最終更新:ID:obtZ59QIlg 2020年08月21日(金) 00:55:30履歴
「我々の秘儀は、黄金のアーリア種族の……ヴリル・ヤの為のものなのだ」
【出典】史実・地政学
【CLASS】アサシン
【真名】カール・エルンスト・ハウスホーファー
【異名・別名・表記揺れ】カルル・ハウスホーファー、カルル・ハウスホーフェル
【性別】男性
【身長・体重】186cm・69kg
【肌色】コーカソイド系 【髪色】黒 【瞳色】灰
【外見・容姿】諦念と妄執を瞳に宿す男。
【地域】ドイツ
【年代】1869年〜1946年
【属性】秩序・狂
【天地人属性】人
【その他属性】人型
【ステータス】筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E+++ 幸運:E 宝具:C
【CLASS】アサシン
【真名】カール・エルンスト・ハウスホーファー
【異名・別名・表記揺れ】カルル・ハウスホーファー、カルル・ハウスホーフェル
【性別】男性
【身長・体重】186cm・69kg
【肌色】コーカソイド系 【髪色】黒 【瞳色】灰
【外見・容姿】諦念と妄執を瞳に宿す男。
【地域】ドイツ
【年代】1869年〜1946年
【属性】秩序・狂
【天地人属性】人
【その他属性】人型
【ステータス】筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E+++ 幸運:E 宝具:C
魔術的な道具を作成する。
論文などの文章にまつわる道具を作成できる。
効果の程はさておき、媒体の性質上広範囲に同時に効果をもたらすことが可能。
また、『ヴリル』スキルを共に利用することで、ヴリル・パワーを利用していたという未完の超兵器『ヴリルオーディン』などの設計図作成が可能となる。
が、アサシンにメカニックとしての技能は無いため、彼の指示を受けて実際に設計図を組み上げる人間がいなければ超兵器は建造できない。
論文などの文章にまつわる道具を作成できる。
効果の程はさておき、媒体の性質上広範囲に同時に効果をもたらすことが可能。
また、『ヴリル』スキルを共に利用することで、ヴリル・パワーを利用していたという未完の超兵器『ヴリルオーディン』などの設計図作成が可能となる。
が、アサシンにメカニックとしての技能は無いため、彼の指示を受けて実際に設計図を組み上げる人間がいなければ超兵器は建造できない。
ダブルサモン。二つのクラス別スキルを保有することができる、極めて希少なスキル。
アサシンの場合は、本質的にその適合クラスがキャスターであるところを、強引な解釈によってアサシンとして召喚されている。
この為、キャスターとしての能力を発揮可能な状態を付与するこのスキルなしでは、彼は殆どサーヴァントとしての戦闘能力を持たない。
アサシンの場合は、本質的にその適合クラスがキャスターであるところを、強引な解釈によってアサシンとして召喚されている。
この為、キャスターとしての能力を発揮可能な状態を付与するこのスキルなしでは、彼は殆どサーヴァントとしての戦闘能力を持たない。
チベット密教、及び黄金の夜明け教団系の西洋魔術の一部を習得している。
習熟度や効果の程は高が知れているが、その真価は、彼の持つ『地政学』スキル、また『ヴリル』スキルとの併用による、
「ありもしない架空の魔術大系に基づく大規模な神秘的作用行使の補助」にある。
習熟度や効果の程は高が知れているが、その真価は、彼の持つ『地政学』スキル、また『ヴリル』スキルとの併用による、
「ありもしない架空の魔術大系に基づく大規模な神秘的作用行使の補助」にある。
地理的要因と歴史、政治などを巨視的に結合した学問、地政学に対する特筆すべき熟達。
『戦略』『政治工作』スキルなどと併用することで、大規模な組織運動について、それが根ざす地域の特性などを踏まえた効果的な戦略を提示することができる。
アサシンは、アルフレッド・T・マハンやハルフォード・J・マッキンダーの提唱した英米系地政学理論の一部、
またドイツを中心とする大陸系地政学の先達の意見を取り込み、生存圏や国家拡大理論、また経済の自給自足、パン・リージョンなどの概念を特徴とする理論を構築した。
その影響が具体化したものとして最も知られるのは、ナチス・ドイツによる生存圏確保を題目とした侵略の正当化であろう。
また、彼は特に、マッキンダーの提唱した「ハートランド」の概念に神秘的な意義を付与し、
「世界の中心、臍」とでもいうべき場所がこの世にはあり、それこそがハートランドであるとして、これを支配することで世界を支配できるとした。
この逸話から、彼は任意の領域に対して「世界の中心」の概念を与え、それを支配する限りに於いて、また彼の魔力が続く限りに於いて、強力な魔術的作用を発生させることを可能とする。
『戦略』『政治工作』スキルなどと併用することで、大規模な組織運動について、それが根ざす地域の特性などを踏まえた効果的な戦略を提示することができる。
アサシンは、アルフレッド・T・マハンやハルフォード・J・マッキンダーの提唱した英米系地政学理論の一部、
またドイツを中心とする大陸系地政学の先達の意見を取り込み、生存圏や国家拡大理論、また経済の自給自足、パン・リージョンなどの概念を特徴とする理論を構築した。
その影響が具体化したものとして最も知られるのは、ナチス・ドイツによる生存圏確保を題目とした侵略の正当化であろう。
また、彼は特に、マッキンダーの提唱した「ハートランド」の概念に神秘的な意義を付与し、
「世界の中心、臍」とでもいうべき場所がこの世にはあり、それこそがハートランドであるとして、これを支配することで世界を支配できるとした。
この逸話から、彼は任意の領域に対して「世界の中心」の概念を与え、それを支配する限りに於いて、また彼の魔力が続く限りに於いて、強力な魔術的作用を発生させることを可能とする。
対戦が終了した瞬間に目撃者と対戦相手の記憶から、能力、真名、外見特徴などの情報が消失する。
例え戦闘が白昼堂々でも効果は変わらない。
これに対抗するには、現場に残った証拠から論理と分析により正体を導きださねばならない。
アサシンの場合は、『気配遮断』スキルの獲得に至るだけの逸話を有していない為、
存在を悟らせないのではなく、自分が行動の主体であると他者に気づかせないという形で「暗殺者」のクラススキルを代替している。
例え戦闘が白昼堂々でも効果は変わらない。
これに対抗するには、現場に残った証拠から論理と分析により正体を導きださねばならない。
アサシンの場合は、『気配遮断』スキルの獲得に至るだけの逸話を有していない為、
存在を悟らせないのではなく、自分が行動の主体であると他者に気づかせないという形で「暗殺者」のクラススキルを代替している。
天地に満ちる無限エネルギー、全生命の源である「ヴリル・パワー」を用いることができる……という、一種の確信的な狂信。
実在しない架空エネルギーに対する強烈な盲信は、自身の起こす魔術的作用に変質を起こし、予期せぬ効果を産むことがある。
元々は、英国の小説家、E・ブルワー=リットンによる小説に登場する、超古代文明が有していた未知のエネルギー、及びその制御装置の名称であった。
これらは飽くまでも空想上の産物に過ぎなかったのだが、リットンが薔薇十字教団系の結社に所属していたことから、
これが“神秘的な”真実に基づく作品であり、然るにヴリル・パワーもまた実在するのだ、という噂がまことしやかにささやかれるようになった。
この噂を真実であると信じた者が、その盲信の果てに獲得するのがこのスキルである。
アサシンは、この作品に深く魅入られ、またヴリル・パワーを用いる種族「ヴリル・ヤ」、そして彼らが住まう地下世界を、アガルタや其処に住まっていたというアーリア民族と同一視。
アーリア民族の末裔たるゲルマン民族にもヴリル・パワーが眠っているとして、その開発と利用を目的とした結社「ヴリル協会」を設立した、とされる。
この為、彼はこのスキルを高ランクで有している。
実在しない架空エネルギーに対する強烈な盲信は、自身の起こす魔術的作用に変質を起こし、予期せぬ効果を産むことがある。
元々は、英国の小説家、E・ブルワー=リットンによる小説に登場する、超古代文明が有していた未知のエネルギー、及びその制御装置の名称であった。
これらは飽くまでも空想上の産物に過ぎなかったのだが、リットンが薔薇十字教団系の結社に所属していたことから、
これが“神秘的な”真実に基づく作品であり、然るにヴリル・パワーもまた実在するのだ、という噂がまことしやかにささやかれるようになった。
この噂を真実であると信じた者が、その盲信の果てに獲得するのがこのスキルである。
アサシンは、この作品に深く魅入られ、またヴリル・パワーを用いる種族「ヴリル・ヤ」、そして彼らが住まう地下世界を、アガルタや其処に住まっていたというアーリア民族と同一視。
アーリア民族の末裔たるゲルマン民族にもヴリル・パワーが眠っているとして、その開発と利用を目的とした結社「ヴリル協会」を設立した、とされる。
この為、彼はこのスキルを高ランクで有している。
『地政学』スキルから分節した、アサシンの固有スキル。
味方陣営の能力や魔力などの資源消費量に応じ、「それを補うだけの陣地の確保」を理論的に正当化する。
これによって、彼が支配下に置く、若しくは影響を受ける陣地は、概念的な破壊耐性を獲得し、強固な守りとして機能する。
アサシンだけではほとんど役に立たないスキルだが、能動的に活動する強力なサーヴァントか、陣地を活用するタイプのキャスターが味方陣営にいる場合、
陣地の大幅な拡大・強化が発生し、防衛戦におけるアサシンの能力を底上げする。
味方陣営の能力や魔力などの資源消費量に応じ、「それを補うだけの陣地の確保」を理論的に正当化する。
これによって、彼が支配下に置く、若しくは影響を受ける陣地は、概念的な破壊耐性を獲得し、強固な守りとして機能する。
アサシンだけではほとんど役に立たないスキルだが、能動的に活動する強力なサーヴァントか、陣地を活用するタイプのキャスターが味方陣営にいる場合、
陣地の大幅な拡大・強化が発生し、防衛戦におけるアサシンの能力を底上げする。
ランク:C 種別:固有結界 レンジ:10〜1000 最大捕捉:1国家
偉大なるアーリアの血を引くゲルマン人。それが世界に対して担うべき責務を果たす、という妄執が形となったもの。
現在自身や味方陣営が作成している陣地を、擬似的な「ハートランド」の概念に完全置換。
それを支配することで、アサシンの妄想に過ぎないはずの「アーリア人種(=ヴリル・ヤ)のための黄金郷」を現実のものとする。
その内部では、理想的なアーリア人種───金髪碧眼、ギリシャ彫刻の如き美しい肉体を持つ人々が、ヴリルの力を使った黄金郷 を築いている。
彼らは、アサシンの指示(アサシン自身は、それを指示ではなく、対等の立場からの要請であると認識する)によって、黄金郷 を侵すものを撃退する。
無論、アーリア人種などという概念は現実にはナチスによる虚構に過ぎず、ましてそれは、ヴリル・ヤなどという存在すらしない生命種の末裔などではない。
これらは全て、アサシンの狂信が生み出した架空の実体に過ぎない。
結界で区画された領域を、個人の認識で改竄し、それに基づく世界に改変する。
即ち、これはアサシンが胸中に抱く心象風景を反映した、固有結界である。
厄介なことに、この固有結界の内部では、アサシンの持つヴリルに対する狂信が現実化する。
この為、魔力を殆ど持たないはずのアサシンは、この内部でのみ、世界に内在するヴリル・パワーを汲み出すことで、無尽蔵の魔力供給を獲得する。
偉大なるアーリアの血を引くゲルマン人。それが世界に対して担うべき責務を果たす、という妄執が形となったもの。
現在自身や味方陣営が作成している陣地を、擬似的な「ハートランド」の概念に完全置換。
それを支配することで、アサシンの妄想に過ぎないはずの「アーリア人種(=ヴリル・ヤ)のための黄金郷」を現実のものとする。
その内部では、理想的なアーリア人種───金髪碧眼、ギリシャ彫刻の如き美しい肉体を持つ人々が、ヴリルの力を使った
彼らは、アサシンの指示(アサシン自身は、それを指示ではなく、対等の立場からの要請であると認識する)によって、
無論、アーリア人種などという概念は現実にはナチスによる虚構に過ぎず、ましてそれは、ヴリル・ヤなどという存在すらしない生命種の末裔などではない。
これらは全て、アサシンの狂信が生み出した架空の実体に過ぎない。
結界で区画された領域を、個人の認識で改竄し、それに基づく世界に改変する。
即ち、これはアサシンが胸中に抱く心象風景を反映した、固有結界である。
厄介なことに、この固有結界の内部では、アサシンの持つヴリルに対する狂信が現実化する。
この為、魔力を殆ど持たないはずのアサシンは、この内部でのみ、世界に内在するヴリル・パワーを汲み出すことで、無尽蔵の魔力供給を獲得する。
彼自身が狂信する、架空のエネルギー。
通常は全く意味を為さないが、固有結界の内部では、彼自身の心象風景こそが現実であり。
従って、彼にとっての確固たる現実の現象として、ヴリル・パワーはあらゆる奇蹟を引き起こす万能の力となる。
通常は全く意味を為さないが、固有結界の内部では、彼自身の心象風景こそが現実であり。
従って、彼にとっての確固たる現実の現象として、ヴリル・パワーはあらゆる奇蹟を引き起こす万能の力となる。
アドルフ・ヒトラーに対し「地政学」を教授し、その戦略理論の骨子を与えた地政学者。
カール・エルンスト・ハウスホーファーという男に対する評価は、主に其処に着目して行われる。
史実に於けるハウスホーファーの経歴は、以下の通り。
───しかし、上記したような軍人・地政学者としての側面以外に、伝説的な逸話が示すとおり、彼はオカルティストとしての一面を持っていた。
ナチスがチベットの一部と深い関係を持っていた、という説は比較的有名であるが、その中でもハウスホーファーは、実際にチベットの人々との関係を持っていたとされる。
日本で加入したという緑龍会は、チベット密教と深い関わりがあったとされ、その繋がりからのものである、とも言われる。
ハウスホーファーがチベットに対する深い興味を示していたのは、彼が一種の神秘主義者であったからである。
1871年、E・ブルワー=リットンによって『来たるべき種族』という小説が発表された。
この小説には、架空の概念として、超常的なエネルギーである「ヴリル」と、それを自在に扱う高度先史文明人「ヴリル・ヤ」が登場する。
通常、こういった概念はあくまでも創作上の要素に過ぎないはずであったが、薔薇十字教団系結社の人員であったリットンが著した、という一点から、ある信仰が発生した。
即ち、この小説に示された数多の神秘的概念は、現実に存在する“神秘的な”真実に基づいたものだ、という幻想である。
この幻想は、立ちどころに神秘主義者の間で共有され、その興味を惹いた。ハウスホーファーも、その中のひとりであったのだ。
ヴリルとそれを取り巻く神秘的世界観に魅了された彼は、これを字義通りに解釈し、アジア神秘主義と結合。
いずれ地上を支配するとされたヴリル・ヤを、中央アジア・チベットに存在するという黄金郷・シャンバラに住まっていたアーリア人と同一視した。
無論、この同一視は、アーリア人の末裔たるゲルマン民族の種族としての優位と直接的に結びついており、これがナチスの主張する人種観と合致。
結果として、「ヴリルを支配したヴリル・ヤ、その末裔たるゲルマン民族国家ドイツこそが世界を支配すべきである」、という狂気的な思想が導出された。
前記したヴリル協会などの設立に関わったとされる件など、神秘主義者としての活動は、『来たるべき種族』への心酔を根底に置いたがゆえのものだったと言える。
更に言えば、彼はこういった神秘主義的思想を、自身の地政学及び戦略理論にも持ち込んだ。
先達であるマッキンダーが提唱した「ハートランド」に対し、「世界の中心」という意義を付与。
シャンバラのある中央アジアこそがハートランドであり、それを支配することで、世界を支配できるという理論を構築、主張した。
一大神秘国家でもあったナチス、ひいては第三帝国は、この理論に影響を受け、ドイツによる世界支配に対する確信や、魔術の存在と作用への信仰を戦略の根幹に置いた。
カール・エルンスト・クラフトやフリードリヒ・ヒールシャー、ヴォルフ・メッシングなど、数多のオカルティストがナチスに重用されたのは、ハウスホーファーの存在があったからこそ、なのかもしれない。
───しかし、重要なことは、此処まで彼が信奉しているとしてきた諸々の理論が、妄想に過ぎなかったというその一点にある。
魔術師やチベット僧侶に手ほどきを受け、ハウスホーファーがほんの触りとはいえ魔術を扱えたのは事実である。
が、彼が信じたヴリルも、ヴリル・ヤも、現実には存在しないもの。
リットンが何かしらの魔術的知識を有していて、それを創作向けに改変して『来たるべき種族』に織り込んだ可能性はある。しかし、少なくとも、それがそのまま現実に存在したことはない。
それでも、信じた。それでも、奉った。
その狂信はナチスに伝染し───その全てではないにせよ───彼らの神秘的活動に対して、バイアスをかけた。
ありもしない幻想を現実に食い込ませたもの。
空想を楔として、その盲信を実現させようとしたもの。
それが、人理に刻まれたカール・エルンスト・ハウスホーファーの本質である。
故に、彼は懺悔する。
彼の盲信は、ゲルマン民族がヴリルによって世界を支配することを企図してのものであった。
しかし、その道を、アドルフ・ヒトラーは閉ざした。
ソ連、米英、日本、そしてドイツによる世界の分割統治。その理想を独ソ戦と対米英宣戦布告でぶち壊し、破棄した。
であれば。であれば、嗚呼。
───私は、彼に、知識を授けるべきではなかったのだ、と。
カール・エルンスト・ハウスホーファーという男に対する評価は、主に其処に着目して行われる。
史実に於けるハウスホーファーの経歴は、以下の通り。
───しかし、上記したような軍人・地政学者としての側面以外に、伝説的な逸話が示すとおり、彼はオカルティストとしての一面を持っていた。
ナチスがチベットの一部と深い関係を持っていた、という説は比較的有名であるが、その中でもハウスホーファーは、実際にチベットの人々との関係を持っていたとされる。
日本で加入したという緑龍会は、チベット密教と深い関わりがあったとされ、その繋がりからのものである、とも言われる。
ハウスホーファーがチベットに対する深い興味を示していたのは、彼が一種の神秘主義者であったからである。
1871年、E・ブルワー=リットンによって『来たるべき種族』という小説が発表された。
この小説には、架空の概念として、超常的なエネルギーである「ヴリル」と、それを自在に扱う高度先史文明人「ヴリル・ヤ」が登場する。
通常、こういった概念はあくまでも創作上の要素に過ぎないはずであったが、薔薇十字教団系結社の人員であったリットンが著した、という一点から、ある信仰が発生した。
即ち、この小説に示された数多の神秘的概念は、現実に存在する“神秘的な”真実に基づいたものだ、という幻想である。
この幻想は、立ちどころに神秘主義者の間で共有され、その興味を惹いた。ハウスホーファーも、その中のひとりであったのだ。
ヴリルとそれを取り巻く神秘的世界観に魅了された彼は、これを字義通りに解釈し、アジア神秘主義と結合。
いずれ地上を支配するとされたヴリル・ヤを、中央アジア・チベットに存在するという黄金郷・シャンバラに住まっていたアーリア人と同一視した。
無論、この同一視は、アーリア人の末裔たるゲルマン民族の種族としての優位と直接的に結びついており、これがナチスの主張する人種観と合致。
結果として、「ヴリルを支配したヴリル・ヤ、その末裔たるゲルマン民族国家ドイツこそが世界を支配すべきである」、という狂気的な思想が導出された。
前記したヴリル協会などの設立に関わったとされる件など、神秘主義者としての活動は、『来たるべき種族』への心酔を根底に置いたがゆえのものだったと言える。
更に言えば、彼はこういった神秘主義的思想を、自身の地政学及び戦略理論にも持ち込んだ。
先達であるマッキンダーが提唱した「ハートランド」に対し、「世界の中心」という意義を付与。
シャンバラのある中央アジアこそがハートランドであり、それを支配することで、世界を支配できるという理論を構築、主張した。
一大神秘国家でもあったナチス、ひいては第三帝国は、この理論に影響を受け、ドイツによる世界支配に対する確信や、魔術の存在と作用への信仰を戦略の根幹に置いた。
カール・エルンスト・クラフトやフリードリヒ・ヒールシャー、ヴォルフ・メッシングなど、数多のオカルティストがナチスに重用されたのは、ハウスホーファーの存在があったからこそ、なのかもしれない。
───しかし、重要なことは、此処まで彼が信奉しているとしてきた諸々の理論が、妄想に過ぎなかったというその一点にある。
魔術師やチベット僧侶に手ほどきを受け、ハウスホーファーがほんの触りとはいえ魔術を扱えたのは事実である。
が、彼が信じたヴリルも、ヴリル・ヤも、現実には存在しないもの。
リットンが何かしらの魔術的知識を有していて、それを創作向けに改変して『来たるべき種族』に織り込んだ可能性はある。しかし、少なくとも、それがそのまま現実に存在したことはない。
それでも、信じた。それでも、奉った。
その狂信はナチスに伝染し───その全てではないにせよ───彼らの神秘的活動に対して、バイアスをかけた。
ありもしない幻想を現実に食い込ませたもの。
空想を楔として、その盲信を実現させようとしたもの。
それが、人理に刻まれたカール・エルンスト・ハウスホーファーの本質である。
故に、彼は懺悔する。
彼の盲信は、ゲルマン民族がヴリルによって世界を支配することを企図してのものであった。
しかし、その道を、アドルフ・ヒトラーは閉ざした。
ソ連、米英、日本、そしてドイツによる世界の分割統治。その理想を独ソ戦と対米英宣戦布告でぶち壊し、破棄した。
であれば。であれば、嗚呼。
───私は、彼に、知識を授けるべきではなかったのだ、と。
誇大妄想と虚栄心が強く、また恐ろしいまでのヴリルに対する狂信者。
彼の世界、価値観は完全に「ヴリル・ヤたるゲルマン民族の世界支配」という理想を中心に構築されたものであり、それ以外の視座を許容しない。
召喚されれば、ひたすらに彼の理想を追い求め、それに資するのであれば躊躇なくマスターを裏切り、それを妨げるのであればあらゆる敵を討滅する策を練る。
だが、理想に対して自身の実力が追いついていないことは十分に承知しており、故にこそ、彼は「地政学者」としての殻を被って普段は活動する。
戦場の地理的条件、そして政治的条件を考慮し、それを踏まえた戦術・戦略を構築し、マスターを補佐することに徹する。
万が一、この殻を被り続けたまま聖杯戦争を最後まで勝ち残り、聖杯を手にする算段が完全に立った時、彼は本性を表し、狂信を果たすべく、なりふり構わず勝利を目指すだろう。
イメージカラー:作り物じみた黄金と青
特技:アーリア種族とヴリル・ヤの共通性についての論述
好きなもの:アーリア種族、ゲルマン民族、ヴリル・エネルギー
嫌いなもの:真理に対し従順ではないもの
天敵:アドルフ・ヒトラー
願い:ヴリル・ヤの地上降誕を。来臨を。誓約を!
【一人称】私 【二人称】君、諸君 【三人称】彼、彼女
彼の世界、価値観は完全に「ヴリル・ヤたるゲルマン民族の世界支配」という理想を中心に構築されたものであり、それ以外の視座を許容しない。
召喚されれば、ひたすらに彼の理想を追い求め、それに資するのであれば躊躇なくマスターを裏切り、それを妨げるのであればあらゆる敵を討滅する策を練る。
だが、理想に対して自身の実力が追いついていないことは十分に承知しており、故にこそ、彼は「地政学者」としての殻を被って普段は活動する。
戦場の地理的条件、そして政治的条件を考慮し、それを踏まえた戦術・戦略を構築し、マスターを補佐することに徹する。
万が一、この殻を被り続けたまま聖杯戦争を最後まで勝ち残り、聖杯を手にする算段が完全に立った時、彼は本性を表し、狂信を果たすべく、なりふり構わず勝利を目指すだろう。
イメージカラー:作り物じみた黄金と青
特技:アーリア種族とヴリル・ヤの共通性についての論述
好きなもの:アーリア種族、ゲルマン民族、ヴリル・エネルギー
嫌いなもの:真理に対し従順ではないもの
天敵:アドルフ・ヒトラー
願い:ヴリル・ヤの地上降誕を。来臨を。誓約を!
【一人称】私 【二人称】君、諸君 【三人称】彼、彼女
・アドルフ・ヒトラー:後悔
自身の理想の実現を託し、しかし結果として失敗した男。
過ぎてしまったことであり、たとえ出会ったとしても恨み言を言うつもりはない。
しかし、もし彼が現世で再び立ち上がるとしても、それに従うこともないだろう。
最早彼には任せられない。自分自身でそれを成し遂げると、彼は決心している。
「私は、貴方に私自身の夢を一度は託しました。しかし───最早、そうすることは二度とありますまい」
「……ところで、何故女性になっているのです?」
・アルベルト・シュペーア:関心
直接的な関係はないが、ゲルマニア建築に際して秘儀の観点からの助言をした……かもしれない。
真偽はさておき、大魔術都市の建造については個人的な興味を抱く。
しかし、宝具として昇華されたゲルマニアの効果を知った時は、良い顔をしないだろう。
「全てをゲルマン化する」という統治は、彼の理想像からは離れているからだ。
地政学的に現実的ではなく、国家の破綻を招きかねない事象を発生させるそれがなくとも、ドイツは世界を支配できると確信している。
「……軍需大臣閣下か。彼の宝具については、あまり良いものとは思わないな」
・ルドルフ・ヘス:親愛
教え子であり、僅かな期間の話とはいえ助手であり、結婚式の立会人にもなってやった男。
就職先の一つであった海外ドイツ人協会の総裁就任は彼の手によるものであり、またユダヤ人であった妻を守ってくれた恩もある。
家族ぐるみでの付き合いをしていたことは今でも忘れておらず、彼のオカルト主義もあって、相性は良好。
「君と出会ったことは、私の生前における最良の事象の一つと言える。また会える機会があればよいが」
・ハルフォード・ジョン・マッキンダー:無関心
自身の理論にも組み込んだ「ハートランド」概念の提唱者。それだけ。
元より英米系の学者で、しかもドイツの膨張を予期し、それを阻止することを訴えかけていた人間である。
学問分野における先達として認識はしているし、それ相応の敬意も払うが、個人としての興味はまったくない。
何故なら、彼の予言通り、陸の巨獣(ベヒーモス)はドイツにおいて顕現したのだから。
「マッキンダー……? 嗚呼、彼か。まあ、先達としては偉大な人間の一人と言えようが……それがどうかしたかな」
・アドルフ・フンダーツト:憐憫
嘗て協力した男の模造体。
ヒトラー個人に対してそうであったように、彼に特に思う所はない。
ただ、もし直接出逢えば、嘗ての主の再生などという愚かな行為の為に生み出された生命である彼に対し、憐憫じみた感情を抱くことだろう。
ハウスホーファーは狂人だが、彼の全てが狂っている訳ではない。
家族や近しい者への親愛もあれば、命に対して哀れみを覚える程度の憐憫だって持ち合わせているのだ。
「悪趣味なことだ。そこまでして総統閣下個人を復活させたところで、どうしてヴリルの世界に近づけるというのか」
自身の理想の実現を託し、しかし結果として失敗した男。
過ぎてしまったことであり、たとえ出会ったとしても恨み言を言うつもりはない。
しかし、もし彼が現世で再び立ち上がるとしても、それに従うこともないだろう。
最早彼には任せられない。自分自身でそれを成し遂げると、彼は決心している。
「私は、貴方に私自身の夢を一度は託しました。しかし───最早、そうすることは二度とありますまい」
「……ところで、何故女性になっているのです?」
・アルベルト・シュペーア:関心
直接的な関係はないが、ゲルマニア建築に際して秘儀の観点からの助言をした……かもしれない。
真偽はさておき、大魔術都市の建造については個人的な興味を抱く。
しかし、宝具として昇華されたゲルマニアの効果を知った時は、良い顔をしないだろう。
「全てをゲルマン化する」という統治は、彼の理想像からは離れているからだ。
地政学的に現実的ではなく、国家の破綻を招きかねない事象を発生させるそれがなくとも、ドイツは世界を支配できると確信している。
「……軍需大臣閣下か。彼の宝具については、あまり良いものとは思わないな」
・ルドルフ・ヘス:親愛
教え子であり、僅かな期間の話とはいえ助手であり、結婚式の立会人にもなってやった男。
就職先の一つであった海外ドイツ人協会の総裁就任は彼の手によるものであり、またユダヤ人であった妻を守ってくれた恩もある。
家族ぐるみでの付き合いをしていたことは今でも忘れておらず、彼のオカルト主義もあって、相性は良好。
「君と出会ったことは、私の生前における最良の事象の一つと言える。また会える機会があればよいが」
・ハルフォード・ジョン・マッキンダー:無関心
自身の理論にも組み込んだ「ハートランド」概念の提唱者。それだけ。
元より英米系の学者で、しかもドイツの膨張を予期し、それを阻止することを訴えかけていた人間である。
学問分野における先達として認識はしているし、それ相応の敬意も払うが、個人としての興味はまったくない。
何故なら、彼の予言通り、陸の巨獣(ベヒーモス)はドイツにおいて顕現したのだから。
「マッキンダー……? 嗚呼、彼か。まあ、先達としては偉大な人間の一人と言えようが……それがどうかしたかな」
・アドルフ・フンダーツト:憐憫
嘗て協力した男の模造体。
ヒトラー個人に対してそうであったように、彼に特に思う所はない。
ただ、もし直接出逢えば、嘗ての主の再生などという愚かな行為の為に生み出された生命である彼に対し、憐憫じみた感情を抱くことだろう。
ハウスホーファーは狂人だが、彼の全てが狂っている訳ではない。
家族や近しい者への親愛もあれば、命に対して哀れみを覚える程度の憐憫だって持ち合わせているのだ。
「悪趣味なことだ。そこまでして総統閣下個人を復活させたところで、どうしてヴリルの世界に近づけるというのか」
【伯林聖杯戦記において】
さる世界、連合軍の攻勢を受けつつあるドイツ第三帝国・ベルリンにおいて。
ナチス直属機関であるアーネンエルベとは別に、神秘学的教義を掲げた秘密結社が、半ば“総統”公認のもとで活動していた。
その名は、ヴリル協会。彼ら自身が信じてやまない、魔力とも掛け離れた超常エネルギー「ヴリル」の探究を行う者達。
彼らは、遠くチベットの山奥にあるという理想郷・シャンバラの存在を信じ、遠くアジアに派遣した探検隊を通じてチベット僧を招聘。
仏教の東洋的神秘性の中にヴリルの正体を求めるなど、戦時下にあっても活発に活動して『いた』。
――無論、過去形である。最早第三帝国は風前の灯だ。こと此処に至っては、秘儀を追うことが如何に贅沢であるか、誰もがよく理解していた。
そんな中、彼らは発見した。
人類史に刻まれた英雄達を呼び出して行う、大規模な魔術儀式の存在を。
聖杯戦争と名付けられたそれを知り、そしてその最後に来る“奇跡”の存在を知り、男は動く。
“総統”からの信頼を失おうとも、それなりのコネクションはいまだに健在だった。
トゥーレ協会を通じてアーネンエルベに手を回し、聖杯戦争を開催させるように仕向ける。
同時に、魔術に通じたものを使って通信内容の一部を漏洩。連合国を含む他国からの参加者を招き寄せる。
いくつもの勢力が蠢き、奪い合うその杯を、しかし、最後に手にするのは、他の誰でもない。
ヴリルを奉る我々こそが、その奇跡に相応しいのだと……男は確信していた。
快哉を此処に。黄金たるアーリアの血に栄光あれ。
ヴリルを我らが手に齎し、北方原種族なるゲルマン民族を復活せよ。
おゝ、偉大なるかなヴリル・ヤ! 地下深くシャンバラに棲まうものよ、今こそ再臨の時は来ませり!
「諸君。ナチスも、ソ連も、連合国も、その全てを捨てよ」
「偉大なる種族は帰り来る。この世界を、再び彼らが……そしてその末裔たるアーリアが支配する時が来たのだ」
ナチス直属機関であるアーネンエルベとは別に、神秘学的教義を掲げた秘密結社が、半ば“総統”公認のもとで活動していた。
その名は、ヴリル協会。彼ら自身が信じてやまない、魔力とも掛け離れた超常エネルギー「ヴリル」の探究を行う者達。
彼らは、遠くチベットの山奥にあるという理想郷・シャンバラの存在を信じ、遠くアジアに派遣した探検隊を通じてチベット僧を招聘。
仏教の東洋的神秘性の中にヴリルの正体を求めるなど、戦時下にあっても活発に活動して『いた』。
――無論、過去形である。最早第三帝国は風前の灯だ。こと此処に至っては、秘儀を追うことが如何に贅沢であるか、誰もがよく理解していた。
そんな中、彼らは発見した。
人類史に刻まれた英雄達を呼び出して行う、大規模な魔術儀式の存在を。
聖杯戦争と名付けられたそれを知り、そしてその最後に来る“奇跡”の存在を知り、男は動く。
“総統”からの信頼を失おうとも、それなりのコネクションはいまだに健在だった。
トゥーレ協会を通じてアーネンエルベに手を回し、聖杯戦争を開催させるように仕向ける。
同時に、魔術に通じたものを使って通信内容の一部を漏洩。連合国を含む他国からの参加者を招き寄せる。
いくつもの勢力が蠢き、奪い合うその杯を、しかし、最後に手にするのは、他の誰でもない。
ヴリルを奉る我々こそが、その奇跡に相応しいのだと……男は確信していた。
快哉を此処に。黄金たるアーリアの血に栄光あれ。
ヴリルを我らが手に齎し、北方原種族なるゲルマン民族を復活せよ。
おゝ、偉大なるかなヴリル・ヤ! 地下深くシャンバラに棲まうものよ、今こそ再臨の時は来ませり!
「諸君。ナチスも、ソ連も、連合国も、その全てを捨てよ」
「偉大なる種族は帰り来る。この世界を、再び彼らが……そしてその末裔たるアーリアが支配する時が来たのだ」
ゼノン・ヴェーレンハイトの協力によってヴリル・パワーの運用を実現したことで、彼を含めたヴリル協会は、完全に暴走している。
協会員が熱望してやまなかったヴリルの具現化は、ハウスホーファー自身をも熱狂させ、そして彼の心に、正史ではとっくに諦めていたはずの狂気の鎌首を擡げさせた。
最早国家としての舵取りを誤ったヒトラーに頼ることはない。「ドイツを勝たせる」必要すらない。
アーリアの血を引くものが正当な支配を敷くことさえ叶うならば、自身が掲げたパン・リージョン理論すら捨て去ろう。
今此処には、偽りではあれ、確かにヴリルがあるのだから……と。
聖杯戦争中は、アーネンエルベ機関にゼノンを通じてヴリルを供給する対価に、表立っての目的である「ドイツの逆転勝利」を掲げて彼らの外部協力機関として立ち回る。
一方、窓口であるゼノンがドイツの為に動いていないこと、そしてその先にあるのが「神」への昇華であることにも薄々勘付いているが、“それを承知の上で”彼に協力することを決めている。
彼の「神」がヴリルの淵源である、即ちヴリル・ヤである、という言葉を完全に鵜呑みにした訳ではないが、事実としてヴリル・パワーは運用できている。
ならば、彼が神の位に上がることで、ヴリルによる世界統治、或いは世界の根源への到達が実現するのであれば、それはそれで望ましいことである、と考えたからである。
万が一彼が敗北したのならば、その時は、ヴリルを活かした兵器群を自身らで運用し、聖杯を奪取すればよい、として、彼に対して積極的な援助を行ってすらいる。
……彼が死んだらヴリル・パワーがもう使えないことを知らないが故の皮算用なのだが、ともあれ、その有り得ないその後を見据えて、様々な兵器開発にも着手していた。
しかし、そうして準備した諸々は、ソ連から送り込まれたスパイ達の活躍によってまともに使用される前に木っ端微塵にされ、ゼノン自身も最終的に敗退。
ヴリル・パワーが引き出せなくなったことで戦力の再建も望めなくなり、ハウスホーファーは失意の内に敗戦を迎え、何を告げることもなく、妻とともに自殺することになる。
協会員が熱望してやまなかったヴリルの具現化は、ハウスホーファー自身をも熱狂させ、そして彼の心に、正史ではとっくに諦めていたはずの狂気の鎌首を擡げさせた。
最早国家としての舵取りを誤ったヒトラーに頼ることはない。「ドイツを勝たせる」必要すらない。
アーリアの血を引くものが正当な支配を敷くことさえ叶うならば、自身が掲げたパン・リージョン理論すら捨て去ろう。
今此処には、偽りではあれ、確かにヴリルがあるのだから……と。
聖杯戦争中は、アーネンエルベ機関にゼノンを通じてヴリルを供給する対価に、表立っての目的である「ドイツの逆転勝利」を掲げて彼らの外部協力機関として立ち回る。
一方、窓口であるゼノンがドイツの為に動いていないこと、そしてその先にあるのが「神」への昇華であることにも薄々勘付いているが、“それを承知の上で”彼に協力することを決めている。
彼の「神」がヴリルの淵源である、即ちヴリル・ヤである、という言葉を完全に鵜呑みにした訳ではないが、事実としてヴリル・パワーは運用できている。
ならば、彼が神の位に上がることで、ヴリルによる世界統治、或いは世界の根源への到達が実現するのであれば、それはそれで望ましいことである、と考えたからである。
万が一彼が敗北したのならば、その時は、ヴリルを活かした兵器群を自身らで運用し、聖杯を奪取すればよい、として、彼に対して積極的な援助を行ってすらいる。
……彼が死んだらヴリル・パワーがもう使えないことを知らないが故の皮算用なのだが、ともあれ、その有り得ないその後を見据えて、様々な兵器開発にも着手していた。
しかし、そうして準備した諸々は、ソ連から送り込まれたスパイ達の活躍によってまともに使用される前に木っ端微塵にされ、ゼノン自身も最終的に敗退。
ヴリル・パワーが引き出せなくなったことで戦力の再建も望めなくなり、ハウスホーファーは失意の内に敗戦を迎え、何を告げることもなく、妻とともに自殺することになる。
ゼノンが優勝するか、或いは敗退してもヴリル・パワーが使えるようになっているという前提で建設された、ヴリルを利用した兵器群。
人造英霊兵団『Held Kreiger』もヴリル・パワーの産物である為、この中に含まれる。
何れもまともな戦果を上げるどころか実戦投入される前にソ連の工作員にぶっ壊され、歴史の闇に葬り去られることになる。
人造英霊兵団『Held Kreiger』もヴリル・パワーの産物である為、この中に含まれる。
何れもまともな戦果を上げるどころか実戦投入される前にソ連の工作員にぶっ壊され、歴史の闇に葬り去られることになる。
従来の航空機設計を根本から覆す、前代未聞の「空飛ぶ円盤」。プロペラやロケットエンジンなど、およそ当時の人類が知る推進機関を一切持たない、直径100m程の単純な円盤形をした航空機である。
古代ギリシャの哲学者・デモクリトスの定義する、物質が存在する為の領域としての“空虚 ”から、ヴリルエネルギーの投射によって物理的作用を引き出す……という、ちょっと聞いただけでは理解不能な奇怪極まる「虚無駆動機関」を搭載した超兵器。武装は、虚無駆動機関から取り出した強力な光線などをそのまま投射するものだという。
が、その実態はと言えば、無限供給されるヴリルパワーを、魔術的解釈によって空間中に無理やり作り出した空虚——即ち真空に投射し、瞬間的に高エネルギー準位状態を形成。偽真空とも呼ばれるそれが基底状態へ遷移する瞬間に発生する、各種のエネルギーや物理作用を任意の形へ転換する、「真空の相転移」現象を利用したオーバー・テクノロジーの塊である。
エンジンもないのに空を飛ぶのは、アインシュタインが相対性理論で「宇宙項」として定義した、「膨張する方向に働く重力=斥力」としての“反重力”を、偽真空の崩壊時に取り出して、機体全体に作用させているから。
機体が円形をしているのは、魔術的な完全性と閉鎖性を意味する真円の形而上的概念によって、機体周辺の空間を通常空間から切り取り、其処に空虚を作り出す為。
そして、武装とされている光線とは、偽真空崩壊時に大量に放出される電磁波を収束して射出するものである。タチの悪いことに、射線状に真空を形成することで光学兵器の大気圏における減衰を無視することが可能となっており、その威力は折り紙付き。
反重力に「押される」という推進法の関係から、重力加速度と合わさることで、連続稼働するほどにその速度は上がる。構造的な剛性の限界を踏まえても、最高速は音速をも超えると想定される。
総合的に評価して、動力源であるヴリル・パワーが尽きない限り、このハウニヴは攻撃兵器として無敵であると言っても差し支えないだろう。
考案者であるカール・ハウスホーファーは、魔術的側面からこの兵器の素案を示したが、図らずもそれは、遠い未来に実現されるかもしれない超常的技術を先取りし、剰え完全に再現してみせていた。
その技術を実現するに足る超エネルギー、ヴリルが生み出されたことで、その脅威は、確かな形となってしまった。
……但し、虚無駆動機関が停止している間、この機体は通常の航空機と同程度の防御力しか持たない為、機関停止中に攻撃されれば普通に破壊される。
また、たとえ稼働中であろうとも、防御のために反重力力場を形成するためには、搭乗者が逐一操作する必要がある。死角から飛んできた強烈な一撃を自動防御する便利機能もないため、このような状況に追い込まれると非常に脆い。
古代ギリシャの哲学者・デモクリトスの定義する、物質が存在する為の領域としての“
が、その実態はと言えば、無限供給されるヴリルパワーを、魔術的解釈によって空間中に無理やり作り出した空虚——即ち真空に投射し、瞬間的に高エネルギー準位状態を形成。偽真空とも呼ばれるそれが基底状態へ遷移する瞬間に発生する、各種のエネルギーや物理作用を任意の形へ転換する、「真空の相転移」現象を利用したオーバー・テクノロジーの塊である。
エンジンもないのに空を飛ぶのは、アインシュタインが相対性理論で「宇宙項」として定義した、「膨張する方向に働く重力=斥力」としての“反重力”を、偽真空の崩壊時に取り出して、機体全体に作用させているから。
機体が円形をしているのは、魔術的な完全性と閉鎖性を意味する真円の形而上的概念によって、機体周辺の空間を通常空間から切り取り、其処に空虚を作り出す為。
そして、武装とされている光線とは、偽真空崩壊時に大量に放出される電磁波を収束して射出するものである。タチの悪いことに、射線状に真空を形成することで光学兵器の大気圏における減衰を無視することが可能となっており、その威力は折り紙付き。
反重力に「押される」という推進法の関係から、重力加速度と合わさることで、連続稼働するほどにその速度は上がる。構造的な剛性の限界を踏まえても、最高速は音速をも超えると想定される。
総合的に評価して、動力源であるヴリル・パワーが尽きない限り、このハウニヴは攻撃兵器として無敵であると言っても差し支えないだろう。
考案者であるカール・ハウスホーファーは、魔術的側面からこの兵器の素案を示したが、図らずもそれは、遠い未来に実現されるかもしれない超常的技術を先取りし、剰え完全に再現してみせていた。
その技術を実現するに足る超エネルギー、ヴリルが生み出されたことで、その脅威は、確かな形となってしまった。
……但し、虚無駆動機関が停止している間、この機体は通常の航空機と同程度の防御力しか持たない為、機関停止中に攻撃されれば普通に破壊される。
また、たとえ稼働中であろうとも、防御のために反重力力場を形成するためには、搭乗者が逐一操作する必要がある。死角から飛んできた強烈な一撃を自動防御する便利機能もないため、このような状況に追い込まれると非常に脆い。
ゼノン・ヴェーレンハイトを介してアーネンエルベに提供されたヴリル・パワーが実現した、英霊の力を宿す人造兵士。魔術ではなく、科学ですらなく、極一部の人間のみが信じた「妄想」によって形作られたもの。
尽きることがないヴリル・パワーによって、英霊召喚術式を強引に駆動し、生体部品によって再現された模造霊核にサーヴァントの能力のみを宿して、それを人工の躯体に組み込んだ兵器の一種。
人型という形状、そして其処に組み込まれた電算機による計算処理能力が合わさることで、「人型を駆動するに相応しい処理中枢」としての擬似人格を得ている*1。
これにより、人間のように指示を受けながら戦闘を行う、英霊並みの能力を持った人造兵士という超常的な魔術兵器が実現した。
折しも第二次世界大戦末期、第三帝国崩壊が迫る中でありながら、潤沢ではない資源を各所から絞り上げたアーネンエルベは、少数ながらこの超魔術兵器の量産に成功しており、主にアーネンエルベから参加したマスター達の手駒として戦力供与が為されている。
そしてその一部は、ゼノンを経由してハウスホーファー、ひいてはヴリル協会にも渡っており、これを用いて、ハウスホーファーは聖杯の奪取を目論み密かに暗躍していた。
尽きることがないヴリル・パワーによって、英霊召喚術式を強引に駆動し、生体部品によって再現された模造霊核にサーヴァントの能力のみを宿して、それを人工の躯体に組み込んだ兵器の一種。
人型という形状、そして其処に組み込まれた電算機による計算処理能力が合わさることで、「人型を駆動するに相応しい処理中枢」としての擬似人格を得ている*1。
これにより、人間のように指示を受けながら戦闘を行う、英霊並みの能力を持った人造兵士という超常的な魔術兵器が実現した。
折しも第二次世界大戦末期、第三帝国崩壊が迫る中でありながら、潤沢ではない資源を各所から絞り上げたアーネンエルベは、少数ながらこの超魔術兵器の量産に成功しており、主にアーネンエルベから参加したマスター達の手駒として戦力供与が為されている。
そしてその一部は、ゼノンを経由してハウスホーファー、ひいてはヴリル協会にも渡っており、これを用いて、ハウスホーファーは聖杯の奪取を目論み密かに暗躍していた。
ゼノン・ヴェーレンハイト:協力者
アーネンエルベに潜む本物の魔術師。そして、それまでは机上の空論でしかなかったヴリルを現実に引き降ろす一手を齎した協力者。
彼が告げる言葉の全てを信じた訳ではないものの、確かにヴリル・パワーが発現したことから、当面の間の協力体制を維持すべく友好関係を結んでいる。
個人的な印象としては、決してアーリア人的ではないものの、血が薄れているだけでヴリル・ヤに連なる存在だと信じている為、基本的には友好的。
彼の神に対する誓約の関係から、普段の振る舞いが質実剛健なものであることも、比較的好印象な模様。
聖杯戦争の進行に伴って、彼は独自行動を取るようになっていくが、上述のように彼の野望に賛同する立場を取っている為、それを黙認している。
寧ろ、彼から来る戦術的・戦略的な事柄に関しての相談を積極的に受けることで、彼の勝率を高めようとしているまである。
アーネンエルベに潜む本物の魔術師。そして、それまでは机上の空論でしかなかったヴリルを現実に引き降ろす一手を齎した協力者。
彼が告げる言葉の全てを信じた訳ではないものの、確かにヴリル・パワーが発現したことから、当面の間の協力体制を維持すべく友好関係を結んでいる。
個人的な印象としては、決してアーリア人的ではないものの、血が薄れているだけでヴリル・ヤに連なる存在だと信じている為、基本的には友好的。
彼の神に対する誓約の関係から、普段の振る舞いが質実剛健なものであることも、比較的好印象な模様。
聖杯戦争の進行に伴って、彼は独自行動を取るようになっていくが、上述のように彼の野望に賛同する立場を取っている為、それを黙認している。
寧ろ、彼から来る戦術的・戦略的な事柄に関しての相談を積極的に受けることで、彼の勝率を高めようとしているまである。
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