The Japan Association for Transnational Studies

第1報告


金融改革からみた中国企業のガバナンス

 報告者:金 瑞氏(桜美林大学大学院 博士後期課程)
 司会者:岩井 清治氏(桜美林大学教授)

報告要旨

コーポレートガバナンスは法律、金融、経営の三つ領域が重なっており、企業概念、利害調整、資源分配、経営能力の解釈に基づく、権益と責任、インセンティブとモニタリング、意思決定と動機づけの仕組みを分析する。

中国企業のガバナンスは株式会社制度を導入する企業改革と所有制改革の上で注目され、市場改革と対応する企業改革の中心な課題であった。金融改革は貯蓄と投資を結びつけ、資本形成の収益性活動と市場の資源分配、企業金融の開発可能性を深めている。

90年代後半から金融改革において、不良債権処理、公開上場の商業銀行改革が進められた。04年から資本市場がより重視される金融改革では資本市場、金融機関、上場会社を対象とする、発行と流通の市場改革が注目される。そのなかで金融改革における企業ガバナンスが中心課題とされ、取締役会、株主権益、情報開示、リスク管理を始めとする制度構築が求められている。

その一方で上場会社のガバナンスで見られる内部支配問題をはじめ、金融機関と資本市場による企業ガバナンスはいまだ遅れている状況にある。それでもその中で市場監督機関と市場コミットメントによる法制度の整備、規制強化とともにガバナンス改善が進められている。金融機能の充実と金融システムの構築中、ガバナンス問題はより重要になっている。
(金 瑞記)


関連ページ:2010年度研究会第3回-32010年度研究会第4回-2

管理人/副管理人のみ編集できます