、
「･･･う、･･･」
瞼が揺らいでシンさんの目がゆっくり開く。
だけどまだ、ぼぉーとしているのだろう。
「シンさん･･･気がつきましたか？」
「･･････っ！！！･･･なんでお前がここに居るんだ？！！」
顔を覗かせる私を見て、シンさんは一瞬逡巡してから起き上がろうと手をついた。
それを慌てて押し止める。
肩をつかんで体重をかけると、まだ力が入らないのだろう。
シンさんはあっさりベッドへ舞い戻った。
「･･････おまっ」
「まだ起きちゃだめです！」
肩を抑えたまま、強い口調で言う。
諦めたのかシンさんは、枕に頭を沈めた。
「どういうことだ？」
「シンさん、ずっと眠ってたんですよ？･･･ソウシ先生が、疲れと風邪だろうって･･･」
手を離し、おでこのタオルを掬い上げ氷水に潜らせる私に、
溜め息混じりの顔を向ける。
「それで俺は･･･どれくらい眠ってたんだ？」
「そうですね･･････もう夕方ですから。結構な時間かな？」
ふふっと笑って振り向くと、シンさんは天井を見つめたまま、はァ･･･と大きく息を吐く。
そしておでこの上に腕を乗せた。
桶の中で氷水が、カラカラと鳴く。
シンさんはおでこに腕を置いたまま、こちらを向いた。
「その間･･･ずっとお前がここに居たのか？」
「ええ。･･････でも、さっきもソウシ先生と船長が来てましたし、ナギさんもご飯持ってきてくれたり。
･･････ハヤテとトワ君も心配していましたよ？」
「……そうか」
その言葉の後、沈黙が包む。
タオルを絞ると天井を見つめるシンさんのおでこに、それを乗せた。
「よしと･････それじゃあ私。船長とソウシ先生に知らせてきますね？」
寝てて下さいよ？
シンさんに念を押して、静かに部屋をあとにした。
「シン、いいかい？」
船長とソウシ先生がシンさんの部屋に入って行く。
私はドアの外から様子を見つめた。
「大丈夫か、シン･･･」
船長がほっとした表情で、苦笑いを向ける。
ソウシ先生はベッドの傍らに片膝をついて、診察を始めた。
「だいぶ無理が祟ったようだね、･･･心配したよ？」
「･･････」
「ゆうべ来てくれてたら、こんなに酷くはならなかっだろうに･･･」
黙り込むシンさんにソウシ先生が苦笑いを向け、診察を続ける。
少ししてシンさんが、重い口を開いた。
「船長、申し訳ありません。････ところで舵は？」
「心配すんな、これでも船長なんだぜ？舵くらい扱えらァ･･･」
「では船長が？」
「おう、まあな。･･･けど、お前が航路に乗せてくれたお陰で･･･そう、やることはねぇが？」
シンさんは、腕を組んだままフッと笑う船長に軽く頭を下げ、目を伏せた。
それから暫くして掛布を整えたソウシ先生が、ゆっくりした所作で立ち上がる。
「それじゃ･･･ゆっくり休むんだ、･･･いいね、シン、」
「すいません、ドクター」
「とにかくカラダは動かさないこと。･･･起きていいのはトイレだけ。
･･････あとは私が付き添うよ･･･」
ソウシ先生のその言葉に、私は外から声をかけた。
「あの･･･このあとも私が、付き添いましょうか？」
一斉に振り向く３人。
「えと･･･今までも看てきましたし･･･」
「そう？･･･でも●●●ちゃん、疲れてないかい？」
「それは全然･･･平気です」
駆け寄って、向かいに立つ私の肩に、一瞬黙ったソウシ先生が手を置いた。
「そうだね･･･私より●●●ちゃんの方がシンも良いだろう。･･････どうです、船長？」
振り向いたソウシ先生を、船長は横目でギロリと睨む。
それは私が･･････あとでお酌をする約束をしていたからだろうけれど･･･
船長は息を吐くと、しかたがねえーなと私の腕をグイと引いた。
「なら、しっかり看てやってくれ、」
「はい、船長」
船長は「頼んだぞ」と、いつもより強く頭を叩いて、シンさんに「しっかり休め･･･」と声をかける。
ソウシ先生もゆっくり休むよう伝えると、私の肩をポンと叩いて２人は部屋をあとにした。
ドアが閉まると、急に静まり返った気がする。
シンさんは相変わらず上を向いて、目を閉じたまま。
私はベッドの脇に、腰を下ろした。
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「･･･う、･･･」
瞼が揺らいでシンさんの目がゆっくり開く。
だけどまだ、ぼぉーとしているのだろう。
「シンさん･･･気がつきましたか？」
「･･････っ！！！･･･なんでお前がここに居るんだ？！！」
顔を覗かせる私を見て、シンさんは一瞬逡巡してから起き上がろうと手をついた。
それを慌てて押し止める。
肩をつかんで体重をかけると、まだ力が入らないのだろう。
シンさんはあっさりベッドへ舞い戻った。
「･･････おまっ」
「まだ起きちゃだめです！」
肩を抑えたまま、強い口調で言う。
諦めたのかシンさんは、枕に頭を沈めた。
「どういうことだ？」
「シンさん、ずっと眠ってたんですよ？･･･ソウシ先生が、疲れと風邪だろうって･･･」
手を離し、おでこのタオルを掬い上げ氷水に潜らせる私に、
溜め息混じりの顔を向ける。
「それで俺は･･･どれくらい眠ってたんだ？」
「そうですね･･････もう夕方ですから。結構な時間かな？」
ふふっと笑って振り向くと、シンさんは天井を見つめたまま、はァ･･･と大きく息を吐く。
そしておでこの上に腕を乗せた。
桶の中で氷水が、カラカラと鳴く。
シンさんはおでこに腕を置いたまま、こちらを向いた。
「その間･･･ずっとお前がここに居たのか？」
「ええ。･･････でも、さっきもソウシ先生と船長が来てましたし、ナギさんもご飯持ってきてくれたり。
･･････ハヤテとトワ君も心配していましたよ？」
「……そうか」
その言葉の後、沈黙が包む。
タオルを絞ると天井を見つめるシンさんのおでこに、それを乗せた。
「よしと･････それじゃあ私。船長とソウシ先生に知らせてきますね？」
寝てて下さいよ？
シンさんに念を押して、静かに部屋をあとにした。
「シン、いいかい？」
船長とソウシ先生がシンさんの部屋に入って行く。
私はドアの外から様子を見つめた。
「大丈夫か、シン･･･」
船長がほっとした表情で、苦笑いを向ける。
ソウシ先生はベッドの傍らに片膝をついて、診察を始めた。
「だいぶ無理が祟ったようだね、･･･心配したよ？」
「･･････」
「ゆうべ来てくれてたら、こんなに酷くはならなかっだろうに･･･」
黙り込むシンさんにソウシ先生が苦笑いを向け、診察を続ける。
少ししてシンさんが、重い口を開いた。
「船長、申し訳ありません。････ところで舵は？」
「心配すんな、これでも船長なんだぜ？舵くらい扱えらァ･･･」
「では船長が？」
「おう、まあな。･･･けど、お前が航路に乗せてくれたお陰で･･･そう、やることはねぇが？」
シンさんは、腕を組んだままフッと笑う船長に軽く頭を下げ、目を伏せた。
それから暫くして掛布を整えたソウシ先生が、ゆっくりした所作で立ち上がる。
「それじゃ･･･ゆっくり休むんだ、･･･いいね、シン、」
「すいません、ドクター」
「とにかくカラダは動かさないこと。･･･起きていいのはトイレだけ。
･･････あとは私が付き添うよ･･･」
ソウシ先生のその言葉に、私は外から声をかけた。
「あの･･･このあとも私が、付き添いましょうか？」
一斉に振り向く３人。
「えと･･･今までも看てきましたし･･･」
「そう？･･･でも●●●ちゃん、疲れてないかい？」
「それは全然･･･平気です」
駆け寄って、向かいに立つ私の肩に、一瞬黙ったソウシ先生が手を置いた。
「そうだね･･･私より●●●ちゃんの方がシンも良いだろう。･･････どうです、船長？」
振り向いたソウシ先生を、船長は横目でギロリと睨む。
それは私が･･････あとでお酌をする約束をしていたからだろうけれど･･･
船長は息を吐くと、しかたがねえーなと私の腕をグイと引いた。
「なら、しっかり看てやってくれ、」
「はい、船長」
船長は「頼んだぞ」と、いつもより強く頭を叩いて、シンさんに「しっかり休め･･･」と声をかける。
ソウシ先生もゆっくり休むよう伝えると、私の肩をポンと叩いて２人は部屋をあとにした。
ドアが閉まると、急に静まり返った気がする。
シンさんは相変わらず上を向いて、目を閉じたまま。
私はベッドの脇に、腰を下ろした。
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