Ep7.Nemesis |
仲間たちがホタルの帰りを信じて待つ一方、冥界では―― |
カエデ | うふふっ♪ |
リサ | まったく……言っとくけど、メイコはアタシの優秀な部下で、家族だったのよ?それを消したからには…… 一週間、おやつ抜きね。 |
カエデ | はァい♪ |
ホタル | あの……どういうことですか……?カエデさんは、猫じゃ…… |
カエデ | 猫ですヨ?リサ様の使い魔ノ……ね♪ |
ホタル | じゃ、じゃあ、メイコさんとはもともと知り合い……?でも、そんな素振りなかったし……! |
カエデ | 私たち、仲が悪かっタんデす。お互イに、姿を見かけても無視するほどニハ。 でも、やっとイなくナッた…ああ、せいせいシマしタ♪ アのコ、ほんと五月蠅くっテ。責任だの使命だの、言っテルことも理解デキないし……せっかく冥界と境界ヲ 行き来出来るのダカら、気まま二楽しく過ごセバいいだけナの二、あろうことか天使ヲ羨んだりモシテ…… ほんと……ミットモナイデスヨネ♪ |
ホタル | そんな……でも、そうだ…『黒猫』っていったら、使い魔なのに……私、すっかり忘れて……! |
カエデ | 仕方アリませんヨ。貴方はいろいろと……考えルことカラ逃げてイマしたカラね。 |
ホタル | ……待って。『リサ様』……『リサ』って、『冥王リサ』!? |
リサ | 今頃気づいたの?呆れた。とんだボンクラお嬢ちゃんね。 |
ホタル | だって、見た目が、その、幼いから…… |
リサ | こう見えてもこの世界と同じだけの刻を生きてるわよ。アンタのところのトキコと、同じようにね。 |
カエデ | フふっ、トキコちゃんは元気かシら? |
リサ | まったく、飄々としちゃって。ホント、メイコを消したのはやり過ぎよ。アンタだって思ってないでしょ? この弱っちい堕天使が、本当に悪魔になれるなんて。 |
ホタル | え!? |
カエデ | ウフフ♪ |
ホタル | 私が……悪魔に? |
リサ | なれないっつってんの!悪魔をナメんじゃないわよ。アンタはせいぜい使い魔の手先ぐらいが関の山ね。 |
カエデ | あラ、それじゃあ私の手先にしまショう♪可愛いお人形さんガホシかったんデす。 |
リサ | は?アンタこの前の人形はどうしたのよ?まさかもう壊したの? |
カエデ | うふフ♪ |
リサ | ったく、しょうがないわね。じゃあ……そういうことだから。その羽も自我も邪魔でしょ? どんどん黒く染まってるし、解決の手立てもない。アタシが堕天を早めて、邪魔な自我も消してあげる。 そうして、カエデの人形として生まれ直しなさいな。 |
ホタル | そんな……!! (どうしよう、このままじゃ、悪魔の手先にされちゃう!) (でも、しょうがないのかも……私には、冥王リサと戦う力なんてないし……天使の仕事だって好きじゃないし……) (本当?) (それでいいのかな……私は本当に、天使を諦められるの……?) |
マイ | 天使さんに会えて。よかった……! |
マヒロ | ホタルちゃん、ありがとう! |
メイコ | 鳥が歌い、花が咲く……美しい天界…… |
ホタル | ううん……そんなことない……!何もできないわけじゃなかった……! 私が天使だから、出逢えた笑顔があった……!マヒロさんだって、救われたって言ってた……! あの笑顔は嘘じゃない……!私…… マヒロさんの心を救ってたんですね……! |
カエデ | アら……。 |
リサ | 目に力が宿ったわね。面白いじゃない。希望に満ちた瞳から色が消える瞬間、アタシ好きなのよね。 |
ホタル | 皮肉だけど….冥王リサと対峙してはじめてわかりました。 私、正天使になりたい!天界のことも天使のことも、ひとを救うってどういうことなのかも……もっと知りたい! 神様が気まぐれに生み出した、理不尽で残酷な運命を嘆いて、逃げることはもうしません……! 耳を塞がず、人々の声を聞き届け、祈り続けますっ!必死に生きて、生きて、生き抜いた人達のためにも! |
ぱちぱちぱちぱち…… |
ホタル | ……っ? |
カエデ | おめでとうございます、ホタルちゃん。ようやく自分の在り方を決められましたね♪ |
ホタル | え……カエデさん……? |
カエデ | よかった♪ホタルちゃんったら、自分じゃ何も決められないのかしらって心配してたんですよ♪ 本当によかった♪ |
ホタル | カエデさん……! |
カエデ | でも、残念。少シ、遅かったミタイ。 |
ホタル | えっ…… |
カエデ | ほラ、砂時計を見てみて?時間切レデすヨ♪ |
ホタル | !!す、砂が……落ち切った……! |
パキンッ!シュゥゥゥゥ…… |
ホタル | 砂時計が砕けた……ああっ!羽が!!いやっ、待って……!私は、天使でいたいのに……! |
リサ | ……すべて、漆黒に染まったみたいね。なーんだ。アタシが絶望のドン底に突き堕としてやりたかったのに。 |
パァァァァッ…… |
|
リサ | ハ!? |
カエデ | あラ……♪ |
ホタル | あれ……?羽が、大きく……私……正天使に……なれたの……? そうか……私に足りないのは、天使としての自覚……だったんですね……。 |
リサ | ……ハッ。正天使っていっても生まれたてのヒヨコじゃない。そんなんでこのアタシから逃れて、無事に天界に…… 帰れると思うな。 |
ホタル | っ!!わ、私は……天界に帰ります!! |
カエデ | ふふっ♪冥界の王であるリサ様にオヲ剥くなンテ、やっパり面白い子♪でも、無駄デすよ? そんな生えタテの柔らかイ乳歯じゃ、傷一つツケラレマセンカラ。 |
ホタル | そ、そんなの……やってみなきゃわかりません!!!! |
??? | 愚か者!!!! |