鬼畜陵辱SSスレ保管庫のサンプル

最後の分の投下と行きたいのですが、最初に今回ちょっと特殊なことになったので説明を。
 
今回のは「選択肢」が2つほどでてきて、3ルートに分かれます。
うまいことレスアンカーつかって飛ぶようにやりたいとは思ってますが、
計算間違えてグダグダになりそうなので、なっちゃった場合、生暖かい目で見ていただければ幸いです。
  


   <06――紅>
 
 
 豊幌ファクトリーの地上二階の女子トイレからうなり声が聞こえた。
「……本当にこんなのしかなかったのか?」
 紅が聞くと、透華はにへらと笑った。
「はい。似合ってますよ」
「……スカートは苦手なんだが」
 透華が紅のために買ってきたのは黒いシャツに同色の膝丈のスカート。紅はシャツには
文句は一つとして言わなかったが、スカートが問題だった。
 ひらひらとしたプリーツスカートを見て、紅はまず、「うわ」とうめき声をあげ、次に
つき返そうとしたが。透華に
『それを履かなかったら、下半身丸出しになりますけど?』
 と言われ、渋々履くこととなってしまったのだが。
「似合わないだろう」
 紅は裾をいじりながら、うじうじとそんなことを言った。
「そんなことないですよ、似合ってますって。ほら、中身、買いに行きましょう」
 透華が買ってきたのは服だけで、下着はまだだった。
 紅は顔を赤らめながら、透華に引っ張られてトイレを出ようとしたその瞬間だった。
「――待て」
 透華の腕を引っ張り、自らの体の後ろへ。
「ど、どうしたんですか?」
 紅は透華から飯島のコートをひったくると、ポケットから銃を取り出し、コートだけ透
華に返して、撃った。
「ぐっ」
 今まさに女子トイレに進入してこようとしていた黒服の男は、胸を撃たれてその場に崩
れた。
 その後ろから、また別な男が現れ、発砲してきた。
 紅は透華の腕を引き、個室の洋式便座の影に透華を座らせると、自分は銃を構えて飛び
出した。
 銃声が応酬する。
 トイレの壁に弾痕がいくつもいくつもできあがっていくのを見て、透華は頭を抱えて震
えた。
 紅は身体を止めず、走り、跳び、狙いを定めさせない。スカートがひらひら舞うのが邪
魔だった。
 黒服の男は紅に銃弾をあてることが適わず。
 紅も動きながらではまともに狙いを定められない。
「ちっ」
 紅は残弾の切れた銃を捨てると、一気に男との間合いを詰めた。
「――ヅッ! 食らえ!」
 右腕を銃弾が掠めた、血の帯が宙に舞う。
 紅は床を蹴り、勢いをつけて、相手の顔面に掌底をあてた。
「――ッ!?」
 相手の動きが止まる、その隙を見逃さず、紅は相手の手から銃を奪うとすぐさま相手の
腹部めがけてトリガーを引いた。一発、二発。
 よろめきうずくまろうとした敵を、紅は容赦せず、横なぎに蹴り飛ばすと、叫んだ。
「柊透華!」
 出て来い。
 そう言おうとしたが、トイレの外にいる順番待ちを見て、紅は改めた。
「隠れていろ」
「は、はい」
 透華のうわずった返事。
 紅は女子トイレの狭い中を嫌い、飛び出すと、弾丸の雨が降り注ぐ前に近くにいたもの
から撃った。
 見ると敵は十名ほど。その手には銃やナイフなどが握られている。
 周囲は悲鳴に包まれていた。
 ショッピングモールの穏やかな空気は、戦場と化していた。
 紅は弾が切れた銃を投げ捨てて一人の顔に当てると、貫手に構えた。
「伊佐美紅だな?」
「だとしたら?」
 左右に黒服の男たち、背に透華の隠れる女子トイレ、前方には吹き抜け、落ちないよう
に腰の高さほどの柵が張り巡らされている。
 相手は同士討ちを嫌い、撃ってこない。
 紅は唇をぺろりと舐めた。
「かかってこいよ」
 
 
***
 
 
 逃げ始めてから、銃声を聞いたのは何度目だろう?
 何度目だろうと関係ないと、透華は思った。いつまでたってもこの音はなれないし、従
という存在が怖くてしょうがなかった。
 人を殺すためのもの。
 傷つけるだけの道具。
 破壊するための道具。
 それを操る紅のことも、少し怖かった。
 必死に、命がけで守ってくれているのは分かるけれど、銃をつかっている紅が怖い。
 普段の朴念仁であんまり他人に興味示さないけど、飯島さんにだけは好かれていたいと
がんばってるような、そんな紅のことは好きなのに。
 何故、違ってみえてしまうんだろう?
 どうして変わってしまったように見えてしまうんだろう。
 銃声が響き続ける。
 透華は頭を抱え、戦いが早く終わらないかなあと願った。
 望みはなかなか叶いそうになかった。
 その時、携帯電話が鳴った。
 最初、それが自分の懐にある携帯電話から鳴っているのだとは透華は思わなかった。借
り物の携帯電話の着信音は、なかなか耳に馴染まない。
 携帯を開くと、そこには飯島の携帯電話の番号が表示されていた。
 
 
***
 
 
 既に五人倒した。
 紅は頬から流れる血を手の甲で拭い、ぺっと唾を吐いた。先ほど腹を蹴られたせいか、
唾には多量に血が混ざっていた。口の中は鉄の味がした。
 両手には奪った銃――残弾不明――確認する余裕すらなし。
 残った敵は柱や壁の影に隠れている。
 紅、トイレの前から離れず、絶対死守、故に全方向を警戒していないとならない。
「くそが、でてこいよっ」
 紅は左側を向き、柱へ向けて撃った。しかし、柱を削るばかりで、隠れているものまで
倒すことは叶わない。
 苛立ち、倒れているものを蹴り飛ばす。
 背後から物音がした。
 壁の影に隠れていた男が飛び出し撃つ、次の瞬間その男の頭は弾けていた。
 紅は後方宙返りで銃弾を回避しつつ、敵を撃つという曲芸じみた真似をしてのけた。
 その動きに驚き、動きが鈍ったであろう瞬間を狙い、背後にいたもう一人へ駆け寄り、
強襲、首が血の叫びをあげていた。
 紅は銃を捨てると、その男が持っていた銃を奪い取った。
 銃弾が後方から降り注ぐ、紅は隠れることもせず、振り返った。
 挟み撃ちではなく、片面からの攻撃になってしまったことで、男たちは決心したのだろ
う。必死の表情で紅を撃とうとする。
 しかし、紅は不思議と当たらない気がした。
 実際、男たちの銃弾は一発も紅にかすらなかった。
 紅は口元に笑みを浮かべた。
「……スカート効果、ってか?」
 微笑み。
 紅は両手に銃を構え、走り始めた。

 銃弾の雨が紅に降り注ぐ、しかし、左右に避け、跳躍し、転がり、紅は回避し続け、一
気に距離を詰める。
 二人は銃を撃ちながら後退した。しかし、一人は残った。
 下がればいいものを、紅と距離がつまったことで殺せると踏んだのか、その場で撃ち続
けるが。
「ハッ!」
 前方へ跳躍し、転がって、距離を詰めた紅は、しかし銃を下手に構えてしまっていて、
構えなおす時間がない。ならばと、地面を蹴った。
 勢いのまま男にぶつかり、押し倒す。
「――ぐあっ!」
 思い切り背中を打った男が悲鳴を上げる。
 紅はそれへ顔を踏みつけ、跳躍し、先に残りの二人を片付けようとした。
 だが、横からもろにタックルをもらい、柵に押し付けられた。
「ふ、ははは、おしまいだな」
 紅の額に銃口を押し付け男が言った。
 紅はしなやかなその肉体のばねをいかし、地面を蹴った。
「知るかよっ!」
「なにっ」
 紅は男の身体を蹴り上げると、もろともに柵から転落した。
 突然のことに、助けを求めるように紅に抱きついてくる男を、蹴って距離を離し、銃弾
を打ち込んだ。
 自由落下する紅へ男たちは銃弾を打ち込んだが、当たることはなかった。
 紅は地上四十メートルの自由落下を肌に感じながら、これで終わりか――そう思った。
こんな高度から落ちては、自分の身体はひとたまりもない。あっけない最後だと紅は思っ
たが、しかし――。
 紅が落下した先には流れる滝つきの人工の池があった。
 水がクッションとなり、紅はからくも助かった。
 紅は銃を池に投げ捨て、這い上がった。
 アトリウムの中には人の姿はなくなっていた、外からパトカーのサイレンが聞こえる、
紅は早く逃げなければと思い、二階の女子トイレへ走った。
 まだ二人残っている、透華が無事であればいいのだが――。
 
 
「……遅かったか」
 死体が転がっているばかりの女子トイレに戻り、紅は歯噛みした。飯島になんと言い訳
したらいいんだ、自分の力のなさに腹が立った。
 それでも透華の死体がないだけマシだと思った。
「――ん?」
 透華が隠れていたトイレの陰に、一枚の紙切れが落ちているのを見つけた。
 それには「紅さんへ」と丸っこい字で宛名が書かれていた。
 
***
 
 
 田所遼――本名井坂遼には夢があった。
 彼は幼い時代を孤児院で過ごしていたのだが、そこでの生活は最悪だった。
 適当に作るため人数分あるか怪しい食事を奪い合い、鍵のかかった机にしまっておかな
ければ盗まれても文句は言えず、夜には大人たちの相手をさせられた。寝ていると、頭の
上をかさかさと虫が通っていく。
 地獄のようだった。
 そこを出た今でも、あの頃の夢をよく見る。
 田所は外で一人暮らしを始めるとき、希望を見ていた。ここは奪いあうこともせず、自
分ががんばればなんでも手に入るところなんだ、と。
 だが、実際には違った。
 一人暮らしをはじめて三ヶ月で田所は住む場所も働く場所も失った。
 理由は簡単だった、田所がいた孤児院から犯罪者が出た、そのことで周囲からからかわ
れた。あいつらの仲間なんだろうと言われて、反射的に殴っていた。あそこにいる連中と
一緒にされたくはなかった。
 だが、外の世界では暴力を振るったらそれなりの制裁があることを、その時初めて田所
は知った。孤児院の中では腕っ節が強くなくては、満足に食事もできなかった。
 働く場所と家を失った田所は、それでもしばらくの間まじめに働こうとしていた。
 だが、田所を見る世間の目は冷たく、受け入れてくれるものは殆どいなかった。
 田所は生きるために暴力を働いた、孤児院にいた頃と同じように。
 強盗、万引き、生きるためにはなんでもした。
 そんな時だった、飯島と会ったのは。
 飯島の持っている鞄を奪おうとした田所だったが、その時は三日まともに飯を食えてい
なかった時で、逃げる途中で転んでしまい飯島に捕まった。
 警察に連れて行かれるのかと田所は思ったが、飯島はそうしなかった。
 田所に肉まんを買い与え、身の上話を聞いた。
 変な大人だった、田所は不思議に思い、率直に聞くと飯島は笑って答えた。
『まあ、困ってる時は助け合いってもんだろ』
 ――と。
 それから、田所は飯島の下で働くこととなった。働いているうちに、飯島がどんな男な
のか分かって、田所は飯島のようになりたいと思った。
 飯島のように強く、全てを自分の力で手に入れられる男に。
 
 
 船着場の貸し倉庫に田所はいた。
 安い造りの倉庫は隙間からびゅうびゅうと冷たい潮風が入り、何もない倉庫内で吹き荒
れる。
 田所は柱の一つに身を預け、目を瞑っていた。
「どうして、こんなことを……」
 鎖で柱に繋がれた飯島は、そう聞かずにはいられなかった。
 田所は目を開けず、答えない。
「何故殺さない。あの子に、紅に人質がきかないのはお前も知っているだろう。俺がいる
からと、遠慮するようなタマじゃない」
 倉庫内には二人のほかに誰もいなかった。
 田所は短く答えた。
「伊佐美に効かなくても、ね。貴方が捕まっていると聞いたら、見捨ててられないであろ
う子供はいます」
 田所の言葉に、飯島はハッと顔をゆがめた。
「まさか……」
「来たようです」
 倉庫の前に、車が停まる音が聞こえた。
 扉を開き、現れたのは――
「お嬢ちゃん……」
 柊透華だった。
 二人の男に両腕を捕まれた透華は、飯島を見ると、ほっとしたのか小さく息を吐いた。
「ごめんなさい、でも飯島さんを殺すって聞いたから」
 飯島は、少女のその素直さと優しさに感動してしまいそうだったが、そうもしてはいら
れない状況だと分かっていた。
 田所を睨みつけると。
「おい、遼、そのお嬢ちゃんに手をだしてみろただじゃおかねえぞ」
 田所はクツクツと笑った。
「鎖に繋がれた貴方に、なにが。――お前ら、少しかわいがってやれ」
「はい」「はい」
 二人の男は即答すると、抵抗できない飯島をいたぶり始めた。
 田所は透華の前に立つと、飯島を助けようと走り出しそうな透華の腕を掴んだ。
「や、やめて、飯島さんにひどいことしないでっ」
「ひどいこと、か」
「――っ」
 田所は透華の顎を持ち上げると、少女の顔をよく見た。
 ねぶるようなその視線に、透華は負けじと睨み返したが、それは田所を悦ばせる効果し
かなかった。
「確かにそうだ、酷い話だ」
「分かってるならやめて、やめてください!」
 透華には男たちを止めるだけの腕力もなければ、紅のように銃をもっているわけでもな
い。一方的に振るわれる暴力の前に、十四歳の透華はただの少女に過ぎない。
 だからといって、目の前で繰り広げられている光景を見過ごすことはできなかった。
「なんで、人を傷つけるんですかっ」
 飯島は男たちに左右から蹴られ続けていたが、悲鳴をあげなかった。まるでそうされる
のが当然というように、責められ続けている。
――力があれば。
 透華は願った。
 自分に人を助けられるだけの力があれば、そう強く願った。
 紅や飯島のように誰かを助けることもできるのに、と。
 少女の強い眼光に、田所は口端を歪めた。
「何かを得るには力がいる――いや、力があれば、総てが手に入る」
「そんなの――きゃっ!」
 突然田所に突き飛ばされて透華は転んでしまった。
 地面に横たわる透華へ、田所は銃口を向け一発撃った。
「ひっ」
 弾丸は透華の顔をかすめ、地面を穿った。
「殺されたくなければ――いや、飯島さんを殺されたくなければ、のほうがいいかな? 
服を脱げ、柊透華」
「くっ――」
 透華は銃口よりも深い闇を宿す男の瞳を睨みつけ、吐き捨てるように言った。
「アンタ、最低だ」
 
  >透華、選択。
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