2ch.netオカルト板で2016年8月20日と8月27日に行われた百物語のまとめです。

【第二十六話】『忘れたい話』 みどりいろ ◆/1zwn0rSvM


99 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @無断転載は禁止:2016/08/20(土) 23:16:48.69 ID:3Scplele0
【第二十六話】 みどりいろ ◆/1zwn0rSvM 様
『忘れたい話』

(1/2)
中学生の時の親友の家は、入り組んだ下町の路地の突き当たりの住宅地にあった。
その住宅地は大小の家が6軒並んでいて、一番奥の大きな家が親友の家だった。
ある日、親友の家から一番離れた家の一人娘が、飛び降り自殺をして亡くなった。
それから1か月後、さらに自殺した女性の隣家の奥さんが失踪した。昼食の用意をしたままだったため、事件の可能性もあって警察も動いたらしい。
全く手掛かりがないまま、さらに1か月後失踪した奥さんの隣家のおじさんが、自宅前で突然亡くなった。

これ以降1か月に一度、順番に一軒の家から一人ずつ孤独死や事故死がでた。ここまでくると、最後は自分の家であると親友一家も考えていた。
当時、親友と毎日下校しながら、回避方法は何とかないものか二人で考えて試したりもした。そのおかげか1か月たっても何も起こらなかった。
 そうして2か月がたとうとしたころ、私は本を返してもらうために、下校中に親友宅へ寄った。
玄関に入って待っていると、後ろで玄関のドアがガチャリとあいた。
振り返るとそこに見知らぬ女性が立っていた。いまその顔は思い出せないが、女性が私をみて怪訝な顔をした、ということは覚えている。
女性はスッと中に入り、家の中に上がるでもなく、声を発するでもなく、私の横に立った。
お客さんかな?なんとなく居心地悪い気がした。
その数秒後に親友が「ごめーん」と言いながら、本を持って出てきた。
こちらを見て「ひ!」と悲鳴をあげ、「なんやお前!!でていけ!!」と女性に向かって怒鳴った。

100 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @無断転載は禁止:2016/08/20(土) 23:18:24.02 ID:3Scplele0
(2/2)

私も怖くなってしまい、慌てて靴のまま家の中に入って親友の後ろに隠れた。
その女性は普通にお邪魔しましたと言わんばかりに、一礼し、何事もなく玄関から出て行った。
すぐさま「不審者よね?警察よぼう!」というと、親友は真っ青な顔をして「○○さんやわ…なんで…」とつぶやいた。
聞くと、最初に自殺した女性だった。

 その日は帰宅してきた親友のお母さんと親友に、家まで送ってもらって帰宅。
当然ながら、その女性には出会わなかったものの、夜11時ごろに親友から「遠方に引っ越すことになった」と電話があった。
 そして15年たった昨年、やっと親友に再会できた。SNSで連絡を取ることができたからだ。
親友は親せきを頼って隣県に引っ越していた。家族全員元気にしていると聞いて安心した。
再会は楽しかったんだけども、どうしても忘れたくてたまらない話がある。彼女が「あ、そういえばさあ」と話したこと。
「3年前くらいかな。グーグルマップのビューってのをみてみたんよ。あの辺全然変わってないな。あの家の前の、路地に入る道までは写ってるねん。
その路地に入る角に○○さんが写ってるんよ。また見てみて。顔はぼやけてるけど、あの時の服も髪型も○○さんなんよ」

【了】



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