カノン・フォルケンマイヤー
小僧、フォルケンマイヤー
……そいつがユーゲント上がりなのは目を見れば分かった。
戦場という現実を前に理想も信条も砕かれて夢から覚めた奴はみんなああいう目になる。俺のように戦場に適合してしまった一握りのクズ以外は。
俺は黒の装束に袖を通した武装親衛隊中佐、ああいうガキを『どうなるか分かっていて』戦場に送り込んだ側だ。
総統からの命令は誰にも知られるな、誰にも見つかるな。……それがどうした。ここであの小僧を見過ごしたら俺はディルレヴァンガーの第36SS武装擲弾兵師団やカミンスキー旅団と同じ本当のクズ以下の畜生になっちまう。
これは俺の自己満足だ、己の人間性を保つ為、今までしでかしてきた、目をつぶってきた罪を償おうとする代償行為に過ぎない。
それでも良い、一人の小僧の命が救えるなら幾らでも罵りを受けてやる。
……なのにあの小僧は、家族も友人もいないから一人でベルリンに行くだけだぁ?地獄に行くようなもんだってわかってるだろうに。
……ったく柄にもねぇ事はするんじゃねぇな。せめて安らかに地獄へ行けるように祈ってはやるか。
……おい、あの小僧がマスターってのはマジかよ。
シュターネンスタウヴの嬢ちゃんと同じくらいの運のなさだな。
用が済んだら早く西に逃げろと忠告したスコルツェニーは皮肉にもカノンの用、伯林聖杯戦争が終結するまで付き合うことになるのだった。
悪竜を打ち倒し、聖杯が破壊された事を見届けたスコルツェニーは生き残った三人のマスターに銃を向ける。
ウォルフ博士と名乗り、列車で出会った時と違いカノンは真っ直ぐな目で自身と相対した。
スコルツェニーは満足そうにベルリン脱出用の手筈を手渡すのだった。
セイバー>?
香楽木静香
戦争調停人、カラキ
俺よりイカレてる戦場でしか生きられないクソアマ。人の事言えねぇが録な死に方しねぇぞ。
やれやれ、よりにもよってあの戦争調停人がマスターかい……魔術に疎い俺でも知ってるあのイカレ女が。
とは言え、総統殿のオーダーに一番近いのはあの女だ。仕方ねぇ、聖杯戦争の見届け役として接触するしかねぇか。
伯林聖杯戦争において比較的マシな相手としてお互いの目的を達成すべく情報を渡したり、誘導したりすることになる取引相手。
彼の目論見は当たり、香楽木達は聖杯の破壊に成功することになるのだが……
スコルツェニーが戦後設立したSS同志会は裏社会でそれなりの勢力となり、彼女が伯林聖杯戦争から生還した場合、その付き合いは彼女が死亡するまで続くこととなると思われる。
サーヴァント2?
ヴィルマ・フォン・シュターネンスタウヴ
シュターネンスタウヴの嬢ちゃん、ヴィルマ
つくづく運がねぇなぁこの嬢ちゃん……魔術師ってそんなもんなのかねぇ?
アーネンエルベ機関関係者と総統特命を受けた聖杯戦争の見届け役と言う関係上それなりに接触があるが、憐れみも同情もしない。
結局人は自分の足で立つしかなく、本人に立つ気がなければどうしようもないからだ。……まぁ本人に立つ気があるなら手伝いくらいはしてやるか。
最後まで残ったマスターの一人と聖杯戦争の見届け役として伯林聖杯戦争の終結まで関わることになる。
ヴィルマが最後の最後に人としての意思をその目に宿した事にほくそ笑んだスコルツェニーはベルリン脱出用の手筈と車両を生き残った三人のマスターに手渡し、自身は真逆の方向、戦友の待つ戦場へと舞い戻るのだった。
サーヴァント3?
龍興不知火
ミスターサムライ、タツオキ
当初ベルリンの闇に潜んでいた為、正体が掴めなかったマスター。
正体不明、足取りさえ掴めず刀剣類を武装とする不知火にスコルツェニーはテロリストや連合軍のスパイか頭を悩ませた。
カノン達と手を組んだ事で自身の目的と合致する相手と判断、大聖杯の情報を渡すこととなる。
あれがヤーパンのサムライか、俺も若い頃は決闘の真似事してた頃があって多少は剣を使える。
成る程、時代遅れと侮ったら痛い目見るなありゃ。
その死は滅び行くもの、時代に取り残されたものとして自身を重ね、悲哀をスコルツェニーの胸に残した。
東洋のサムライは武士道って独自の価値観で生きていると聞いた。
あぁ、結局最後まで共感も理解もできなかったが、納得はした。あんたはあんたの武士道に生きて死んだんだな、タツオキ。
大した付き合いはなかったが、あんたの事はそんなに嫌いじゃなかったぜ。
日本がどうかは知らねぇが、ヴァルハラは悪いとこじゃねぇらしい。せめて異国の地でゆっくり眠りな、ミスターサムライ。
時代に取り残された者の末路を見たことで同じ時代に取り残された者同士助け合うSS互助会の設立に至ったかどうかは定かではない。
サーヴァント4?
クリスタ・ブラウアー
ブラウラー女史
SS女子補助員軍団の鑑のような献身と忠誠と実務能力からアーネンエルベ機関所属ながら高い評価をしている。
特に明るく表情豊か、愛想のよい明朗な性格で華があるのは素晴らしい。シュターネンスタウヴの嬢ちゃんも見習って欲しい。
聖杯戦争の見届け役として出来る限りの便宜を図り、時折話をしている。
って……
「んな、訳あるかよ。あれは『SSらし過ぎる』」
「SSに入る奴なんてのは捻くれ者か物知らずか心の底からナチスの信条を信じきってるかマジでイカれてる奴だ……まぁ、今回の件があるまで完全に騙されてたけどよ」
Хруста
スパイ女、ルビー(赤=共産主義とクリスタという名前を掛けたあだ名と思われる)
伯林戦争が勃発するまではSSの理念に狂信した女性だと思っていた。
しかしクリスタが聖杯戦争のマスターとなったことで素行調査と過去を探ったところ完璧すぎる経歴に違和感を抱き、僅かな矛盾からクリスタがスパイと確信する。
「どこの陣営かは分からんが、演技過剰だぜ{
お嬢さん」
サーヴァント脱落後も姿を眩ましたクリスタの行方を追っていたが、
ゼノン・ヴェーレンハイトの真の目的が明らかになりアーネンエルベ機関の成果物を破壊する為にそちらを優先。
英霊兵製造工場を破壊しようとした際に
フェリックス・ユスポフと同行していたクリスタと遭遇、皮肉にも共闘する事となる。
一度共闘した事もあり、聖杯戦争の見届け役として彼女のベルリンからの脱出経路も用意していたのだが……
サーヴァント5?
ゼノン・ヴェーレンハイト
ヴェーレンハイト氏、ヴェーレンハイト(敵対時)
カール・エルンスト・ハウスホーファーと並んで聖杯戦争を主催した儀式強硬派の筆頭。
アーネンエルベ機関に協力する軍属の魔術師。
ナチス党員ではないが、ある意味誰よりもナチスらしい男と評する。
好き嫌いで言えば、一般SS上層部と同じ匂いがするので大嫌い。
感情を表に出さず、自信に満ち溢れた底知れなさから立場的には味方寄りでありながらこの聖杯戦争でスコルツェニーが最も警戒する男。
目的がドイツを救うことではなく『神』の降臨という事が発覚した時点で敵であり、最悪の事態を引き起こす存在であると判断。
カノンや静香、不知火へと大聖杯の所在地の情報を渡すと、アーネンエルベ機関の作り出したヘルトクリーガーをはじめとした成果を破壊する事を決意した。
それは皮肉にも味方であった親衛隊を敵に回し、連合軍のスパイ達と共闘する事を意味していた。
サーヴァント6?
コンスタンティン・ボールシャイト
ボールシャイト
意外にも当初はスコルツェニーからの評価は悪くはない。
功名心から先走ったり、独断専行を行う傾向にあるが、野心を隠し表面上取り繕える位の常識はあると思っていたからである。
また、万が一聖杯を手にしたとしても英雄になりたいと言う願いと強力なサーヴァントから最悪の事態は避けられると考えていた為、優勝候補の一人と見ていた節がある。
だが素行調査の結果、同僚であるヴィルマを陥れる為にあらぬ噂を流布していたことが発覚し、サーヴァントが暴走し、ベルリンで暴れだすに至り、殺すほどではないが積極的に助ける理由もないという評価になる。
それでも最後の情けとして生きていたら使えるようにベルリン脱出の手筈位は整えている。
サーヴァント7?