「(この闘技場で勝ち続けて紅龍拳の名誉、そして師範の名誉を必ず取り戻して見せる!)」
これから闘技場での初試合―――そして自身初の実戦に臨むメイファンは逸早く武舞台に上がり対戦相手を待ちながら気を引き締める。
そのメイファンから遅れること数分後、対戦相手が入場してきた。
艶やかな黒髪に褐色の肌、そしてその体に纏う黒色の武闘着。その中でエメラルドグリーンの鋭い眼光がひと際印象的な少女。
年の頃は自分と同じか年下だろうか。しかし数々の修羅場を潜り抜けてきただろうことを想起させる威圧感を帯びた雰囲気に気圧されそうになる。
格好や体つきを見るに、相手も自分と同じ拳法家だろうか。
だとすればこの試合に勝利すれば紅龍拳の絶好のアピールになるだろう。しかし敗れれば・・・
「(大丈夫、普段通りの力を発揮できれば決して他の流派に後れを取ることはない!)」
メイファンは自分を鼓舞するように心の中で呟くと、威圧的な雰囲気に呑まれない様に相手を睨み返す。
そんなメイファンを無表情で、しかし射抜くような目つきで見つめながら対戦相手―――トウテツがゆっくりと歩を進め近づいてきた。
「!?」
試合開始前だというのに間合いを詰めてくるトウテツに、メイファンは警戒心から思わず身体を強張らせて構えをとる。
しかしトウテツはそんなことはお構いなしに距離を詰めるとスッと左手を差し出した。
「(・・・雰囲気に似合わず礼儀正しいのね。いい試合が出来そうだわ)」
握手を求める相手に緊張を解くと、表情を緩めてメイファンも左手を差し出した―――と同時に
ゴッッッ!!
メイファンの下腹部に鋭い衝撃が走る。
「・・・え?」
メイファンがゆっくりと下半身に目を向けると股間にトウテツのつま先がめり込んでいた。
脳が現実を認識すると共に、鋭い衝撃が段々と熱と激しい痛みに変換されていく。
つま先に金属でも仕込んであるのか、その股間蹴りは踵が浮き上がる程の威力だった。
メイファンは顔を真っ青に染め脂汗を流しながら前屈みになり両手で股間を押さえる。
―――呼吸が出来ない、息が詰まる―――金魚のように口をパクパクさせ涎をダラダラと垂れ流す。
「・・・ひっ、卑怯・・・ものっ」
何とか声を絞り出し上目遣いでトウテツを見上げると、そこには大きく振り上げられたトウテツの右足があった。
「卑怯?アホか」
次の瞬間、右足がメイファンの後頭部に振り下ろされた。
「グェ」
メイファンは短い呻き声を上げると、顔面を床に叩きつけられそのまま突っ伏す。
床に顔を埋め尻を突き上げ股間を押さえながらピクピクッと痙攣するメイファンの姿はまるで自慰に耽る痴女そのものだった。
トウテツはいつまでも立ち上がれないメイファンのポニーテールを掴むと無理矢理引き起こす。
露になったメイファンの顔は、白目を剥き、緩み切った口元からは舌を垂れ出したアヘ顔にしか見えなかった。
「起きろ雌豚」
トウテツはメイファンの両頬を張り無理矢理覚醒させる。
何度かの平手打ちの後、ようやく覚醒したメイファンは初め何が起こったのか分からない様子だったが、意識がハッキリしていくにつれて徐々に現状を理解し始めた。
「・・・わたし・・・負けた・・・の?」
「安心しろ、勝負はついてない。まだ試合は始まっても無いからな」
そう告げるとトウテツはポニーテールを手放す。直後支えを失って崩れ落ちようとするメイファンの顎を右足で真上に蹴り上げた。
「ブゲッ!」
強烈な蹴りの威力にメイファンの両足は宙に浮き、顎を真上に仰け反らせ、直立で伸びあがる様な姿勢になる。
そうして無防備に晒されたメイファンの腹部に、トウテツの両拳各10発づつ、計20発が目にも止まらぬ速さで突き刺さった。
「ゴッ!・・・ッ・・・ッッ・・・グッ・・・グブッ!・・・ブブッッ・・・グブフッ!・・・ッッ・・・ゲッ・・・ゲボェッッェ!!」
腹筋が全く機能せず、ダイレクトに内臓に伝わる拳の衝撃にメイファンは声にならない汚い呻き声を上げ胃液を盛大に吐き出した。
胃液で自らの拳法着を汚しながら再び意識を手放し崩れ行くメイファンに、トウテツはトドメの一撃を繰り出す。
「発ッッ!!」
全身の関節を連動させ威力を最大限に高めた必殺の上段蹴りがメイファンの顔面を打ち抜いた。
その凄まじい威力に弛緩したメイファンの身体は地面と水平に吹っ飛んでいき、場外の壁に叩きつけられ、その後、糸が切れた人形のように大股を広げながら尻餅をつくように崩れ落ちた。
涙と鼻水と涎で顔をグチャグチャにし、股間からは黄色い水溜まりが広がっていく。
そんなメイファンの惨状に、開始されてもいない試合の終了合図が鳴り響いた。
『バカヤローッ!!ふざけんなっ!!!』
予想外の展開に観客達のブーイングが闘技場に木霊する。
しかしそれは不意打ちを行ったトウテツに対してではない。試合を行うことも無く敗れ去ったメイファンに対してのものだ。
真剣勝負の場では一瞬の油断も許されない。
それが闘技場のルールなのだ。
「弱すぎる・・・闘技場に上がる資格すらないな」
トウテツは惨めな完全敗北の失神姿を晒しているメイファンに心底軽蔑を込めた言葉を吐き捨てた。
こうして己の流派と師の名誉をかけたメイファン最初の闘いは、その名誉をさらに貶める最悪の結果となって幕を閉じた。
これから闘技場での初試合―――そして自身初の実戦に臨むメイファンは逸早く武舞台に上がり対戦相手を待ちながら気を引き締める。
そのメイファンから遅れること数分後、対戦相手が入場してきた。
艶やかな黒髪に褐色の肌、そしてその体に纏う黒色の武闘着。その中でエメラルドグリーンの鋭い眼光がひと際印象的な少女。
年の頃は自分と同じか年下だろうか。しかし数々の修羅場を潜り抜けてきただろうことを想起させる威圧感を帯びた雰囲気に気圧されそうになる。
格好や体つきを見るに、相手も自分と同じ拳法家だろうか。
だとすればこの試合に勝利すれば紅龍拳の絶好のアピールになるだろう。しかし敗れれば・・・
「(大丈夫、普段通りの力を発揮できれば決して他の流派に後れを取ることはない!)」
メイファンは自分を鼓舞するように心の中で呟くと、威圧的な雰囲気に呑まれない様に相手を睨み返す。
そんなメイファンを無表情で、しかし射抜くような目つきで見つめながら対戦相手―――トウテツがゆっくりと歩を進め近づいてきた。
「!?」
試合開始前だというのに間合いを詰めてくるトウテツに、メイファンは警戒心から思わず身体を強張らせて構えをとる。
しかしトウテツはそんなことはお構いなしに距離を詰めるとスッと左手を差し出した。
「(・・・雰囲気に似合わず礼儀正しいのね。いい試合が出来そうだわ)」
握手を求める相手に緊張を解くと、表情を緩めてメイファンも左手を差し出した―――と同時に
ゴッッッ!!
メイファンの下腹部に鋭い衝撃が走る。
「・・・え?」
メイファンがゆっくりと下半身に目を向けると股間にトウテツのつま先がめり込んでいた。
脳が現実を認識すると共に、鋭い衝撃が段々と熱と激しい痛みに変換されていく。
つま先に金属でも仕込んであるのか、その股間蹴りは踵が浮き上がる程の威力だった。
メイファンは顔を真っ青に染め脂汗を流しながら前屈みになり両手で股間を押さえる。
―――呼吸が出来ない、息が詰まる―――金魚のように口をパクパクさせ涎をダラダラと垂れ流す。
「・・・ひっ、卑怯・・・ものっ」
何とか声を絞り出し上目遣いでトウテツを見上げると、そこには大きく振り上げられたトウテツの右足があった。
「卑怯?アホか」
次の瞬間、右足がメイファンの後頭部に振り下ろされた。
「グェ」
メイファンは短い呻き声を上げると、顔面を床に叩きつけられそのまま突っ伏す。
床に顔を埋め尻を突き上げ股間を押さえながらピクピクッと痙攣するメイファンの姿はまるで自慰に耽る痴女そのものだった。
トウテツはいつまでも立ち上がれないメイファンのポニーテールを掴むと無理矢理引き起こす。
露になったメイファンの顔は、白目を剥き、緩み切った口元からは舌を垂れ出したアヘ顔にしか見えなかった。
「起きろ雌豚」
トウテツはメイファンの両頬を張り無理矢理覚醒させる。
何度かの平手打ちの後、ようやく覚醒したメイファンは初め何が起こったのか分からない様子だったが、意識がハッキリしていくにつれて徐々に現状を理解し始めた。
「・・・わたし・・・負けた・・・の?」
「安心しろ、勝負はついてない。まだ試合は始まっても無いからな」
そう告げるとトウテツはポニーテールを手放す。直後支えを失って崩れ落ちようとするメイファンの顎を右足で真上に蹴り上げた。
「ブゲッ!」
強烈な蹴りの威力にメイファンの両足は宙に浮き、顎を真上に仰け反らせ、直立で伸びあがる様な姿勢になる。
そうして無防備に晒されたメイファンの腹部に、トウテツの両拳各10発づつ、計20発が目にも止まらぬ速さで突き刺さった。
「ゴッ!・・・ッ・・・ッッ・・・グッ・・・グブッ!・・・ブブッッ・・・グブフッ!・・・ッッ・・・ゲッ・・・ゲボェッッェ!!」
腹筋が全く機能せず、ダイレクトに内臓に伝わる拳の衝撃にメイファンは声にならない汚い呻き声を上げ胃液を盛大に吐き出した。
胃液で自らの拳法着を汚しながら再び意識を手放し崩れ行くメイファンに、トウテツはトドメの一撃を繰り出す。
「発ッッ!!」
全身の関節を連動させ威力を最大限に高めた必殺の上段蹴りがメイファンの顔面を打ち抜いた。
その凄まじい威力に弛緩したメイファンの身体は地面と水平に吹っ飛んでいき、場外の壁に叩きつけられ、その後、糸が切れた人形のように大股を広げながら尻餅をつくように崩れ落ちた。
涙と鼻水と涎で顔をグチャグチャにし、股間からは黄色い水溜まりが広がっていく。
そんなメイファンの惨状に、開始されてもいない試合の終了合図が鳴り響いた。
『バカヤローッ!!ふざけんなっ!!!』
予想外の展開に観客達のブーイングが闘技場に木霊する。
しかしそれは不意打ちを行ったトウテツに対してではない。試合を行うことも無く敗れ去ったメイファンに対してのものだ。
真剣勝負の場では一瞬の油断も許されない。
それが闘技場のルールなのだ。
「弱すぎる・・・闘技場に上がる資格すらないな」
トウテツは惨めな完全敗北の失神姿を晒しているメイファンに心底軽蔑を込めた言葉を吐き捨てた。
こうして己の流派と師の名誉をかけたメイファン最初の闘いは、その名誉をさらに貶める最悪の結果となって幕を閉じた。
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