俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。Perfect World Battle RoyaleのまとめWikiです。


これは、望まれない存在でありながらも生に縋り続けた自分への処罰なのだろうか。

クローンにだって、命はあるというのに。

「BATTLE ROYAL……か」

ぽつりと呟いた言葉は、あまりにも重く両肩にのしかかる。



旧人類狩りが起こる前の話。
世間では大々的に報道されることはなかったが、全世界にある人物のクローンが登場するという事件があった。
首謀者は、秘密結社ネスツ。
草薙京のDNAから作り出したクローン達を遠隔操作し、世界を掌握する計画が進んでいた。
だが、その計画はある青年達と草薙京本人の手によって阻止された。
計画により無数に配備された京のクローン達も、ハイデルンの手によって回収されていた。
クローンは安全に処分され、なにも変わらない世界には平和が訪れた。

これが、表面上の物語。

ここからは、誰も知り得ることのなかった物語だ。
各地に配備された京のクローン達はネスツの手による装置で一斉起動し、プログラムされた戦闘アルゴリズムによって各国でテロ行為を行う予定。
クリザリッドの手により最後の方が急ぎで行われたため、その中には欠陥品も紛れ込んでいた。
戦闘プログラムが十分にインプットされておらず、不完全な状態で送り込まれたクローン。
その大半は起動と同時にプログラム内でエラーに次ぐエラーを起こし、中枢機能で処理しきれなくなり身体機能が凍結した。
動かなくなった欠陥品達は変死体として各国で発見され、ハイデルン達の手によって回収された。

とある、一体を除いて。

たった一人だけ、身体機能が凍結しなかったクローンがいた。
プログラムの欠如によるエラーの繰り返し。
そのバグを埋めるように、自我が芽生えたクローンが一体だけ存在したのだ。
プログラミングされた機能の不足部分を自分で問答し、補うことに成功し、不完全ながらも機動に成功した。
書き込まれなかったプログラムによって生まれた空き領域に、芽生えた自我はどんどんと大きくなり、やがて一人の「人間」を形成するまでに至った。
埋め込まれた行動ではなく、生まれた自我により当てもなく生き続ける。
「生きたい」と思う気持ちのままに、自分の体を動かし続けた。
そして、彼は目撃する。
自分と同じ姿形の動かなくなった人間達が、ある者に連行されていくのを。
見つかれば終わると直感で判断し、逃亡に逃亡を重ね続けた。
時にはオリジナルの力を振るいながら、「生きたい」一心で彼はひたすらに逃げ続けた。

辿り着いた先は、EDEN。
「SEX」「犯罪」「ドラッグ」が飛び交う街。
暴力が全てを支配する場所で、オリジナルが好きだった「詩」を書きながら。
いつかどこかで拾ったドッグタグから「赤碕 翔」という名前を取り、少し窮屈ながらもひっそりと自由な生活を送っていた。

「貴様だな? 赤崎……いや、あの日唯一生き残ったクローンの草薙は」
そう、あの日までは。
自分のことを知る、あの少女が自分の目の前に現れるまでは。
炎が猛る、こいつについていってはいけないと燃え上がる。
しかし、体が動かない。
足元から生える妙な鎖状のものに動きを止められ、一ミリも動けずに居る。
やがて体全体がゆっくりと止まっていき、崩れ落ちるように眠りについた。

そして、今。
あの少女の手によって、再び命を狙われる場所へと立たされている。
どこで誰が襲ってくるかはわからない。
「……冗談じゃねえ……」
拳を握り締める。
「生きる」と決めた、「生き抜く」と決めた。
作られた命だったとしても、芽生えることがなかった自我だったとしても。
今、両足を地面につけて立っているんだから。

誰かの命を刈り取っていい人間なんて、居るわけがない。

だから、自分は抗う。
「待ち受ける死の運命」に。

【E-2/菅原神社/1日目・朝】
【赤碕翔(クローン京A)@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本:生き抜く

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投下順
始動
赤碕翔
035:Going to the Freedom

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