16無題Nameとしあき 20/05/27(水)22:45:00No.13070164そうだねx8
〜15:00頃 魔法の森〜
ハアッ……ハアッ……クソッ!なんでこんなことに……!!
キュアァァァァ!!

鬱蒼と茂る原生林とキノコの隙間を、ひとりの男が駆けていた。
その後ろからは派手な見た目をした巨大な怪鳥が追いかけてきている。

俺がバカだった。地図の範囲内だったらどうにか助かったかもしれない、でも……ここは一体どこだ!?見たことのない植生、滑落したにしてもこんなところに出るはずがない!!武器もどこかに行ってしまった……ここは、ひょっとして、俺はもう、死んでいるのか……?

男はすでに披露困憊だった。既に、助かることすら諦めかけていた。その時、
ガキインッ!!「はに!!」
奇妙な格好の獣人族が、男と怪物の間に割って入った。

17無題Nameとしあき 20/05/27(水)22:45:39No.13070170そうだねx8
誰だ!?何が起きた!?――――あれは!?
男の眼前にプロペラのようなものが付いた生首が飛んできた。
「まゆマジロ!大丈夫プスか!?」
「はに!」
「すぐそこにアリプスが待っててくれてるプス!しばらくじっとしてるプスな!――――そこのあんたも早くついていくプス!」
訳が分からない。俺の武器――マグネットスパイクを大柄な獣人族が持ってきたと思ったら、生首と入れ違いになって明後日の方向に駆けていった。生首は残された体と結合し、今は……ランスを使いこなし戦っている。
「何してるプス!早く――――!!」
男は地面に落ちた武器を握りしめ叫んだ。
「加勢する!!武器さえあればこっちのものだ!!アンタの目的は討伐か!?捕獲か!?」
「捕獲プス!!」
「あいつが弱った様子を見せたら罠を張る!!その時は俺の誘導に従ってくれ!!」
「了解プス!!」

18無題Nameとしあき 20/05/27(水)22:47:32No.13070181そうだねx8
――――キュアァァァァ……
「ふぅ……うまくいったプスな。あなたのおかげプス。あとはサグメ研が回収に来てくれるプス。」
戦いが終わって、見慣れない獣人族は信号弾を打ち上げながら姿を変えた。鎧姿のようだった先ほどとは打って変わってずいぶんとずんぐりむっくりなシルエットになった。
「超進化形態は疲れるんプスよなぁ。」
「俺もアンタが来てくれなきゃやばかった……ありがとう。ところで、アンタはヒプノックの狩猟依頼をどこから受けたんだ?――――というより、ここがどこだか分かるか?アンタは一体何者なんだ?」
「質問にはひとつずつ答えていくことにするプス。」
「済まない……色んな事態に巻き込まれて、正直気が狂いそうなんだ。」
「じゃあ先にあなたのことから教えて貰いたいプスな。」
「俺はハンターをやってる者で――――」
そう言った瞬間、獣人族の目に不信が現れた。表情を殆ど変えていないのに伝わってくる。
「……密猟者プスか?」
「違う!!ギルドの承認を得た正式なハンターだ!!」

19無題Nameとしあき 20/05/27(水)22:48:14No.13070185そうだねx7
「ギルド……ひょっとしてお兄さん、別の世界から迷い込んできたプスか?この世界ではというか、少なくともトプはそんな組織聞いたことないプス。」
「分かった……どこまで信じて貰えるか分からないが聞いてくれ。俺は――――」

ある日、俺の居たメゼポルタの拠点が閉鎖されることが伝えられた。急な決定だった。これ以上の調査の必要は無いと判断を下され、住民の安全を保障しきれなくなるから別の場所に移住してくれとのことだった。
拠点が閉鎖される日は寒い冬だった。そんなことを感じさせないほど人々は広場に出て騒ぎ、拠点との別れを惜しんだ。
ハンターの中でも、辺境の村で専属のハンターになる者、村や町を渡り歩く者、新大陸へと移住する者、皆それぞれが明日を語り合っていた。

20無題Nameとしあき 20/05/27(水)22:48:56No.13070194そうだねx8
俺は――――どうしてもお祭り騒ぎには参加できなかった。ここが大好きだったから。明日を語ればここでの日々が本当に終わってしまう気がして、ずっと家に引き篭っていた。
ここでのハンター生活は苦難の連続だった。他の拠点に比べて要求されるものは桁違いに多く壁も高い。どれだけ強い装備を組もうが、モンスター達に一撃でダウンさせられることなんかザラだった。
だけど、それでも楽しかったんだ。未踏の地に足を踏み入れて、まだどこの拠点にも出回ってない武器を担いでモンスターに立ち向かっていく――――そんな開拓者精神に溢れたこの拠点が大好きだった。

21無題Nameとしあき 20/05/27(水)22:50:23No.13070196そうだねx8
翌日、家を出てみると人っ子ひとり居なくなっていた。当然の事のはずなのに、ひどく不気味に感じた。まるで全員が神隠しにあったんじゃないか、そんな雰囲気だった。
結局俺は一歩も外に出ることなく夜を明かした。知り合いたちには旅でもしながらのんびり次の拠点を目指すと嘘を付いた。俺は何処に行く気もなかったし、何処に行く気も起きなかった。
それからは毎日無気力に自給自足の真似事をしながら日々を過ごしていた。"モンスター"に分類される者を狩れば、恐らくはギルドからお尋ね者になることだろう。拠点跡に侵攻してくれば一応の大義名分もできただろうが、そんな時に限って小型モンスターの一匹すら来なかった。

22無題Nameとしあき 20/05/27(水)22:51:00No.13070205そうだねx8
俺は、世界に見放されたような感覚を覚えた。最初は悠々自適に思えたこの生活も、だだっ広い拠点の中でずっと独りだと虚無感と閉塞感でいっぱいになってしまった。何を血迷ったのだろう。地図に載っていない場所へと行きたくなった。ここを離れることはできそうにない。だけどここには、俺の心を満たしてくれるものはもう無い。ちょっとした冒険のつもりだったのだろう。見慣れたエリア分けされたマップを見ながら、少しだけ脇道に入った。それが運の尽きだった。

「――――後はあんたの知る通りだ。滑落した先はここに続いていた。途中訳の分からない空間に放り出された様な気もするが、今となってはそんなこともどうでもいいんだ。霧の中で、休憩しながら歩いていたら運悪くヒプノックに、あの怪鳥に遭遇しちまったんだ。」

23無題Nameとしあき 20/05/27(水)22:52:01No.13070210そうだねx9
「分かったプスな。」
「随分と物分かりがいいんだな……。」
「ここでは別世界から何かが流れ着くことなんて珍しいことじゃ無いプス。スキマを抜けたか、槐安通路から入ったか……それもあなたの言う通りどうでもいいことプスね。」
「そうか……。」
「大事なのは、ここに、幻想郷に入ったからには、恐らくはあなたは元の世界で忘れ去られてしまったかもしれないということプスな……。」
「よく分からんが、納得はできた。」
「随分と物分かりがいいプスね。」
「別に構わないよ。ひょっとすると俺は――――こんな結末を望んでいたのかもしれない。」
「そうプスか……あっ!まゆマジローーアリプスーー!!」
「はに!」

24無題Nameとしあき 20/05/27(水)22:52:36No.13070216そうだねx10
四つ足の比較的小さな生き物に、腰を屈めて礼を言った。俺の武器を見つけてくれてありがとうと。隣の変な一人称と語尾の獣人族と色違いの生き物は、これまた見たことの無い棘だらけの生き物を自慢気に見せてきた。
「アリプスがウニスを見せてきたらとりあえず褒めておくのがいいプスね。」
「そうか……ええとその、斬れ味鋭そうな棘だな……?」
満足そうに頭に乗せた。
俺はこれからどうなるのだろう……とりあえずは、この黄色い勇敢な獣人族についていってみるとしよう。

つづく?

9無題Nameとしあき 20/05/30(土)21:15:45No.13083199そうだねx8
アリプスたちへの聞き込み調査を済ませた鈴瑚トプス一行は、クエストの依頼主であるサグメ研に向かっていた。

「そう言えばハンターさん、体は大丈夫プスか?魔法の森の瘴気は本来居るだけでも人間には毒のはずプス。」
「ハンターってのは体が丈夫だからな。メシ食って寝れば大概のことはどうにかなる。」
そうだ……俺たちハンターは丈夫だった。灼熱の火炎に焼かれようが、山ほどある巨躯に踏み付けられようが、胴にランスほどある針がぶっ刺さろうが死ぬことはなかった。……今思えば死ななかったのが不思議な位だ……。
「まあそれならいいプスけど、一応サグメ研に着いたら検査してもらった方がいいプス。」
「了解した。」

10無題Nameとしあき 20/05/30(土)21:16:09No.13083204そうだねx7
「そう言えば、トプスがヒプノックを追っていた経緯をまだ聞いてなかったな。」
黄色い獣人族は"鈴瑚トプス"というらしかった。「気さくにトプスって呼び捨てしてくれていいプスよ。」と言うのでそうさせてもらうことにした。
「そうプスね。トプたちは――――」

〜10:30頃 サグメ研〜

「それで依頼ってのはなんプスか?悪趣味なバッドジュラシックに繋がるような依頼ならトプはお断りプス。」
「今時そんなの流行んないわよ。既存のジュラシックの基礎的な部分についてはあらかた研究し尽くしたわ。」

11無題Nameとしあき 20/05/30(土)21:16:30No.13083206そうだねx7
カンジュデン大爆発以降急速に新種のジュラシック達が姿を現し続けていたが、それもすっかり治まってしまった。時折新種が発見されるが、一時期に比べれば全くと言っていいペースだった。…今や社会とジュラシックの間に一時期の野良猫野良犬のような摩擦は殆ど見受けられなくなり、社会にとけ込んで生活するジュラシックと、野生の中で生きる者に二分されていた。サグメ研の行っていた研究はそれに寄与したと言ってもいい。
「バッドジュラシックに繋がるような解剖観察や生体反応観察なんて、今はもう必要ないの。研究だって道楽でできる訳じゃないわ。それに――――バッドジュラシックがあったからこそ今の平和な世の中があるとは捉えられないかしら?特に鈴瑚トプス、ジュラシックの中でも一番の適応能力を以てそれを回避し続けたあなたなら――――」

12無題Nameとしあき 20/05/30(土)21:16:55No.13083211そうだねx9
「……それは支配者側の論理プスな。『原爆投下は戦争の終結を早めたからイコール善なる物だ』ってくらい一方的な話プス。"トプが変化したのはバッドジュラシックがあったから"なんて風には思えないプスな。」
「まあ、思いたくなければ思わなくていいわ。それより依頼の話をしましょう。ここ半年くらい、未発見のモンスターの目撃情報が相次いで寄せられているの。」
「モンスター……ジュラシックではないんプスか?」
「今までのように人間の顔や相応の知性を伴っている生物ではないわ。それらの多くは攻撃的で、人とジュラシックの両方にとって充分脅威になりうる。」
「それの調査をトプに依頼したいと言う訳プスか?」
「ええ、充分なデータを集めてくれればあなたの家族含めて数ヶ月間不自由しない程度の報酬は保証させてもらうわ。もし捕獲に成功したなら……そうね、その子のオーバーボディもおまけで付けさせて貰おうかしら。」

13無題Nameとしあき 20/05/30(土)21:17:18No.13083216そうだねx7
「はに?」
「随分気前がいいプスな。」
「普通の生物なら命の危険を伴うような調査だからそれ相応の対価は払うわよ。オーバーボディに関しては、最近はジュラシックの社会適応が研究の主幹だからそのついで、その体だと不便なことも多いでしょう?」
「よし、そうと来れば思いっきり豪華なやつにしてもらうプスな。水陸両用飛行機能付きで――――」
「はに!!」
ピピッ「ジュラリンガルの反応によれば……『トプスさんとお揃いがいいです!』だそうよ?」
「トプのは別にオーバーボディじゃないプスよ……。」
「まあそう言う事ならトプスベースで進めておくわ。あなたの適応能力を詰め込もうとすれば自然とハイエンドボディの出来上がりだしね。」
「それじゃあ資料読んで、準備ができ次第出発プスな。」
「はに!」

14無題Nameとしあき 20/05/30(土)21:17:40No.13083218そうだねx8
「――――という経緯プスな。」
「……君たちの種族も、多大な苦労があったんだな。」
男は自分の今までの人生を振り返った。モンスターと対峙しては狩り、狩っては装備を強化し更なる強敵に挑んだ。それは、本当に正しいことだったのだろうか。
「失った物は戻りはしないプスな。ハンターさんも気に病むことじゃないプス。そうしなければ生きられなかったのはハンターさんも、こちらの世界の人間も事実プスからな。」
「心を見透かされたな……。」
「トプのように人語を理解して操れるジュラシックはそう多くないプスな。種族の多くは無表情だから、僅かな表情の差異を読み取ることに長けているプス。」

15無題Nameとしあき 20/05/30(土)21:18:09No.13083220そうだねx9
「さて……ちょっと休憩するプス。」
周囲にはちらほらと人家が見えるようになってきた。トプスはアイテムポーチから何かを取り出そうとしている。
「今あるのはチョコdangoふたつと……カレーdangoプスか。ハンターさん好きなの選んでもらっていいプスよ。」
選んでもらっていいと言われても、カレーdangoを取り出した瞬間からまゆマジロがそれを凝視している……。
「……じゃあチョコのを貰ってもいいか?ありがとう。いただきます。」「いただきプス。」「はに!」
美味い。こちらに来てからの混乱、というより、今まで抱えていた感情も、チョコレートとともに綯い交ぜになって飲み下せたような感覚があった。

つづく?

6無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:13:11No.13087802そうだねx7
〜サグメ研 実験室〜
トプスとまゆマジロと共にサグメ研に付いた俺は――――早速身ぐるみを剥がされ牢屋の様な場所にぶち込まれるという手荒い歓迎を受けていた。代わりにここの作業着があてがわれた。
「まあ仕方のないことプスな。」
「はにぃ……」
「そうだな。当然と言えば当然だ。」
依頼主は席を外しているらしく、対応してくれたのは10代半ばくらいの少女だった。桃色の着ぐるみのようなものを身に纏い、名前は"正邪"というらしかった。

7無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:13:38No.13087805そうだねx5
「調査に協力してくれたにも関わらずこんな扱いをしちまって悪いな!」
透明な壁の向こうから正邪博士が話しかける。
「いや、こちらもハンターであり調査員としての心構えはできているつもりだ。今回の様な対応はトプスの言う通り仕方の無いことだな。」
俺の装備していた武器防具アイテムポーチその他は没収されてしまった。それもそうだろう、異世界から持ち込まれた物を研究員が放っておくはずがない。
「トプスからの経緯を聞く限り、あんたのことを信頼していない訳じゃないけど……未知の物質がどんな影響を及ぼすかは――――」
「仰る通りだ。実際、こちらの世界にはそのような特性を持つモンスターも居た。自身の発する鱗粉によって周囲のモンスターを狂暴化させるやつとかな。」
「代替品は用意できると思うからさ!」

8無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:13:57No.13087808そうだねx5
俺たちが開放されたのは様々な検査を受けた数時間後のことだった。先ほどとは違う広い実験室の中でようやく依頼主と会うことができた。理由は分からないが、サグメ博士は機械のようなものを介してこちらに話しかけてきた。
「つまり、あなたはモンスターがいた世界から来たと?」
「恐らくはそうだな。」
「そう……なら是非見てほしいものがあるの。もしそれについて知っていることがあれば教えてちょうだい。」
サグメ博士がそう言うと、実験室のドアが開いた。そこから入ってきたモンスターには見覚えがあった。
「これは……イナガミだな……雅翁龍の別名を持ち、"竹林奥部"と呼ばれる場所でのみ存在が確認されていたモンスターだ。分類は古龍種にあたり、食性は肉食。能力は"竹を急速的に成長させる"ことだ。だがこれは――――」
https://youtu.be/ffPaqLCLymw

9無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:14:21No.13087811そうだねx5
黒色の体躯に黄土色に近いたてがみ、全体的な特徴は俺の知っているイナガミと合致する。しかし妙な点があった。明らかに小さすぎる……幼体か?ここまで小さな古龍の幼体なんて聞いたこともなかったし、幼体と言うよりはなんと言うか……ぬいぐるみに近いような感じだ。
「見た目が明らかにおかしい、それに行動も、でしょう?」
「その通りだ。古龍種というのは基本的にこちらに対する敵意は少ない。だがこれは俺の知っているそれとは明らかに様子が違う。」
そのイナガミからはまるで攻撃性が感じられなかった。今は……向こうの方で口にくわえた竹を使いまゆマジロと棒引きをして遊んでいる。
「オーエプス!オーエプス!ふたりとも頑張るプスな!」
「……古龍種……そちらの世界では分類ができる程度には研究が進んでいたということかしら?」
「いや、むしろ逆だ。古龍種というのは事実上分類不能なモンスターを放り込んでおく為の区分みたいなものだ。"龍"と名は付いているが、このイナガミのように四足歩行で翼を持たない者も入れば、山と見違えるほど大きなタコみたいなやつもいる。」

10無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:14:39No.13087813そうだねx5
「古龍種は、自然の力を操る、というよりは自然のそのものが具現化したような存在だ。その場に居るだけで天候を変えてしまうようなものまでいる。熱気を呼ぶもの、暴風雨を起こすものとかな……。」
「話は変わるけど、私達の研究の主幹は社会とジュラシックの共存共栄なの。トプスから話を聞いたかもしれないけど、今それは割と上手く行ってる方の状況なのよ。もし野生に棲むジュラシックの元にこれらのモンスターが現れれば――――」
「大変なことになるな……野生のジュラシックにとっても脅威だろうが、古龍の出現を感じ取ったモンスターは一目散にそこから離れるんだ。社会適応していないジュラシックが逃げ惑って人里に来たとなれば……。」
「昔のような状況に逆戻りという訳ね。」

11無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:15:06No.13087818そうだねx5
「話を戻すわ。あなたの言った名前を借りれば、そのイナガミはこちらの"迷いの竹林"という場所で発見されたの。そこに住む方々によって捕縛され、この研究所に持ち込まれたわ。」
「捕縛……古龍種を拘束するのは通常不可能と言われいたが、一体どうやって――――」
「フェムトファイバーという技術でね。説明すると長くなるから後で話すわ。」
「捕獲した者に怪我はなかったか……?」
「あなたも薄々気が付いてると思うけど、こちらの世界は人の見た目をしていても人ならざる者も多いのよ。どんな攻撃を喰らっても死なない者もいるの。」
「そうか……。」

12無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:15:43No.13087822そうだねx5
「さて……いよいよ本題に入るんだけど、そのイナガミは私達の技術で改造した物なの。」
「なるほどな……。」
「ジュラシック娘々の魂をいじる技術と造形神による造形技術、それに私達のバイオテクノロジーで新しい体を作って閉じ込めたの。今のところは"ぎゃて化"と読んでいるわ。」
「人とジュラシック、そこにモンスターが共存するとなれば、必要不可欠な選択だ。先程も言った通り、古龍種は存在そのものが天災のようなものだからな。"そこに居る"というだけで、天候も、生態系も、何もかもを滅茶苦茶にしてしまう。」
「飲み込みが早くて助かるわね。」
「……ここまでの話は理解できたが、俺の処遇はどうするんだ?"ぎゃて化"でもするのか?」

13無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:16:08No.13087827そうだねx5
「単刀直入に言うと、フィールドワーク担当の調査員として正邪博士と共に働いて貰えないかしら。社会適応を望む大型ジュラシックたちの為の技術として、"ぎゃて化"は今後発展させていくべき課題なのよ。」
「承知した。」
「即答とは男らしいプスね。」
いつの間にかまゆマジロとぎゃて化したイナガミを両腕に乗せたトプスが近づいてきていた。
「どうせ他に選択肢も無いからな。」
「まあ、もしブラックっぷりに耐えられなくなったらトプのもとに来るといいプスね。」
「やめてくれないかしら?今は労働環境も改善されて基本的には9時6時勤務よ。」
「午前9時から翌朝6時プスか?」
「私はね。」

14無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:16:26No.13087828そうだねx6
こちらの世界に来てから、1日も経っていないのに色々なことがあった……というかあり過ぎた。向こうの世界からすれば前人未踏のこの地でここからもう一度ハンターとして、いや編纂者の方が近いか?
「そう言えば、ハンターさんの名前をまだ聞いてなかったプスな。」
「名前か……それが、思い出せないんだ。事故のショックが原因かは分からんが……。」
「じゃあトプの二つ名から分けてあげるプスな。おすすめはやっぱりカレーデ―――」
「はに!」
「何をするプス!やめるプスな!」
二の腕に乗っていたまゆマジロがトプスの顔に飛び付いて制止した。
「まあ、思い出せななら"ハンターさん"でいいんじゃないんプスか?」
"ハンターさん"か……無機質なはずなのにどこか懐かしい感じもする呼ばれ方だ、悪くないな。
「トプはこれからもサグメ研の依頼で今回みたいなことをするかも知れないから、ハンターさん、その時はよろしく頼むプス。」
「ああ、一狩り行こうぜ。」

おわりんご

15無題Nameとしあき 20/05/31(日)21:16:45No.13087830そうだねx6
EXTRA

さて、今日からハンター兼編纂者としてサグメ研に厄介になることになる訳だが、一体何から始めるんだ?というか正邪博士は基本的にあの着ぐるみなのか……。
「よろしくな相棒!早速だが今のお前さんに圧倒的に足りない物がある!何か分かるか!?」
「こちらの世界、特に職務において必要不可欠なジュラシックについての知識だな。」
「その通りだ!と言う訳で今日からしばらくは私が記録して厳選したジュラポ……じゃなくて、ジュラシックの生態資料にひたすら目を通してもらう!」
「承知した。」
「その……後で特にどのシーンが良かったとか、お気に入りの子は見つかったかとか、自分だったらどんなことしたいとか、色々聞くからちゃんと見ろよな!ちなみに私のおすすめはクッシラュジだ!」
ガチャッ……バタン
厳選したとは言っていたがこの量の資料……なるほど、少女の様に見えたがあの子も立派な研究員と言うことか、まずはこのクッシラュジシリーズの、『クッシラュジ×サグメノドン』というのから視聴してみることにするか……。

おわりんご

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