俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。Perfect World Battle RoyaleのまとめWikiです。

「……何考えてやがる」
大きく後一歩踏み込めば拳が届く距離で、灰児は立ち止まる。
目の前の少年、ルチオ・ロッシが攻めるでもなく、守るでもなく、笑っていたからだ。
無防備をさらけ出しながらも、ただ静かに笑う。
後一歩踏み込めば拳が突き刺さると言うのに。
ロッシは声を殺しながら、静かに笑っていた。

不審がっていた灰児が様子をうかがっているにも関わらず、ロッシは笑う以外のアクションを見せようとしない。
それどころか、しばらくするとどこかへと歩きだして行ってしまった。
最後の最後まで、灰児を見つめながら。
「……チッ」
舌打ちをし、灰児はサングラスをかけ直す。
灰児には敵わないと悟り逃げ出したか。
それとも灰児程度を相手にしている暇などないと判断したか。
恐れられているのか、ナメられているのか、少年の表情からは判断できない。
まあ、事実はどうあったにせよ、戦闘を避けられたことには変わりない。
灰児は早々にロッシのことを忘れ、足を進める。

再びしばらく歩いたところで、灰児は別の集団と出くわす。
そこには、銃を構えてあたりを警戒する男と、シャベルを持って穴を掘る男と、首を掻き切られて死んでいる死体。
突きつけられる銃に反応し、ゆっくりとと手を挙げる。
その中で、灰児はこの状況を飲み込んでいく。
銃を構えている男、そして何より穴を掘っている男の目は。
悲しみに、満ちあふれていた。
「なんで穴掘ってる」
男が自分に緊張しながら銃を突きつけているのをわかっていながら、灰児は口を開く。
ただ、単に気になったから。
こんな殺し合いのど真ん中で、いくら護衛が居るとはいえ悠長に穴を掘っている理由が。
「友を、弔ってやりたいんだ」
デカい図体からは想像できないほど、か細い声で男は答える。
なるほど、と灰児は声を漏らす。
友人、灰児にはできたこともない存在。
それを失ったという男の気持ちは、どうなのだろうか。
「……痛ぇか?」
思った疑問を、そのまま男にぶつけていく。
灰児は、"痛み"を知らない。
それは、肉体的な痛みだけではなく。
心の痛み、悲しいという気持ちも、知らない。
「そうだな……」
男は目を合わせることもなく、ただ穴を掘り続けている。
ただその一言は、灰児にとっては肯定となり得る答えだった。
「……掘るもん、なんか貸せ」
舌打ちの後、銃を突きつけていた男にぶっきらぼうに問う。
差し出されたのは子供が使う小さなスコップだったが、灰児は何も言わずにそれをもぎ取る。
そして、大きなシャベルで穴を掘る男の側に寄り、がむしゃらに穴を掘り始めた。

"痛い"と言うことを、知りたい。

みんな知っていて、灰児が知らないことを知りたい。

だから、灰児はただ穴を掘る。

必死で、ただ、必死で。

【H-6/西部/1日目・昼】
【ルチオ・ロッシ@堕落天使】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(2〜6)
[思考・状況]
基本:…………ケッ

【H-3/平原中央部/1日目・昼】
【ブライアン・バトラー@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:シャベル
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本:夢と未来を掴み、希望を与えられる人間になる。
1:、穴を掘る

【モーデン兵@メタルスラッグ】
[状態]:健康
[装備]:GIAT ファマス(25/25、予備125発)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:ブライアンについていく

【壬生灰児@堕落天使】
[状態]:健康
[装備]:スコップ
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:完全者を殺す、立ちはだかる障害は潰す
1:穴を掘る
[備考]:攻性防禦@エヌアイン完全世界の知識があります。
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054
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053:中間試験 科目:自我
時系列順
055:ネゴシエーター
投下順
029:おたんじょうびおめでとう
ルチオ・ロッシ
071:友達から始めよう
壬生灰児
061:明日を笑う奴を殴れ
044:状況は開始されている
ブライアン・バトラー
モーデン兵

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