多人数で神話を創る試み『ゆらぎの神話』の、徹底した用語解説を主眼に置いて作成します。蒐集に於いて一番えげつないサイトです。


書物
物語り

銀の物語とはガドール・コヘレト?カタン・コヘレト?からなる
コヘレト兄弟?によって書かれた『冬の魔女』をモチーフとした逸話集である。
当時、世間に広まっていた冬の魔女の物語は、その大半が編者による改作を受けており
原話とはほど遠いものとなっていた。
そのため、コヘレト兄弟は独自に世界に散らばる冬の魔女の物と思しき伝説や民話を蒐集、
編集し、新史暦210年?頃に発行。
初版発行時には『真・冬の魔女の物語』と言う題名であったが第二版以降は『銀の物語』と改訂された。

また本書は、『焔の竜と銀の少女』『魔法少女と七人の納豆売り』『崩落の回廊』などの
全九章から構成された512頁の大著であり、あまり一般大衆受けをしなかった為か、
後に、同出版社から児童向けに編集された『ぎんいろのまじょ』も発行されている。

記述

序章『少女と少年』

少年は、竜を滅ぼす力を求め旅をしていた
少女は、人との温もりを求め旅をしていた
彼は、彼女に手を差し伸べ
彼女は、彼に笑顔を向けた

「その槍……」
「あぁ、何でも天の階段?跡から見つかった1032英雄の一人が使ってたっていうらしい、
 名前は確か……何だったかな……」
「……コルセスカ……」
「ああ、そうコルセスカだ、よく知ってるな」
「まぁ……」
「しかし、コルセスカ、ねぇ……」
「……?」
「いや、神すら滅ぼすほどの武器って割にさ、何か綺麗な響きの名前だよなって……」
「…………」
「まぁ、この槍は何の力も持たない偽物だったみたいだけど……って、どうかした?」
「…………別に……」
「……何か俺、変な事言った?」
「…………別に……」

ソルダと冬の魔女

「………………」
「ぁっと……そ、そろそろ街が見えてきたな…
 結局、武具は見つからなかったし、姉貴にはどやされるだろうなぁ」
「……お姉さん?」
「うん、ブリュンヒルドの頭やってるんだけど、知ってる?」
「元ケーニッヒ?の姫君アルメ・L・グラムメクセトに裏切られ義勇軍を立ち上げたという……」
「ほんと、よく知ってるな、流石は魔女」
「…………」
「ま、寺院に着いたら、あんたにも紹介するよ」
「えぇ……」

「………〜」
「お、なんだよ、急に鼻歌なんか……」
「…………別に……」
「(この槍の話してから機嫌がいいような……?)」


「おかえり愚弟、相変わらず冴えん面をしているな」
「ただいま姉貴…、相変わらず毒舌が振るってるね…」
「ふむ、どうやら神滅ぼしの武具も無事に見つける事が出来たようだな
 正直、期待などは微塵もしていなかったのだが……」
「あ、いや、その事だけどさ……実はこれ、偽物みたいでさ…何の力も無い普通の槍みたいなんだ」
「は?」
「す、すまん姉貴」
「まて、貴様は何を言っているんだ?」
「や、だから、見つけてきた槍は偽物で……」
「……槍だと?」
「そう、だけど…?」
「では、貴様の後ろにいる娘は何なのだ」
「え、ああ、そうだった……紹介するよ、彼女とは旅の途中に出会ったんだけど
 姉貴も知ってるだろ、最近流れていた冬の魔女の噂、実は彼女が……」
「成る程な……いや、もう良い喋るな馬鹿者、やはり愚弟は愚弟だったと言う事か」
「……な、はい? ちょ、姉貴?」
「さて、久しぶりだな親友、今は冬の魔女、と呼べば良いのか?」
「えぇ、久しぶりですねアルメ、あの名前はもう捨てたから……」
「…………え、二人とも知り合い?」
「なんだ貴様、まだ居たのか」
「居たのかって……、姉貴……」
「ディークとバルも心配していた、ここは良いから顔を出して来い」
「いや、でもさ……」
「黙れ、いいから失せろと言っているのだ」
「う、失せって……はぁ、わかったよったく……なあ、あんた」
「?」
「姉貴に何かされそうになったら大声だせよ、すぐ駆けつけるから」
「ほう、帰ってきたばかりだと言うのに、そんなに死にたいのか愚弟?」
「げ、やば……じゃあ、また後でな!」
「…………」
「ちっ、相変わらず逃げ足だけは速い……む、何を笑っている」
「……いえ……その、昔と比べて、とても仲が良くなったと……」
「まぁ、今は二人きりの家族だからな……」
「アルメ、貴女は変わることが出来たのですね……」
「そう…だな、人は時と共に変わる、私は昔の私ではなく、あいつも成長した」
「えぇ、私が前にあった時は、まだ歩くのもおぼつかなかったのに…」
「今では一端の男だ、本人には絶対に言わんが意外と頼りにもなる」
「えぇ、そうですね、本当に……」
「…………」
「…………」
「……もしかして旅の途中で何かあったか?」
「……いえ……別に……」
「……もしかして惚れたか?」
「……い、いえ……べ、別に……」
「ふぅ、何だお前も暫く見ない間に変わったのだな、男の趣味が」
「なっ……!?」
「いや昔はお前、親父趣味だったろう?ほら、あの何とかという英雄の」
「……そ、それがフォグラント様の事を言っているのなら、
 今も昔もそういう相手では在りません、確かに尊敬はしていましたが」
「成る程、つまり我が愚弟こそが、そういう相手、ということか」
「ち、違っ……」
「ほう……」
「だ、だから……」
「…………(ニヤニヤ)」
「〜〜〜っ!!(真っ赤)」


「おお! ソル坊じゃないか、久しぶりだな、いつ帰ってきたんだ?」
「あ、バルさん、ただいま、ついさっき帰ってきたばかりだよ」
「一年ぶりぐらいか、けっこう背も伸びたじゃないか」
「はは、まあ、まだまだバルさんには適わないけどね……あ〜、ところで」
「ん、ああ……あいつか? あいつなら今、巡察に行っているが、何なら誰かに呼びに行かせるか?」
「い、いや、居ないなら別に良いし、というかぶっちゃけ会いたくないし」
「がっはっは、まあ、昔からソル坊はあいつが苦手だったからなぁ…だがな、もう手遅れだ」
「……え゛」
「や〜ん!ソルダきゅ〜んっ!!」
「おわあっ!?」
「ひどいよ、ソルダきゅん! ボクに何も言わないで出て行っちゃうなんて、凄く心配したんだぞ〜!」
「がはは、いつもながら、二人はラブラブだのぅ」
「ばっ、バルさん、気色の悪い事いわんでくださいっ! ちょ、お前も早く離れろっ!」
「やだ、ソルダきゅんったら、照れちゃって〜もう、可愛いんだから!」
「ちっが〜〜うぅ!」


「またやっているのか、あの馬鹿どもは」
「……あの方は?」
「ああ、あのデカイのか? あいつは三番隊隊長のバルムンク、あんな図体だが一応は人間だ」
「………」
「くっくっ……どうした、何やら不機嫌そうだが…」
「…………別に……」
「ふっ……」
「…………あの」
「なにかな?」
「その……仲、良いんですか…」
「そうだな、奴らとは国を追われて以来、ずっと一緒だったからな」
「…………」
「ふむ、やはり気になるか?」
「…………別に…」
「そうか?」
「……えぇ…」
「…………」
「…あの……」
「どうした?」
「……いえ…その、可愛らしい方ですね……」
「ん、誰がだ?」
「……髪を、二つに縛っている方です…」
「ああ、愚弟に抱き付きつつ、今まさに唇を奪おうとしているあいつか…」
「え…っ!?(グキッ)」
「まあ、唇は冗談だが……というか、いま凄い勢いで振り返ったな、首は大丈夫か?」
「……べ…別に……平気です…」
「そうは見えんが……」
「だ、大丈夫です……それよりも…」
「ん、ああ…、彼の名はディーク・ノートゥング、二番隊の隊長だよ」
「………」
「どうした、冬の魔女ともあろう者が『サブレー?納豆を食らったような』顔をして」
「……彼?」
「ああそうか…あいつは、あんな容姿だが一応は男だ」
「…………」
「ついでに言えば、妻帯者でもある」
「…………」
「ふふ…安心したか?」
「…………別に…」
「……ふっ…ふはははっ」
「………わ、笑わないでください…」
「くっくっ…いや、すまない…、しかし…ふふっ…セスカは本当に可愛いやつだな」
「…………アルメ、貴女は凄くいじわるです…」

三章『焔竜と銀の少女』

紅き暴君は、長大な両翼を羽ばたかせると
狂気を孕む、灼熱の咆哮を高らかに上げた

アルセス「ぼ…僕のメルトバーズが全全滅めつ…」

***

「彼女は魔女だ」
「そんな事は、俺だってわかってる」
「いや、君はわかってないね、あれは真なる魔女の一人にして神の欠片の一つ」
「……何?」
「つまり、君の最愛の人は化け物だって事さ」
「お前!」
「おっと、怒らないでよ、僕は本当のことを言っただけだろ、だいたい君だって見ただろう彼女の力を」
「それは……」
「例えどれだけ君が愛していたとしても、ただの人である限り彼女と結ばれる事はない」
「さっきから、何を、言いたいんだよ、お前は…」
「だからさ、君も一歩踏み出せばいいんじゃないって事さ、彼女と同じ、人という枠から外れた場所へとね」
「お前、一体、何者なんだ……」
「内緒……と言いたい所だけど、そうだね君には名乗っておこうか…
 僕の名前は、ア;&35$3=アル$&8タ、通り?3$の英雄さ…」


「ごめん、今は行くよ…けど、例え俺が、今の俺じゃ無くなったとしても、
 例え君がどれだけ遠い場所に行こうとも、いつか必ず会いに行くから…」

彼は私にそう言うと、周りの制止も聞かずその場を去りました。
私は彼に対して何も言う事が出来ず、ただ呆然と彼の背を見送る事しかできませんでした。
彼の姿が見えなくなり、暫くの間、部屋の中に静寂が包まれました。
そんな、誰もが口を開く事が出来ない、とても重く圧し掛かるような空気の中で、
場にそぐわない、とても愉快そうに笑う少年の声が聞こえたような気がしました…。

私は、何故だかとても悔しい気持ちになり、俯き小さく涙をこぼすのでした。


彼女はずっと待っていた。
彼との約束を果たす為、放浪の果て、行き着いたその森で、彼をずっと待っていた。
いつか会おうというその約束が、何時の日か果たされる事を信じて。



ソルダ・グラムは神剣を手に入れようと画策するゴルプスットに呪いをかけられた。
己の力で難関を突破しなければならない十二の試練。この苦難に屈すれば神剣は彼に奪い取られてしまう。

しかし、彼は見事全ての試練を乗り越え、紀人となった。

その試練は
三頭三尾の大蛇ヤローアイオス?の生け捕り。
ストゥルルルルソン?の色彩を奪ってくる。
リク=テロテ=キュラッタの髭を手に入れる。
怪鳥ステュムパーロス?の退治。



そして銀の森に棲む魔女の命を奪うこと。

終章『騎士と魔女』

過去は死人に塗れ、今は白銀に染まる森の中、
地獄へ繋がる長大な迷宮の奥底で、
数千年の刻をこえ、騎士と魔女は対峙した。
魔女の腕には、絶対零度の氷血の呪。
騎士の腕には、神火明光の松明の剣。
少女は、無言で涙を流し。
少年は、無言で剣を抜く。
そこには、嘗ての笑顔はなく。
そこには、親しき言葉もない。
こうして神に弄ばれた二人の運命は、
ただ冷たく、ひたすらに虚ろな終焉へ……。

無題

冬の魔女と松明の騎士 異説

閃く冷気。
膨れ上がる灼熱。
神域の破壊の力は互いにぶつかり合い、迷宮は光に包まれる。

そして・・・・・・。




そこには、砕け散った剣と、白磁の肌を晒す、何の変哲も無い少女の腕があった。
「どうして・・・・・・?」
少女の呟きは、震えながら何か別の言葉を捜しているようでもあった。騎士は折れた剣を投げ捨てて、傷一つ無い少女を真っ直ぐに見据えて、微笑んだ。
「【氷血の魔女?】は死んだ・・・・・・。そして彼女を追い求めてきた松明の騎士も、試練を果たし、剣と共に役目を終えた。
・・・・・・終わったんだよ。これで。剣の最後の力で、忌まわしい魔女はこの世から姿を消し、松明の騎士もまた姿を消した。
ただ、それだけの事なんだ」
「あ・・・・・・」
震える声。視界が揺れて、初めて少女は自分の瞼が濡れているのに気付いた。
騎士は、否、もう騎士ではなくなったただの少年は、そっと少女に手を差し伸べた。
「遅くなってごめん。・・・・・・それと、ただいま」
いつか聞いたその優しい響き、彼女の名前を美しいと誉めてくれたその声で、少年はそう告げた。
ともすれば崩れてとても少年には見せられなくなりそうな顔を必死で押し止めながら、少女はその顔に、拙い笑みを作る。
震える声で、願い続けたその言葉を紡ぐ事が出来る喜びを噛み締めながら。
「うん、・・・・・・おかえり」
ずっと、誰にも見せる事の無かった、心からの笑み。
それはさながら、雪解けの野に咲く、一輪の花のように・・・・・・。

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