俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。Perfect World Battle RoyaleのまとめWikiです。

日常は、何の前触れもなく崩れさる。
EDENが出来た時も、新聖堂騎士団が全世界に宣戦布告をしたときも。
これまでの当たり前は、いつまでもその姿を保っているとは限らないのだ。
「何が……殺し合いだ」
そして、ここにもまた一人。
日常を奪われた、なんの罪もない一般人がいる。
すらっとした体に、ごく普通のショートカット。
黒を基調とした上下を纏い、少し男らしく見せている。
ただ、EDENの一角で酒場を営み。
兄の歌を聞きながら、馴染みの客に酒を振る舞い。
時々くる厄介な連中を叩きのめすぐらいの普通の生活を送っていた人間。
"風の魚"のバーテンダー、結蘭は怒りに震えていた。
「オレなんかを巻き込んで、どうするつもりだッ!」
その矛先は、この殺し合いの場を作り上げた一人の少女に対して。
好きで殺しを請け負うような人物ならともかく、自分のようなどこにでもいる一般人にしてみれば迷惑この上無い話だ。
常に誰かに命をねらわれているだけでなく、誰かを殺さなければいけないかもしれない。
それも、自分のような罪もない人間が大半だろう。
少女はなぜ、そんな者たちに殺し合いを強いるのか?
一般人には、考えても考えてもわかるわけもなかった。
首に手を当てれば、冷たい感触が手から伝わってくる。
あのカルロスの命をいともたやすく奪い去り、今なお自分の命を握りしめている一つの首輪。
自分は殺し合いから逃げることなど出来ず、まさにあの少女の「飼い犬」であることを暗に示しているかのようである。
死にたくなければ他人を殺すしかない、そんな理不尽を飲み込まなければ、遠かれ遅かれこの首輪に命を奪われてしまうのだ。
「クソッ!」
思わずそばにあった壁を殴ってしまう。
僅かに裂けた皮膚が痛覚を発し、血を流していく。
そんなこともお構いなしに、彼女は壁を殴り続けていく。
「ふざけやがって……ふざけやがって!」

「おーおー、お熱いねえ」
拳だけでなく頭までぶつけ始めた彼女の元に、一つの冷ややかな声が届く。
ふと声のする方を振り向くと、そこには黒の革ジャンとジーパンというなんともラフな姿の青年が結蘭を見つめていた。
「でも、暑苦しいのは嫌いでね」
ポケットに手を突っ込み、ドアにもたれ掛かりながら青年は結蘭に向けて口を開き続ける。
「ゴタゴタ言ってる暇があれば動けよ、テメーのやることはそこで駄々こねて文句垂らすだけか?
 死にたいだけの自殺志願者なら止めねえけどな」
片手をポケットから出し、気だるそうに髪の毛を掻き上げ、額でその手を止める。
目は結蘭を見つめたまま、結蘭もその青年を見つめたままだ。
「殺し合いを命じられた、それに対して今あんたは怒ってる。
 それをしたくないって言うんだったらどうすべきかなんざ、小学生でもわかるぜ?」
頭をトントンと人差し指でたたき、男はあえて結蘭を挑発するような態度をとり続ける。
しかし、結蘭は未だに黙り込んだままである。
男は続けて口を開いていった。
「俺は黙って殺されるつもりなんざ無えし、このまま殺し合いを続けるつもりもない。
 なにもしないで死ぬぐらいなら、なんかしてからでも悪くないだろ?」
男が結蘭から顔を背ける。
もたれ掛かっていたドアから離れ、歩き始めようとしていた。
いつの間にか結蘭は俯き、地面を見つめ続けていた。
「まあ、あんたがそこで駄々こねてるだけのガキだったら、そこで話は終わりだけどな」
男が去っていき、結蘭を視界に映さないようにしていく。
たまたま聞こえた声に反応し、お節介ながら忠告をしたまでである。
そこからどうするべきなのかは、本人が判断することである。
そして、男は一室から姿を消した。

口が開かない。
確かに先ほどの男の言うことは尤もだ。
だが少し腕に自信のある程度の一般人に、このような首輪を用意し、殺し合いを開くほどの強大な力を持つ人間に立ち向かえるのだろうか?
不安要素はこの上なく大きく、取りかからなければいけない課題も多い。
どうせ死んでしまうのだろう、そんな視点がどうしても拭いきれない。
だったら、立ち向かわなければいいのではないか。
そうして彼女は、一つの事を考え始めた。
「この場で最後まで生き残るにはどうすればいいのか」
という、ごく普通の単純な欲求を。

「ガラにも無ぇなあ」
結蘭に説教じみた台詞を吐き捨てていった後、革ジャンの男、草薙京はアテも無く歩きだしていた。
誰かに誘拐されたり、命懸けで何かをすると言うことはこれが初めての話ではない。
だが、人を殺せと面を向かって言われたのはさすがに初めてである。
だが京は命を握られているとしても、そういう類に対してはいそうですかと言うことを聞く人間ではない。
彼が狙うのはもちろん、この状況の打破と、あの少女の撃退である。
「久々に……暴れさせてもらうぜ?」
彼の体を中心に、一本の火柱が立つ。
それは反撃の狼煙か、それとも断罪の炎か。
意味を知るのは、京本人しかいない。

【C-3/鎌石村役場/1日目・朝】
【結蘭@堕落天使】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本:生きたい。

【草薙京@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らないが、襲い掛かるやつには容赦しない。庵は保留。
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010:火星人以下の意思疎通能力
時系列順
012:みんなにはないしょだよ
投下順
始動
草薙京
028:お前の態度が気に食わない
結蘭
034:は?

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