The Japan Association for Transnational Studies

第1報告


食品ロスを招く諸要因の分析・改善

 報告者:石田 健太氏(東京海洋大学大学院 博士前期課程)
 司会者:吉田 幸一氏(名城大学 スポーツ・文化後援会顧問兼神奈川県支部長)

報告要旨

 本来食べられるにもかかわらず破棄されるもの、通称“食品ロス”は、日本国内で年間500万〜900万トン発生していると推計されている。今後の食料安全保障の動向等を勘案すれば排出抑制の取り組みは急務といえる。

本報告では、食品企業に求められる取り組みとして、1)在庫管理の課題、2)食品期限設定の課題、3)商慣行の課題について解決案を提案した。

1)では、食品における在庫管理は工業製品と異なり、品切れが即販売機会のロスになること、食品の製品寿命は工業製品に較べて極めて短いこと、製品鮮度が消費者の購買意思決定に大きく影響すること、という3点を踏まえた解決策を述べた。

2)では、期限を設定する生産者側による過度の安全意識によって、食品が過少に評価されているという仮説を立て、食品の可食能力をより発揮できる期限設定法の道筋を説いた。

3)では、食品産業における3分の1ルールを例として挙げ、より効率的な産業の流通構造が必要であることを説いた。

 食品ロスを減らし、将来に亘って食料を確保するためには、産業・消費者共に「究極に安全な食品」を目指す意識から、「持続的に安全な食品」を目指す意識に変化する必要がある。
(石田 健太記)


関連ページ:2010年度研究会第1回-2

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