The Japan Association for Transnational Studies

第2報告


「カール・ポラニーの市場自由主義批判をめぐって」

 報告者:野口 建彦氏(T.N.I.E.R.所長、日本大学経済学部非常勤講師)
 司会者:平田 光弘氏(当学会会長、中央学院大学大学院特任教授)

報告要旨

 カール・ポラニーは、1886年にウィーンで生まれ、直ちにハンガリーのブダペストに家族とともに移住し、第一次大戦までブダペストに住んだ。学生時代からハンガリーの近代化を目指す文化運動を組織し、大戦後の混乱を収束させるべく登場した反ユダヤ政権を逃れてウィーンに亡命し、雑誌編集者として活躍したが、ヒトラー政権の出現によってロンドンへの亡命を余儀なくされた。1937年から10年間厳しい生活を送る中で、唯一最大の書『大転換―現代の政治経済的起源』を構想し、1941-3年のアメリカ滞在中に書き上げ、1944年に出版した。

 2001年にアメリカで重版されたリプリント版には、ノーベル経済学賞受賞者のJ.スティグリッツの長い序言が付され、市場自由主義の根源的批判を最初におこなった「20世紀の古典」として激賞している。

1920年代の市場自由主義復活の声が世界を席巻するなかで深い洞察のもとに執筆された『大転換』は、市場自由主義に賛成する人も、反対する人も等しく参照に値する著作である。
(野口 建彦記)


関連ページ:2011年度研究会第2回-12011年度研究会第2回-3

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