The Japan Association for Transnational Studies

第2報告

事業のグローバル化に伴う規制強化について − 高まるコストと緊張感
 報告者:坂本 昭雄氏(NECトーキン株式会社常勤監査役)
 司会者:山内 清史氏(神奈川大学)

報告要旨

企業活動のグローバル化に伴い、共通のルールで公正な競争を促進するための規制が強化されており、それに伴う経営のコストと緊張感が高まりつつある。
また企業が社会の公器である以上、情報開示による透明性確保と内部統制の徹底により規制強化に対処することは必要不可欠である。規制強化に伴うコスト増を吸収しつつ大競争時代を勝ち抜くために、企業経営の舵取りは今後ますます難しくなることが予想さる。
そのような状況下で今後の企業経営において留意すべき事項は以下の通りであると考える。
  1. コスト/ベネフィットを常に念頭に置き事業規模、事業特性に応じた内部統制の構築
  2. 事業のグローバル化に伴い、種々のファンド等を含め株主もグローバル化し、短期ベースで投資の成果を期待する傾向がある。
    一方基礎研究から商品化までの新技術の開発には、その成功確率を含めると多大な資金と時間を要する。
    製造業の競争力は、その技術の先進性に大きく依存するため短期的な要求に振りまわされることなく、新技術、新製品開発に重点を置いた経営を続けることが肝要である。
  3. 企業の利害関係者が複雑多岐に亘るに従い、事の本質からかけ離れた議論が横行しがちである。
    特に、短期間での投資の回収と企業活動を支える従業員とその家族の生活設計に基づく中期的安定的幸せの追求とは相入れない傾向にある。すべての企業活動の根底に「人間とは」という理念があることを忘れてはならない。
  4. 日本の風土の合った新しい資本主義の形態の模索が今後のおきな命題である。
(坂本 昭雄記)


関連ページ:2008年度研究会第1回-12008年度研究会第1回-3

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