クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki

「これで大丈夫だよな・・・」自身のスーツ姿を確認しながら

来栖　暁人こと、俺は自分にしては珍しく緊張していた・・・・
自分の姿を何度も確認し、何か忘れている事は無いかと自身の思考をフル回転させている
まさか、俺みたいな人間にこんな日が訪れるとはまったく予想していなかった・・・
あの事件からすでに5年、彼女と共に過ごした日々は自分にとって間違いなく大切なものである

「問題は無いな・・・、もうすぐ時間か・・・」時計を何度も確認する

彼女の事をいつの間にか好きになっていた自分に気づいたときは
動揺して陽菜の顔をまともに見ることが出来なかった時期もあった
今なら、あの時に仲間達から言われた言葉の意味が分かる、俺はきっとあの時から彼女に惚れていたのだろう・・・
もっとも、驚いたのは彼女から告白された事だったが・・・、男として少し情けなかった
だが、勿論プロポーズは俺からした、頷いてもらえるか不安だったが今この日を迎えられた事が結果を証明しているだろう・・

「そろそろ向うとするか・・・」扉に手を掛け、深呼吸する

ここまで色々な事があったが、俺は、今、誰よりも幸せだと高らかに宣言する事ができる
そうして、式場へと歩みを進める

「来栖　暁人は、ここに誓います。葛城　陽菜を妻とし、共に生きていく事を、そして共に幸せになる事を！」

「…………………（そわそわ」

目の前の鏡に映る自分の姿を見る度に、私の心は不思議な感情で満たされる…ような気がした。
嬉しい…ような、怖い…ような……たくさんの感情が、胸のあたりでぐるぐると渦を巻いている。
…またチラッと鏡を見れば、そこにはさっきと変わらない、真っ白いドレスを着て、化粧された自分が映っている。

「…暁人君。…本当に、私でいいのかな…？」

あの恐ろしい体験から5年…色々あったけど…私はずーっと暁人君の傍にいて、彼の仕事のお手伝いをしてきた。
…暁人君は、あの体験のせいでホラー小説を書けなくなって、途方に暮れていた私に手を差し伸べてくれた。
それがすっごく嬉しくて、私はいっぱい自分にできることをしてきた。
資料整理とか、事務所のお掃除とか(上の方とどかなくて、結局お世話になったけど)、お茶出したりとか…あ、依頼も代理でいったこともあったなぁ。

「（…色々、あったんだなぁ…）」

ぼんやりと昔の事を思い出す。…それで、えっと……うん、告白…したり…プ、プロポーズ、されたり……///
それからとんとん拍子で準備がすすんで、ついにこの日がきて…。

「…………すー…はー…」

私は大きく深呼吸をして、それでもう1度自分の姿をじーっと見る。
…そうだ。私はちゃんと知ってるはず。暁人君がほんとうに優しいこと。
あんな恐ろしい出来事があったときも、私やみんなのことを気にかけてくれて、守ってくれて…。
…そう。私はそんな暁人君をずっと見てきて、いつの間にか好きになって…誰よりも傍で、彼を支えたいと思うようになったんだ。

「…うん、大丈夫。暁人君なら…大丈夫…」

そんな時だった。私のいる部屋のドアが、コンコンとノックされたのは…。
…いよいよ、時間が来たんだ。
私の心から、さっきまでの不安や恐怖はなくなり、まるで重荷がなくなったような軽い気持ちでドアを開け、そして式場へ向かう。

――私、葛城…じゃなくて、…来栖 陽菜は、今日この日をもって、来栖 暁人君のお嫁さんになります…っ！