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ハッカー (hacker) とはコンピュータや電気回路一般について常人より深い技術的知識を持ち、その知識を利用して技術的な課題をクリア(なかったことに)する人々のこと。細かく分類すると、ギーク (geek)、ウィザード (wizard)、クラッカー (cracker) などもある。


『HACKERS』(Steven Levy著)などによると、一説には hack という言葉が現在と近い意味で使われ始めたのは、1960年代、マサチューセッツ工科大学の鉄道模型クラブにおいてであると言われている。現在ではコンピュータ技術に長けた人物のことを指す用法がほとんどだが、もともとこの単語には「雑だけど、巧く動く間に合わせの仕事をする」というニュアンスで日常生活でも一般に使われるものだった。

この言葉は石橋を叩いて渡るような堅実な仕事ぶりとは対極に位置するもので、機転が利いてちょっとした仕事を得意とする人物を hacker と呼ぶ。それゆえにこの言葉は、大規模な開発プロジェクトを何年にも渡って指揮してきた優秀なソフトウェア技術者に対して使用されるものではない。ハッカーとは極めて個人的な属性に基づいた呼称であり、その人物の間に合わせのアイデアや閃きを重視した言葉である。

黎明期のインターネットなど昔のネットワークでは、あえてセキュリティーを突破し、侵入した証拠を残すなどの方法で相手にセキュリティーホールを知らせるなど、義賊的な互助精神的文化が存在していた。この事もあり、当初ハッカーが行う行為には、技術的知識を利用してネットワークのセキュリティを突破したり、コンピュータウイルスを作成したりすることも含まれていた。しかし、情報化社会の急速な進展に従って、悪意のためにそれらの行為を行う者が増え、社会的に問題とされるに至った今日では、この様な行為をする者を「ハッカー」と呼ぶのは誤用とされ、コンピュータを使って悪事をはたらく者をクラッカーと呼んで区別することで、ハッカーという呼称を中立的な意味で再定義しようとする試みが盛んになった。しかし、クラッカーと呼ぶにふさわしいネットワーク犯罪者が、新聞などマスメディアにおいてカタカナ語のハッカーと表記されてしまっているのが現状であり、またこのような試みを行う者自身がハッカーではない点、さらにそれらの人々が自分の主観のみにおいてハッカー像を語る場合が多いため、再定義に成功しているとは言えない。中国においては日本からの意味と英語の音声を訳したもの黒客(読みはハッカー)という漢字が一般的に使われている。

クラッキングの元祖は、1970年代にアメリカの公衆電話回線網の内部保守システムに介入する方法を発見した「キャプテン・クランチ」ことジョン・T・ドレーパーであると言われているが、正確にはコンピュータへのクラッキングではない。しかし、所有者である電話会社に無断で電話通話料を払わずに公衆電話回線を利用することは、セキュリティの意識が低い所有者自身にも問題があるとはいえ、このようなクラッキング行為自体は不法であるとの解釈もある。





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