The Japan Association for Transnational Studies

第1報告


EUにおけるコーポレート・ガバナンス
 ─「経営の自由」か、「制度の統一」か─

 報告者:明山 健師氏(神奈川大学大学院 博士後課程)
 司会者:金山 権氏(桜美林大学教授)

報告要旨

EUにおけるコーポレート・ガバナンス 「経営の自由」か、「制度の統一」か

近年のEUにおいて、域内の会社法およびコーポレート・ガバナンスを近代化し、より効率的な経営を模索する動きが活発化している。その背景には、地域統合により世界最大規模に成長したEU市場が、単一市場として健全かつ効率的に機能するために、会社法およびコーポレート・ガバナンスを最優先課題として掲げたことがある。

 本報告は、こうした背景のもとに地域レベルでコーポレート・ガバナンス改革を進めるEUの動きの中から、2011年度に策定された『グリーンペーパー―EUにおけるコーポレート・ガバナンスの枠組み―』を検討した。そして、ここで打ち出された方針と企業経営の実践が衝突する領域を考察し、EUにおける企業経営に適したアプローチを明らかにした。

 グリーンペーパーは、取締役会の構成に、専門性の多様性や国籍の多様性、ジェンダーバランスの確保を目指すことに特徴がある。これらは、フィンランドやスペインなどの加盟国で制度化されている。しかし、企業には、いまだ浸透していないのが現状である。そこで、ソフト・ローと立法による段階的なアプローチを採用し、より企業の規模や種類に適したガバナンス構造へと細分化して構築する必要がある。
(明山健師 記)


関連ページ:2011年度研究会第1回-2

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