【◆qqtckwrih】オリジナルSS倉庫

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――――【　その頃　別のエリア　】


ｽﾞｯ､ｽﾞｻﾞｻﾞｻﾞｧｯ!!


兵幹部「…くっ！アサシン様のために情報を…と思っていたが！」


魔道兵士「許さぬぞ、貴様ら…」ｺﾞｫｫｫｯ!

魔道兵士「我が同胞である、部隊長殿を殺した罪……死をもって償え……！」ﾊﾟｧｧ!


兵幹部「…ま、魔法の習得は不完全じゃなかったのかよ！」


魔道兵士「…ん？」

魔道兵士「習得は…不完全さ。"完全に覚えてはいない"からな…」


兵幹部「…どういうことだ」




魔道兵士「…魔法を操りし我らが師は、こんなものではない。」

魔道兵士「雷を呼び、風を呼び、それと比べれば…不完全ということだ」


兵幹部「はは…かんっぜんに誤算じゃねえかよアサシン様…。」

兵幹部「…つーか、魔法を会得してるなら、部隊長も使えば俺らから逃げられたかもしれないのにな」


魔道兵士「……っ」

魔道兵士「…教えてやる。師曰く、若い人間でなければ魔法の会得は非常に難しいらしくてな…」

魔道兵士「歳のある者より、我々のような若い世代から中心に魔法を会得させたのだ。」


兵幹部「なるほどな。それもまた…不完全の意味か…」




魔道兵士「……くそっ！」ｲﾗｯ

魔道兵士「やはり、部隊長殿から会得すべきだったんだ……！」

魔道兵士「そうすれば…部隊長殿も、家族も…死なずに済んだものを……」ｸﾞｽｯ…


兵幹部「はは、だが随分と口が軽い。良い情報ばかりだな」

魔道兵士「…くくっ。何故だか理解していないようだな」

兵幹部「何っ…？」


魔道兵士「貴様は、ココで死ぬからだッ！！」

魔道兵士「中…火炎魔法っ！！」ﾊﾟｧｧｯ!

ｼｭﾎﾞｼｭﾎﾞｯ!!ﾎﾞｫﾝｯ!!!

兵幹部「ぬ、ぬぁぁぁぁあっ！？は、早っ……！」ﾄﾞｼｬｯ!

ｺﾞﾛｺﾞﾛｯ…!



魔道兵士「…炎よ、奴を囲めっ！！」

魔道兵士「はぁぁあっ！」ﾊﾟｧｧｯ!!


…ﾎﾞｯ､ｺﾞｫｫｫｫｫｵｵｫｫｯ!!!…


兵幹部「う、うぐっ…！？」

兵幹部「しまった！ほ、炎に囲まれッ…！」

兵幹部「で、出れねぇッ！」


魔道兵士「…貴様には、そのまま炎で苦しみ死に絶えてもらうっ！！」

魔道兵士「炎よ、閉じろォッ！！」ｷﾞｭｯ!!



ﾕﾗｯ…ﾕﾗﾕﾗｯ!!ｺﾞｫｫｫｯ!!


兵幹部「う、嘘だろっ！炎が意思を持ったように近づいて…！」

兵幹部「……ッ！！」

兵幹部「お、おいっ！待てよ、それでいいのかっ！！」


魔道兵士「…そのまま消し炭になるがいいっ！」


兵幹部「…つぅっ！」ﾎﾞｫｯ!

兵幹部「お、俺を殺せば情報も得られなくなるぞ！！」

兵幹部「俺を生かしたほうがいいんじゃねえのかぁっ！」


魔道兵士「…聞く耳持たんッ！！！！」

魔道兵士「地獄の業火と思いて、その中で未来に生を受けることを祈るがいい！！」




兵幹部「…ッ！」


ｺﾞｫｫｫｯ!!ﾕﾗﾕﾗｯ……!


兵幹部「ちっ……！」

兵幹部「…………マジかよ。ここまでか…？」

兵幹部「煙草の火……派手につけてくれよ…」

………
…

…ﾎﾞｯ…

…
………




ﾎﾞｫｫｫｫｫｵｯ!!!ｺﾞｫｫｫｵｵｯ!!

兵幹部「……ッ！！！」

兵幹部「ぬ゛ッ……！ぬああああああぁぁっ！？」ｺﾞｫｫｫｫｫｵｯ!!!

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁｯ…!ﾎﾞｫｫｫｵｵｯ!!!

兵幹部「ぐ、うおおおおおぉぉおっ！！」

兵幹部「うあああああああっ！！！」ｺﾞｫｫｫｵｯ!!


魔道兵士「…」ｸｸ

魔道兵士「くく…！」

魔道兵士「くくく、はーっはっはっはっはっ！！」



兵幹部「がっ…！がぁぁああああっ！！」ﾎﾞｫｫｫｵｯ!!

兵幹部「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁｘっ！！！」ｺﾞｫｫｫｯ!!!


魔道兵士「熱いか！？」

魔道兵士「熱いか、熱いか熱いか熱いかッ！！」

魔道兵士「魔の炎というのは、中々死ねなくてな…！」

魔道兵士「燃え移った炎は、熱いを越し、もはや激痛となる！」

魔道兵士「……部隊長殿ォッ！！あなたの恨み、この炎が晴らしてくれますぞォッ！！」


兵幹部「あ゛ッ……」

兵幹部「アサシン…様……俺…ぁ゛……」ﾎﾞｫｫｫｯ…!!

兵幹部「お約束…守れそう……に……」ﾌﾗｯ




魔道兵士「はーっはっはっはっはっ！」

魔道兵士「ははは、はっはっはっはっはっはっ……！」

……ｽﾊﾟｯ

魔道兵士「はっはっはっ…ゲホッ…」

魔道兵士「…ゲホッ！？」ｺﾞﾎﾞｯ!


兵幹部（…ッ！！！）


魔道兵士「ごぼっ…！？」

魔道兵士「がぼっ…ごぼっ……！」ﾄﾞｸﾄﾞｸｯ…


アサシン「そんなに楽しいか。ならば、笑ったまま逝け……」




魔道兵士「え゛っ…？」ﾌﾗｯ

…ﾄﾞｼｬｱｯ!!

魔道兵士「…」ﾋﾞｸ､ﾋﾞｸﾝｯ……


アサシン「…」


ｺﾞｫｫｫｯ……ﾌﾟｼｭｳｩｯ…!!

アサシン「……む、囲っていた炎が消えたか」

アサシン「と、すると…魔法により発生する炎や水は、術者によって影響されている可能性があるな…。」

アサシン「…それより……」ｸﾙｯ

ﾄｺﾄｺ……

アサシン「…兵幹部、生きているか」ｽｯ




兵幹部「…」ｺｸ…ﾝ…


アサシン「…この傷では助からないな。」

アサシン「お前がやられるとは…。それほどに魔法は脅威か」


兵幹部「…」ｺｸﾝ…


アサシン「…今までご苦労だったな。」


兵幹部「…」ﾆ…ｺｯ…


アサシン「…その傷は痛かろう。」

アサシン「俺が介抱をしてやる…いいな…？」ｽﾁｬｯ



兵幹部「…」ｺ…ｸﾝ……

アサシン「…」ﾋﾞｭｯ!!

…ｽﾞﾊﾞｼｭｯ!!


兵幹部「…ッ」

兵幹部「…」ﾆｺｯ…

兵幹部「…」ｶﾞｸｯ


アサシン「…またどこかで会おう」



アサシン「…」




…ﾊﾟﾁｯ


アサシン「…」ﾋﾟｸｯ


ﾊﾟﾁｯ､ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁｯ……!


アサシン「拍手…か？」

アサシン「誰かいるのか……」ｸﾙｯ

ﾋﾞｭｯ､ﾋｭｵｵｵｯ!!

アサシン「む…」ﾊﾟｼｨｯ!

アサシン「……これは」ﾄﾞﾛｯ……


豪幹部の頭「…」


アサシン「豪幹部……」





……ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁｯ!!

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁｯ……!


？？？「…ナイスキャッチ。アサシン様、というのは君かね？」


アサシン「…」


？？？「その男は不運でな、よもやワシが散歩をしている夜道へ飛び込んできおった。」

？？？「…血の臭い、黒装束。すぐにアサシン教団の一味だと気が付いたよ」


アサシン「…貴様は」


？？？「…それよりまず先に、君に拍手をさせてくれ」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁｯ!





アサシン「なんの真似だ」


？？？「まさか、あの"アサシン"が……」

？？？「死んだ人間へ"次に会えたら…"などと祈る言葉を言うものかと思ってねぇ…」


アサシン「…」


？？？「…では、自己紹介といこうか。」

？？？「ワシの名前は……」


アサシン「…」


…………
……
…






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――――【　その頃　王都街道の付近の森　】

ﾎｳ…ﾎｳ……

ﾁﾁﾁ……ｯ


幹部長「…」

幹部長「…」

幹部長「…」

幹部長「……遅い」ｲﾗｯ


ﾎｳ…ﾎｳ…




幹部長（……あれから40分にもなるが、各々の脚なら既に着いていてもいいはず。）

幹部長（あちこちで爆発音も聞こえ、先ほどから王都全体が騒がしくなっている……。）

幹部長（まさかとは思うが……）


ﾋｭｯ､ﾋｭｵｵｵｵｵｯ!!!ｽﾞﾀﾞｧﾝｯ!!

ﾓｸﾓｸ…!


幹部長「…」

幹部長「……遅いぞ。それに煙い…」ｺﾞﾎﾝｯ!


ﾓﾜﾓﾜ……


黒髪幹部「…っやー！失敬しました！ちょっと色々ありまして！」




幹部長「何をしていた。また女か？」

黒髪幹部「いやいやいや！ちょっと不味い奴とあたりましてねー…」

幹部長「何？」

黒髪幹部「アサシン様にご報告が必要な件がいくつか…。」

幹部長「どうしたんだ？」


黒髪幹部「……えっとですね、既に魔法の会得者がいます。」


幹部長「何っ！？」

黒髪幹部「参りましたよ。どこからともなく炎が出るわ……。」

幹部長「なんと、本当か…」




黒髪幹部「俺は建物の屋根を飛び越えてきたんですが、あちこちで火の手があがってました。」

黒髪幹部「……目を疑いたくなる光景もね」


幹部長「…どうしたっていうんだ」


黒髪幹部「…俺と同じか、俺より若い兵士たちが炎や水を片手に浮かせながら、」

黒髪幹部「そこら中にうようよいましたよ……」ﾋﾟｸﾋﾟｸ


幹部長「…なんだと！？」

幹部長「それでは、あの部隊長が言った"不完全"は完全に嘘…か！」


黒髪幹部「いえ、それは本当でしょう」


幹部長「何？しかし、あちこちで魔法を扱う者がいると……」




黒髪幹部「…その若者に反し、歳を取った兵士や各長と思われる兵士は魔法を使ってませんでした。」

黒髪幹部「恐らく、若者が優先的に覚えられるものか…わざと若者を優先してるかのどちらかですね」


幹部長「……なるほどな。」

幹部長「不完全というのは、魔法を習得していない人間が少ない…ということか」


黒髪幹部「それに、長い時間の発動はまだ無理なようです。」

黒髪幹部「簡単な炎等は使えるかもしれませんが、隙は多いし実践的じゃあなかった」


幹部長「…戦ったのか」


黒髪幹部「えぇ、炎の使い手と…。」

黒髪幹部「しかし、言葉を放って発動する必要があるのか、それに伴う隙も多く、それもまた不完全でした」




幹部長「…あらゆる面で、まだ足りていないということか。」


黒髪幹部「うーん…。」

黒髪幹部「それにしても、魔法の会得は難しいと聞いていたんですが……」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

黒髪幹部「ここまで短時間で、ここまでの兵士が使えるようになるとは思いませんでした…。」

黒髪幹部「元々魔法なんかも伝説的だし、ちょーっと不思議なんですよね」


幹部長「…」

幹部長「…ここまで短時間でこのレベルにするとは、何かあるということか？」


黒髪幹部「…それはどうでしょ。」

黒髪幹部「もしかすると、魔法って噂だけで意外と簡単に覚えられるのかもしれませんねぇ」




幹部長「…だが、そうすると今まで表舞台で出てこなかった理由がなくなるだろう」

黒髪幹部「あぁ、確かに…。」

幹部長「…一体どういうことなのか。その先生とやらが鍵を握ってそうだな」

黒髪幹部「うへぇ、一般兵ですらやりにくいのに…先生とかと出会いたくねぇなぁ」


幹部長「…」

幹部長「アサシン様、そういうのと当たらずに無事だといいんだが……」


黒髪幹部「大丈夫ですよ、きっと」


……………
……
…






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【　王都の一角　】


魔法師「……ワシは魔法"師"だ。」

魔法師「みなからは先生と…呼ばれておるがね」


アサシン「…なるほど、お前が噂の」


魔法師「…ほっほっ！」


アサシン「…全体を見渡した限り、緊急配備の十字軍本家の多くの兵士が…魔法を会得しているように見えた。」

アサシン「それも若者ばかり…。」

アサシン「俺はてっきり、若者しか会得できないものだと思っていたが…そうでもないようだな？」ｼﾞﾛｯ


魔法師「…なんだ、ワシが爺とでもいいたいか」




アサシン「王の古い付き合いがあり、その老いた姿。」

アサシン「…言い訳をしても無駄だとは思うのだがな」ﾌｩ

アサシン「十字軍の若い兵士のみ魔法を利用していることから、若者しか習得できないと思ったのだが……」

アサシン「若者以外も魔法を使えるということは…少し厄介なことか」


魔法師「……いい考察だな。」

魔法師「半分正解、半分はずれだ。魔法というのは、少し不思議でな……」

魔法師「"若者のうちにしか覚えることが出来ない"わけだ…」


アサシン「…何？」


魔法師「ワシも、若い頃に覚えたからこそ…今の歳で扱える。」

魔法師「既に年老いた者は、最初の魔法の練りが上手くいかず…発生させられないのだ」




アサシン「…なるほどな。だから部隊長は扱えなかったのか」


魔法師「部隊長の歳では、覚えることも可能だったが…時間を要しただけだのう」

魔法師「時間をかけるより、まずは若者から。それが今回は仇となってしまった……。」

魔法師「つまりまぁ、若者のうちには少しコツさえ覚えればすぐに扱うことが出来るということだ。」


アサシン「……しくじったか。」

アサシン「部隊長に魔法はまだ不完全と聞き…十字軍の暗殺を目論んだが…。」

アサシン「"会得が出来ていない"は嘘か…。あの部隊長……」


魔法師「…虚をつかれたか？」

魔法師「お前の殺した部隊長は、最後まで民を想える人間であったということだ」




アサシン「……守る"欲"が、俺の欲よりも強かったのか。」

魔法師「ほっほ、お前の負けだの」

アサシン「…負けは、認めよう」

魔法師「ほう？」


アサシン「俺が確認をせず、俺の判断が間違い、その結果…部下を死なせてしまったのは俺の責任。」

アサシン「俺があの部隊長を見極めていれば、早々に脱出し、別の策を練っていた。」

アサシン「……今回の問題は、全て俺の不足によるものだろう」


魔法師「…潔いな」


アサシン「だが、今宵…ココでお前と会えたのは好機。」

アサシン「魔法師、お前をここで潰せば…我々へ歯向かう兵士も不完全なまま終わるだろう」ﾁｬｷｯ




魔法師「……面白い。」

魔法師「ならば、ワシとしても…ここでお主と会えたのは好機。」

魔法師「アサシン、お前をここで潰せば…アサシン教団は破滅を向えるであろう」ﾊﾟｧｧｯ


アサシン「…」

魔法師「…」

アサシン「…」

魔法師「…」

アサシン「…」

魔法師「…」





アサシン「……ッシ」ﾀﾞｯ!

ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ!!!


魔法師「中火炎魔法ッ！」ﾊﾟｧｧｯ!!

…ﾎﾞｫﾝｯ!ﾄﾞｺﾞｫﾝｯ!!


アサシン「俺の行く先を撃つならば、よけるのも容易」ﾋｭｯ!

ﾋｭﾝｯﾋｭﾝｯ!!


魔法師「…近づかせるものか！」ﾊﾟｧｧｯ!

魔法師「水流魔法ッ！！」

…ﾊﾞｼｬｱｱｱｧｧｯ!!ｻﾞﾊﾞｧﾝｯ!!



アサシン「ぬっ、自身を中心とした水を……」ｻﾞﾎﾞｻﾞﾎﾞｯ…!

魔法師「水の中では足が取られるじゃろう！」

アサシン「…」ｸﾞｸﾞｯ

ｻﾞﾎﾞｫﾝｯ!!ﾋｭｵｯ!!


魔法師「…なにっ、空中に飛んだ！？」

魔法師「この水圧から、なんて脚力を……！」


アサシン「…避けられるか」ﾋﾞｭﾋﾞｭｯ!

ﾋｭﾝﾋｭﾝｯ!!ﾋｭｵｵｯ!!

魔法師「…ナイフの投擲か！」




アサシン「通るか…」

魔法師「甘いわ！風刃魔法ッ！！」ﾊﾟｧｯ!!

ﾋﾞｭｵｯ!ｼｭﾊﾞｧｯ!…ｷｷｨﾝｯ!ｶｷｨﾝｯ!!


アサシン「…」

アサシン「…風で防ぐとは。魔法とは便利なものだな」

ｸﾙｸﾙｸﾙｯ…ｽﾀｯ!


魔法師「ほっほっほ！」

魔法師「お主こそ、水から抜け出し、正確なワシへの攻撃……。」

魔法師「そのまま水の届かぬ場所を判断し着地するとは…。」

魔法師「驚くべき身体能力じゃな」




アサシン「…」

魔法師「…」


ﾋｭｳｳｳｩｩｩｯ……!!ﾊﾞｻﾊﾞｻｯ……!!


アサシン「……風が出てきたか。」


魔法師「…」

魔法師「……ほっ！」


アサシン「…」


魔法師「…こいつは悪役らしいのぅ、アサシン」


アサシン「…」




魔法師「ここから見たお前はのぅ……」

魔法師「背にあるワシの燃やした炎と、風に流れる雲の中、仁王立ちでこちらをにらんでおるわ…！」

魔法師「それを悪党と呼ばず、何と呼ぶか。情緒のある…光景じゃ」ｸｸｸ…


アサシン「……物好きな爺だ」


魔法師「……さて。」

魔法師「戦いはまだ終わらぬ…休むときではないぞ…？」ﾊﾟｧｧｯ!




アサシン「たかが爺の魔法で、俺を止められると思うか」ﾁｬｷｯ


魔法師「お前の闇を照らすには、ワシの魔法で充分すぎるでな」


アサシン「やれるものなら…」ｺﾞｯ…!!

魔法師「やるということだ」ｺﾞｺﾞｯ…!!


ｺﾞｺﾞｯ…ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｯ……!!!


…………
……
…

• 15話：伝承へ続く