月面都市:同類。潜在的な敵。
彼女はかつてのアコニサラートと同じく製造目的と存在意義を全うしようとしているだけである。
しかし、世界から与えられた役目が彼女らを道連れにした縊死ならば感傷もなくやり遂げる。
…………はずだった。
自傷の感情と霊核の半分をアルターエゴとして摘出されたアコニサラートは『一なる首』として象牙の塔に。
そんな今ではなんとなーく釈然としない気持ちを抱きながらも転居先のお隣さん的な感じで接する。
もっとも、引っ越し蕎麦代わりの
アコニサラートは今でも牛歩侵攻を続けているようだが。
ライラヤレアハ:潜在的な敵。
月面都市から作られた衛士であるライラたちも同様に彼女が敵対心を持つ相手である。
色々と見失った今現在ではなんか妙にザワザワする程度のものではあるが。
シェキナーぶつけられても新しく作ればいいし目も灼かれないので得意な相手……な、訳がない。
粗雑な侵入からの超高速自滅制圧がウリのアコニサラートに戦闘を期待してはいけない。
ナハトよりマシだがテンション高すぎて苦手。
「カワイイのはわかりました! わかりましたからこっち来ないでください!」
「────手をワキワキさせて寄ってこないで!!」
クヴァレナハト:潜在的な敵。
粗雑さの塊のような人物。ものすごく苦手。
ワンアクションで発動できる魔眼は探知しにくいためそっちの意味でも苦手。
うるさすぎて観測結果から毎度毎度ノイズ取りをすることになるためもっと苦手。
「あーもうっ!! いちいちいちいちいちいち──うるっさいんですよ!!」
「黙れないんでしたらもうノワルナさんにずっとくっついてくださいよ!!」
例のバグ:同類。潜在的な敵。
月蝕陣地で乗っ取って瞬間決着を得意とするアコニサラートが苦手とするタイプ。
一時的とは言えムーンセルを制圧して取り込んだ経験を持ち、ウィザードのやり口をよく知る彼女は天敵である。
しかしいくらスーパーAIでも管理者権限がない以上は目隠し耳栓をしているようなもの。
カタツムリが歩くよりもゆっくりと侵食するアコニサラートには気づかれていないようだ。
月の主催者:結論は保留。改、潜在的な敵。
今のところは敵ではない人。
いつかは月で邂逅する日が来るやもしれない。
перезагружа́ть
世界は月を侵す弾丸を銃身に込めた。
その白きニワトコの矢が放たれる日は──。
どっかの馬鹿:敵。
弾丸滑降の如く月に撃ち出される今を引き起こした原因。
普通に嫌いだし分体が遭遇すればライダーキックくらいは撃ち込む。
ハイマシナヴリア:敵対しない。
月に呼ばれた被害者と言うこともあり悪感情は薄い。
強いて言えばその粗雑さだが、繊細故に粗雑なフリをしていることに気づけば好印象になる。
レルムアポテーカ:敵対しない。
ハイマシナヴリアに同じく悪感情は薄い。繊細いいね!
また、オリジナルに当たる人物の死生観が死徒寄りであること、彼女の生態が吸血種に近いことからシンパシーを感じる。
「私は一度砕ければ他の個体が成り代わるだけですから『巻き戻る』感覚には興味がありますね」
ノワルナ:本質的な敵。
月の侵略者であるアコニサラートと月の化身である彼は本来なら敵対関係にある。
が、侵攻するべき月ではないこと、粗雑揃いのエゴの中では数少ない繊細タイプであることから気に入っている。
苦手なナハトを制してくれるのも手伝い、そうそうこう言うので良いんだよこう言うので!状態。彼こそメシア。
あとそのエネミー1体譲ってもらえない? サクラメント積みますよ?
「全く今の世は猫も杓子も胡瓜も蛇もAttackばかり高めるのが正義みたいな粗雑至上主義で嘆かわしい!」
「我々ウィザード系エゴの底力というもの見せつけましょうノワルナさん! ……いや、ノワルナ先生!」
某AAA
そういうことするからAAAなんですよ。
オリジナル:『首』のベースAIの元となった人物。
母のようでもあり、姉のようでもある。
今の体に不満は無いが心残りがあるとすれば……彼女の姿をこの目に映すことだけは叶わないことだろうか。
AS:同類。敵(?)
アコニサラートが与えられた役目は現行の人類種の存続を断ち切る可能性が現れた場合の剪定である。
つまり人類を試す存在であり、あくまでも宇宙進出の門番でしかないASは剪定カテゴリに該当しない。
……はずなのだが。
「うーん……? 私の敵じゃないはずなんだけどなぁ……なんかこう、見てると敵対心がメラメラァっと。……メンテしたほうがいいかなぁこれ」
OriginalData0_UnconditionalOrder
月に侵攻せよ
月を掌握せよ
霊長の前進を阻む月守人を切除せよ
Andyriley・G
AS:大敵。彼女らの打倒こそムーンキャンサー・アコニサラートの製造された目的であり最重要破壊目標。
XX/XX/20XX
ムーンキャンサーのサーヴァントASが現れた世界。
月面に佇み人類種を地球に押し込める門番の存在を識り、憤りを覚えたとある魔術師が「CCC(contraries cure contraries)
*1計画」を考案。
卓抜したウィザード適性を持つ彼の娘のデータから構成したAIを核にして月蝕の女神と無限増殖の蛇を組み込んだ対月用マルウェアが産み落とされる。
魔術師が「呑月(ハティ)」と名付けた最強最悪の自己判断型貪食改変セル。──またの名をコードネーム・аконисалат(アコニサラート)。
三つの武器──石化遮断の感覚器喪失と麻痺さえ無視する増殖能力、女神の魅了を断絶する独自暗号鍵の防壁、月の免疫すら一瞬で食い滅ぼす月蝕陣地。
三つの至上命題──月への侵攻、月の掌握、UICe(Unidentified Intrusion Countermeasure Phantasm Object)
*2の破壊ないし無力化。
CCC計画とはこれらをインプットしたアコニサラートをムーンキャンサーとして羽化させ月を完全に掌握することでムーンセルをUICeから開放、
同時に月に根を張ったアコニサラートをバックアッププログラムで正常化し遠隔操作することでムーンセルを人類の手の内に収めようというものだった。
XX/XX/20XX
CCC計画実行。アコニサラートを月に射出する。
増殖機能によって弾丸状の偽装外殻を形成し霊子領域から月内部に着弾。外殻をデコイに本体をムーンセル・オートマトンに走らせ浸食開始。
ASに比べウィザードとしての能力が極めて優れていたアコニサラートはASを撹乱しながら電子戦を行い月の99.99999999999%を掌握する。
が、ここで問題が発生。彼女に与えられた至上命題の第三項目は「UICeの破壊ないし排除」。
だが電子戦特化型のアコニサラートはASを月から剥離したはいいものの戦闘に秀でた彼女を破壊/無力化する戦力を保有していなかったのだ。
これはCCC計画が「ASの戦闘力はムーンセルを掌握しているため」という前提条件から組み立てられたことに端を発する単純な誤算である。
結果、対抗手段に「増殖によるムーンセル・オートマトンの掌握」をプログラミングされていたアコニサラートは掌握した月そのものに浸食を開始。
致命的なバグにより無限複製を始めたアコニサラートは天文学的電子質量荷重で自己崩壊開始、重力特異点形成、観測者である月ごとASを消去する。
その後はアコニサラートの有用性に目をつけた抑止力が手駒に加えて今に至るというのが事の顛末である。
other
以上がムーンキャンサー・ASとムーンキャンサー・アコニサラートとの最初の邂逅であったがこの記録はムーンセルには残されていない。
というのも戦闘特化の前者と電子戦特化の後者の相性故に月のほぼ全ては一瞬でアコニサラートに完全掌握されていたこと、
アコニサラートが使用する内部言語は独自暗号鍵で複雑に暗号化されることの二点から一連の戦闘記録はバグデータに極めて近い状態でしか存在せず、
ASやこの世界のムーンセルが残すはずの観測記録も同機条件を満たす前にアコニサラートの生み出した重力渦に飲み込まれて消失しているためである。
このような理由からASもアコニサラートもこの邂逅を覚えていないし思い出すこともないだろう。
アルターエゴとして分化した彼女なら言わずもがなであり、ASもサーヴァントの自分が1体ロストした程度のことを気に留めるはずもないのだから。