

「ひぃ!?」

男は突然金縛りにあい身動きが取れなくなった

「きのうはよくも」

人形であるため表情は変わらないもののその声色は間違いなく怒気を含んでいた

「な、なんで人形が動いて!?ししかも喋ってる……」

「それがゆいごん?」

人形の少女はそう言って綿帽子を外すと彼女の髪が姿を表した

「!!!!」

「くるしすぎてなにもいえないの?」

男にとってこの感覚はこれまで味わったことのない未知のもの

人形の少女による髪コキはもはや麻薬のようなものですぐさま精を吐き出した

「いやあああ!!?きもちわるい!!」

髪で拘束されているため逃げ場のない白濁液が人形の少女に降りかかると彼女は悲鳴をあげて姿を消した

「はあ、はあ」

その様子を呆然と見ていた男ははじめは髪コキによる

凄まじい快楽の余韻にしばらく浸り、そして我に返って酷く落ち込んだ

「気持ち悪いか……」

突然、訳もわからず襲われてしまった男であるが図らずしも叶ってしまった髪コキは想像以上のものだった、しかしそれ以上に髪を汚され悲鳴をあげる人形の少女の姿が目に焼きついて離れない

それ以来男は創作物の髪コキをオカズした自慰を行おうとしても彼女を思い出してしまい、それどころではなくなった 彼は人形の少女への罪悪感を胸に抱いてしまった

一方そのころ人形の少女は……

「はあ、はあ、……なんなのこれは?」

人形の少女ははじめて精液を浴びられたときに感じた奇妙な感覚に苛まれていた

そして最初よりも濃厚で多量の精液によって彼女の心の奥底に閉ざされた記憶が目覚めようとしていた

数十年前

ある地で1人の少年が戦死したという報が少年の両親に伝えられた

両親は花嫁人形を腕よりの職人に依頼して息子の死を弔おうとした

しかし、完成してすぐのところで少年の戦死は誤報であることが判明し、ほどなくして彼は両親の元へと帰ってきた

「わたしはいつ旦那様と結婚(おわる)ことができるの?」

人形の少女は嘆いた

自身の本懐を果たせず暗い倉庫に仕舞われ放置される日々に

「いまはだめでも……いつかいっしょに」

少年が最期の時を迎えればいつかかならず訪れるであろう幸福な結婚(おわり)を人形の少女は夢想していた

「もしかしたら旦那様はだれもしらないところで……」

人形の少女は考えた

少年は誰にも気づかれぬまま命を落としてしまったのではないかと

「それは……かわいそう。きっと旦那様はさみしいはず」

人形の少女は自身が感じていた孤独を少年と重ねあわせる

彼も自分に会いたいに違いないと

しかし、彼女は人形である

自らの意思では一歩たりとも動くことは叶わない

「どうかわたしに旦那様をたすけないと」

人形の少女は祈った

自らの足で少年の元へと駆け付けられるようになりたいと

そして奇跡は起こった

「ある……ける」

人形の少女は思うように体を動かせるようになった

はじめは勝手がわからず転んでしまうことも多かったがそれでも着実にコツを掴んで前に進んでいく

「旦那様……」

目当ての少年はすぐに見つかった

少年の両親に見せられた写真よりも精悍な顔立ちとなっていたがそれでも面影はかすかに残っており人形の少女ははっきりとこの青年が自身と結婚(おわり)を迎える相手だと気づくことができた

「???」

しかし、青年のいる部屋の異様な空気を感じて人形の少女は足を止める

青年は何故か服を身につけておらず傍らには同じように裸の見知らぬ女性がいた

彼らは互いに愛を囁きながら身体を寄せあっている

女性は甘い嬌声をあげながら青年に何かをせがむように言葉を放つ

「???」

人形の少女は訳もわからずただその様子を眺めていた

「ああんっ、ああぁっ!」

青年は女性の胸の頂を優しく撫でまわすように弄る

その度に女性は気持ちよさそうに顔を緩ませ嬌声をあげた

そして彼女の股からは大量の蜜が垂れておりまるで何かを待っているかのようにヒクヒクと動いているのがわかる

すると青年は緊張した面持ちで彼女の秘部に自身の肉棒をゆっくりと挿入した

青年は女性の要望に応えるように腰を振り始めると女性は切なげに青年の名を連呼する

人形の少女は何がどうなっているのかわからずただただ呆然としながらその光景を眺めていた

やがて快楽が頂点に達した青年は女性の膣奥深くに射精し、同時に女性も身体を痙攣させ果てる

そして彼らは疲れ切った様子でとんでもないことを口にする『ようやく本当の夫婦になれた』と

「……ふうふ?旦那様はわたしと結婚(おわって)くれるはずなのに……わたしはいらない?」

人形の少女は困惑しながらも理解する

先程の行為は結婚(おわる)ための儀式だと

青年にとって自身は不必要であると

「そんなはずない」

だが、そんな人形の少女を嘲笑うかのように青年と女性は仲睦まじそうに口づけを交わす

「ああ、あ」

人形の少女はその場に立ち尽くし声にもならない悲鳴のようなものをあげると自身の体躯を見つめる

倉庫で長年放置され埃にまみれて汚れきっていた白無垢

こんなものに近づきたいものなどいないだろう

どこまでも平坦で硬いだけの凹凸のない身体

そんなものに触れたところで青年が喜ぶはずもない

股部に触れてもそこには毛の一本もなくツルリとした感触のみで弄ったところで蜜はでない

それでは青年の欲望を受け止めることはできない

「あははっ、あはははは」

人形の少女は壊れたように笑い出す

自分は無価値な存在だと思い知ってしまったからである

すると人形の少女の身体から青白い炎のような揺らめきが立ち上った

それは人形の少女の負の感情が形となって現れたものである

人形の少女の中でドス黒い感情がふつふつと湧きあがってくる その感情は次第に大きくなり……やがて身を焦がすほどの嫉妬の炎へと変わっていく

「なんで!なんで!なんで!なんで!」

人形の少女は絶叫する

「旦那様はわたしと結婚(おわって)くれるはずなのに!!わたしはそのためだけにずっと待ってたのに!!」

青年夫婦は人形の少女の存在に気づくとその異様な姿に驚愕する

「旦那様!!」

人形の少女は青年に向かって駆け出した

青年は震えながらも女性を庇うように前に立ち塞がり近づくなと叫ぶ

すると人形の少女の髪はひとりでに伸びてくると青年の首に巻きつくとそのまま宙吊りにして締め上げる

その光景に人形の少女自身も動揺する

「えっ?どうして?ちがう、ちがうの……こんなことしたかったんじゃない……わたし、わたしはただ旦那様にみてもらいたくて……」

青年は必死に抜け出そうともがくが人形の少女から伸びた髪はまるで生き物のように複雑に絡みついていて外すことができない

「……おねがい。わたしと結婚(おわって)、ね?わたしだけの旦那様になって」

人形の少女は懇願するように青年に問いかける

人形の少女は少しだけ落ち着きを取り戻したようで髪を自由に動かせるようになり青年の首から髪を解く

すると青年は『化け物』と人形の少女を拒絶するかのように言葉を吐き捨てる

「なんで?なんでそんなめでみるの?わたしは……わたしは……」

人形の少女は苦しげに嘆くと姿を消した

そして彼女はその時の心の傷で記憶

の大半を失った

そして伴侶と結婚(おわり)たいという漠然とした願望だけが今日まで人形の少女に残された

「おもいだした……ぜんぶ。このどろどろはあのときとおなじ……」

人形の少女は忌々しげに呟く

あの白濁液は3度に渡って屈辱を与えたことを

「あれ?でも……」

人形の少女は振り返った

あの時は冷静でないため気にしていなかったがあの男もかつての青年のように心地よさそうにしていたことを

「あのひと、もしかして……わたしのことがすき?あれはおへんじ?」

人形の少女は頬に手を当てると幸せそうに笑う

最低だと思っていた行為は実は愛の告白だった

つまり男は自分と結婚(おわり)たかつまたのだと人形の少女は考える

「なのに……わたしはそれにきづかず……おこってあんなことを……」

人形の少女は男に襲いかかってしまったことを後悔した

「それでもあのひとはわたしのことを……」

人形の少女の心に温かな感情がこみ上げてくる

それは心の底で求めていた愛が成就したときに生まれる幸福感

「まっすぐですてき……」

人形の少女は愛おしそうに微笑む

人形の少女は決意した

勘違いしてしまったことを謝罪して男の気持ちを受け入れようと

その頃は男は……

髪コキで性欲を発散できなくなって数日、人形の少女が姿をみせないことに安堵しつつも流石になにもしないわにはとは考えて近隣の神社でお祓いをしてもらう……予定であったがたった1度のお祓いで6万円もかかると聞かせれてしまい断念した

夢のマイホームを手に入れるために節制をしながらコツコツと貯めていたのにこんなくだらないことに出費しなければならないと考えると男は無性に腹が立ってきた

「そりゃあちょっと気の毒とは思ってるよ。だけどそもそも、あの家は俺が買ったんだよ。妖怪だかなんだか知らないが俺の家なんだからオナるぐらいしていいだろ。普通に入ってくるなよ。ノックぐらいしろ!平穏な日常を返せ!」

男は安いからと軽率にいわくつきの一軒家に住んだことを棚に上げて恨み言を吐いて決意する、あの人形の少女にガツンと言ってやろうと

深夜

「二度あることは三度あるって言うからな。居るんだろ?出てこいよ」

「………」

男は人形の少女を呼ぶように声をあげると彼女は姿を現した

「ホントに出てきた!?」

男は人形の少女が出てきたことに驚愕する

「ふふふ」

人形の少女は上に10度、左に30度首を傾ける

それは人形の少女が鏡の前で練習した敵意を感じさせず相手にかわいいと思ってもらうために最適だと考えた角度

表情を変えられない自身の短所を補うための努力

しかし、男に目線を合わせると恥ずかしくなって顔を伏せてしまう

「なっ……」

前のように金縛りにあって攻撃にあうと身構えていたが人形の少女にはその様子に男は困惑していた

「あの、ごめんなさい……いきなり襲いか

かっちゃって」

「え?あっ、いや、こちらこそ……大変失礼なことを……」

人形の少女は頭を下げて謝罪する

男は下手にでた彼女に強く言えず曖昧に謝罪を返した

「それでわたしは……」

人形の少女は自らの想い、過去を語る

「わたしと結婚(おわって)くれますか?」

「ええ……」

男は人形から愛の告白をされるという夢にも思わなかった状況に言葉を失う

「えーっと、ほら僕たちはまだ出会って間もないし……お互いをもっとよく知り合う必要があると思うんだ」

「もうじゅうぶん、わたしのことはおはなししてもうしってる……それでは、だめ?」

「確かに君のことは聞いたよ。だけどさ……その……君は僕のこと知らないでしょ?だから、いきなり決めなくてもいいと思うんだよね」

「わかった」

人形の少女は嬉しそうに微笑む

男は困惑しながらも話を合わせなんとか場をやり過ごすことに成功する

下手に彼女を刺激するような態度はとればまた髪で襲ってくるかもしれない

それから男はなんとか引っ越しまでの時間を稼ぐために彼女の機嫌を取りながら過ごすことにする

「えっと、名前は?」

「なまえ?なまえ……名前、わたしのなまえは……わたしだれ?」

「え?」

「なまえわからない」

花嫁人形は名前をつけられて棺に入る

しかし、彼女はそれがわからない

「……よばれたことない」

「………」

男は何年の何月に生まれて自分がどのような名前なのかを当たり前のように知っている

それは自分を生み出してくれた両親が呼んでくれたからだ

人形の少女にはそういった存在がいなかった

そう考えると男はなんだか、無性に悲しくなってきてしまう

「じゃあハナヨメで」

「離世召?」

「なんか響きが物騒なってるような……まあ、いいや。名前がわからないならとりあえずそう呼ぶよ……まあ嫌なら、変えてもいいよ。自分の名前だからね」

「うん、わかった。それがいい。わたしは離世召」

男は人形の少女に便宜上の名前をつけようとすると彼女は嬉しそうに『離世召』と名乗ってぴょんぴょんと跳ねる

男はその選択が正しいのか正しくないのかわからなかったが少なくとも彼女の緊張が綻んだのを見てこれで良かったのだと思うことにした

この日より男と離世召の奇妙な共同生活がはじまる

「じー」

「………」

離世召は掃除をしている男を見つめている

「うふふ」

時折男が視線を向けると離世召は嬉しそうに小さく手を振る

「じー」

「……」

男はしばらく黙って掃除をしていたがやがて痺れを切らす

「あのさ……」

「?」

離世召は首を傾げると男は 彼女に問いかける

「これ、楽しいの?」

ここ数日間、離世召はずっと男を見つめているだけで何かしてくるような素振りはなかった

そのためずっと離世召に見られ続け落ち着かないでいた

ある意味人形らしいともいえるが

「たのしい」

「どうして?」

「おにいさんはわたしをみてくれる。おはなしもしてくれる。だからうれしい」

「そっか……でもそれだと退屈じゃない?なにかしたいこととかある?」

「結婚(おわり)たい」

「………」

「………」

2人の間に沈黙が広がる

「………おにいさんとおなじことがしたい」

「ごめん。逆に気を遣わせたみたいで……一緒にやろうか」

「うん」

男と離世召は掃除を開始する

離世召は中々に要領がよく、男が教えたことはすぐに覚えたうえに小さな身体を利用して男では手が届きにくい場所も掃除してくれるため助かっていた

「……くん、きれいきれい」

離世召は掃除を行う家具などに逐一名前をつけてはそう呼んでいた

男は微笑ましい光景だなと思っていた

「おにいさんはへんなひと」

「えっ?」

「わたしはにんぎょうなのにうごく、しゃべる、かみがのびる。それなのにこわがらない」

「確かに不気味だけどさ、怖くはないよ。君が悪い子じゃないっていまならわかる」

最初は離世召に対して緊張感を以て接していた男であったが次第に彼女のことを受け入れることができ、離世召もまた男を信頼しているようであった

「でもほかのひとはみんなこわがってた」

「きっと『知らない』ことが怖いんだと思う。自分が今まで見てきたものや常識から外れると否定して遠ざける」

「わかる……わたしもしろいドロドロがこわかった」

「ううっ……あの時は本当にごめんよ」

「だいじょうぶ。もうこわくない」

離世召は首を横に振るとふぁさりと彼女の髪は揺らめく

男はあの時の彼女の髪コキをつい思い出してしまい、ついドキドキしてしまう

「おにいさん?」

「いや、なんでもないよ」

男は雑念を振り払い掃除に集中することにした

それから数ヶ月もの間、男と離世召の共同生活は続いた

その期間、男は離世召への結婚の意思を明白にすることはなく、離世召もまた無理に迫るようなことはしなかった

そしてついに引っ越しのための貯金を終えてその日が目前と迫っていた

「今日で君との共同生活も終わりか」

「さびしい。おにいさんといっしょがいい」

離世召は男の服の裾を掴んで話す

その顔はとても寂しそうだ

「……僕もだよ。でも仕方ないことなんだ……ごめんよ」

男は離世召の頭を優しく撫でてやる

結婚(おわり)

離世召が求めるそれは通常の結婚とは異なり、新たな門出はなく命の旅立ち

人の命は短いがいかようにでも心は変わる

死ぬまで傍に

人生という道を歩む男にとって彼女との結婚という選択肢はあまりに重く、おいそれと答えられるようなものではなかった

「これはお別れじゃない。また会いにいくから」

そう離世召に言い聞かせるように男は告げる

すると彼女は一歩下がって思いがけない行動に出た

身につけていた白無垢を

脱ぎ捨てたのだ

「なっ……」

男は言葉を失う

離世召は自らの裸体を晒すと男に向かって床の上で直に坐り、平伏して礼を行う

「なっ……なにを……」

「おにいさん、みて」

人形である離世召の裸体は精巧なつくりではある

しかし、その裸体には女性らしい柔らかさはなく、離世召にとってはコンプレックスの象徴

それを彼女は男の前でも見せたのだ

「にんぎょうはひとのためにそんざいする」

人形は人から役目を与えられてはじめて存在することができる

「だからおにいさんのいうことをきかないといけない……だけど」

離世召の瞳からポロポロと涙が溢れ出す

「それでも……おにいさんといたい。結婚(終わって)くれなくてもいい。ともだちでもおきものでもおなほでもなんでもいいからとにかくおにいさんといたいの。いらなくなったらすててもいいから」

離世召は男に懇願する

「そんなの都合がよすぎる。一方的に理由するだけだなんて……」

「りようしたらだめなの?」

「えっ?」

予想外の言葉に男は目を丸くする

離世召の声音はどこまでも柔らかだった

「つごうがよくてもおたがいえられるものがあるならそれがしあわせ……わたしは離世召。花嫁じゃなくても離世召」

「だけど……僕が離世召と一所にいたのはこの家が生活するうえで都合が……」

「だったら、またあいにいくなんていわない……おにいさんはわたしがすき……ちがう?」

離世召は顔をあげると少し不安げな視線を男に向ける

男は観念して答えた

「……好きだよ……だけど」

「おにいさんはむずかしくかんがえすぎ。たいじなことはすきかきらいかそれだけ」

曇りのない真っ直ぐな瞳が男を捉える

「わたしはおにいさんがすき」

そう離世召はいった

彼女の力強い声が男の鼓膜を強く揺さぶる

「わたしにはおにいさんがひつよう。おにさんにとってのわたしはなに?」


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