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「シンさん･･･ホントに体調は大丈夫ですか？」
気になった私は片付けを終わらせたあと、舵を握るシンさんの元へ駆け寄った。
薄明かりの中、佇むシンさんが溜め息混じりにこちらを向く。
「たく、ドクターにでも頼まれたか？」
「いえ･･･ソウシ先生も心配してましたけど。私が気になったから・・・」
おどおどしながら近づく私に、シンさんはフッと小さく笑う。
また舵に向き直り、暗い海に視線を戻した。
「お前とはカラダのつくりが違うからな。･･･少々のことでは、なんともない」
「それはそうですけど・・・」
シンさんが、ギロッと私を睨んだけど・・・
やはりそこに、いつもの迫力は全然ない。
「シンさん･･･」
だから私は、駆け寄るなり名前を呼んで。
振り向いたシンさんの頭を両手で抱え、おでこを合わせた。
「･･･っお前っ！いきなり何をっ！！！！」
シンさんが肩を掴んで、慌てて私のカラダを離す。
１歩後ろに退いた私はシンさんの顔を、仰ぎ見た。
「やだシンさん･･････すごく熱い･･･」
触れたのは一瞬だったにも関わらず、燃えるような熱が伝わって。
おでこだけじゃない。･･･顔にかかる息だって･･･
「わたし、ソウシ先生を呼んできます！！！」
「･････････待てっ！！！」
背中を向け駆け出す手首を、背後からぎゅっと掴まれた。
振り向く私を、シンさんは自分の方へ引き寄せる。
「慌てるな･･･、大丈夫だと言っただろ」
「でも、熱が･･････」
この熱は、放っておいていい熱の高さじゃない。
涙目の私を呆れたようにシンさんは見て、掴んだ手をそっと離した。
「もう少しで航路に乗る。それまでここから離れるわけにはいかないんだ･･･」
「でも･･･」
シンさんが責任感の強い人だというのは分かる。
だけどこのままじゃ････
おずおずと顔を見上げると、シンさんは私のホッペを、むぎゅぅぅぅと摘んだ。
そのままグリグリと動かされ、思わず涙がちょちょぎれる。
「･･･いたたたた･･･！！！」
「これで、わかったか？」
「へ？」
「お前が心配するほどの事じゃ、ないってことだ････」
指が離され、ホッペをさする私を見て、シンさんが鼻でフッと笑う。
だけどやっぱり放ってはおけない。
「でも･･･」と立ち尽くす私に、シンさんがまた、息をつく。
「たく･･･お前にそんな顔をされるようじゃ･･･俺もおしまいだな、」
「お願いですシンさん･･･ソウシ先生に･･･」
「ならドクターに薬でも貰ってきてくれ。だがドクターは連れてくるな、いちいち煩いからな」
それだけ言ってシンさんはまた、舵に向き直ってしまった。
･･････本当はソウシ先生に診て貰いたいけど･･･
「分かりました。じゃあ私･･･お薬もらってきますね！」
仕方なく私は、急いで医務室に向かった。
･:*:･ﾟ'★,｡･:*:･ﾟ'☆･:
ソウシ先生に事情を伝え薬を貰うと
キッチンでお水を汲んでシンさんの元へ駆け戻った。
「ソウシ先生、すごく怒ってましたよ？」
「そうか･･･悪かったな」
シンさんは薬とグラスを受け取ると、一気にそれを飲み干した。
空のグラスを私に渡し、再び舵を握り始める。
その姿に、不安がよぎる。
「もう！！！あとでちゃんと、診てもらって下さいよ！！！！」
声を荒げる私の頭を、シンさんはわかった、わかったとポンポン叩く。
そして肩を掴んで、くるりと向きを変えさせた。
「ほらもう分かったから。･･･部屋で船長が待ってるんだろ？さっさと戻れ･･･」
トン、と背中を押されて、私はすぐに振り返る。
「じゃあ、約束ですからね」
「ああ･･･わかったから･･･早く行け」
しっしっと手を振るシンさんに念を押して、仕方なく私は部屋へ向かった。
途中何度か振り向くと･･････シンさんは私をじっと見ていた。
翌朝、朝食の時間になるというのにキッチンにあがってこないシンさんに、昨夜の事が頭を掠める。
不安になった私は、シンさんの部屋をノックした。
「･･････シン、さん？」
だけど、中から返事がない。
少しドアを開け、そっと中を覗いてみる。
「シンさん？はいりますよ」
声をかけながら伺うと、シンさんは未だベットに横になっていた。
慌てて駆け寄り顔を見れば、ほんのり頬を赤く染め、呼吸は浅く、とても速い。
「やだ、シンさんッ!」
揺すぶって声をかけても
シンさんは浅い息を繰り返すだけで、目を開けない。
慌てておでこを当ててみれば、熱がかなりある事が分かった。
「やだ…どうしよう」
私は部屋を飛び出し階段を駆け上がって、ソウシ先生を呼びに向かった。
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「シンさん･･･ホントに体調は大丈夫ですか？」
気になった私は片付けを終わらせたあと、舵を握るシンさんの元へ駆け寄った。
薄明かりの中、佇むシンさんが溜め息混じりにこちらを向く。
「たく、ドクターにでも頼まれたか？」
「いえ･･･ソウシ先生も心配してましたけど。私が気になったから・・・」
おどおどしながら近づく私に、シンさんはフッと小さく笑う。
また舵に向き直り、暗い海に視線を戻した。
「お前とはカラダのつくりが違うからな。･･･少々のことでは、なんともない」
「それはそうですけど・・・」
シンさんが、ギロッと私を睨んだけど・・・
やはりそこに、いつもの迫力は全然ない。
「シンさん･･･」
だから私は、駆け寄るなり名前を呼んで。
振り向いたシンさんの頭を両手で抱え、おでこを合わせた。
「･･･っお前っ！いきなり何をっ！！！！」
シンさんが肩を掴んで、慌てて私のカラダを離す。
１歩後ろに退いた私はシンさんの顔を、仰ぎ見た。
「やだシンさん･･････すごく熱い･･･」
触れたのは一瞬だったにも関わらず、燃えるような熱が伝わって。
おでこだけじゃない。･･･顔にかかる息だって･･･
「わたし、ソウシ先生を呼んできます！！！」
「･････････待てっ！！！」
背中を向け駆け出す手首を、背後からぎゅっと掴まれた。
振り向く私を、シンさんは自分の方へ引き寄せる。
「慌てるな･･･、大丈夫だと言っただろ」
「でも、熱が･･････」
この熱は、放っておいていい熱の高さじゃない。
涙目の私を呆れたようにシンさんは見て、掴んだ手をそっと離した。
「もう少しで航路に乗る。それまでここから離れるわけにはいかないんだ･･･」
「でも･･･」
シンさんが責任感の強い人だというのは分かる。
だけどこのままじゃ････
おずおずと顔を見上げると、シンさんは私のホッペを、むぎゅぅぅぅと摘んだ。
そのままグリグリと動かされ、思わず涙がちょちょぎれる。
「･･･いたたたた･･･！！！」
「これで、わかったか？」
「へ？」
「お前が心配するほどの事じゃ、ないってことだ････」
指が離され、ホッペをさする私を見て、シンさんが鼻でフッと笑う。
だけどやっぱり放ってはおけない。
「でも･･･」と立ち尽くす私に、シンさんがまた、息をつく。
「たく･･･お前にそんな顔をされるようじゃ･･･俺もおしまいだな、」
「お願いですシンさん･･･ソウシ先生に･･･」
「ならドクターに薬でも貰ってきてくれ。だがドクターは連れてくるな、いちいち煩いからな」
それだけ言ってシンさんはまた、舵に向き直ってしまった。
･･････本当はソウシ先生に診て貰いたいけど･･･
「分かりました。じゃあ私･･･お薬もらってきますね！」
仕方なく私は、急いで医務室に向かった。
･:*:･ﾟ'★,｡･:*:･ﾟ'☆･:
ソウシ先生に事情を伝え薬を貰うと
キッチンでお水を汲んでシンさんの元へ駆け戻った。
「ソウシ先生、すごく怒ってましたよ？」
「そうか･･･悪かったな」
シンさんは薬とグラスを受け取ると、一気にそれを飲み干した。
空のグラスを私に渡し、再び舵を握り始める。
その姿に、不安がよぎる。
「もう！！！あとでちゃんと、診てもらって下さいよ！！！！」
声を荒げる私の頭を、シンさんはわかった、わかったとポンポン叩く。
そして肩を掴んで、くるりと向きを変えさせた。
「ほらもう分かったから。･･･部屋で船長が待ってるんだろ？さっさと戻れ･･･」
トン、と背中を押されて、私はすぐに振り返る。
「じゃあ、約束ですからね」
「ああ･･･わかったから･･･早く行け」
しっしっと手を振るシンさんに念を押して、仕方なく私は部屋へ向かった。
途中何度か振り向くと･･････シンさんは私をじっと見ていた。
翌朝、朝食の時間になるというのにキッチンにあがってこないシンさんに、昨夜の事が頭を掠める。
不安になった私は、シンさんの部屋をノックした。
「･･････シン、さん？」
だけど、中から返事がない。
少しドアを開け、そっと中を覗いてみる。
「シンさん？はいりますよ」
声をかけながら伺うと、シンさんは未だベットに横になっていた。
慌てて駆け寄り顔を見れば、ほんのり頬を赤く染め、呼吸は浅く、とても速い。
「やだ、シンさんッ!」
揺すぶって声をかけても
シンさんは浅い息を繰り返すだけで、目を開けない。
慌てておでこを当ててみれば、熱がかなりある事が分かった。
「やだ…どうしよう」
私は部屋を飛び出し階段を駆け上がって、ソウシ先生を呼びに向かった。
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