フランク・H・シンドーの隠された秘密、そ彼の正体はサーヴァント、フォーリナー星の戦士と融合したデミサーヴァントである。
フォーリナー星の戦士とはクトゥルフ神話にあるオリオン座ヴェテルギウスより飛来した、旧支配者と対立する神、旧神の中でも末端の下級神……の名を借りた存在。
その正体は遥か数万年前、次元を超え地球に辿り着き、母星へと帰還する手段を失ったが故に地球に根付き人々と共に生き、そして地球へと還った巨大ヒューマノイド型異星人である。
星の戦士の基となった『彼』は何らかの事故で地球へと漂着し、そこで地球が自身がいた次元とは違うこと、故郷へと帰還する術がないことを知った。
そこで『彼』には選択肢があった。
『彼』の力はこの星に生きる生き物達よりも強く、この星に『彼』よりも先に来た神と呼ばれるもの達に比肩するほどだった。
この星の生き物はまだ未熟で幼かった、『彼』は神としてこの星の生き物たちを導き、見守ることも出来た。
だが、『彼』は神としてではなく、地球に生きる一つの生命としてこの星とこの星の生命達と共に歩む事を、地球を第二の故郷としこの星で生きこの星で死ぬ事を選んだ。
そして、一万二千年前。
神々が軒並み敗北し、辛うじて星の聖剣により撃破できたセファールの襲来。
外より来たりしものたちに危機感を覚えたガイアは寿命が尽きかけていた異邦の存在でありながら地球のために戦い生きた異星人である『彼』に契約を持ち掛けた。
この星のために、この星で生きるものたちの未来のため力を貸して欲しい、と。
『彼』は異邦の存在でありながらも自分を受け入れ、慕ってくれた地球とそこに生きる生命への恩返しの為、ある条件を付けると契約を受け入れた。
だが、そのままでは『彼』だけでは英霊となりえない、そう判断したガイアはかつて
根源と接続した或いは偶然外宇宙の描写が一致した作家が創作し、
様々な作家により広められた創作神話から下級神の名を与え、とある概念を組み合わせた。
それは正義の味方。 アラヤの守護者である無銘が受け入れたそれとは別の側面、歴史の影、行間に存在した人でない存在でありながら人でない者達、その残滓。
異邦人である『彼』、創作神話の下級神の名、人外の正義の味方という概念。
ここにガイアの抑止力。 対セファール、対フォーリナー用の抑止力、星の戦士は誕生した。
…………だが、デミサーヴァント、フォーリナー星の戦士にはまだピースが足りない。
1969年の11月のカンボジア、デルタグリーンの黒曜石作戦。
そこで行われたクメール・ルージュの儀式、世界のテクスチャを歪めチョー・チョー人が信仰した神、双子の悪性神性ロイガーとツァールを呼び出そうとした儀式は多大な犠牲を出したデルタグリーン必死の攻撃で阻止された。
しかし、そこで行われた儀式は偶然にもサーヴァント召喚の儀式と酷似した形となりかつてロイガーとツァールと戦ったフォーリナー星の戦士を呼び出した。
そのまま消滅しようとした星の戦士だったが、そこである人間を見つけた。
それは敵の攻撃から戦友を庇い重症を負いながらも、最後の力で祭壇を破壊し儀式の阻止に成功したものの命を落とそうとしていたフランク・H・シンドーだった。
フランクの勇敢さと戦友を助けるために命を賭けたその行動に心を打たれた星の戦士はかつてガイアと契約した際の条件──自身が望んだ時、望んだ相手に無条件で自身の霊基を移植することが出来る。──を行使し、フランクに自らの霊基を融合させ、フランクの命を救った。
デミサーヴァントとなったフランクは星の戦士としての志を引き継ぎ、この星に生きる生命の自由と平和の為、ウィルマース財団と共に人知れず今日も戦い続ける。
………………なのだが、フランクが一度星の戦士へと変身した後、再度変身するには短くて数年に一回、長ければ10年以上の歳月を必要とする。
現界制限に抗うのに多大な魔力が必要な為だが、変身に必要な魔力量はフランクの体調や周囲の状況、正義の味方と言う概念が信じられている、信仰されている地域か否かなどにより非常に安定しない。
緊急時には無理矢理変身することも可能なのだが、その場合はフランクの体力、魔力、精神力や魂、寿命を大きく削り、フランクは数週間から数ヶ月以上昏睡状態へと陥り、再度の変身まで10年以上の歳月を回復に費やすこととなる。
その為、フランクはウィルマース財団諜報員の魔術使いとして活動するのが殆どであり、彼が星の戦士となるのはそれだけの緊急事態を意味する。