鋼華の次期コンセプト主力商品の試作品

ルートレイスのもとに届いた資料では試作を表す.xが意図的に記入されておらず、”次期主力商品”とだけ表記されている。
型番の3ナンバーは偽りではなく、鋼華内で最新世代である第三世代機に変わりはない。

本機はmf-213Ea「矢車」で培った可変機構を派生させ、航空機型の巡航形態を搭載、単独での作戦展開域を広げ戦術面での汎用性を高める…予定であった。
途中エネルギーシールドの技術を転用した、空力制御装置を使う案が浮上、粒子防壁を機体前面に鋭角な傘のように展開し、機体にかかる空気抵抗を限りなく軽減するといったものである。

新しいもの好きの技術陣は「可変機を非可変で追い抜くロマン」をこれに見出し、暴走。こちらを代案とし、本来のプランそっちのけで開発を強行。
しかし実現は難航し、どうにか理想の速度を引き出せたものの、燃費が最悪となった。挙句の果てに上層部から定期会議で「こんなもの頼んでないよね?」「こんな燃費でどう長距離巡航するつもり?」と、予算を削減された。
技術陣は自業自得により続いた、数週間近く日に当たることのない研究・開発期間と予算削減通達により、擦り切れた精神と狂った季節感覚は生き遅れたハロウィンによる[イタズラ]計画を決行。

耐久実験だけは終えた未完成で塗装もされていない本機をルートレイスに、先行量産機と偽り押しつけ、送信されてくる実戦データを楽しむといった計画である。故に操縦方式も彼からの評価が低かったバイク型に変更。
だが、彼・彼女らにも技術屋としての矜持はかすかに残っており、「灰柳」は(装甲と燃費以外は)実戦にも十分に対応できる性能をもち、第三世代だけあり、基礎性能では「矢車」を超えるカタログスペックを有することとなった。

武装は大型化したエネルギーシールド発生装置のペイロード確保や関節駆動部の積載上限が少ないため、小型・軽量で高火力なものの運用を前提としている。それ故に継戦力が著しく低いが、元より燃費が劣悪なため大した問題にはなっていない。
積載上限が少ない理由は高機動に耐える為にフレームを剛性の高いものを採用した結果、重量が嵩み、駆動部を簡素で軽量なものにすることで機体の軽量化は測った為である。

結果として短期作戦用の高機動戦特化機としてはそこそこの完成度を誇るが、未完成のため不具合も多く可変機構も中途半端に残っている。
…そして本機には隠された機能がある。リミッター解除…アクセルを一定時間踏み続けることで自動で各推力装置やジェネレーターの上限が解放され、凄まじい機動力を発揮できる
燃料を使用しないイオンスラスターが全開になる為、解除中はスラ量が無限になる
更にその状態が長く続くことで、機体の内部機構から壊死していく。要は爆散しない版のヅダ

余談だが、本機ができてしまった原因の「エネルギーシールドの技術を転用した、空力制御装置」を思いついたのササキではない。要は頭のいい馬鹿は一人ではないということ。
(もちろんイタズラの首謀者はササキ技術主任)

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