PCより
閑古鳥と親娘
平日の気怠い午後。私は店のカウンターに座り、ぼんやりと植物を眺めていた。
ここら一帯を騒がしていたあの連続殺人事件からも大分月日が経った。
犯人は一向に捕まらず、住民の不安は解消されないまま。そして税金泥棒呼ばわりされる警察。
…ふん、いい気味だ。人のこと犯罪者同然に扱ったのだから。もっと言われてなさい。
こんな心境でいられるのは、殺人事件はもう起きないと知っているからだろう。
このまま大きな変化も進展もなければ、この事件もいずれ世間の記憶から消えていくだろう。
それにしても…
「はぁああ〜…」
…暇だ。自然とため息もでる。
あの事件の時、花を回収しようと言った口実の所為で、私の店は逆に信用を失ってしまった。
「あの店は危険な植物を取り扱ってる」だそうだ。おかげで唯でさえ多くなかった客が全然来ない。
まぁ、元々のお得意様の学校、大学との取引に影響が出るでも無し、気にするほどのこともないけれど…。
これであの子がイジメられるとかになったらどうしよう…。心配だし、早くなんとかしないと。
今日はそなたさんもこないようだ…まぁ、最近の彼女の専らの用事はあの子に会いに来ることだ。自分で引き取りたがってたくらいだし、結局私の所に来たのだって半分偶然みたいなもんだし。といっても、当人は懐かれて満足してるみたいだし好しとしよう。
あのニート雅彦は相変わらずふらふらしている。まぁ、厳密にはアイツは別にニートって訳じゃないし、私が口だす筋合いでもないのはわかってる。それでも、一度は親と同じ道を進み、現在実家に暮らし、そして何よりもう結構いい歳だ。それで未だに腰を落ち着けず、ふらふらしているのはやっぱり私の感覚では口を出さずにはいられないのだ。唯…。今になって思うのだ、あの子の心に一番早く気付いたのは、雅彦なんじゃないかと。もしアイツがいなければ、あの子はずっと救われないまま。私の家族が増えることもなかったんじゃないだろうか。そういう意味ではとても感謝している。まぁ、絶対口には出さないけどね。
東雲先生は…最近は全然会わない。事件の最後の方も様子がおかしかったけれど、あの後本格的に寺に目覚めたらしく、寺巡りの旅に出たと専らの噂だ。最後の謎解きは見事だったけど…教授という人種は良くわからないなぁ。あの子も「寺のおじさん来ないね」と少し寂しがっていた。まぁ、何をしているのかわからないけれど、お体に気をつけて、そしてこれからもどうぞご贔屓に。
そして私の新しい家族。愛情に飢え、ずっとひとりぼっちだったあの子。化け物に利用されてしまったあの子。もし将来、自分の行ないに苦しむ日が来たとしても、あの子と精一杯笑えるように頑張る。それが私の務めだろう。
〜カランカランカラ〜ン〜
そこまで取り留めのないことを考えていると、扉の鈴の音がした。
「いらっしゃ〜…」
反射的に言いかけた言葉を飲み込む。
噂をすれば何とやら、だ。
元気よく入ってきたあの子に私は笑いかける。
「ただいま!お母さん!」
「おかえり、早苗」
……私の大事な大事な、娘。
PLより
皆様お疲れさまでした!
急遽飛び入りに近い形で参加させていただきましたが、とても楽しませていただきました。ありがとうございました。まさか自分の探索者に子供が出来るとは思っても見ませんでしたが、また機会があれば大切に使いたいと思います。
随所での心理学、そして幼なじみRPを楽しませてくださった揺り篭様(勝手にニートキャラ扱いしてごめんなさい)、頼りになる探偵RPで魅せてくださったsaiga様(まさか親権争いをするとは思いませんでしたが)、最後の推理をビシッと決めてくださったモクレ様(寺?毒電波?何のことかな?)、そしてこのような卓を用意し、GOOD ENDにも対応してくださったKPのKMI様、本当にありがとうございました。
それではまたいつか、どこかの卓でご一緒しましょう。
コメントをかく