The Japan Association for Transnational Studies

第2報告

報告テーマ 「石門心学に見る経済倫理思想」
報告者:辻井 清吾氏(駒澤大学仏教経済研究所)
討論者:山内 清史氏(神奈川大学国際経営研究所客員研究員)

報告要旨

石田梅岩(1685〜1744)の哲学は「性」に始まる。性を知る事は心を知る事に他ならない。主著『都鄙問答』により、当時の四民(士農工商)を職分の違いと解し「人の人たるの道」は平等であり、心のあり方・学問の意義から、商人の姿、孝行の意義等を説き、商売を実直にやる事は目的であり手段と説き、三教(神道・儒教・仏教)合一を基に庶民の生活道徳を説いた。45歳時に京都で開いた心学講舎は授業料無料、聴講自由で、生存中は畿内に限られたが、教化活動は弟子(手島堵庵・中沢道二・斎藤全門・木村重光等)により心学は体系化・制度化され、34か国・134舎に及んだ。

 彼が「性」を知るための職業倫理の支柱とするのは「正直」・「倹約」・「分限」である。「正直」は「信用」に繋がり、家業維持の絶対条件であり、「倹約」は「仁の実現」と言い、「分限」は「知足安分」にありと説き、そのバランスの上に「商人道」を形成した。その思想は今日のビジネスが学ぶ点が含まれる。彼こそわが国の「企業倫理とは何か」という事の原点と言えよう。松下幸之助の経営理念である「天地自然の理法に従った経営」・「企業の使命達成に対する報酬としての利益」に相通じる。(辻井清吾)


関連ページ:2013年度研究会第1回-12013年度研究会第1回-3

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