機能集約・廃止が検討されている神奈川県立図書館・神奈川県立川崎図書館に関する情報をまとめます。

原委員

では、午前中に引き続き質問させていただきますが、まず川崎図書館の見直しについて質問させていただきますが、6月12日に京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の中核的支援施設に関する代表質問がありましたが、知事は、答弁の中で、産業関連の情報提供については、川崎図書館が有する機能のうち、先端技術や特許に関わる情報提供など、企業活動の支援につながる機能に特化し、この施設へ移転する方向で検討しているとしましたが、そこで川崎図書館の見直しの方向について幾つか質問をさせていただきます。
確認をさせていただきますが、現在の川崎図書館はどのような特色を持った図書館なのか、教えてください。

生涯学習課長

川崎図書館は、昭和33年、開館以来、川崎にある立地を生かし、産業技術系の資料の収集、提供に重点を置いております。このような川崎図書館の特質といたしまして、企業から寄贈される貴重な研究論文や技術情報などが数多く集積され、企業の技術者の調査研究などに幅広く活用されています。
それから、特許や企画に関する資料が大変充実している、それから産業集積地にある図書館として、事業内容が異なる様々な企業などの情報交流の拠点になっていること、このようなことが挙げられます。

原委員

この川崎図書館でありますが、特色を持った図書館ということは理解させていただきましたが、実際、川崎図書館は、どのような使われ方をしているのか、図書の利用状況についてなど、お伺いさせていただきます。

生涯学習課長

川崎図書館の使われ方でございますが、平成24年5月に行った来館者へのアンケートによりますと、来館された方で一番多いのは会社員の方で34.9%となっております。比較のため、横浜市西区の紅葉ケ丘にある県立図書館で、一番利用が多いのは無職の方で21.4%、次いで会社員の19.0%、川崎図書館は県立図書館の倍近い割合で多くの会社員の方に御利用いただいております。
実際の使われ方を見ますと、例えば企業の方が、グループで来館し、技術情報報告書を過去のバックナンバーなどもまとめて閲覧いたしまして、必要な情報を収集するなど、企業、研究機関の方々の調査研究活動に多く利用されている状況がございます。
それから、川崎図書館の図書の利用状況でございますが、貸出冊数の割合を分野別に見ますと、平成23年度の実績でございますが、多い順に、機械、電気、金属等、工学、技術関係が全体の36.9%、化学、その他物理学等の自然科学関係が20.5%、それからコンピューター関係の図書等が含まれる分類がございます総記、この分野が12.7%となっており、工学、技術関係、自然科学等の図書が多く利用されています。
なお、司書による利用者に必要な資料や情報を提供するいわゆるレファレンスサービスの件数につきましては、平成23年度実績でございますが、一般的な調べ方案内を除きまして、やはり工学・産業が一番多く33.0%となっているところでございます。

原委員

技術系の方ですとか、またそういったものに特化した図書館でありますので、サラリーマンの方が利用しているということも分かりましたし、川崎図書館は、司書の方が、物すごく知識が豊富だということも承知しておりますが、例えば近年、過去5年間ぐらいでも構わないので、利用者の推移というのは、どのように変わりがあるのか教えてください。

生涯学習課長

川崎図書館の過去の入館者の推移でございますが、平成20年度は21万2,000人、それから平成21年度は22万9,000人、平成22年度は21万5,000人、平成23年度は20万5,000人、平成24年度は19万5,000人と、こういった状況になっております。

原委員

それほどの増減もなく、やっぱり使っている方というのは、リピーター的な方が多いのかとこの数字だけの判断でありますが、緊急財政対策に関してでありますが、川崎図書館は、平成24年10月の記者発表から現在まで、議会での答弁も含め、方向性が変更されてきておりますが、改めて変更されてきた方向性の内容について確認をさせてください。

生涯学習課長

川崎図書館の検討の方向性ですが、当初、緊急財政の見直しにおいては、白紙の状態から全ての県民利用施設を見直すこととし、平成24年10月に発表した緊急財政対策では、川崎図書館と県立図書館等について、機能の純化、集約化を含めた検討といたしました。
その後、市町村や企業の方々などから多くの意見を頂く中で、川崎図書館の特性や地域性が重要な役割を果たしている、こういったことを強く認識し、川崎図書館をより企業活動の支援につながる機能に高度化・特化して、川崎市内に残す方向で検討するといたしました。
具体的には、川崎図書館の有する機能のうち、先端技術や特許に関わる情報提供など、企業活動の支援につながる機能に特化いたしまして、この方向で調整するということでございます。

原委員

一丸というか、これからの国際戦略総合特区の中で、そういう位置付けでありまして、川崎図書館の持つ役割というものがまた大きくなってくると思うんですが、横浜の紅葉ケ丘にあります県立図書館への集約化ということが当初言われておりましたが、川崎市内への移転へと大きく方向性が変わった理由についてと、紅葉ケ丘にある県立図書館がこれからどうなっていくのか、その点を併せてお聞かせいただきたいと思います。

生涯学習課長

方向性が変わった理由についてですが、緊急財政対策に係る県立図書館の見直しについては、市町村や県民、また企業の関係者などから多くの意見が寄せられました。川崎図書館に関しては、研究論文などが掲載された貴重な専門誌や、特許、企画に関する資料などが企業活動に必要であるといった意見や、充実した専門資料を持ち、企業の調査研究を支援している、こういった特性、地域性を持った図書館がなくなると、企業活動に支障を来すという意見を多く頂きました。
そのような意見を受け、県立図書館との役割を再検討し、川崎図書館の特性や地域性が重要な役割を果たしていることは改めて認識しまして、より企業活動の支援につながる機能に、高度化・特化して川崎市内に残すことにしたものでございます。
それから、今後の県立図書館の在り方ですが、川崎図書館は、こういった形で、特区の中で、高度化・特化いたしますので、それ以外の図書館については、今度、県立の図書館に集約化していく必要があります。そういったときに、県立図書館の人文系ですとか、そういったところに力を置いている、そういった役割でいいのかどうかも含めて、改めて検討する必要があると考えております。

原委員

紅葉ケ丘にある県立図書館の位置付けというものも、これからしっかり議論をしていっていただきたいと思うのですが、川崎図書館が転するということに当たりまして、例えば蔵書が変更になってくる、新たに買い増すものだとか、そういったものも計画に上がっているんでしょうか。

生涯学習課長

川崎図書館が、今度、特区の方に移転してまいります。特区でのどういった企業が集積してくるか、あるいは特区のところで、具体的にどのような企業が入ってきて、どのようなニーズがあるか、そういったことも考え合わせながら、新しい川崎図書館の図書の蔵書についても検討していきたいと考えているところでございます。

国吉委員

1点だけお伺いしたいのですが、川崎図書館の方向性については今よく分かりましたが、県立図書館、これは、改めて機能の純化とか重点をどこに置いていくのかとか、いろいろなことがこれから検討されていくということなんですが、県立図書館の役割、市町村立図書館が充実してきたといったことに伴って、後退すると言ってはあれですが、一つの大きな役割を終えたのかなというふうな部分についての認識もあるいはあろうかと思いますが、改めて県立図書館が、広域的な図書館ネットワークの中心として、横浜市の野毛の中央図書館があるにしろ、やはり県下全般をにらんだときに、例えば郷土資料だとか、市町村では持っていないそれぞれのものはあるかもしれませんが、県立図書館はかなり持っていると思うんですね。そういうものであるとか、市町村の図書館をつないでいく機能だとか協力車サービスであるとか、あるいはレファレンス機能だとか、あるいは市町村職員のライブラリアンの研修機能とかを支援していく、そうした機能について、広域的な立場で県立図書館の一定の役割はあるようにも思うのですが、今日的な状況の中で、どういうふうに県立図書館というものに対して認識しておられるのかお考えがあれば伺いたい。

生涯学習課長

緊急財政対策が記者発表された以降、様々な御意見を頂いている状況でございました。その中で、全市町村を集めて御意見を頂く会ですとか、その後、幾つかの図書館の館長を集めた検討会等を開催して、その中でも見直しの方向性についていろいろ意見を頂いたところです。その中には、横浜市の中央図書館の館長も御参加いただいております。
そういった中で、市町村の方から頂いた意見というのは、県立図書館というのは、市町村をバックアップしていくという機能、これは図書館法上からもそういった役割を求められておりますが、そういった機能を果たしていかなければいけないし、現に県立図書館はそういった機能を十分果たしてきている。今回の見直しに当たりまして、そういった貴重な機能が損なわれないように、むしろ充実していただくようにといったお声を頂いております。
それから、図書館との連携では、県立の図書館と市町村の図書館等の間で、実際に図書の貸し借り、お互いにやりとりするKL−NETというシステムは県立図書館を中心に運営しておりまして、そういったことに対する需要、それから期待というのも非常に多く寄せられております。これについても、継続するとともに充実できればなというようなことも考えているところです。
あと、郷土資料等、貴重な図書の保存に関しましても、市町村からの意見といたしましては、やはり県で、どこかでそういったものを確実に保存していく、そういった仕組みといいますか、体制が必要だろうという意見も頂いておりまして、そういったことも併せて考えていきたいと考えております。

国吉委員

緊急財政対策という視点での分析、方向性を出していくということも大切な県の行政の在り方かと思うわけですが、将来的に生涯学習情報センターとの連携だとか見直しだとか、いろいろなさっているようですが、是非そういった面で、これからの知的な集積を持つか、県立の図書館の現在の状況をきちんと把握しながら、方向性をしっかり出していただきたいと思います。

原委員

川崎図書館を川崎市内に残すと表明した後に、5月から6月にかけまして、県立の図書館について県民の意見交換を開催したとのことでありますが、この意見交換会では、川崎図書館についてはどのような意見が出たのか、具体的に教えてください。

生涯学習課長

県立の図書館については、直接、県民の方から御意見を頂くため、横浜駅西口にあります県民センター、川崎図書館、それから藤沢市辻堂にあります市民センター、この3箇所で、県立の図書館についての意見交換会、これを開会いたしました。
この中で、川崎図書館に関しては、例えば専門的な司書による利用者に必要な資料や情報を提供するための高度なレファレンスサービス、これを維持していくべきであるといった意見がありました。
また、特区に移転する川崎図書館の運営について、佐賀県武雄市のように、指定管理者に任せるべきといった意見がある一方で、図書館は、個人情報を管理しており、また高度なレファレンスサービスの維持の観点からも、県が直接運営する図書館としてほしいという意見も多くございました。

原委員

直接、私の耳にも、やはり学ぶ場がなくなってしまうなんていう危機感を持った県民の方の声もありますが、今、答弁にありましたような意見も出て、これからどのようにしていくのか、お教えいただければと思います。

生涯学習課長

意見交換会では、今、申し上げたような声とともに、川崎図書館が果たす役割に期待する声、これも県民の皆様から多く頂いております。
意見交換会で頂いたこのような声や意見を踏まえまして、今後の特区の中核的支援施設における川崎図書館の産業情報の提供機能、その運営体制を検討するに当たって十分に参考にさせていただきたいと考えております。

原委員

しっかりと県民の意見を聞き入れて、これから生かしていただきたいと思っておりますが、さきの本会議におきまして、知事は、川崎図書館は京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の中核的支援施設へ移行する旨の答弁がありましたが、川崎図書館が特区において期待される産業関連情報の提供を行うには、特区の中核的支援施設の構想と密接な連携を図っていく必要がありますが、この特区の中核的支援施設の構想とは、どのような連携、調整を図っているのか、お聞かせください。

生涯学習課長

特区の中核的支援施設構想との連携でございますが、現在、庁内の関係課をメンバーといたします庁内横断的なワーキンググループがあり、川崎図書館が特区で果たす機能、役割等について積極的に意見交換をしています。
そのワーキンググループにおきまして、現在、特区での産業情報の提供など支援施設に求められる機能や規模等について検討を進めておりますので、その検討結果等を踏まえまして、川崎図書館が特区で期待される産業情報の提供に向け調整を進めていきたいと考えております。

原委員

当然、特区に絡んで期待される部分も多いと思いますが、産業情報を提供するに当たり、今後、特区に集う企業や研究機関がどのような情報を必要としているのか、ニーズをしっかりと把握して、これから運営を行っていくことが大事であると思いますが、その辺りはいかがお考えでいらっしゃるでしょうか。

生涯学習課長

特区の中核的支援施設において、川崎図書館が行う産業情報の提供が有益なものとなるためには、特区での情報のニーズがどのようなものであるのか、これを把握していく必要があると認識しております。
これまでも、川崎図書館が事務局を務める神奈川県資料室研究会から、お話を伺うなど、特区での情報のニーズの把握に努めてきたところでございます。
今後も、川崎図書館や特区を推進する関係課とも連携しながら、特区に集積する企業や研究機関に対しましてアンケート調査を行うなどの方法により、ニーズを十分に把握して、的確な産業情報の提供が行えるようにしたいと考えております。

原委員

当然、移転をしていく中で、ニーズをしっかり把握していかなければ、意味のないことだと思いますが、移転後の川崎図書館については、特区においてどのような情報を提供して、企業支援を行っていこうとしているのか、現時点の考えについてお聞かせください。

生涯学習課長

現時点で想定される情報提供の内容ですが、川崎図書館には、最新の技術情報や研究成果が掲載されました学会誌や技術情報報告書が集積しております。これらの情報を特区に移転する川崎図書館においても引き続き御利用いただくことが考えられます。
また、川崎図書館においては、特許や企画に関する資料も充実しております。これも企業活動の役に立つものと考えておりますので、このような情報提供を通じ、企業の支援を行っていきたいと考えております。
加えまして、企業、研究機関の様々なニーズに対応した新たな産業情報の提供も行っていきたいと考えておりまして、このような形での企業支援を行っていきたいと考えております。

原委員

この質問の要望に移らせていただきますが、川崎はものづくりの拠点であります。その川崎に、経済成長のエンジンとなる産業技術を集積しようとしておりますが、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区でありますが、そこに移転する川崎図書館は、産業情報の提供という特区全体を支える重要な機能を担うものであり、所蔵する図書や資料、そしてまた高度なレファレンス等、今まで蓄えてきた情報や培ってきた機能をフルに活用して、是非ともライフイノベーションの実現のために知の礎となってほしいと要望させていただきます。

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