「さてと、それじゃ・・・」
立ち上がった遼子は、がにまたになり、腰を落とした。
かなりみっともない格好だが、あまり気にした様子も見せず、ペニスバンドの一方の頭を自分に押し当てる。
息を吐きながら、ゆっくりと挿入し、奥まで受け入れるとベルトを留める。
「準備できたよ、先生」
「う・・・あぅ・・・」
遼子が股間から生えたもので、芳実の頬を叩いた。
卑猥な教え子の姿に唾を飲み込んだ教師は、目を落として、おしっこの残るおむつを見つめる。
これに顔を付けるのは、人であることを捨てるようなものだろう。だが、そうは思っても、体のうずきには耐えられない。
遼子とおむつとを交互に見つめた芳実は、やがて意を決したように、おむつに顔を押し付けた。
同時に自分の手で、濡れそぼっている場所を開いてみせる。
「あははははっ! こいつ、さいてーだよ! 欲しいからってここまでするかぁ?!」
遼子の嘲弄に、芳実が体を震わせた。それでいながら、求めることは止めない。芳実は自分を広げたまま、尻を振って遼子を求める。
「みっともないなあ。恥っていうものがないのかな?」
言いながらも、芳実の後ろに周り、突き出されている尻に手をかけた。
既に準備を整えている場所に、腰から生やしたものの先端を這わせ、じらすように動かす。
「ちゃんと顔をあててるんだよ。離したら止めるからね」
「んっ、むぅうっ!」
くぐもった返事に笑顔を浮かべ、遼子は腰を突き出した。容赦なく腰を振り、部屋に肉のぶつかり合う鈍い音を響かせる。
野太い喘ぎを上げる芳実は、床のおむつを両手で掴み、必死にしがみついていた。
快楽を求める為に必死になり、汚物に塗れるその姿に、麻紀が涙を浮かべて顔を背ける。
「もうやだ! やめてよっ!」
「どうしたの? 麻紀」
叫びを上げた少女に、雪乃が寄り添った。スカートの裾から手を忍ばせ、おむつを撫でながら顔を覗きこむ。
「私は嫌・・・。絶対イヤ。あんな風になるなんて・・・、あんなことするなんて・・・」
「んふ、そうだろうねえ・・・」
今の芳実の姿を見れば、そう思って当然だろう。
犯して貰いたいがために、おしっこに塗れたおむつに顔を付けるなど、考えるだけでもおぞましい。
「大丈夫だよ、麻紀」
芳実から目を逸らした雪乃が、改めて麻紀を見つめた。自分の未来に不安を抱いた少女の姿に、胸を高鳴らせる。
涙を振りまきながら、激しく首を振る少女の頭を抱きしめ、落ち着かせるように髪を撫でる。
「大丈夫だよ。麻紀はあんな風にはならないから」
「嘘よ。先生だって、あんたがああしたんでしょ」
「そうだけど、麻紀はならないよ」
麻紀からすれば、それは根拠の無い言葉にしか聞こえなかった。
どういえば伝わるだろうかと考える雪乃に、背後から穏やかな声がかけられる。
「言葉では判らない事があります。私に任せてもらえませんか?」
「頼んでいいかな?」
「ええ。美咲さん、遼子さん、来てください」
優しく頷き、美咲と遼子を手招く。うれしそうに身を寄せた美咲と、芳実の相手を止めて振り向いた遼子が、仲良く並ぶ。
「遼子さんは、それを外しておいてください」
芳実の雫に濡れ光る擬似男根を嘲りの目で示し、美咲の肩に手をかける。
うれしそうに進み出た少女を撫で、腰に触れた初音は、遼子や芳実に見せているのとはまるで違う、優しい笑みを浮かべている。
「今日は変わった下着をつけているみたいですね」
「えへへ・・・」
胸の前で指を絡めながら、照れた笑いを浮かべる。
優しく頷いた初音が、オーバーオールのボタンに手をかけ、肩紐を外した。
腰のボタンも外すと、大きめのオーバーオールはするりと落ち、華やかなおむつカバーが現れる。
「ふふ、よく似合っています。かわいいですよ、美咲さん」
「えへへ、よかったぁ」
その一言が聞きたかったのだろう。美咲が幸せそうに笑った。
初音の視線が股間のおむつに注がれているのを受け、それを半分ほど隠しているTシャツを捲り上げる。
そんな健気さに頬へのキスで報いた初音は、背後でうごめいている女体に、温度の低い声を投げた。
「先生もこちらへ」
「・・・はい」
おしっこに濡れた顔を上げた芳実が、涎を零しながら振り返った。よつんばいのまま、教え子たちの間に割り込む。
おむつの一人と、全裸の二人。初音がそれを見渡し、薄い笑みを浮かべた。
「麻紀さんに、あなたたちの本当の姿を見てもらいましょう。一番恥ずかしい姿をね」
「えっと、何をすればいいの?」
美咲があどけなく首を捻る。初音は穏やかな瞳を向け、優しく頭を撫でた。
「うんちをするの。お姉さんが見ている前で、おむつの中にね」
「ば、ばっかじゃないの!?」
初音の言葉に反応したのは、誰でもなく麻紀だった。
突然の大声に驚きを浮かべた美咲が、眉を怒らせている姉を不思議そうに振り返る。
「できるわけないじゃない! 美咲に変なこと言わないでよね!」
「麻紀さんはできませんか?」
「できないわよ。当たり前でしょ!」
「おしっこはするのにねえ」
「あ、あれは・・・、我慢できなかっただけで・・・」
雪乃の茶々に、顔を赤くして口ごもる。
そんな姿がいとおしくてたまらないのだろう。雪乃が抱きつき、おむつの股間を撫で回す。
「できない人はそう思うでしょうね。でも、そうではない人もいるんですよ」
初音が視線で美咲を示す。
おむつの少女は大きく頷き、両手を握って腰を突き出した。歯を食いしばり、うなり声を上げ、肩を震わせる。
それが演技でないのは、傍から見ていても理解できた。麻紀は呆然と、信じられない姿を見せる妹を見つめてる。
ぷぅぅ
「あっ!」
おむつの中から、気の抜けた音が毀れた。美咲が慌てて尻を押さえ、困ったように初音を見上げる。
「かわいい音がしましたね」
「あ、あはは。おならだけ出ちゃった」
「ふふ、いいですよ。美咲さんが頑張ったのは判りますから」
それ以上を求めるつもりはないのだろう。初音は美咲を引き寄せ、膝の上に座らせた。
うれしそうに体を預ける少女の股間を、おむつの上からゆっくり撫で回す。
「遼子」
「あ、はい・・・」
冷たい声で名を呼びすてられ、遼子がその場に膝を突いた。芳実を責めていた時とは違い、卑屈な目つきになっている。
二人にとっては、これが本来の力関係なのだろう。
「あなたと先生は、お風呂場に行きなさい。そこで何をするのか、麻紀さんに話してからね」
「はい・・・。あ、あのね、麻紀・・・」
「麻紀様・・・、でしょう?」
「はいっ! す、すいません!」
「立場を弁えなければいけませんよ。あなたは何でした?」
「わ、私は、ご主人様のトイレです!」
「そうですね。それを覚えているなら、言い方があるでしょう?」
美咲に対しているときとは、別人としか思えない。冷たい声に震える遼子は、膝立ちのまま麻紀の前に移動し、床に頭を押し付けた。
「私はおしっこが好きな変態です! うんちも大好きです! 今から、お風呂場で、うんちをしてきます。その上に寝転がって、
お腹に先生のうんちを貰います。自分と先生のうんちに塗れながら、オナニーをしてきます!」
「遼子・・・、あんた・・・」
告白の言葉に吐き気を覚えながら、麻紀は友人を哀れみの目で見下ろした。
言わされているとの思いが、友人への憐憫を呼び起こしている。
だが、告白を終えて顔を上げた遼子の顔には、麻紀を裏切る表情が浮かんでいた。
責められている芳実が見せるのと同じ、恥ずかしさを興奮へと変える女の、浅ましいまでの昂ぶり。
見られることも刺激の一つにしかしない女がそこにいた。
「早く行きなさい。ここで始められては困りますよ」
「は、はい。先生、行きましょう」
「あ、はい」
同じ立場に落ちてきた少女に手を引かれ、芳実は部屋を出て行った。
これから浴室では、さっきの言葉通りの行為が行われるのだろう。
あまりのおぞましさに、麻紀が体を震わせた。
「どうですか? 麻紀さんは、あの人たちと同じですか?」
「違うっ! 私は、あんなのとは違う!」
「ええ、そうです。麻紀さんも、美咲さんも、あの人たちとは違います」
いつくしむようにおむつを撫で回しながら、小柄な体を抱きしめる。美咲は豊かな胸に頭を預けて、恍惚としている。
「美咲さんは、甘えるのが大好きなんです。私に甘えたくって、大事にされたくって、自分からいろんなことをしてくれる。
おむつをしたのも、うんちをしようとがんばったのも、私に嫌われたくないからです。ふふっ、そんなにがんばらなくても、
私は美咲さんのものなのに」
かわいくて仕方ない様子で、胸の間の頭をぎゅっと抱きしめる。芳実や遼子のとは別のところに、美咲との関係はあるらしい。
「遼子さんは汚物愛好、先生は被虐性愛を持っています。だから、責められることも、汚されることも、興奮と快感に転化します。
あの二人は、責めてくれるなら誰でもいい。相手ではなく、行為だけに興奮できる人たちです」
だからこそ、芳実は初音からの責めを平然と受け入れた。遼子が麻紀の前に膝を突いたのも、同じ理由だろう。
「でも、麻紀さんは違いますね? 雪乃さんがするのでなければ、こんなことは受け入れられないでしょう?」
面と向かって指摘され、麻紀が困惑を浮かべた。考えたことも無かったが、雪乃以外の誰かに同じ事を求められて、従っただろうか。
雪乃が望んだことだからというのは、自分では気づいていなかった、理由の一つだったかもしれない。
「雪乃さんに言われたから・・・。いえ、脅されているのでしたね。どちらにしても、麻紀さんはそうされることを望んではいない。
ただ受け入れているだけ。あの二人とはまったく違います」
だから、あんな風にはならないですよと続けた初音が、小さく笑って雪乃を見やった。
「そのせいで、雪乃さんが困っているんですけどね」
初音の言葉に、麻紀が雪乃を振り返った。明確な指摘に、雪乃が困惑を浮かべて鼻を掻く。
「今日集まった理由。ちゃんと話さないといけませんよ」
「ん、そうだね」
初音の言葉に、雪乃が珍しく真顔になった。まっすぐに麻紀を見つめる。
「あたしね、自分はSだって、ずっと思ってたんだ」
「・・・その通りじゃない」
「うん。でも、Sにもいろんなのがあってね・・・」
その先は言いにくいのだろう。ちらちらと初音を見ながら口ごもる。見かねてか、初音が口を挟んだ。
「私は、他人を支配するのが好きです。相手は誰でもいい。ただ、命令に卑屈に従う姿が見たい。でも、雪乃さんは違います。
困ったことですけどね」
その先は自分で言いなさいと、優しい瞳が告げている。
追い詰めて楽しんでいるのかもしれないが、素直に応援と受け取った雪乃が、恥ずかしそうに口を開く。
「あたしはね、好きな人を虐めたくなるタイプみたい。先生じゃダメだけど、麻紀が恥ずかしがってるのを見ると堪んないの」
「・・・それで?」
「今日はね、二つの目的でここにみんなを集めたの。ひとつは、先生を初音さんに引き取ってもらうため」
芳実との関係は、すでに興奮以上の疲労を伴い始めている。このまま続けては、どちらも不幸になるだろう。
「・・・もう一つは?」
「もうひとつはね、麻紀に・・・答えをもらうため」
「答え・・・?」
「うん」
頷いた雪乃が、ポーチからメモリを取り出した。初音もまた、規格の違う記録媒体を取り出す。
「麻紀が嫌なら、もう終わりにしようと思うの。今までのデータも渡すし、初音さんにも忘れて貰う。ここで、このおむつを外して、
それで全部終わり。もう、麻紀には近づかないよ」
「何で、そんな、急に・・・」
「自分の勝手で、好きな人を苦しめちゃいけないでしょ」
麻紀が芳実のような性癖を秘めていてくれれば、こんな思いはせずに済んだだろう。望むままに責め、充足を得られただろう。
だが、麻紀には雪乃を受け入れられるほどの被虐願望は備わっていない。
嫌がりながらも耐える姿に昂ぶると同時に、心の奥が痛みを訴える。これ以上苦しめてはいけないと、叫びを上げる。
それでも止まらない自分を、どれほど憎んだかしれない。
「だったら、普通にしてくれれば・・・」
「無理だよ。あたし、麻紀といると、自分を抑えられなくなるの。後悔するって判ってるのに、嫌われるって思ってるのに、
止められなくて虐めちゃう。今のままだと、それが続くだけだから」
寂しげな言葉に、雪乃の抱える苦しみが篭っていた。
自分の性癖に翻弄される苦しさを、誰にも話せずにいたのだろう。
好きな人を虐める自分に気づいたまま、これからも苦しみ続けていくのだろう。
麻紀の頬を涙が伝った。
この苦しみに、どうして気づいてあげられなかったのか。
自分の気持ちが受け入れられないことを恨むばかりで、雪乃が苦しんでいるなどとは、思いもしなかった。
そして何より、雪乃の気持ちが昔のまま変わっていないことを、どうして信じられなかったのだろう。
「麻紀・・・?」
麻紀が雪乃の掌を自分の股間にいざなった。恥じらいながら目を瞑り、口元を引き結ぶ。
雪乃の手に、微かな感触が伝わり、遅れてほのかなアンモニア臭が立ちのぼった。
目を逸らし、唇を尖らせた麻紀が、雪乃の手を乱暴に押し返す。
「忘れたの? 私はお漏らししちゃうの。あんたがいなくなったら、誰がおむつを替えてくれるのよ」
「麻紀・・・」
「な、なによ?」
「あたし、こんな愛し方しかできないよ。こんなあたしでいいの?」
「仕方ないでしょ。こんな、お漏らしが治らないんじゃ・・・」
「ありがと・・・。ごめんね・・・」
「なに謝ってるのよ。それより、おむつを何とかしてよ」
「ん、そうだね」
うれしさを押さえきれないまま、雪乃が麻紀を押し倒した。
スカートを捲くり上げ、パステルカラーのおむつカバーをみつめた雪乃は、ゆっくりとそれを開き、紙おむつを外す。
「んふ、今日も濃いおしっこだね」
「ちゃんときれいにしてよ。あたしのおしっこを管理するんでしょ」
「そうだったね。うん、ちゃんとしてあげるからね」
すっかり調子を取り戻した雪乃が、うれしそうに匂いを嗅いだ。恥じらいを見せる麻紀の顔には、どこか余裕が感じられる。
全てを晒した雪乃と、その歪んだ愛を受け止めた麻紀の姿に、初音が笑みを浮かべた。その膝の上で震えた美咲も、
同じ表情を浮かべている。
「初音さん、あたしもおしっこ・・・」
「ええ、美咲さんのおむつは、ちゃんと私が責任を持ちますよ」
恥ずかしそうに訴える少女を優しく撫で、華やかなおむつカバーに手を伸ばす。姉妹のおしっこの匂いが混じりあった部屋で、
四人の少女達は揃って大きく息を吸い込んだ。
立ち上がった遼子は、がにまたになり、腰を落とした。
かなりみっともない格好だが、あまり気にした様子も見せず、ペニスバンドの一方の頭を自分に押し当てる。
息を吐きながら、ゆっくりと挿入し、奥まで受け入れるとベルトを留める。
「準備できたよ、先生」
「う・・・あぅ・・・」
遼子が股間から生えたもので、芳実の頬を叩いた。
卑猥な教え子の姿に唾を飲み込んだ教師は、目を落として、おしっこの残るおむつを見つめる。
これに顔を付けるのは、人であることを捨てるようなものだろう。だが、そうは思っても、体のうずきには耐えられない。
遼子とおむつとを交互に見つめた芳実は、やがて意を決したように、おむつに顔を押し付けた。
同時に自分の手で、濡れそぼっている場所を開いてみせる。
「あははははっ! こいつ、さいてーだよ! 欲しいからってここまでするかぁ?!」
遼子の嘲弄に、芳実が体を震わせた。それでいながら、求めることは止めない。芳実は自分を広げたまま、尻を振って遼子を求める。
「みっともないなあ。恥っていうものがないのかな?」
言いながらも、芳実の後ろに周り、突き出されている尻に手をかけた。
既に準備を整えている場所に、腰から生やしたものの先端を這わせ、じらすように動かす。
「ちゃんと顔をあててるんだよ。離したら止めるからね」
「んっ、むぅうっ!」
くぐもった返事に笑顔を浮かべ、遼子は腰を突き出した。容赦なく腰を振り、部屋に肉のぶつかり合う鈍い音を響かせる。
野太い喘ぎを上げる芳実は、床のおむつを両手で掴み、必死にしがみついていた。
快楽を求める為に必死になり、汚物に塗れるその姿に、麻紀が涙を浮かべて顔を背ける。
「もうやだ! やめてよっ!」
「どうしたの? 麻紀」
叫びを上げた少女に、雪乃が寄り添った。スカートの裾から手を忍ばせ、おむつを撫でながら顔を覗きこむ。
「私は嫌・・・。絶対イヤ。あんな風になるなんて・・・、あんなことするなんて・・・」
「んふ、そうだろうねえ・・・」
今の芳実の姿を見れば、そう思って当然だろう。
犯して貰いたいがために、おしっこに塗れたおむつに顔を付けるなど、考えるだけでもおぞましい。
「大丈夫だよ、麻紀」
芳実から目を逸らした雪乃が、改めて麻紀を見つめた。自分の未来に不安を抱いた少女の姿に、胸を高鳴らせる。
涙を振りまきながら、激しく首を振る少女の頭を抱きしめ、落ち着かせるように髪を撫でる。
「大丈夫だよ。麻紀はあんな風にはならないから」
「嘘よ。先生だって、あんたがああしたんでしょ」
「そうだけど、麻紀はならないよ」
麻紀からすれば、それは根拠の無い言葉にしか聞こえなかった。
どういえば伝わるだろうかと考える雪乃に、背後から穏やかな声がかけられる。
「言葉では判らない事があります。私に任せてもらえませんか?」
「頼んでいいかな?」
「ええ。美咲さん、遼子さん、来てください」
優しく頷き、美咲と遼子を手招く。うれしそうに身を寄せた美咲と、芳実の相手を止めて振り向いた遼子が、仲良く並ぶ。
「遼子さんは、それを外しておいてください」
芳実の雫に濡れ光る擬似男根を嘲りの目で示し、美咲の肩に手をかける。
うれしそうに進み出た少女を撫で、腰に触れた初音は、遼子や芳実に見せているのとはまるで違う、優しい笑みを浮かべている。
「今日は変わった下着をつけているみたいですね」
「えへへ・・・」
胸の前で指を絡めながら、照れた笑いを浮かべる。
優しく頷いた初音が、オーバーオールのボタンに手をかけ、肩紐を外した。
腰のボタンも外すと、大きめのオーバーオールはするりと落ち、華やかなおむつカバーが現れる。
「ふふ、よく似合っています。かわいいですよ、美咲さん」
「えへへ、よかったぁ」
その一言が聞きたかったのだろう。美咲が幸せそうに笑った。
初音の視線が股間のおむつに注がれているのを受け、それを半分ほど隠しているTシャツを捲り上げる。
そんな健気さに頬へのキスで報いた初音は、背後でうごめいている女体に、温度の低い声を投げた。
「先生もこちらへ」
「・・・はい」
おしっこに濡れた顔を上げた芳実が、涎を零しながら振り返った。よつんばいのまま、教え子たちの間に割り込む。
おむつの一人と、全裸の二人。初音がそれを見渡し、薄い笑みを浮かべた。
「麻紀さんに、あなたたちの本当の姿を見てもらいましょう。一番恥ずかしい姿をね」
「えっと、何をすればいいの?」
美咲があどけなく首を捻る。初音は穏やかな瞳を向け、優しく頭を撫でた。
「うんちをするの。お姉さんが見ている前で、おむつの中にね」
「ば、ばっかじゃないの!?」
初音の言葉に反応したのは、誰でもなく麻紀だった。
突然の大声に驚きを浮かべた美咲が、眉を怒らせている姉を不思議そうに振り返る。
「できるわけないじゃない! 美咲に変なこと言わないでよね!」
「麻紀さんはできませんか?」
「できないわよ。当たり前でしょ!」
「おしっこはするのにねえ」
「あ、あれは・・・、我慢できなかっただけで・・・」
雪乃の茶々に、顔を赤くして口ごもる。
そんな姿がいとおしくてたまらないのだろう。雪乃が抱きつき、おむつの股間を撫で回す。
「できない人はそう思うでしょうね。でも、そうではない人もいるんですよ」
初音が視線で美咲を示す。
おむつの少女は大きく頷き、両手を握って腰を突き出した。歯を食いしばり、うなり声を上げ、肩を震わせる。
それが演技でないのは、傍から見ていても理解できた。麻紀は呆然と、信じられない姿を見せる妹を見つめてる。
ぷぅぅ
「あっ!」
おむつの中から、気の抜けた音が毀れた。美咲が慌てて尻を押さえ、困ったように初音を見上げる。
「かわいい音がしましたね」
「あ、あはは。おならだけ出ちゃった」
「ふふ、いいですよ。美咲さんが頑張ったのは判りますから」
それ以上を求めるつもりはないのだろう。初音は美咲を引き寄せ、膝の上に座らせた。
うれしそうに体を預ける少女の股間を、おむつの上からゆっくり撫で回す。
「遼子」
「あ、はい・・・」
冷たい声で名を呼びすてられ、遼子がその場に膝を突いた。芳実を責めていた時とは違い、卑屈な目つきになっている。
二人にとっては、これが本来の力関係なのだろう。
「あなたと先生は、お風呂場に行きなさい。そこで何をするのか、麻紀さんに話してからね」
「はい・・・。あ、あのね、麻紀・・・」
「麻紀様・・・、でしょう?」
「はいっ! す、すいません!」
「立場を弁えなければいけませんよ。あなたは何でした?」
「わ、私は、ご主人様のトイレです!」
「そうですね。それを覚えているなら、言い方があるでしょう?」
美咲に対しているときとは、別人としか思えない。冷たい声に震える遼子は、膝立ちのまま麻紀の前に移動し、床に頭を押し付けた。
「私はおしっこが好きな変態です! うんちも大好きです! 今から、お風呂場で、うんちをしてきます。その上に寝転がって、
お腹に先生のうんちを貰います。自分と先生のうんちに塗れながら、オナニーをしてきます!」
「遼子・・・、あんた・・・」
告白の言葉に吐き気を覚えながら、麻紀は友人を哀れみの目で見下ろした。
言わされているとの思いが、友人への憐憫を呼び起こしている。
だが、告白を終えて顔を上げた遼子の顔には、麻紀を裏切る表情が浮かんでいた。
責められている芳実が見せるのと同じ、恥ずかしさを興奮へと変える女の、浅ましいまでの昂ぶり。
見られることも刺激の一つにしかしない女がそこにいた。
「早く行きなさい。ここで始められては困りますよ」
「は、はい。先生、行きましょう」
「あ、はい」
同じ立場に落ちてきた少女に手を引かれ、芳実は部屋を出て行った。
これから浴室では、さっきの言葉通りの行為が行われるのだろう。
あまりのおぞましさに、麻紀が体を震わせた。
「どうですか? 麻紀さんは、あの人たちと同じですか?」
「違うっ! 私は、あんなのとは違う!」
「ええ、そうです。麻紀さんも、美咲さんも、あの人たちとは違います」
いつくしむようにおむつを撫で回しながら、小柄な体を抱きしめる。美咲は豊かな胸に頭を預けて、恍惚としている。
「美咲さんは、甘えるのが大好きなんです。私に甘えたくって、大事にされたくって、自分からいろんなことをしてくれる。
おむつをしたのも、うんちをしようとがんばったのも、私に嫌われたくないからです。ふふっ、そんなにがんばらなくても、
私は美咲さんのものなのに」
かわいくて仕方ない様子で、胸の間の頭をぎゅっと抱きしめる。芳実や遼子のとは別のところに、美咲との関係はあるらしい。
「遼子さんは汚物愛好、先生は被虐性愛を持っています。だから、責められることも、汚されることも、興奮と快感に転化します。
あの二人は、責めてくれるなら誰でもいい。相手ではなく、行為だけに興奮できる人たちです」
だからこそ、芳実は初音からの責めを平然と受け入れた。遼子が麻紀の前に膝を突いたのも、同じ理由だろう。
「でも、麻紀さんは違いますね? 雪乃さんがするのでなければ、こんなことは受け入れられないでしょう?」
面と向かって指摘され、麻紀が困惑を浮かべた。考えたことも無かったが、雪乃以外の誰かに同じ事を求められて、従っただろうか。
雪乃が望んだことだからというのは、自分では気づいていなかった、理由の一つだったかもしれない。
「雪乃さんに言われたから・・・。いえ、脅されているのでしたね。どちらにしても、麻紀さんはそうされることを望んではいない。
ただ受け入れているだけ。あの二人とはまったく違います」
だから、あんな風にはならないですよと続けた初音が、小さく笑って雪乃を見やった。
「そのせいで、雪乃さんが困っているんですけどね」
初音の言葉に、麻紀が雪乃を振り返った。明確な指摘に、雪乃が困惑を浮かべて鼻を掻く。
「今日集まった理由。ちゃんと話さないといけませんよ」
「ん、そうだね」
初音の言葉に、雪乃が珍しく真顔になった。まっすぐに麻紀を見つめる。
「あたしね、自分はSだって、ずっと思ってたんだ」
「・・・その通りじゃない」
「うん。でも、Sにもいろんなのがあってね・・・」
その先は言いにくいのだろう。ちらちらと初音を見ながら口ごもる。見かねてか、初音が口を挟んだ。
「私は、他人を支配するのが好きです。相手は誰でもいい。ただ、命令に卑屈に従う姿が見たい。でも、雪乃さんは違います。
困ったことですけどね」
その先は自分で言いなさいと、優しい瞳が告げている。
追い詰めて楽しんでいるのかもしれないが、素直に応援と受け取った雪乃が、恥ずかしそうに口を開く。
「あたしはね、好きな人を虐めたくなるタイプみたい。先生じゃダメだけど、麻紀が恥ずかしがってるのを見ると堪んないの」
「・・・それで?」
「今日はね、二つの目的でここにみんなを集めたの。ひとつは、先生を初音さんに引き取ってもらうため」
芳実との関係は、すでに興奮以上の疲労を伴い始めている。このまま続けては、どちらも不幸になるだろう。
「・・・もう一つは?」
「もうひとつはね、麻紀に・・・答えをもらうため」
「答え・・・?」
「うん」
頷いた雪乃が、ポーチからメモリを取り出した。初音もまた、規格の違う記録媒体を取り出す。
「麻紀が嫌なら、もう終わりにしようと思うの。今までのデータも渡すし、初音さんにも忘れて貰う。ここで、このおむつを外して、
それで全部終わり。もう、麻紀には近づかないよ」
「何で、そんな、急に・・・」
「自分の勝手で、好きな人を苦しめちゃいけないでしょ」
麻紀が芳実のような性癖を秘めていてくれれば、こんな思いはせずに済んだだろう。望むままに責め、充足を得られただろう。
だが、麻紀には雪乃を受け入れられるほどの被虐願望は備わっていない。
嫌がりながらも耐える姿に昂ぶると同時に、心の奥が痛みを訴える。これ以上苦しめてはいけないと、叫びを上げる。
それでも止まらない自分を、どれほど憎んだかしれない。
「だったら、普通にしてくれれば・・・」
「無理だよ。あたし、麻紀といると、自分を抑えられなくなるの。後悔するって判ってるのに、嫌われるって思ってるのに、
止められなくて虐めちゃう。今のままだと、それが続くだけだから」
寂しげな言葉に、雪乃の抱える苦しみが篭っていた。
自分の性癖に翻弄される苦しさを、誰にも話せずにいたのだろう。
好きな人を虐める自分に気づいたまま、これからも苦しみ続けていくのだろう。
麻紀の頬を涙が伝った。
この苦しみに、どうして気づいてあげられなかったのか。
自分の気持ちが受け入れられないことを恨むばかりで、雪乃が苦しんでいるなどとは、思いもしなかった。
そして何より、雪乃の気持ちが昔のまま変わっていないことを、どうして信じられなかったのだろう。
「麻紀・・・?」
麻紀が雪乃の掌を自分の股間にいざなった。恥じらいながら目を瞑り、口元を引き結ぶ。
雪乃の手に、微かな感触が伝わり、遅れてほのかなアンモニア臭が立ちのぼった。
目を逸らし、唇を尖らせた麻紀が、雪乃の手を乱暴に押し返す。
「忘れたの? 私はお漏らししちゃうの。あんたがいなくなったら、誰がおむつを替えてくれるのよ」
「麻紀・・・」
「な、なによ?」
「あたし、こんな愛し方しかできないよ。こんなあたしでいいの?」
「仕方ないでしょ。こんな、お漏らしが治らないんじゃ・・・」
「ありがと・・・。ごめんね・・・」
「なに謝ってるのよ。それより、おむつを何とかしてよ」
「ん、そうだね」
うれしさを押さえきれないまま、雪乃が麻紀を押し倒した。
スカートを捲くり上げ、パステルカラーのおむつカバーをみつめた雪乃は、ゆっくりとそれを開き、紙おむつを外す。
「んふ、今日も濃いおしっこだね」
「ちゃんときれいにしてよ。あたしのおしっこを管理するんでしょ」
「そうだったね。うん、ちゃんとしてあげるからね」
すっかり調子を取り戻した雪乃が、うれしそうに匂いを嗅いだ。恥じらいを見せる麻紀の顔には、どこか余裕が感じられる。
全てを晒した雪乃と、その歪んだ愛を受け止めた麻紀の姿に、初音が笑みを浮かべた。その膝の上で震えた美咲も、
同じ表情を浮かべている。
「初音さん、あたしもおしっこ・・・」
「ええ、美咲さんのおむつは、ちゃんと私が責任を持ちますよ」
恥ずかしそうに訴える少女を優しく撫で、華やかなおむつカバーに手を伸ばす。姉妹のおしっこの匂いが混じりあった部屋で、
四人の少女達は揃って大きく息を吸い込んだ。
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