愛相町。
そこはスタンド使いが集まり、時には生まれる…何かすごい町。
そんな町のスタンド使いを集めた組織、SOFC。
ある日彼らに、団地一帯を巻き込んだ事件が起こった、との連絡が入った。
それは住人が一夜にして『良い人』になるという、どちらかと言えば放っておいてもいいんじゃね? な事件。
しかし、人間の感情を操作する『スタンド』の関与を疑ったSOFCのメンバー2名、新人3名は現場に直行。
暴走したスタンド『エル・ミー・ディー』を倒し、住人を正気に戻した。
……その事件の背景には、ある男と少女、そして父親の思惑があった。
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きいの日記(超ナガイ)
◆7月5日…晴れ
今回の事件も、これで一区切り。
『スタンド使い』が相手だったけど、
誰も怪我せずに済んで良かったです。
新しい仲間(年上の方に『友達』は失礼ですよね)もたくさん増えました。
ちょっと不まじめな…でも、決める時は決める坂芋さん。
真面目な八国さん。坂芋さんとは真逆だけど、いいコンビになれると思います。
ちょっと変わった人の猫宮さん。でも、茶目っ気のあるいいお医者さんだと思います。
あと…だいぶ変な竜胆さん。えっと、すごいスタンドだと思います。
この4人と一緒に挑んだ、団地での戦い。
野江さんの暴走したスタンドを倒し、一件落着だったのですが……
あの後、私は野江さんと橋田さん親子、3人にお話を聞きに行きました。
そして、この事件の背景が……
ほんのすこしだけ、わかった気がしました。
◆橋田さん
奥さんを亡くした橋田さんは、
お酒に依存するようになっていったそうです。
だから、巴ちゃんと向き合う事が出来なかった。
野江さんのスタンドに操られている間は、痛みや苦しみを感じなかったそうです。
それが功を奏したのか、本人にも自覚なく禁酒ができ、アルコール依存から抜ける事が出来た。
でも、あくまで一時的なもの。
一度依存症になると、生涯アルコールの誘惑から逃れ続けなければならないそうです。
……けれども、そう語る橋田さんの目の奥には、確かな自信がありました。
◆巴ちゃん
橋田さんの奥さん……
巴ちゃんのお母さんは、少し前に亡くなったそうです。
2人とも、お母さんが大好きでした。
だからこそ、巴ちゃんには橋田さんの気持ちが痛いほど分かった。
自分がこれだけ苦しいんだから、お父さんはもっと苦しいんだろう。
『お父さんは私より苦しんでいるのに、私がワガママを言ってはいけない』と。
だから、お父さんと向き合う事が出来なかった。
あの後巴ちゃんは、
お父さんが立ち直るまで耐え続けるつもりだった、と話してくれました。
でも……もし、そうなっていたとしたら。
巴ちゃんは耐えられなかったと思います。
◆野江さん
スタンドが身についた野江さんは、迷いながらもスタンドを巴ちゃんのために使いました。
野江さんは、団地の人もスタンド能力に巻き込んでしまうことに抵抗感を感じていたけど、すぐに戻そうと考えていたそうです。
八国さんが出会った『ルチア』という人は、
少し時間が掛かるけど、野江さんのスタンドに自我を与え、団地の人への被害をなくそうとしてくれたそうです。
きっと良い人だと思います。
でも、スタンドに自我が芽生えたとき。
既に野江さんは、スタンドをコントロールしようと思わなくなっていました。
どれだけ言葉を尽くしても、どれだけ話しても通じない……
そんな団地の人たちが、『良い人』になってくれた。
例え、不自然なものだとしても。
一度それが実現してしまった時、野江さんは鎖に縛られてしまったのです。
野江さんは正義感……
じゅんぽう精神(?)がすごく強かったらしく、
ずっと団地の人と揉めていたそうです。
能力を解けば、またあの頃の繰り返し……
そんな思いが、野江さんがスタンドを解除することを許さなかった。
スタンドに芽生えた自我は、生まれた時から役割を失っていたのです。
自分自身すらも曖昧で、能力である『規律・ルール』を子どものように連呼することしか出来なかった『エル・ミー・ディー』。
彼もまた、被害者だったのだと思います。
子どもの時から、私には夢がありました。
世界の人がみんな手を取り合って、仲良く暮らせたらな、と。
今回の件で、私は自分の未熟さが身に沁みました。
私には、まだまだ夢を叶える事は出来ないと思います。
でも、いつかきっと。信じていれば、努力し続ければ必ず……
P.S.(7月6日―曇)
あ、坂芋さんたちの歓迎会のお菓子を買わないと。
お金足りるかな? おじいちゃんが出してくれるといいけど……
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