周子「こんにちはー。塩見周子でーす。今度、あたしと紗枝はんのユニット、『羽衣小町』でLIVEをやることになりました。しかも、舞台はなんと、神宮。故郷の京都への、凱旋LIVEだよ。あたしたちの歴史の記念すべき1ページ。みんなにも是非見てほしいなー。」
紗枝「小早川紗枝どす〜。うちら、ついにゆにっと曲をもろたんどす。曲名は『美に入り彩を穿つ』。うちらにぴったしな、美しゅうて、格好いい一曲やから、楽しみにしてておくれやす〜。積み重ねてきた日々と現在。うちらのこれからを、よろしゅうお頼もうします〜。」
紗枝の声で目を覚ました周子。『羽衣小町』の新曲を
もらったふたりは、LIVEのため京都を訪れていた。
Pに「仲良くなったね」と言われたふたりは、
ユニットを組んだばかりのころを思い出す。
そこから、彩り鮮やかにふたりで積み重ねてきた、
かくも美しき日々のことを──。
もらったふたりは、LIVEのため京都を訪れていた。
Pに「仲良くなったね」と言われたふたりは、
ユニットを組んだばかりのころを思い出す。
そこから、彩り鮮やかにふたりで積み重ねてきた、
かくも美しき日々のことを──。
紗枝「周子はん……周子はん、そろそろ起きなあきまへんえ。もう京都駅やさかい。降りる準備せえへんと。ほら、次はたくしーで移動どす。しゃっきりしよし。」
周子「ん……? あれ、京都駅……? なんで……?」
紗枝「もう、周子はんったら。まだ寝ぼけてはる? ……まあ、最近目まぐるしゅうて、ここまであっという間やったからなぁ。」
周子「あー……うん。シューコちゃんチューニングできてきた。そっか、うちらプロデューサーさんに呼び出されて……。」
──数日前
フレデリカ「おー、シューコちゃん、紗枝ちゃん、帰ってきたねー。おつとめご苦労さまー。」
周子「やー。ただいまフレちゃん。シャバの空気はおいしいねー。」
フレデリカ「シャバシャバだからねー。で、シューコちゃん、プロデューサーにお呼び出しされて、なに怒られてたのー?」
周子「うーん、そっかー。フレちゃんの中では、怒られてたことになってるんだー。そんなこと言ってないのにねー。なんでかなー。」
ゆかり「あの……。紗枝ちゃんと一緒に呼ばれていたということは、『羽衣小町』でのお仕事の話、でしょうか?」
紗枝「ふふ。ゆかりはん、正解どす〜。新しい曲をもろて、京都でLIVEさしてくれはるんやて。」
フレデリカ「わお! 新曲! きょーと! 超豪華! フレちゃんびっくり!」
ゆかり「それはそれは、おめでとうございます。故郷でのユニット新曲……とっても素敵なLIVEになりそうですね。」
周子「ありがとー。なんていうか、やっとかーって感じだよねぇ。」
紗枝「せやなぁ。豪華な舞台を用意してくれるいうてはったし、楽しみやわぁ。」
周子「京都でやるなら、親にも連絡しとかないとねー。」
紗枝「みなはんへのお土産も、考えとかなあかんなぁ。」
フレデリカ・ゆかり「…………。」
ゆかり「少し、意外でした。紗枝ちゃんと周子さん、ユニットを組んでから長いですし、もっとすこく喜ぶかと思っていましたけど……。」
フレデリカ「むしろ、アタシたちの方が喜んじゃったよね。フレちゃんとゆかりちゃんの喜び爆発ユニット誕生! みたいな。どっかーん♪」
ゆかり「ふふっ。そうですね……どっかーん♪」
フレデリカ「ふふー♪ まぁ、そこがあのふたりらしいんじゃないー? フレちゃん、よくわかんないけどー。」
ゆかり「たしかに。おふたりには、独特の距離感というか、雰囲気がありますよね。」
フレデリカ「でもでも、すっごく仲良しなんだよね、あのふたり。ふっしぎー。わんだほー。」
ゆかり「おふたりの間からは、積み上げてきた年月を感じますから。その上での新曲……。やはり、素敵なステージになりそうですね。」
紗枝「周子はん……周子はん、そろそろ起きなあきまへんえ。降りる準備せえへんと。」
周子「……無限ループ? って、あれ。ここは……。」
──神宮
周子「おおー、神宮。ここに来ると、さすがに京都だなーって感じするよね。」
紗枝「こないな場所でLIVEさしてもらえるなんて光栄やわあ。プロデューサーはん、ほんま、おおきに。」
周子「そのぶん、いいLIVEにするよー。ま、ほどほどに期待しててー。」
[期待している]
周子「だってさ紗枝はん。頑張ってねー。」
紗枝「うちひとりやと心細いわあ。誰か……誰か、隣で一緒に踊ってくれへんと。誰か……。」
周子「仕方ないなぁ。プロデューサーさん、あたしの衣装、貸してあげる。ステージで紗枝はんが待ってるよ。」
紗枝「周子はん、いけずやわぁ。」
[ふたりも、ずいぶん仲良くなったね]
周子「そりゃ、最初のころはねー。いままで、いろいろあったからさ。」
紗枝「最初のころ……ふふ、なんや、いま思うと懐かしいわぁ。」
周子「ん……? あれ、京都駅……? なんで……?」
紗枝「もう、周子はんったら。まだ寝ぼけてはる? ……まあ、最近目まぐるしゅうて、ここまであっという間やったからなぁ。」
周子「あー……うん。シューコちゃんチューニングできてきた。そっか、うちらプロデューサーさんに呼び出されて……。」
──数日前
フレデリカ「おー、シューコちゃん、紗枝ちゃん、帰ってきたねー。おつとめご苦労さまー。」
周子「やー。ただいまフレちゃん。シャバの空気はおいしいねー。」
フレデリカ「シャバシャバだからねー。で、シューコちゃん、プロデューサーにお呼び出しされて、なに怒られてたのー?」
周子「うーん、そっかー。フレちゃんの中では、怒られてたことになってるんだー。そんなこと言ってないのにねー。なんでかなー。」
ゆかり「あの……。紗枝ちゃんと一緒に呼ばれていたということは、『羽衣小町』でのお仕事の話、でしょうか?」
紗枝「ふふ。ゆかりはん、正解どす〜。新しい曲をもろて、京都でLIVEさしてくれはるんやて。」
フレデリカ「わお! 新曲! きょーと! 超豪華! フレちゃんびっくり!」
ゆかり「それはそれは、おめでとうございます。故郷でのユニット新曲……とっても素敵なLIVEになりそうですね。」
周子「ありがとー。なんていうか、やっとかーって感じだよねぇ。」
紗枝「せやなぁ。豪華な舞台を用意してくれるいうてはったし、楽しみやわぁ。」
周子「京都でやるなら、親にも連絡しとかないとねー。」
紗枝「みなはんへのお土産も、考えとかなあかんなぁ。」
フレデリカ・ゆかり「…………。」
ゆかり「少し、意外でした。紗枝ちゃんと周子さん、ユニットを組んでから長いですし、もっとすこく喜ぶかと思っていましたけど……。」
フレデリカ「むしろ、アタシたちの方が喜んじゃったよね。フレちゃんとゆかりちゃんの喜び爆発ユニット誕生! みたいな。どっかーん♪」
ゆかり「ふふっ。そうですね……どっかーん♪」
フレデリカ「ふふー♪ まぁ、そこがあのふたりらしいんじゃないー? フレちゃん、よくわかんないけどー。」
ゆかり「たしかに。おふたりには、独特の距離感というか、雰囲気がありますよね。」
フレデリカ「でもでも、すっごく仲良しなんだよね、あのふたり。ふっしぎー。わんだほー。」
ゆかり「おふたりの間からは、積み上げてきた年月を感じますから。その上での新曲……。やはり、素敵なステージになりそうですね。」
紗枝「周子はん……周子はん、そろそろ起きなあきまへんえ。降りる準備せえへんと。」
周子「……無限ループ? って、あれ。ここは……。」
──神宮
周子「おおー、神宮。ここに来ると、さすがに京都だなーって感じするよね。」
紗枝「こないな場所でLIVEさしてもらえるなんて光栄やわあ。プロデューサーはん、ほんま、おおきに。」
周子「そのぶん、いいLIVEにするよー。ま、ほどほどに期待しててー。」
[期待している]
周子「だってさ紗枝はん。頑張ってねー。」
紗枝「うちひとりやと心細いわあ。誰か……誰か、隣で一緒に踊ってくれへんと。誰か……。」
周子「仕方ないなぁ。プロデューサーさん、あたしの衣装、貸してあげる。ステージで紗枝はんが待ってるよ。」
紗枝「周子はん、いけずやわぁ。」
[ふたりも、ずいぶん仲良くなったね]
周子「そりゃ、最初のころはねー。いままで、いろいろあったからさ。」
紗枝「最初のころ……ふふ、なんや、いま思うと懐かしいわぁ。」
LIVE会場の下見に訪れた周子と紗枝は、ユニットを
結成して間もない当時のことを思い出す。同じ
京都出身ではあるものの、あまりお互いのことを
知らず、タイプも違うふたりはそれぞれに不安を
抱えていたのだった。続いてふたりが想いを馳せる
のは、お互いをわかりはじめたときのこと──。
結成して間もない当時のことを思い出す。同じ
京都出身ではあるものの、あまりお互いのことを
知らず、タイプも違うふたりはそれぞれに不安を
抱えていたのだった。続いてふたりが想いを馳せる
のは、お互いをわかりはじめたときのこと──。
──神宮
周子「あたしと紗枝はんが組んだばっかりのころかぁ。もうすいぶん前なんだねえ。正直、最初はこんなに長くなるなんて思ってなかったよ。」
紗枝「実は、うちもどす。フロデューサーはんに呼ばれて、『ゆにっと』やぁ言われた時はどないしよか思て……ふふ、懐かしいわあ。」
──事務所
周子「ユニット?」
紗枝「ゆにっと?」
[うなずく]
周子「あたしと……小早川、紗枝ちゃんで?」
紗枝「『羽衣小町』……大仰やけど、かいらしい名前やわぁ。」
周子「和風コンセプト、京都つなかりかーなるほどねー。じゃー、ま、紗枝ちゃん、これからよろしくー。」
紗枝「塩見はん、うちはまだまだ精進中の身やけど、どうぞよろしゅうお頼もうします。」
ゆかり「なるほど……『羽衣小町』ですか。おふたりにぴったりの名前だと思います。」
フレデリカ「そっかー、シューコちゃんって京都出身だっけー。はんなりユニットだねぇー。おまけにフレちゃんはいかがー?」
周子「そんなフレちゃんの出身は?」
フレデリカ「おフランスの京都! パリ!」
フレデリカ・周子「いえーい!」
紗枝「ふふ、塩見はんも宮本はんも、おもろい人やわぁ。楽しいゆにっとになりそうで、うち安心どす〜。」
ゆかり「塩見さんと紗枝さんなら息も合いそうですし、美しい舞を見ることかできそうで、楽しみですね。」
──数時間後
紗枝「ふぅ……ゆにっとを組んでも、ひとりのお仕事も続くんやねぇ。大変やけど、気張らなあきまへんなぁ。……て、あら? この声は……。」
周子『オトナ色のあたし、よろしゅーこ♪』
紗枝「塩見はんの出てるこまーしゃるやねぇ。ほんま、綺麗で大人びてはって。洒脱で気張らへんところも、格好ええお人やわぁ。……なぁ、プロデューサーはん。ひとつきいてもええやろか。うちは古風やし、どんくさいところもありますやろ? 京都出身やいうても、塩見はんとは全然ちゃいます。プロデューサーはんも、何も考えんと組ませたわけやないですやろ? 『羽衣小町』に何か秘策があるんやったら、教えてほしいわぁ。」
[違うけど似てるから大丈夫]
紗枝「似てる……ん〜せやろか。プロデューサーはんの言うてはることは信じてますけど……。まぁ、うちも塩見はんのことよう知らんし。まだまだこれからゆうことやろか。ゆにっとゆうんも大変やねえ。」
──事務所廊下
周子「お、いたいた。プロデューサーさん。帰る準備できたよー。ハァ〜、やれやれー。今日も1日おつかれちゃーん、っと。プロデューサーさん、シューコちゃん放って、どこいってたん? 『羽衣小町』の売り込み……? ふふ、さっすがー♪ そういえば、『羽衣小町』といえばさー、紗枝ちゃんって、真面目で素直ないい子だよねー。だからさー。逆になんかちょっとやりづらそうっていうか。ほら、シューコちゃんってさ、自由人だから。紗枝ちゃんのこと、振り回しちゃう気がするんだよねー。わかってても気遣えるタイプじゃないしねー。プロデューサーさんもそのぐらいわかってるだろうから、どう考えてるのかなーって。」
[紗枝はしたたかだよ]
○○P「それに……。」
[周子は優しい]
周子「やーん、買い被りやわー。でもそっかー、したたか、ね。ま、そこまで言うんなら、そのへんのフォローは任せたよ、プロデューサーさん♪」
周子「あの頃はねー、ホントに、お互いのことよくわかってなかったもんねー。ぶっちゃけ、大丈夫かなーって不安だったよ。」
紗枝「結局は、プロデューサーはんの言う通りやったなぁ。こんなにずぅっと、周子はんとやってこれて。」
周子「ねー。さっすがプロデューサーさんってとこかなー。……よし、会場の下見はもういいかな。プロデューサーさん、またタクシーおねがーい。」
紗枝「周子はんのことわかりはじめたんはいつ頃やったかなあ……。はじめて、一緒の曲のお稽古したときやろか。あんとき、周子はんの印象変わった気ぃします。」
周子「ああ、『青の一番星』をふたりでやったときだっけ? たしかに、あたしもあのとき、紗枝はんの印象変わったなぁー。」
周子「あたしと紗枝はんが組んだばっかりのころかぁ。もうすいぶん前なんだねえ。正直、最初はこんなに長くなるなんて思ってなかったよ。」
紗枝「実は、うちもどす。フロデューサーはんに呼ばれて、『ゆにっと』やぁ言われた時はどないしよか思て……ふふ、懐かしいわあ。」
──事務所
周子「ユニット?」
紗枝「ゆにっと?」
[うなずく]
周子「あたしと……小早川、紗枝ちゃんで?」
紗枝「『羽衣小町』……大仰やけど、かいらしい名前やわぁ。」
周子「和風コンセプト、京都つなかりかーなるほどねー。じゃー、ま、紗枝ちゃん、これからよろしくー。」
紗枝「塩見はん、うちはまだまだ精進中の身やけど、どうぞよろしゅうお頼もうします。」
ゆかり「なるほど……『羽衣小町』ですか。おふたりにぴったりの名前だと思います。」
フレデリカ「そっかー、シューコちゃんって京都出身だっけー。はんなりユニットだねぇー。おまけにフレちゃんはいかがー?」
周子「そんなフレちゃんの出身は?」
フレデリカ「おフランスの京都! パリ!」
フレデリカ・周子「いえーい!」
紗枝「ふふ、塩見はんも宮本はんも、おもろい人やわぁ。楽しいゆにっとになりそうで、うち安心どす〜。」
ゆかり「塩見さんと紗枝さんなら息も合いそうですし、美しい舞を見ることかできそうで、楽しみですね。」
──数時間後
紗枝「ふぅ……ゆにっとを組んでも、ひとりのお仕事も続くんやねぇ。大変やけど、気張らなあきまへんなぁ。……て、あら? この声は……。」
周子『オトナ色のあたし、よろしゅーこ♪』
紗枝「塩見はんの出てるこまーしゃるやねぇ。ほんま、綺麗で大人びてはって。洒脱で気張らへんところも、格好ええお人やわぁ。……なぁ、プロデューサーはん。ひとつきいてもええやろか。うちは古風やし、どんくさいところもありますやろ? 京都出身やいうても、塩見はんとは全然ちゃいます。プロデューサーはんも、何も考えんと組ませたわけやないですやろ? 『羽衣小町』に何か秘策があるんやったら、教えてほしいわぁ。」
[違うけど似てるから大丈夫]
紗枝「似てる……ん〜せやろか。プロデューサーはんの言うてはることは信じてますけど……。まぁ、うちも塩見はんのことよう知らんし。まだまだこれからゆうことやろか。ゆにっとゆうんも大変やねえ。」
──事務所廊下
周子「お、いたいた。プロデューサーさん。帰る準備できたよー。ハァ〜、やれやれー。今日も1日おつかれちゃーん、っと。プロデューサーさん、シューコちゃん放って、どこいってたん? 『羽衣小町』の売り込み……? ふふ、さっすがー♪ そういえば、『羽衣小町』といえばさー、紗枝ちゃんって、真面目で素直ないい子だよねー。だからさー。逆になんかちょっとやりづらそうっていうか。ほら、シューコちゃんってさ、自由人だから。紗枝ちゃんのこと、振り回しちゃう気がするんだよねー。わかってても気遣えるタイプじゃないしねー。プロデューサーさんもそのぐらいわかってるだろうから、どう考えてるのかなーって。」
[紗枝はしたたかだよ]
○○P「それに……。」
[周子は優しい]
周子「やーん、買い被りやわー。でもそっかー、したたか、ね。ま、そこまで言うんなら、そのへんのフォローは任せたよ、プロデューサーさん♪」
周子「あの頃はねー、ホントに、お互いのことよくわかってなかったもんねー。ぶっちゃけ、大丈夫かなーって不安だったよ。」
紗枝「結局は、プロデューサーはんの言う通りやったなぁ。こんなにずぅっと、周子はんとやってこれて。」
周子「ねー。さっすがプロデューサーさんってとこかなー。……よし、会場の下見はもういいかな。プロデューサーさん、またタクシーおねがーい。」
紗枝「周子はんのことわかりはじめたんはいつ頃やったかなあ……。はじめて、一緒の曲のお稽古したときやろか。あんとき、周子はんの印象変わった気ぃします。」
周子「ああ、『青の一番星』をふたりでやったときだっけ? たしかに、あたしもあのとき、紗枝はんの印象変わったなぁー。」
旅館に着いた周子と紗枝は、『羽衣小町』として
初めてふたりで受けたレッスンのことを思い返す。
周子を先に帰らせ、ひとり居残り練習を続けていた
紗枝と、そんな紗枝の姿を見てこっそり差し入れと
書き置きを残した周子、当時を懐かしみながら、
お互いを知るきっかけになったと振り返るのだった。
初めてふたりで受けたレッスンのことを思い返す。
周子を先に帰らせ、ひとり居残り練習を続けていた
紗枝と、そんな紗枝の姿を見てこっそり差し入れと
書き置きを残した周子、当時を懐かしみながら、
お互いを知るきっかけになったと振り返るのだった。
──旅館
周子「旅館に到着っと。それにしても、『青の一番星』かぁ〜。」
紗枝「ゆにっと組んでしばらくは、撮影の仕事ばっかしで。初めて一緒に歌ったんがあんときやったなぁ。うち、いまでもよう思い出せます。」
べテラントレーナー「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、工イト! うむ、塩見はさすがにできあがっているな。」
周子「まぁ、ふたり用にするって言っても、あたしの曲だしねー。振りもほとんど一緒だし。」
紗枝「……うちは、まだまだやねぇ……。もっとひらひら動きたいもんやけど。」
べテラントレーナー「小早川も、いまの段階でここまでできているなら上々だ。さすが、姿勢や動きの基礎がしっかりしている。」
紗枝「ん……。ありがとうございます。精進しますー。」
べテラントレーナー「時間より少し早いが、十分だな。今日はこれで終わりにしよう。」
周子「お疲れさまでしたー。」
紗枝「ありがとうございました。」
べテラントレーナー「うむ、では、部屋の後かたづけは任せたぞ。」
周子「紗枝ちゃん、日本舞踊やってたんだっけ? なんていうか、踊りに華があるよねー。」
紗枝「塩見はんこそ、きびきび動いてはって格好ええわあ。うちもはよう振りを覚えきらんと。」
周子「そんな焦らなくていいんじゃない? トレーナーさんもああ言ってたしさー。」
紗枝「せやなぁ。……あ、ここの後片付けはうちがやっときます。塩見はんはお先にどうぞ。」
周子「お、ホントに。紗枝ちゃんやっさしー。じゃ、あたしは先に帰るね。おっさきー。」
──数時間後
周子「やー、うっかりうっかり。お財布忘れて帰るなんて、シューコちゃんやっちゃったー。って、あれ? レッスン場、電気まだ点いてるじゃん。消し忘れ……? ……あ……ふぅん、なるほどねー。ま、シューコちゃんは、忘れ物を探しに来ただけだからねー。お財布お財布ー♪」
紗枝「はあ、ふう……。少しは動けるようなったやろか。これ以上遅うなるんはようないし、そろそろほんまに帰りまひょ。……あら? これ、飲み物と、書き置き?」
周子『差し入れだよーん。ほどほどに頑張ってー。』
紗枝「ほんま、洒落た人どすなぁ……。」
周子「懐かしいねー。あのとき、紗枝はん、ずっと残ってたもんね。あたしびっくりしたよー。」
紗枝「ふふ。あんとき、周子はんは心根の優しい人なんやなぁってわかったんどす。」
周子「ふっふー。まぁねー。シューコちゃんの半分は優しさだからねー。あたしもさ、あんとき、紗枝はんの根性を見て、印象変わったよ。この子、おとなしいだけのいい子じゃないんだなーって。」
紗枝「褒めてもろたとこ悪いけど、なんやお恥ずかしいわぁ。うちのは根性とか真面目とか、そういうええもんちゃいますえ。うちが、自分に納得できひんと気がすまへん頑固者なだけや。」
周子「いやいや、それが紗枝はんのいいところだよねー。ただ真面目なだけじゃなくてさ。じゃなきゃ、このシューコちゃんとここまで長くやってらんないって。あー……言ってて恥ずかしくなってきたよ。あたし、褒めるのも褒められるのもあんま得意じゃないんだよね。」
紗枝「ふふ。周子はん、照れてはんの〜?」
周子「やめてよもー、紗枝はんったらー♪」
周子「旅館に到着っと。それにしても、『青の一番星』かぁ〜。」
紗枝「ゆにっと組んでしばらくは、撮影の仕事ばっかしで。初めて一緒に歌ったんがあんときやったなぁ。うち、いまでもよう思い出せます。」
べテラントレーナー「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、工イト! うむ、塩見はさすがにできあがっているな。」
周子「まぁ、ふたり用にするって言っても、あたしの曲だしねー。振りもほとんど一緒だし。」
紗枝「……うちは、まだまだやねぇ……。もっとひらひら動きたいもんやけど。」
べテラントレーナー「小早川も、いまの段階でここまでできているなら上々だ。さすが、姿勢や動きの基礎がしっかりしている。」
紗枝「ん……。ありがとうございます。精進しますー。」
べテラントレーナー「時間より少し早いが、十分だな。今日はこれで終わりにしよう。」
周子「お疲れさまでしたー。」
紗枝「ありがとうございました。」
べテラントレーナー「うむ、では、部屋の後かたづけは任せたぞ。」
周子「紗枝ちゃん、日本舞踊やってたんだっけ? なんていうか、踊りに華があるよねー。」
紗枝「塩見はんこそ、きびきび動いてはって格好ええわあ。うちもはよう振りを覚えきらんと。」
周子「そんな焦らなくていいんじゃない? トレーナーさんもああ言ってたしさー。」
紗枝「せやなぁ。……あ、ここの後片付けはうちがやっときます。塩見はんはお先にどうぞ。」
周子「お、ホントに。紗枝ちゃんやっさしー。じゃ、あたしは先に帰るね。おっさきー。」
──数時間後
周子「やー、うっかりうっかり。お財布忘れて帰るなんて、シューコちゃんやっちゃったー。って、あれ? レッスン場、電気まだ点いてるじゃん。消し忘れ……? ……あ……ふぅん、なるほどねー。ま、シューコちゃんは、忘れ物を探しに来ただけだからねー。お財布お財布ー♪」
紗枝「はあ、ふう……。少しは動けるようなったやろか。これ以上遅うなるんはようないし、そろそろほんまに帰りまひょ。……あら? これ、飲み物と、書き置き?」
周子『差し入れだよーん。ほどほどに頑張ってー。』
紗枝「ほんま、洒落た人どすなぁ……。」
周子「懐かしいねー。あのとき、紗枝はん、ずっと残ってたもんね。あたしびっくりしたよー。」
紗枝「ふふ。あんとき、周子はんは心根の優しい人なんやなぁってわかったんどす。」
周子「ふっふー。まぁねー。シューコちゃんの半分は優しさだからねー。あたしもさ、あんとき、紗枝はんの根性を見て、印象変わったよ。この子、おとなしいだけのいい子じゃないんだなーって。」
紗枝「褒めてもろたとこ悪いけど、なんやお恥ずかしいわぁ。うちのは根性とか真面目とか、そういうええもんちゃいますえ。うちが、自分に納得できひんと気がすまへん頑固者なだけや。」
周子「いやいや、それが紗枝はんのいいところだよねー。ただ真面目なだけじゃなくてさ。じゃなきゃ、このシューコちゃんとここまで長くやってらんないって。あー……言ってて恥ずかしくなってきたよ。あたし、褒めるのも褒められるのもあんま得意じゃないんだよね。」
紗枝「ふふ。周子はん、照れてはんの〜?」
周子「やめてよもー、紗枝はんったらー♪」
周子と紗枝は、再び思い出を振り返る。それぞれの
事情を抱え、なかなか実家に帰る勇気が出なかった
ふたりが、お互いの背を押しあって一歩を踏み出した
あの日。自分たちとPで一緒に歩いてきた道のりを
懐かしんだふたりは、組ませてくれたことを改めて
感謝するのだった。
事情を抱え、なかなか実家に帰る勇気が出なかった
ふたりが、お互いの背を押しあって一歩を踏み出した
あの日。自分たちとPで一緒に歩いてきた道のりを
懐かしんだふたりは、組ませてくれたことを改めて
感謝するのだった。
──旅館
周子「はーい。って、プロデューサーさん。お、なにそれ、八つ橋? いえーい、ありがとー♪ ほらほら紗枝はん、プロデューサーさんから、八つ橋の差し入れだよーん。」
紗枝「おおきに〜。いただだきますー。」
周子「むぐむぐ……やっぱさー、八つ橋はさー、バナナ餡とか、そういうやつがいいよねー。もっと攻めた餡をいっぱい出せば面白いのにー。」
紗枝「八つ橋は、周子はんのおうちでいただいたんが、うちは一番好きやわぁ。」
周子「あたしの家? ああ、そっか。あのときかぁ……。」
[家出娘たちが帰ったときだね]
紗枝「家出娘なんて、かなんわぁ。うちら、えらい悪い子みたいや。」
周子「まーでも、あたしたちは実際そうだったよねー。紗枝はんもあたしも、京都に帰ってこれるまで結構かかったもん。『青の一番星』歌ったのよりもさらにだいぶ後だったっけ?」
紗枝「せやなぁ。たしか、先にうちが周子はんに励ましてもろたんやったなあ……。」
──女子寮
紗枝「はあ……どないしまひょ……。」
周子「お、紗枝はん。珍しくため息なんてついてどうしたん。」
紗枝「あー……。実はさっき、両親から電話があって、正月ぐらいは帰ってこい言うてなあ。せやけど、どう言うたらええんやろ……。いま帰ってもええんか、考えてもうて。」
周子「どゆこと?」
紗枝「うちは、『自分の芸がどこまで通じるか試したい』ゆうて京都を出てきたんどす。せやのに、うちはあいどるとしてはまだ未熟者やさかい……。」
周子「合わせる顔がない、みたいな?」
紗枝「そうなんどす。せやから、どないしたええんやろって、悩んでたとこで。」
周子「なるほどねえ。なーんか、紗枝はんもあたしと似た境遇だねえ。」
紗枝「周子はんと?」
周子「そーそー。ま、あたしの場合は完全にあたしが悪いんだけどねー。あたしはなんていうか、実家にいると息が詰まっちゃってさ。小さい頃から親の仕事見てて、あたしも将来家業を継ぐんだなーって思って。それが嫌なわけじゃないんだけど、なんとなく。あたしの人生、ゴール見えてるなー、みたいなかんじで。だらだらーって生きてたら、家を追い出されちゃったんだよね。」
紗枝「それで、東京であいどるに? ふふ、えらい波乱万丈な人生やねえ。」
周子「ほんとにねー。急におもしろい人生になっちゃって、シューコちゃん大困惑だよ。って、違う違う、あたしたち似てるねって話ー。ま、だからあたしが言うのも変な話なんだけどさー。紗枝はんは、帰りたくないわけじゃないんでしょ? だったら、帰ったらいいんじゃないかな? 真面目なのは紗枝はんのいいとこだけどさー。たまには、何も考えずに気分で行動したほうがいいこともあるよ。」
紗枝「そう、どすやろか。」
周子「そうそう。たまにはおねーさんの言うことも信じてみなって。」
紗枝「うん……そうやね。周子はんがそう言うなら、うち、勇気出してみるわ。」
周子「それで、紗枝はんはめでたくご両親と和解して、その後には凱旋LIVEもちゃんとやったんだよね。」
紗枝「そうやねぇ。あんときの周子はんには、感謝してもしきれへんよ。ほんで、その後が、周子はんの番やったなぁ。」
──街中
紗枝「しゅーうーこーはん♪」
周子「おー、紗枝はん、お疲れー。番組スタッフさんたちも撤収しはじめてるし、プロデューサーさんさがしてあたしたちもいこっかー。」
紗枝「プロデューサーはんは、たくしー捕まえにいってくれはったわあ。それよりも、周子はん。周子はんにお話があるんどす。」
周子「ん? お話? あ、シューコちゃんの勘にびびっと来たよ。……やだなー。紗枝はん、なんか企んでるなー。」
紗枝「企んでるて人聞きい悪いわぁ。そうやなくて、うちはただ……。周子はんに、おうちに帰ってもらおう思て。」
周子「……はい?」
紗枝「前、周子はんがうちの背中おしてくれはったやろ? せやから、今度はうちが周子はんの背中押す番やなって。プロデューサーはんも許可くれはったから♪」
周子「え、ちょ、ちょっと待って紗枝はん。さすかにそれは話が急すぎひん? 心の準備がこう、ほら、ね……?」
紗枝「待っとっても心の準備なんてできまへん。それよりも、飛ひ込んでみるんどす。」
周子「こ、これホントのやつ? ドッキリとかじゃなくて? うそ、ほんまに言うてるん? 勘弁してほしいわあ─────。」
──周子の家
紗枝「ほらほら、周子はん。女は度胸、や。」
周子「わかったわかったって。もう、紗枝はんは強引なんだから……。……すぅ……。た、ただいまー……。」
周子「さすがのシューコちゃんもね、あのときは冷や汗かいたよね。」
紗枝「緊張してはる周子はん、おもろかったわあ。」
周子「やめてよもう、恥ずかしいなぁ。紗枝はん、ときどきすっごい意地が悪いよねぇ。」
紗枝「周子はんのいけずがうつったんとちゃいます?」
[一緒に歩いてきた道のりだったね]
紗枝「うちと、周子はんと、プロデューサーはん。いろんなこと、経験さしてもらいましたわぁ。」
周子「紗枝はんと組ませてくれたこと、感謝してるよ。ありがとね、プロデューサーさん♪」
周子「はーい。って、プロデューサーさん。お、なにそれ、八つ橋? いえーい、ありがとー♪ ほらほら紗枝はん、プロデューサーさんから、八つ橋の差し入れだよーん。」
紗枝「おおきに〜。いただだきますー。」
周子「むぐむぐ……やっぱさー、八つ橋はさー、バナナ餡とか、そういうやつがいいよねー。もっと攻めた餡をいっぱい出せば面白いのにー。」
紗枝「八つ橋は、周子はんのおうちでいただいたんが、うちは一番好きやわぁ。」
周子「あたしの家? ああ、そっか。あのときかぁ……。」
[家出娘たちが帰ったときだね]
紗枝「家出娘なんて、かなんわぁ。うちら、えらい悪い子みたいや。」
周子「まーでも、あたしたちは実際そうだったよねー。紗枝はんもあたしも、京都に帰ってこれるまで結構かかったもん。『青の一番星』歌ったのよりもさらにだいぶ後だったっけ?」
紗枝「せやなぁ。たしか、先にうちが周子はんに励ましてもろたんやったなあ……。」
──女子寮
紗枝「はあ……どないしまひょ……。」
周子「お、紗枝はん。珍しくため息なんてついてどうしたん。」
紗枝「あー……。実はさっき、両親から電話があって、正月ぐらいは帰ってこい言うてなあ。せやけど、どう言うたらええんやろ……。いま帰ってもええんか、考えてもうて。」
周子「どゆこと?」
紗枝「うちは、『自分の芸がどこまで通じるか試したい』ゆうて京都を出てきたんどす。せやのに、うちはあいどるとしてはまだ未熟者やさかい……。」
周子「合わせる顔がない、みたいな?」
紗枝「そうなんどす。せやから、どないしたええんやろって、悩んでたとこで。」
周子「なるほどねえ。なーんか、紗枝はんもあたしと似た境遇だねえ。」
紗枝「周子はんと?」
周子「そーそー。ま、あたしの場合は完全にあたしが悪いんだけどねー。あたしはなんていうか、実家にいると息が詰まっちゃってさ。小さい頃から親の仕事見てて、あたしも将来家業を継ぐんだなーって思って。それが嫌なわけじゃないんだけど、なんとなく。あたしの人生、ゴール見えてるなー、みたいなかんじで。だらだらーって生きてたら、家を追い出されちゃったんだよね。」
紗枝「それで、東京であいどるに? ふふ、えらい波乱万丈な人生やねえ。」
周子「ほんとにねー。急におもしろい人生になっちゃって、シューコちゃん大困惑だよ。って、違う違う、あたしたち似てるねって話ー。ま、だからあたしが言うのも変な話なんだけどさー。紗枝はんは、帰りたくないわけじゃないんでしょ? だったら、帰ったらいいんじゃないかな? 真面目なのは紗枝はんのいいとこだけどさー。たまには、何も考えずに気分で行動したほうがいいこともあるよ。」
紗枝「そう、どすやろか。」
周子「そうそう。たまにはおねーさんの言うことも信じてみなって。」
紗枝「うん……そうやね。周子はんがそう言うなら、うち、勇気出してみるわ。」
周子「それで、紗枝はんはめでたくご両親と和解して、その後には凱旋LIVEもちゃんとやったんだよね。」
紗枝「そうやねぇ。あんときの周子はんには、感謝してもしきれへんよ。ほんで、その後が、周子はんの番やったなぁ。」
──街中
紗枝「しゅーうーこーはん♪」
周子「おー、紗枝はん、お疲れー。番組スタッフさんたちも撤収しはじめてるし、プロデューサーさんさがしてあたしたちもいこっかー。」
紗枝「プロデューサーはんは、たくしー捕まえにいってくれはったわあ。それよりも、周子はん。周子はんにお話があるんどす。」
周子「ん? お話? あ、シューコちゃんの勘にびびっと来たよ。……やだなー。紗枝はん、なんか企んでるなー。」
紗枝「企んでるて人聞きい悪いわぁ。そうやなくて、うちはただ……。周子はんに、おうちに帰ってもらおう思て。」
周子「……はい?」
紗枝「前、周子はんがうちの背中おしてくれはったやろ? せやから、今度はうちが周子はんの背中押す番やなって。プロデューサーはんも許可くれはったから♪」
周子「え、ちょ、ちょっと待って紗枝はん。さすかにそれは話が急すぎひん? 心の準備がこう、ほら、ね……?」
紗枝「待っとっても心の準備なんてできまへん。それよりも、飛ひ込んでみるんどす。」
周子「こ、これホントのやつ? ドッキリとかじゃなくて? うそ、ほんまに言うてるん? 勘弁してほしいわあ─────。」
──周子の家
紗枝「ほらほら、周子はん。女は度胸、や。」
周子「わかったわかったって。もう、紗枝はんは強引なんだから……。……すぅ……。た、ただいまー……。」
周子「さすがのシューコちゃんもね、あのときは冷や汗かいたよね。」
紗枝「緊張してはる周子はん、おもろかったわあ。」
周子「やめてよもう、恥ずかしいなぁ。紗枝はん、ときどきすっごい意地が悪いよねぇ。」
紗枝「周子はんのいけずがうつったんとちゃいます?」
[一緒に歩いてきた道のりだったね]
紗枝「うちと、周子はんと、プロデューサーはん。いろんなこと、経験さしてもらいましたわぁ。」
周子「紗枝はんと組ませてくれたこと、感謝してるよ。ありがとね、プロデューサーさん♪」
再度、LIVE会場である神宮を訪れた周子と紗枝。
これまでのことを思い出し、アイドルになって
自分たちも、自分たちからみた京都も変わったと言う
紗枝に、周子も同意を示す。本番に向け昂る気持ちを
抑えきれないふたりは着物に着替え、京都の町へと
繰り出すのだった。
これまでのことを思い出し、アイドルになって
自分たちも、自分たちからみた京都も変わったと言う
紗枝に、周子も同意を示す。本番に向け昂る気持ちを
抑えきれないふたりは着物に着替え、京都の町へと
繰り出すのだった。
──旅館
周子「紗枝はん紗枝はん、なんかさー、懐かしい話ばっかりしてたら、シューコちゃん、また神宮行きたくなっちゃったなー。」
紗枝「ええなあ。そうしまひょか。またそない遅くもあれへんし、いってきてもええどすか、プロデューサーはん?」
[OK]
周子「ありがとー。じゃ、いってきまーす。」
──神宮
周子「ホーントにここでやるんだね。あたしたちの、新曲。なーんか、ついこないだ、家を追い出されて東京行きの新幹線に乗った気がするんだけど。あたし、ここに帰ってきたんだねー。」
紗枝「周子はん、珍しくせんちめんたるな感じやねぇ。感慨深いんは、うちもおんなしやけど。」
周子「紗枝はんはさー。昔から日本舞踊とか習ってたんでしょ? そういうの、嫌だなあって思ったこと、ないの?」
紗枝「そら、ない言うたら嘘になりますえ。でも今は、習ててよかった思とります。所作を美しく見せる方法やったり、色んな役作りやったり、あいどるの毎日にきちんと活きてるさかい。」
周子「なるほどねー。たしかに、紗枝はんは動作か綺麗だよねえ。着物スキルにも、よくお世話になってるし。」
紗枝「うちが着付けてふたりで撮影のお仕事したこともあったなぁ。」
周子「あったねぇ。楽しかったなーあれ。ふふ、考えれば考えるほど、いろいろ一緒だったね、あたしたち。」
紗枝「そういう周子はんはどうなん? まだ、京都を退屈や思てる?」
周子「いや……いまは、あんまり。そうでもないかな。京都にいるときには気づかなかったいいところ、街並みの綺麗さや、空気の感じとか? そういうの、東京に出たから、見つけられたし。それにさ、どんなに否定しても、あたしか京都生まれだってことは変わらないんだよね。だったら、受け入れて、自分の武器にした方が、いろいろ便利かなーって。そのおかげで、紗枝はんとも出会えたし。なんてゆーか、うん、悪くはないよ。」
紗枝「周子はん……。うちも、京都で生まれて、東京に出て、周子はんとあいどるできて、ほんまに良かったわ。」
周子「なにそれー。なんか、引退前みたい。」
紗枝「そないなわけやあれへんけど……でも、ひとつの区切りいう意味では、近いんかもしれへんなぁ。そう思たら、いろいろ考えてしもて。」
周子「あー、それは、なんとなくわかるよ。区切り、か。たしかにそうかも。なんていうか、さ。ここを飛び出して、アイドルになってから。あっという間だった気がするけど、いろいろあったよね。」
紗枝「いつの間にか、変わったなあ。うちら自身も。うちらから見た京都も。プロデューサーはん、周子はん、いろんな人との出会いが、うちを変えてきてくれたんやろなぁ。……周子はん、実はうちなぁ、本番がめっちゃ楽しみなんどす。」
周子「お、奇遇だねえ。実は、あたしもでさー。早く歌いたい、踊りたいって、身体かうずうずしてる。こんなに昂るなんて、はじめてかも。懐かしい話も、しんみりした話もここまでにして──。うちらふたりで、京都に華を咲かせよっか!」
紗枝「ええなぁ。うちもとことん、つきあいますえ。うちらの心、歌い上げたりまひょ。せっかくやし、もう少し京都の町を歩かへん? プロデューサーはんも、許してくれはるやろ。京都を、うちらの心にしっかり持っておきたいんどす。そや、いったんお宿に戻って、周子はんも着物で気分引き締めへん? 明日への、景気づけにしまひょ。」
周子「お、いーねー。じゃあ、いつも通り、紗枝はんお願いしていい?」
紗枝「周子はんも、いい加減着付けをちゃんと覚えたらどうどす? お仕事にも役に立ちますえ?」
周子「いやー。紗枝はんがやってくれるから、別にいいかなーって。簡単になら自分でもどうにかできるけど、紗枝はんにやってもらうと気が引き締まるしねー。」
紗枝「もう。また調子のええこと言うて。もう着付けしてあげまへんえ?」
周子「……と、いいながらちゃんとやってくれる紗枝はんなのでした。ちゃんちゃん♪」
周子「紗枝はん紗枝はん、なんかさー、懐かしい話ばっかりしてたら、シューコちゃん、また神宮行きたくなっちゃったなー。」
紗枝「ええなあ。そうしまひょか。またそない遅くもあれへんし、いってきてもええどすか、プロデューサーはん?」
[OK]
周子「ありがとー。じゃ、いってきまーす。」
──神宮
周子「ホーントにここでやるんだね。あたしたちの、新曲。なーんか、ついこないだ、家を追い出されて東京行きの新幹線に乗った気がするんだけど。あたし、ここに帰ってきたんだねー。」
紗枝「周子はん、珍しくせんちめんたるな感じやねぇ。感慨深いんは、うちもおんなしやけど。」
周子「紗枝はんはさー。昔から日本舞踊とか習ってたんでしょ? そういうの、嫌だなあって思ったこと、ないの?」
紗枝「そら、ない言うたら嘘になりますえ。でも今は、習ててよかった思とります。所作を美しく見せる方法やったり、色んな役作りやったり、あいどるの毎日にきちんと活きてるさかい。」
周子「なるほどねー。たしかに、紗枝はんは動作か綺麗だよねえ。着物スキルにも、よくお世話になってるし。」
紗枝「うちが着付けてふたりで撮影のお仕事したこともあったなぁ。」
周子「あったねぇ。楽しかったなーあれ。ふふ、考えれば考えるほど、いろいろ一緒だったね、あたしたち。」
紗枝「そういう周子はんはどうなん? まだ、京都を退屈や思てる?」
周子「いや……いまは、あんまり。そうでもないかな。京都にいるときには気づかなかったいいところ、街並みの綺麗さや、空気の感じとか? そういうの、東京に出たから、見つけられたし。それにさ、どんなに否定しても、あたしか京都生まれだってことは変わらないんだよね。だったら、受け入れて、自分の武器にした方が、いろいろ便利かなーって。そのおかげで、紗枝はんとも出会えたし。なんてゆーか、うん、悪くはないよ。」
紗枝「周子はん……。うちも、京都で生まれて、東京に出て、周子はんとあいどるできて、ほんまに良かったわ。」
周子「なにそれー。なんか、引退前みたい。」
紗枝「そないなわけやあれへんけど……でも、ひとつの区切りいう意味では、近いんかもしれへんなぁ。そう思たら、いろいろ考えてしもて。」
周子「あー、それは、なんとなくわかるよ。区切り、か。たしかにそうかも。なんていうか、さ。ここを飛び出して、アイドルになってから。あっという間だった気がするけど、いろいろあったよね。」
紗枝「いつの間にか、変わったなあ。うちら自身も。うちらから見た京都も。プロデューサーはん、周子はん、いろんな人との出会いが、うちを変えてきてくれたんやろなぁ。……周子はん、実はうちなぁ、本番がめっちゃ楽しみなんどす。」
周子「お、奇遇だねえ。実は、あたしもでさー。早く歌いたい、踊りたいって、身体かうずうずしてる。こんなに昂るなんて、はじめてかも。懐かしい話も、しんみりした話もここまでにして──。うちらふたりで、京都に華を咲かせよっか!」
紗枝「ええなぁ。うちもとことん、つきあいますえ。うちらの心、歌い上げたりまひょ。せっかくやし、もう少し京都の町を歩かへん? プロデューサーはんも、許してくれはるやろ。京都を、うちらの心にしっかり持っておきたいんどす。そや、いったんお宿に戻って、周子はんも着物で気分引き締めへん? 明日への、景気づけにしまひょ。」
周子「お、いーねー。じゃあ、いつも通り、紗枝はんお願いしていい?」
紗枝「周子はんも、いい加減着付けをちゃんと覚えたらどうどす? お仕事にも役に立ちますえ?」
周子「いやー。紗枝はんがやってくれるから、別にいいかなーって。簡単になら自分でもどうにかできるけど、紗枝はんにやってもらうと気が引き締まるしねー。」
紗枝「もう。また調子のええこと言うて。もう着付けしてあげまへんえ?」
周子「……と、いいながらちゃんとやってくれる紗枝はんなのでした。ちゃんちゃん♪」
リハーサルを終えた周子と紗枝。近傍までは『神宮』
だった景色も、今日はLIVE会場に見えると言う。
『羽衣小町』を作っているのは、今日までの毎日と
京都という場所であり、そこに自分たちの心が彩りを
加えられるのだと気付いたふたりは、集大成となる
LIVEで新たな歴史の1ページを刻もうと誓うの
だった。
だった景色も、今日はLIVE会場に見えると言う。
『羽衣小町』を作っているのは、今日までの毎日と
京都という場所であり、そこに自分たちの心が彩りを
加えられるのだと気付いたふたりは、集大成となる
LIVEで新たな歴史の1ページを刻もうと誓うの
だった。
──LIVE当日
スタッフ「はーい、羽衣小町のおふたり、リハおっけーでーす!」
フレデリカ「すごいねー和だねーロックだねー。フレちゃんしびれちゃったー。」
周子「おっ、フレちゃんじゃーん。どうしたの−? まだ本番じゃないよー?」
ゆかり「私たち、おふたりのステージを見に来たんですけど……待ちきれなくて。来ちゃいました♪」
紗枝「来てくれはって嬉しいわあ。うちらのりはーさる、どうやった?」
ゆかり「ふたりとも、息ぴったりでしたね。格好よくて、美しいです。」
フレデリカ「うんうん、それそれ。息ぴったり。熟年ふーふみたいだねー。」
ゆかり「ふふ、フレデリカさん、ふたりはまだお若いですよ。熟年なんて言ったら、失礼です。」
紗枝「ふふ。そもそも、うちらはめおとやありまへんえ? 祝言もまだやさかい。」
周子「もう、紗枝はんまで悪のりして。テンション上がってるねぇ。」
紗枝「そらぁ、りはーさるも終わりましたし。本番前は、嫌でも昂揚するもんどす。」
周子「そうだよねぇ、もう本番だもんねぇ。うちの親も来るって言ってたし、失敗できないなぁ。」
紗枝「うちも来る言うてましたわ。これは、ええとこ見せなあきまへんなあ。」
ゆかり「おふたりとも、もうすぐ本番だというのに、随分と落ち着いてらっしゃいますね。さすがです……」
周子「まぁねー。紗枝はんと一緒だからねー。あたしたちなら、大丈夫かなーみたいな。」
紗枝「ずっと一緒にやってきたさかい。舞台に上がってみたら、思ったより景色違てびっくりしましたけど。」
周子「あー、それわかるわー。なんていうかさ、昨日までは『神宮』だったけど、今日はLIVE会場だーって気がしたよね。」
紗枝「お客はんが入ったら、きっともっと違う景色になるんやろなあ。」
フレデリカ「なになに? フレちゃんわかんなーい。昨日も今日も、セットいっしょだよ?」
ゆかり「いえ、フレデリカさん。違います。そういう見た目の話ではなくて、きっと──。」
周子「そ、これはさ、あたしたちの心の話なんだよね。」
紗枝「周子はんとうちの『羽衣小町』。うちらを形作ってるんは、ここまで積み重ねてきた毎日と、うちらの中にある伝統……京都ゆう、この場所どす。」
周子「でも、そこに彩りを加えるのは、あたしたちの心だからさ。あたしたち次第で、これから、なんでも、変えていけるんだ。」
紗枝「そう思えたからこそ、うちらふたり──今ならここで、きっとええLIVEができるって思うんどす。」
周子「紗枝はんとなら、京都のこと、もっと好きになってける。アイドルも、『羽衣小町』も、これからもずっと。」
紗枝「うちも、周子はんとなら、京都をもっと彩れる思います。歌も、踊りも、なんもかも。」
フレデリカ「おおー! なんか難しくてよくわかんないけど、かっこいいねーふたりともー!」
ゆかり「おふたりの確かな信念、ですね……。あら、プロデューサーさんがいらっしゃいましたね。」
[そろそろ、本番だよ]
紗枝「時間たつん早いわぁ。ほな、周子はん、ばっちしやりまひょ。」
[気合は、十分?]
周子「もちろん。この舞台はさすがにあたしも、ワワワクするよ。だって、集大成だからねー。」
[集大成?]
紗枝「そや……うちも周子はんも、京都を飛び出して、フロデューサーはんに見つけてもろて、出会って、いろんな経験をして、成長してきたやろ?」
周子「それで……あたしたち、この京都にまた帰ってきたんだよね。あたしたちの、初めてのユニット曲と一緒に。」
紗枝「『羽衣小町』の歴史の、大きな1ぺーじやなぁ。」
周子「うん。京都の歴史から見たらちっぽけかもしれないけどさ。あたしたちの歴史の、大切な1日になるよ。」
紗枝「周子はん、ここに来て謙遜はないわぁ。京都の歴史にも、刻んだりまひょ。」
周子「お、紗枝はん、だいたーん。でも、いいねえ。刻みつけちゃおっか。あたしたちの『現在』を!」
紗枝「うちらの『現在』を!」
スタッフ「はーい、羽衣小町のおふたり、リハおっけーでーす!」
フレデリカ「すごいねー和だねーロックだねー。フレちゃんしびれちゃったー。」
周子「おっ、フレちゃんじゃーん。どうしたの−? まだ本番じゃないよー?」
ゆかり「私たち、おふたりのステージを見に来たんですけど……待ちきれなくて。来ちゃいました♪」
紗枝「来てくれはって嬉しいわあ。うちらのりはーさる、どうやった?」
ゆかり「ふたりとも、息ぴったりでしたね。格好よくて、美しいです。」
フレデリカ「うんうん、それそれ。息ぴったり。熟年ふーふみたいだねー。」
ゆかり「ふふ、フレデリカさん、ふたりはまだお若いですよ。熟年なんて言ったら、失礼です。」
紗枝「ふふ。そもそも、うちらはめおとやありまへんえ? 祝言もまだやさかい。」
周子「もう、紗枝はんまで悪のりして。テンション上がってるねぇ。」
紗枝「そらぁ、りはーさるも終わりましたし。本番前は、嫌でも昂揚するもんどす。」
周子「そうだよねぇ、もう本番だもんねぇ。うちの親も来るって言ってたし、失敗できないなぁ。」
紗枝「うちも来る言うてましたわ。これは、ええとこ見せなあきまへんなあ。」
ゆかり「おふたりとも、もうすぐ本番だというのに、随分と落ち着いてらっしゃいますね。さすがです……」
周子「まぁねー。紗枝はんと一緒だからねー。あたしたちなら、大丈夫かなーみたいな。」
紗枝「ずっと一緒にやってきたさかい。舞台に上がってみたら、思ったより景色違てびっくりしましたけど。」
周子「あー、それわかるわー。なんていうかさ、昨日までは『神宮』だったけど、今日はLIVE会場だーって気がしたよね。」
紗枝「お客はんが入ったら、きっともっと違う景色になるんやろなあ。」
フレデリカ「なになに? フレちゃんわかんなーい。昨日も今日も、セットいっしょだよ?」
ゆかり「いえ、フレデリカさん。違います。そういう見た目の話ではなくて、きっと──。」
周子「そ、これはさ、あたしたちの心の話なんだよね。」
紗枝「周子はんとうちの『羽衣小町』。うちらを形作ってるんは、ここまで積み重ねてきた毎日と、うちらの中にある伝統……京都ゆう、この場所どす。」
周子「でも、そこに彩りを加えるのは、あたしたちの心だからさ。あたしたち次第で、これから、なんでも、変えていけるんだ。」
紗枝「そう思えたからこそ、うちらふたり──今ならここで、きっとええLIVEができるって思うんどす。」
周子「紗枝はんとなら、京都のこと、もっと好きになってける。アイドルも、『羽衣小町』も、これからもずっと。」
紗枝「うちも、周子はんとなら、京都をもっと彩れる思います。歌も、踊りも、なんもかも。」
フレデリカ「おおー! なんか難しくてよくわかんないけど、かっこいいねーふたりともー!」
ゆかり「おふたりの確かな信念、ですね……。あら、プロデューサーさんがいらっしゃいましたね。」
[そろそろ、本番だよ]
紗枝「時間たつん早いわぁ。ほな、周子はん、ばっちしやりまひょ。」
[気合は、十分?]
周子「もちろん。この舞台はさすがにあたしも、ワワワクするよ。だって、集大成だからねー。」
[集大成?]
紗枝「そや……うちも周子はんも、京都を飛び出して、フロデューサーはんに見つけてもろて、出会って、いろんな経験をして、成長してきたやろ?」
周子「それで……あたしたち、この京都にまた帰ってきたんだよね。あたしたちの、初めてのユニット曲と一緒に。」
紗枝「『羽衣小町』の歴史の、大きな1ぺーじやなぁ。」
周子「うん。京都の歴史から見たらちっぽけかもしれないけどさ。あたしたちの歴史の、大切な1日になるよ。」
紗枝「周子はん、ここに来て謙遜はないわぁ。京都の歴史にも、刻んだりまひょ。」
周子「お、紗枝はん、だいたーん。でも、いいねえ。刻みつけちゃおっか。あたしたちの『現在』を!」
紗枝「うちらの『現在』を!」
LIVE後、それぞれの実家で一晩を明かした周子と
紗枝は「行ってきます」の言葉を残し事務所へと
戻ってくる。自分たちの故郷は京都だが、事務所も
また帰るべき第二の故郷だと実感するふたり。
産まれ育った土地に錦を飾る、ひとつ大きな節目を
経て、『羽衣小町』の歴史はこれからも末永く紡がれて
いくことだろう。
紗枝は「行ってきます」の言葉を残し事務所へと
戻ってくる。自分たちの故郷は京都だが、事務所も
また帰るべき第二の故郷だと実感するふたり。
産まれ育った土地に錦を飾る、ひとつ大きな節目を
経て、『羽衣小町』の歴史はこれからも末永く紡がれて
いくことだろう。
──LIVE翌日
周子「んあ……母さん、起こしてくれてありがと。LIVE翌日は、さすがにまだ疲れが残ってるねー。まーでも、久しぶりに帰ってきて、ゆっくりできたよ。もうちょっといたらいい? んー、ごめんね。シューコちゃん、そこそこ人気のアイドルだからさー。それに、ここでのんびりするのもいいけど、あたしには向こうの騒がしい感じも合ってるみたい。うん……楽しいよ。アイドルはさ。心配性だなあ……あたし、意外とちゃんとやれてるって。だから、いってきます。」
──街中
紗枝「もう、お母はん。わざわざ祇園までついてきて。そない何度も確認せんでも、忘れもんなんてあれへんって。いつまでも子どもや思て……。うちかて、日々成長してますえ? 昨日の舞台、見てくれたんやろ? プロデューサーはんや、周子はんにまだまだ助けてもろてばっかしやけど……。うちももう、一人前のあいどるなんやから。また次に帰ってくるときは、も〜っと大きなって帰ってくるさかい、楽しみにしとくれやす。あ、ほら、プロデューサーさんが呼んではります。ほな、行ってきます〜。」
周子「お、紗枝はん。おはよー。お土産、だいたいいい感じの選んどいたよー。」
紗枝「プロデューサーはん、周子はん、おはようさんどす〜。周子はん、おおきに〜。」
[じゃあ、帰ろうか]
周子「は〜い。」
紗枝「はい〜。」
紗枝「周子はん、周子はん、そろそろ起きなあきまへんえ。疲れてはるんはわかるけど、降りる準備せな。」
周子「……んー? という、夢を見た……?」
紗枝「夢やないて。ほら、はよう。プロデューサーはんも、周子はん起こすん手伝うてください。」
──事務所
フレデリカ「おお〜! シューコちゃん、ハロハロ〜? しばらくぶりだね〜?」
周子「はろはろーフレちゃん。そうだねー、昨日の晩ぶりだねー。」
フレデリカ「フレちゃん、シューコちゃんがいないから寂しくて10時間くらいしか寝られなかったよ〜。」
ゆかり「フレデリカさん、大丈夫ですか? 寝過ぎはかえって体に良くないそうですよ?」
周子「あー……シューコちゃん、ツッコミ放棄〜。紗枝はん、あとは任せた〜。」
紗枝「ええんどすか〜? 光栄どすなぁー。では、こほん。ゆかりはん、周子はんはもっと寝てはるけど元気やから──。」
周子「はーい。お土産の八つ橋だよ〜。みなさーん。どうぞー。八つ橋だよー。」
フレデリカ「わーい! いっただきまーす! ぱくぱく……ん〜♪シューコちゃん味だね〜♪」
ゆかり「これはこれはご丁寧にどうも。実は私も、お土産があるんです。お返しに。」
フレデリカ「これはまさか……八つ橋じゃーん! やったーっ! ぱく! ん〜♪ ゆかりちゃん味だね〜♪」
周子「みんな昨日まで京都におったやーん。って、フレちゃんはホントに遠慮なく食べるねえ。」
紗枝「事務所に帰ってきたって感じやなぁ。ただいま──いうて。もうすっかり、こっちもうちらの家やなぁ。」
周子「ねー。京都はもちろん故郷だけど。こっちも第ニの故郷、みたいな。うん──ただいま。」
[おかえり]
ゆかり「おかえりなさい。」
フレデリカ「おかえりー! で、ふたりとも、LIVEの感想はー?」
周子「感想かあー。ま、ちゃんとできてよかったなーって。両親も『よかったよ』って言ってくれたし。ん〜、なんだっけ、故郷に錦を飾れて、よかったよ。」
紗枝「うちら自身、ええーぱふぉーまんすをできた思います。歌うてる間、えらいええ気分やったわぁ。」
周子「新曲もらって。京都でふたりでLIVEして。いろいろ節目になったなーって思うよ。でも、なんていうか──。」
[ふたりの歴史はまだまだ続くよね]
周子「そうだね。っていうか、むしろこれからが楽しくなってくところだよ。あたしたちと、プロデューサーさん、『羽衣小町』のこれから。」
紗枝「これからも、うちらふたり、しっかりやりますさかい。未永く、よろしゅうお頼もうします。」
周子「んあ……母さん、起こしてくれてありがと。LIVE翌日は、さすがにまだ疲れが残ってるねー。まーでも、久しぶりに帰ってきて、ゆっくりできたよ。もうちょっといたらいい? んー、ごめんね。シューコちゃん、そこそこ人気のアイドルだからさー。それに、ここでのんびりするのもいいけど、あたしには向こうの騒がしい感じも合ってるみたい。うん……楽しいよ。アイドルはさ。心配性だなあ……あたし、意外とちゃんとやれてるって。だから、いってきます。」
──街中
紗枝「もう、お母はん。わざわざ祇園までついてきて。そない何度も確認せんでも、忘れもんなんてあれへんって。いつまでも子どもや思て……。うちかて、日々成長してますえ? 昨日の舞台、見てくれたんやろ? プロデューサーはんや、周子はんにまだまだ助けてもろてばっかしやけど……。うちももう、一人前のあいどるなんやから。また次に帰ってくるときは、も〜っと大きなって帰ってくるさかい、楽しみにしとくれやす。あ、ほら、プロデューサーさんが呼んではります。ほな、行ってきます〜。」
周子「お、紗枝はん。おはよー。お土産、だいたいいい感じの選んどいたよー。」
紗枝「プロデューサーはん、周子はん、おはようさんどす〜。周子はん、おおきに〜。」
[じゃあ、帰ろうか]
周子「は〜い。」
紗枝「はい〜。」
紗枝「周子はん、周子はん、そろそろ起きなあきまへんえ。疲れてはるんはわかるけど、降りる準備せな。」
周子「……んー? という、夢を見た……?」
紗枝「夢やないて。ほら、はよう。プロデューサーはんも、周子はん起こすん手伝うてください。」
──事務所
フレデリカ「おお〜! シューコちゃん、ハロハロ〜? しばらくぶりだね〜?」
周子「はろはろーフレちゃん。そうだねー、昨日の晩ぶりだねー。」
フレデリカ「フレちゃん、シューコちゃんがいないから寂しくて10時間くらいしか寝られなかったよ〜。」
ゆかり「フレデリカさん、大丈夫ですか? 寝過ぎはかえって体に良くないそうですよ?」
周子「あー……シューコちゃん、ツッコミ放棄〜。紗枝はん、あとは任せた〜。」
紗枝「ええんどすか〜? 光栄どすなぁー。では、こほん。ゆかりはん、周子はんはもっと寝てはるけど元気やから──。」
周子「はーい。お土産の八つ橋だよ〜。みなさーん。どうぞー。八つ橋だよー。」
フレデリカ「わーい! いっただきまーす! ぱくぱく……ん〜♪シューコちゃん味だね〜♪」
ゆかり「これはこれはご丁寧にどうも。実は私も、お土産があるんです。お返しに。」
フレデリカ「これはまさか……八つ橋じゃーん! やったーっ! ぱく! ん〜♪ ゆかりちゃん味だね〜♪」
周子「みんな昨日まで京都におったやーん。って、フレちゃんはホントに遠慮なく食べるねえ。」
紗枝「事務所に帰ってきたって感じやなぁ。ただいま──いうて。もうすっかり、こっちもうちらの家やなぁ。」
周子「ねー。京都はもちろん故郷だけど。こっちも第ニの故郷、みたいな。うん──ただいま。」
[おかえり]
ゆかり「おかえりなさい。」
フレデリカ「おかえりー! で、ふたりとも、LIVEの感想はー?」
周子「感想かあー。ま、ちゃんとできてよかったなーって。両親も『よかったよ』って言ってくれたし。ん〜、なんだっけ、故郷に錦を飾れて、よかったよ。」
紗枝「うちら自身、ええーぱふぉーまんすをできた思います。歌うてる間、えらいええ気分やったわぁ。」
周子「新曲もらって。京都でふたりでLIVEして。いろいろ節目になったなーって思うよ。でも、なんていうか──。」
[ふたりの歴史はまだまだ続くよね]
周子「そうだね。っていうか、むしろこれからが楽しくなってくところだよ。あたしたちと、プロデューサーさん、『羽衣小町』のこれから。」
紗枝「これからも、うちらふたり、しっかりやりますさかい。未永く、よろしゅうお頼もうします。」
コメントをかく