2chエロパロ板のけいおん! 作品のまとめサイトです。

著者:2-864氏


「しぬ……」
「律……」
向こうの方で肩を寄せ合う二人。
さわ子が首を巡らせつつ訊いた。
「何なの。あれ」
「律っちゃん、女の子の日だそうですよ」
「あれじゃ、部活できないんじゃないの?」
「うん、でも、どこにいてもいっしょだし、ここだと気が紛れるからって」
「もー、なによそれ」
さわ子はため息混じりに立ち上がり、律の前に立った。
「律。具合が悪いんだったら、早く帰りなさい。みんな心配するでしょ……それに、そんな子を学校に残しておけません。教師として」
最後のところだけ、ゆっくり発音する。
「たはは。さわちゃんに怒られちった」
「律」
さわ子は少し顔をしかめてみせた。こればかりは問答無用ということらしい。
「はーい、わかりました。それじゃ、おとなしく……」
「あ、あの……律は、帰ったらひとりだし、それに、部活が終わったら私が家まで送っていきますから……だから、あの……」
澪は二人に割って入ったものの尻すぼみになってしまう。
上目遣いのまま言葉に詰まった澪に、さわ子が折れた。
「……保護者がそう言うなら、しょうがないわね」
「さわ子先生」
「無事に送り届けたら、ムギと憂ちゃんにメールすること。いいわね?」
「はい!」
「それじゃ、遅くならないようにね。お茶、ごちそうさま」


「さ、律のことはほっといて練習練習」
律は頭を押さえている。減らず口は体調には関係ないのだ。

「今日は、律っちゃんのためにゆったりした曲はどうかしら?」
「あ、いいね」
唯は乗り気だ。
「まかせる」
「うふふっ。……それじゃあ『翼をください』にしましょうか。この前、楽譜をみつけたの」


演奏が終わると、三人の意識は自然と律に向かう。
「ふんふん。やっぱり、あたしのドラムがないと、物足りない感じかなー」
「何をえらそーに」
「ということで……」
律はつかつかとドラムに寄ってきて、座った。
「一回だけ、あわせよ」
「おい、無理するな」
「大丈夫、一回だけ。な?」
「……一回だけだからな」
ムギはいつものうっとり、唯は待ちきれないでいるようだ。
「よーし。それじゃボーカルも入れよう……一番のAメロはムギ、Bメロが唯、サビは二人で合唱。二番のAメロがあたしで、Bメロが澪、サビは四人。あとはアドリブ、でどう?」
提案を反芻し、うなずく三人。
律がスティックを掲げ、4つ数える。
そのたった4拍で集中できる。その一体感がバンドの強み。

4人だけの音楽室が熱気に包まれる。夢中で、あっという間に曲が終わってしまう。
ギターの残響がまだあるうちに、律は快哉を叫んだ。
「うっしゃあぁぁ」


「よし、今の感じでもういっかい……って、律?!」
右に左に傾ぐ律に澪が駆け寄る。音楽室には似つかわしくない、高い足音がこだました。
「大丈夫か?」
「……澪しゃん。肩かして……」
「無理するなって言ったじゃないかぁ」
ちょっと湿った声だった。



「やっぱり、律を送っていくよ」
「うん」
「その方がいいわ」
どうにか歩く律を支える澪。二人を見送るとかわりに放課後の寂しさが入ってきた。
「さっきの……よかったね」
「ええ。ここに4人しか居なかったのがもったいないくらいに……」
流れ星のように輝いて通り過ぎた一曲。それに巡り会ったのは彼女たちと……。



次回予告

ふっ。顧問を忘れてもらっちゃ困るわねぇ(メガネをはずしながら)
……トゥルルル……もしもし、キャニオンおじ様?……はい、今から送ります。
ええ……それは仕方ありません。キョウ兄さんには、もうしばらく冷や飯を食っていただきます……ええ……ピッ
……これとマシュマロをもってすれば、オリコン3位は確実ね。
あははははっ! このポニーさわ子をなめんじゃないわよ!!!

このページへのコメント

梓が加入する直前ですね、メンバーの仲の良さが出ています。

0
Posted by BritishPhantom 2009年12月10日(木) 20:15:28 返信

何故メール送る相手が憂……

0
Posted by 匿名 2009年08月06日(木) 03:16:29 返信

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