無題 Name としあき 19/01/01(火)01:03:31 No.11230410 del
薬品混じりの煙を吹き上げるメガロ・シティ幻想郷
トプス印のカツサンド風合成肉サンド、叫び顔で吹き出しに描かれた『ウマイプスな!』の印で有名な商品のその工場で少し騒ぎが起きていた

「ウ〜(プスプス)」警報機トプスが赤く輝いてウナりを上げる
「うっさいと思ったら同胞が一人逃げたみたいプスな!」
「大丈プス、トプらは量産品だからすぐカエが効くプス」
「トプぇ〜…ハイ・テックプスねえ…」
「トプっす、新入りトプっす」

新人の迅速な到着を確認すると、人造トプは作業を再開した。

無題 Name としあき 19/01/01(火)02:42:49 No.11230790 del
「あるはずプスな!あるはずプスな!」

身をよじらせ工場の排水管を伝い外へと這い出た逃亡トプは語気を強め独り言を繰り返す
地上へ音を立てて着地しバシャバシャと水たまりを散らしヒトザトを抜けるべく歩きはじめた

「ちょっとキミ工場から逃げたでしょ戻らないとえーと…アレになるよ」
工場警備妖怪のカゲロウはやる気なくトプスに問いかける

「トプ一般トプスな!」
「えーと、良かった、じゃあ」

おざなりな返事をすると、カゲロウの視点で今月で17匹目のそれは視界から段々と消えた

無題 Name としあき 19/01/01(火)02:45:49 No.11230799 del
クローン技術の進歩により高度思考が可能になった人造トプは作業効率を飛躍させた一方で、脱走トプ増加に繋がった
脱走トプ事実が多くに知られれば工場の稼働効率低下に繋がるだろう
それを避けたい工場はカゲロウのような警備員に素通しにしろと伝えていた

カゲロウは殆ど立っているに同じの退屈な業務に戻る
職務に誇りなどない、真実を人々に知らせようとする意思もない
同僚も皆同じ、自分らの生活が続くならばそれで十分だった

もし脱走トプたちが社会の崩壊を企てているとかであればこの話は違うのだろうがそんな事はない
この世界は殺伐としつつ多少の緩さが許される、そんな平和な世界でもあった

もうすぐ親友ワカサギの誕生日、給料が出たら何を買ってやろうか
時間つぶしに彼女はそんな事ばかりを考えていた

歪み多い濡れ道路はネオンに照らされて万華鏡さながらの色彩を黒地に映す

無題 Name としあき 19/01/01(火)02:46:42 No.11230800 del
「あるはずプスな!あるはずプスな!」

まんまと逃げおおせた黄色の巨体はかつて窓越しだった外の景色を歩む、平坦な廊下しか歩いた事のない体に鞭を打ってメガロシティを歩む

雨に打たれる脱走トプの目には、行き先が仄かな光で照らされるように思えた

工場付きの人造トプは何も不自由な存在という訳でもない
人造トプ寮には娯楽が十分に調達されるし、一定期間働き適正試験に受かれば外出権も購入可能になる
さらに働き続ければ工場から出る権利も得る事が可能だ

それでも脱走トプは納得よりも先に咎を背負ってでも外に出るという行為が必要な気がした、自発的に外へ出ようとする事が。

「あるはずプスな…!」

無題 Name としあき 19/01/01(火)02:51:37 No.11230812 del
「という訳で私はあなたに会いたかったんプスよ」

あっさりとたどり着いた場所、脱走トプがいるのは掘っ建て小屋の中
つきのみやこである、行儀よく正座しつつ熱を込めて脱走トプは眼前の存在を見つめた

「こんな夜に誰かと思ったら…」
「あんまり私を見ても驚かないプス?」
「同じような奴が何匹か来てたからね、脱走トプでしょ?」

冷静な対応だ、つきのみやこ存在の団子者はトプスには光り輝いてすら見えた

「私には使命がある気がするプスね、トプス根源存在の鈴瑚さんならそれを知ってると思ったプス」
「何処に出荷された?」
「ウマイプスな!印のサンド工場プス」
「じゃあそこでの勤務が君の使命だよ」

無題 Name としあき 19/01/01(火)02:52:07 No.11230813 del
無慈悲な宣告、トプスは悲しみ混じり、そうだろうという納得混じりに口を開く
「確認プス、私はサンド作るために生まれたんプス?」
「そうなるね」

「使命があると思ったプス、崇高で、かっこいい…」
「食糧生産者って使命も悪くないでしょ、食は全生命の営みだよ」

「わからんプスプス…生まれる意味って何プス…」

無題 Name としあき 19/01/01(火)02:53:16 No.11230817 del
「君らについてなら工場の労働力だよ」
「私には向いた仕事プスね…体力があって辛抱強い…」
「まぁ…自由なんだから自分の生き方を見つければいいんじゃない?」
「そうか…そうプス、そうするプス」

閃いた顔の脱走トプは、トプスはつきのみやこを出ると歩き出した

それからトプスは色々な所に出向き、色々なものと出会った
世界の次元すら超え、時すらも渡った

無題 Name としあき 19/01/01(火)02:54:06 No.11230821 del
ラップで成り上がろうと生きるラップトルは自分にテープをくれた
「キュッキューイ♪」

ラプトルの洗脳を企むジュラにゃんを正義の清蘭から助けると電話番号をくれた
「ダークジュラシックになりたくなったら電話しまし」

ドリトスに脳ミソを支配された事もあるジュラにゃんは教訓めいてドリトスを語り、聖なるドンタコスを託してくれた
「ハートチップルで浄化されたお菓子まし」

ポテトプスは半分Yasaiで半分トプスな脱走トプと邂逅したりするジュラシック
「セッツも引退プスか、寂しいプスね」とだけ呟いて去るジュラシック

無題 Name としあき 19/01/01(火)02:55:30 No.11230826 del
「あっ居た!」「トップップ…捕まえてみるプスな」
ノンジュラシック次元では森の中で盗撮され、数十年に渡る追いかけっこを演じた

トプスの国が存在する世界ではありあけハーバー生産者となる資格を得た

トプス発電所では発電トプにより生のウ〜(プスプス)を聴いた

次に訪れた世界に居た大冒険の末に木こりとなったトプスはその旅をしっかり伝えてくれた
「雪に埋もれると生きてるか死んでるかわかんなくなるプスから、気をつけるプスよ」

無題 Name としあき 19/01/01(火)02:56:24 No.11230830 del
脱走トプは出会いと別れの末に自分の人生を手に入れた

「あったプス…あったプス!!旅で世界を知る事、これがトプの生きる使命だったプス!」

こうしてトプスは旅を終え、工場に帰ってくる
メガロシティ世界の幻想郷は久々だ、この暗い雨ばかりの世界がトプには暖かい気もした

無題 Name としあき 19/01/01(火)03:02:45 No.11230841 del
「ということがあったんプスね」
「はぁ…そりゃよかった…」
警備妖怪のカゲロウは話されたことに正直ついていけなかった

「それで何の用で…」
「また働かせてくれないプスか?旅してたらお金なくなっちゃったプス」
「そのバイタリティあれば面接受けりゃ受かるでしょ、それかあっちのクローン搬入ラインに待機して、脱走トプが出たら新入りトプのフリして紛れ込んで」
「わかっトプ!さぁサンド作るプス、そういやトプがいない間になんかあったりしたプス?」
「脱走トプ騒動があったよ、けどみんなもう知ってるって言って大した騒ぎにならなかった」
「プスー…あの時は決死の脱走のつもりだったんプスね…」
「そんなもんでしょ」

こうして工場トプとしてのトプスは帰ってきた、これからもトプスの竜生が続いて行くのだろう
使命を果たして己を見つけ、そして最後に必要となるのはきっと故郷なのだろう

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