38 無題 Name としあき 18/01/05(金)04:05:09 No.9901579
「キュイキュイ、キュイキュイ」

あの時の追い払ったラプトルだ、前よりも必死で自分をトプスだと主張している
何回、自分をトプスだと断じようとライオンはライオン、トプスではないのに…

「ガオー!」

ライオンは大きな声で吠える、そして、その胸を満たす誇りに震える、
ライオンである証に。
声に驚いたラプトルは何処かに行ってしまった
また、前のあの時と同じように胸が何やら冷たい感覚に突き刺される、
だがライオンはそれがまだ、何なのかわからなかった

。 39 無題 Name としあき 18/01/05(金)04:17:42 No.9901588
いつしかライオンはいらつきを覚えた。何故か悩み続ける自分に。トプスだと言い続けるラプトルに。そして、ライオンをライオンだと呼ぶ清蘭の声に。

ライオンは力が強かった。だから檻を壊すなんて造作もなかった。衝動的に動いたのだ。
ある日いつものように訪れたラプトルにはほとほとうんざりしていた、脅すつもりで檻を叩くと、べぎっ。錠は弾けた。
ラプトルは突然のことで動揺し、完全に固まってしまった。千載一遇のチャンス、ライオンはライオンらしくラプトルの首を噛みちぎろうと飛びかかる。
押し倒したラプトルの喉笛に食らいついたあたりでライオンは気づいた。自分には鋭い牙がない。獲物をかっさばく爪もない。あるのはコギトエルゴスム。ライオンは自分の呼称に迷った。
トプスでもライオンでもない何かはラプトルに触れていると奇妙なうずきを感じた。そういえば聞いたことがある、タキシードをした鈴瑚がライオンの交尾について話していたのを。だがもはや自分はライオンではなかった。ましてトプスでもなかった。

40 無題 Name としあき 18/01/05(金)04:28:57 No.9901596
しばらく経ったある日、またあの野良のラプトルが現れた
今度は小さなトプスを連れている

「フスフス、フスフス」

…なんだこの気の抜けた声は…まめトプが鳴いていると聞き間違いそうな程だ
そうか、このチビはまだ鳴き方を知らないのか、
どれ、一つ手本を見せてやろう、ライオンは大きな声で吠えた。

「プスー!」

本能的に呼び起こされた若き同族へトプスを伝えようという意思
トプスをトプス足らしめるプスーの掛け声、血を巡り、脳を巡り、細胞を巡り、骨が震える、
ライオンに眠らされていたトプスライオンとしての全てが覚まされた。

41 無題 Name としあき 18/01/05(金)04:30:13 No.9901597
…自分はライオンはライオンなのに何故トプス声が?故郷はモンゴル?草原?自分は?誰だ?トプは…

「トプはトプスライオン!ライオンでは無いプス!」

トプスは、トプスだった、サバンナのではない、草原の王者だ。
活性化した空気中のトプス素を震わせてトプスパワーに溢れるトプスタックルで檻を破り、トプスを見せつける、
そして背中にラプトルと子トプスを乗せ走り出す、モンゴルの草原を目指し…

その後のトプスはどうなったのか、警備員に捕らえられたとも、モンゴルへ帰る旅路の中で息絶えたとも。

その真実は、モンゴルの草原に刻まれる大きな足跡が答えなのだ。

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