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椎名法子 | ねぇねぇ、時子さん! この後、自由時間もらえたから、 商店街のほうに行ってみましょう! |
財前時子 | ……貴方ひとりで行ってきなさい。 私はここにいるわ。 |
椎名法子 | そんなこと言わないで行きましょーよ。 あたし、時子さんと一緒に行きたいんですっ♪ |
財前時子 | …………チッ。 |
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椎名法子 | ありがとう、時子さん。 あたしのお願い聞いてくれて。 |
財前時子 | 別に。貴方の願いを叶えたわけではないわ。 グルメ番組のロケとはいえ、ずいぶんと食べさせられたから。 |
財前時子 | つまり、貴方に付き合っているのではなく、ただの食後の散歩よ。 |
椎名法子 | それでもうれしいです!えへへっ♪ |
財前時子 | フン……単純ね。 それにしても……あの豚。 この私についてこないなんて、何様のつもり? |
財前時子 | あれだけ食べさせられたのは、豚のせいだというのに……。 よっぽど、この私に調教されたいようね、クックック……。 |
椎名法子 | プロデューサーは大事な打ち合わせがあるって言ってたけど…… まぁ、いっか。時子さん楽しそうだし! |
椎名法子 | ……あっ、あぁっ! 時子さん時子さん!あのお店見てください! |
財前時子 | 私は逃げはしないから、服を引っ張らないでちょうだい。 それで、なんの店があったの? |
椎名法子 | ドーナツ屋さん! |
財前時子 | …………。 |
椎名法子 | 無言でどっかに行こうとしないで〜! 入りましょうよ、ドーナツ屋さん! |
財前時子 | お断りよ。 そもそもロケで食べすぎたのは、 法子のせいでもあるのを忘れないでちょうだい。 |
椎名法子 | あたしの? |
財前時子 | とぼけるのはやめなさい。 ことあるごとに、私の皿にドーナツを乗せてきたでしょう。 おかげで私は満腹になってしまったのよ。 |
財前時子 | 自分の好物を勝手に与えて喜んでいるのは、ただのエゴよ。 反省しなさい。 |
椎名法子 | はい……。 そうだよね……わっぱめしにドーナツ、地鶏カレーにドーナツ、 ソースカツ丼にドーナツ、会津そばにドーナツはやりすぎだよね。 |
財前時子 | ようやくわかったようね。 学習するだけ、豚よりもだいぶマシよ。 |
椎名法子 | うん……。 それはそれとして、ドーナツ屋さん入りましょう! |
財前時子 | …………。 その頭の中身は豚並か、それとも豚以下ではないでしょうね? |
椎名法子 | ほらほら、見てください! カラフルで種類いっぱいで、甘いのだけじゃなくって、 健康を意識したドーナツまであるんですよ! |
椎名法子 | あと、この匂い! お店の外にいるのに、ここまでドーナツの香りが……。 はぁぁ〜、幸せすぎて溶けちゃいそう〜♪ |
椎名法子 | 匂いだけで幸せになれるんですから、 食べたらもっと幸せになりますよ! だから、ね?時子さん、行きましょうよ♪ |
財前時子 | …………チッ。 |
椎名法子 | あぁ〜、幸せ〜♪ |
財前時子 | …………ふぅ。 |
椎名法子 | ドーナツいっぱい食べられて、心もお腹も幸せです〜♪ 時子さんは1個しか食べてませんでしたけど、 あれだけで足りたんですか? |
財前時子 | 1個で充分よ。 ロケ中に何個も食べてまた今も食べて……ふぅ。 しばらくは、リング状のものは見たくもないわ……。 |
椎名法子 | あ……あたし、またやりすぎちゃったんだ……。 ドーナツのことになると、つい周りが見えなくなっちゃって……。 ごめんなさい、時子さん。 |
財前時子 | 謝るだけなら豚にもできるわ。 本当に反省をしているのなら、これからの行動で示しなさい。 |
椎名法子 | そうですよね……。 時子さんに、無理して付き合ってもらっちゃったんだもん。 ちゃんと反省して、この先に活かします! |
財前時子 | どうやら、ちゃんと反省しているようね。 |
椎名法子 | 自分のことだけじゃなくって、 ちゃんと相手のことも考えなくっちゃダメってことですよね? |
財前時子 | フン……貴方も、ようやくわかってきたようね。 |
椎名法子 | うん。 ……あ、そうだ! |
財前時子 | どうかしたのかしら? |
椎名法子 | 今日のお詫びとお土産っていうことで、 また今度、時子さんにドーナツをプレゼントしますね♪ それなら、お腹いっぱいじゃないから、大丈夫でしょ? |
財前時子 | そういうことじゃないわ! 法子、いい加減にしなさい!! |