機能集約・廃止が検討されている神奈川県立図書館・神奈川県立川崎図書館に関する情報をまとめます。


守谷てるひこ議員(自民党)の質疑

守屋委員

午後は、県立図書館の問題について伺いたいと思います。
昨年、県有施設の見直しの方針が打ち出され、前回の定例会でも、集約という方向性が出されました。これについては、全ての施設で、何を目的にしていくのかという視点が重要であると申し上げました。
そして、今回、県立図書館の集約化、閲覧・貸出機能の廃止の検討をするとの表明があったのですが、なぜ、その辺りを検討することになったのか、その目的をお伺いします。

生涯学習課長

県立図書館の見直しは、緊急財政対策ということで、見直しを始めることになりまして、白紙の状態から、県民利用施設の全部を見直すことに着手いたしました。そして、今回、改めまして、県立図書館と市町村立図書館の役割をもう一度考え直し、県がやるべきことを検討していくということでございます。
昭和40年頃は、県内には、市町村立図書館が20館程度ありましたが、現在は73館となっております。このように、図書館が増えたことで、地元の図書館を利用する人が増えてきております。そこで、県立図書館としましては、広域的な役割を担うことを中心に置くべきではないかということを踏まえまして、まだ決定ではないのですが、閲覧・貸出機能をやめることも方向性の一つであるということで、この方向性を示すことで、県民の方の意見を聞きながら、検討を進めることを表明したということでございます。
また、川崎図書館は、市の再整備計画の範囲にございまして、平成29年度までの借地期間となっておりますことから、集約化ということを表明したものでございます。

教育局長

補足させていただきますと、公園施設内の図書館設置許可の期限が切れることは、従前から分かっておりました。そして、図書館の機能全体につきましては、平成17年度から、図書館の在り方を検討するための会議を設置しておりまして、市町村図書館の整備が進んでいる中、県としての役割分担をどうするのかなどを検討してまいりました。その検討を進めている中で、緊急財政対策への取組が、日程的に重なったことで、検討してまいりました考えの中から、表明させていただいたものでございまして、財政対策のためだけに見直したのではないことを、御理解いただきたいと思います。

守屋委員

2月21日に、会派の代表質問で、佐藤団長が図書館についての質問をしました。その中で、県立の図書館は、図書館として貴重な資料を、直接手に取って見ることができるよう、閲覧機能を維持する方向で検討することと、川崎図書館は、その特性や地域性が重要な役割を果たしていることから、産業技術や特許に関する情報の提供など、より企業活動の支援につながる機能に高度化・特化して、川崎市内で残す方向で検討するという教育長の答弁がありました。
この答弁は、私どもとしても評価するところなのですが、どのような理由で、この答弁がなされたのかお伺いします。

生涯学習課長

見直しの方向性を表明した後に、県民の方々から、いろいろな御意見が寄せられました。また、市町村の図書館長を集めまして、意見を聞きながら、県立図書館の役割をどうしたらよいのかを検討してまいりました。その結果といたしまして、教育長から、佐藤議員への答弁とさせていただいたものでございます。
特に、市町村と意見交換した中では、直接貸出しをやめて、その代わりにKL−NETを使い、市町村の図書館に本を届けることを考えていると説明いたしました。この課題といたしまして、本が届いても、市町村の図書館では、閲覧スペースが広くないということと、配送されてくる本の仕分けなど、市町村の負担が増えるという御意見を頂きました。
また、県立図書館には、かなり専門的な資料がございますので、多くの人が閲覧に訪れます。昨日、川崎図書館に視察された際に、大きな荷車にたくさんの本を積んで閲覧している人がいたと思いますが、多くの専門の雑誌などを見る人が多くなっております。その点を踏まえまして、市町村からは、是非、閲覧サービスは維持してほしいという御意見がございました。そして、図書館は、生涯学習の拠点であることから、いろいろな図書館の使い方や役割を、総合的に考えた上で検討いたしまして、答弁では、案として表明したものでございます。
さらに、川崎図書館につきましては、企業の方が、いろいろな専門雑誌を閲覧し、研究しておりまして、企業の交流の拠点にもなっております。こういった地域性と特性というものが、かなり重要であることを踏まえまして、総合的に判断したということでございます。

守屋委員

川崎図書館については、より企業活動の支援につながる機能の高度化・特化とありますが、高度化・特化するということは、何かをやめて、何かに集中するという意味にもとれます。
サービスの見直しで、やめる部分、特化する部分を、もう少し具体的にお伺いします。

生涯学習課長

詳細につきましては、企業の方のニーズをよく把握してから、具体的に検討していかなくてはならないと考えております。現時点では、企業活動の支援に役立つところに特化していくということでございます。
川崎図書館の蔵書には、非売品で、技法や技術情報など、いろいろな企業から寄せられているものがございます。そういったことを閲覧したいという、企業の技術者などが多いということもございます。さらに、神奈川県資料室研究会として、100社近くの企業が集まり、川崎図書館を拠点としまして、情報交換をしております。こういった企業に役立つ機能を、維持していくのかどうかという検討課題がございます。
そして、3階の科学技術室の奥には、物理一般、化学などの専門性が高いのですが、必ずしも企業用というわけではなく、学生が閲覧するような資料もございます。その辺りを、もう少し切り分けられるかどうかにつきまして、これから検討してまいりたいと考えております。

守屋委員

昨日、川崎図書館を現地調査させていただき、会社や学術団体が発刊している古い技術情報に関する書籍が、全てそろっているというのは圧巻でした。図書館の司書の方から、そういった化学の分野については、理論が陳腐化しないので、例えば、100年前の研究であっても、いまだに多くの研究者が、その情報を閲覧しているという説明を受けました。こういうところから、知の拠点であるということを、改めて確認させていただきました。
その機能が維持される、特化されるということは、評価するところなのですが、もう一つの論点として、貸出機能については、まだどうするのかという明確な回答が出ていないと思うのですが、どのようにお考えなのかお伺いします。

生涯学習課長

ロードマップにもございますが、貸出機能につきましては、引き続き検討してまいりたいと考えております。
現在、市町村の意見を聞いているのですが、県で貸出機能をやめた場合における市町村への影響、貸出機能をやめることで、調査研究用の図書館に特化するという位置付けとした場合の、市町村立図書館との役割分担などにつきまして、いろいろと想定しながら、今後、検討してまいりたいと考えております。

守屋委員

閲覧が維持されたということは、一歩前進ではあると思います。
一方、貸出しの場合は、市町村への貸出しも全部やめて、調査や研究をすることができるだけということなら分かりますが、市町村を通しての貸出しはするが、県立図書館では貸出しをしないということになると、来館者が本を持ち帰って研究したいと思っても、その場で借りることができず、一旦、本を返して、地元に戻ってから、地元の図書館で、県立図書館の本を借りる手続をするということになり、県民の理解を得られないのではないかと思います。
貸出しを止めるということは、そういうことも引き起こすという認識を持っているのかお伺いします。

生涯学習課長

確かに、図書館に来て、その場で借りたいのに借りられないということは、かなり不満を持たれると思います。しかし、直接貸出しをしていない、東京都の事例もございます。
また、貸出しをしますと、その間、閲覧したい本があっても、その本がないということがあるという観点から、県立図書館は貸出しをやめて、閲覧だけの機能でもいいのではないかという御意見もございます。
やはり、先ほども申し上げましたが、調査研究型の専門図書館とするのか、それとも、どのような機能を県の図書館として有していくのということにつきましては、よく考えた上で、検討してまいりたいと考えております。

守屋委員

やはり、利用者がどのように捉えるかということが、一番のポイントになると思います。
川崎図書館は、川崎市内に残すという方向で、閲覧は継続するという方針が出ているのですが、貸出しをやめると、どのくらいのコスト縮減になるのか、試算があれば教えてください。

生涯学習課長

申し訳ございませんが、試算はなかなか難しい状況でございます。理由としましては、与件によっても変わることでございまして、いろいろシミュレーションをして、慎重に進めているところでございます。
例えば、現在、二つの図書館で、貸出しが14万冊ございますが、配送車の人数が増えた場合は、貸出カウンターの人数は減りますが、貸出しの仕分けをするときには、県だけではなく、市町村の事務も増えますので、そういったプラスマイナスをよく考え、もう少し方向性が定まったところで、コストにつきましては、しっかりと計算をしてまいりたいと考えております。

守屋委員

昨日、現地調査をした中で、市町村との連携を深め、大学や県の研究所との連携をとっているシステムであるKL−NETは、年間の維持運営費が約6,000万円くらいかかるということでした。その6,000万円というのは、本を移動させるのに経費がかかると思っていたのですが、全体のシステムやリース等の維持や、メンテナンスに多くのお金を要していて、本を物理的に動かすことには、そんなに大きなお金を使っていないという話がありました。
私は、貸出しをやめても、KL−NETについては、逆に拡充していかなくてはならない部分であると思います。市町村間の連携を深めていくことは、県の役割であるので、KL−NETをやめるという選択肢はないと思います。
そこで、例えば、KL−NETの拡充ということについては、どのようなイメージを持っているのかお伺いします。

生涯学習課長

現在、2週間に1回は、車が本の宅配で回るようになっておりまして、本の注文の多い市町村には、宅配便の便数を増やし、貸出しまでにかかる時間を短縮することが考えられます。
また、市町村からも、いろいろと意見を伺っておりまして、まだ、明確には申し上げることができないのですが、新しいアイデアも少しずつ出てきておりますので、そういったものを盛り込んで、貸出しまでの時間短縮を中心に、今後、拡充してまいりたいと考えております。

守屋委員

今回の見直し案では、利用者の方に、混乱を来したところがあるのですが、そのサービスをやめることを前提に物事を考えるのではなく、広域の図書館として何をするのだということを、改めて考える良い機会になったと思います。県の中だけでなく、施設を利用している方、全国の図書館にも、問題提起をすることができたのではないかと思います。
そして、かながわ教育ビジョンの基本方針にも、社会教育施設などの生涯学習機能の充実を図るとあり、昨年6月の生涯学習審議会の中でも、図書館は、学習情報のハブとしての機能が強まっており、知のネットワーク化と情報拠点として、図書館の役割を強化する必要性について掲げています。昨年の暮れには、文部科学省の告示が出されており、図書館の設置及び運営上の望ましい基準の中に、都道府県は都道府県立図書館の拡充に努め、住民に対して適切な図書館サービスを行うといった方向性が示されています。
また、県民の多くの方が、財政再建のために、図書館をやめてしまうのだろうと受け取っています。私自身も、そのように強く感じておりますので、これまでの議論を機会に、どうしたらサービスを拡充できるか、コスト縮減ありきではなく、いろいろ運営費を見直すとか、機能の整理をするといったところから、まずはスタートしていってほしいと思います。
図書館の見直しに関する議論では、当初、図書館は、ただの倉庫でいいのかということを、多くの方が言っていました。倉庫があって、そこに車が集配するだけで、それでいいのかということです。これは、街の本屋にも言えることで、インターネット上の通信販売網さえあれば、街の本屋は要らないのかということで、やはり本屋さんに行き、手に取って見る、何の気なしに本屋に立ち寄り、新しい本や雑誌と出会う、そして、店員さんとの出会いの中で、新たな学びにつながるということはあると思います。
このように、私は、場の持つ力といったものを、もう一度考え直していただきたいと思っていたので、川崎図書館が川崎に残るということについては、大変評価しております。図書館が、ものづくりの拠点である川崎にあるということが、日本のものづくりをけん引してきたのです。
我々も、前向きな提言をしてまいりたいと思いますので、是非、その辺を踏まえて、更に検討していただくことを要望いたしまして、この質問を終わります。

中谷委員

私からは、県立図書館の在り方について、何点か伺わせていただきたいと思います。
私は、図書館の在り方における新しい取組を行っている、佐賀県武雄市に視察に行きまして、民間との連携による図書館構想について、市長と、カルチュア・コンビニエンス・クラブの責任者の方にもお話を伺うことができました。
新たな取組として、進展する高齢社会の中で、豊かな生活を実現するための中核施設として、図書館、歴史資料館を、より市民価値の高い施設として運営するに当たり、カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営する、代官山蔦屋書店のコンセプト及びノウハウを導入することと、そのための重要な手段としての付属事業を展開することについての提携に至ったようで、本県としても、参考になる事例であると考えています。
そうした中で、様々な観点から、県立図書館を、良い形で存続していける方法を模索する意味も含め、県立図書館の在り方について何点か伺いたいと思います。
まずはじめに、確認ですが、報告資料の9ページ、10ページに記載されている、集約化というものが何を指しているのかお伺いします。

生涯学習課長

一つは、川崎図書館が、平成29年度末までに、立ち退かなければならないということがありまして、そのことにつきましては、何らかの形で、対応を考えていかなければなりません。
また、かながわ県民センターに、生涯学習情報センターがあり、ここでは、県立図書館の書籍について、予約をしたものの貸出し、受取りの機能がございます。この生涯学習情報センターは、県立図書館の一つの出先機関にもなっておりますが、かながわ県民センターの入庁機関の見直しがございますので、その点も含めまして、集約化と言っているものでございます。

松崎委員

関連で確認させていただきたいと思います。
県民や利用者の方々にとって、大きなサービスの低下や利便性の後退につながるのではないかという懸念があり、この点を、まずどうするかということを同時に考えないと、いきなり集約化ということだけがポンと出たのでは、甚だしく考え方、スタンスが明確ではないと思います。
集約化として、川崎図書館の立ち退きと、情報センターの中にも、駐在所としての機能があるということですが、報告資料の中では、集約化という言葉が、検討の方向性、調整の方向性、それから今後の調整内容というところで、25年度、27年度以降というところにそれぞれ出てきます。
川崎図書館については、利用する方々にとっては、もっとユニバーサルなデザインのものにしなければならないという要請もあり、何をどのようにしていくのかというビジョンをお答えいただきたいと思います。

生涯学習課長

集約化の具体的な在り方について、現在、いろいろと検討しているのですが、一つは、川崎にあるという地域性と企業支援に非常に役立っているという特性、そうした企業の支援に役立つような機能につきましては、更に高度化・特化して、同じ川崎市内に残すことを考えております。
したがいまして、現在の川崎図書館が、そのまま残るということではなく、特定の機能に着目しまして、そこのところは地域性、特性から残すことになります。また、それ以外の部分につきましては、基本的には、県立図書館の方に集約していこうと考えております。
いろいろな県民からの御意見をお聞きすると、例えば、社会科学及び人文系の経済誌は横浜にあって、技術系のものは川崎にあるが、それを集約して一遍に見られる、ワンストップサービスみたいなものができればいいというようなものもございます。
そういうものも参考にしながら、川崎の方には、どのような県立図書館としての役割を残していくのか、いろいろ検討させていただきまして、集約化を進めてまいりたいと考えております。

松崎委員

これから、さがみ縦貫道路が開通していく中、県としては、ロボット特区というものを、新たな産業の目玉として位置付けています。そうすると、ものづくりという観点で、川崎ではなく、県央に新しい拠点を設けるためには、知の拠点といったものを、どうするのかという整理をしなければならないと思います。
それから、存続なのか廃止なのか、現状維持なのか縮小なのかといった観点だけで考えていいのかという問題もあります。つまり、現状では、貸出冊数は増えているのですが、貸出冊数だけを見て、本当に知の拠点と呼べるのかということなのです。だからこそ、閲覧に特化していこうとされているのだと思うのですが、ここは一つの大きな鍵になると思います。
そして、より高度化したものに特化していきたいという川崎図書館については、改革や創造にもう少し取り組まなければならないと思います。つまり、今のままの、訪れた方が活字を閲覧して、そのことによって、何かを得ていくということだけでは、世界の時間の流れといったものには、追い付かないのではないかと思うのです。
また、見直しに当たっては、財政的な視点が、必ずそこに入っているわけなのですが、それを高度化といったものと、どのように両立させるかということについて、教育局長にお伺いします。

教育局長

図書館の持っている力を、どのように高度化していくかということと、財政的な見地と、両面から検討するということにつきましては、やはり、地域性ということも、非常に重要なポイントとなっております。今回は、川崎という地で、いろいろな資料を収集してきたという歴史と、川崎という地で力を発揮しているという機能は捨てられないということから、川崎の中に残していきたいという方向性を出したものでございます。具体的な場所の検討としましては、これからになるのですが、進む方向としては、やはり産業、企業への支援というところがポイントとなります。
したがいまして、今後、残して高度化させていく内容につきましては、答弁にもございましたように、企業支援につながるところについて、高度化・特化をしていくという形でございます。現在も力を発揮しているものでございますが、未来にわたって、もう少し力を発揮していくには、どうしたらいいかということを検討してまいりたいと考えております。その中には、今までのように、手に本を取って見るだけではなく、電子化の話もあるでしょうし、企業の交流をしてきたという意味も含めまして、そういったところを未来形として、より良い力を発揮するような方向を検討してまいりたいと考えております。当然、その中身につきましては、財政的な見地を入れて行っていくということで、両面から対応してまいりたいということでございます。

松崎委員

図書館に訪れて、書籍を手に取るという方々は減ってきており、同時に、子供たちの活字離れは深刻な状況です。それは、文教常任委員会が開かれるたびに、誰かが必ず指摘してきたことです。それをどのようにして、今の時代に合うように、子供たちを含めた成人の方々も、より利用しやすいものに変えていくのかということで、改革するポイントが幾つもあると思います。
そこが、県民の方々から見て、時代にマッチしない、あるいは、利用する、訪れるに値しないと思われるようになったら、これこそがピンチだと思いますので、そこをどうするかということを、しっかりやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

教育局長

先ほど、川崎図書館について答弁させていただいたのですが、県立図書館全体の話として、私どもが提案いたしましたのは、市町村の図書館と組んで、未来型の図書館を目指すというものでございます。それは、高齢者の方などが、自分の町の図書館で、頻繁に本を借りられるようになれば、サービスとしては向上するだろうということから、提案をさせていただいたものでございます。
しかし、閲覧という、手に取って見ることが必要であるという御意見を非常に多く頂きましたので、その辺も、サービスを維持、向上させていくという意味では、その機能も残した方がいいという判断でございます。
したがいまして、これから取組を進めていく中で、今までのものをそのまま残すのではなく、よりサービスを良くして、高度化させていく中で、市町村の図書館も含めての貸出しと、現地での閲覧機能を残すということをマッチングさせて、両方の機能を向上させていくことと、どのように個々の部分を抑えて、財政的な見地を出していくかということ、この三つの視点を整合させる解を見出していまいりたいと考えております。

松崎委員

三つの課題を整合させていくということですが、それらを含めた取組が、集約化ということであると受け止めました。
私からの質問は、以上です。

中谷委員

未来型の図書館ということで、私も、どういった図書館の在り方が良いのかと模索しております。その中で、サービスの拡充と行革という意味で、武雄市などは、100万人の来館者を目指すという取組を行っているのですが、そもそも図書館運営の外部委託や、民間との共創といったことについては、どのように考えているのか、所見をお伺いします。

生涯学習課長

当然、コストのことは、考えながら行っていかなければならないと思っております。この緊急財政対策で、施設の見直しをするときに、指定管理者の視点から考えてはどうなのかという検討を行いました。
他県でも、私の記憶では、全国で二つほど指定管理を行っている県立の図書館がございます。中身を見ますと、二つとも、いわゆるルーチンワーク、カウンターでの貸出しなどといったものは、外部で行ってもらっているのですが、図書館政策とか、図書館の中でどういう企画を立てていくかなどにつきましては、自前で行っております。
私どもも、県立図書館の役割として、県全体の図書館サービスをどのように行っていくのかということを考えていかなければなりませんし、県立図書館として、どういう本を集めていくのかという蔵書構築方針を、これまでの経験を生かし、時間をかけたロングビジョンの中で行っていかなければならないと考えております。
現在も、カウンターにおける作業の部分は、ほとんど非常勤の方にやっていただいておりまして、司書のうち、半分は非常勤の方ということで、指定管理を導入するという、コスト面での大きなメリットはないというという結論を出したところでございます。

中谷委員

人件費や、業務のプロセスの点についてもお伺いしたいと思います。
県立図書館の来場者数は、平成23年度が23万669人で、職員数は113名、事務職が36人、司書が77人で運営されており、人件費は5億1,751万円ということで、図書館運営経費の約66%を人件費が占めている状態です。また県立川崎図書館の来場者数は、平成23年度が20万5,000人で、職員数が49名、事務職が12人、司書が37人で運営されており、人件費は2億2,100万円ということで、これも、図書館運営経費の約76%を占めており、かなり高額となっています。
そして、人口5万144人の佐賀県武雄市の図書館来場者数は、平成23年度が25万5,828人で、職員数は3人、委託の館長が1名、司書が15名の計19人で、規模的には、川崎と比べても半分以下、県立と比べると10分の1くらいの水準で運営している。これでもまだ至らないということで、民間への委託を行い、2.1億円くらいの人件費がかかっているのですが、現在、1億円くらいの5割の削減を目指していく方向性が示されています。
このように、単純には比較できないと思うのですが、県立図書館、川崎図書館より、人口5万人の武雄市の図書館の来場者数の方が多く、また、人件費も低く抑えています。こういった運営の在り方については、業務プロセスの改善や、人員配置、また、来場者に関して言えば、県民の皆様に、もっと来場したいと思っていただけるような企画、運営をすることができるのではないかと考えるのですが、所見をお伺いします。

生涯学習課長

県立図書館と、武雄市の図書館の比較でございますが、やはり役割と申しますか、機能の違いというところがあると思います。
例えば、県では、KL−NETを運営しており、県全体のネットワークシステムをつくって、それを運営していかなければならないということがございます。また、昨日、図書館の視察をしていただいたのですが、図書館では、裏方でいろいろな作業をしている人がおりますし、それから、単に本を貸すだけではなく、神奈川の情報を集めた、独自のレファレンス用の資料なども作っております。さらに、企画面で、県内全体の図書館サービスを引っ張っていくような役目も果たしておりますので、そういう意味では、単純な比較はできないものと考えております。
ただ、一方で、武雄市でも新しいことを試みていて、今までの図書館のままでいいということではなく、ニーズを先取りしていくような新しいサービスを考えていくということで、常に何らかの検討をしていかなければならないと考えております。
そして、人件費につきましても、今のままでいいということではなく、もう一度、仕事の中身をよく見直しまして、見直しができるものにつきましては、きちんと行ってまいりたいと考えております。

中谷委員

そういった業務プロセスの改善や、運営の抜本的な見直しは、非常に重要であると思います。今まで、行政だけでやってきたものを、民間の方々が入っていただくことにより、ブラッシュアップされていくと思いましたので、こういう質疑をさせていただきました。
そして、昨日、私たちが視察で伺ったときに、自習室の中に、パソコン利用禁止という貼り紙がしてあって、本当にびっくりしました。ジェネレーションギャップなのかもしれないのですが、私たちの世代は、パソコンが使えないところには、絶対に行かないだろうと思いました。パソコンが使えないところで、勉強しようとも思わないし、仕事をしようとも思わないはずだと思います。
統計やアンケートでも、図書館利用者のボリュームゾーンが50代以上の中高齢者ということになっており、女性や若者の利用が少ないと感じました。そこで、こういった利用者に対するサービスの向上を図る必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

生涯学習課長

その点につきましでは、委員の御指摘のとおりであると思います。古いイメージを取り払うような形で、もっと若い方々に来ていただけることを考えなければならないと考えております。
先ほどのパソコンのお話もそうなのですが、東京の図書館を幾つか見ますと、例えば、飲物を持って図書館の中に入って、少し談話ができるようになっているところもございます。川崎図書館の3階の図書室では、学生の方が、パソコンを片手にいろいろ調べ物をしていたり、サイエンスカフェでは、お茶を飲みながらミニ講座を受けたりといったことも行っております。
先ほども申し上げましたが、ニーズを先取りしていくような新しいことを、これを機会に、考えていかなければならないと考えております。

中谷委員

武雄市が、カルチュア・コンビニエンス・クラブと提携しているサービスには、主に九つのものが示されています。
代表的なものを紹介しますと、365日、午前9時から午後9時まで営業するということや、スターバックスコーヒーのような、カフェダイニングを導入して、本を読みながらコーヒーが飲めるようなところを提供したりしています。また、iPadによる電子端末を活用した検索サービスを導入するなど、利用者のアンケート結果では、今後、音楽や映画の充実も期待されているということでした。そして、有料でのレンタルなども含めて、サービスの拡充を図っていました。
利用者のアンケートでは、武雄市の指定管理者導入に期待すると回答した方が、70.3%ということで、やはり、サービスさえ良ければ、人は集まるということだと思います。
どういうニーズで、どういうことをやっていくのか、知事もよくおっしゃっていますが、行ってみたいと思われるような図書館を実現していく必要があると思います。そこで、今後の展望について、どのように取り組んでいくのかお伺いします。

生涯学習課長

図書館に、多くの若い人に来ていただくということは、なかなか難しいことであると思います。例えば、大学生になりますと、自分の大学の図書館に行くと思われますので、いろいろな目的を持って、人が集まって来られるような場所にしなければならないと思っております。そのためのいろいろな試みにつきましては、図書館に実行するようお願いしておりまして、それを基に検討していかなければなりません。また、図書館の利用者のアンケートを見ますと、市町村の図書館は、非常に込み入っているので、あの雰囲気が良いという人もおりますので、そういう御意見も、大事にしなければならないと考えております。
それから、高齢化が進んでおり、なかなか図書館に来ることができない方、非来館者のサービスをどうしていくかということで、電子情報の提供などについて検討しまして、市町村の図書館を先導していけるようなものを、県立図書館として研究してまいりたいと考えております。

中谷委員

そういったサービスの向上や、ニーズも鑑みながら、より良い運営を進めていくということだと思うのですが、私たち若年層や、非来館者も、ターゲットに置いていただきたいと思います。
そこで、そういった取組を、いつ頃までに行っていきたいと考えているのかお伺いします。

生涯学習課長

いつまでにということにつきましては、現時点では、お答えすることが難しいのですが、まず、現場の声を聞くということで、市町村との意見交換会の場を、昨年の11月から設けております。これを、5月くらいまで続けてまいりまして、もう一度、全市町村の図書館の方に集まっていただき、県全体の図書館サービスの在り方について、意見交換をしてまいりたいと考えております。
県全体の施設の見直しとしましては、平成25年度の前半に、一定の方向性の結論を出すと聞いておりますので、私どもも、それに合わせて実施してまいりますが、その検討を進める中で、新しい取組につきましては、どういう形で実施していくのか、これにつきましては、もう少し検討させていただければと考えております。

松崎委員

関連で、お聞きしたいのですが、お答えいただきたいのは、その検討を進めていく中で、県民や利用者の方々が、どのような形で参加できるのかということなのです。若者とか女性とか、中谷委員から指摘のあった、現在利用が少ない方、そして、アクセスすることが難しい高齢者や障害者の方、そうした方々の声も含めて、県として、どのような形で受け止めていくのか、そこのところをお聞かせください。

生涯学習課長

確かに、今回の図書館の見直しにつきましては、図書館に来ている方の御意見を伺うということはできるのですが、それ以外の方の御意見もあるわけでございます。ただ、e-かなネットのアンケートでは、図書館に来ている方以外の方の御意見も寄せられておりまして、中には、早く見直しを行ってもらいたいという辛辣なものもございます。
したがいまして、いろいろなバランスを考えながら行っていかなければならないと思っているのですが、図書館に来ていない方が来られるように、どうしたら図書館を改革していけるのか、もう少しお時間を頂きまして、検討してまいりたいと考えております。

松崎委員

ちなみに、ヤフーで行われた、県立図書館及び川崎図書館関連の、11月の答弁後のアンケートを見ますと、見直しに賛成と反対の意見が、ほぼ50対50できっ抗していたということです。ただ、回答数は、膨大な数だったそうなので、そういった意味では、課長のおっしゃるように、いろいろな意見があり、なかなかすぐにこうするという答えは出しにくいのですが、そのこと自体が、図書館というものの存在の重さというものを物語っていると思います。
是非とも、その辺りのところを踏まえ、御検討いただきたいと申し上げて、質疑者に戻します。

中谷委員

それでは、要望させていただきます。
今までの議論を踏まえて、業務プロセスの改善や、抜本的な運営の見直し、若年層、女性層など、広く県民に使用していただけるような、行ってみたいと思える図書館を目指して、民間との連携なども視野に入れながら、今後の企画、運営を行っていだだくことを要望させていただき、県立図書館についての質問を終わりにさせていただきます。

城田委員

続きまして、県立図書館について伺いたいと思います。
施設の見直しについては、先ほど、局長からも、緊急財政対策の観点からだけではないと伺いました。しかしながら、一方で、先ほども議論がありましたが、財政的な面からの議論も必要だと思います。
そこで、昨年の10月からの、見直し案について、変わってきた内容を教えてください。

生涯学習課長

見直し案につきましては、昨年10月に、一旦白紙の状態に戻しまして、もう一度県立図書館の在り方について検討していくことと、機能を純化・集約化しようという方向で御提案させていただきました。
純化と申しますのは、県立図書館と市町村図書館の役割を、もう一度改めて見直して、県がなすべきことは何かということを、よく検討していくということでございます。具体的には、閲覧・貸出機能につきましては、市町村の身近な図書館でサービスを受けていただくことが多いので、そこは市町村にお任せしまして、県は、もっと広域的なところを担っていったらどうなのかという、少しドラスティックな案をお示ししまして、御意見を求めたところでございます。
その後、11月に、市町村の図書館長に集まっていただきまして、検討会を立ち上げ、1月には、県民アンケートなども行い、いろいろな御意見を頂きました。また、県立図書館の在り方はどうあるべきなのかということにつきまして、内部でいろいろ検討してまいりました。
その中で、閲覧機能につきましては、市町村の技術的な課題としまして、閲覧を廃止した代わりとして、KL−NETで本を送られてきても、閲覧スペースがないということや、県の図書館は、専門的な本を多く持っているので、直接手に取って見るというサービスは、残してほしいという御意見がございました。これらを総合的に勘案しまして、県として、将来の生涯学習、図書館のいろいろな使い方も考えながら、閲覧について検討していくものといたしました。

城田委員

いずれにしても、検討ということなので、確定しているものではないと理解しているのですが、当初、10月のときの内容から、閲覧も含めた形に変えるということで、検討内容が変わったということだと思います。
そこで、お聞きしたいのは、今回、その検討の内容が変わった背景というのは、どういったところにあったのか教えてください。

生涯学習課長

県民の方や市町村の方から、いろいろな御意見を聞きまして、改めて県立図書館の使われ方というものを再認識いたしました。そして、県立図書館が、これからどういう姿でやっていくのがいいかということを、内部で検討いたしました。
例えば、生涯学習という視点では、もっと学習をする機会を、県としましては、提供していかなければならないという任務も大きいということであるとか、市町村と一緒に、どのように知の拠点を確保していくのかということも、考えていかなければならないということを、総合的に考え合わせた上で、今回のロードマップの方向性をお示ししたという状況、背景がございます。

城田委員

県民の方、市町村の方の御意見、県の中での内部の検討の方向性から、閲覧機能を残すことを検討することになったのだと思うのですが、県民の方からの意見は、どういったものが一番多かったのか確認させてください。

生涯学習課長

閲覧機能につきましては、インターネットで検索をして借りるだけではなく、実際に手に取って、迷いながら借りたいという図書館の使い方があるのだから、閲覧は是非残してほしいという御意見がございました。
また、調べものをするときには、一つの本でなく、複数の本を集めて、そこから自分が必要なものを探り出していくということがあるので、たくさんの本を市町村に送るのは困難である場合もあり、送られたとしても、他の方が図書館に来たときに、本がないといった不便さが生じてくるのではないかといったものもございました。
それから、せっかく県立図書館が、今まで積み上げてきたレファレンスのノウハウや、いろいろな本を持っているという資源を、是非有効に活用してほしいというものもございました。

城田委員

そういった要望が何件あったのか、数を把握しているのでしょうか。

生涯学習部長

アンケート等の御意見でございますが、県立図書館に来た方だけでなく、e-かなネット、ホームページ等でもアンケートをとっておりまして、1月末現在で、1,257件となっております。

城田委員

その回答の中で、当初10月に発表があった純化・集約化の方向でいいというものは、割合としてはどのくらいなのでしょうか。

生涯学習部長

図書館でのアンケートに回答した方につきましては、県立図書館では861件の御意見があり、残してほしいとか、こういう改革は良くないというものが478件ございました。逆に、純化・集約化の方向でもいい、または部分的にはいいという御意見が302件ございました。川崎図書館では、108件の回答のうち、残してほしいという御意見が83件でございまいた。
また、e-かなネットにつきましては、100件の御意見があり、そのうち42件が、廃止してもよいといったものでございました。

城田委員

そうすると、純化・集約化に前向きな御意見と、残してほしいという御意見は、どちらも、かなりの数字が存在しているということになります。県民のサービスに直結する機関に対しては、どうしても新聞などでフォーカスがあたるので、残してほしいという要望も多いのだろうと思います。
このことについては、純化・集約化ではなく、貸出は行うとか、川崎においては、特殊な役割があるということで、市内に移転するという話が出ていると理解しているのですが、一方で、財政的な問題点についても、踏まえて考えていかなければならないと思います。
そこで、平成25年度の予算に関する説明書の数字を確認させてほしいのですが、県立図書館費と川崎図書館費、図書館情報ネットワーク推進事業費の額を教えてください。

生涯学習課長

青本の180ページの社会教育施設費でございますが、県立図書館費として1億2,200万円、川崎図書館費として5,200万円、ネットワークの関係が約6,000万円となっております。図書館費は、それぞれ、維持運営費と事業費を含めております。

城田委員

ここの中には、人件費は含まれていないという理解でよいのでしょうか。

生涯学習課長

これは事業費だけで、人件費は含まれておりません。

城田委員

平成24年度の当初予算の数字を見たところ、県立図書館が1億2,404万円、川崎が5,504万円、図書館情報ネットワークが6,104万円となっており、平成25年度の来年度予算案の中身と比べて、対前年比で97.3%ということで、25年度の予算が少なくなっております。これは、今の機能を少し減らすということから、予算が減ったということではないのでしょうか。

生涯学習課長

まだ、図書館の見直しについては検討の段階でございますので、今回の減額につきましては、基本的には、県の厳しい財政事情から、10%、15%等といったように削減されているものでございます。

城田委員

今、その数字を聞いて、業務が削減されるという数字ではないということで理解しました。
今回の図書館の見直し問題については、そもそも、緊急財政対策ということで、財源の手当てをどうするのかという視点で、図書館の在り方についての検討を、これまで内部で検討されていたということであると思います。
そこで、確認させていただきたいのですが、緊急財政対策で行なっている主な取組、その検討状況といった、実際にどういったことを見直して、この対策で対応していこうと考えているのかということを、分かる範囲で教えてください。

教育財務課長

緊急財政対策では、県有施設をゼロベースで見直すということと、もう一つは、補助金の見直しを行っております。
実際に措置されたものとしましては、給与費の4%、6%の見直しを行うといったものがございます。様々な事業の見直しが、トータルで緊急財政対策ということでございます。

城田委員

そもそも、こういった緊急財政対策があって、県立図書館、川崎図書館の見直しを行うわけなのですが、県有施設の見直し、補助金の見直しの他にも、緊急財政対策で、本来入れるべきものがあったのではないかと考えています。県民が使う施設を見直す前に、緊急財政対策の中に含めていただきたかったのは、松沢前知事の時代に外郭団体についての見直しをしているわけですが、その外郭団体の事業なのです。
そこで、教育局が所管をしている外郭団体が、あるのかどうか教えてください。

教育局副局長兼総務部長

教育局が所管しております外郭団体としましては、教育福祉振興会や、文化財保護関係の団体がございます。

城田委員

県主導の第三セクターなど、県が出資や補助をしている団体や、人的支援や補助をしていない団体もあると思います。前回の委員会で取り上げた、教育局所管の教育福祉振興会は、教職員が、自分でお金を払っている互助会的な団体であると聞いています。
一方で、この団体は、神奈川県の出資金で、神奈川県債を購入しています。県債を購入しているということは、神奈川県がその利子を支払っていることになり、間接的には、この振興会に補助をしていることと同じではないのかという指摘をしました。
出資している外郭団体に対する見直しが、半分でもできるのならば、県立図書館の運用に回すことができるのではないかと思います。
そして、神奈川県が補助金を廃止することになってしまった、県立特別支援学校通学用車両運営費県費補助金は、25年度から見直し、27年度から廃止となります。こういった特別支援学校への車両運営費補助金は残して、図書館の費用を考え直すといった、プライオリティが必要なのではないでしょうか。教育局所管の中で、緊急財政対策として、どこを見直すのか、プライオリティがどこにあるのかということが見えてこないのです。
そこで、緊急財政対策での財源的な見直しと、このような補助金の見直しのプライオリティについて、どのように考えているのか教えてください。

教育財務課長

今回の緊急財政対策では、補助金も県有施設も、全てゼロベースで見直しをするというのが出発点でございまして、プライオリティといったものはございません。
その中で、合意を得ながら見直していくということでございます。

教育局副局長兼総務部長

補足をさせていただきますと、全くプライオリティがないということではございません。
御指摘のスクールバスにつきましては、送迎について、代替の手段はないかといった検討を行いまして、その中で、最終的に減額や廃止という結果となっておりまして、きちんと精査した上での結果でございます。

城田委員

県立図書館の機能が、今年度以降、どうなるのかということは検討最中であると思うのですが、施設の維持費用がどのくらいかかるとか、修繕や建て替えなどにどのくらいかかるという情報は、把握しているのでしょうか。

生涯学習課長

県民利用施設の見える化の取組としまして、各施設について、どのくらいのコストがかかっているのかということにつきましては、これから全庁的に調査をしまして、まとめていくところでございまして、その中で把握してまいりたいと考えております。

城田委員

まだ見える化はしておらず、財源の話が解決していないにもかかわらず、機能の純化・集約化を進め、閲覧機能を残すという答えを出せるということ自体が、個人的にはよく分からないのです。
今後、県民の方に負担を強いることがないように、財源の中で、やっていかなければならないといったバランス感覚が必要であると思うのですが、県としては、どのように進めていくのか教えてください。

教育財務課長

県の目標といたしましては、25年度は700億円、26年度は900億円の見直しを進めていくということになります。

城田委員

将来的な財源の確保を見据えて、施設等、補助金等の削減をするのかしないのかということを、考えていただきたいと思います。

 私からは、県立図書館の見直しについて伺いたいと思います。

まず、今回の図書館の純化・集約化の一連の流れは、緊急財政対策の考慮の結果、プラス平成19年度からの検討会の結果ということでしたが、この二つから結果が出ているということでよいのでしょうか。

生涯学習課長

県立図書館が昭和29年の建築、川崎図書館が昭和33年の建築ということで、大変古く、老朽化も進み、耐震性の問題もあり、平成19年以前から、図書館をどうしていくべきかといった議論がなされておりました。
平成19年の検討では、その一、二年前に、国の方でも、これからの図書館の在り方について、報告が出されておりまして、それを意識しながら、県立の図書館と市町村立の図書館につきまして、これからどのように役割分担を考えていくべきか、外部の有識者も含めまして、検討したということでございます。
そういった一連の流れの中で、緊急財政対策につきましても、検討しているわけでございますが、これまで、なかなか結論の出なかった図書館の在り方につきまして、改めて機能純化ということで、見直しをしてまいりたいと考えているところでございます。

亀井委員

平成19年度からの検討会の構成メンバーと、検討内容について教えてください。

生涯学習部長

県立の図書館のあり方検討委員会は、平成16年12月から実施いたしました、専門家によるヒヤリングを踏まえまして、平成17年11月に、有識者で構成する検討委員会を設置したものでございます。
検討委員会のメンバーでございますが、図書館に関する学識経験者としまして、ヒヤリングの時から御参加いただいております大学教授が3名、生涯学習に関する学識経験者として、大学教授が1名、市町村の図書館関係者として、図書館長が1名、民間有識者として、新聞関係者が1名の合計6名でございます。17年11月から18年11月まで、5回にわたり協議を実施しておりまして、19年4月に、教育長に報告書を提出いたしました。
報告書の概要でございますが、これからの県立の図書館の果たすべき役割ということで、情報提供サービス、情報ネットワークサービスに加え、様々な地域資源を取り込んだ、問題解決型の図書館モデルを提示しております。例えば、市町村等と協力して、広域的、総合的に県民ニーズに応えることができる図書館サービスの充実を図り、市町村立図書館の支援の要請に応えていくことや、今の2館の機能を、より効率的に運営するということで、1館に統合することも含め、新たな施設の建設を検討すべきであるといったものがございます。
また、指定管理者制度につきまして、図書館の全ての業務に適用することは、資料の計画的、長期的な収集や、市町村図書館への支援、専門的なサービスの質の確保といった、事前に解決すべき課題が多く、直ちに実施することは難しいことなど、様々な角度からの検討していただいたところでございます。

亀井委員

そうそうたる方々が、回数を重ねて議論したようですが、そういった議論にもかかわらず、方針があっけなく変わった理由を教えてください。

生涯学習部長

検討会の議論を踏まえた上で、緊急財政対策についての検討をいたしまして、当初、機能の純化・集約化という方向性を示させていただいたところでございます。
その後、市町村の図書館長の御意見や、企業等の御意見、県民アンケート調査の結果を踏まえまして、様々な検討を加えた中で、閲覧機能につきましては、残す方向で検討していくこと、川崎図書館につきましても、企業支援に特化した形で、機能を残していくという方向性を示したものでございます。
当初、10月にお示ししたものは、機能の純化・集約化を含めた検討ということで、あくまで出発点としてのものであり、そこから検討を進めたということでございます。

亀井委員

検討会により、純化・集約化の方向性を打ち出したのが出発点であって、様々な御意見を聞いて変更したということでよいのでしょうか。

生涯学習部長

専門家によるあり方検討委員会は、平成18年11月までの協議で終了しておりまして、報告書が提出されております。この中で、図書館について、今後どうしていくべきなのかということが提言されているのですが、それを踏まえまして、今回の緊急財政対策として、コストの部分をどうするかということで、昨年10月に、案をお示しさせていただいたということでございます。

教育局長

補足させていただきますと、平成19年度に、検討会の報告書が提出されまして、それをベースに、県の中で検討を続けてきたのですが、見直しにつきましては、検討中の段階でございました。
そういった中で、緊急財政対策の検討において、そろそろ図書館についても、方向性を県民の方に示していかなければならないという流れがございまして、今まで検討してきた中から、市町村へのサービスの充実や役割分担の明確化により、今後の在り方を探っていこうということになりました。その延長線上で、閲覧・貸出機能は市町村に任せて、県は専門書の収集や、司書の育成に特化してはどうかということで、当初、見直し案を提案させていただきました。
そして、図書館を充実させるために、非常に重要な役割を果たしているのが市町村の図書館であり、県立の図書館単館で、どのような機能を果たせるかということではなく、市町村と連携して、どのような機能を果たせるかということがポイントとなっている中で、市町村の図書館長を集めての検討会を開始いたしました。そこでは、未来型の図書館を目指す場合でも、閲覧機能は必要であるという御意見が、市町村の図書館側から強く出されました。
一番協力を得なければならない市町村の側から、閲覧・貸出機能の廃止では、話ができないという御意見を頂き、また、閲覧・貸出機能の廃止を含めた見直しが、世論にインパクトを与えまして、様々な御意見が寄せられました。その結果、今後の方向性としましては、閲覧機能は、廃止ではなく、残すということで、今後、建設的な御意見を頂きたいということになったということでございます。

亀井委員

分かりました。
ところで、教育局が所管している他の施設でも、検討会のようなものはあるのでしょうか。

教育局長

外部の委員を入れていないのですが、緊急財政対策の検討前から、ふれあいの村に関しましては、在り方の検討会を、局の中で実施しておりました。それぞれの施設につきましては、過去の経緯等、全てを把握しておりません。

亀井委員

いろいろな検討会があって、三浦のふれあいの村については、廃止ということで調整しているようです。
検討会は必要であると思いますが、教育局が所管している今回の緊急財政対策で挙げられている施設を見ますと、市への移譲については、検討、現行運営の継続、近隣施設との一体的な管理について検討となっています。そして、なぜか図書館だけは、閲覧・貸出機能を検討といった内容に踏み込んでいますが、これはどうしてでしょうか。

教育長

県立の図書館については2館ございますので、川崎図書館につきましては、平成29年度までといった、他の施設とは違う要素が入っているということがあるということでございます。

亀井委員

そうすると、県立図書館の方は、踏み込んだ内容となっているのは、どうしてなのでしょうか。

教育長

県立の図書館が、未来型の図書館としてどうあるべきかということを考えたときに、二つの大きなファクターがあると認識しております。
一つは、高齢化社会ということでございます。県域の広域的な役割を担っていく図書館が、どのような方に利用されているかを考えていかなければならないということがございます。
もう一つは、インターネットが普及している社会の中で、そういったものを活用して、図書館をより多くの方に活用してもらうという、ネットワーク社会の普及という大きな要素があるということがございます。
これらのことから、将来、高齢者の方が、専門的な図書も読みたいという要望が出てくる中で、どのような形で提供することができるのか、将来型の図書館といったものが、どうあるべきなのかということも、頭の隅に置いて検討してきたということでございます。

亀井委員

そういった理解で、私も緊急財政対策の流れを見ていきたいと思います。
そして、市町村立の図書館長と検討会を持っているということですが、市町村立図書館だけでなく、女性センターとか、産業振興センターの図書館とか、市町村立図書館以外のところにも意見を聞かなければならないと思っています。また、現場の司書の方の意見を聞くことも大切であると思うのですが、いかがでしょうか。

生涯学習課長

市町村の図書館長の会議を立ち上げる際にも、もっと司書の意見も聞いていただきたいという御意見がございました。私どもとしましても、規約上のメンバーは館長のみでございますが、図書館について詳しい方がいれば、会議に出席して意見を出していただいてもかまわないという御説明をさせていただいております。
また、各館長からも、司書の意見を集約した上で、意見を出したいということを、よく聞いているところでございますので、当方といたしましても、是非そうしていただきたいと勧めております。

亀井委員

会議の場というのは、非公開なのでしょうか。

生涯学習課長

非公開で開催しております。
理由としましては、図書館を専門に担当しております県と市町村の間で、アイデアを出しながら案を練ってみようという趣旨で実施しているということでございます。
当初、11月に開催した時には、全市町村に呼び掛けたのですが、なかなか議論が煮詰まらないため、各地区の代表ということで、政令市の図書館はもちろん入っているのですが、10人ほどで意見交換をしております。
今後、議論が煮詰まってまいりましたら、全体で集まっていただき、広く御意見を聞いてまいりたいと考えております。そして、まずは、県と市町村立図書館の連携の在り方から煮詰めていきたいと考えており、行政内部の会議として、現在、開催しているという状況でございます。

亀井委員

以前に、図書館の協議会を設けられて、学識経験者や市民の方も入っていたと思うのですが、図書館協議会といったものの設置については、いかがでしょうか。

生涯学習課長

検討会の中でも、これからの図書館サービスを考える上で、広く意見を聞く必要性について意見が出ております。
運営協議会につきましては、一度廃止しておりまして、現在は、アドバイザーという専門の方から意見を聞く制度を設けているのですが、もっと広く県民の方から意見を聞く仕組みとして、検討してみようという御意見もあり、引き続き検討しているところでございます。

亀井委員

県民の方も、特に図書館を利用する方は、県の方針に敏感になっています。純化・集約化の議論から、先日の教育長の答弁で、がらりと対応が変わってしまいました。私としては、うれしいことなのですが、ちょっとしたことで変わったという印象があり、県に、本当にビジョンがあるのかと勘ぐられることにもなると思います。
県民サービスをしっかりやっていかなければならないが、お金もない中で、どれだけ県民サービスに特化できるかという、一つの方針、ビジョンを、しっかりと県民に分かる形で示しながら検討をしていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。

相原委員

私からも、図書館関係の質問をさせていただきたいと思います。
たまたま、今年の文教常任委員会では、川崎市内選出の議員が私しかいないので、川崎図書館について、主に伺いたいと思います。
まず、昨年10月に示された案ですが、これは、最終案としてではなく、暫定的な案という意味合いで示されたのであると思っております。私自身は、この案については、一定の評価をしております。
行政改革的な要素がある提案というものは、往々にして、批判や反論が強く出るものです。当然、教育委員会としても、想定していたかと思うのですが、このような行政改革的な大きな提案を、内部から出したということについては、高く評価しているところです。外部の方から、厳しい案が、しばしば出されるものですが、内部から行政改革に係る強い案というものは、なかなか出しにくいので、その意味では評価しております。
今後は、教育長が示された方針で、進めるのだと思うのですが、それを前提に、川崎図書館の今後について確認したいと思います。
まず、あの土地は、一言で言えば、川崎市からお借りしているという状況だと思います。これを返す時期は、平成29年度中ということになっているのですが、具体的には、どういう時期になってくるのでしょうか。また、返すときには、どういう状態にして戻すことになるのかお伺いします。

生涯学習課長

川崎図書館のある場所は、富士見地区というところでございまして、富士見地区周辺の再編整備計画が、市の方で進められております。その計画上、平成29年度末までは、川崎図書館を置くことができるのですが、30年以降は、新しく区役所を設置するものと聞いております。
県としては3年ごとの行政財産の使用許可のような形でお借りしておりまして、29年度までは更新できるものと考えております。この後、どういう形でお返しするのかにつきましては、建物が県のものでございますので、全部撤去して返すのか等、その辺りは、これから川崎市と打合せをしながらということになると考えております。

相原委員

戻す時期についてですが、29年度末までということで、県としては、ぎりぎりまで使うという前提で考えているのでしょうか。

生涯学習課長

はっきり決まったものはございませんが、平成29年度末までということで、30年の4月からは、すぐに消えてくださいと言われても困りますので、図書を集約する場所に、前もって移す等の準備をしていかなければなりません。その辺りの具体的な予定は、これから詰めていかなければならないと考えております。

相原委員

今の答弁と関連するのですが、最終の期限が29年度末と示されているので、逆算すると、やるべきことがはっきりしてくると思います。
移転場所を決めるとか、資料等の移転をする作業をする時期であるとか、こういうのは、大雑把には、当局として、頭の中に既にあると思うのですが、今後のスケジュールは、どのようになっていくものなのか、教えてください。

生涯学習課長

川崎市内のどこかに、企業を支援する機能に高度化・特化して残すことになるのですが、その中身や場所は未定でございますけれども、全部、そのままの状態で、川崎市のどこかに残すということはございません。
特化する部分と、そうでない部分のうち、そうでない部分は、今のところは、紅葉坂の県立図書館に移さなければならないと考えております。企業支援として、どのくらいの資料が必要なのかによりまして、紅葉坂に持ってくる量も変わってきますので、紅葉丘の書庫の許容量をよく計算をする必要がございます。
それから、紅葉坂の県立図書館が、これから果たすべき役割として、図書館として、どういう資料構成で集めていくのかを、これから早急に検討しながら、スケジュールを詰めていきたいと考えておりますので、今の時点では、大雑把なスケジュールも申し上げられない状況でございます。

相原委員

川崎市内に新たな場所を求めなければならないのですが、おのずと選択肢は限られてくると思います。そこで、確認ですが、当然、新たに土地を購入して、新たに建物を建てるということは、一切考えていないのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

生涯学習課長

まだこれからの検討ということでございますので、申し訳ございませんが、そこの部分は、お答えいたしかねます。

相原委員

まだこれからというのは分かるのですが、土地を新たに買って、建物を建てるなどという選択肢は、あり得ないのではないでしょうか。この時点で、県民に対して、否定しても支障ないのではないかと思うのですが、それも支障があるのでしょうか。

生涯学習課長

企業の支援機能に高度化・特化していくということでございますので、教育局だけではなく、商工労働局など、関係部局ともよく打ち合わせをしていかなければならないということでございますので、私どもの方だけでお答えすることは、現時点ではいたしかねるところでございます。

教育長

決まっておりませんので、そういったお答えしかできないということで、御理解いただきたいと思います。

相原委員

それは分かったのですが、そうは言っても、平成29年度末までは、あと数年なのです。その中で、市内で新たな場所というと、そんなに選択肢があるとは思えないのです。
明確にどこということは、検討段階で考えているのだと思います。ある程度のものは、早い段階で示していかないと、県民の理解を得ることや、県民の不安を解消することには、全くつながらないと思いますので、ある段階で、大雑把な案でもよいので、示す必要があるのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

教育長

委員のおっしゃるとおり、県民の方、企業の方に御安心いただくためには、なるべく早く、そういったスケジュール等をお示しすることが期待されていると思います。私どもも、なるべく早く、そういったものを示せるように努力してまいりたいと考えております。

相原委員

分かりました。
既に耐震性について、不安が指摘されている建物であることは間違いないので、一日も早く、移転できるのが、一番いいと思っています。
また、早く決定をして、移転する分には、川崎市も歓迎すると思いますので、一日も早く、基本的な方向性を示していただきたいと思います。
具体的な場所については、ある程度決まった時点でないと、発表できないと思いますが、いずれにせよ、基本的な方針については、早めに発表することが肝要ですので、このことは、強く要望しておきたいと思います。

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